JPH11172490A - 絶縁体薄膜およびその製造方法 - Google Patents

絶縁体薄膜およびその製造方法

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JPH11172490A
JPH11172490A JP34627897A JP34627897A JPH11172490A JP H11172490 A JPH11172490 A JP H11172490A JP 34627897 A JP34627897 A JP 34627897A JP 34627897 A JP34627897 A JP 34627897A JP H11172490 A JPH11172490 A JP H11172490A
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thin film
insulator
film
metal
insulator thin
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JP34627897A
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Atsushi Tanaka
淳 田中
Yoshiki Nakatani
喜紀 中谷
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂基板または樹脂フィルム上に、緻密で薬
品等に対する耐性が強く、コーティング性能に優れ、し
かも低温形成可能な絶縁体薄膜を提供する。 【解決手段】 樹脂基板もしくは樹脂フィルム上に、金
属薄膜を形成する工程と、該薄膜を陽極酸化法により絶
縁体薄膜とする工程とを含む絶縁体薄膜の製造方法にお
いて、前記金属薄膜の形状を加工することなく、かつ、
酸化のために接続された電極近傍を除くすべての金属薄
膜を、金属部分を残すことなく陽極酸化して形成するこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂基板上又は樹
脂フィルム上に形成された絶縁体薄膜およびその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、絶縁性基板上に形成される薄膜素
子として通常用いられているものに、アモルファス・シ
リコン薄膜を用いたトランジスタやダイオード、あるい
は酸化タンタルを用いた二端子素子等がある。近年、こ
れらの薄膜素子は液晶ディスプレイの能動素子等として
盛んに利用されている。このため、基板は透光性が求め
られ、従来は、ガラス基板が用いられるのが一般的であ
った。
【0003】近年、ガラス基板を用いた場合の衝撃によ
る基板の割れの問題や、液晶表示装置の小型、軽量化の
要求に対応するため、基板として高分子樹脂材料を用い
た樹脂基板や樹脂フィルムを用いることが提案されてい
る。しかしながら、これらの基板上に能動素子を形成す
る場合には、ガラス基板を用いる場合とは異なる、樹脂
基板独自の問題点を克服する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】第1に、基板として高
分子樹脂材料を用いた樹脂基板や樹脂フィルムを用いた
場合、基板の耐熱性が十分でなく、製造プロセスで発生
する熱によって変形し易いため、形成プロセス温度を極
めて低く押さえる必要がある。例えば、従来から生産さ
れている、優れた特性のシリコン系半導体素子を作製す
るためには、300℃乃至1000℃のプロセス温度を
必要とする光、熱、イオン、プラズマ等のプロセスが要
求される。この場合においても、耐熱性の低い樹脂材料
基板は熱ダメージを受け、変形、変質してしまうため、
プロセス温度の大幅な低温化が必要である。
【0005】第2に、従来のガラス基板を用いた製造プ
ロセスを樹脂基板もしくは樹脂フィルムに適用した場
合、熱以外にも、プロセス中に用いられる薬液やプラズ
マによって樹脂材料基板がダメージを受けることがあ
る。例えば、有機系高分子材料であるフォトレジストの
剥離工程で用いられる剥離液等の有機溶媒や酸素プラズ
マは、同じ有機系高分子材料である基板に対してダメー
ジを与えやすい。また、電極等の金属薄膜もしくは半導
体薄膜のエッチング、試料の洗浄等に用いられる酸やア
ルカリ等の無機溶媒にも基板に損傷を与えるものがあ
る。この他、樹脂基板もしくは樹脂フィルム上に、特に
無機系材料の薄膜を形成した場合、基板との密着性が問
題となることが多い。このような問題点を解決するた
め、従来は樹脂基板上にアンダーコート処理を施す手法
が一般的であった。
【0006】一般にアンダーコート層は高分子材料系の
コート層とその上の無機系のコート層から成る多層構造
をもつことが多い。本発明の絶縁体薄膜はこのうちの無
機系のコーティング層として有用である。現在、無機系
のコート層として最も一般的であるのはSiO2、Si
xy等の光透過性の無機系絶縁物薄膜である。ところ
が、これらの薄膜はHF、BHF等の薬品に対する耐性
が低く、また、CF4プラズマ等でも損傷を受けること
が多い。しかし、アンダーコート上に形成した薄膜の加
工には、これらの薬品、プラズマ等を用いるプロセスが
多く、コート及び基板に著しい損傷を与え、重大な問題
を引き起こしていた。
【0007】ガラス基板の場合には、基板への損傷を防
ぐため、これらの加工手段に対して強い耐性を有する酸
化タンタル等を用いることもあるが、着色を防ぐために
500℃前後の高温プロセスが必要であり、樹脂基板に
は転用不可能なばかりでなく、ガラス基板で作製する場
合にもガラス材料への制限やプロセスコストの上昇を招
く原因となっていた。
【0008】上記のように、従来技術においては、樹脂
基板または樹脂フィルム上に、薄膜素子を形成する際
に、試料の損傷を防ぐため、基板や薄膜の材料、形成プ
ロセスに多くの制約がかかるのが現状である。
【0009】そこで、本発明はかかる課題を解決するた
めになされたものであり、樹脂基板または樹脂フィルム
上に、緻密で薬品等に対する耐性が強く、コーティング
性能に優れ、しかも低温形成可能な絶縁体薄膜を提供
し、樹脂基板または樹脂フィルム上に薄膜素子を形成す
る際の上記制約を大幅に緩和することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願の請求項1記載の絶縁体薄膜の製造方法は、樹
脂基板もしくは樹脂フィルム上に、金属薄膜を形成する
工程と、該薄膜を陽極酸化法により絶縁体薄膜とする工
程とを含む絶縁体薄膜の製造方法において、前記金属薄
膜の形状を加工することなく、かつ、酸化のために接続
された電極近傍を除くすべての金属薄膜を、金属部分を
残すことなく陽極酸化して形成することを特徴とする。
【0011】また、本願の請求項2記載の絶縁体薄膜の
製造方法は、樹脂基板もしくは樹脂フィルム上に、金属
薄膜を形成する工程と、該薄膜を陽極酸化法により絶縁
体薄膜とする工程とを含む絶縁体薄膜の製造方法におい
て、前記金属薄膜の形成工程と絶縁体薄膜の形成工程と
の間に、金属薄膜として残すことを所望する領域にマス
クを形成する工程を具備し、前記金属薄膜の形状を加工
することなく、かつ、前記マスクにより被覆された領域
と酸化のために接続された電極近傍を除くすべての金属
薄膜を、金属部分を残すことなく陽極酸化して形成する
ことを特徴とする。
【0012】また、本願の請求項3記載の絶縁体薄膜の
製造方法は、上記の絶縁体薄膜の製造方法において、樹
脂基板もしくは樹脂フィルム上に、金属薄膜を形成する
工程以前に、前記基板もしくはフィルムと金属薄膜との
間に、陽極酸化を受けない導電体材料から成る第2の金
属薄膜を形成する工程を具備することを特徴とする。
【0013】さらに、本願の請求項4記載の絶縁体薄膜
の製造方法は、上記の絶縁体薄膜の形成工程において、
前記金属薄膜の陽極酸化されるすべての領域が、前記電
極またはマスクにより被覆された領域に対し、金属薄膜
の膜厚が単調に増加しつつ連結されており、かつ、該連
結部分から離れた金属薄膜領域より陽極酸化工程が終了
することを特徴とする。
【0014】また、本願の請求項5記載の絶縁体薄膜の
製造方法は、絶縁体薄膜の形成工程において、前記金属
薄膜の表面付近のみを多孔質の絶縁体薄膜に変換する工
程と、前記金属薄膜のその他のすべての部分を無孔質の
絶縁体薄膜に変換する工程とを含むことを特徴とする。
【0015】また、更なる発明において、請求項6記載
の絶縁体薄膜は、上記の絶縁体薄膜の製造方法により形
成された絶縁体薄膜であって、透明な樹脂基板もしくは
樹脂フィルム上に絶縁体薄膜が形成された領域は、光透
過性を有することを特徴とする。
【0016】また、請求項7記載の絶縁体薄膜は、請求
項3記載の絶縁体薄膜の製造方法により形成された絶縁
体薄膜であって、透明な樹脂基板もしくは樹脂フィルム
上の前記第2の金属薄膜が光透過性を有し、かつ、少な
くとも前記絶縁体薄膜が形成された領域は光透過性を有
することを特徴とする。
【0017】また、請求項8記載の絶縁体薄膜は、上記
の絶縁体薄膜の製造方法により形成された絶縁体薄膜で
あって、樹脂基板もしくは樹脂フィルムの両面に形成さ
れることを特徴とする。
【0018】また、請求項9記載の絶縁体薄膜は、上記
の絶縁体薄膜の製造方法により形成された絶縁体薄膜で
あって、前記絶縁体薄膜は、その主たる部分が無孔質で
あることを特徴とする。
【0019】また、請求項10記載の絶縁体薄膜は、上
記の絶縁体薄膜の製造方法により形成された絶縁体薄膜
であって、前記絶縁体薄膜は、その表面付近のみが多孔
質であり、その他の部分はすべて無孔質であることを特
徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる実施形態に
ついて説明する。本発明において、樹脂基板または樹脂
フィルムとは、高分子樹脂材料から成り、一般に当該分
野に使用し得る基板またはフィルムであれば、特に限定
されるものではない。しかしながら、前述のように作製
プロセスにある程度の温度が必要な場合は、適当な耐熱
性を有することが望ましい。具体的にはポリイミド、ポ
リアミドイミド、液晶ポリアリレート、ポリエーテルス
ルフォン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリ
レート、ポリスルフォン、ポリエーテルイミド等を用い
た基板、フィルムが挙げられる。
【0021】本発明によれば、前記基板もしくはフィル
ム上に形成された絶縁体薄膜は、金属薄膜を陽極酸化し
て形成されることを特徴とする。特に、本発明では前記
金属薄膜の形状を加工することなく、かつ、電源等に接
続された電極付近を除くすべての領域を、金属部分を残
すことなく陽極酸化して形成されたことを特徴としてい
る。
【0022】したがって、一般のTa25−MIM素子
やボトムゲート型a−Si:H・TFTの絶縁膜形成に
用いられているような、あらかじめ配線、電極等の形に
加工された金属薄膜の表面付近のみが陽極酸化された形
状のものとは本質的に異なる。すなわち、金属薄膜は、
表面側から基板側の面に至るまで、膜面に垂直な方向に
は完全に陽極酸化が進み、すべて絶縁体薄膜に変換され
た状態となっている。なお、このとき、所望の領域だけ
マスクで被覆して陽極酸化を阻止し、一部金属領域を残
した状態で上記絶縁体薄膜が形成されていてもよい。
【0023】陽極酸化すべき金属薄膜としては、例え
ば、アルミニウム、マグネシウム、タンタル、ニオブ、
チタン、ジルコニウム等の周期表のIIIa、IIIb、IV
a、Va族のいずれかに属する材料を用いることが好ま
しい。これらの金属薄膜を陽極酸化した場合には、その
種類、および陽極酸化の条件等によって、得られる絶縁
体薄膜は多孔質膜(ポーラス型)もしくは無孔質膜(バ
リア型)のいずれかとなる。多孔質膜の場合には、金属
薄膜の膜厚が1μm以上であっても陽極酸化が可能であ
り、金属薄膜を完全に陽極酸化させることは比較的容易
である。しかしながら、得られた絶縁体薄膜の表面積が
極めて大きいため、著しい活性を示す。このため、引き
続いて形成する薄膜との密着性には優れるが、耐食性の
点で問題が大きく、アンダーコート層として用いるには
必ずしも適当ではない。このため、封孔処理を行うか、
あらかじめ無孔質状態の膜を形成し、高い耐食性の膜と
することが望まれる。なお、アンダーコート上に形成す
る薄膜との密着性を高める必要がある場合は、表面付近
だけは多孔質としてもよい。
【0024】このような絶縁体薄膜を形成するために
は、陽極酸化の行われる領域は、反応が完了する時点ま
で電力供給源と電気的に接続されている必要がある。し
たがって、迅速かつ均一に、金属領域を取り残すことな
く反応を進めるためには、何らかの工夫が必要となるこ
とが多い。例えば、陽極酸化を行う金属薄膜と基板との
間に陽極酸化作用を受けない別の金属薄膜をあらかじめ
形成しておくか、電極側から離れた領域から徐々に反応
が完了するよう、膜厚分布に傾斜を持たせる等の手段が
考えられる。所望の領域だけマスクで被覆して陽極酸化
を行わず、金属領域として残す場合には、この金属領域
が電源と電気的に接続された状態であれば、この領域か
ら離れるにしたがって徐々に膜厚が減少するように、初
期の金属薄膜を形成してもよい。
【0025】基板もしくはフィルムとして透明な試料を
用い、その光透過機能を利用する場合、アンダーコート
層も透明であることが要求される。この際、陽極酸化に
より形成した絶縁体薄膜が透明となるよう、あらかじめ
形成する金属薄膜の材料、膜厚等を適当に選択する必要
がある。また、この場合、陽極酸化する金属薄膜と基板
との間に、陽極酸化作用を受けない別の金属薄膜をあら
かじめ形成しておくには、この金属薄膜はITO等の透
明な導電性薄膜であることが望ましい。
【0026】このように基板もしくはフィルム上に薄膜
を形成した場合、特に、樹脂基板や樹脂フィルムを用い
た場合には膜のストレスにより基板を含めた試料全体に
反りの生じることがある。
【0027】この問題を避けるには、薄膜の材料や形成
手段を工夫して、ストレスフリー状態の薄膜を形成する
等の手段が考えられるが、上記のように陽極酸化で緻密
な薄膜を形成する場合には、ある程度の膜中ストレスは
避けられないことが多い。このため、基板もしくはフィ
ルムの両面に絶縁体薄膜を形成し、試料全体として反り
の発生を避けることが望ましい。この場合の陽極酸化反
応は、工程の短縮化だけでなく、反りの発生を抑える意
味からも、両面同時に行うことが望ましい。また、アン
ダーコート層として使用するという観点からも、薬液や
プラズマに対する耐性の強い、緻密な絶縁体薄膜を試料
の両面に形成する方が望ましい。これは樹脂基板や樹脂
フィルムを用いた場合にはガスバリアの効果を高めるた
めにも有効である。上記実施形態にかかる具体的実施例
を挙げ、以下に説明する。
【0028】
【実施例】〈第1の実施例〉本発明の第1の実施例につ
いて、図1を参照して説明する。図1は、第1の実施例
の絶縁体薄膜およびその製造方法の工程を説明するため
の要部側面断面図である。
【0029】まず、15cm×15cm(厚さ0.5m
m)のポリカーボネート基板11上に、スパッタ法を用
いてアルミニウム薄膜12を膜厚が30〜300nmと
なるように形成する(図1(a))。基板温度を150
℃に保ち、アルゴンガスを用いてプラズマを生成して、
成膜を行った。成膜時の出力は200Wであった。ま
た、成膜を実施する前に、例えば、アルゴンプラズマ中
でのプラズマ処理や、高分子材料によるアンダーコート
の形成等の前処理を行うことも、密着性を高めるために
は有効である。なお、このとき用いたポリカーボネート
基板11の連続使用可能温度は150℃であった。
【0030】次に、図8に示すような酸化装置を用い
て、陽極酸化を行う(図1(b))。アルミニウム薄膜
12の一端に、直流電源85の正極側を接続し、接続電
極13(図8では84)付近の一部の領域を除いて、試
料を3%リン酸アンモニウム溶液82中に浸した。直流
電源の負極側には、カーボン棒83を接続し、アルミニ
ウム薄膜試料とは3〜5cm程度の距離を隔てて同じ溶
液中に浸した。
【0031】陽極酸化被膜の形成は、反応開始当初は定
電流で行い、所定の電圧まで達した後は定電圧で行っ
た。反応開始時の電流値は1〜10mAの範囲で設定し
た。定電流反応中は、アルミニウム薄膜12は表面付近
から徐々に酸化され、酸化膜の形成とともに抵抗が増加
するため電圧も上昇した。また、定電圧反応時の電圧
は、酸化反応が完全に進行し、アルミニウム領域が薄膜
底面に残らないよう、十分な電圧が必要とされる。この
ため、薄膜の膜厚によって50〜500Vの範囲で適当
な値を選定した。本実施例では、おおよそ形成される酸
化アルミニウム絶縁膜の膜厚1.5nmあたり1Vの電
圧が必要であった。
【0032】図1(c)に示すように、得られた酸化ア
ルミニウム薄膜14は、無色透明で非常に緻密な絶縁体
薄膜であった。膜の構造は無孔質であり、耐薬品性にも
優れていた。また、電極付近の一部の領域15(図8中
の電解液82に浸されていなかった領域)に、陽極酸化
作用を受けなかったアルミニウムが残されたのを除き、
その他の領域ではアルミニウムのまま残された領域は認
められなかった。
【0033】〈第2の実施例〉以下、本発明の第2の実
施例について図2を参照して説明する。図2は、第2の
実施例の絶縁体薄膜およびその製造方法の工程を説明す
るための要部側面断面図である。
【0034】まず、30cm×20cm(厚さ0.4m
m)のポリエーテルスルフォン基板21(樹脂基板)上
に、スパッタ法を用いてタンタル薄膜22を膜厚が30
〜100nmとなるように形成する(図2(a))。基
板温度を150℃に保ち、アルゴンガスを用いてプラズ
マを生成して、成膜を行った。成膜時の出力は200W
であった。また、成膜を実施する前に、例えば、アルゴ
ンプラズマ中でのプラズマ処理や、高分子材料によるア
ンダーコートの形成等の前処理を行うことも、密着性を
高めるためには有効である。なお、このとき用いたポリ
エーテルスルフォン基板21の連続使用可能温度は20
0℃であった。
【0035】続いて、陽極酸化後にタンタルのまま残し
たい領域にマスク23を形成する(図2(b))。本実
施例ではフォトレジスト(東京応化製OFPR−80
0)を用いて厚さ約2μmのマスク23を形成した。
【0036】次に陽極酸化を行う(図2(c))。タン
タル薄膜22の一端に直流電源の正極側を接続し、接続
電極24付近の一部の領域を除いて試料を1%酒石酸ア
ンモニウム溶液中に浸した。直流電源の負極側にはカー
ボン棒を接続し、タンタル薄膜試料とは10〜20cm
程度の距離を隔てて同じ溶液中に浸した。
【0037】陽極酸化被膜の形成は、反応開始当初は定
電流で行い、所定の電圧まで達した後は定電圧で行っ
た。反応開始時の電流値は1〜10mAの範囲で設定し
た。定電流反応中は、タンタル薄膜22は表面付近から
徐々に酸化され、酸化膜の形成とともに抵抗が増加する
ため電圧も上昇した。また、定電圧反応時の電圧は、酸
化反応が完全に進行し、マスク23で保護した領域を除
いてタンタル領域が薄膜底面に残らないよう、十分な電
圧が必要とされる。このため、薄膜の膜厚によって50
〜200Vの範囲で適当な値を選定した。本実施例で
は、おおよそ形成される酸化タンタル絶縁膜の膜厚2n
mあたり、1Vの電圧が必要であった。
【0038】陽極酸化後、所定の剥離液でマスク23の
剥離を行った。図2(d)に示すように、得られた酸化
タンタル薄膜25は無色透明で非常に緻密な絶縁体薄膜
であった。膜の構造は無孔質であり、耐薬品性にも優れ
ていた。また、マスクで保護されていた領域26はタン
タルが陽極酸化作用を受けずに金属状態のまま残され
た。この領域と電極付近の一部の領域27に陽極酸化作
用を受けなかったタンタルが残されたのを除いて、その
他の領域ではタンタルのまま残された領域は認められな
かった。
【0039】〈第3の実施例〉以下、本発明の第3の実
施例について、図3を参照して説明する。図3は、第3
の実施例の絶縁体薄膜およびその製造方法の工程を説明
するための要部側面断面図である。
【0040】まず、20cm×20cm(厚さ0.25
mm)のポリアリレートフィルム31(樹脂フィルム)
上に、スパッタ法を用いてITO薄膜32を膜厚が50
〜200nmとなるように形成する(図3(a))。続
いて、同じくスパッタ法を用いてタンタル薄膜33を膜
厚が30〜100nmとなるように形成する(図3
(b))。フィルム基板温度を150℃に保ち、アルゴ
ンガスを用いてプラズマを生成して、成膜を行った。成
膜時の出力は150Wであった。また、成膜を実施する
前に、例えば、アルゴンプラズマ中でのプラズマ処理
や、高分子材料によるアンダーコートの形成等の前処理
を行うことも、密着性を高めるためには有効である。な
お、このとき用いたポリアリレートフィルム31の連続
使用可能温度は180℃であった。
【0041】次に陽極酸化を行う(図3(c))。タン
タル薄膜33の一端に直流電源の正極側を接続し、接続
電極34付近の一部の領域を除いて試料を0.5%酒石
酸アンモニウム溶液中に浸し、直流電源の負極側には白
金電極板を接続し、タンタル薄膜試料とは5〜15cm
程度の距離を隔てて、同じ溶液中に浸した。
【0042】陽極酸化被膜の形成は、反応開始当初は定
電流で行い、所定の電圧まで達した後は定電圧で行っ
た。反応開始時の電流値は1〜10mAの範囲で設定し
た。定電流反応中は、タンタル薄膜33は表面付近から
徐々に酸化され、酸化膜の形成とともに抵抗が増加する
ため電圧も上昇した。このとき、ITO薄膜32には陽
極酸化作用による変化は認められなかった。また、定電
圧反応時の電圧は、酸化反応が完全に進行し、タンタル
領域が薄膜底面に残らないよう、十分な電圧が必要とさ
れる。このため、薄膜の膜厚によって50〜200Vの
範囲で適当な値を選定した。本実施例では、おおよそ形
成される酸化タンタル絶縁膜の膜厚2nmあたり1Vの
電圧が必要であった。
【0043】また、本実施例では陽極酸化反応が進んで
も、形成された酸化タンタル薄膜35の下に導電性のI
TO薄膜32が存在するため、タンタルが陽極酸化作用
を受けずに取り残されるのを防ぐことができる。
【0044】図3(d)に示すように、得られた酸化タ
ンタル薄膜35は無色透明で非常に緻密な絶縁体薄膜で
あった。膜の構造は無孔質であり、耐薬品性にも優れて
いた。また、電極付近の一部の領域36に陽極酸化作用
を受けなかったタンタルが残されたのを除き、その他の
領域ではタンタルのまま残された領域は認められなかっ
た。酸化タンタル薄膜35の形成された領域では、酸化
タンタル薄膜35、ITO薄膜32、ポリアリレートフ
ィルム31とも無色透明であるため、可視域で十分な光
透過性を有していた。
【0045】〈第4の実施例〉以下、本発明の第4の実
施例について図4を参照して説明する。図4は、第4の
実施例の絶縁体薄膜およびその製造方法の工程を説明す
るための要部側面断面図である。
【0046】まず、5cm×5cm(厚さ0.4mm)
のポリカーボネート基板41(樹脂基板)上に、スパッ
タ法を用いてアルミニウム薄膜42を膜厚が30〜30
0nmとなるように形成する(図4(a))。基板温度
を120℃に保ち、アルゴンガスを用いてプラズマを生
成して、成膜を行った。成膜時の出力は200Wであっ
た。また、成膜を実施する前に、例えば、アルゴンプラ
ズマ中でのプラズマ処理や、高分子材料によるアンダー
コートの形成等の前処理を行うことも、密着性を高める
ためには有効である。成膜時には、試料の設定位置をタ
ーゲットの直上からややずらし、形成されたアルミニウ
ム薄膜が基板の一端42aで最も厚く、他端42bに近
づくにしたがって徐々に薄くなるように成膜を実施し
た。本実施例では、膜厚の最大となる部分42aと、最
小となる部分42bでは、アルミニウムの膜厚に約10
%の差があった。なお、このとき用いたポリカーボネー
ト基板41の連続使用可能温度は150℃であった。
【0047】次に陽極酸化を行う(図3(b))。アル
ミニウム薄膜42の膜厚が、最大となる方の一端42a
に直流電源の正極側を接続し、接続電極43付近の一部
の領域を除いて、試料を3%ホウ酸アンモニウム溶液中
に浸した。直流電源の負極側にはカーボン棒を接続し、
アルミニウム薄膜試料とは2〜5cm程度の距離を隔て
て同じ溶液中に浸した。
【0048】陽極酸化被膜の形成は、反応開始当初は定
電流で行い、所定の電圧まで達した後は定電圧で行っ
た。反応開始時の電流値は0.1〜3mAの範囲で設定
した。定電流反応中は、アルミニウム薄膜42は表面付
近から徐々に酸化され、酸化膜の形成とともに抵抗が増
加するため電圧も上昇した。また、定電圧反応時の電圧
は、酸化反応が完全に進行し、アルミニウム領域が薄膜
底面に残らないよう、十分な電圧が必要とされる。この
ため、薄膜の膜厚によって50〜500Vの範囲で適当
な値を選定した。本実施例では、おおよそ形成される酸
化アルミニウム絶縁膜の膜厚1.5nmあたり1Vの電
圧が必要であった。
【0049】また、本実施例では電源接続部43から離
れるほどアルミニウム薄膜42の膜厚が薄くなるため、
定電流反応時の電圧の上昇とともに、電源接続部から最
も遠い部分43bから順に反応が終了する。したがっ
て、陽極酸化反応中に他に特別の工夫を施すことなく、
アルミニウム残渣の発生を防ぐことができる。
【0050】図4(c)に示すように、得られた酸化ア
ルミニウム薄膜44は無色透明で非常に緻密な絶縁体薄
膜であった。膜の構造は無孔質であり、耐薬品性にも優
れていた。また、電極付近の一部の領域45に陽極酸化
作用を受けなかったアルミニウムが残されたのを除き、
その他の領域ではアルミニウムのまま残された領域は認
められなかった。
【0051】〈第5の実施例〉以下、本発明の第5の実
施例について、図5を参照して説明する。図5は、第5
の実施例の絶縁体薄膜およびその製造方法の工程を説明
するための要部側面断面図である。
【0052】まず、10cm×10cm(厚さ0.4m
m)のポリエーテルスルフォン基板51(樹脂基板)の
両面に、スパッタ法を用いてタンタル薄膜52aおよび
52bをそれぞれ膜厚が30〜100nmとなるように
形成する(図5(a))。基板温度を150℃に保ち、
アルゴンガスを用いてプラズマを生成して、成膜を行っ
た。成膜時の出力は150Wであった。また、成膜を実
施する前に、例えば、アルゴンプラズマ中でのプラズマ
処理や、高分子材料によるアンダーコートの形成等の前
処理を行うことも、密着性を高めるためには有効であ
る。なお、このとき用いたポリエーテルスルフォン基板
51の連続使用可能温度は、200℃であった。
【0053】次に陽極酸化を行う(図5(b))。タン
タル薄膜52aおよび52bの一端に直流電源の正極側
を接続し、接続電極53aおよび53b付近の一部の領
域を除いて、試料を1%酒石酸アンモニウム溶液中に浸
した。また、直流電源の負極側にはカーボン棒を接続
し、タンタル薄膜試料とは10〜20cm程度の距離を
隔てて同じ溶液中に浸した。
【0054】陽極酸化被膜の形成は、反応開始当初は定
電流で行い、所定の電圧まで達した後は定電圧で行っ
た。反応開始時の電流値1〜5mAの範囲で設定した。
定電流反応中は、タンタル薄膜52aおよび52bはそ
れぞれ表面付近から徐々に酸化され、酸化膜の形成とと
もに抵抗が増加するため電圧も上昇した。また、定電圧
反応時の電圧は、酸化反応が完全に進行し、タンタル領
域が薄膜底面に残らないよう、十分な電圧が必要とされ
る。このため、薄膜の膜厚によって50〜200Vの範
囲で適当な値を選定した。本実施例では、おおよそ形成
される酸化タンタル絶縁膜の膜厚2nmあたり1Vの電
圧が必要であった。
【0055】図5(c)に示すように、得られた酸化タ
ンタル薄膜54aおよび54bは無色透明で非常に緻密
な絶縁体薄膜であった。膜の構造は無孔質であり、耐薬
品性にも優れていた。また、電極付近の一部の領域55
aおよび55bに陽極酸化作用を受けなかったタンタル
が残されたのを除いて、その他の領域ではタンタルのま
ま残された領域は認められなかった。また、本実施例で
は基板51の両面に酸化タンタル薄膜54aおよび54
bを同時に形成しているため、膜中のストレスによる試
料の反りを抑えることができた。
【0056】〈第6の実施例〉以下、本発明の第6の実
施例について、図6を参照して説明する。図6は、第6
の実施例の絶縁体薄膜およびその製造方法の工程を説明
するための要部側面断面図である。
【0057】まず、10cm×10cm(厚さ0.4m
m)のポリエーテルイミド基板61(樹脂基板)上に、
スパッタ法を用いてタンタル薄膜62を膜厚が30〜1
00nmとなるように形成する(図6(a))。基板温
度を150℃に保ち、アルゴンガスを用いてプラズマを
生成して、成膜を行った。成膜時の出力は150Wであ
った。また、成膜を実施する前に、例えば、アルゴンプ
ラズマ中でのプラズマ処理や、高分子材料によるアンダ
ーコートの形成等の前処理を行うことも、密着性を高め
るためには有効である。成膜時には、試料の設定位置を
ターゲットの直上からややずらして回転させつつ成膜を
行うことで、形成されたタンタル薄膜が基板の端部62
aで最も厚く、中央部62bに近づくにしたがって徐々
に薄くなるように成膜を実施した。本実施例では、膜厚
の最大となる端部62aと、最小となる中央部分62b
では、タンタルの膜厚に約10%の差があった。なお、
このとき用いたポリエーテルイミド基板61の連続使用
可能温度は200℃であった。
【0058】続いて、陽極酸化後にタンタルのまま残し
たい領域にマスク63を形成する(図6(b))。本実
施例では、基板端部のタンタルを試料の周囲に枠状に残
すような形でマスクを形成した。ただし、電極64を接
続する部分62cだけは、マスクで被覆していない。ま
た、本実施例では、フォトレジスト(東京応化製OFP
R−800)を用いて厚さ約2.5μmのマスク63を
形成した。
【0059】次に陽極酸化を行う(図6(c))。タン
タル薄膜62の一端62cに直流電源の正極側を接続
し、接続電極64付近の一部の領域を除いて試料を1%
酒石酸アンモニウム溶液中に浸した。直流電源の負極側
にはカーボン棒を接続し、タンタル薄膜試料とは5〜1
0cm程度の距離を隔てて同じ溶液中に浸した。
【0060】陽極酸化被膜の形成は、反応開始当初は定
電流で行い、所定の電圧まで達した後は定電圧で行っ
た。反応開始時の電流値は0.5〜5mAの範囲で設定
した。定電流反応中は、タンタル薄膜62は表面付近か
ら徐々に酸化され、酸化膜の形成とともに抵抗が増加す
るため電圧も上昇した。また、定電圧反応時の電圧は、
酸化反応が完全に進行し、マスク63で保護した領域を
除いてタンタル領域が薄膜底面に残らないよう、十分な
電圧が必要とされる。このため、薄膜の膜厚によって5
0〜200Vの範囲で適当な値を選定した。本実施例で
は、おおよそ形成される酸化タンタル絶縁膜の膜厚2n
mあたり1Vの電圧が必要であった。
【0061】また、本実施例では、膜厚の最も厚い基板
端部分62aはすべてマスク63により被覆され、しか
もタンタルがマスクの保護により陽極酸化作用を受けな
いため、反応中、常に電極64と電気的に接続された状
態を保つことができる。この結果、定電流反応時の電圧
の上昇とともに、タンタルの膜厚が最も薄い基板中央部
分62bから、最も厚い周辺のマスク63で保護された
領域に向かって、順に反応が終了する。したがって、陽
極酸化反応中に他に特別の工夫を施すことなく、タンタ
ル残渣の発生を防ぐことが可能である。
【0062】陽極酸化後、所定の剥離液でマスク63の
剥離を行った。図6(d)に示すように、得られた酸化
タンタル薄膜65は無色透明で非常に緻密な絶縁体薄膜
であった。膜の構造は無孔質であり、耐薬品性にも優れ
ていた。また、マスクで保護されていた領域66はタン
タルが陽極酸化作用を受けずに金属状態のまま残され
た。この領域と電極付近の一部の領域67に陽極酸化作
用を受けなかったタンタルが残されたのを除いて、その
他の領域ではタンタルのまま残された領域は認められな
かった。
【0063】〈第7の実施例〉以下、本発明の第7の実
施例について、図7を参照して説明する。図7は、第7
の実施例の絶縁体薄膜およびその製造方法の工程を説明
するための要部側面断面図である。
【0064】まず、10cm×10cm(厚さ0.5m
m)のポリカーボネート基板71(樹脂基板)上に、ス
パッタ法を用いてアルミニウム薄膜72を膜厚が100
〜1000nmとなるように形成する(図7(a))。
基板温度を120℃に保ち、アルゴンガスを用いてプラ
ズマを生成して、成膜を行った。成膜時の出力は200
Wであった。また、成膜を実施する前に、例えば、アル
ゴンプラズマ中でのプラズマ処理や、高分子材料による
アンダーコートの形成等の前処理を行うことも、密着性
を高めるためには有効である。なお、このとき用いたポ
リカーボネート基板71の連続使用可能温度は150℃
であった。
【0065】次に陽極酸化を行い、表面付近の膜厚50
〜500nmのみ多孔質の酸化アルミニウムを形成する
(図7(b))。アルミニウム薄膜72の一端に直流電
源の正極側を接続し、接続電極73付近の一部の領域を
除いて試料を10%クロム酸溶液中に浸した。直流電源
の負極側にはカーボン棒を接続し、アルミニウム薄膜試
料とは3〜5cm程度の距離を隔てて同じ溶液中に浸し
た。
【0066】陽極酸化被膜の形成は、電圧40Vで行
い、電流値は30〜300mAの範囲で設定した。ここ
では多孔質の酸化アルミニウム薄膜74aが形成される
ため、時間の経過とともに酸化膜の膜厚が増大する。本
実施例では5〜50nm/分の速度で多孔質の酸化アル
ミニウム薄膜が、変換されなかったアルミニウム72a
の表面に形成された。
【0067】続けて、残ったアルミニウム薄膜72aを
無孔質の酸化アルミニウム薄膜74bに変換する(図7
(c))。電解液を3%リン酸アンモニウム溶液とし、
接続電極73付近の一部の領域を除いて試料を溶液中に
浸した。直流電源の負極側にはカーボン棒を接続し、ア
ルミニウム薄膜試料とは3〜5cm程度の距離を隔てて
同じ溶液中に浸した。
【0068】陽極酸化被膜の形成は、反応開始当初は定
電流で行い、所定の電圧まで達した後は定電圧で行っ
た。反応開始時の電流値は1〜10mAの範囲で設定し
た。定電流反応中は、アルミニウム薄膜72aは酸化ア
ルミニウム74aとの界面付近から徐々に酸化され、酸
化膜の形成とともに抵抗が増加するため電圧も上昇し
た。また、定電圧反応時の電圧は、酸化反応が完全に進
行し、アルミニウム領域が薄膜底面に残らないよう、十
分な電圧が必要とされる。このため、薄膜の膜厚によっ
て50〜500Vの範囲で適当な値を選定した。本実施
例では、おおよそ形成される酸化アルミニウム絶縁膜の
膜厚1.5nmあたり、1Vの電圧が必要であった。
【0069】図7(d)に示すように、得られた酸化ア
ルミニウム薄膜74a、74bは無色透明であった。多
孔質の酸化アルミニウム74aは、膜の表面積が大きい
ため、その後に成膜した薄膜との密着性に優れていた。
また、無孔質の酸化アルミニウム薄膜74bは非常に緻
密な絶縁体薄膜であり、耐薬品性にも優れていた。ま
た、電極付近の一部の領域75に陽極酸化作用を受けな
かったアルミニウムが残されたのを除き、その他の領域
ではアルミニウムのまま残された領域は認められなかっ
た。
【0070】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、金属薄
膜を完全に陽極酸化することにより絶縁体薄膜を形成す
るため、基板またはフィルム上に、緻密で薬品等に対す
る耐性の強い絶縁体薄膜を、低温で形成することが可能
である。また、所望の領域のみマスクで被覆して陽極酸
化を行うことにより、金属薄膜として用いたい領域のみ
を残し、その他の領域に前記絶縁体薄膜を形成すること
も可能である。
【0071】また、本発明によれば、前記金属薄膜と基
板もしくはフィルムとの間に、陽極酸化作用を受けない
第2の金属薄膜をあらかじめ形成することにより、陽極
酸化すべき前記金属薄膜が未反応状態のまま残されるの
を防ぐことができる。この際、第2の金属薄膜に光透過
性を有する導電性材料を用いることにより、前記絶縁体
薄膜が形成された領域の光透過性を損なうのを防ぐこと
ができる。
【0072】また、本発明によれば、陽極酸化すべきす
べての領域に対し、電源に接続された電極との接続部、
もしくはこれに電気的に接続する、マスクに被覆された
領域まで、膜厚が単調に増加しつつ到達できる経路を有
するように前記金属薄膜の膜厚に分布を持たせることに
より、陽極酸化すべき前記金属薄膜が未反応状態のまま
残されるのを防ぐことができる。
【0073】さらに、本発明によれば、前記絶縁体薄膜
を基板もしくはフィルムの両面に形成することにより、
膜のストレスによる試料の反りを防ぐことが可能とな
り、薬液やプラズマに対する耐性、ガスバリア等の機能
面からも有利な絶縁体薄膜を形成することが可能とな
る。この場合の陽極酸化反応は、工程の短縮化だけでな
く、反りの発生を抑える意味からも、両面同時に行うこ
とが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の絶縁体薄膜およびその製造方法
の工程を説明するための要部側面断面図である。
【図2】第2の実施例の絶縁体薄膜およびその製造方法
の工程を説明するための要部側面断面図である。
【図3】第3の実施例の絶縁体薄膜およびその製造方法
の工程を説明するための要部側面断面図である。
【図4】第4の実施例の絶縁体薄膜およびその製造方法
の工程を説明するための要部側面断面図である。
【図5】第5の実施例の絶縁体薄膜およびその製造方法
の工程を説明するための要部側面断面図である。
【図6】第6の実施例の絶縁体薄膜およびその製造方法
の工程を説明するための要部側面断面図である。
【図7】第7の実施例の絶縁体薄膜およびその製造方法
の工程を説明するための要部側面断面図である。
【図8】実施例の絶縁体薄膜を形成する陽極酸化の工程
を説明するための装置構成の概略図である。
【符号の説明】
11、21、41、51、61、71 樹脂基板 12、22、33、42、52a、52b、62、7
2、72a 金属薄膜 13、24、34、43、53a、53b、64、73
電源接続電極 14、25、35、44、54a、54b、65 絶縁
体薄膜 15、27、36、45、55a、55b、67、75
電極付近の陽極酸化作用を受けずに残った金属領域 23、63 マスク 26、66 マスクの被覆により陽極酸化作用を受けず
に残った金属領域 31 樹脂フィルム 32 第2の金属薄膜 42a、62a 金属薄膜(膜厚最大部) 42b、62b 金属薄膜(膜厚最小部) 62c 金属薄膜(電極接続部) 74a 多孔質の絶縁体薄膜 74b 無孔質の絶縁体薄膜 81 試料 82 電解液 83 対向電極(陰極) 84 電源接続電極 85 電源 86 電流計 87 電圧計

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂基板もしくは樹脂フィルム上に、金
    属薄膜を形成する工程と、該薄膜を陽極酸化法により絶
    縁体薄膜とする工程とを含む絶縁体薄膜の製造方法にお
    いて、前記金属薄膜の形状を加工することなく、かつ、
    酸化のために接続された電極近傍を除くすべての金属薄
    膜を、金属部分を残すことなく陽極酸化して形成するこ
    とを特徴とする絶縁体薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 樹脂基板もしくは樹脂フィルム上に、金
    属薄膜を形成する工程と、該薄膜を陽極酸化法により絶
    縁体薄膜とする工程とを含む絶縁体薄膜の製造方法にお
    いて、前記金属薄膜の形成工程と絶縁体薄膜の形成工程
    との間に、金属薄膜として残すことを所望する領域にマ
    スクを形成する工程を具備し、前記金属薄膜の形状を加
    工することなく、かつ、前記マスクにより被覆された領
    域と酸化のために接続された電極近傍を除くすべての金
    属薄膜を、金属部分を残すことなく陽極酸化して形成す
    ることを特徴とする絶縁体薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の絶縁体薄膜の製
    造方法において、樹脂基板もしくは樹脂フィルム上に、
    金属薄膜を形成する工程以前に、前記基板もしくはフィ
    ルムと金属薄膜との間に、陽極酸化を受けない導電体材
    料から成る第2の金属薄膜を形成する工程を具備するこ
    とを特徴とする絶縁体薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3記載の絶縁体薄膜の形成
    工程において、前記金属薄膜の陽極酸化されるすべての
    領域が、前記電極またはマスクにより被覆された領域に
    対し、金属薄膜の膜厚が単調に増加しつつ連結されてお
    り、かつ、該連結部分から離れた金属薄膜領域より陽極
    酸化工程が終了することを特徴とする絶縁体薄膜の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 絶縁体薄膜の形成工程において、前記金
    属薄膜の表面付近のみを多孔質の絶縁体薄膜に変換する
    工程と、前記金属薄膜のその他のすべての部分を無孔質
    の絶縁体薄膜に変換する工程とを含むことを特徴とする
    絶縁体薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5記載の絶縁体薄膜の製造
    方法により形成された絶縁体薄膜であって、透明な樹脂
    基板もしくは樹脂フィルム上に絶縁体薄膜が形成された
    領域は、光透過性を有することを特徴とする絶縁体薄
    膜。
  7. 【請求項7】 請求項3記載の絶縁体薄膜の製造方法に
    より形成された絶縁体薄膜であって、透明な樹脂基板も
    しくは樹脂フィルム上の前記第2の金属薄膜が光透過性
    を有し、かつ、少なくとも前記絶縁体薄膜が形成された
    領域は光透過性を有することを特徴とする絶縁体薄膜。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至5記載の絶縁体薄膜の製造
    方法により形成された絶縁体薄膜であって、樹脂基板も
    しくは樹脂フィルムの両面に形成されることを特徴とす
    る絶縁体薄膜。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至5記載の絶縁体薄膜の製造
    方法により形成された絶縁体薄膜であって、前記絶縁体
    薄膜は、その主たる部分が無孔質であることを特徴とす
    る絶縁体薄膜。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至5記載の絶縁体薄膜の製
    造方法により形成された絶縁体薄膜であって、前記絶縁
    体薄膜は、その表面付近のみが多孔質であり、その他の
    部分はすべて無孔質であることを特徴とする絶縁体薄
    膜。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002268584A (ja) * 2001-03-13 2002-09-20 Sumitomo Bakelite Co Ltd アクティブマトリックス型表示用プラスチック基板
JP2002268583A (ja) * 2001-03-13 2002-09-20 Sumitomo Bakelite Co Ltd アクティブマトリックス型表示用プラスチック基板
JP2006024500A (ja) * 2004-07-09 2006-01-26 Gunze Ltd 透明面状発熱体及びその製造方法

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JP2002268584A (ja) * 2001-03-13 2002-09-20 Sumitomo Bakelite Co Ltd アクティブマトリックス型表示用プラスチック基板
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