JPH11161939A - 非磁性下地層を有する磁気記録媒体用基体及び該基体を用いた磁気記録媒体 - Google Patents

非磁性下地層を有する磁気記録媒体用基体及び該基体を用いた磁気記録媒体

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JPH11161939A
JPH11161939A JP34383497A JP34383497A JPH11161939A JP H11161939 A JPH11161939 A JP H11161939A JP 34383497 A JP34383497 A JP 34383497A JP 34383497 A JP34383497 A JP 34383497A JP H11161939 A JPH11161939 A JP H11161939A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光透過率が小さく、表面平滑で、強度が大き
く、且つ、耐久性が優れた磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 非磁性支持体と該非磁性支持体上に形成
される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む非磁性下地
層とからなる磁気記録媒体用基体において、前記非磁性
粒子粉末はZr換算で0.05〜30重量%のジルコニ
ウムを粒子内部に含有している鉄を主成分とする針状非
磁性粒子粉末である非磁性下地層を有する磁気記録媒体
用基体及び該基体を用いた磁気記録媒体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光透過率が小さく、表
面平滑で、強度が大きく、且つ、耐久性に優れた非磁性
下地層を有する磁気記録媒体用基体及び該基体を用いた
磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオ用、オーディオ用磁気記録
再生用機器の長時間記録化、小型軽量化が進むにつれ
て、磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体に対す
る高性能化、即ち、高密度記録化、高出力特性、殊に周
波数特性の向上、低ノイズ化の要求が益々強まってい
る。
【0003】磁気記録媒体のこれら諸特性を向上させる
ために、磁性粒子粉末の高性能化及び磁気記録層の薄層
化の両面から、種々の試みがなされている。
【0004】先ず、磁性粒子粉末の高性能化について述
べる。
【0005】磁気記録媒体に対する上記のような要求を
満足させる為に適した磁性粒子粉末の特性は、高い保磁
力と大きな飽和磁化とを有することである。
【0006】近年、高出力並びに高密度記録に適する磁
性粒子粉末として針状マグヘマイト粒子や針状マグネタ
イト粒子にCoを被着したCo被着型磁性酸化鉄粒子や
針状ゲータイト粒子又は針状ヘマタイト粒子を還元性ガ
ス中で加熱還元することにより得られる鉄を主成分とす
る針状金属磁性粒子粉末が広く使用されている。
【0007】次に、磁気記録層の薄層化について述べ
る。
【0008】近時におけるビデオテープの高画像高画質
化に対する要求は益々強まっており、従来のビデオテー
プに比べ、記録されるキャリアー信号の周波数が益々高
くなっている。即ち、短波長領域に移行しており、その
結果、磁気テープの表面からの磁化深度が著しく浅くな
っている。
【0009】短波長信号に対して、磁気記録媒体の高出
力特性、殊に、S/N比を向上させる為には、磁気記録
層の薄層化が強く要求されている。この事実は、例え
ば、株式会社総合技術センター発行「磁性材料の開発と
磁粉の高分散化技術」(1982年)第312頁の「‥
‥塗布型テープにおける高密度記録のための条件は、短
波長信号に対して、低ノイズで高出力特性を保持できる
ことであるが、その為には保磁力Hcと残留磁化Brが
‥‥共に大きいことと塗布膜の厚みがより薄いことが必
要である。‥‥」なる記載の通りである。
【0010】磁気記録層の薄層化が進む中で、いくつか
の問題が生じている。第一に、磁気記録層の平滑化と厚
みむらの問題であり、周知の通り、磁気記録層を平滑で
厚みむらがないものとするためには、ベースフィルムの
表面もまた平滑でなければならない。この事実は、例え
ば、工学情報センター出版部発行「磁気テープ−ヘッド
走行系の摩擦摩耗発生要因とトラブル対策−総合技術資
料集(−以下、総合技術資料集という−)」(昭和62
年)第180及び181頁の「‥‥硬化後の磁性層表面
粗さは、ベースの表面粗さ(バック面粗さ)に強く依存
し両者はほぼ比例関係にあり、‥‥磁性層はベースの上
に塗布されているからベースの表面を平滑にすればする
ほど均一で大きなヘッド出力が得られS/Nが向上す
る。‥‥」なる記載の通りである。
【0011】第二に、ベースフィルムもまた磁性層と同
様に薄層化が進んでおり、その結果、ベースフィルムの
強度が問題となってきている。この事実は、例えば、前
出「磁性材料の開発と磁粉の高分散化技術」第77頁の
「‥‥高密度記録化が今の磁気テープに課せられた大き
なテーマであるが、このことは、テープの長さを短くし
てカセットを小型化していく上でも、また長時間記録に
対しても重要となってくる。このためにはフィルムベー
スの厚さを減らすことが必要な訳である。‥‥このよう
に薄くなるにつれてテープのスティフネスが急激に減少
してしまうためレコーダーでのスムーズな走行がむずか
しくなる。ビデオテープの薄型化にともない長手方向、
幅方向両方向に渡ってのこのスティフネスの向上が大い
に望まれている。‥‥」なる記載の通りである。
【0012】ところで、現在、特にビデオテープ等の磁
気記録媒体の磁気テープ終端の判定は、磁気記録媒体の
光透過率の大きい部分をビデオデッキによって検知する
ことにより行われている。磁気記録媒体の薄層化や磁気
記録層中に分散されている磁性粒子粉末の超微粒子化に
伴って磁気記録層全体の光透過率が大きくなるとビデオ
デッキによる検知が困難となる為、磁気記録層にカーボ
ンブラック等を添加して光透過率を小さくすることが行
われている。そのため、現行のビデオテープにおいては
磁気記録層へのカーボンブラック等の添加は必須となっ
ている。
【0013】しかし、非磁性のカーボンブラック等を多
量に添加することは、高密度記録化を阻害するばかりで
なく、薄層化をも阻害する原因となる。磁気テープの表
面からの磁化深度を浅くして、磁気テープの薄層化をよ
り進めるためには、磁気記録層に添加するカーボンブラ
ック等の非磁性粒子粉末をできるだけ少なくすることが
強く要求されている。
【0014】そこで、磁気記録層に添加するカーボンブ
ラック量を少なくしても光透過率が小さい磁気記録媒体
が強く要求されており、この点からも基体の改良が強く
要求されている。
【0015】更に、近時における磁気記録媒体の高性能
化の要求はとどまるところがなく、上述した磁気記録層
の薄層化や非磁性支持体の薄層化に伴って、磁気記録層
表面や磁気記録媒体自体の耐久性が低下することとなる
ため、磁気記録層表面や磁気記録媒体自体の耐久性を向
上させることが強く要求されている。
【0016】この事実は、特開平5−298679号公
報の「‥‥近年、磁気記録の発展と共に高画質、高音質
の要求がますます高まっており、電磁変換特性の改良、
特に強磁性粉末の微粒子化、高密度化が進められ、更に
磁気テープの表面を平滑化することでノイズを下げ、C
/Nを上げることが要求されている。‥‥しかしなが
ら、磁気テープの走行中において磁性層と装置系との接
触の摩擦係数が増大する結果、短時間の使用で磁気記録
媒体の磁性層が損傷を受け、あるいは磁性層が剥離する
傾向がある。特にビデオテープではビデオヘッドと磁気
記録媒体が高速で接触しながら走行するため、磁性層か
ら強磁性粉末が脱落しやすく、磁気ヘッドの目詰まりの
原因ともなる。従って、磁気記録媒体の磁性層の走行耐
久性の向上が望まれている。‥‥」なる記載から明らか
である。
【0017】磁気記録層の薄層化や非磁性支持体の薄層
化に伴って、磁気記録層を形成するための基体を改良す
る試みが種々行われており、ベースフィルム等の非磁性
支持体上にヘマタイト粒子や含水酸化第二鉄粒子等の鉄
を主成分とする非磁性粒子粉末を結合剤中に分散させて
なる下地層(以下、非磁性下地層という。)を少なくと
も1層設けることが行われており、既に、実用化されて
いる(特公平6−93297号公報、特開昭62−15
9338号公報、特開昭63−187418号公報、特
開平4−167225号公報、特開平4−325915
公報、特開平5−73882号公報、特開平5−182
177号公報、特開平5−347017号公報、特開平
6−60362号公報等)。
【0018】また、非磁性下地層用の非磁性粒子粉末と
しては、ビヒクル中への分散性等を改善する目的で粒子
表面をジルコニウム化合物等で処理した非磁性粒子が知
られている(特許第2566088号公報、特許第25
71350号公報、特許第2582051号公報、特開
平6−60362号公報、特開平9−22524号公
報、特開平9−27117号公報、特開平5−7388
3号公報、特開平6−60360号公報、特開平8−5
0718号公報、特開平8−255334号公報、特開
平9−27116号公報、特開平9−27117号公
報、特開平9−35245号公報)。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】磁気記録層の薄層化は
もちろん、非磁性支持体の薄層化に伴って、光透過率が
小さく、表面平滑で、強度が大きく、且つ、耐久性が優
れている磁気記録媒体は、現在最も要求されているとこ
ろであるが、このような諸特性を十分満たす磁気記録媒
体は未だ得られていない。
【0020】即ち、非磁性支持体上に非磁性粉末を結合
剤樹脂中に分散させた非磁性下地層を形成した基体を用
いて製造した磁気記録媒体は、光透過率が小さく、表面
が平滑で、強度が大きいものではあるが、耐久性が悪い
という問題があった。
【0021】この事実は、特開平5−182177号公
報の「‥‥支持体表面の非磁性の厚い下塗層を設けてか
ら磁性層を上層として設けるようにすれば前記の支持体
の表面粗さの影響は解消することができるが、ヘッド磨
耗や耐久性が改善されないという問題があった。これ
は、従来、非磁性下層として熱硬化系樹脂を結合剤とし
て用いているので、下層が硬化し、磁性層とヘッドとの
摩擦や他の部材との接触が無緩衝状態で行われること
や、このような下層を有する磁気記録媒体がやや可撓性
に乏しい等のことに起因していると考えられる。‥‥」
なる記載の通りである。
【0022】そこで、本発明は、光透過率が小さく、表
面平滑で、強度が大きく、且つ、耐久性に優れた磁気記
録媒体を得ることを技術的課題とする。
【0023】
【課題を解決する為の手段】前記技術的課題は、次の通
りの本発明によって達成できる。
【0024】即ち、本発明は、非磁性支持体と該非磁性
支持体上に形成される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを
含む非磁性下地層とからなる磁気記録媒体用基体におい
て、前記非磁性粒子粉末はZr換算で0.05〜30重
量%のジルコニウムを粒子内部に含有している鉄を主成
分とする針状非磁性粒子粉末、必要により、更に、アル
ミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の
水酸化物及びケイ素の酸化物の少なくとも1種で粒子表
面が被覆されている鉄を主成分とする針状非磁性粒子か
らなることを特徴とする非磁性下地層を有する磁気記録
媒体用基体である。
【0025】また、本発明は、前記非磁性下地層を有す
る磁気記録媒体用基体の上に、磁性粒子粉末と結合剤樹
脂とを含む磁気記録層を設けた磁気記録媒体である。
【0026】本発明の構成をより詳しく説明すれば、次
の通りである。
【0027】先ず、本発明に係る非磁性下地層を有する
磁気記録媒体用基体について述べる。
【0028】本発明における鉄を主成分とする非磁性粒
子粉末は、針状ゲータイト(α−FeOOH)粒子等の
含水酸化第二鉄粒子粉末や針状ヘマタイト粒子粉末であ
り、これら粒子粉末は、Zr換算で0.05〜30重量
%のジルコニウムを粒子内部にほぼ均一に含有してい
る。
【0029】粒子内部に含有されているジルコニウム量
が鉄を主成分とする針状非磁性粒子に対しZr換算で
0.05重量%未満の場合には、得られた磁気記録媒体
は十分な耐久性を有しない。30重量%を越える場合に
は、得られた磁気記録媒体は十分な耐久性を有している
が、効果が飽和するため必要以上に含有させる意味がな
い。磁気記録媒体の耐久性を考慮すると0.5〜25重
量%が好ましい。より好ましくは1.0〜20重量%で
ある。
【0030】本発明における鉄を主成分とする針状非磁
性粒子粉末は、軸比(平均長軸径:平均短軸径、以下、
単に「軸比」という。)が2:1以上、好ましくは3:
1以上の粒子が好ましい。ビヒクル中での分散性を考慮
すれば、その上限値は、20:1以下、好ましくは1
0:1以下の粒子が好ましい。ここで、針状粒子とは、
針状はもちろん、紡錘状、米粒状等を含む意味である。
【0031】軸比が2:1未満の場合には、所望の塗膜
強度が得られ難くなる。
【0032】本発明における鉄を主成分とする針状非磁
性粒子粉末の平均長軸径は0.3μm以下である。平均
長軸径が0.3μmを越える場合には、粒子サイズが大
きすぎる為、塗膜の表面平滑性を害するので好ましくな
い。鉄を主成分とする針状非磁性粒子の平均長軸径が
0.005μm未満の場合には、ビヒクル中における分
散が困難となるので好ましくない。ビヒクル中における
分散性及び塗膜の表面平滑性を考慮すれば0.02〜
0.2μmが好ましい。
【0033】本発明における鉄を主成分とする針状非磁
性粒子粉末は、平均短軸径が0.0025〜0.15μ
mが好ましい。0.0025μm未満の場合には、ビヒ
クル中における分散が困難となるので好ましくない。平
均短軸径が0.15μmを越える場合には、粒子サイズ
が大きすぎる為、塗膜の表面平滑性を害するので好まし
くない。ビヒクル中における分散性及び塗膜の表面平滑
性を考慮すれば0.01〜0.10μmが好ましい。
【0034】本発明における鉄を主成分とする針状非磁
性粒子粉末としての針状ゲータイト粒子粉末は、BET
比表面積値が50m2 /g以上であることが好ましい。
50m2 /g未満の場合には、塗膜の表面平滑化に悪影
響を与えるので好ましくない。好ましくは70m2 /g
以上、より好ましくは80m2 /g以上であり、その上
限値は300m2 /gである。ビヒクル中における分散
性を考慮すると好ましくは250m2 /g以下、より好
ましくは200m2 /g以下である。
【0035】本発明における鉄を主成分とする針状非磁
性粒子粉末としての針状ヘマタイト粒子粉末は、BET
比表面積値が35m2 /g以上であることが好ましい。
35m2 /g未満の場合には、ヘマタイト粒子が粗大で
あったり、粒子及び粒子相互間で焼結が生じた粒子とな
っており、塗膜の表面平滑化に悪影響を与えるので好ま
しくない。好ましくは40m2 /g以上、より好ましく
は45m2 /g以上であり、その上限値は300m2
gである。ビヒクル中における分散性を考慮すると好ま
しくは100m2 /g以下、より好ましくは80m2
g以下である。
【0036】本発明における鉄を主成分とする針状非磁
性粒子粉末は、長軸径の粒度分布が幾何標準偏差値で
1.50以下であることが好ましい。1.50を越える
場合には、存在する粗大粒子が塗膜の表面平滑化に悪影
響を与えるので好ましくない。塗膜の表面平滑性を考慮
すれば、好ましくは1.40以下、より好ましくは1.
35以下である。工業的な生産性を考慮すれば、得られ
る鉄を主成分とする針状非磁性粒子の長軸径の粒度分布
の下限値は、幾何標準偏差値で1.01である。
【0037】本発明における鉄を主成分とする針状非磁
性粒子は、樹脂吸着強度が60%以上であり、好ましく
は65%以上であり、より好ましくは68%以上であ
る。
【0038】本発明における針状ヘマタイト粒子は、密
度化の程度をBET法により測定した比表面積SBET
と電子顕微鏡写真に示されている粒子から計測された長
軸径及び短軸径から算出した比表面積STEM 値との比で
示した場合、0.5〜2.5を有しているものが好まし
い。塗膜の表面平滑性及びビヒクル中における分散性を
考慮するとSBET /STEM の値は0.7〜2.0が好ま
しく、より好ましくは0.8〜1.6である。
【0039】本発明における鉄を主成分とする針状非磁
性粒子は、必要により、アルミニウムの水酸化物、アル
ミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化
物の少なくとも1種で粒子表面が被覆されていてもよ
い。粒子表面がこれら表面被覆物で被覆されている鉄を
主成分とする針状非磁性粒子は、結合剤樹脂とのなじみ
がよいので、ビヒクル中における分散性が優れたものと
なる。
【0040】上記表面被覆物の量は、アルミニウムの水
酸化物やアルミニウムの酸化物の場合はAl換算で、ケ
イ素の水酸化物やケイ素の酸化物の場合はSiO2 換算
で粒子の全重量に対し0.01〜50重量%が好まし
い。0.01重量%未満である場合には、被覆による分
散性向上効果が得られ難く、50重量%を越える場合に
は、被覆効果が飽和するため、必要以上に添加する意味
がない。ビヒクル中における分散性を考慮すれば、0.
05〜20重量%がより好ましい。
【0041】粒子表面が表面被覆物で被覆されている鉄
を主成分とする針状非磁性粒子粉末の軸比、平均長軸
径、平均短軸径、BET比表面積値、長軸径の粒度分
布、樹脂吸着強度及び密度化の程度は、表面被覆物で被
覆されていない鉄を主成分とする針状非磁性粒子粉末と
ほぼ同じである。
【0042】本発明における非磁性下地層は、非磁性支
持体上に形成されており、鉄を主成分とする針状非磁性
粒子粉末と結合剤樹脂とからなる。
【0043】非磁性支持体としては、現在、磁気記録媒
体に汎用されているポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエ
チレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、
ポリイミド等の合成樹脂フィルム、アルミニウム、ステ
ンレス等金属の箔や板および各種の紙を使用することが
でき、その厚みは、材質により種々異なるが、通常1.
0〜300μm、より好ましくは2.0〜200μmの
ものが用いられている。磁気ディスクの場合は、非磁性
支持体としてポリエチレンテレフタレートが通常用いら
れ、その厚みは、通常50〜300μm、好ましくは6
0〜200μmである。磁気テープの場合、その厚みは
材質により異なり、ポリエチレンテレフタレートの場合
は、通常3〜100μm、好ましくは4〜20μmであ
り、ポリエチレンナフタレートの場合は、通常3〜50
μm、好ましくは4〜20μmであり、ポリアミドの場
合は、通常2〜10μm、好ましくは3〜7μmであ
る。
【0044】本発明における非磁性支持体上に形成され
た非磁性下地層の塗膜厚さは、0.2〜10.0μmの
範囲である。0.2μm未満の場合には、非磁性支持体
の表面粗さを改善することが困難となり、強度も不十分
になりやすい。薄層の磁気記録媒体を得るためには上限
値は10.0μm程度が好ましく、より好ましくは0.
5〜5.0μmの範囲である。
【0045】結合剤樹脂としては、現在、磁気記録媒体
の製造にあたって汎用されている塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル
−マレイン酸共重合樹脂、ウレタンエラストマー、ブタ
ジエン−アクリロニトリル共重合樹脂、ポリビニルブチ
ラール、ニトロセルロース等セルロース誘導体、ポリエ
ステル樹脂、ポリブタジエン等の合成ゴム系樹脂、エポ
キシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイソシアネートポリマ
ー、電子線硬化型アクリルウレタン樹脂等とその混合物
を使用することができる。また、各結合剤樹脂には−O
H、−COOH、−SO3 M、−OPO2 2 、−NH
2 等の極性基(但し、MはH、Na、Kである。)が含
まれていてもよい。粒子の分散性を考慮すれば、極性基
−COOH、−SO3 Mが含まれている結合剤樹脂が好
ましい。
【0046】非磁性下地層における鉄を主成分とする針
状非磁性粒子粉末と結合剤樹脂との配合割合は、結合剤
樹脂100重量部に対し、鉄を主成分とする針状非磁性
粒子が5〜2000重量部、好ましくは100〜100
0重量部である。
【0047】尚、非磁性下地層に、通常の磁気記録媒体
の製造に用いられる潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等が必
要により含まれていてもよい。
【0048】本発明における鉄を主成分とする針状非磁
性粒子粉末を含有する非磁性下地層は、塗膜の光沢度が
170〜280%、好ましくは180〜280%、より
好ましくは185〜280%、塗膜表面粗度Raが2.
0〜15.0nm、好ましくは2.0〜13.0nm、
より好ましくは2.0〜12.0nm、ヤング率が12
5〜150、好ましくは127〜150、より好ましく
は130〜150である。
【0049】次に、本発明に係る磁気記録媒体について
述べる。
【0050】磁気記録媒体は、非磁性支持体上に形成さ
れた非磁性下地層の上に、磁性粒子粉末と結合剤樹脂か
らなる磁気記録層が設けられている。
【0051】本発明における磁性粒子粉末は、マグヘマ
イト粒子粉末、マグネタイト粒子粉末、マグヘマイトと
マグネタイトとの中間酸化物であるベルトライド化合物
粒子等の磁性酸化鉄粒子粉末、これらの磁性酸化鉄粒子
粉末にFe以外にCo、Al、Ni、P、Zn、Si、
B等の異種元素を含有させた粒子若しくはこれら磁性酸
化鉄粒子にCo等を被着させた粒子、鉄を主成分とする
金属磁性粒子、鉄以外のCo、Al、Ni、P、Zn、
Si、B等を含有する鉄合金磁性粒子、板状Baフェラ
イト粒子粉末並びにこれに保磁力低減剤である2価金属
(Co、Ni、Zn等)と4価金属(Ti、Sn、Zr
等)とを含有させた板状複合フェライト粒子粉末等のい
ずれも用いることができる。また、磁性粒子粉末は、平
均長軸径が0.01〜0.50μm、好ましくは0.0
3〜0.30μmであって、平均短軸径が0.0007
〜0.17μm、好ましくは0.003〜0.10μm
であって、軸比が3:1以上、好ましくは5:1以上の
粒子が好ましい。ビヒクル中での分散性を考慮すれば、
軸比の上限値は、15:1以下、好ましくは10:1以
下である。粒子の形状は、針状はもちろん、紡錘状、米
粒状、立方状、板状等のいずれでであってもよい。
【0052】本発明における磁性粒子粉末の磁気特性
は、高密度記録化等の諸特性を考慮すれば、保磁力は3
00〜3200Oeが好ましく、より好ましくは700
〜2500Oeであり、飽和磁化は60〜170emu
/gが好ましく、より好ましくは70〜170emu/
gである。
【0053】磁気記録層における結合剤樹脂には、非磁
性下地層を形成するのに用いた前記結合剤樹脂を使用す
ることができる。
【0054】非磁性下地層上に設けられた磁気記録層の
塗膜厚さは、0.01〜5.0μmの範囲である。0.
01μm未満の場合には、均一な塗布が困難で塗りむら
等が生じやすくなるため好ましくない。5.0μmを越
える場合には、反磁界の影響のため、磁気記録媒体の電
磁変換特性が得られにくくなる。好ましくは0.05〜
1.0μmの範囲である。
【0055】磁気記録層における磁性粒子粉末と結合剤
樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重量部に対し、
磁性粒子粉末が200〜2000重量部、好ましくは3
00〜1500重量部である。
【0056】磁気記録層中には、通常用いられる潤滑
剤、研磨剤、帯電防止剤等が必要により含まれていても
よい。
【0057】本発明に係る磁気記録媒体は、保磁力が3
00〜3500Oe、好ましくは500〜3500O
e、より好ましくは700〜3500Oe、角形比(残
留磁束密度Br/飽和磁束密度Bm)が0.85〜0.
95、好ましくは0.86〜0.95、塗膜の光沢度が
180〜300%、好ましくは190〜300%、塗膜
表面粗度Raが12.0nm以下、好ましくは2.0〜
11.0nm、より好ましくは2.0〜10.0nm、
ヤング率は130以上、好ましくは132以上、塗膜の
線吸収係数が1.10〜2.00μm-1好ましくは1.
20〜2.00μm-1、耐久性のうち走行耐久性は15
分以上、好ましくは20分以上、さらに好ましくは22
分以上であり、すり傷性はB以上、好ましくはAであ
る。
【0058】次に、本発明における鉄を主成分とする針
状非磁性粒子粉末であるとともに、針状ヘマタイト粒子
の出発原料でもある粒子内部にジルコニウムをほぼ均一
に含有している針状ゲータイト粒子粉末の製造法につい
て述べる。
【0059】粒子内部にジルコニウムをほぼ均一に含有
している針状ゲータイト粒子は、後に詳述する通り、第
一鉄塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液、炭酸アルカリ水
溶液又は水酸化アルカリ・炭酸アルカリ水溶液のいずれ
かとを用いて反応して得られる鉄の水酸化物や炭酸鉄等
の鉄含有沈澱物を含む懸濁液に空気等の酸素含有ガスを
通気して針状ゲータイト粒子を生成させるにあたり、上
記懸濁液中に空気等の酸素含有ガスを通気する前にジル
コニウム化合物をFeに対しZr換算で0.04mol
%から40mol%存在させておくことにより得ること
ができる。
【0060】ジルコニウム化合物としては、硫酸ジルコ
ニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、
酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム等を使用すること
ができる。
【0061】このようにして得られる針状ゲータイト粒
子は、粒子の中心部から粒子表面に至るまでジルコニウ
ムが実質的に均一に含有されている粒子である。
【0062】尚、針状ゲータイト粒子の代表的の基本反
応としては、第一鉄塩水溶液に当量以上の水酸化アル
カリ水溶液を加えて得られる水酸化第一鉄コロイドを含
む懸濁液をpH値11以上にて80℃以下の温度で酸素
含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより針状ゲー
タイト粒子を生成させる方法、第一鉄塩水溶液と炭酸
アルカリ水溶液とを反応させて得られるFeCO3 を含
む懸濁液を、必要により熟成した後、酸素含有ガスを通
気して酸化反応を行うことにより紡錘状を呈したゲータ
イト粒子を生成させる方法、第一鉄塩水溶液と炭酸ア
ルカリ・水酸化アルカリ水溶液とを反応させて得られる
鉄含有沈澱物を含む懸濁液を、必要により熟成した後、
酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより紡錘
状を呈したゲータイト粒子を生成させる方法、第一鉄
塩水溶液に当量未満の水酸化アルカリ水溶液又は炭酸ア
ルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄コロイド
を含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して酸化反
応を行うことにより針状ゲータイト核粒子を生成させ、
次いで、該針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩水溶液
に、該第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し当量以上の水酸
化アルカリ水溶液を添加した後、酸素含有ガスを通気し
て前記針状ゲータイト核粒子を成長させる方法、第一
鉄塩水溶液に当量未満の水酸化アルカリ水溶液又は炭酸
アルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄コロイ
ドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して酸化
反応を行うことにより針状ゲータイト核粒子を生成さ
せ、次いで、該針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩水
溶液に、該第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し当量以上の
炭酸アルカリ水溶液を添加した後、酸素含有ガスを通気
して前記針状ゲータイト核粒子を成長させる方法及び
第一鉄塩水溶液と当量未満の水酸化アルカリ又は炭酸ア
ルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄コロイド
を含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して酸化反
応を行うことにより針状ゲータイト核粒子を生成させ、
次いで、酸性乃至中性領域で前記針状ゲータイト核粒子
を成長させる方法等がある。
【0063】次に、粒子内部にジルコニウムをほぼ均一
に含有している針状ヘマタイト粒子粉末の製造法につい
て述べる。
【0064】粒子内部にジルコニウムをほぼ均一に含有
している針状ヘマタイト粒子は、粒子内部にジルコニウ
ムをほぼ均一に含有している前記針状ゲータイト粒子を
加熱脱水することにより得ることができる。
【0065】加熱脱水温度は、250〜800℃程度で
ある。得られる粒子内部にジルコニウムを均一に含有し
ている針状ヘマタイト粒子の密度化の程度を考慮すれ
ば、550〜800℃で加熱脱水することにより高密度
化された針状ヘマタイト粒子がより好ましい。
【0066】殊に、550℃以上の高温で加熱脱水する
場合には、周知の通り、針状ゲータイト粒子の加熱脱水
に先立ってあらかじめ針状ゲータイト粒子の粒子表面を
焼結防止剤で被覆しておくことが好ましい。
【0067】焼結防止剤としては、通常使用されるヘキ
サメタリン酸ナトリウム、ポリリン酸、オルトリン酸等
のリン化合物、3号水ガラス、オルトケイ酸ナトリウ
ム、メタケイ酸ナトリウム、コロイダルシリカ等のケイ
素化合物、ホウ酸等のホウ素化合物、酢酸アルミニウ
ム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミ
ニウム等のアルミニウム塩や、アルミン酸ソーダ等のア
ルミン酸アルカリ塩、アルミナゾル、水酸化アルミニウ
ム等のアルミニウム化合物、オキシ硫酸チタン等のチタ
ン化合物を使用することができる。
【0068】鉄を主成分とする針状非磁性粒子の表面に
存在する焼結防止剤の量は、粒子の全重量に対し0.0
5〜10重量%程度が好ましい。
【0069】次に、本発明における針状非磁性粒子の粒
子表面を表面被覆物で被覆する方法について述べる。
【0070】被覆処理は、針状ゲータイト粒子や針状ヘ
マタイト粒子のケーキ、スラリー、乾燥粉末を水溶液中
に分散して得られる水懸濁液に、アルミニウム化合物、
ケイ素化合物又は当該両化合物を添加して混合攪拌する
ことにより、または、必要により、pH値を調整するこ
とにより、前記針状ヘマタイト粒子の粒子表面に、アル
ミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の
水酸化物及びケイ素の酸化物を被着し、次いで、濾別、
水洗、乾燥、粉砕すればよい。必要により、更に、脱気
・圧密処理等を施してもよい。
【0071】被覆処理におけるアルミニウム化合物とし
ては、前出焼結防止剤と同じものが使用できる。
【0072】アルミニウム化合物の添加量は、針状非磁
性粒子粉末に対しAl換算で0.01〜50重量%であ
る。0.01重量%未満である場合には、得られる針状
非磁性粒子粉末のアルミニウム化合物を被覆することで
期待される結合剤樹脂とのなじみが不十分であり、50
重量%を越える場合には、被覆効果が飽和するため、必
要以上に添加する意味がない。
【0073】被覆処理におけるケイ素化合物としては、
前出焼結防止剤と同じものが使用できる。
【0074】ケイ素化合物の添加量は、針状非磁性粒子
粉末に対しSiO2 換算で0.01〜50重量%であ
る。0.01重量%未満である場合には、得られる針状
非磁性粒子粉末のケイ素化合物を被覆することで期待さ
れる結合剤樹脂とのなじみが不十分であり、50重量%
を越える場合には、被覆効果が飽和するため、必要以上
に添加する意味がない。
【0075】アルミニウム化合物とケイ素化合物とを併
せて使用する場合には、針状非磁性粒子粉末に対し、A
l換算量とSiO2 換算量との総和で0.01〜50重
量%が好ましい。
【0076】次に、本発明に係る非磁性下地層を有する
磁気記録媒体用基体の製造法について述べる。
【0077】本発明に係る磁気記録媒体用基体は、非磁
性支持体上に鉄を主成分とする針状非磁性粒子粉末と結
合剤樹脂と溶剤とを含む非磁性塗料を塗布し塗膜を形成
した後、乾燥することにより得られる。
【0078】溶剤としては、現在磁気記録媒体の製造に
あたって汎用されているメチルエチルケトン、トルエ
ン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、テト
ラヒドロフラン及びその混合物等を使用することができ
る。
【0079】溶剤の使用量は、非磁性粒子粉末100重
量部に対しその総量で50〜1000重量部である。5
0重量部未満では非磁性塗料とした場合に粘度が高くな
りすぎ塗布が困難となる。1000重量部を越える場合
には、塗膜を形成する際の溶剤の揮散量が多くなりすぎ
工業的に不利となる。
【0080】次に、本発明に係る磁気記録媒体の製造法
について述べる。
【0081】本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性下地
層上に、磁性粒子粉末と結合剤樹脂と溶剤とを含む塗膜
組成物を塗布し塗布膜を形成した後、乾燥して磁気記録
層を形成することにより得られる。
【0082】溶剤としては、現在磁気記録媒体の製造に
あたって汎用されているメチルエチルケトン、トルエ
ン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、テト
ラヒドロフラン及びその混合物等を使用することができ
る。
【0083】溶剤の使用量は、磁性粒子粉末100重量
部に対しその総量で65〜1000重量部である。65
重量部未満では非磁性塗料とした場合に粘度が高くなり
すぎ塗布が困難となる。1000重量部を越える場合に
は、塗膜を形成する際の溶剤の揮散量が多くなりすぎ工
業的に不利となる。
【0084】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は、
次の通りである。
【0085】粒子の平均長軸径、平均短軸径は、電子顕
微鏡写真(×30000)を縦方向及び横方向にそれぞ
れ4倍に拡大した写真に示される粒子約350個につい
て長軸径、短軸径をそれぞれ測定し、その平均値で示し
た。軸比は、平均長軸径と平均短軸径との比である。
【0086】粒子の長軸径の幾何標準偏差値(σg)
は、下記の方法により求めた値で示した。即ち、上記拡
大写真に示される粒子の長軸径を測定した値を、その測
定値から計算して求めた粒子の実際の長軸径と個数から
統計学的手法に従って対数正規確率紙上に横軸に粒子の
長軸径を、縦軸に所定の長軸径区間のそれぞれに属する
粒子の累積個数(積算フルイ下)を百分率でプロットす
る。そして、このグラフから粒子の個数が50%及び8
4.13%のそれぞれに相当する長軸径の値を読みと
り、幾何標準偏差値(σg)=積算フルイ下84.13
%における長軸径/積算フルイ下50%における長軸径
(幾何平均径)に従って算出した値で示した。幾何標準
偏差値が小さい程、粒子の長軸径の粒度分布が優れてい
ることを意味する。
【0087】比表面積はBET法により測定した値で示
した。
【0088】針状ヘマタイト粒子の密度化の程度は、前
述した通り、SBET /STEM で示した。ここで、SBET
は、上記BET法により測定した比表面積の値である。
TEM は、前記電子顕微鏡写真から測定した粒子の平均
長軸径lcm、平均短軸径wcmを用いて粒子を直方体
と仮定して下記式に従って算出した値である。
【0089】STEM (m2 /g)=〔(4lw+2
2 )/(lw2 ・ρp )〕×10-4 (但し、ρp はヘマタイト粒子の真比重であり、5.2
g/cm3 を用いた。) STEM は、粒子内部及び粒子表面に脱水孔が全くなく表
面が平滑な粒子の比表面積であるから、SBET /STEM
の値が1に近いほど、ヘマタイト粒子の内部及び表面に
脱水孔が少なく表面が平滑な粒子、換言すれば、高密度
な粒子であることを意味する。
【0090】針状非磁性粒子の内部や表面に存在するZ
r、Al及びSiのそれぞれの量は蛍光X線分析により
測定した。
【0091】塗料粘度は、得られた塗料の25℃におけ
る塗料粘度を、E型粘度計EMD−R(株式会社東京計
器製)を用いて測定し、ずり速度D=1.92sec-1
における値で示した。
【0092】樹脂吸着強度は、樹脂が粒子に吸着される
程度を示すものであり、下記の方法により求めた値が1
00に近い程、樹脂が針状非磁性粒子に強く吸着され、
良好であることを示す。
【0093】先ず、樹脂吸着量Waを求める。粒子粉末
20gとスルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合樹脂2gを溶解させた混合溶剤(メチ
ルエチルケトン27.0g、トルエン16.2g、シク
ロヘキサノン10.8g)56gとを3mmφスチール
ビーズ120gとともに100mlポリビンに入れ、6
0分間ペイントシェーカーで混合分散する。
【0094】次に、この塗料組成物50gを取り出し5
0mlの沈降管に入れ回転数10000rpmで15分
間遠心分離を行い、固形部分と溶剤部分とを分離する。
そして、溶剤部分に含まれる樹脂固形分濃度を重量法に
よって定量し、仕込みの樹脂量との差し引きにより、固
形部分に存在する樹脂量を求め、これを粒子に対する樹
脂吸着量Wa(mg/g)とする。
【0095】次に、先に分離した固形部分のみを100
mlトールビーカーに全量取り出し、これに混合溶剤
(メチルエチルケトン25.0g、トルエン15.0
g、シクロヘキサノン10.0g)50gを加え、15
分間超音波分散を行って懸濁状態にした後、50ml沈
降管に入れ回転数10000rpmで15分間遠心分離
を行い、固形部分と溶剤部分とを分離する。そして、溶
剤部分の樹脂固形分濃度を測定することによって、粒子
表面に吸着していた樹脂のうち溶剤相に抽出された樹脂
量を定量する。
【0096】さらに、上記固形部分のみの100mlト
ールビーカーへの全量取り出しから溶剤相に溶け出した
樹脂量の定量までの操作を2回繰り返し、合計3回の溶
剤相中における樹脂の抽出量の総和We(mg/g)を
求め、下記の式に従って求めた値を樹脂吸着強度T
(%)とした。
【0097】T(%)=〔(Wa−We)/Wa〕×1
00 Tが高いほど、ビヒクル中での粉体表面への樹脂吸着が
強固であり、良好であることを示す。
【0098】非磁性下地層及び磁気記録層の塗膜表面の
光沢度は、「グロスメーターUGV−5D」(スガ試験
機株式会社製)を用いて塗膜の45°光沢度を測定して
求めた。
【0099】表面粗度Raは、「Surfcom−57
5A」(東京精密株式会社製)を用いて塗布膜の中心線
平均粗さを測定した。
【0100】磁気記録媒体の耐久性については、下記の
走行耐久性とすり傷特性を求めることにより評価した。
【0101】走行耐久性は、「Media Durab
ility Tester MDT−3000」(St
einberg Associates社製)を用い
て、負荷200gw、ヘッドとテープとの相対速度16
m/sにおける実可動時間で評価した。実可動時間が長
い程走行耐久性が良いことを示す。
【0102】すり傷特性は、走行後のテープの表面を顕
微鏡で観察し、すり傷の有無を目視で評価し、下記の4
段階の評価を行った。 A:すり傷なし B:すり傷若干有り C:すり傷有り D:ひどいすり傷有り
【0103】塗膜強度は、「オートグラフ」(株式会社
島津製作所製)を用いて塗膜のヤング率を測定して求め
た。ヤング率は市販ビデオテープ「AV T−120
(日本ビクター株式会社製)」との相対値で表した。相
対値が高いほど良好であることを示す。
【0104】磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−
3S−15」(東英工業株式会社製)を使用し、外部磁
場10KOeまでかけて測定した。
【0105】光透過の程度は、「自記光電分光光度計U
V−2100」(株式会社島津製作所製)を用いて磁気
記録媒体について測定した光透過率の値を下記式に挿入
して算出した線吸収係数で示した。線吸収係数は、その
値が大きい程、光を透しにくいことを示す。
【0106】尚、光透過率の値を測定するにあたって
は、上記磁気記録媒体に用いた非磁性支持体と同一の非
磁性支持体をブランクとして用いた。
【0107】 線吸収係数(μm-1)=〔ln(1/t)〕/FT t:λ=900nmにおける光透過率(−) FT:測定に用いたフィルムの塗布層(非磁性下地層の
膜厚と磁気記録層の膜厚との総和)の厚み(μm)
【0108】磁気記録媒体を構成する非磁性支持体、非
磁性下地層及び磁気記録層の各層の厚みは、下記のよう
にして測定した。
【0109】デジタル電子マイクロメーターK351C
(安立電気株式会社製)を用いて、先ず、非磁性支持体
の膜厚(A)を測定する。次に、非磁性支持体と該非磁
性支持体上に形成された非磁性下地層との厚み(B)
(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みとの総和)
を同様にして測定する。更に、非磁性下地層上に磁気記
録層を形成することにより得られた磁気記録媒体の厚み
(C)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みと磁
気記録層の厚みとの総和)を同様にして測定する。そし
て、非磁性下地層の厚みはB−Aで示し、磁気記録層の
厚みはC−Bで示した。
【0110】<紡錘状ゲータイト粒子粉末の製造>硫酸
第一鉄水溶液とオキシ硫酸ジルコニウム水溶液と炭酸ナ
トリウム水溶液とを用いて、前記ゲータイト粒子の製造
法により得られたZr換算で3.78重量%のジルコ
ニウムを粒子内部に均一に含有している紡錘状ゲータイ
ト粒子粉末(平均長軸径0.150μm、平均短軸径
0.0183μm、軸比8.2、BET比表面積値15
1.6m2 /g及び幾何標準偏差値1.36)1440
gを含む反応スラリーを得た。
【0111】これをプレスフィルターで濾過した後、純
水を用いて電気伝導度が30μs以下になるまで水洗
し、次いで、乾燥、粉砕してジルコニウムを粒子内部に
均一に含有している紡錘状ゲータイト粒子粉末1380
gを得た。得られた紡錘状ゲータイト粒子粉末の樹脂吸
着強度は65.3%であった。この紡錘状ゲータイト粒
子粉末を後述の非磁性下地層Aの非磁性粒子粉末として
用いた。
【0112】<低密度紡錘状ヘマタイト粒子粉末の製造
>上記紡錘状ゲータイト粒子粉末1200gを水中に懸
濁させてスラリーとし、固形分濃度を8g/lに調整し
た。このスラリー150lを加熱し、温度を60℃と
し、0.1NのNaOH水溶液を加えてスラリーのpH
値を9.0に調整した。
【0113】次に、上記アルカリ性スラリー中に、焼結
防止剤として3号水ガラス36.0gを徐々に加え、添
加が終わった後、60分間熟成を行った。次に、このス
ラリーに0.1Nの酢酸溶液を加え、スラリーのpH値
を6.0に調整した後、常法により、濾別、水洗、乾
燥、粉砕を行い、ケイ素の酸化物が粒子表面に被覆され
ている紡錘状ゲータイト粒子粉末1165gを得た。S
iO2 量は0.83wt%であった。
【0114】得られた紡錘状ゲータイト粒子粉末のうち
1000gを、ステンレス製回転炉に投入し、回転駆動
させながら空気中で340℃で60分間熱処理を行って
脱水し、低密度紡錘状ヘマタイト粒子を得た。
【0115】次に、得られた低密度紡錘状ヘマタイト粒
子のうち100gを純水1lにホモミキサー(特殊機化
工業株式会社製)を用いて解膠し、次いで、ヌッチェを
用いて濾別した後、純水を用いて電気伝導度が30μs
以下になるまで水洗した。その後、乾燥、粉砕を行って
低密度紡錘状ヘマタイト粒子粉末98gを得た。
【0116】得られたジルコニウムを含有している低密
度紡錘状ヘマタイト粒子は、平均長軸径0.116μ
m、平均短軸径0.0153μm、軸比7.6、BET
比表面積値(SBET )187.6m2 /g、密度化の程
度SBET /STEM は3.50、Zr含有量は4.15重
量%及び幾何標準偏差値1.36であった。樹脂吸着強
度は68.8%であった。この低密度紡錘状ヘマタイト
粒子粉末を、後述の非磁性下地層Bの非磁性粒子粉末と
して用いた。
【0117】<高密度紡錘状ヘマタイト粒子粉末の製造
>上記低密度紡錘状ヘマタイト粒子粉末850gをセラ
ミック製の回転炉に投入し、回転駆動させながら空気中
670℃で25分間熱処理を行い、脱水孔の封孔処理を
行った。
【0118】得られた高密度化された紡錘状ヘマタイト
粒子粉末100gを純水1lにホモミキサー(特殊機化
工業株式会社製)を用いて解膠し、次いで、ヌッチェを
用いて濾別した後、純水を用いて電気伝導度が30μs
以下になるまで水洗した。その後、乾燥、粉砕を行って
高密度紡錘状ヘマタイト粒子粉末98gを得た。
【0119】高密度紡錘状ヘマタイト粒子粉末は、平均
長軸径が0.115μm、平均短軸径が0.0155μ
m、軸比が7.4、BET比表面積値(SBET )が6
0.3m2 /g、密度化の程度SBET /STEM が1.1
4及び幾何標準偏差値が1.36であった。Zr含有量
は4.15重量%であった。また、樹脂吸着強度は7
3.8%であった。この高密度紡錘状ヘマタイト粒子粉
末を、後述の非磁性下地層Cの非磁性粒子粉末として用
いた。
【0120】<非磁性下地層の製造>上記で得られた紡
錘状ゲータイト粒子粉末、低密度紡錘状ヘマタイト粒子
粉末及び高密度紡錘状ヘマタイト粒子粉末を用い、各粒
子粉末12gと結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム
基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量
%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノ
ンとを混合して混合物(固形分率72%)を得、この混
合物を更にプラストミルで30分間混練して3種類の混
練物を得た。
【0121】この3種類の混練物をそれぞれ140ml
ガラス瓶に1.5mmφガラスビーズ95g、結合剤樹
脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン
樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケトン:トルエン
=1:1)70重量%)、シクロヘキサノン、メチルエ
チルケトン及びトルエンとともに添加し、ペイントシェ
ーカーで6時間混合・分散を行って3種類の塗料組成物
を得た。
【0122】得られた紡錘状ゲータイト粒子粉末、低密
度紡錘状ヘマタイト粒子粉末及び高密度紡錘状ヘマタイ
ト粒子粉末のそれぞれを含む塗料の組成は、下記の通り
であった。
【0123】紡錘状ゲータイト粒子粉末、低密度紡錘状
ヘマタイト粒子粉末又は高密度紡錘 状ヘマタイト粒子粉末 100重量部 スルホン酸ナトリウム基を有する 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 10重量部 スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂 10重量部 シクロヘキサノン 44.6重量部 メチルエチルケトン 111.4重量部 トルエン 66.9重量部
【0124】得られた3種類の塗料をそれぞれ厚さ12
μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリ
ケーターを用いて55μmの厚さに塗布し、次いで、乾
燥させることにより3種類の非磁性下地層を形成した。
非磁性下地層Aの厚みは3.6μmであった。非磁性下
地層Bの厚みは3.5μm、非磁性下地層Cの厚みは
3.3μmであった。
【0125】非磁性粒子粉末として紡錘状ゲータイト粒
子粉末を用いて得られた非磁性下地層Aは、光沢が18
1%、表面粗度Raが11.6nmであり、基体のヤン
グ率(相対値)は133であった。
【0126】非磁性粒子粉末として低密度紡錘状ヘマタ
イト粒子粉末を用いて得られた非磁性下地層Bは、光沢
が190%、表面粗度Raが10.2nmであり、基体
のヤング率(相対値)は133であった。
【0127】非磁性粒子粉末として高密度紡錘状ヘマタ
イト粒子粉末を用いて得られた非磁性下地層Cは、光沢
が206%、表面粗度Raが6.9nmであり、基体の
ヤング率(相対値)は135であった。
【0128】<磁気記録層の製造>鉄を主成分とする紡
錘状金属磁性粒子粉末(平均長軸径0.153μm、平
均短軸径0.0191μm、軸比8.01、保磁力17
10Oe、飽和磁化値125.3emu/g、幾何標準
偏差1.35)12g、研磨剤(商品名:AKP−3
0、住友化学(株)製)1.2g、カーボンブラック
(商品名:#3250B、三菱化成(株)製)0.36
g、結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロ
ヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合
して混合物(固形分率78%)を得、この混合物を更に
プラストミルで30分間混練して混練物を得た。
【0129】この混練物を140mlガラス瓶に1.5
mmφガラスビーズ95g、結合剤樹脂溶液(スルホン
酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、
溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重
量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びト
ルエンとともに添加し、ペイントシェーカーで6時間混
合・分散を行って磁性塗料を得た。更に、潤滑剤及び硬
化剤を加えた後、ペイントシェーカーで15分間混合・
分散した。
【0130】得られた磁性塗料の組成は下記の通りであ
った。 鉄を主成分とする紡錘状金属磁性粒子粉末 100重量部 スルホン酸ナトリウム基を有する 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 10重量部 スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂 10重量部 研磨剤(AKP−30) 10重量部 カーボンブラック(#3250B) 3.0重量部 潤滑剤(ミリスチン酸:ステアリン酸ブチル=1:2) 3.0重量部 硬化剤(ポリイソシアネート) 5.0重量部 シクロヘキサノン 65.8重量部 メチルエチルケトン 164.5重量部 トルエン 98.7重量部
【0131】得られた磁性塗料を前記非磁性下地層A、
B及びCのそれぞれの上にアプリケーターを用いて15
μmの厚さに塗布した後、磁場中において配向・乾燥
し、次いで、カレンダー処理を行った後、60℃で24
時間硬化反応を行い0.5インチ幅にスリットして磁気
テープを得た。磁気記録層の厚みはいずれも1.1μm
であった。
【0132】非磁性下地層Aの上に磁気記録層を形成さ
せて得られた磁気テープは、Hcが1771Oe、角型
比(Br/Bm)が0.87、光沢度が195%、表面
粗度Raが10.2nm、ヤング率(相対値)が13
6、線吸収係数が1.23、走行耐久性が21.2分、
すり傷特性がBであった。
【0133】非磁性下地層Bの上に磁気記録層を形成さ
せて得られた磁気テープは、Hcが1773Oe、角型
比(Br/Bm)が0.87、光沢度が200%、表面
粗度Raが8.8nm、ヤング率(相対値)が137、
線吸収係数が1.23、走行耐久性が24.6分、すり
傷特性がAであった。
【0134】非磁性下地層Cの上に磁気記録層を形成さ
せて得られた磁気テープは、Hcが1780Oe、角型
比(Br/Bm)が0.89、光沢度が216%、表面
粗度Raが7.0nm、ヤング率(相対値)が137、
線吸収係数が1.23、走行耐久性が27.6分、すり
傷特性がAであった。
【0135】
【作用】本発明において最も重要な点は、Zr換算で
0.05〜30重量%のジルコニウムを粒子内部に含有
している非磁性粒子粉末、必要により、さらに、アルミ
ニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水
酸化物及びケイ素の酸化物の少なくとも1種で粒子表面
が被覆されている鉄を主成分とする針状非磁性粒子粉末
を非磁性下地層用の非磁性粒子粉末として用いた場合に
は、非磁性下地層の表面平滑性と基体の強度を向上させ
ることができ、当該非磁性下地層の上に磁気記録層を設
けた場合に、磁気記録層の光透過率を小さくし、表面平
滑で、強度が大きく、且つ、耐久性に優れている磁気記
録媒体を得ることができるという事実である。
【0136】非磁性下地層の表面平滑性と基体の強度及
び磁気記録媒体の耐久性をより向上させることができた
理由について、本発明者は、非磁性粒子のビヒクル中に
おける結合剤樹脂との樹脂吸着強度が高まり、その結
果、非磁性下地層中における非磁性粒子と樹脂との密着
度や非磁性下地層自体の非磁性支持体への密着度が高ま
ったことによるものと考えている。
【0137】
【実施例】次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0138】<針状ゲータイト粒子粉末の種類> 非磁性粒子A1、A8 針状ゲータイト粒子粉末の平均長軸径、平均短軸径、幾
何標準偏差値、軸比及びBET比表面積、ジルコニウム
含有の有無及び量、表面被覆物の有無並びに樹脂吸着強
度等が相違する針状ゲータイト粒子粉末2種類を準備し
た。
【0139】針状ゲータイト粒子粉末A1及びA8の主
要製造条件を表1に、諸特性を表2に示す。
【0140】<針状ヘマタイト粒子粉末の種類> 非磁性粒子A2〜A7、A9〜A11 出発原料である針状ゲータイト粒子粉末の基本生成反
応、焼結防止剤の種類及び量、平均長軸径、平均短軸
径、幾何標準偏差値、軸比、比表面積及び密度化の程
度、ジルコニウム含有の有無及び量、表面被覆物の有
無、種類及び量並びに樹脂吸着強度が種々相違する針状
ヘマタイト粒子粉末を準備した。尚、ジルコニウムを含
有している針状ヘマタイト粒子は、いずれも粒子内部に
ジルコニウムを均一に含有している粒子である。
【0141】針状ヘマタイト粒子A2〜A7、A9〜A
11の主要製造条件を表1に、諸特性を表2に示す。
【0142】
【表1】
【0143】
【表2】
【0144】尚、針状非磁性粒子の表面被覆処理は、非
磁性粒子の種類、被覆物の種類及び量を種々変化させた
以外は、下記の方法によった。
【0145】非磁性粒子A4を含む濃度が99g/lの
スラリー5lを加熱して60℃とし、このスラリー中に
1.0NのNaAlO2 溶液155.8ml(針状ヘマ
タイト粒子に対しAl換算で0.85重量%に相当す
る。)を加え、30分間保持した後、酢酸を用いてpH
値を7.5に調整した。次いで、前記発明の実施の形態
と同様にして濾別、水洗、乾燥した後、粉砕して粒子表
面が被覆物により被覆されている針状ヘマタイト粒子粉
末を得た。
【0146】<非磁性下地層の製造> 実施例1〜7及び比較例1〜4 非磁性粒子A1〜A11の針状非磁性粒子粉末を用いて
前記発明の実施の形態と同様にして非磁性下地層を得
た。
【0147】この時の主要製造条件及び諸特性を表3に
示す。
【0148】
【表3】
【0149】<磁気記録媒体の製造> 実施例8〜24及び比較例5〜12 非磁性下地層の種類、磁性粒子粉末の種類を種々変化さ
せた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして磁気記
録媒体を製造した。
【0150】この時の主要製造条件及び諸特性を表4及
び表5に示す。
【0151】
【表4】
【0152】
【表5】
【0153】
【発明の効果】本発明に係る磁気記録媒体は、粒子内部
にジルコニウムをほぼ均一に含有している非磁性粒子粉
末であることに起因して、基体としての強度と表面性に
優れている非磁性下地層を得ることができ、該非磁性下
地層を用いて磁気記録媒体とした場合において光透過率
が小さく、表面平滑で、強度が大きい磁気記録媒体を得
ることができ、しかも、該磁気記録媒体は、非磁性下地
層用非磁性粒子粉末として粒子内部にジルコニウムを均
一に含有している針状非磁性粒子粉末を用いたことに起
因して耐久性に優れたものであるので、高密度記録用磁
気記録媒体として好ましいものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体と該非磁性支持体上に形成
    される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む非磁性下地
    層とからなる磁気記録媒体用基体において、前記非磁性
    粒子粉末はZr換算で0.05〜30重量%のジルコニ
    ウムを粒子内部に含有している鉄を主成分とする針状非
    磁性粒子粉末であることを特徴とする非磁性下地層を有
    する磁気記録媒体用基体。
  2. 【請求項2】 非磁性支持体と該非磁性支持体上に形成
    される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む非磁性下地
    層とからなる磁気記録媒体用基体において、前記非磁性
    粒子粉末はZr換算で0.05〜30重量%のジルコニ
    ウムを粒子内部に含有するとともに、アルミニウムの水
    酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及び
    ケイ素の酸化物の少なくとも1種で粒子表面が被覆され
    ている鉄を主成分とする針状非磁性粒子粉末からなるこ
    とを特徴とする非磁性下地層を有する磁気記録媒体用基
    体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の非磁性下地
    層を有する磁気記録媒体用基体の上に、磁性粒子粉末と
    結合剤樹脂とを含む磁気記録層を設けた磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018074598A1 (ja) * 2016-10-21 2018-04-26 国立大学法人 岡山大学 赤色顔料用酸化鉄及びその製造方法
WO2019123670A1 (ja) * 2017-12-20 2019-06-27 国立大学法人 岡山大学 オレンジ色系顔料用酸化鉄及びその製造方法

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WO2018074598A1 (ja) * 2016-10-21 2018-04-26 国立大学法人 岡山大学 赤色顔料用酸化鉄及びその製造方法
WO2019123670A1 (ja) * 2017-12-20 2019-06-27 国立大学法人 岡山大学 オレンジ色系顔料用酸化鉄及びその製造方法
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