JPH11166066A - 芳香族ポリエステル系樹脂発泡シートの製法 - Google Patents

芳香族ポリエステル系樹脂発泡シートの製法

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JPH11166066A
JPH11166066A JP9331462A JP33146297A JPH11166066A JP H11166066 A JPH11166066 A JP H11166066A JP 9331462 A JP9331462 A JP 9331462A JP 33146297 A JP33146297 A JP 33146297A JP H11166066 A JPH11166066 A JP H11166066A
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Japan
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polyester resin
aromatic polyester
sheet
foamed sheet
resin
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Application number
JP9331462A
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English (en)
Inventor
Masaaki Nakamura
正明 中村
Mikiyoshi Nakamichi
幹芳 中道
Fumiyasu Sezaki
文康 瀬▲崎▼
Haruo Tomita
春生 冨田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱容器、断熱容器、緩衝包装材などに好ま
しく使用しうるポリエステル系樹脂発泡シートをえる。 【解決手段】 芳香族ポリエステル系樹脂を押出機内で
発泡剤と溶融混合し、この溶融物を低圧域にシート状に
押出して発泡させたのち、流れ方向および幅方向に引き
延ばして発泡シートとする芳香族ポリエステル系樹脂発
泡シートの製法において、押出温度における、最大伸び
指数が5〜50かつ、伸び指数2における張力が3〜3
0センチニュートンとなるように変性した芳香族ポリエ
ステル系樹脂を用いて芳香族ポリエステル系樹脂発泡シ
ートを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリエステ
ル系樹脂発泡シートの製法に関する。さらに詳しくは、
たとえば耐熱容器、断熱容器、緩衝包装材などに好まし
く使用しうる芳香族ポリエステル系樹脂発泡シートの製
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートなどの芳香
族ポリエステル系樹脂は、機械的性質、耐熱性、耐薬品
性、寸法安定性などにすぐれているため、射出成形品、
ブロー成形品、フィルム、繊維など広範囲な用途に用い
られている。しかしながら、該芳香族ポリエステル系樹
脂は結晶性樹脂であるため、結晶融点以下の温度では加
工が困難であり、結晶融点をこえる温度では著しく粘度
が低下するため、押出発泡成形のような方法で良好な発
泡体をうることはきわめて困難であるという欠点があ
る。
【0003】こうした欠点を改良する方法として、芳香
族ポリエステル系樹脂を押出発泡成形する際に、樹脂の
溶融粘度を上昇させるような物質を加えることにより押
出発泡による発泡体の製造を容易にする方法が提案され
ている。たとえば特開平2−150434号公報では、
1分子中に2個以上の酸無水物基を有する化合物を該樹
脂に混合する方法が提案され、特開平5−251543
号公報では、1分子中に2個以上の酸無水物基を有する
化合物と特定の金属化合物とを組み合わせて該樹脂に混
合する方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の技術は、ポ
リエステル系樹脂の押出発泡成形を容易にするために、
基材樹脂である芳香族ポリエステル系樹脂の溶融時の粘
度を高くしようとするものであるが、サーキュラーダイ
とマンドレルとを用いて押出発泡シートを製造しようと
する際に、前記従来の技術の方法を利用して基材樹脂の
溶融粘度を高くしても、シートにしわや歪みが生じた
り、気泡の破れや形状が不揃いになるなど、必ずしも満
足のできる品質の発泡シートはえられない。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、押出発泡
における前記押出発泡シートの成形性が必ずしもよくな
い原因について鋭意検討を重ねた結果、芳香族ポリエス
テル系樹脂発泡シートの製造において、基材樹脂の示す
溶融時のある種の伸び特性が押出直後の発泡性樹脂を発
泡シート状に成形する際のシート成形性に関連し、特定
の伸び特性を有する樹脂を基材樹脂とすることによって
優れた品質の発泡シートがえられることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、芳香族ポリエステル系
樹脂を押出機内で発泡剤と溶融混合し、えられた溶融物
を低圧域にシート状に押し出して発泡させたのち、流れ
方向および幅方向に引き延ばして発泡シートとするポリ
エステル系樹脂発泡シートの製法において、押出温度に
おける、最大伸び指数が5〜70で、伸び指数2におけ
る張力が3〜30センチニュートンとなるように変性し
た芳香族ポリエステル系樹脂を用いることを特徴とする
芳香族ポリエステル系樹脂発泡シートの製法(請求項
1)に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる芳香族ポリエ
ステル系樹脂は、芳香族ジカルボン酸を主とする(カル
ボン酸成分の85モル%以上)カルボン酸成分と、脂肪
族ジオールを主とする(ジオール成分の85モル%以
上)ジオール成分とを重縮合してえられる芳香族ポリエ
ステル系樹脂である。
【0008】前記芳香族ジカルボン酸の具体例として
は、たとえばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン
ジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフ
ェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカ
ルボン酸などがあげられる。これらは単独で用いてもよ
く2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で
はテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が工業的に利
用しやすいという点から好ましく用いられる。
【0009】前記脂肪族ジオールの具体例としては、た
とえばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブ
タンジオール、ネオペンチレングリコール、ヘキサメチ
レングリコール、シクロヘキサンジメチロール、トリシ
クロデカンジメチロール、2,2−ビス(4−β−ヒド
ロキシエトキシフェニル)プロパン、4,4′−ビス
(β−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルスルホンなどが
あげられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を組
み合わせて用いてもよい。これらのうちではエチレング
リコール、ブタンジオールが工業的に利用しやすいとい
う点から好ましく用いられる。
【0010】前記芳香族ポリエステル系樹脂の具体例と
しては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリプ
ロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘ
キサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリブチレンナフタレートなどがあげられる。
これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用
いてもよい。2種以上組み合わせて用いるばあいの組み
合わせ方にはとくに限定はない。たとえば、共重合成分
やモル比が異なるものおよび(または)分子量が異なる
ものなどが任意に組み合わされて用いられる。
【0011】前記芳香族ポリエステル系樹脂の固有粘度
としては、フェノール/テトラクロロエタンの混合物
(重量比1/1)を溶媒として23℃で測定した値で、
0.5〜1.2dl/gであることが好ましい。
【0012】本発明においては、前記芳香族ポリエステ
ル系樹脂が、押出発泡成形を行なうときの押出温度にお
ける最大伸び指数が5〜70で伸び指数2における張力
が3〜30センチニュートンとなるように変性されてい
ることが必要である。
【0013】前記押出発泡成形を行なうときの押出温度
とは、発泡剤を含んだ芳香族ポリエステル系樹脂が押出
機から押し出されるときの樹脂温度をいう。通常、該芳
香族ポリエステル系樹脂の融解温度以上で分解温度未満
の温度範囲から選ばれる。押出発泡を継続する間はでき
るだけ変動のないようにすることが好ましく、±5℃以
内、さらには±2℃以内に変動を抑えることが好まし
い。
【0014】また、前記伸び指数とは、キャピラリーレ
オメーター(東洋精機(株)製 キャピログラフ)を用
いて測定することができ、所定の温度(押出発泡を行な
うときに設定しようとする樹脂温度と同じ温度)に加熱
して、溶融している樹脂を入り口角90度、径1mm、
長さ10mmのキャピラリーダイから一定の押出速度で
押し出したストランドを引き取りロールで挟んで引き取
るときの引取速度とダイからの押出速度との比、すなわ
ち引取速度/押出速度をいい、前記最大伸び指数とは、
前記の操作で、引取速度を0.4m/sec2の加速度
で増加させながら引き取り、ストランドが破断したとき
の伸び指数をいう。
【0015】前記押出速度は通常0.4〜3m/mi
n、さらには0.45〜2.7m/minである。
【0016】さらに、前記伸び指数2における張力と
は、前記伸び指数の測定において溶融樹脂が示す応力を
測定し、伸び指数が2のときの応力をいう。
【0017】前記最大伸び指数は5〜70、好ましくは
5〜50、さらに好ましくは5〜45である。前記伸び
指数が5〜70であるために、発泡倍率や気泡系が均一
でしわや厚みむらのない発泡シートを安定して製造する
ことができる。前記最大伸び指数が5未満のばあいに
は、発泡シートを均一な厚さに引き伸ばすことが困難と
なり、50をこえるばあいにはしわが発生しやすくな
る。
【0018】また前記伸び指数2における張力は3〜3
0センチニュートン、好ましくは5〜30センチニュー
トン、さらに好ましくは10〜30センチニュートンで
ある。前記伸び指数2における張力が3〜30センチニ
ュートンであるために発泡倍率や気泡径が均一でしわや
厚みむらのない発泡シートを安定して製造することがで
きる。前記伸び指数2における張力が3センチニュート
ン未満のばあいには破泡や裂けなどが生じて満足な発泡
シートがえられなくなり、30センチニュートンをこえ
るばあいには発泡倍率の低下やしわの発生などにより満
足な発泡シートがえられなくなる。
【0019】本発明に用いられる芳香族ポリエステル系
樹脂の変性方法としては、所定の特性がえられる限りと
くに限定はないが、たとえばつぎのような方法を用いる
ことができる。
【0020】芳香族ポリエステル系樹脂に、ピロメリッ
ト酸、ナフタレンテトラカルボン酸、トリメリット酸、
トリメシン酸、ナフタレントリカルボン酸などの3価以
上のカルボン酸とトリフェニルホスファイトのようなホ
スファイト化合物とを加えてベント押出する。
【0021】前記方法で用いられる3価以上のカルボン
酸としては、工業的利用が容易である点からピロメリッ
ト酸が好ましい。
【0022】前記3価以上のカルボン酸の使用量は、押
し出される樹脂の特性が本発明で特定される範囲内にな
るように、押出発泡を行なう際の押出条件に応じて調整
すればよいが、通常、芳香族ポリエステル系樹脂100
部に対し0.1〜3部、さらには0.3〜2部が好まし
い。3部をこえるばあいには変性した樹脂の最大伸び指
数や張力を安定して発現させることが困難となる傾向と
なり、0.1部未満のばあいには、変性による効果が充
分にえられにくい傾向にある。
【0023】前記方法で用いられるホスファイト化合物
としては、工業的利用が容易である点からトリフェニル
ホスファイトが好ましい。
【0024】前記ホスファイト化合物の使用量は、押し
出される樹脂の特性が本発明で特定される範囲内になる
ように、押出発泡を行なう際の押出条件に応じて調整す
ればよいが、通常、芳香族ポリエステル系樹脂100部
に対し0.05〜1部、さらには0.1〜0.8部が好
ましい。1部をこえるばあい、変性した樹脂の最大伸び
指数や張力を安定して発現させることが困難となる傾向
になり、0.05部未満のばあいには、変性による効果
が充分にえられにくい傾向にある。
【0025】本発明においては、変性された芳香族ポリ
エステル系樹脂は押出機内で一定時間、滞留したのちに
押し出される。押出機から押し出されるときの樹脂の特
性は前記の変性方法に加えて押出機中の樹脂温度、混練
程度、滞留時間などにより変化する性質を有する。
【0026】さらに、前記変性した芳香族ポリエステル
系樹脂には、発泡時の気泡調整剤として、タルクのよう
な造核剤を配合することができ、また、その他必要に応
じて安定剤、顔料、充填剤、難燃剤、帯電防止剤などを
適宜配合してもよい。
【0027】本発明では、前記変性した芳香族ポリエス
テル系樹脂を押出機内で発泡剤と溶融混合し、この溶融
物を低圧域にシート状に押し出して発泡させたのち、流
れ方向および幅方向に引き延ばして発泡シートを製造す
る。
【0028】前記発泡剤としては、加熱により分解しガ
スを発生する固体状分解型発泡剤、加熱により気化する
液体状揮発型発泡剤および加圧下で樹脂に溶解しうるガ
ス型発泡剤などがあげられる。
【0029】前記固体状分解型発泡剤の具体例として
は、たとえばアゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタ
メチレンテトラミン、ヒドラゾジカルボンアミド、重炭
酸ナトリウムなどがあげられる。
【0030】また、前記液体状揮発型発泡剤の具体例と
しては、たとえばブタン、ペンタン、ヘキサンのような
飽和脂肪族炭化水素、シクロヘキサンのような飽和脂環
族炭化水素、ベンゼン、キシレンのような芳香族炭化水
素、塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素、フレオ
ン12、フレオン22、フレオン113、フレオン14
2b(商品名、デュポン社製)のようなフルオロクロロ
置換炭化水素などがあげられる。
【0031】さらに、前記ガス型発泡剤の具体例として
は、チッ素、二酸化炭素などがあげられる。
【0032】発泡剤として固体状分解型発泡剤を使用す
るばあい、前記変性した芳香族ポリエステル系樹脂を基
材樹脂とし、固体状分解型発泡剤を含む樹脂組成物とし
て押出機に供給するのが好ましく、また、液体状揮発型
発泡剤やガス型発泡剤を使用するばあいには、押出機の
途中から圧入するのが好ましい。
【0033】前記発泡剤の中では液体状揮発型発泡剤お
よびガス型発泡剤が発泡体の気泡径を微細かつ均一にし
やすいという点から好ましい。前記発泡剤は単独で用い
てもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】前記発泡剤の使用量にはとくに限定がな
く、えられる発泡シートに所望される発泡倍率に応じて
適宜調整すればよい。通常、発泡剤の使用量は、前記変
性した芳香族ポリエステル系樹脂100部に対して固体
状分解型発泡剤のばあい1〜50部、さらには2〜30
部程度であり、また液体状揮発型発泡剤やガス型発泡剤
のばあい0.5部〜20部、さらには1〜15部程度で
あるのが好ましい。固体状分解型発泡剤のばあいの使用
量が1部未満のばあいには発泡が不充分となり、50部
をこえると粗大な気泡が混入しやすい傾向がある。ま
た、液体状揮発型発泡剤やガス型発泡剤のばあいの使用
量が0.5部未満のばあいには発泡が不充分となり、2
0部をこえると気泡径が不均一になりやすい傾向があ
る。
【0035】前記変性した芳香族ポリエステル系樹脂と
発泡剤との溶融混合には、単軸押出機、多軸押出機、タ
ンデム型押出機などの押出機が用いられる。
【0036】前記押出機の中ではタンデム型押出機が発
泡シートを安定的に製造するために必要となる前記変性
した芳香族ポリエステル系樹脂と発泡剤との溶融混合を
充分に行なうことができる、発泡性樹脂組成物の圧力や
温度を所望の条件に調整しやすいなどの点から好まし
い。
【0037】押出発泡法による発泡シートの製造は、た
とえば以下のようにして行なわれる。
【0038】前記変性した芳香族ポリエステル系樹脂を
基材樹脂とする樹脂(固体状分解型発泡剤や前記造核剤
などを含んだ組成物としてでもよい)を前記のような押
出機に供給して溶融し、発泡剤と溶融混合して発泡剤を
含有する発泡性樹脂組成物にする。押出機の先端には口
金が付設され、この口金には直線状または円環状の断面
形状を有する押出孔が設けられており、この押出孔から
前記発泡性樹脂組成物を低圧域にシート状に押し出して
発泡させる。
【0039】押出機の温度は、芳香族ポリエステル系樹
脂の融解温度以上で分解温度未満の温度範囲から選ぶこ
とができる。通常は、230〜300℃である。押出機
の容量、スクリュー回転数などは、所望の押出速度に応
じて選べばよく、押出速度は通常15〜500kg/h
とされる。
【0040】前記低圧域とは、通常大気圧下であるが、
必要に応じて大気圧よりも低くなるように減圧された雰
囲気でもよい。前記発泡性樹脂組成物は高圧域の押出機
内から低圧域に押し出されることにより発泡される。
【0041】押出発泡法によって発泡体を製造するばあ
い、押出直後の発泡体は高温の状態から冷却されて固化
するまでの間に形が整えられて1次発泡成形体となる。
目的とする1次発泡成形体がボード状や棒状で肉厚であ
るばあいには、冷却固化に要する時間が長くなるために
基材樹脂のドローダウンによる破泡や気泡の合一化がお
こる。それらを防ぐために樹脂の溶融粘度を高くしたり
溶融張力を高くすることが必要であると従来考えられて
いた。一方、目的とする1次発泡成形体が発泡シートの
ばあいには、所望の厚さや目付量とするために押出直後
の比較的薄肉の発泡体を縦横方向にさらに引き延ばして
成形される。しかし、こうした発泡シートの1次成形で
は、樹脂の溶融粘度や溶融張力が高くてもシート状に成
形する際にシートが一様に引き伸ばされずにしわが発生
するなど、必ずしも1次成形性が良好ではないことを本
発明者らは見出した。さらに、検討の結果、発泡時の温
度における基材樹脂の伸び特性を管理する、具体的には
最大伸び指数と所定の伸び指数のときの溶融張力とが所
定の範囲になるように調整することにより芳香族熱可塑
性ポリエステル系樹脂発泡シートの1次成形性が改良さ
れることを見出した。
【0042】発泡シートの1次成形では、基材樹脂は押
出直後の発泡開始に伴い、薄肉のセル膜を形成し、その
あとのセルの膨張に伴って膜が引き伸ばされる。セル膜
を形成する樹脂はこうした変形に対する応力を発生する
が、この応力が大きすぎるとセルの膨張がし難くなるた
めに所望の発泡倍率がえられなくなり、応力が小さすぎ
るとセルは容易に膨張するために気泡が粗大化してしま
い、微細気泡の発泡体がえられなくなる。さらに、抵抗
力が高すぎるばあい、シートを引き取るために多大な力
を必要とするため充分にシートを引き伸ばすことができ
なくなる。一方、シート成形時には押出後の樹脂を平面
方向に引き伸ばすことが必要となるため、樹脂もそうし
た変形を許容できる柔軟性を有することが必要となる。
【0043】前記シート状に押し出された発泡シートは
幅方向および流れ方向に引き延ばされて所望の厚さのシ
ートに成形されたのち、冷却されて発泡シートの1次成
形品としてえられる。
【0044】幅方向とは、押し出されるシートの進行方
向と垂直の方向であり、流れ方向とは押し出されるシー
トの進行方向のことである。
【0045】発泡シートの1次成形品押出孔の断面形状
が円環状で押し出される発泡シートが円筒状であるばあ
いには、押出機の前方に押出孔の径の1.1〜5倍程度
の外径を有する円筒状のマンドレルを中心軸が発泡シー
トの進行方向と平行となるように配置して、押出直後の
発泡シートをマンドレルに導いて発泡シートの内面をマ
ンドレルに接触させながら進行させ、発泡シートが冷却
固化したのち一部を切り開くことにより平坦な発泡シー
トをうることができる。
【0046】本発明によって製造される発泡シートは、
その用途に応じてさまざまな厚さとして用いることがで
きるが、その厚さを0.5〜5mm、さらには0.5〜
3mmとすることが好ましい。厚さが0.5mm未満の
ばあい、発泡シートの強度や剛性が不足する傾向があ
り、5mmをこえるばあいは厚さ方向の気泡径の均一性
が損なわれやすい傾向がある。また、その密度を好まし
くは0.6g/cm3以下、さらに好ましくは0.5g
/cm3以下で好ましくは0.05g/cm3以上、さら
に好ましくは0.1g/cm3以上とすることによっ
て、軽量性などの発泡体としての利点を生かすことがで
きる。さらには、発泡シート中に存在する気泡の独立気
泡率を80%以上、好ましくは90%以上とすることで
断熱性をより高めることができる。
【0047】平均セル径としては、10〜2000μ
m、さらには30〜500μmが好ましい。平均セル径
が10μm未満のばあい、2次成形用素材として利用し
ようとするときに成形性が低下する傾向になり、200
0μmをこえるとシートの機械的特性が充分でなくなる
傾向がある。
【0048】本発明の製法によりえられる芳香族ポリエ
ステル系樹脂発泡シートは、たとえばそのままで緩衝
材、包装材などに使用できるほか、耐熱容器、断熱容
器、緩衝包装材などに加工するための1次成形材などに
好ましく使用しうる。
【0049】
【実施例】つぎに、本発明の芳香族ポリエステル系樹脂
発泡シートの製法を実施例にもとづいてさらに詳細に説
明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0050】なお、芳香族ポリエステル系樹脂の溶融物
性、見かけ密度、気泡の大きさ、独立気泡率、シート外
観は以下の方法で測定した。
【0051】(芳香族ポリエステル系樹脂の溶融物性)
長さ10mm、径1mm、入り口角90度のキャピラリ
ーダイを取り付けたキャピログラフ(東洋精機(株)
製)に樹脂約20gを供給し、所定の温度に保ちながら
0.91m/minの押出速度で押し出したストランド
を引き取りロールで挟んで初速度1.0m/min、加
速度0.4m/sec2の引取速度で引き取りながら、
樹脂の応力を測定した。
【0052】引取速度が18.2m/minのときの応
力を伸び指数2における溶融張力とした。
【0053】ストランドが破断したときの引取速度を測
定し、 (破断したときの引取速度) / (押出速度) を最大伸び指数とした。
【0054】(見かけ密度)JISK7112「プラス
チックの密度と比重の測定方法」のA法(水中置換法に
よる測定方法)に準じて測定した。
【0055】(平均セル径)透過型電子顕微鏡を用いて
ASTM D3576に準じて測定した。
【0056】(独立気泡率)マルチピクノメーター(湯
浅アイオニクス(株)製)を用いてASTM D285
6に準じて測定した。
【0057】(シート外観)目視観察により、シートの
裂け、表面のしわ、厚みおよび気泡のばらつきを評価し
た。
【0058】実施例1 シリンダー径30mm、L/D=24の異方向回転噛合
型2軸押出機に、ポリエチレンテレフタレート(固有粘
度0.65dl/g)のペレット100部、ピロメリッ
ト酸0.6部、トリフェニルホスファイト0.2部の割
合で混合した組成物を振動式定量フィーダーより16k
g/hの割合で供給してシリンダー温度260〜280
℃の条件で溶融混練し、樹脂組成物のペレットを作製し
た。
【0059】つぎに1段目の押出機として、シリンダー
後半部に発泡剤注入口を有するシリンダー径45mmの
同方向回転噛合型2軸押出機を、2段目の押出機とし
て、先端に口径30mmのサーキュラー金型を付設した
シリンダー径50mmの単軸押出機をそなえ、両者を搬
送管で連結したタンデム型押出機に、該ペレット100
部、タルク(平均粒径3.2μm)0.2部、ブレンド
オイル(越谷化成工業(株)製、スーパーイーズ)0.
05部の割合で混合した組成物を振動式定量フィーダー
より16kg/hの割合で供給し、1段目押出機後端に
設けた発泡剤注入口より発泡剤として液化ブタンガスを
溶融物100部に対して2.0部の割合で注入して、以
下に示す条件で大気圧中に連続的に発泡体をおしだし
た。さらに、表面温度を30℃に保った口径120mm
のアルミニウム製円筒状冷却用マンドレルに密着させな
がら進行させることにより円筒シート状に成形したの
ち、この円筒状発泡シートを切り開いて厚さ1.3mm
の平坦なポリエステル系樹脂発泡シートをえた。
【0060】 [タンデム型押出機の押出条件] 1段目押出機シリンダー温度 265〜290℃ 搬送管温度 280〜285℃ 2段目押出機シリンダー温度 270〜280℃ 2段目押出機ヘッド温度 270〜280℃ 2段目押出機金型温度 270℃ 押出量 16kg/h 押出樹脂温度 270℃
【0061】えられた発泡シートについて、見かけ密
度、気泡の大きさ、独立気泡率およびシート外観を評価
した。結果を表1に示す。
【0062】また、発泡剤を注入しなかった以外は前記
の方法と同様にしてえられた熱可塑性ポリエステル系樹
脂組成物の270℃における溶融物性を前記の方法で測
定したところ、伸び指数2における溶融張力は30セン
チニュートン(cN)、最大伸び指数は7.5であっ
た。
【0063】なお、前記溶融物性は、タルクおよびブレ
ンドオイルを含んだ組成物として測定したものである
が、それらは微量成分であるため、変性した芳香族ポリ
エステル系樹脂の溶融物性にほとんど影響を与えるもの
ではなく、実質的に変性したポリエステル系樹脂の溶融
物性とかわらないことは実験により確認している。これ
は、以下実施例2〜4および比較例1、2においても同
様である。
【0064】実施例2 実施例1において、ピロメリット酸を0.4部とした以
外は、実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを作
製した。
【0065】ついで、実施例1と同様にして厚さ1.2
mmの平坦な発泡シートをえた。
【0066】えられた発泡シートについて、見かけ密
度、気泡の大きさ、独立気泡率およびシート外観を評価
した。結果を表1に示す。
【0067】また、発泡剤を注入しなかった以外は前記
の方法と同様にしてえられた熱可塑性ポリエステル系樹
脂組成物の270℃における溶融物性を測定したとこ
ろ、伸び指数2における溶融張力は11cN、最大伸び
指数は41.0であった。
【0068】実施例3 実施例1において、ピロメリット酸を0.8部とした以
外は、実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを作
製した。
【0069】ついで、2段目押出機金型温度および押出
樹脂温度を280℃とした以外は実施例1と同様にして
厚さ1.3mmの平坦な発泡シートをえた。
【0070】えられた発泡シートについて、見かけ密
度、気泡の大きさ、独立気泡率およびシート外観を評価
した。結果を表1に示す。
【0071】また、発泡剤を注入しなかった以外は前記
の方法と同様にしてえられた熱可塑性ポリエステル系樹
脂組成物の280℃における溶融物性を実施例1と同様
にして測定したところ、伸び指数2における溶融張力は
17cN、最大伸び指数は5.6であった。
【0072】比較例1 実施例3において、2段目押出機金型温度および押出樹
脂温度を270℃とした以外は実施例1と同様にして発
泡シートの製造を行なったが、しわおよび裂けが多発し
平坦な発泡シートをえることができなかった。
【0073】また、発泡剤を注入しなかった以外は前記
の方法と同様にしてえられた熱可塑性ポリエステル系樹
脂組成物の270℃における溶融物性を測定したとこ
ろ、伸び指数2における溶融張力は33cN、最大伸び
指数は3.3であった。
【0074】比較例2 実施例1で用いたのと同様のタンデム型押出機に、ポリ
エチレンテレフタレート(固有粘度0.65dl/g)
のペレット100部、無水ピロメリット酸0.3部、タ
ルク0.2部、ブレンドオイル0.05部の割合で混合
した組成物を振動式定量フィーダーより16kg/hの
割合で供給し、発泡剤注入口より発泡剤として液化ブタ
ンガスを溶融物100部に対して2.0部の割合で注入
して、実施例1と同様の条件で大気圧中に連続的に発泡
体をおしだした。さらに、表面温度を30℃に保った口
径120mmのアルミニウム製円筒状冷却用マンドレル
に密着させながら進行させることにより円筒シート状に
成形したのち、この円筒状発泡シートを切り開いて厚さ
1.2mmの平坦な発泡シートをえた。
【0075】えられた発泡シートについて、見かけ密
度、気泡の大きさ、独立気泡率およびシート外観を評価
した。結果を表1に示す。
【0076】また、発泡剤を注入しなかった以外は前記
の方法と同様にしてえられた熱可塑性ポリエステル系樹
脂組成物の270℃における溶融物性を測定したとこ
ろ、伸び指数2における溶融張力は2.1cN、最大伸
び指数は73であった。
【0077】
【表1】
【0078】
【発明の効果】本発明の製法によれば、簡便な方法で、
均一で微細な気泡を有する熱可塑性ポリエステル系樹脂
の発泡シートを安定的に製造することができる。本発明
によってえられる発泡シートは、たとえばそのままで緩
衝材、包装材などに使用できるほか、耐熱容器、断熱容
器、緩衝包装材などに加工するための1次成形材などに
利用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 7:00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリエステル系樹脂を押出機内で
    発泡剤と溶融混合し、えられた溶融物を低圧域にシート
    状に押し出して発泡させたのち、流れ方向および幅方向
    に引き延ばして発泡シートとするポリエステル系樹脂発
    泡シートの製法において、押出温度における、最大伸び
    指数が5〜70で、伸び指数2における張力が3〜30
    センチニュートンとなるように変性した芳香族ポリエス
    テル系樹脂を用いることを特徴とする芳香族ポリエステ
    ル系樹脂発泡シートの製法。
JP9331462A 1997-12-02 1997-12-02 芳香族ポリエステル系樹脂発泡シートの製法 Pending JPH11166066A (ja)

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