JPH11167918A - 非水二次電池用負極材料とその製造方法および電池 - Google Patents

非水二次電池用負極材料とその製造方法および電池

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JPH11167918A
JPH11167918A JP9333079A JP33307997A JPH11167918A JP H11167918 A JPH11167918 A JP H11167918A JP 9333079 A JP9333079 A JP 9333079A JP 33307997 A JP33307997 A JP 33307997A JP H11167918 A JPH11167918 A JP H11167918A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い放電電圧、良好な充放電サイクル特性を持
ち、更に安全性が優れ、高エネルギー密度を有する非水
二次電池を提供する。 【解決手段】錫、亜鉛、鉛、ゲルマニウム、珪素から選
ばれる元素の少なくとも1種を含有する酸化物に窒素を
導入して成るオキシナイトライド化合物である非水二次
電池用負極材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高放電電位、高容
量でサイクル性、保存性が良く、且つ安全性に優れた新
規な非水二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】非水二次電池用負極材料としては、リチ
ウム金属やリチウム合金が代表的であるが、それらを用
いると充放電中にリチウム金属が樹枝状に成長したいわ
ゆるデンドライトが発生し、内部ショートの原因あるい
はデンドライト自体の持つ高い活性のため、発火などの
危険をはらんでいた。
【0003】これに対し、リチウムを可逆的に挿入・放
出可能な焼成炭素質材料が実用化されるようになってき
た。この炭素質材料の欠点は、それ自体が導電性を持つ
ので、過充電や急速充電の際に炭素質材料の上にリチウ
ム金属が析出する事があり、結局樹枝状金属を析出させ
てしまうことになる。これを避けるために、充電器を工
夫したり、正極活物質を少なくして過充電を防止する方
法を採用したりしているが、後者の方法では、活物質あ
たりの量が限定されるのでそのため放電容量も限定され
てしまう。また炭素質材料は密度が比較的小さいため、
体積当たりの容量が低いという二重の意味で放電容量が
制限されてしまうことになる。
【0004】一方、リチウム金属、リチウム合金、炭素
質材料以外で高放電容量の期待できる負極材料として、
特開平5−174818号公報、同6−60867号公
報、同6−275267号公報、同6−325765号
公報、同6−338324号公報、EP−615296
号等には、負極材料にSn、V、Si、B、Zrなどを
含む複合酸化物を用いることが提案されている。これら
の複合酸化物は、ある種のリチウムを含む遷移金属化合
物の正極と組合せにより、3〜3.6V級で放電容量の
大きな非水二次電池を与え、実用領域でデンドライト発
生がほとんどなく極めて安全性が高いものである。しか
し、更なるサイクル性の向上を実現する為には、脆性物
質である該複合酸化物の物理強度を一段と強いものにす
ることが望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高い
放電電圧、良好な充放電サイクル特性を持ち、更に安全
性が優れ、高エネルギー密度を有する非水二次電池を得
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、錫、亜
鉛、鉛、ゲルマニウム、珪素から選ばれる元素の少なく
とも1種を含有する酸化物に窒素を導入して成るオキシ
ナイトライド化合物であることを特徴とする非水二次電
池用負極材料よって達成された。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明の好ましい態様を示
すが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (1)錫、亜鉛、鉛、ゲルマニウム、珪素から選ばれる
元素の少なくとも1種を含有する酸化物に窒素を導入し
て成るオキシナイトライド化合物であることを特徴とす
る非水二次電池用負極材料。 (2)項1のオキシナイトライド化合物が非晶質である
ことを特徴とする非水二次電池用負極材料。 (3)下記一般式(1)で表されるSnを含むオキシナ
イトライド化合物を負極とする項1記載の負極材料。 一般式(1) SnMp q r s 式中、MはAl、B、P、Si、Geの群から選ばれる
元素の少なくとも1種を、Aは周期律表第一族元素、第
二族元素の群から選ばれる元素の少なくとも一種を表
し、p は0.2以上、3以下の数、q は0以上0.2以
下の数、rは1以上6以下の数、sは0.005以上、
0.6以下の数を表す。 (4)下記一般式(2)で表されるSnを含むオキシナ
イトライド化合物を負極とする項3記載の負極材料。 一般式(2) SnSip1p2p3Alp4q r s Aは周期律表第一族元素、第二族元素の群から選ばれる
元素の少なくとも一種を表し、式中、p1、p2、p3
はそれぞれ0以上、2以下でその合計が0.2以上3以
下の数であり、q は0以上0.2以下の数、rは1以上
6以下の数、sは0.005以上、0.6以下の数を表
す。 (5)基礎酸化物と窒化物とを溶融して調製してなる、
項1記載の負極材料の製造方法。 (6)基礎酸化物を窒素及び/もしくはアンモニアガス
雰囲気下で加熱して成る、項1記載の負極材料の製造方
法。 (7)項1から4に記載のオキシナイトライド化合物を
負極に用いた非水二次電池。 (8)項5または6の製造方法により製造したオキシナ
イトライド化合物を負極に用いた非水二次電池。 (9)正極材料に、リチウムと遷移金属の複合酸化物を
用いた、項6〜8に記載の非水二次電池。
【0008】以下、本発明について詳述する。本発明に
於けるオキシナイトライド化合物の一般的な性質につい
ては、作花著「オキシナイトライドガラス」内田老鶴
圃、ニューガラスハンドブック編集委員会編「ニューガ
ラスハンドブック」に記載されている。本発明の化合物
は錫、亜鉛、鉛、ゲルマニウム、珪素から選ばれる元素
の少なくとも1つを含有するが、このなかでも錫、鉛を
含有するものが好ましく、錫を含有するものが最も好ま
しい。本発明の化合物は上記の元素以外に任意の元素を
含むことができるが、このなかでも、燐、朋素、アルミ
ニウム、ジルコニウムの他、アルカリ、アルカリ土類金
属が好ましく用いられる。
【0009】基礎酸化物に対して窒素置換の割合は任意
であるが、窒素/酸素の原子比で0.01〜30%、好
ましくは1〜15%の窒素が含有する。
【0010】本発明で言う負極材料は電池組み込み時に
主として非晶質である。ここで言う主として非晶質とは
CuKα線を用いたX線回折法で2θ値で20°から4
0°に頂点を有するブロードな散乱帯を有する物であ
り、結晶性の回折線を有してもよい。好ましくは2θ値
で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線の内
最も強い強度が、2θ値で20°以上40°以下に見ら
れるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の500倍以
下であることが好ましく、さらに好ましくは100倍以
下であり、特に好ましくは5倍以下であり、最も好まし
くは 結晶性の回折線を有さないことである。
【0011】本発明のオキシナイトライド化合物は基礎
酸化物(窒素を含有しない酸化物を基礎酸化物という)
と窒化物との溶融により調製することも出来るし、また
窒化物と基礎酸化物の原料とを混合し一工程で溶融して
調製することも出来る。また基礎酸化物ガラスの粉体を
アンモニアガス中で加熱して調製することも出来る。
【0012】本発明の基礎酸化物は、溶融法、溶液法の
いずれの方法も採用することができる。以下、溶融法を
例にとって合成法を詳細に説明する。溶融法では、目標
組成となるように配合された酸化物あるいは化合物をよ
く混合した後、溶融して非晶質複合酸化物を得るのが好
ましい。溶融法での原料となる化合物、溶融の条件につ
いて以下に述べる。
【0013】Sn化合物としては、例えば、SnO、水
酸化第一錫、亜錫酸、蓚酸第一錫、燐酸第一錫、オルト
錫酸、メタ錫酸、パラ錫酸、弗化第一錫、塩化第一錫、
臭化第一錫、沃化第一錫、セレン化錫、テルル化錫、ピ
ロリン酸第一錫、リン化錫、硫化第一錫等を挙げること
ができる。
【0014】周期律表第1族元素、第2族元素、第3族
元素の化合物としては、酸化物、水酸化物、ハロゲン化
物、酢酸やシュウ酸等の有機酸の塩、塩酸や燐酸等の無
機酸の塩を挙げることができる。Mg化合物を例として
挙げると、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、酸化
マグネシウム、蓚酸マグネシウム、水酸化マグネシウ
ム、錫酸マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム、フッ
化マグネシウム、ホウフッ化マグネシウム、リン酸マグ
ネシウムなどを用いることができる。
【0015】Al化合物としては、例えば、酸化アルミ
ニウム(α−アルミナ、β−アルミナ)、ケイ酸アルミ
ニウム、アルミニウムトリ−iso−プロポキシド、亜
テルル酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ホウ化アル
ミニウム、リン化アルミニウム、リン酸アルミニウム、
乳酸アルミニウム、ほう酸アルミニウム、硫化アルミニ
ウム、硫酸アルミニウム、ホウ化アルミニウム等を挙げ
ることができる。B化合物としては、例えば、三二酸化
ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、炭化ホウ素、ホ
ウ酸、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸ト
リプロピル、ホウ酸トリブチル、リン化ホウ素、リン酸
ホウ素等を挙げることができる。P化合物としては、例
えば、五酸化リン、オキシ塩化リン、五塩化リン、三塩
化リン、三臭化リン、トリメチルリン酸、トリエチルリ
ン酸、トリプロピルリン酸、ピロリン酸第一錫、リン酸
ホウ素等を挙げることができる。Si化合物としては、
酸化ケイ素を挙げることができる。
【0016】基礎酸化物の原料と窒化物とを混合して一
工程で溶融し、N元素を含む酸化物を得る場合の窒化物
としては任意のものが使用できるが、例えば窒化朋素、
窒化アルミニニウム、窒化珪素、窒化マグネシウム、窒
化リチウム、Si2 ON2 などが挙げられる。
【0017】溶融条件としては、昇温速度として昇温速
度毎分1℃以上200℃以下であることが好ましく、さ
らに好ましくは3℃以上200℃以下である。とくに好
ましくは5℃以上200℃以下であり、かつ溶融温度と
しては500℃以上1700℃以下であることが好まし
く、さらに好ましくは600℃以上1600℃以下であ
り、とくに好ましくは700℃以上1500℃以下であ
り、かつ溶融時間としては1時間以上100時間以下で
あることが好ましく、さらに好ましくは1時間以上70
時間以下であり、とくに好ましくは1時間以上20時間
以下であり、かつ降温速度としては毎分2℃以上107
℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは5℃以
上107 ℃以下であり、特に好ましくは10℃以上10
7 ℃以下である。本発明における昇温速度とは溶融温度
(℃表示)の50%から、溶融温度(℃表示)の80%
に達するまでの温度上昇の平均速度であり、本発明にお
ける降温速度とは溶融温度(℃表示)の80%から、溶
融温度(℃表示)の50%に達するまでの温度降下の平
均速度である。降温は焼成炉中で冷却してもよくまた溶
融炉外に取り出して、例えば水中に投入して冷却しても
よい。またセラミックスプロセッシング(技報堂出版1
987)217頁記載のgun法・Hammer−An
vil法・slap法・ガスアトマイズ法・プラズマス
プレー法・遠心急冷法・melt drag法などの超
急冷法を用いることもできる。またニューガラスハンド
ブック(丸善1991)172頁記載の単ローラー法、
双ローラ法を用いて冷却してもよい。溶融する材料の場
合には、溶融中に原料を供給しつつ溶融物を連続的に取
り出してもよい。融液は攪拌することが好ましい。
【0018】基礎酸化物ガラスを溶融する際のガス雰囲
気は不活性ガスを主体とする。不活性ガスとしては例え
ば窒素、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、キセノン等
が挙げられる。これらの不活性ガスに加えて溶融物の酸
化還元状態を制御する為のガスを流すことも好ましい。
これらのガスとしては、水蒸気、水素、二酸化炭素、一
酸化炭素があり、これらの組合せで用いられる。機能元
素としてSnを含有する基礎酸化物ガラスの溶融におい
ては、特に溶融温度での雰囲気ガスの酸素分圧を10-9
から10-14 atm、好ましくは10-1 0 から10-12
atmとすることが好ましい。基礎酸化物ガラスと窒化
物とを再溶融する際のガス雰囲気は、不活性ガスが好ま
しく、特に窒素ガスが好ましい。
【0019】基礎酸化物ガラスの融液上の雰囲気ガスを
アンモニアガスとすることで、基礎酸化物ガラスに窒素
元素を導入することも出来る。この場合、融液を攪拌す
ることが好ましい。
【0020】次に溶液法について述べる。溶液法で基礎
酸化物ガラス粉末を調製するには、ゾルゲル法でバルク
ガラスを調製した後、これを粉砕してガラス粉末を得る
ことも出来るし、また反応で直接酸化物粉体を得ること
も出来る。溶液法による基礎酸化物の調製法については
特願平9−148144号、及び特願平9−27022
0号に記載されている。
【0021】溶液法で用いる場合の好ましい原料として
は、例えばテトラエトキシ錫、ジイソプロピル錫、ジエ
トキシ錫、ジエトキシ鉛、ジイソプロピル鉛、ジエトキ
シ亜鉛、テトラメトキシ珪素、トリメトキシホウ素、ト
リメトキシホスフィン、セシウムアルコキサイド等のア
ルコキサイドの他、塩化錫、塩化鉛、塩化亜鉛、水ガラ
ス等の塩も用いることができる。
【0022】本発明のオキシナイトライド化合物の調製
法として基礎酸化物ガラス粉末をアンモニアガス雰囲気
下で加熱する調製法を取る場合、基礎酸化物は溶融法で
調製しても良いが、溶液法で調製したものがより好まし
い。
【0023】本発明で示される化合物の平均粒子サイズ
は0.1〜60μmが好ましい。所定の粒子サイズにす
るには、良く知られた粉砕機や分級機が用いられる。例
えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミ
ル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェ
ットミルや篩などが用いられる。粉砕時には水、あるい
はメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要
に応じて行うことができる。粉砕した粒子を所望の粒径
とするために、分級を行うことが好ましい。分級方法と
しては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応
じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用い
ることができる。
【0024】本発明で示される化合物粒子は、真空中ま
たは窒素、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、キセノン
等の不活性ガス中でアニール処理することができる。ア
ニール処理の温度は、100℃以上で粉砕した粒子同志
が融着を起こす温度以下であることが好ましく、更に好
ましくは200〜600℃であり、最も好ましくは30
0〜500℃である。
【0025】一般式(1)から(3)で示される化合物
例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。 SnSiAl0.2 3.0.06、SnSi1.2 Al0.2
3.6 0.07、SnSi1.2 0.1 0.1 Al0.2 3.6
0.07、SnSiB0.25Al0.2 3.6 0.07、SnS
0.630.250.38Al0.253.7 0.07、SnSiP
0.1 0.1 Al0.4 3.9 0.07、SnSiB0.25Al
0.2 Zr0.053.670.073 、SnSiB0.26Al0.20
Li0.103.6 0.07SnSiB0.25Al0.2 Mg0.1
3.7 0.07SnSi1.2 0.1 0.1 Al0.1 Zr
0.053.9 0.08SnSi 0.2 0.4 Al0.4 Mg0.2
3.7 0.05SnP0.6 Al0.6 Li0.2 3.6 0.07
SnSiB0.25Al0.3 Li0.2 3.8 0.11SnSi
0.25Al0.2 Zr 0.05Li0.053.6 0.11SnSi
1.2 0.25Mg0.053.7 0.11、ZnSi1.2 Zr
0.053.4 0.1 、ZnSi1.2 Mg0.05
3.3 0.10、ZnSi1.2 0.1 Li0.2
3.5 0.1 、PbSiB0.3 3.4 0.034 、PbSi
0.1 Al0.1 0.330.03
【0026】本発明の負極材料には軽金属、特にリチウ
ムを挿入して用いることができる。リチウムの挿入方法
には、電気化学的方法、化学的方法、熱的方法等があ
る。好ましい方法野一つは電気化学的方法であり、例え
ば集電体の負極合剤の未塗布部や負極合剤層上にリチウ
ムを主体とした金属の小片を貼り付け、電解液と接触さ
せることによって挿入できる。特に電池内で電気化学的
にリチウムを挿入する方法が好ましい。リチウムを主体
とした金属の小片は、厚みが5〜200μmの箔を短冊
状等の小片にして貼り付けるのが好ましい。
【0027】リチウムの挿入は、リチウムを対極とした
ときに0.01Vまで挿入することができ、より好まし
くは0.05Vまで挿入できる。特に好ましい方法は、
負極材料の有する不可逆容量を補償するためにリチウム
を部分的に挿入する方法であり、リチウムを対極とした
ときに0.3Vまで挿入する方法である。より具体的な
リチウムの挿入量としては、負極材料1g当たり0.0
05g〜0.5g、より好ましくは0.03g〜0.2
g、特に好ましくは0.06g〜0.15gである。負
極材料が金属酸化物の場合は、金属酸化物中の機能元素
1グラム原子当たりの当量で0.5〜5.0当量であ
り、さらに好ましくは1〜4.5当量であり、特に好ま
しくは1.2〜4.2当量である。1.2当量よりも少
ないリチウムを負極材料に予備挿入した場合には電池容
量が低く、また4.2当量より多くのリチウムを予備挿
入した場合にはサイクル性劣化があり、それぞれ好まし
くない。リチウム挿入量は、負極シート上に重ね合せる
リチウムの量によって任意に制御することが可能であ
る。リチウムを主体とした金属としてはリチウム金属を
用いることが好ましいが、純度90重量%以上のものが
好ましく、98重量%以上のものが特に好ましい。負極
シート上のリチウムの重ね合せパターンとしてはシート
全面に重ね合わせることが好ましいが、負極材料に予備
挿入されたリチウムはエージングによって徐々に負極材
料中に拡散するため、シート全面ではなくストライプ、
枠状、円板状のいずれかの部分的重ね合わせも好まし
い。ここで言う重ね合せとは負極合剤および補助層を有
するシート上に直接リチウムを主体とした金属箔を圧着
することを意味する。負極シートにおける金属箔重ね合
せの被覆率は10〜100%が好ましいが、15〜10
0%がより好ましく、20〜100%が特に好ましい。
20%以下の場合は、リチウムの予備挿入が不均一とな
る場合もあり好ましくない。さらに、均一性の観点から
リチウムを主体とした金属箔の厚さは5〜150μmで
あることが好ましく、5〜100μmがさらに好まし
く、10〜75μmが特に好ましい。リチウムを主体と
した金属箔の切断、貼り付け等のハンドリング雰囲気は
露点−30℃以下−80℃以上のドライエアー又はアル
ゴンガス雰囲気下が好ましい。ドライエアーの場合は−
40℃以下−80℃以上がさらに好ましい。また、ハン
ドリング時には炭酸ガスを併用してもよい。特にアルゴ
ンガス雰囲気の場合は炭酸ガスを併用することが好まし
い。
【0028】本発明の負極材料へのLi予備挿入のもう
一つの好ましい方法は、特願平9−179943号記載
の金属リチウムの含チッソ溶媒溶液で負極材料を処理す
る方法である。特に液体アンモニア溶液が好ましく用い
られる。
【0029】以下、本発明の負極材料を用いて、非水二
次電池を作るための他の材料と、製造方法について詳述
する。本発明の非水二次電池に用いられる正・負極は、
正極合剤あるいは負極合剤を集電体上に塗設して作るこ
とが出来る。正極あるいは負極合剤には、それぞれ正極
活物質あるいは負極材料のほか、それぞれに導電剤、結
着剤、分散剤、フィラー、イオン導電剤、圧力増強剤や
各種添加剤を含むことができる。これらの電極は、円盤
状、板状であってもよいが、柔軟性のあるシート状であ
るとより好ましい。
【0030】以下に本発明の電極合剤に使用される材料
について説明する。本発明で用いられる正極活物質は、
リチウム含有遷移金属酸化物が好ましい。リチウム含有
遷移金属酸化物は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、C
o、Ni、Mo、Wから選ばれる少なくとも1種の遷移
金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であっ
て、リチウムと遷移金属のモル比が0.3乃至2.2の
化合物である。より好ましくは、V、Cr、Mn、F
e、Co、Niから選ばれる少なくとも1種の遷移金属
元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、
リチウムと遷移金属のモル比が0.3乃至2.2の化合
物である。なお主として存在する遷移金属に対し30モ
ルパーセント未満の範囲でAl、Ga、In、Ge、S
n、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを含有してい
ても良い。さらに好ましいリチウム含有遷移金属酸化物
は、Lix CoO2 、Lix NiO2 、Lix MnO
2 、Lix Coa Ni1-a 2 、Lix Cob 1-b
z 、Lix Cob Fe1-b 2 、Lix Mn24 、L
x Mnc Co2-c 4 、Lix Mnc Ni2-c 4
Lix Mnc 2-c 4 、Lix Mnc Fe2-c
4(ここでx=0.02〜1.2、a=0.1〜0.
9、b=0.8〜0.98、c=1.6〜1.96、z
=2.01〜2.3)である。最も好ましいリチウム含
有遷移金属酸化物としては、Lix CoO2 、Lix
iO2 、Lix MnO2 、Lix Coa Ni1-a 2
Lix Mn24 、Lix Cob 1-b z (x=0.
02〜1.2、a=0.1〜0.9、b=0.9〜0.
98、z=2.01〜2.3)があげられる。なおxの
値は充放電開始前の値であり、充放電により増減する。
【0031】本発明で用いる正極活物質は、リチウム化
合物と遷移金属化合物を混合、焼成する方法や溶液反応
により合成することができるが、特に焼成法が好まし
い。また、溶液法で構成成分が均一に混合した先駆体を
焼成することにより合成するのも好ましい。焼成の為の
詳細は、特開平6−60,867号の段落35、特開平
7−14,579号等に記載されており、これらの方法
を用いることができる。焼成によって得られた正極活物
質は水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤にて
洗浄した後使用してもよい。更に、遷移金属酸化物に化
学的にリチウムイオンを挿入する方法としては、リチウ
ム金属、リチウム合金やブチルリチウム、あるいは金属
リチウムの液体アンモニア溶液と遷移金属酸化物と反応
させることにより合成する方法であっても良い。
【0032】本発明で用いる正極活物質の平均粒子サイ
ズは特に限定されないが、0.1〜50μmが好まし
い。0.5〜30μmの粒子の体積が95%以上である
ことが好ましい。粒径3μm以下の粒子群の占める体積
が全体積の18%以下であり、かつ15μm以上25μ
m以下の粒子群の占める体積が、全体積の18%以下で
あることが更に好ましい。比表面積としては特に限定さ
れないが、BET法で0.01〜50m2 /gが好まし
く、特に0.2m2 /g〜1m2 /gが好ましい。また
正極活物質5gを蒸留水100mlに溶かした時の上澄
み液のpHとしては7以上12以下が好ましい。
【0033】本発明の正極活物質を焼成によって得る場
合、焼成温度としては500〜1500℃であることが
好ましく、さらに好ましくは700〜1200℃であ
り、特に好ましくは750〜1000℃である。焼成時
間としては4〜30時間が好ましく、さらに好ましくは
6〜20時間であり、特に好ましくは6〜15時間であ
る。
【0034】本発明で用いられる正極活物質あるいは負
極材料の表面を、用いられる正極活物質や負極材料と異
なる化学式を持つ酸化物で被覆することができる。この
表面酸化物は、酸性にもアルカリ性にも溶解する化合物
を含む酸化物が好ましい。さらに電子伝導性の高い金属
酸化物が好ましい。例えば、PbO2 、Fe23 、S
nO2 、In23 、ZnOなどやまたはこれらの酸化
物にドーパント(例えば、酸化物では原子価の異なる金
属、ハロゲン元素など)を含ませることが好ましい。特
に好ましくは、SiO2 、SnO2 、Fe23 、Zn
O、PbO2 である。これらの表面処理に使用される金
属酸化物の量は、該正極活物質・負極材料当たり、0.
1〜10重量%が好ましく、0.2〜5重量%が特に好
ましく、0.3〜3重量%が最も好ましい。また、この
ほかに、正極活物質や負極材料の表面を改質することが
できる。例えば、金属酸化物の表面をエステル化剤によ
り処理、キレート化剤で処理、導電性高分子、ポリエチ
レンオキサイドなどにより処理することが挙げられる。
【0035】本発明の合剤に使用される導電剤は、構成
された電池において化学変化を起こさない電子伝導性材
料であれば何でもよい。具体例としては、鱗状黒鉛、鱗
片状黒鉛、土状黒鉛等の天然黒鉛、石油コークス、石炭
コークス、セルロース類、糖類、メソフェーズピッチ等
の高温焼成体、気相成長黒鉛等の人工黒鉛等のグラファ
イト類、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケ
ッチェンブラック、チャンネルブラック、ランプブラッ
ク、サーマルブラック等のカーボンブラック類、アスフ
ァルトピッチ、コールタール、活性炭、メソフューズピ
ッチ、ポリアセン等の炭素材料、金属繊維等の導電性繊
維類、銅、ニッケル、アルミニウム、銀等の金属粉類、
酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー類、
酸化チタン等の導電性金属酸化物等を挙げる事ができ
る。黒鉛では、アスペクト比が5以上の平板状のものを
用いると好ましい。これらの中では、グラファイトやカ
ーボンブラックが好ましく、粒子の大きさは、0.01
μm以上、20μm以下が好ましく、0.02μm以
上、10μm以下の粒子がより好ましい。これらは単独
で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。併用す
る場合は、アセチレンブラック等のカーボンブラック類
と、1〜15μmの黒鉛粒子を併用すると好ましい。導
電剤の合剤層への添加量は、負極材料または正極材料に
対し1〜50重量%であることが好ましく、特に2〜3
0重量%であることが好ましい。カーボンブラックやグ
ラファイトでは、3〜20重量%であることが特に好ま
しい。
【0036】本発明では電極合剤を保持するために結着
剤を用いる。結着剤の例としては、多糖類、熱可塑性樹
脂及びゴム弾性を有するポリマー等が挙げられる。好ま
しい結着剤としては、でんぷん、カルボキシメチルセル
ロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、アルギン酸Na、ポリアクリル酸、
ポリアクリル酸Na、ポリビニルフェノール、ポリビニ
ルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニル
ピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メ
タ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の
水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフル
ロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエ
チレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデン
フロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロ
ピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチ
レン−プロピレン−ジエンタ−ポリマー(EPDM)、
スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチ
ルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート
等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)ア
クリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステ
ル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等の
ビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合
体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル
−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴ
ム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステル
ポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポ
リカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、
フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテ
ックス)あるいはサスペンジョンを挙げることが出来
る。特にポリアクリル酸エステル系のラテックス、カル
ボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。これらの結着
剤は、微小粉末を水に分散したものを用いるのが好まし
く、分散液中の粒子の平均サイズが0.01〜5μmの
ものを用いるのがより好ましく、0.05〜1μmのも
のを用いるのが特に好ましい。これらの結着剤は単独ま
たは混合して用いることが出来る。結着剤の添加量が少
ないと電極合剤の保持力・凝集力が弱い。多すぎると電
極体積が増加し電極単位体積あるいは単位重量あたりの
容量が減少する。このような理由で結着剤の添加量は1
〜30重量%が好ましく、特に2〜10重量%が好まし
い。
【0037】充填剤は、構成された電池において、化学
変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いること
ができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの
オレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの繊維が用い
られる。フィラーの添加量は特に限定されないが、0〜
30重量%が好ましい。イオン導電剤は、無機及び有機
の固体電解質として知られている物を用いることがで
き、詳細は電解液の項に記載されている。圧力増強剤
は、電池の内圧を上げる化合物であり、炭酸リチウム等の炭
酸塩が代表例である。
【0038】本発明で使用できる集電体は正極はアルミ
ニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれ
らの合金であり、負極は銅、ステンレス鋼、ニッケル、
チタン、またはこれらの合金である。集電体の形態は
箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル、もしくは
金網である。特に、正極にはアルミニウム箔、負極には
銅箔が好ましい。
【0039】実施例に於いても示したように、非晶質含
窒素複合酸化物である本発明の負極材料を用いることに
より、高容量で且つサイクル性の良い電池をつくること
ができる。しかしながら、これらの高容量の電池は、強
制放電等の誤使用により起因した外部短絡等により異常
電流が流れ、内部温度の著しい上昇や内容物の噴出や電
池缶の破裂などの事故を起こすことがある。これらを防
止するため、安全弁の組み込みや、PTCなどの電流遮
断素子の組み込みなどの工夫がされているが、発熱に対
しては本質的な解決になっていない。本発明に於いて
は、安全性の向上のために上記の負極材料と以下に記載
するセパレーターとを組み合わせて用いるのが好まし
い。
【0040】セパレーターとしては、大きなイオン透過
度を持ち、所定の機械的強度を持ち、絶縁性の微多孔ま
たは隙間のある材料が用いられる。更に安全性向上のた
めには、80℃以上で上記の隙間を閉塞して抵抗をあ
げ、電流を遮断する機能を持つことが必要である。これ
らの隙間の閉塞温度は90℃以上180℃以下、より好
ましくは110℃以上170℃以下である。隙間の作り
方は、材料によって異なるが公知のいずれの方法であっ
ても良い。多孔質フィルムの場合には、孔の形状は通常
円形や楕円形で、大きさは0.05μmから30μmで
あり、0.1μmから20μmが好ましい。更に、延伸
法、相分離法で作った場合のように、棒状や不定形の孔
であっても良い。布の場合は、隙間は繊維間の空隙であ
り、織布、不織布の作り方に依存する。これらの隙間の
しめる比率すなわち気孔率は20%から90%であり、
35%から80%が好ましい。
【0041】本発明のセパレーターは、5μm以上10
0μm以下、より好ましくは10μm以上80μm以下
の微多孔性のフィルム、織布、不織布などの布である。
本発明のセパレーターは、エチレン成分を少なくとも2
0重量%含むものが好ましく、特に好ましいのは30%
以上含むものである。エチレン以外の成分としては、プ
ロピレン、ブテン、ヘキセン、フッ化エチレン、塩化ビ
ニル、酢酸ビニル、アセタール化ビニルアルコールがあ
げられ、プロピレン、フッ化エチレンが特に好ましい。
微多孔性のフィルムは、ポリエチレン、エチレン−プロ
ピレン共重合ポリマーやエチレン−ブテン共重合ポリマ
ーからなるものが好ましい。さらに、ポリエチレンとポ
リプロピレン、ポリエチレンとポリ4フッ化エチレンを
混合溶解して作ったものも好ましい。不織布や織布は、
糸の径が0.1μmから5μmで、ポリエチレン、エチ
レン−プロピレン共重合ポリマー、エチレン−ブテン1
共重合ポリマー、エチレン−メチルブテン共重合ポリマ
ー、エチレン−メチルペンテン共重合ポリマー、ポリプ
ロピレン、ポリ4フッ化エチレン繊維糸からなるものが
好ましい。これらのセパレーターは、単一の材料であっ
ても、複合材料であっても良い。特に、孔径、気孔率や
孔の閉塞温度などを変えた2種以上の微多孔フィルムを
積層したもの、微多孔フィルムと不織布、微多孔フィル
ムと織布、不織布と紙など異なる形態の材料を複合した
ものが特に好ましい。本発明のセパレーターは、ガラス
繊維、炭素繊維などの無機繊維や、二酸化珪素、ゼオラ
イト、アルミナやタルクなどの無機物の粒子を含んでい
ても良い。更に空隙や表面を界面活性剤で処理して親水
化したものでも良い。
【0042】次に本発明における正負電極の構成につい
て説明する。正負電極は集電体の両面に電極合剤を塗布
した形態であることが好ましい。この場合、片面あたり
の層数は1層であっても2層以上から構成されていても
良い。片面あたりの層の数が2以上である場合、正極活
物質(もしくは負極材料)含有層が2層以上であっても
良い。より好ましい構成は、正極活物質(もしくは負極
材料)を含有する層と正極活物質(もしくは負極材料)
を含有しない層から構成される場合である。正極活物質
(もしくは負極材料)を含有しない層には、正極活物質
(もしくは負極材料)を含有する層を保護するための保
護層、分割された正極活物質(もしくは負極材料)含有
層の間にある中間層、正極活物質(もしくは負極材料)
含有層と集電体との間にある下塗り層等があり、本発明
においてはこれらを総称して補助層と言う。
【0043】保護層は正負電極の両方または正負電極の
いずれかにあることが好ましい。負極において、リチウ
ムを電池内で負極材料に挿入する場合は負極は保護層を
有する形態であることが望ましい。保護層は、少なくと
も1層からなり、同種又は異種の複数層により構成され
ていても良い。また、集電体の両面の合剤層の内の片面
にのみ保護層を有する形態であっても良い。これらの保
護層は、水不溶性の粒子と結着剤等から構成される。結
着剤は、前述の電極合剤を形成する際に用いられる結着
剤を用いることが出来る。水不溶性の粒子としては、種
種の導電性粒子、実質的に導電性を有さない有機及び無
機の粒子を用いることができる。水不溶性粒子の水への
溶解度は、100PPM 以下、好ましくは不溶性のものが
好ましい。保護層に含まれる粒子の割合は2.5重量%
以上、96重量%以下が好ましく、5重量%以上、95
重量%以下がより好ましく、10重量%以上、93重量
%以下が特に好ましい。
【0044】水不溶性の導電性粒子としては、金属、金
属酸化物、金属繊維、炭素繊維、カーボンブラックや黒
鉛等の炭素粒子を挙げることが出来る。これらの水不溶
導電性粒子の中で、アルカリ金属特にリチウムとの反応
性が低いものが好ましく、金属粉末、炭素粒子がより好
ましい。粒子を構成する元素の20℃における電気抵抗
率としては、5×109 Ω・m以下が好ましい。
【0045】金属粉末としては、リチウムとの反応性が
低い金属、即ちリチウム合金を作りにくい金属が好まし
く、具体的には、銅、ニッケル、鉄、クロム、モリブデ
ン、チタン、タングステン、タンタルが好ましい。これ
らの金属粉末の形は、針状、柱状、板状、塊状のいずれ
でもよく、最大径が0.02μm以上、20μm以下が
好ましく、0.1μm以上、10μm以下がより好まし
い。これらの金属粉末は、表面が過度に酸化されていな
いものが好ましく、酸化されているときには還元雰囲気
で熱処理することが好ましい。
【0046】炭素粒子としては、従来電極活物質が導電
性でない場合に併用する導電材料として用いられる公知
の炭素材料を用いることが出来る。具体的には電極合剤
を作る際に用いられる導電剤が用いられる。
【0047】実質的に導電性を持たない水不溶性粒子と
しては、テフロンの微粉末、SiC、窒化アルミニウ
ム、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ムライト、フ
ォルステライト、ステアタイトを挙げることが出来る。
これらの粒子は、導電性粒子と併用してもよく、導電性
粒子の0.01倍以上、10倍以下で使うと好ましい。
【0048】正(負)の電極シートは正(負)極の合剤
を集電体の上に塗布、乾燥、圧縮する事により作成する
事ができる。合剤の調製は正極活物質(あるいは負極材
料)および導電剤を混合し、結着剤(樹脂粉体のサスペ
ンジョンまたはエマルジョン状のもの)、および分散媒
を加えて混練混合し、引続いて、ミキサー、ホモジナイ
ザー、ディゾルバー、プラネタリミキサー、ペイントシ
ェイカー、サンドミル等の攪拌混合機、分散機で分散し
て行うことが出来る。分散媒としては水もしくは有機溶
媒が用いられるが、水が好ましい。このほか、適宜充填
剤、イオン導電剤、圧力増強剤等の添加剤を添加しても
良い。分散液のpHは負極では5〜10、正極では7〜
12が好ましい。
【0049】塗布は種々の方法で行うことが出来るが、
例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレ
ード法、ナイフ法、エクストルージョン法、スライド
法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法及び
スクイーズ法を挙げることが出来る。エクストルージョ
ンダイを用いる方法、スライドコーターを用いる方法が
特に好ましい。塗布は、0.1〜100m/分の速度で
実施されることが好ましい。この際、合剤ペーストの液
物性、乾燥性に合わせて、上記塗布方法を選定すること
により、良好な塗布層の表面状態を得ることが出来る。
電極層が複数の層である場合にはそれらの複数層を同時
に塗布することが、均一な電極の製造、製造コスト等の
観点から好ましい。その塗布層の厚み、長さや巾は、電
池の大きさにより決められる。典型的な塗布層の厚みは
乾燥後圧縮された状態で10〜1000μmである。塗
布後の電極シートは、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、
電子線及び低湿風の作用により乾燥、脱水される。これ
らの方法は単独あるいは組み合わせて用いることが出来
る。乾燥温度は80〜350℃の範囲が好ましく、特に
100〜260℃の範囲が好ましい。乾燥後の含水量は
2000ppm以下が好ましく、500ppm以下がよ
り好ましい。電極シートの圧縮は、一般に採用されてい
るプレス方法を用いることが出来るが、特に金型プレス
法やカレンダープレス法が好ましい。プレス圧は、特に
限定されないが、10kg/cm2 〜3t/cm2 が好
ましい。カレンダープレス法のプレス速度は、0.1〜
50m/分が好ましい。プレス温度は、室温〜200℃
が好ましい。
【0050】電解液は一般に支持塩と溶媒から構成され
る。リチウム二次電池における支持塩はリチウム塩が主
として用いられる。本発明で使用出来るリチウム塩とし
ては、例えば、LiClO4 、LiBF4、LiP
6 、LiCF3 CO2 、LiAsF6 、LiSb
6 、LiB10Cl 10、LiOSO2 n 2n+1で表さ
れるフルオロスルホン酸(nは6以下の正の整数)、L
iN(SO2 n 2n+1)(SO2m 2m+1)で表さ
れるイミド塩(m,nはそれぞれ6以下の正の整数)、
LiN(SO2 p 2p+1)(SO2q 2q+1)(S
2r 2r+1)で表されるメチド塩(p,q,rはそ
れぞれ6以下の正の整数)、低級脂肪族カルボン酸リチ
ウム、LiAlCl4 、LiCl、LiBr、LiI、
クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウムなど
のLi塩を上げることが出来、これらの一種または二種
以上を混合して使用することができる。なかでもLiB
4 及び/あるいはLiPF6 を溶解したものが好まし
い。支持塩の濃度は、特に限定されないが、電解液1リ
ットル当たり0.2〜3モルが好ましい。
【0051】本発明で使用できる溶媒としては、プロピ
レンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカ
ーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネ
ート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクト
ン、ギ酸メチル、酢酸メチル、1,2−ジメトキシエタ
ン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラ
ン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホ
ルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、ジ
オキサン、アセトニトリル、ニトロメタン、エチルモノ
グライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、
ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オ
キサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テト
ラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロ
パンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒を挙げること
ができ、これらの一種または二種以上を混合して使用す
る。これらのなかでは、カーボネート系の溶媒が好まし
く、環状カーボネートと非環状カーボネートを混合して
用いるのが特に好ましい。環状カーボネートとしてはエ
チレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好まし
い。また、非環状カーボネートとしては、ジエチルカー
ボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボ
ネートが好ましい。本発明で使用できる電解液として
は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、
1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネートある
いはジエチルカーボネートを適宜混合した電解液にLi
CF3 SO3 、LiClO4 、LiBF4 および/また
はLiPF6 を含む電解液が好ましい。特にプロピレン
カーボネートもしくはエチレンカーボネートの少なくと
も一方とジメチルカーボネートもしくはジエチルカーボ
ネートの少なくとも一方の混合溶媒に、LiCF3 SO
3 、LiClO4 、もしくはLiBF4 の中から選ばれ
た少なくとも一種の塩とLiPF6 を含む電解液が好ま
しい。これら電解液を電池内に添加する量は特に限定さ
れず、正極材料や負極材料の量や電池のサイズに応じて
用いることができる。
【0052】また、電解液の他に次の様な固体電解質も
併用することができる。固体電解質としては、無機固体
電解質と有機固体電解質に分けられる。無機固体電解質
には、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などがよ
く知られている。なかでも、Li3 N、LiI、Li5
NI2 、Li3 N−LiI−LiOH、Li4 Si
4 、Li4 SiO4 −LiI−LiOH、x Li3
4 −(1-x)Li4 SiO4 、Li2 SiS3 、硫化リン
化合物などが有効である。
【0053】有機固体電解質では、ポリエチレンオキサ
イド誘導体か該誘導体を含むポリマー、ポリプロピレン
オキサイド誘導体あるいは該誘導体を含むポリマー、イ
オン解離基を含むポリマー、イオン解離基を含むポリマ
ーと上記非プロトン性電解液の混合物、リン酸エステル
ポリマー、非プロトン性極性溶媒を含有させた高分子マ
トリックス材料が有効である。さらに、ポリアクリロニ
トリルを電解液に添加する方法もある。また、無機と有
機固体電解質を併用する方法も知られている。
【0054】また、放電や充放電特性を改良する目的
で、他の化合物を電解質に添加しても良い。例えば、ピ
リジン、ピロリン、ピロール、トリフェニルアミン、フ
ェニルカルバゾール、トリエチルフォスファイト、トリ
エタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、
n−グライム、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼ
ン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾ
リジノンとN, N’−置換イミダリジノン、エチレング
リコールジアルキルエーテル、第四級アンモニウム塩、
ポリエチレングリコール、ピロール、2−メトキシエタ
ノール、AlCl 3 、導電性ポリマー電極活物質のモノ
マー、トリエチレンホスホルアミド、トリアルキルホス
フィン、モルホリン、カルボニル基を持つアリール化合
物、12−クラウン−4のようなクラウンエーテル類、
ヘキサメチルホスホリックトリアミドと4−アルキルモ
ルホリン、二環性の三級アミン、オイル、四級ホスホニ
ウム塩、三級スルホニウム塩などを挙げることができ
る。特に好ましいのはトリフェニルアミン、フェニルカ
ルバゾールを単独もしくは組み合わせて用いた場合であ
る。
【0055】また、電解液を不燃性にするために含ハロ
ゲン溶媒、例えば、四塩化炭素、三弗化塩化エチレンを
電解液に含ませることができる。また、高温保存に適性
をもたせるために電解液に炭酸ガスを含ませることがで
きる。
【0056】電解液は、水分及び遊離酸分をできるだけ
含有しないことが望ましい。このため、電解液の原料は
充分な脱水と精製をしたものが好ましい。また、電解液
の調整は、露点がマイナス30℃以下の乾燥空気中もし
くは不活性ガス中が好ましい。電解液中の水分及び遊離
酸分の量は、0.1〜500ppm、より好ましくは
0.2〜100ppmである。
【0057】電解液は、全量を1回で注入してもよい
が、2回以上に分けて注入することが好ましい。2回以
上に分けて注入する場合、それぞれの液は同じ組成で
も、違う組成(例えば、非水溶媒あるいは非水溶媒にリ
チウム塩を溶解した溶液を注入した後、前記溶媒より粘
度の高い非水溶媒あるいは非水溶媒にリチウム塩を溶解
した溶液を注入)でも良い。また、電解液の注入時間の
短縮等のために、電池缶を減圧したり、電池缶に遠心力
や超音波をかけることを行ってもよい。
【0058】本発明で使用できる電池缶および電池蓋は
材質としてニッケルメッキを施した鉄鋼板、ステンレス
鋼板(SUS304、SUS304L、SUS304
N、SUS316、SUS316L、SUS430、S
US444等)、ニッケルメッキを施したステンレス鋼
板(同上)、アルミニウムまたはその合金、ニッケル、
チタン、銅であり、形状として、真円形筒状、楕円形筒
状、正方形筒状、長方形筒状である。特に、外装缶が負
極端子を兼ねる場合は、ステンレス鋼板、ニッケルメッ
キを施した鉄鋼板が好ましく、外装缶が正極端子を兼ね
る場合は、ステンレス鋼板、アルミニウムまたはその合
金が好ましい。電池缶の形状はボタン、コイン、シー
ト、シリンダー、角などのいずれでも良い。電池缶の内
圧上昇の対策として封口板に安全弁を用いることができ
る。この他、電池缶やガスケット等の部材に切り込みを
いれる方法も利用することが出来る。この他、従来から
知られている種々の安全素子(例えば、過電流防止素子
として、ヒューズ、バイメタル、PTC素子等)を備え
つけても良い。
【0059】本発明で使用するリード板には、電気伝導
性をもつ金属(例えば、鉄、ニッケル、チタン、クロ
ム、モリブデン、銅、アルミニウム等)やそれらの合金
を用いることが出来る。電池蓋、電池缶、電極シート、
リード板の溶接法は、公知の方法(例、直流又は交流の
電気溶接、レーザー溶接、超音波溶接)を用いることが
出来る。封口用シール剤は、アスファルト等の従来から
知られている化合物や混合物を用いることが出来る。
【0060】本発明で使用できるガスケットは、材質と
して、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セル
ロース系ポリマー、ポリイミド、ポリアミドであり、耐
有機溶媒性及び低水分透過性から、オレフィン系ポリマ
ーが好ましく、特にプロピレン主体のポリマーが好まし
い。さらに、プロピレンとエチレンのブロック共重合ポ
リマーであることが好ましい。
【0061】以上のようにして組み立てられた電池は、
エージング処理を施すのが好ましい。エージング処理に
は、前処理、活性化処理及び後処理などがあり、これに
より高い充放電容量とサイクル性に優れた電池を製造す
ることができる。前処理は、電極内のリチウムの分布を
均一化するための処理で、例えば、リチウムの溶解制
御、リチウムの分布を均一にするための温度制御、揺動
及び/または回転処理、充放電の任意の組み合わせが行
われる。活性化処理は電池本体の負極に対してリチウム
を挿入させるための処理で、電池の実使用充電時のリチ
ウム挿入量の50〜120%を挿入するのが好ましい。
後処理は活性化処理を十分にさせるための処理であり、
電池反応を均一にするための保存処理と、判定のための
充放電処理当があり、任意に組み合わせることができ
る。
【0062】本発明の電池は必要に応じて外装材で被覆
される。外装材としては、熱収縮チューブ、粘着テー
プ、金属フィルム、紙、布、塗料、プラスチックケース
等がある。また、外装の少なくとも一部に熱で変色する
部分を設け、使用中の熱履歴がわかるようにしても良
い。
【0063】本発明の電池は必要に応じて複数本を直列
及び/または並列に組み電池パックに収納される。電池
パックには正温度係数抵抗体、温度ヒューズ、ヒューズ
及び/または電流遮断素子等の安全素子の他、安全回路
(各電池及び/または組電池全体の電圧、温度、電流等
をモニターし、必要なら電流を遮断する機能を有す回
路)を設けても良い。また電池パックには、組電池全体
の正極及び負極端子以外に、各電池の正極及び負極端
子、組電池全体及び各電池の温度検出端子、組電池全体
の電流検出端子等を外部端子として設けることもでき
る。また電池パックには、電圧変換回路(DC−DCコ
ンバータ等)を内蔵しても良い。また各電池の接続は、
リード板を溶接することで固定しても良いし、ソケット
等で容易に着脱できるように固定しても良い。さらに
は、電池パックに電池残存容量、充電の有無、使用回数
等の表示機能を設けても良い。
【0064】本発明の電池は様々な機器に使用される。
特に、ビデオムービー、モニター内蔵携帯型ビデオデッ
キ、モニター内蔵ムービーカメラ、デジタルカメラ、コ
ンパクトカメラ、一眼レフカメラ、レンズ付きフィル
ム、ノート型パソコン、ノート型ワープロ、電子手帳、
携帯電話、コードレス電話、ヒゲソリ、電動工具、電動
ミキサー、自動車等に使用されることが好ましい。
【0065】
【実施例】以下に具体例をあげ、本発明をさらに詳しく
説明するが、発明の主旨を越えない限り、本発明は実施
例に限定されるものではない。 実施例1 負極材料の合成 下記組成の原料バッチを高純度アルミナ製ルツボに入
れ、アルゴン/炭酸ガス/水素で1100℃に於ける酸
素分圧が10-12 atmとなるように調節した雰囲気ガ
スを流しつつ、1100℃まで昇温し更に純窒素雰囲気
下で10時間溶融した後、10℃/分で室温まで冷却し
て黄色透明のガラス塊を得た。
【0066】 Sn0 107.8g SiO2 48.1g Al23 5.1g B23 7.0g これを粗粉砕した後、ジェットミルで平均粒径約20μ
mの粉体とした。この酸化物ガラス1kgを窒化ホウ素
18gと混合し、アルミナ製ルツボに充填し、純チッ素
雰囲気下で1000℃で3時間溶融した後、10℃/1
0分で降温した。得られたガラスを分析した結果、窒素
原子が酸素原子に対して約2%含有されていた。このガ
ラスを粗粉砕した後、ジュットミルで平均粒径8μmの
粉体とし、これを負極材料として以下によりコイン電池
を作製した。
【0067】負極材料を下記組成の塗布液とし、10μ
厚の銅集電体シート上に塗布した。 負極材料 85重量% グラファイト 6重量% PVDF 9重量% N−メチルピロリドン 9重量% 得られた負極シートを、15mmΦに打ち抜き、対極と
してLi−Al合金電極を用い、1M−LiPF6 を含
むEC/DC(1:1)電解質溶液を用いたコイン電池
Aを作成した。また比較用として、窒化ホウ素の代わり
に酸化ホウ素を添加して再溶融したサンプルについても
同様にしてコイン電池Bを作製した。
【0068】これらのコイン電池を0.75mA/cm
2 の定電流密度にて、0.05〜0.9Vの範囲で充放
電試験を行なった(試験はすべて放電からはじめ
た。)。その結果を表1に示した。尚、表1に示す略号
は、(a)第1回目放電容量(負極材料1g当りmA
h)、(b)放電平均電圧(V)、(c)充放電サイク
ル性(第一回目の放電容量の60%の容量になるサイク
ル数)をそれぞれ示した。
【0069】 表−1 ────────────────────────────────── (a)第1放電容量 (b)平均放電電圧 (c)サイクル性 (mAh/g) (V) (回) ────────────────────────────────── 本発明 596 0.21 430 ────────────────────────────────── 比較用 595 0.21 265 ──────────────────────────────────
【0070】この結果から基礎酸化物ガラスをチッ化ホ
ウ素との溶融させることで窒素原子を含有せしめた本発
明の負極材料は、窒素を含まないものに対して、放電容
量と放電電圧は同等で、サイクル性に優れた特性を示す
ことがわかる。
【0071】実施例2 テトラメトキシシラン0.05モル、ジイソプロピル錫
(IV)0.05モル、及びDMF5mlを混合し、こ
れにメタノール5ml、水5ml及び0.001%のア
ンモニア水1mlの混合液を、攪拌しつつゆっくり滴下
した。この液を40℃に保温して8時間放置し、その後
更に70℃まで昇温して8時間放置して熟成させた後、
得られた含水ゲルをデカンテーションで分離し、次いで
濾過し3回水洗した。120℃で12時間、300℃で
3時間乾燥させて得られた塊状のガラスを粉砕機によ
り、平均粒径が約10ミクロンの粉体に粉砕した。
【0072】同様に、表−2に示すゾル形成化合物を用
い、同様の工程でそれぞれのガラス粉末を得た。これら
をアルミナ製の皿に入れ、電気炉の挿入し減圧した後、
アンモニアガスを50ml/分の流速で流しつつ400
℃まで昇温し、この温度で10時間保った。所要時間の
後、窒素ガスに切り換えて10℃/分の割合で室温まで
降温し、炉から取り出した。得られた粉末の窒素含有量
を表−2に示した。
【0073】
【表1】
【0074】得られた粉末を負極活物質として、正極が
LiCoO2 (82重量%)と鱗片状黒鉛(8重量
%)、アセチレンブラック(4重量%)、テトラフルオ
ロエチレン(6重量%)とから成り、LiCoO2 を2
00mg含む13mmΦのペレットであること以外は実
施例1と同様にしてコイン電池を作製した。また比較用
として、それぞれの組成で上記のアンモニア処理を行わ
ないものを負極材料として負極材料とした電池を作成し
た。
【0075】これらのコイン電池を0.75mA/cm
2 の定電流密度にて、3.86〜3.0Vの範囲で充放
電試験を行なった(試験はすべて充電からはじめ
た。)。その結果を表−3に示した。ここで、サイクル
性の指標として充放電を500回繰り返した後の容量維
持率(500回目の容量/初回の容量)を示した。
【0076】
【表2】
【0077】本発明になるアンモニア処理により、ゾル
ゲル法で調製した酸化物ガラスに窒素原子が含有される
こと、この窒素導入により電池性能のうちサイクル性が
向上することがわかる。
【0078】
【発明の効果】以上から、本発明の錫、亜鉛、鉛、ゲル
マニウム、珪素から選ばれる元素の少なくとも1種を含
有する酸化物に窒素を導入して成るオキシナイトライド
化合物である負極材料を用いた電池は、充放電サイクル
時の容量維持率が高いことが明らかにされた。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 錫、亜鉛、鉛、ゲルマニウム、珪素から
    選ばれる元素の少なくとも1種を含有する酸化物に窒素
    を導入して成るオキシナイトライド化合物であることを
    特徴とする非水二次電池用負極材料。
  2. 【請求項2】 下記一般式(1)で表されるSnを含む
    オキシナイトライド化合物を負極とする請求項1記載の
    負極材料。 一般式(1) SnMp q r s 式中、MはAl、B、P、Si、Geの群から選ばれる
    元素の少なくとも1種を、Aは周期律表第一族元素、第
    二族元素の群から選ばれる元素の少なくとも一種を表
    し、p は0.2以上、3以下の数、q は0以上0.2以
    下の数、rは1以上6以下の数、sは0.005以上、
    0.6以下の数を表す。
  3. 【請求項3】 下記一般式(2)で表されるSnを含む
    オキシナイトライド化合物を負極とする請求項2記載の
    負極材料。 一般式(2) SnSip1p2p3Alp4q r s Aは周期律表第一族元素、第二族元素の群から選ばれる
    元素の少なくとも一種を表し、式中、p1、p2,p3
    はそれぞれ0以上、2以下でその合計が0.2以上3以
    下の数であり、q は0以上0.2以下の数、rは1以上
    6以下の数、sは0.005以上、0.6以下の数を表
    す。
  4. 【請求項4】 基礎酸化物と窒化物とを溶融して調製し
    てなる、請求項1記載の負極材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 基礎酸化物を窒素及び/もしくはアンモ
    ニアガス雰囲気下で加熱して成る、請求項1記載の負極
    材料の製造方法。
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