JPH11165497A

JPH11165497A - エンボス化粧材

Info

Publication number: JPH11165497A
Application number: JP34731397A
Authority: JP
Inventors: Masaru Okamoto; 優岡本; Yoshiaki Kakinuma; 良明柿沼
Original assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd
Current assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date: 1997-12-03
Filing date: 1997-12-03
Publication date: 1999-06-22

Abstract

(57)【要約】【課題】薄いエンボス用基材を用いて、これまでの厚
い基材に深いエンボスを施したエンボス化粧材に匹敵す
るエンボスパターンの再現性、意匠性を有するエンボス
化粧材の提供を目的とする。【解決手段】化粧材の基材最表面に所定のエンボスパ
ターンに応じてエンボスされて形成された凹陥部の底面
にＶ字状万線凸条もしくは凹条を形成し、前記Ｖ字状万
線凸条もしくは凹条のＶ字屈折点を前記エンボスパター
ンの長手方向の中心線に沿って配列させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜化した基材の
使用をも可能とするエンボス化粧材に関する。

【０００２】

【従来の技術】エンボス化粧材には種々なエンボスパタ
ーンが使用されるが、中でも木目柄の導管溝パターンは
エンボスパターンの代表的なものであり、天然木材の有
する木目導管断面をリアルに再現することによって質
感、高級感、意匠性を高めた化粧材が広く利用されてい
る。これらは、一般に木材板の木目導管断面に相当する
部分の凹凸模様がエンボスされたものである。導管溝の
外観をより天然のものに近づけるため、より好ましくは
エンボスによって形成された凹陥部にワイピング等の手
法によって濃度のある着色材（インキ等）が充填されて
いる。一般に、エンボス化粧材の製造に使用される従来
のエンボス版の版深（凸状部の高さといいかえてもよ
い）は、天然の導管溝の外観を再現するため１００μｍ
以上ある。従ってエンボス時に使用される基材シートの
厚みは少なくとも１００μｍを必要としている。さら
に、近年、所謂、ダブリングエンボス（着色ベースシー
ト上に透明トップシートを熱融着で積層すると同時に透
明トップシートにエンボスする方法）が多用されるよう
になり、しかも、それに使用される透明トップシートを
熔融押出し成型し、インラインで冷却ローラーをエンボ
ス版としてエンボスを行う製造方法が実施されるように
なってきている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この場合、エンボス加
工が施されるトップシート基材には、押出し成型時の効
率性、材料コストの低減から、８０μｍ以下の厚みが望
まれている。従ってエンボス版の版深も８０μｍ以下に
せざるを得ないが、単に版深を下げたのでは、エンボス
による意匠効果が弱まってしまうという問題がある。こ
の傾向は、オーク系の木目導管柄の場合に特に顕著であ
る。また、これまでのエンボス版によるエンボスでは、
エンボスされて形成される導管部の内部が単調な表現に
なり易く、エンボス後にシート基材面にマットＯＰ処理
等による艶調整処理を行うと導管部が目立ちすぎるとい
う問題が生じる。本発明は、前述の問題点に鑑みてなさ
れたもので、トップシート基材の厚みを下げ、浅い版深
のエンボス版を使用しても、これまでの厚いトップシー
ト基材に深いエンボス版を用いて賦型してなるエンボス
化粧材に匹敵する外観再現、意匠性をもたらし、また、
周辺部の艶を抑えても導管部が目立たなくなるようなエ
ンボス化粧材の提供を目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
本発明では、化粧材の基材最表面に所定のエンボスパタ
ーンに応じてエンボスされて形成された凹陥部の底面に
Ｖ字状万線凸条もしくは凹条を形成する。また、前記Ｖ
字状万線凸条もしくは凹条のＶ字屈折点を前記エンボス
パターンの長手方向の中心線に沿って配列する。

【０００５】

【発明の実施の形態】エンボス化粧材とは、エンボス加
工が施されたシート或いは板である。材料としては、通
常、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系熱可
塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポ
リエステル樹脂、ウレタン樹脂、ＡＢＳ，ポリスチレン
等の熱可塑性樹脂が用いられる。用途としては、壁、
床、天井等の建築物の内装材、扉、窓枠、手摺等の建
具、家電製品の筐体、箪笥等の家具、箱等の容器、車両
等の内装材、船舶内装材等であって、必要に応じて更に
任意の素材が裏打ちして使用される。また、本発明が狙
う凹凸模様（エンボスパターン）の代表的なものは、天
然木材板を再現した木目柄に見られる木目導管断面パタ
ーン（以下導管パターン）であるので、以下導管パター
ンの場合について説明する。無論、本発明は、導管パタ
ーン以外にもタイルや煉瓦配列の目地溝、トラバーチン
大理石の凹陥部、溝状の彫刻模様（唐草文字等）等の場
合にも適用が可能である。

【０００６】図１は、天然木材板に見られる木目模様の
なかから導管溝が構成する導管パターンだけを抽出した
図柄の一例である。このように導管パターンＤのみを画
像として抽出する方法としては、従来から木目導管パタ
ーンの写真製版で公知の各種方法を応用すればよい。例
えば、天然木材板全面に黒色系のインキを塗布した後、
ドクターブレード、布等で拭き取って導管溝内にのみイ
ンキを充填した上で写真撮影する方法が挙げられる。個
々の導管パターンＤは、一見不規則に見えるが、木材の
導管を斜めにカットすることにより略同一方向に延びる
長楕円形乃至はそれを変形させた形状である。

【０００７】図２は、本発明によるエンボス化粧材のエ
ンボスパターンの説明図である。図２（ａ）は、前述の
長楕円の導管パターンＤのパターンモデルの平面視（平
面図）であり、これは、本発明のエンボスパターンの一
つの構成要素となるものである。木目の種類により異な
るが、一般に，導管パターンの幅（短径）Ｗは、１００
〜５００μｍ程度であり、長さは、１〜３０ｍｍ程度で
ある。図２（ｂ）は、本発明による導管パターンのもう
一つの構成要素となるＶ字状万線パターンＳの平面視
（平面図）である。このＶ字状万線パターンは，センタ
ーラインｃを介して万線（平行直線群）がＶ字状に折れ
曲がり、センターラインと左右の万線との角度θは３０
〜４５°の範囲にあることが好ましい。また万線の幅
ａ、万線同志の間隔ｂは、それぞれ１０〜３０μｍの範
囲に有ることが好ましく、その値はエンボスの深度に応
じて適宜設定すればよい。また、図示は略すが、万線パ
ターンＳは、直線以外に曲線であってもよい。図２
（ｃ）は、上述の導管パターンＤとＶ字状万線パターン
Ｓの２種のパターンから合成された最終的に本発明によ
るエンボス化粧材２０の最表面に形成されるエンボスパ
ターン１０の平面視（平面図）であって、導管パターン
Ｄの長手方向の中心線にＶ字状万線パターンＳのセンタ
ーラインｃが略一致するようにＶ字状万線パターンＳを
貼り込んでなるものである。

【０００８】次に、このエンボスパターン１０の実際の
作成方法について説明する。図１に示すような、天然の
木目模様から抽出された導管パターンの原画像をＣＥＰ
Ｓ(COLOR ELECTRONIC PREPRESS SYSTEM)等のスキャナー
によって電気信号として入力し、さらにこれをＡＤ変換
して２値化されたデジタル画像データをハードディスク
等の記憶装置に記憶させる。また、万線の幅、Ｖ字の角
度等の異なる図２（ｂ）に示すＶ字状万線パターンＳを
複数種作図し、これらも２値化されたデジタル画像デー
タとしてハードディスク等の記憶装置に記憶させてお
く。以上の画像データはいずれもディスプレー画面に出
力させて、画面上で不鮮明な導管パターン、汚れ等を修
正しておく。さらに、導管パターンＤに対してその内側
領域にＶ字状万線パターンＳを張り込む、いわゆる貼り
込みソフトを予め用意する。これは、導管パターンＤの
形状、傾き等がいかように変わろうともその長手方向の
中心線に対して複数種の中から選ばれたＶ字状万線パタ
ーンＳのセンターラインｃを一致させて「貼り込み」操
作を可能とするものである。以上のような環境の中で、
導管パターンＤに対してＶ字状万線パターンＳの貼り込
み操作を行い、図２（ｃ）に示すような合成されたパタ
ーン１０をディスプレー画面に出力させ、更に修正、確
認の上、この画像を導管パターンＤと導管状のＶ字状万
線パターンＳ’とに分離して再度それぞれが対応して取
り出せるように記憶装置に記憶させておく。

【０００９】図３は、本発明に使用するエンボス版の製
造工程とエンボス加工工程の説明図（断面図）である。
図４は、本発明に使用するエンボス版およびエンボス化
粧材の導管部の斜視図である。以下、図３、図４によっ
て、エンボス版の製造法とエンボス方法について説明す
る。なお、図３は、図２のｘ−ｘ’断面の一部を示した
ものである。先ず、図３に示すように、エンボスシリ
ンダー１の上にレジスト感光液（ネガ型、ポジ型のいず
れでもよい）を塗布し、その面に図２（ｃ）で示すＶ字
状万線パターンＳ’の画像をアルゴンイオンレーザー等
のレーザー光で出力（露光）して焼き付け、現像するこ
とによって、Ｖ字状万線パターンＳ’の万線間の白抜き
部分のみに，あるいは黒ベタ部分のみにレジスト層２を
形成する。通常、このような露光は、レーザー光のビー
ムを２次元的に走査させつつ画像データによってＯＮ，
ＯＦＦ等の変調を行うことによってなされる。この面の
非レジスト部を略均一な深さｄ１になるように第１次腐
食を行うと、図３に示すような凹凸形状が得られる。
この状態の斜視図が，図４（ａ）によって示され、エン
ボスシリンダー面にはＶ字状万線凸条３が形成される。
次に、再度レジスト感光液を全面に塗布して、Ｖ字状万
線凸条３と見当を合わせて導管パターンＤの画像をレー
ザー光で出力して焼き付け、現像して図３に示すよう
に、導管パターン以外を非レジスト部とし、この状態で
第２次腐食を行って、所定の導管エンボス深度ｄ２にま
で腐食すると、図３に示すような導管凸状部４が形成
された状態となる。続いて、化粧材表面の艶の制御を行
うために、腐食面に対してサンドブラスト等の方法で微
小な凹凸形状面５を形成し、レジスト剥離を行い、全面
にクロムメッキを施せば図３に示すようなエンボス版
２０が得られる。このエンボス版２０の斜視図は、図４
（ｂ）によって示される。

【００１０】図５は、本発明に使用するエンボス加工方
法の説明図である。本発明によるエンボス化粧材のエン
ボス加工工程は、図３、に示すように、エンボス版
２０に形成された凹凸形状を、加熱軟化せしめた透明シ
ート基材１１に賦型する工程であって、図３に示すエ
ンボス加工された本発明によるエンボス化粧材３０に
は、エンボス版２０の凹凸形状が忠実に賦型され、その
結果、エンボス版の導管凸状部４が賦型された導管部１
４の底面にはＶ字状万線凹状１３が同時に賦型される。
これは底面だけを見る限りにおいてＶ字状万線凸条と見
做すこともできる。このようにしてエンボス加工された
エンボス化粧材３０の導管部の斜視図は、図４（ｃ）に
示される。図３に示すように、エンボスされる透明シ
ート基材１１の裏面は着色シート基材１２によってラミ
ネートされている。着色シート基材１２には予め木目模
様が印刷され、そのインキ層は図示はされていないが透
明シート基材１１と着色シート基材１２間にサンドイッ
チされているか、あるいは透明シート基材８表面に露出
している。なお、木目の色調によっては、着色シート基
材１２に代わって透明シート基材を使用してもよい。こ
のエンボス加工方法には、図５（ａ）に示すように、エ
クストルーダーＥｘから高温で押出される透明な熔融樹
脂と着色シート基材１２とをクーリングロラーの機能を
兼ねたエンボス版２０とニップローラー（圧胴）Ｎとの
間で押圧し、ラミネートすると同時にエンボス版２０で
賦型を行いエンボス版２０からガイドローラーＧを通し
て離型させる方法を採用してもよいし、あるいは、透明
シート基材に対して加熱エンボス版２０を圧着させて賦
型を行い、オフラインで着色シート基材１２とのラミネ
ートを行ってもよい。また、図５（ｂ）に示すように、
エンボス版２０の表面の少なくとも凹部を充填するよう
に紫外線又は電子線硬化性樹脂液ｍを樹脂液供給装置Ｍ
から供給して、塗布し、必要に応じ透明トップシート基
材１１を該樹脂液Ｍ上に積層し、透明シート基材１１を
通して紫外線または電子線照射装置Ｄを用いて前記紫外
線又は電子線硬化性樹脂液を硬化後エンボス版２０から
離型させ、その後、図示はされていないが、オフライン
で着色シート基材１２をラミネートさせてもよい。

【００１１】上記のエンボス工程においてエンボス版２
０が有する凹凸形状は忠実に透明シート基材１１に賦型
される。従って本発明による化粧材３０も導管部１４の
成形深度は前述の腐食深度ｄ１＋ｄ２に略同等の深度を
有する。本発明による化粧材３０の導管部１４において
は、通常の導管部よ異なり、Ｖ字状万線凹条１３が形成
されている。これはまた見方によっては、Ｖ字状万線凸
条と見做すことができる。本発明による化粧材３０にお
いては、このＶ字状万線凹条１３が底部に存在するため
に、中心線が強調され、実際のエンボス深度以上に深く
見せる視覚的効果を発揮する。従って、従来の導管部の
エンボスの場合、一般にエンボス版における腐食深度
は、１００〜１４０μｍに及ぶが、本発明によるエンボ
ス化粧材３０の場合のエンボス深度は、８０〜１１０μ
ｍ程度の深度にとどめても十分な視角的再現性を得るこ
とができる。また、Ｖ字状万線凹条１３が底面の作る影
が導管部を暗く見せるので、導管部周辺にサンドブラス
ト、ＯＰ加工等によって微細な凹凸形状５を形成して
も、導管部が異常に目立つような現象も抑えることがで
きる。また、後工程で、ワイピングによって導管部に黒
色系のインキを充填させ、導管パターンを天然木材板に
近づける工程も木目によっては省くことができる。また
例えワイピングを行ったとしても、従来の場合に較べ僅
かな量のインキで済ますことができる。以上のような視
覚に与える効果によって、本発明による化粧シートは、
厚みの少ない基材を使用し、浅いエンボス深度にもかか
わらず天然木材が有する木目柄等の凹凸模様をリアル
に、力強く、立体的に、質感を持たせて再現することが
できる。本発明による化粧材３０の視覚効果を木目エン
ボス化粧材を例にして説明したが、前述のように木目エ
ンボス化粧材以外の場合にも同一効果を奏する。

【００１２】

【発明の効果】本発明によれば、化粧材最表面のエンボ
ス部の底面にＶ字状万線凹条若しくは凸条をそのＶ字屈
折点が、前記エンボス部の長手方向の中心線に沿って配
列するように形成することにより、深度の少ないエンボ
ス版で、従来よりも薄い基材に対してエンボス加工して
も実際の深度より深く見える視覚効果を奏するので、従
来よりも薄手の基材を利用することができ、特に薄膜の
トップシートの押出し成型とインラインでダブリングエ
ンボス加工を行う場合に有効で生産性の向上、トップシ
ート材の削減に貢献することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】天然木材に見られる木目模様のなかから導管溝
が構成する導管パターンだけを抽出した図柄の一例

【図２】本発明によるエンボス化粧材のエンボスパター
ンの説明図

【図３】本発明に使用するエンボス版の製造工程とエン
ボス加工工程の説明図

【図４】本発明に使用するエンボス版およびエンボス化
粧材の導管部の斜視図である。

【図５】本発明に使用するエンボス加工方法の説明図で
ある。

【符号の説明】

１エンボスシリンダー２レジスト層３Ｖ字状万線凸条４導管凸状部５微細な凹凸形状１０本発明によるエンボスパターン１１透明シート基材１２着色シート基材１３Ｖ字状万線凹条１４導管エンボス部１５賦型された微細な凹凸形状２０本発明によるエンボス版３０本発明による化粧材ＥｘエクルトルーダーＧガイドローラーＮニップローラーｍ紫外線又は電子線硬化液Ｍ紫外線又は電子線硬化液供給装置

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】化粧材の基材最表面に所定のエンボスパ
ターンに応じてエンボスされて形成された凹陥部の底面
にＶ字状万線凸条もしくは凹条が形成されていることを
特徴とするエンボス化粧材。
【請求項２】前記Ｖ字状万線凸条もしくは凹条のＶ字
屈折点が、前記エンボスパターンの長手方向の中心線に
沿って配列していることを特徴とする請求項１記載のエ
ンボス化粧材。