JPH11158837A - 海水浄化ケーソン - Google Patents

海水浄化ケーソン

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JPH11158837A
JPH11158837A JP9328730A JP32873097A JPH11158837A JP H11158837 A JPH11158837 A JP H11158837A JP 9328730 A JP9328730 A JP 9328730A JP 32873097 A JP32873097 A JP 32873097A JP H11158837 A JPH11158837 A JP H11158837A
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JP
Japan
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seawater
caisson
water
permeable
purification
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Pending
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JP9328730A
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English (en)
Inventor
Shoji Uehara
昭治 上原
Shigeyasu Hara
茂恭 原
Keiichi Katayama
敬一 片山
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KAIYO KENSETSU KK
Ohmoto Gumi Co Ltd
Original Assignee
KAIYO KENSETSU KK
Ohmoto Gumi Co Ltd
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Publication date
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    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

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  • Artificial Fish Reefs (AREA)
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  • Biological Treatment Of Waste Water (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 より積極的な海水浄化が可能な海水浄化ケー
ソンを提供する。 【解決手段】 防波堤1や護岸擁壁を構成するケーソン
3であり、外部と通水する内部を海水浄化室4とし、こ
の海水浄化室4内に表面粗度が比較的大きな物質(貝殻)
を通水性の匡体11に充填し、この匡体11から構成した浄
化体8を海水浄化室4に配設した海水浄化ケーソン3
で、海水浄化室4に設けた開放面6を蓋9により開閉す
ることで、海水浄化室4内に配設した浄化体8の交換を
可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消波機能又は護岸
機能と共に海水浄化機能を併せ持つ防波堤又は護岸擁壁
を構成するケーソンに関する。
【0002】
【従来の技術】船舶が停泊する港湾では、消波を目的と
して防波堤が、護岸を目的として護岸擁壁が設けられ
る。これらの防波堤や護岸擁壁は、巨大なエネルギーを
もつ波の衝撃に対しても安定して前記目的が達せられる
ように、通常ケーソンを連ねて構築する。ケーソンは、
水底に直接又は別途設けた土台の上に構築する鉄筋又は
鉄骨コンクリート製のものが一般的で、複数の同型又は
異型ケーソンを連ねることで防波堤又は護岸擁壁とな
り、消波又は護岸機能を担うようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】防波堤は、消波目的か
ら、その設置位置が比較的外海から港湾へ海流が流れ込
む場所と重なってしまう。これは、防波堤により形成さ
れた内海と外海とを隔てることを意味し、内海では同じ
海水が滞留してしまうこととなる。加えて、港湾には河
川を通じて工場又は生活排水が流れ込み、更に内海の水
質を悪くする場合が少なくない。護岸擁壁は、消波又は
護岸目的のために自然の海岸をコンクリート等で固めて
しまうため、水際に生息する動植物による水質浄化が望
めず、ますます内海の水質を悪くする方向に働く。
【0004】こうした防波堤、護岸擁壁による内海の水
質悪化の問題を解決するべく、近年では、水面下で複数
の柱を配列した構造を有する防波堤のように、内海と外
海とをできるだけ隔絶しないような構造上の配慮が払わ
れるようになってきている。しかしこれだけでは潮の満
ち引きによる自然浄化にしか効果が期待できず、満ち引
きの影響が少ない場所であるとか、工場排水等が流れ込
む河口付近では、十分な水質浄化対策とはならない。
【0005】より積極的な海水浄化を目指したものとし
て、特開平4-64608号に提示された「海水浄化ケーソン」
がある。これは、海水導入路に連通する圧力貯水槽及び
海水浄化室を設け、海水導入路を通じて浸入する波によ
るエアレーションを利用して海水浄化室において海水を
浄化するもので、海水浄化室の浄化作用を高めるため
に、バクテリアを生息させ、酸素配給管を配管すること
を唱っている。しかし、このケーソンでは構造が複雑と
なり、防波堤又は護岸擁壁としての構築コストが高くつ
く問題がある。
【0006】水質浄化を目的としたものとして、特開平
9-57286号には「水質浄化装置」が提示されている。これ
は、表面粗度が比較的大きな物質を充填した通水性の網
体を重ねて一体にし、エアコンプレッサにより空気を拡
散、供給する装置であり、充填する物質としてカキ殻を
挙げ、その生物学的な浄化作用を利用している。貝殻の
充填は、特開平7-236385号に見られる集魚パネルとし
て、又は特開平7-329237号に見られる人工魚礁として、
水中生物(魚介類又は微生物)の生息空間を整える働きも
有している。そこで、一方では防波堤又は護岸擁壁とし
ての構築コストを低減し、他方ではより積極的な海水浄
化が可能なケーソンを開発するため、ケーソンにおける
内部空間を水中生物の生息空間、例えば魚礁として利用
することとして検討した。
【課題を解決するための手段】
【0007】検討の結果開発したものが、防波堤や護岸
擁壁を構成するケーソンであって、外部と通水する内部
を海水浄化室とし、この海水浄化室内に表面粗度が比較
的大きな物質を充填した海水浄化ケーソンである。この
海水浄化ケーソンでは、「表面粗度が比較的大きな物質」
(以下充填物質)が積極的な海水の浄化作用を発揮する。
本発明における充填物質とは、表面が粗く、海水浄化室
に充填した際に充填物質の構成要素(砂粒等)相互の隙間
が眼に見える程度のもので、例えば砂礫、珊瑚砂、多孔
質セラミックス、凹凸のある自然石や人造ブロック等を
挙げることができる。この観点から、砂礫や珊瑚砂は密
になりやすいことから、単独では用いず、多孔質セラミ
ックス、凹凸のある自然石や人造ブロック等と併用する
ことが望ましい。
【0008】浄化作用は、充填物質中を海水が通過する
ことで物理的に異物が取り払われる物理的な作用(主と
して上記例示の充填物質の作用)と、充填物質自身又は
充填物質に生息する水中生物(魚介類又は微生物)により
異物が食用又は分解される生物学的作用とに大別でき
る。後者の生物学的作用は、貝殻を主とした充填物質で
水中生物に良好な生息空間を提供することで図られる。
なお、貝殻のみを充填物質としたり、適宜上記各充填物
質と併用してもよい。廃棄貝殻には、例えばカキ、ホタ
テ貝、真珠貝(アコヤ貝)や、ハマグリ、シジミといった
食用貝の廃棄貝殻を利用するとコスト削減となる。ま
た、廃棄貝殻は、大量に発生して廃棄処理に困ってお
り、本発明に適用することで有用な再生利用となる。廃
棄貝殻は元来自然物であり、環境調和性があるため、特
に海水浄化室に充填するにあたっては環境汚染の心配が
ない。加えて、貝殻自身が周辺に発生する微生物の死骸
を分解し、海水浄化に役立つ好気性菌の繁殖を助け、よ
り効果的な浄化作用が見込まれる。
【0009】浄化作用は充填物質の量にほぼ比例するた
め、海水浄化室の容積は大きいほどよいことになる。し
かし、海水浄化室に充填物質を直接充填すると、海水と
接する外方の充填物質から中心までの距離が長くなり、
中心付近の充填物質が実質的に浄化作用を発揮できなく
なるほか、特に貝殻を用いた場合、中心付近の貝殻に酸
素が行き渡らなくなり、好気性菌の繁殖が望めなくな
る。そこで、充填物質を通水性の匡体(以下通水性匡体)
に充填し、この通水性匡体又は通水性匡体から構成した
浄化体を海水浄化室に配設するとよい。通水性匡体に
は、合成樹脂製ネットの匡体又は袋体や、スリットや連
通孔を形成したコンクリート製の匡体又は袋体が挙げら
れるが、内外の通水性が確保されれば、形状、素材を問
わない。通水性匡体は、流動性のある充填物質を一定範
囲に留める保持能力を有し、充填物質の取扱いを簡単に
する。また、通水性匡体又は浄化体を海水浄化室に配設
する場合、各通水性匡体又は浄化体の間隔をとって充填
物質全部に海水を行き渡らせ、浄化機能をよりよく発揮
させたり、とりわけ貝殻では好気性菌の繁殖を担う酸素
の供給を十分なものにすることができる。
【0010】また、海水浄化室に充填物質を直接充填す
るか、通水性匡体又は浄化体を配設するかを問わず、外
部と通水する海水浄化室に開放面を設け、この開放面を
蓋により開閉することで、海水浄化室内の充填物質の交
換を可能にするとよい。例えば、本発明適用の護岸擁壁
におけるケーソンの上面を開放面とした場合、陸上から
海水浄化室に直接充填物質を落とし込む方法で簡単に充
填することができ、また蓋を開けて充填物質を掻き出す
ことで交換もできる。更に通水性匡体又は浄化体を用い
た場合、陸上から通水性匡体の配設、撤去によって充填
物質を容易に交換できる。このように、開放面は充填物
質の交換作業を考慮して海水浄化室の上面であることが
望ましいが、海中での作業が可能であれば、海水浄化室
の側面又は底面を開放面としてもよい。蓋としては、コ
ンクリート製のほか、通水性匡体又は浄化体の交換が可
能であれば、マンホールであってもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施形態について説明する。図1〜図8は本発明を適
用した防波堤1の例を示した斜視図であり、図9〜図15
は同じく本発明を適用した護岸擁壁2の例を示した斜視
図である。
【0012】図1の防波堤1を構成する各ケーソン3
は、鉄筋又は鉄骨コンクリートにより直方体形状に形成
され、海水浄化室4は連結方向及び上方を開放面5,6
とし、連結直交方向に格子開口7を設け、浄化体8を等
間隔に9基に配設した後、上方の開放面6をコンクリー
ト製蓋9で閉じている。格子開口7を通じて海水浄化室
4に流れ込む海水は、隣り合う海水浄化室4,4へも行
き渡り、浄化体8による浄化作用を受ける。格子開口7
は海水浄化室4への急激な海水の流入を制限し、消波性
能を発揮するほか、海水浄化室4への水中生物(魚介類
又は微生物)の侵入を許している。このため、浄化体8
は生物学的な浄化作用を発揮しながら、いわゆる魚礁と
しても機能する。浄化体8は、蓋9を開いて取り出すこ
とにより定期的に交換でき、浄化作用の低下を防止でき
る。なお、蓋9には、流れ込む海水による海水浄化室4
の危険な圧力上昇を防止し、海水浄化室4への空気(酸
素)の供給量を確保するための空気孔10を設けている
が、この空気孔10は蓋9を開く際にフック等の掛止孔に
も利用できる。
【0013】図1の例における浄化体8は、海水浄化室
4にはカキ殻を主とする貝殻を充填した直方体形状の通
水性匡体11を3階層に積層した構成で、4本の支柱に支
持されて各階層の通水性匡体11,11,11は互いに間隔を開
けている。通水性匡体11は合成樹脂製であり、2側面を
メッシュ状にして通水性を実現している。貝殻は通水性
匡体11内に満配状態で充填しているが、貝殻は各々が不
定形状なので互いに隙間が形成される。これにより、す
べての貝殻に十分な海水の流入が可能で、高い浄化作用
を発揮すると共に生息する好気性菌に対して十分な空気
(酸素)の供給できる。本例では、各浄化体8毎の交換の
ほか、通水性匡体11毎の交換ができる。
【0014】図2の防波堤1を構成する各ケーソン3
は、図1同様の構成であるが、格子開口に代えて、横3
連のスリット12を透水性コンクリート(NFC)13で塞いで
いる。これにより、防波堤1は海面を区切る仕切とな
り、主として波の進行を食い止める障害物としての機能
を発揮する。また、透水性コンクリート13により海水浄
化室4へ海水の流入は可能であるが、図1の例とは異な
り、微生物を除く大型の水中生物(魚介類)の侵入はでき
なくなっており、浄化体8は専ら海水の浄化作用のみを
発揮するようになる。なお、空気孔10の機能、浄化体8
の交換については図1の例と同様であるので、説明は省
略する。
【0015】図3の防波堤1を構成する各ケーソン3
は、図1同様の構成であるが、通水性匡体を3階層に積
層した浄化体に代えて、9基の合成樹脂製ネットからな
る円筒状通水性匡体14を直接配設する。海水浄化室4に
は、前記通水性匡体14の挿通孔を備えた規制枠15を側面
で固定し、下面には各通水性匡体14の下端を嵌め込む配
設孔16を穿設している。図3中では、組付関係を示すた
めに、一部の規制枠15は各通水性匡体14を挿通した状態
で海水浄化室4から分離して図示している。この例で
は、通水性匡体14単位で交換する。なお、格子開口7や
空気孔10の機能については図1の例と同様であるので、
説明は省略する。
【0016】図4の防波堤1を構成する各ケーソン3
は、図3同様の構成であるが、格子開口に代えて、前面
に縦4連のスリット12、背面に横4連のスリット12を設
けて、海水浄化室4への海水の流入を実現している。ス
リット12は、格子開口に比べて海水が通過しやすいた
め、前面と背面とで配列方向を違えることで、波の進行
が抑制するようにしている。なお、空気孔10の機能は図
1の例、円筒状通水性匡体14の設置又は取扱いは図3の
例と同様であるので、説明は省略する。
【0017】図5の防波堤1を構成する各ケーソン3
は、図4同様の構成であるが、前面及び背面のスリット
12を、対称な縦2連の構造に変更しつつ、ただし波の進
行を抑制できるように、海水浄化室4に向かって先細り
となるような断面形状としている。各スリット12を大き
くすることで、大型の水中生物、特に魚が海水浄化室4
に侵入しやすくなっている。しかし、そのままでは波が
海水浄化室4を素通りして防波堤1としての役割が減じ
られるので、スリット12の断面を台形状、すなわち海水
浄化室4に向かって先細りとなるようにすることで、実
質的に消波性能が発揮できるようにしている。なお、空
気孔10の機能は図1の例、円筒状通水性匡体14の設置又
は取扱いは図3の例と同様であるので、説明は省略す
る。
【0018】図6の防波堤1を構成する各ケーソン3
は、図3同様の構成であるが、格子開口に代えて、横3
連のスリット12を透水性コンクリート(NFC)13で塞いで
いる。この透水性コンクリート13の働きは、図2の例に
準ずる。図3〜図6に示した円筒状通水性匡体14は縦方
向に長尺で、図1に示した浄化体に用いた通水性匡体に
比べて波の衝撃に弱く、平時の海面が比較的荒れている
海域に設置する防波堤1では、図2及び図5に見られる
ように、海水浄化室4を透水性コンクリート13で囲い、
通水性匡体14を保護することが望ましい。なお、空気孔
10の機能は図1の例、円筒状通水性匡体14の設置又は取
扱いは図3の例と同様であるので、説明は省略する。
【0019】図7の防波堤1は、上述の各例の防波堤に
比べて大型のものであり、海水浄化室4の容積を大幅に
増やすことで、実質的に水中生物の生息空間を広く確保
している。各ケーソン3は、鉄筋又は鉄骨コンクリート
によりアーチ状に形成され、海水浄化室4は連結方向を
開放面5とし、曲面を描く側面から上面を多孔領域17と
して、海水の流入、換気を担わせている。各ケーソン3
の海水浄化室4には、それぞれ4基の大型浄化体8を配
設している。この大型浄化体8は、アングル材により直
方体を構成し、各面に円筒状通水性匡体(図3等参照)を
配列した魚礁を兼ねた構造物となっており、海水浄化と
併せて、海水浄化室4における水中生物の生息空間の改
善に貢献する。本例の防波堤1では、その規模と多孔領
域17の存在とが十分な消波性能を提供するほか、空間的
に画された広大な海水浄化室4が外部の荒れ具合と隔絶
され、大型浄化体8が良好な魚礁として機能するため、
水中生物にとって優れた生息空間の提供が可能となるの
である。
【0020】図8の防波堤1は、図7の例とは逆に、魚
礁としての機能より海水浄化に重点をおいたもので、特
開平4-64608号に開示された海水浄化ケーソンと本発明
とを組み合わせた例である。特開平4-64608号のケーソ
ンにおいて珊瑚砂、砕石又は砂利が充填されていた前
段、中段、そして後段の各海水浄化室4,4,4に、貝殻
を充填した通水性匡体18,18,18を収納したもので、単に
珊瑚砂、砕石又は砂利が充填されていた場合に比べて、
生物学的な海水浄化が期待できるため、浄化作用が高く
なっている。また、本例のケーソン3では、海水導入口
19及び海水導入路20は各個に独立した3連構成となって
いるが、ケーソン3の側面を開放することで、通水性匡
体18,18,18の交換を可能にしている。このように、通水
性匡体18は充填物質である貝殻をまとめて、取扱いを容
易にしているのである。
【0021】図9の護岸擁壁2を構成する各ケーソン3
は、図4の例と類似の構成である。海水浄化室4には、
規制枠15に挿通し、下面の配設孔16に嵌め込んだ円筒状
通水性匡体14を配設している。この海水浄化室4へは、
前面に設けた横4連のスリット12から海水が流入及び水
中生物が侵入し、護岸擁壁2内で海水浄化を図ると共に
水中生物の生息空間の提供を実現している。図10の護岸
擁壁2を構成する各ケーソン3は、図2の例と類似の構
成である。海水浄化室4前面に設けた透水性コンクリー
ト13からなる壁面は、海水浄化室4へ海水の流入のみを
許し、円筒状通水性匡体14における浄化作用を図ってい
る。なお、図9及び図10の例における空気孔10の機能は
図1の例、円筒状通水性匡体14の設置又は取扱いは図3
の例と同様であるので、説明は省略する。
【0022】図11の護岸擁壁2を構成する各ケーソン3
は、前面側に前側縦3連、後側縦4連のスリット12に挟
まれた緩衝室21を設けて消波性能を付加し、背面側に海
水浄化室4を設けて通水性匡体18を配設することで浄化
作用を発揮させる。本例に用いる通水性匡体18は、海水
浄化室4のほぼ全領域を満たす大型のもので、大型の水
中生物(魚等)の侵入を許さないために直接魚礁として働
くことはないが、前面側に設けた緩衝室21が大型の水中
生物の生息空間を提供する。ケーソン3上面には横向に
長尺な空気孔10,10が2連設けられているが、前方の空
気孔10は主として流入する波に対する緩衝室21の圧力抜
きに、後方の空気孔10は通水性匡体18に充填した貝殻へ
の空気(酸素)の供給を担う。
【0023】図12の護岸擁壁2を構成する各ケーソン3
は、前面側に縦4連上下2段からなるスリット12,12を
刻設した上下2段の海水浄化室4,4を備え、下段の海
水浄化室4に通水性匡体18を配設している。スリット12
の幅を狭くすることで、海水浄化室4へ海水又は空気を
流入させるスリット12に消波性能を発揮させている。本
例に用いる通水性匡体18は、下段の海水浄化室4のほぼ
全領域を満たすもので、大型の水中生物(魚等)の侵入を
許さないために魚礁としての機能はなく、流入する海水
に対して随時浄化作用のみを発揮する。上段のスリット
12は、空気孔として通水性匡体18に充填した貝殻への空
気(酸素)の供給を担う。
【0024】図13の護岸擁壁2を構成する各ケーソン3
は、前面中央を膨出させ、前面左右に設けた海水導入口
19から延びる後方位置に左右2ヶ所の海水浄化室4,4
を設け、各海水浄化室4,4に略立方体状通水性匡体18
を収納する。各ケーソン3の括れ部位には段差のある位
置合せ面22が形成されており、下段に配列したケーソン
3に対して上段のケーソン3を半身ずつずらして重ねる
ことで下段の位置合せ面22が上段の海水浄化室4に嵌ま
り込み、堅固な護岸擁壁2を構成する。各海水浄化室4
は上下に開放しており、最上段に配列したケーソン3の
海水浄化室4については、路面を兼ねた蓋9で閉じるよ
うにしている。本例の護岸擁壁2は、複雑な前面形状に
よって効果的な消波性能を、海水導入口19に続く海水浄
化室4に配設した通水性匡体18に充填した貝殻により高
い浄化作用を発揮する。
【0025】図14の護岸擁壁2は、より海水浄化に重点
をおいたもので、図8同様、特開平4-64608号に開示さ
れた海水浄化ケーソンと本発明とを組み合わせた例であ
る。特開平4-64608号のケーソンでは、海水浄化室での
バクテリアの生息可能性を高めるため、後方の海水浄化
室にも海水流出口を設けたり、酸素供給管を配設するこ
とを示している。しかし、本発明では、通水性匡体18に
充填した貝殻自体が水中生物全般に良好な生息空間を提
供する能力があるため、海水流出口や酸素供給管の必要
性が低下し、本例のように、一面が地面に閉鎖されるよ
うな護岸擁壁2に特開平4-64608号のケーソンを利用で
きるようにする。なお、通水性匡体18の交換や貝殻の取
扱いについては、図8同様であるので説明を省略する。
【0026】最後に、図15はケーソンを用いた場合では
ないが、本発明を適用した構成となった護岸擁壁2の例
である。本発明は、防波堤又は護岸擁壁を構成するケー
ソン内部の海水浄化室により積極的な浄化作用を付加し
て海水浄化を図るものであるが、これには海水浄化室へ
の繁雑な海水の流入が前提となる。このため、海水の流
れが少ない、澱みの発生している沿岸では、貝殻等を充
填した通水性匡体をより海水に触れさせる必要がある。
図15に示した例では、格子状に組んだ桝23に貝殻を充填
した板状通水性匡体18を挟み込み、護岸擁壁2前面に配
列して沈設している。この板状通水性匡体18を挟み込ん
だ桝23は、消波性能も発揮するが、実質的には魚礁とし
ての機能が高く、浄化作用を発揮しながら多くの水中生
物を引き寄せることで、澱みにおける海水浄化を図るの
である。
【0027】
【発明の効果】本発明により、消波性能と高い浄化作用
を兼ね備えた海水浄化ケーソンの提供が可能となる。ま
た、海水浄化室に配設する通水性匡体又は浄化体に貝殻
を充填することで、浄化作用を高めるだけでなく、例え
ば魚礁として積極的に水中生物の生息空間を提供し、豊
かな自然環境の復元又は維持に務めることができる。廃
棄貝殻の利用は、この廃棄貝殻による環境破壊を防止す
るほか、充填材のコストを低く抑え(別途処理費用がも
らえる)、従来より製造が低廉で動力を利用せず浄化作
用を発揮する海水浄化ケーソンの製造コストを更に低く
できる利点となる。
【0028】本発明では、浄化作用を担う充填材を通水
性匡体に充填し、更に浄化体を構成することで、充填材
の取扱いを改善し、更にケーソンに対して通水性匡体又
は浄化体の交換を可能にする蓋を設けることで、浄化作
用の維持を容易にしている。これにより、上述の高い浄
化性能及び環境改善又は維持の効果を長く保つことがで
き、費用対効果を従来のものから格段に進歩させるので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の海水浄化ケーソンを利用した防波堤の
斜視図である。
【図2】別例の防波堤の斜視図である。
【図3】別例の防波堤の斜視図である。
【図4】別例の防波堤の斜視図である。
【図5】別例の防波堤の斜視図である。
【図6】別例の防波堤の斜視図である。
【図7】別例の防波堤の斜視図である。
【図8】別例の防波堤の斜視図である
【図9】本発明の海水浄化ケーソンを利用した護岸擁壁
の斜視図である。
【図10】別例の護岸擁壁の斜視図である。
【図11】別例の護岸擁壁の斜視図である。
【図12】別例の護岸擁壁の斜視図である。
【図13】別例の護岸擁壁の斜視図である。
【図14】別例の護岸擁壁の斜視図である。
【図15】別例の護岸擁壁の斜視図である。
【符号の説明】
1 防波堤 2 護岸擁壁 3 海水浄化ケーソン 4 海水浄化室 5 連結方向の開放面 6 上方の開放面 7 格子開口 8 浄化体 9 コンクリート製蓋 10 空気孔 11 通水性匡体 12 スリット 13 透水性コンクリート(NFC) 14 円筒状通水性匡体 15 規制枠 16 配設孔 17 多孔領域 18 通水性匡体 19 海水導入口 20 海水導入路 21 緩衝室 22 位置合せ面 23 桝

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 防波堤や護岸擁壁を構成するケーソンで
    あって、外部と通水する内部を海水浄化室とし、該海水
    浄化室内に表面粗度が比較的大きな物質を充填したこと
    を特徴とする海水浄化ケーソン。
  2. 【請求項2】 表面粗度が比較的大きな物質が、主とし
    て貝殻であることを特徴とする請求項1記載の海水浄化
    ケーソン。
  3. 【請求項3】 表面粗度が比較的大きな物質を通水性の
    匡体に充填し、該匡体又は該匡体から構成した浄化体を
    海水浄化室に配設してなる請求項1記載の海水浄化ケー
    ソン。
  4. 【請求項4】 外部と通水する海水浄化室に開放面を設
    け、該開放面を蓋により開閉することで、海水浄化室内
    に充填した物質の交換を可能にしたことを特徴とする請
    求項1記載の海水浄化ケーソン。
JP9328730A 1997-11-28 1997-11-28 海水浄化ケーソン Pending JPH11158837A (ja)

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