JP2554888B2 - 金属チタンの製造法 - Google Patents

金属チタンの製造法

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JP2554888B2 JP62190186A JP19018687A JP2554888B2 JP 2554888 B2 JP2554888 B2 JP 2554888B2 JP 62190186 A JP62190186 A JP 62190186A JP 19018687 A JP19018687 A JP 19018687A JP 2554888 B2 JP2554888 B2 JP 2554888B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は四塩化チタンを還元して金属チタンを製造す
る方法に関するものであり、特に四塩化チタンから金属
チタンを製造するにあたりその反応温度をチタンの融点
以上に維持して金属チタンを製造する方法に関する。
[従来の技術] 四塩化チタンを金属チタンに還元する方法の一つとし
て、クロール法が知られている。クロール法において
は、四塩化チタンを金属マグネシウムをもって還元して
金属チタンを製造する。クロール法において、四塩化チ
タンを金属マグネシウムをもって還元するに当っては、
通常還元容器内を常圧又は減圧下で金属チタンの融点以
下の温度で還元反応を行い金属チタンをスポンジ状で得
るのを常とする。ついで得られたスポンジ状の金属チタ
ンの微細構造内部に残存する過剰の金属マグネシウム及
び副生の塩化マグネシウムを真空分離又はリーチングに
より除去して分離精製の後、破砕し溶融作業に都合のよ
い形状に成型して改めて加熱溶解して目的とする金属チ
タンのインゴットを得ている。すなわちクロール法はバ
ッチ式であり、クロール法により目的とする金属チタン
のインゴットを得るには少なくとも還元反応工程、真空
分離工程、破砕工程および溶解工程の4段階の独立した
操作を必要とする。
上記のバッチ式によらずハロゲン化金属を還元剤金属
で還元するに当って、反応温度を生成される金属の融点
以上に維持し、生成金属を溶融体のままあるいは溶融状
の生成金属を還元容器内で冷却固化させてインゴットと
して還元容器から連続的に取り出す方法も提案されてい
る。例えば、特開昭56−35733号公報には、塩化チタン
蒸気と還元剤金属の蒸気とを反応容器に導入して、塩化
チタンと還元剤金属を液状の生成金属チタン及び蒸気状
の還元剤金属塩化物が形成される条件下で反応させ、副
生した還元剤金属塩化物を蒸気として回収し、溶融状の
生成金属チタンを生成金属チタンの融点以下の温度に保
持された鋳型内に集めて凝固させてインゴットとして反
応容器から引出す金属チタンの製造法が提案されてい
る。又、特公昭46−19761号公報には、四塩化チタンの
蒸気と液状の還元剤金属とを反応器中の液体金属中に導
入し、還元反応域をチタンの融点以上の温度とし、その
温度に対応した還元剤金属塩化物の蒸気圧下で目的とす
る金属チタンおよび副生する還元剤金属塩化物を溶融状
態で生成せしめ、比重差で生成金属チタンと副生した還
元剤金属塩化物を分離した後、反応容器から別々に系外
に取出す金属の生成方法が示されている。
[発明が解決しようとする問題点] 上記のクロール法による金属チタンの製造方法にあっ
ては、1)反応生成物のスポンジ状チタンが還元反応容
器に強固に付着し、その剥離に多大な労力を必要とす
る、2)還元工程において反応熱を迅速に系外に除去す
ることが困難で生産効率を上げることが難しい、3)高
温での反応生成物のスポンジチタンは通常活性が大で、
そのため反応容器壁材からの汚染を受けやすく、又分離
精製工程では水分や空気等による汚染防止のため格別の
配慮を要し、真空あるいはアルゴンの雰囲気で未反応物
及び副生成物を除去しなければならない、4)バッチ式
のため連続操作が困難で熱損失、設備費、労務費等の増
大など、改良すべき多くの問題点を有している。
クロール法の上記欠点を改良すべく提案されたハロゲ
ン化金属を還元材金属で還元するにあたり、反応温度を
反応生成物金属の融点以上に維持し、生成金属を溶融状
で得る方法については、上記の特開昭56−35733号公
報、特公昭46−19761号公報に記載の発明の他に種々の
方法が提案されているが、これらの技術は特許文献に記
載されているにとどまり工業化されているものはない。
特公昭46−19761号公報に記載の発明にあっては、四
塩化チタンをマグネシウムで還元してチタンを生成する
にあたり、反応域の温度を約1730℃とし、反応器内の圧
力をこの温度に対応する副生塩化マグネシウムの分圧、
すなわち約5気圧に維持し、チタンおよび副生塩化マグ
ネシウムをそれぞれ溶融状で生成させるが、反応域の温
度は約1730℃、圧力は液状に形成された塩化マグネシウ
ムの蒸気圧と少なくとも同等の圧力すなわち約5気圧で
あるので、還元剤のマグネシウム(沸点1107℃)は沸騰
し、四塩化チタンを完全に還元するに充分な量のマグネ
シウムが反応域に存在し得ない。従って、反応はマグネ
シウム不足となり、三塩化チタン、二塩化チタン等のチ
タン低級塩化物が生成される虞れがある。また、この方
法にあっては原料である四塩化チタンとマグネシウムを
それぞれ気相と液相で反応器下部に溜った反応生成物溶
融層にグラファイト製パイプを通して供給し、その層中
において反応せしめることになっているため、グラファ
イト製パイプの開口部が活性な溶融チタンで腐食された
り、あるいは溶融チタンがパイプ開口部の比較的温度の
低い原料と接触して冷却固化して供給パイプを閉塞した
り、チタンの溶融層付近での還元反応であるため未反応
原料や副生物により製品金属が汚染されたり、マグネシ
ウムが反応域に充分存在し得ないため反応断面積当りの
反応効率が低い等の欠点がある。
本発明は従来技術の上記のような欠点を解消し四塩化
チタンを還元して金属チタンを低エネルギーコストかつ
工業的規模で連続的に製造する方法を提供するものであ
る。
[問題点を解決するための手段] 本発明者等は四塩化チタンを還元して金属チタンを生
成するにあたり、反応域の温度をチタンの融点以上に維
持して溶融状で得る金属チタンの連続製造法について鋭
意研究を続けてきた。その結果、四塩化チタンを還元剤
金属で還元して金属チタンを製造するに際し、四塩化チ
タンと還元剤金属とを高温・高圧に維持された反応域で
主として液相で反応させること、四塩化チタンの還元、
生成金属チタン及び副生還元剤金属塩化物の加熱・溶解
・分離ならびに生成金属チタンを冷却凝固させる容器と
して電磁誘導加熱手段ならびに冷却手段を備えた反応器
を用いることにより、反応器壁からの汚染を防止し高品
位の金属チタンが収率よく連続的に製造し得ることを知
見して本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明
は四塩化チタンを還元剤金属で還元して金属チタンを製
造する方法において、電磁加熱誘導手段を備えた反応器
の下部開口部から金属チタンインゴットを挿入して閉塞
密封した後、該金属インゴットの頂部を電磁誘導加熱手
段により溶融してチタン溶融浴を形成させ、該溶融浴に
四塩化チタンおよび還元剤金属を供給すると共に、反応
器内の少なくとも反応域の温度を金属チタンの融点以上
に維持し、その温度における還元剤金属と還元剤金属塩
化物の蒸気圧の総和以上の圧力下で上記四塩化チタンと
還元剤金属とを反応させ、生成する金属チタン並びに副
生還元剤金属塩化物を溶融体として維持した状態で昇沈
分離することにより、生成金属チタンを上記チタン溶融
浴と融合させた後、冷却凝固させながら金属チタンイン
ゴットとして反応器から連続的に抜き出すことを特徴と
する金属チタンの製造法である。
本発明で用いる反応器は銅等の金属あるいはアルミ
ナ、ジルコニア等のセラミックス製で、縦長中空状をな
し、その頂部と底部が開放されるとともに内部に反応器
内壁面を冷却させるための冷却剤の循環経路が形成され
ており、反応器外周に反応器内の被溶融物を加熱させる
ための電磁誘導加熱手段を備えて成るものである。本発
明で用いるこの電磁誘導加熱手段を備えた反応器はチタ
ン切粉やスポンジチタン等を溶解してチタンインゴット
を得るルツボとして例えば、米国特許第3,755,091号に
記載された減圧不活性雰囲気中で使用するものが知られ
ている。本発明にあってはこの種のルツボを圧力容器内
に組み込み、このルツボを四塩化チタンを還元する反応
域ならびに生成した金属チタンを冷却固化成型する鋳型
部を含む反応器として使用し、鋳型部で冷却固化した金
属チタンをインゴットとして連続的に抜き出す。
本発明においては四塩化チタンと還元剤金属をそれぞ
れ液体で反応域に供給し反応させる。還元剤金属として
はマグネシウムまたはナトリウムを使用する。本発明者
等は本発明による四塩化チタンを金属マグネシウムで還
元する反応効率について下記の反応試験を行った。
(試験) 圧力を50気圧に維持した反応容器内に845gの金属マグ
ネシウムを装入し、金属マグネシウムを電磁誘導加熱に
より1350℃に加熱し溶融マグネシウムの浴を形成した。
直ちに液体四塩化チタン1340gを1608g/minの供給速度で
50秒間溶融マグネシウムに滴下した。滴下開始後15秒で
浴温度はチタンの融点に達し、液体状チタンが得られ
た。金属チタンの収率は99%で反応容器断面積当りの反
応効率は62.7Kmol/hr・m2であった。なおクロール法に
よる反応断面積当りの反応効率は1.3Kmol/hr・m2であ
る。
四塩化チタンと金属マグネシウムを気相で反応させる
反応効率についつは東北大学の竹内教授が行った“気相
反応試験報告”(日本金属学会誌23(1965)625−637)
より次のように計算できる。すなわち、この反応試験に
おけるチタン生長核用チタンリボン枠内体積は0.057(m
3)で、このチタンリボンに対する1時間当りのチタン
付着量は3.45Kg/hr(72mol/hr)であるから、体積効率
は72/0.057=1263mol/hr・m3となり、面積当りの反応効
率は1.263Kmol/hr・m2となる。
上記の反応効率は反応温度、原料の供給速度等の反応
条件がそれぞれ異なり単純に比較はできないとしても、
本発明による四塩化チタンと金属マグネシウムの反応は
その気相反応に比し少なくとも62.7/1.263=49.6
(倍)、又、クロール法と比較しても62.7/1.3=48.2
(倍)もの反応効率を有する。本試験においては液体金
属マグネシウムと四塩化チタンを高温、高圧下の反応域
に供給したのでこの様な高い反応効率が得られたものと
思われる。
反応域の温度はチタンの融点以上であれば良いが、安
定して生成金属チタンが溶融状態のままで反応容器の底
に沈降するためにはチタンの融点より100〜200℃程度高
い温度に維持し、反応域の圧力を少なくともその温度に
おける還元剤金属の蒸気圧以上、好ましくは還元剤金属
及び還元剤金属塩化物の蒸気圧の総和以上に維持する。
例えば、四塩化チタンを原料とし、還元剤金属としてマ
グネシウムを使用してチタン(融点1670℃)を製造する
場合においては、反応容器中の浴温は最低1670℃が必要
であるが、好ましくは1827℃とし、圧力を少なくとも18
27℃においてはマグネシウムの分圧42.6気圧以上、好ま
しくはマグネシウムの分圧(42.6気圧)と塩化マグネシ
ウムの分圧(5.98気圧)の総和、すなわち48.6気圧以上
に保持する。
又、本発明による四塩化チタンの還元に際しては、四
塩化チタンに対し化学量論量の還元剤金属を供給する
が、完全に還元を行うために過剰の還元剤金属を反応域
に常に一定量保持することによりチタン低級塩化物の生
成を防止する。
以下、本発明を四塩化チタンを金属マグネシウムで還
元して金属チタンを製造する実施例について図面を参照
して詳細に説明する。
第1図は本発明を実施するのに用いる金属チタンの製
造装置の概略を示す縦断面図である。図面において符号
1は圧力容器であり、圧力容器内部には反応器2が配設
される。圧力容器内部は圧力調整管3よりアルゴンガス
を導入することにより、反応域温度がチタンの融点以上
であってもマグネシウム及び塩化マグネシウムの沸騰を
実質的に防止することができる圧力(例えば浴温が1827
℃のときは約50気圧)に保持する。圧力容器1内の圧力
が設定値以上又は以下になった場合には圧力自動調整弁
4が作動し、圧力容器1内の圧力は所定値に自動的に維
持される。溶融マグネシウムは供給管5から、反応器2
の上部に連設した案内包7を通って反応器2の反応域に
供給され、四塩化チタンも同様に液体の状態で供給管6
から反応器2の反応域に供給する。
反応器2は、第2図に示すごとく、頂部と底部が開放
された縦長円筒形状をなし、反応器2の壁面縦方向に設
けたスリット8により少なくとも2つのセグメント、図
示の例では12個のセグメント9に分割されて各セグメン
トはスリットにより電気的に絶縁され、スリット8内に
は耐熱性の電気絶縁材が充填される。セグメント9は熱
伝導性のよい材料、例えば銅等の金属で製作する。各セ
グメント9内には冷却剤を供給し反応器内壁面を冷却さ
せる冷却パイプ10が設けられ、各セグメント9の冷却パ
イプ10は互いに連通して冷却剤の循環経路を形成する。
冷却剤は冷却剤入口19および冷却剤出口20により供給排
出される。この反応器2の外周上部には反応器の反応域
の温度をチタンの融点1670℃以上に調整するための上部
電磁誘導加熱コイル12が、また反応器2の外周下部には
この装置により金属チタンを製造する際に前もって反応
器2に装填するチタンインゴット13の頂部ならびに塩化
マグネシウムを溶解させ反応中もインゴット頂部を常に
溶融状態に保つための下部電磁誘導加熱コイル14が配設
される。反応器2は複数の冷却されたセグメント9に分
割され各セグメント9はスリット8で互いに電気的に絶
縁されているため、各セグメント9には電磁誘導による
渦電流がほとんど生ぜず、従って各セグメント9はほと
んど加熱されることなく反応器2内の被溶融物が誘導加
熱される。反応器のほぼ中央部には還元反応により副生
する塩化マグネシウムを系外に排出するための導管15が
配設される。反応器は経済性及びメインテナンスの点か
ら金属で製作したが、アルミナ、ジルコニア等のセラミ
ックスで製作することも可能であり、この場合には反応
器をセグメントにする必要はない。
次に上記の装置により金属チタンを製造する方法につ
いて説明すると、先ず、チタンインゴット13を反応器2
の底部開口より反応器2内に差し込んで反応器2の底部
開放部を閉塞し、反応器2内に少量のマグネシウムと塩
化マグネシウムをあらかじめ装填する。圧力容器1内雰
囲気をアルゴンガスで置換しアルゴンガスで圧力容器内
を所定の圧力に加圧する。反応器2に差し込んだチタン
インゴット13の頂部を反応器2の外周に設けた下部電極
誘導加熱コイル14で加熱して溶解させるとともに反応器
2内に装入したマグネシウム及び塩化マグネシウムを電
磁誘導加熱コイル12で加熱して溶融させてマグネシウム
と塩化マグネシウムの溶融浴を生成させる。溶融したマ
グネシウムは比重差、ならびに電磁誘導磁界により凝集
し塩化マグネシウムの上方に浮上し分離される。溶融し
た塩化マグネシウムの一部はチタンインゴット13と反応
器2内壁面との間に流れ込んで冷却固化して圧力シール
ならびに電気絶縁の作用をする。
次に四塩化チタンとマグネシウムを供給管6、5より
それぞれ液状で反応器2内の溶融浴上方に浮上したマグ
ネシウム16の浴表面に供給する。図示の実施例では、マ
グネシウムを反応器上部に設けた供給管より反応器2内
のマグネシウムの浴表面に供給したが、マグネシウム供
給管を反応器側部に設け、マグネシウムを塩化マグネシ
ウムの浴中に注入して供給することも可能である。マグ
ネシウムの浴表面に供給された四塩化チタンは液相のま
ま液体マグネシウムと反応するか、又は一旦気化した
後、四塩化チタン蒸気としてマグネシウム溶融浴から気
化するマグネシウム蒸気と反応するか、もしくは液体マ
グネシウムと反応し、チタン18及び塩化マグネシウム17
が生成される。反応器2内の浴の温度は反応熱及び電磁
誘導加熱によってチタンの融点より高温であるが、圧力
容器1内が少なくともこの温度におけるマグネシウムの
蒸気圧以上に保持されているため、生成チタン18、副生
塩化マグネシウム17及びマグネシウム16はそれぞれ液体
状態に保持される。また、比重差及び誘導磁界によって
表面浴よりマグネシウム16、塩化マグネシウム17、チタ
ン18の順で層状に分離される。
生成した溶融状チタン18はマグネシウム及び塩化マグ
ネシウム溶融層を通って反応器2の下方に降沈し、頂部
が溶融しているチタンインゴット13の頂部に到達する。
溶融生成チタン18は下部電磁誘導加熱コイル14によって
溶融状態に維持され、撹拌混合され均質なチタン溶体が
形成されチタンインゴット13を適当な速度で連続的に引
き抜きながら冷却固化させる。
副生した塩化マグネシウムは反応器2の側部に設けた
導管15から順次排出される。その排出量は反応域浴レベ
ルが一定になるよう調整する。塩化マグネシウムの一部
は反応器内壁面とチタンインゴット13の間の隙間に流れ
込み固化して、反応器内壁とチタンインゴット13との接
触を防ぐ絶縁層を形成する。この絶縁層は電気的な絶縁
と同時に、断熱と圧力シールの作用をする。この絶縁層
はチタンインゴットを下方に引き抜くときに、機械的な
摩擦力によって一部壊れる場合もあるが、その際は塩化
マグネシウム溶融層より塩化マグネシウムが流れ込ん
で、速やかに固化し再度絶縁層が形成される。生成チタ
ンの溶融層は下部電磁誘導加熱コイル14によって加熱さ
れ電磁誘導により中央部が盛り上った形をしているた
め、塩化マグネシウムは反応器2とチタンインゴット13
の隙間に流れ込み易く、このため、絶縁層もしくは圧力
シールの形成が容易となる。
チタンインゴット13はローラ(図示せず)によってチ
タンインゴット頂部に生成沈積したチタンの量に見合う
分だけ引き抜かれるので、チタンインゴット13上部の生
成チタン溶融層の位置はほぼ一定に保たれる。反応で生
じた反応熱の一部は輻射および対流により反応器の上方
に放熱されるが、その大部分は反応器2を通して冷却剤
により外部へ除去される。
[発明の効果] 本発明によれば反応域の温度をチタンの融点以上と
し、反応域の圧力を少なくともその温度における還元剤
金属の蒸気圧以上に維持するため、還元剤金属及び還元
剤金属塩化物が実質的に沸騰することなく反応容器内で
常に液状に保たれ、還元反応を効率よく進行させること
ができる。又、生成金属チタンも溶融状として生成され
るため、還元剤金属塩化物と生成金属チタンの分離・回
収が容易となる。さらに、反応域である浴表面に液体還
元剤金属の適量が常に存在するため、四塩化チタンの還
元反応は気相での反応と異なり、浴表面の限られた範囲
で起り、このため、設備自体も相対的に小さくすること
が可能となり、また工程の連続化により従来のクロール
法に比べ分離、破砕及び溶解工程が省かれるため大幅は
コストの低下と安定した高品質の金属チタンが得られる
効果がある。
なお、上記説明では本発明を金属チタンの製造に適用
したが、合金成分塩化物又は合金元素を同時供給するこ
とによりチタン合金を製造することもできる。もちろん
ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ通の金属またはそれ
らの合金ならびに珪素等の製造にも本発明を供し得る。
[実施例] 以下、本発明を実施例により説明する。
内径20cmの反応器を用い、内径19.5cmのチタンインゴ
ットを反応器の底部開口より挿入して開口部を閉塞する
とともにあらかじめ固形状の塩化マグネシウム20Kgとマ
グネシウム4.6Kgを反応器内に装入して全開口を閉じ
た。圧力容器内雰囲気をアルゴンで置換した後、電磁誘
導加熱でルツボ内のチタンインゴット頂部および反応器
内を加熱し、塩化マグネシウムとマグネシウムを1000℃
まで熱した。加熱により溶融した塩化マグネシウムはチ
タンインゴットと反応器壁との間に流れ込み絶縁層を形
成した。この後、圧力容器内を約50気圧に加圧した後、
直ちに四塩化チタンを4.0/min(7.0Kg/min)、800℃
に保持した液体マグネシウムを1.2/min(1.8Kg/min)
で供給したところ、反応熱により浴温はすぐに1827℃に
達したため誘導電力の入力を落して浴温を1827℃±50℃
に保持した。インゴットを平均1.3cm/minの速度で下方
へ引き抜き約2時間連続運転し、0.2トンのチタンイン
ゴットを製造した。この間、副生する塩化マグネシウム
は反応器内の浴レベルを一定に保ちながら連続的に反応
器外へ抜き出した。得られたチタンインゴットはクロー
ル法によるスポンジチタンと比べ下記の表に示す様に高
純度の品質であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を実施するのに用いる金属チタンの製造
装置の一例を示す縦断面図、第2図は反応器の概略を一
部破断して示す斜視図である。 1……圧力容器、2……反応器、10……冷却パイプ、12
……上部電磁誘導加熱コイル、13……チタンインゴッ
ト、14……下部電磁誘導加熱コイル、16……マグネシウ
ム、17……副生塩化マグネシウム、18……チタン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 小柳 健悟 (56)参考文献 特開 昭58−9947(JP,A) 特開 昭56−35733(JP,A) 特公 昭31−4206(JP,B1) 特公 昭46−19761(JP,B1)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】四塩化チタンを還元剤金属で還元して金属
    チタンを製造する方法において、電磁加熱誘導手段を備
    えた反応器の下部開口部から金属チタンインゴットを挿
    入して閉塞密封した後、該金属インゴットの頂部を電磁
    誘導加熱手段により溶融してチタン溶融浴を形成させ、
    該溶融浴に四塩化チタンおよび還元剤金属を供給すると
    共に、反応器内の少なくとも反応域の温度を金属チタン
    の融点以上に維持し、その温度における還元剤金属と還
    元剤金属塩化物の蒸気圧の総和以上の圧力下で上記四塩
    化チタンと還元剤金属とを反応させ、生成する金属チタ
    ン並びに副生還元剤金属塩化物を溶融体として維持した
    状態で昇沈分離することにより、生成金属チタンを上記
    チタン溶融浴と融合させた後、冷却凝固させながら金属
    チタンインゴットとして反応器から連続的に抜き出すこ
    とを特徴とする金属チタンの製造法。
  2. 【請求項2】四塩化チタンと還元剤金属は反応器上部よ
    り滴下して供給する特許請求の範囲第1項記載の金属チ
    タンの製造法。
  3. 【請求項3】四塩化チタンは反応器上部より反応域に滴
    下して供給し、還元剤金属は還元剤金属塩化物の浴中に
    注入して供給する特許請求の範囲第1項記載の金属チタ
    ンの製造法。
  4. 【請求項4】還元剤金属がマグネシウムまたはナトリウ
    ムである特許請求の範囲第1項、第2項又は第3項記載
    の金属チタンの製造法。
  5. 【請求項5】金属チタンインゴットと反応器の側壁との
    間で還元剤金属塩化物を冷却、固化させて、反応器の底
    部閉塞部の圧力シール材及び電気絶縁材に用いる特許請
    求の範囲第1項記載の金属チタンの製造法。
  6. 【請求項6】反応器は縦長中空状をなし、その頂部と底
    部が開放されるとともに内部に反応器内壁面を冷却させ
    るための冷却剤の循環経路が形成されている特許請求の
    範囲第1項記載の金属チタンの製造法。
  7. 【請求項7】反応器はスリットにより長手方向に分断さ
    れスリット内に耐熱性電気絶縁材が充填して成る特許請
    求の範囲第1項記載の金属チタンの製造法。
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