JP2971007B2 - 消波機能および水棲生物の生息促進機能を有する水域構築物 - Google Patents

消波機能および水棲生物の生息促進機能を有する水域構築物

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JP2971007B2 JP7077136A JP7713695A JP2971007B2 JP 2971007 B2 JP2971007 B2 JP 2971007B2 JP 7077136 A JP7077136 A JP 7077136A JP 7713695 A JP7713695 A JP 7713695A JP 2971007 B2 JP2971007 B2 JP 2971007B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は消波機能を有し、しかも
水棲生物の生息促進機能をも有する水域構築物に関す
る。より詳細には、本発明は、水域構築物の水域と連通
する内部空間内に、前記内部空間内で運動および/また
は移動可能なタイヤおよび/またはタイヤよりなる組立
物を消波・水棲生物生息促進用物体として配置してな
る、消波機能に優れ、しかも水棲生物の生息性にも優れ
る岸壁、護岸、防波堤、桟橋、堤防、潜堤などの水域構
築物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】港湾や漁港の岸壁、護岸、防波堤、桟
橋、潜堤、魚釣り場の護岸、海洋レジャー施設の護岸、
道路護岸、河川や港湾における堤防、潜堤、埋め立て護
岸などのような水域構築物では、波浪や風波のエネルギ
ーを低減するための消波機能、水しぶきの発生防止能な
どが従来から求められており、そのためにそれらの水域
構築物に消波機能を付与する工夫が色々なされている。
【0003】消波機能を有する水域構築物用の基材の代
表的なものの一つとしてテトラポッド(登録商標)があ
り、テトラポッドはその良好な噛み合わせ性や安定性、
高い強度、製造の容易性、施工の容易性などの種々の優
れた特性によって、護岸、防波堤、消波堤、離岸堤、根
固めなどに従来から広く用いられている。しかしなが
ら、テトラポッドは4個の足が全方向に伸びているとい
うテトラ構造に起因して、幅が比較的狭かったり、高さ
の高い直立構造の護岸や岸壁などの水域構築物の構築に
は使用されにくい。そこで、直立構造の護岸や岸壁など
の水域構築物の形成に当たっては、直立状態に次々に積
み重ねて構築することのできる直立型の消波用ブロック
や、コンクリートなどの材料から枠体形状につくられた
ケーソンが通常広く用いられており、近年色々な形式の
直立型消波用ブロックおよびケーソンが開発されて用い
られるようになっている。
【0004】直立型の消波用ブロックでは、消波用ブロ
ックから形成された水域構築物の壁面に波浪を直接その
まま衝突させて波浪のエネルギーを低減させて消波する
形式のものも知られている。しかし、それとは異なり、
消波用ブロックから形成された水域構築物によって波浪
の流れの方向転換、整流、波の分流、細流化、再合流、
小さな衝突などを行わせつつ波浪のエネルギーを低減さ
せたり消失させる方式のものが開発され広く用いられる
ようになっている。そして、波浪の流れの方向転換、整
流、波の分流、細流化、再合流、小衝突などを行わせる
前記の方式の水域構築物の場合には、水域構築物表面へ
の波浪の激しい直接衝突を回避できるので、水域構築物
の損傷や破壊が抑制されて、水域構築物の寿命や耐久性
を長く保ちながら、効果的にその消波機能を発揮させる
ことができる。
【0005】そして、波浪の流れの方向転換、整流、波
の分流、細流化、再合流などを行わせる上記した形式の
消波用ブロックとしては種々のものが知られているが、
その代表的なものとしては、表面に水域に向かって開い
た開口部を有し且つ内部には前記開口部と連通した内部
空間を有する形式の消波用ブロックがあり、そのような
消波用ブロックの代表例としては、出願人である日本テ
トラポッド株式会社により販売されている“イグルー”
(登録商標)などを挙げることができる。そして、“イ
グルー”などで代表される、表面に開口部を有し内部に
開口部と連通する空間を有する消波用ブロックを用いて
形成された水域構築物では、水域に接する水域構築物の
壁面に多数の開口部が形成され、水域構築物の内部には
その多数の開口部と連通する多数の内部空間が形成され
る。その結果、その水域構築物に向かって進んできた波
浪が、水域構築物の表面の開口部から内部空間内に整流
されつつ流入し、内部空間内で分流、細流化、合流、流
動方向の変更、内部空間の壁面との小さな衝突など生じ
つつ、そのエネルギーを失って、消波が行われる。
【0006】そして、表面の開口部とそれに連通する内
部空間を有する消波用ブロックでは、波浪の整流、分
流、細流化、合流、方向転換、内部空間壁面との衝突な
どをより円滑に行わせて消波機能をより向上させるため
の工夫や設計が色々試みられている。しかしながら、い
ずれも、消波用ブロック自体の形状や構造面の改良であ
る場合が多く、そのため既に構築された水域構築物の消
波機能を向上させようとする場合はそのまま採用でき
ず、また種々の形式の消波用ブロックに対して共通して
適用できないという難点がある。
【0007】また、ケーソンを用いて護岸やその他の水
域構築物を形成する場合にも、水域構築物に消波機能を
持たせるために、ケーソンとして水域と接する前面壁の
部分にスリット状の開口部を有するもの(すなわちスリ
ットケーソン)を用いることが既に行われている。そし
て、スリットケーソンを用いて水域構築物を形成した場
合には、ケーソンの前面壁に存在するスリットによって
水域構築物に向かって流れたり衝突してきた波浪や水の
分流、細流化、流動方向の変更、ケーソン内部への取り
込みなどが生じて、水域構築物の表面への波浪や水の激
しい衝突が緩和されて、波浪などのエネルギーが低減さ
れる。そのため、スリットケーソンから構築した水域構
築物は、スリットのないケーソンから構築した水域構築
物に比べて、損傷や破壊が少なく耐久性に優れ、また波
浪が水域構築物に衝突する際の騒音などが少ないという
特長を有する。
【0008】しかしながら、従来のスリットケーソンか
ら形成された水域構築物では、ケーソンの前面壁に形成
したスリットを通して単に波浪や水をケーソンの内部空
間内に導くだけであるので、その消波機能は未だ充分な
ものではない。しかも、ケーソンの前面壁に設けたスリ
ットを通してケーソンの内部に侵入してきた波浪や水
は、未だかなりのエネルギーを有していて、それがケー
ソンの内部空間を構成する後面壁や側面壁などにそのま
ま直接強く衝突するので、ケーソンやそれから形成され
た水域構築物に損傷を与えて水域構築物の耐久寿命を低
下させている。
【0009】また、消波用ブロックやケーソンなどを用
いて形成された従来の水域構築物では、構築した当初は
その表面に水棲生物が付着して生息するが、数年経つと
いわゆる“磯ヤケ”を起こしてその表面に水棲生物が生
息しなくなり、水域構築物の近傍や水域構築物の内部に
設けられた空間部などでは水棲生物による水の浄化が行
われにくく、むしろ水の滞留などによる腐敗などが生じ
易くなるという現象が発生し易い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、水域
に向かう部分に開口部を有し、内部にその開口部と連通
する空間を有する水域構築物に対して、その種類や形式
を問わずに、共通して適用できる消波機能の向上技術を
提供することである。そして、本発明の目的は、水域構
築物に磯ヤケが生じず、水に棲む微生物、小動物、藻類
などの水棲植物、魚介類などのような水棲生物の生息や
増殖を促進して、それらの水棲生物による水域環境の浄
化、更に場合によっては藻類や魚介類などの増殖に有効
な藻場や魚巣の造成なども同時に達成することのできる
水域構築物およびその構築方法を提供することである。
【0011】更に、本発明の目的は、従来の消波用ブロ
ック、ケーソンなどの水域構築物用の基材の形状や構
造、それらの基材から形成された水域構築物自体の形
状、構造の大幅な変更を特に行わなくても、それらをそ
のまま用いるか簡単な設計上の変更を行うだけで、その
消波機能や水棲生物の生息促進機能を格段に向上させる
ことのできる技術を提供することである。そして、本発
明の目的は、新たに構築される水域構築物、および既に
構築されている既存の水域構築物のいずれに対しても適
用できる消波機能の向上技術を提供することである。ま
た、本発明の目的は、従来、その取り扱いが苦慮されて
いる使用ずみの廃タイヤを有効に再利用して、消波機能
および水棲生物の生息促進機能に優れる水域構築物を提
供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らが種々検討した結果、水域に向かって開いた
開口部と該開口部に連通する内部空間を有する消波用ブ
ロックやケーソン(スリットケーソンなど)から構築さ
れた上記した水域構築物において、その内部空間をその
ままブランクの状態にしておかずに、該内部空間内に、
波浪の分流、細流化、方向転換、小衝突などを一層促進
して波浪のエネルギーを低減させることができ、前記内
部空間内で運動および/または移動可能であり、さらに
場合により変形する物体を配置すると、該物体が水域構
築物の上記した内部空間内で運動、移動、変形などを生
じ、また該内部空間内に流入してきた波浪(水流)の分
流、細流化、方向転換、小衝突などが行われて、波浪
(水流)のエネルギーが低減されて消波されることを見
出した。
【0013】更に、本発明者らは、水域構築物の内部空
間内に上記した消波機能を有する物体を配置した場合に
は、上記の物体と内部空間壁面との接触や摩擦、該物体
の撹拌作用に伴う空気の取り込みなどが促進され、しか
も水棲生物が付着したり生息できる部分の面積が増加す
るため、内部空間の壁面などでは磯ヤケが起こらず、水
棲生物が内部空間内で円滑に生息、繁殖して水の浄化が
促進され、場合によっては藻類や魚介類などの有用資源
の増殖に有効な藻場や漁巣の造成されることを見出し
た。また、本発明者らは、水域構築物の内部空間内に上
記の物体を配置することによる上記した消波機能の向上
技術および水棲生物の生息促進技術が水域に向かって開
いた開口部とそれに連通する内部空間を有する種々の水
域構築物に対して共通に適用できることを見出すと共
に、かかる消波機能の向上および水棲生物の生息促進技
術は、これから新規に構築する水域構築物および既で構
築されている水域構築物のいずれに対しても適用できる
ことを見出した。
【0014】そして、本発明者らが上記した種々の知見
に基づいて更に検討を重ねたところ、水域構築物の内部
空間内に配置する上記した物体としては、タイヤまたは
その組立物が、水域構築物に与える損傷が少なく、しか
も波浪や水流のエネルギーの低減効果が大きく、且つ水
棲生物の生息促進機能に優れていることを見出した。特
に、タイヤまたはその組立物として、廃タイヤまたはそ
の組立物を用いた場合には、近年廃棄物としてその取り
扱いが苦慮されている廃タイヤの有効利用をも同時に達
成することができ極めて望ましく、しかもタイヤはその
消波機能および水棲生物の生息促進機能に極めて優れて
いることが判明した。また、本発明者らは、水域構築物
の内部空間内にタイヤおよび/またはタイヤよりなる組
立物と共に更に水浄化材を配置すると、消波や、水しぶ
きの発生防止と共に、水域構築物を設けた水域の水の浄
化を一層促進できることを見出し、それらの知見に基づ
いて、本発明を完成した。
【0015】すなわち、本発明は、消波機能および水棲
生物の生息促進機能を有する水域構築物であって、該水
域構築物は水域に向かって開いた開口部と該開口部に連
通する内部空間を有し、且つ前記内部空間内に、前記内
部空間内で運動および/または移動可能なタイヤおよび
/またはタイヤよりなる組立物(以下「タイヤ組立物」
という)を配置してあることを特徴とする水域構築物で
ある。
【0016】さらに、本発明は、・水域構築物の製造時
に、水域構築物における水域に向かって開いた開口部と
連通する内部空間内に、前記内部空間内で運動および/
または移動可能なタイヤおよび/またはタイヤ組立物を
配置する方法;および、・既に構築されている水域構築
物の水域に向かって開いた開口部と連通する内部空間内
に、前記内部空間内で運動および/または移動可能なタ
イヤおよび/またはタイヤ組立物を外部から挿入して配
置する方法;を包含する。
【0017】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明の水域構築物の種類は特に制限されず、港湾、河
川、海洋、湖沼、ダム湖、池などの水域環境中に、水域
構築物の全体または一部が水に接するようにして構築さ
れている構築物であればよい。限定されるものではない
が、本発明における水域構築物の代表例としては、港
湾、河川、海洋、湖沼、ダム湖、池などの水域環境に構
築される岸壁、護岸、防波堤、桟橋、堤防、潜堤などを
挙げることができる。その場合に、本発明で対象として
いる水域構築物は、水と常時接している水域構築物、ま
たは断続的に水と接触する水域構築物(例えば満潮時や
ダムの放水時などにのみ水と接する水域構築物)のいず
れであってもよい。
【0018】そして、本発明の水域構築物は、水域に向
かって開いていて水流(波浪)を取り込んだり吐き出し
たりすることのできる開口部と、該開口部に連通してい
る内部空間を有していて、開口部からの水流(波浪)が
内部空間内に流入し、該内部空間に流入してきた水や波
浪を再び外部に流出させることのできる水域構築物であ
ればいずれでもよく、その他の部分の構造や形状、寸
法、規模、材質などは特に制限されない。例えば、本発
明の水域構築物は、上方(上空)から見た場合に、水域
に沿って水中から一部突出してまたは水中に没して、ほ
ぼ直線状に延ばして構築された水域構築物であっても、
湾曲した状態で延設されている水域構築物であっても、
蛇行した状態で延設されている水域構築物であっても、
岸から沖に向かったT字型に延設された水域構築物であ
っても、またはその他の形態の水域構築物であってもよ
い。また、本発明の水域構築物は、例えばコンクリー
ト、重量コンクリート、鉄筋コンクリート、鉄骨コンク
リート、鉄筋・鉄骨コンクリート、鋼材、強化プラスチ
ック、それらの複合材などの種々の素材から形成されて
いることができる。
【0019】また、本発明の水域構築物において、水域
に向かって開いた開口部やそれと連通する内部空間の構
造、形状、大きさなどは特に制限されず、水域構築物全
体の規模や構造、水域構築物を構成するための消波ブロ
ックやケーソンなどの基材の大きさや形状、水域構築物
を構築する水域環境の状況、波浪の強さ、水域構築物の
種類などの種々の要件に応じて決めるのがよい。その場
合に、水域構築物に大きな衝撃などを与えないようにし
ながら水域構築物の内部空間内に水流(波浪)を円滑に
流入させることができ、しかも水流のエネルギーを低減
させ且つ水棲生物の生息を促進するためのタイヤおよび
/またはタイヤ組立物と開口部および内部空間との協働
作用によって、内部空間内に流入してきた水流(波浪)
のエネルギーを、円滑に低減させ得ることができるよう
に、開口部および内部空間の構造、形状、大きさなどを
決めることが必要である。
【0020】そして、本発明の水域構築物では、水域に
向かった開いた開口部の位置や数;開口部に連通する内
部空間の位置や数;開口部と内部空間の連通構造なども
特に制限されない。例えば、本発明の水域構築物は、水
域構築物の長さ方向(延設方向)に沿った一方の壁部
(前面壁)にのみ開口部が設けられていて水域構築物を
通過して水が流れ得ない、いわゆる遮断型(非透水性)
の構造であっても、または水域構築物の長さ方向(延設
方向)に沿った両方の壁部(前面壁と後面壁)に開口部
が設けてあって水域構築物を通して水が流れ得る、いわ
ゆる透過型の構造であってもよい。また、水域構築物に
おける開口部の位置は、水域構築物の高さ方向から見
て、そのほぼ全体をカバーするように上から下まで設け
てあっても、或いは水面またはその近傍に位置する部分
にのみ水域に開口した開口部を設けてあっても、または
前記以外の位置に設けてもよい。また、本発明の水域構
築物においては、一つの内部空間に対して、それに連通
する開口部の数を1個のみ設けてあってもまたは2個以
上あってもよい。
【0021】特に、水域構築物に設ける開口部および内
部空間の数に関しては、水域構築物がその長さ方向(延
設方向)に沿って、水域に向かって開いた開口部を複数
有し且つ該複数の開口部に連通する内部空間を複数有し
ているのが望ましく、それによって、水域構築物の長さ
方向の全体に亙って水流(波浪)のエネルギーを低減す
ることができ且つ水棲生物の生息の促進を円滑に行うこ
とができる。
【0022】そして、本発明の水域構築物が複数の内部
空間を有するものである場合には、該複数の内部空間が
水域構築物内で互いに連通していて、開口部から一つの
内部空間内に流入してきた水や波浪が隣接する別の内部
空間へと流れ得る構造であっても、または複数の内部空
間が互いに独立していて開口部から一つの内部空間に流
入してきた水や波浪が隣接する別の内部空間へと流れず
に流入してきた開口部から再度流出するような構造であ
ってもよい。そのうちでも、隣接する複数の内部空間が
水域構築物内で互いに連通している前者の水域構築物が
好ましく、かかる水域構築物では、一つの内部空間に流
入してきた水や波浪が隣接する別の内部空間にも流れる
ことによって、一つの内部空間の壁面などにかかる水圧
や波浪のエネルギーがより速やかに低減され緩和されて
消波がより円滑に行われ、波浪や水流による水域構築物
の破損などが低減され、しかも水棲生物の生息し易い比
較的温和で良好な環境が内部空間内に形成される。そし
て、水域構築物内の隣接する複数の内部空間を互いに連
通させるに当たっては、隣接する複数の内部空間を、横
方向、上下方向、前後方向および斜め方向のうちの少な
くとも一つの方向で連通するようにしておくことがで
き、水域構築物の強度などを勘案しながら、できるだけ
多くの方向に連通するようにしておくのが望ましい。
【0023】そして、上記した構造を有している限り
は、本発明の水域構築物の構築形式などは特に制限され
ず、本発明の水域構築物は、例えば直立型の水域構築物
であっても、または傾斜型の水域構築物(例えば緩斜堤
など)であってもよい。また、本発明の水域構築物は、
消波用ブロックまたはスリット等の水域に向かって開い
た開口部を有するケーソンなどから形成されていても、
或いはその他の基材を用いて形成されていてもよい。そ
のうちでも、本発明の水域構築物は、直立型消波用ブロ
ック、または開口部を有するケーソンによって構築され
ているのが特に好ましい。
【0024】本発明の水域構築物が直立型消波用ブロッ
クから構築された水域構築物である場合には、水域構築
物を構成する直立型消波用ブロックとして、水域に向か
って開いた開口部を有し且つ該開口部と連通する内部空
間が形成されている水域構築物が消波用ブロックの積み
重ねによって構築され得る直立型消波用ブロックであれ
ばいずれも使用でき、その種類、構造、形状、寸法など
は特に制限されない。そのうちでも、本発明では、遮断
型の水域構築物を消波用ブロックから形成する場合に
は、直立型消波用ブロックとして、例えば前記した“イ
グルー”などの直立型消波用ブロックが好ましく用いら
れる。
【0025】また、本発明において、水域構築物を複数
のケーソンを連設して形成する場合には、ケーソンとし
て、水域に接する前面壁部分に少なくともスリット状や
その他の形状(例えば円形、楕円形、方形、三角形、そ
の他の形状)の開口部を有するケーソンを使用するのが
よい。ケーソンの前面壁に開口部を設けるに当たって
は、ケーソンの高さの少なくとも1/2以上およびケー
ソンの前面壁の幅の1/2以上の部分に開口部が分布す
るようにして、開口部の形状や数を決めるのがケーソン
の内部空間中に水流を円滑に取り込む上で好ましい。ま
た、ケーソンの前面壁は、場合によっては垂直壁ではな
く、例えば曲面状に外方に多少突出した形状であっても
よく、その場合には開口部を形成し得る前面壁の面積を
増加でき、内部空間内への水流の流入量を増加すること
ができる。
【0026】また、ケーソンの前面壁だけではなく、ケ
ーソンの後面壁にも開口部を設けてもよく、前面壁と後
面壁の両方に開口部を有するケーソンを用いた場合に
は、上記した透過型の水域構築物を形成することができ
る。またケーソンの側面壁に通水口を設けておくと、そ
のようなケーソンを長さ方向に延設して構築された水域
構築物では、一つのケーソンの内部空間に流入してきた
水や波浪がそれと隣接する別のケーソンの内部空間に側
面壁の通水口を通して流れるようになる。そして、その
結果、一つのケーソンの内部空間を構成する壁面などに
かかる水圧や波浪のエネルギーがより速やかに低減・緩
和されて、ケーソンの破損が防止されて水域構築物の耐
久性を増すことができ、しかもその消波機能がより優れ
たものとなり、その上、水棲生物の生息や増殖に一層適
した温和な環境がケーソンの内部空間内に形成される。
【0027】個々のケーソンの内部には、必要に応じ
て、補強のためやケーソンの内部空間中にタイヤおよび
/またはタイヤ組立物を安定した状態で配置するため
に、必要数の仕切り(隔壁、棚体など)を設けておいて
もよい。その場合に、仕切りは水を通過させない遮断型
のものであってもまたは通水型のものであってもよい
が、仕切りに通水口などを設けて通水型としておくと、
ケーソンの内部空間内に流入してきた波浪や流水が仕切
りの通水口を通して円滑に流れ、分散するので、その消
波機能、水棲生物の生息促進機能が一層良好になる。
【0028】本発明の水域構築物では、その内部空間内
に配置する消波・水棲生物生息促進用物体として、上記
したように、水流の分流、細流化、方向転換、小衝突な
どを促進して水域構築物の内部空間に流入してくる水流
や波浪のエネルギーを効果的に低減させることができ、
耐久性があって水域構築物の内部空間内に流入する水流
や波浪との衝突やそれに伴う内部空間の壁面などとの衝
突によっても破損したりすることがなく長期にわたって
当初の形状や物性を保持でき、水域構築物の内部空間の
壁面などに損傷を与えず、且つ水棲生物の生息促進作用
に極めて優れるタイヤおよび/またはタイヤ組立物を使
用する。
【0029】限定されるものではないが、例えば、タイ
ヤおよび/またはタイヤ組立物を、それらが常に水中に
存在するようにして水域構築物の内部空間内に配置した
場合には、タイヤおよび/またはタイヤ組立物の表面や
内部には水中で生息する生物が付着、生息、増殖するよ
うになり、一方、タイヤおよび/またはタイヤ組立物を
その一部が水面の上に露出するようにして水域構築物の
内部空間内に配置した場合は、潮の干満の大きい水域環
境(例えば干潟など)などに生息する種々の生物が主と
して、付着、生息、増殖するようになる。
【0030】そして、本発明では、水域構築物の内部空
間内に配置するタイヤおよび/またはタイヤ組立物とし
て、廃タイヤおよび/またはその組立物がより好ましく
用いられる。本発明で用いるタイヤおよび/またはタイ
ヤ組立物は、外部からの力で容易に変形させたりその体
積などを縮小することができるので、既に構築されてい
る既存の水域構築物の内部空間内に外部から容易に挿入
することができる。
【0031】しかも、本発明において水域構築物の内部
空間に配置するタイヤおよび/またはタイヤ組立物は、
水流(波浪)などによる大きな外部応力がかかった時
に、その輪状形状等が一時的に変わって変化に富んだ動
きを生じ、一方水流(波浪)の力が小さくなった際には
その弾力性によって元の形状に容易に復元して前とは異
なった動きを示して、それが水流(波浪)の状態(強弱
など)に応じて繰り返して行われるので、良好なエネル
ギー低減機能を持続して発揮することができる。しか
も、タイヤおよび/またはタイヤ組立物と水域構築物の
内部空間内の壁面との接触や摩擦、更にはタイヤおよび
/またはタイヤ組立物の撹拌作用に伴う水中への空気の
取り込みなどによって、水域構築物の内部空間内の壁面
やその近傍などにおける磯ヤケが防止されて、水棲生物
が水域構築物の内部空間内やその近傍で良好に、生息、
増殖するので、水棲生物による水の浄化が一層促進さ
れ、場合によっては藻場の増殖、魚巣の造成が達成され
る。
【0032】また、本発明でタイヤを複数個組み合わせ
て形成したタイヤ組立物を使用する場合は、タイヤの組
み合わせ構造は特に制限されず、それぞれの状況に適し
た組み合わせ構造とすればよく、例えばタイヤを2個ま
たは3個以上互いに毬状に交差させて組み合わせた毬状
体、タイヤを2個以上筒状に積み重ねて固定したもの、
タイヤを横に並べてチェーン状に連結したものなどを用
いることができる。タイヤ組立物を形成するに当たって
は、複数個のタイヤ同士の固定や結合は、例えば接着
剤、ロープ、ボルト、バンド、チェーン、ワイヤーなど
の結合手段を用いて行うことができる。水域構築物の内
部空間にタイヤ組立物を配置するに当たっては、水域構
築物の内部空間の大きさや形状、内部空間へのタイヤ組
立物の充填の仕方などに応じて、その組立構造をそれぞ
れの内部空間に適合したものとするとよい。
【0033】そして、水域構築物の内部空間に配置する
タイヤおよび/またはタイヤ組立物として、使用済みの
タイヤ(廃タイヤ)、またはそれを複数個組み合わせて
形成した組立物を用いた場合には、廃棄物としてその取
り扱いに苦慮されてきた廃タイヤの有効利用にもつなが
り、かかる点からも極めて有益である。しかも、廃タイ
ヤは通常その強度や耐久性が十分にある場合が多く、高
い水流や波浪の圧力を受けてその形状が一時的に変わっ
てもまた元の形状に簡単に復元するので、その優れた弾
力性、一時的な変形とそれに続く元の形状への復元など
によって水域構築物の空間部に流入してきた水流(波
浪)のエネルギーを効果的に低減することができ、かか
る点からも極めて有効であり、更にタイヤの外側の表面
だけではなく、その内側の表面に水棲生物が付着して生
息、増殖するようになる。
【0034】また、水域構築物を重量コンクリート、鉄
筋コンクリートやその他の強度が大きく、重量の大きい
消波用ブロックやケーソンなどの基材から形成した場合
には、タイヤやタイヤ組立物に重りなどを入れてその重
量を大きくして使用してもよく、その場合にはタイヤお
よび/またはタイヤ組立物が水域構築物の内部空間内で
移動したり、内部空間の壁面に衝突しても、水域構築物
の移動、倒壊、損傷が生じない。
【0035】水域構築物の内部空間内に配置するタイヤ
および/またはタイヤ組立物の個数は、内部空間の構
造、形状、広さ、タイヤおよび/またはタイヤ組立物体
の大きさや、タイヤ組立物の組立形状などに応じて適宜
調節することができ、一つの内部空間に配置するタイヤ
および/またはタイヤ組立物の数は1個であっても、2
個であっても、3個以上であってもよく、複数個配置す
る場合は多数配置してもよい。また、水域構築物の内部
空間内に配置するタイヤおよび/またはタイヤ組立物の
大きさは、内部空間の大きさや形状などに応じて適宜調
節すればよい。ただし、タイヤおよび/またはタイヤ組
立物の大きさは、それらが水流(波浪)と共に水域構築
物の外に排出されてしまわないような大きさであること
が必要である。また、水域構築物の内部空間内に配置す
るタイヤおよび/またはタイヤ組立物は、その種類、形
状、構造、大きさなどがすべて同じであっても、または
互いに異なっていてもよい。
【0036】そして、水域構築物の内部空間へのタイヤ
および/またはタイヤ組立物の配置の仕方は、水域構築
物の種類、水域構築物を構築してある水域の環境などに
応じて、適宜選択するのがよい。例えば、水域構築物の
内部空間内で、タイヤおよび/またはタイヤ組立物が、
激しく(大きく)運動(移動)し得るように配置して
も、多少運動(移動)し得るように配置してもよい。
【0037】水域構築物の内部空間内にタイヤおよび/
またはタイヤ組立物を運動可能なように配置する場合
は、タイヤおよび/またはタイヤ組立物を単にそのまま
内部空間に入れておいても、またはタイヤおよび/また
はタイヤ組立物に適当な長さの綱、紐、鎖などよりなる
線状の連結手段を取り付け、該線状の連結手段のもう一
方を水域構築物の適当な箇所に取り付けて、タイヤおよ
び/またはタイヤ組立物が内部空間内で運動できるよう
にしながらそれらを水域構築物に取り付けても、或いは
数個のタイヤおよび/またはタイヤ組立物を網や布帛な
どから製造した袋などに入れてそれを内部空間内に運動
可能に配置してもよい。
【0038】そして、線状の連結手段を用いて内部空間
内で運動可能にタイヤおよび/またはタイヤ組立物を配
置する場合、または袋などに複数個のタイヤおよび/ま
たはタイヤ組立物を入れてそれを運動可能なようにして
内部空間内に配置する場合は、内部空間内におけるタイ
ヤおよび/またはタイヤ組立物体の動きをある程度規制
することができ、それによって水流(波浪)のエネルギ
ー低減状態を所定のものに設定することができる。ま
た、長期間の使用によってタイヤおよび/またはタイヤ
組立物に損傷などが生じて取り替える必要が生じたとき
に、線状の連結手段を水域構築物の外部から引っ張って
タイヤおよび/またはタイヤ組立物を外部に取り出した
り、袋ごと外部に取り出して、別のものと取り替えるこ
とが容易に行えるようになる。本発明では、タイヤおよ
び/またはタイヤ組立物を運動(移動)が可能なように
して水域構築物の内部空間に配置しているため、内部空
間へのタイヤおよび/またはタイヤ組立物の配置作業を
簡単に行うことができ、また内部空間への水流(波浪)
の流入形態、水流(波浪)のエネルギーの大きさなどに
応じて、タイヤおよび/またはタイヤ組立物も適宜運動
してその消波機能を発揮させることができる。
【0039】そして、水域構築物の内部空間内にタイヤ
および/またはタイヤ組立物を移動可能に配置した場
合、少しだけ移動するように配置した場合のいずれの場
合にも、タイヤおよび/またはタイヤ組立物が、内部空
間内に流入する波浪や水の力によって弾性変形してその
消波機能を充分に発揮することができ、しかも内部空間
内に水棲生物の生息や増殖に適した環境を出現させるこ
とができる。
【0040】また、水域構築物の内部空間内にタイヤお
よび/またはタイヤ組立物を配置するに当たっては、水
域構築物の内部空間がタイヤおよび/またはタイヤ組立
物によって完全にまたはほぼ完全に埋めつくされるよう
にして該内部空間に充填して配置しても、或いは内部空
間内にタイヤおよび/またはタイヤ組立物が充填されて
いないスペースが存在するようにして配置してもよい。
特に、ケーソンなどから形成されていて広い内部空間を
有している水域構築物では、その内部空間を仕切らずに
または通水性の仕切り(隔壁、目皿、棚、スノコなど)
で規則的に仕切って、その仕切った内部空間内にタイヤ
および/またはタイヤ組立物を例えば市松模様などのよ
うにして所定の間隔をあけて規則的に配置することがで
き、その場合には、内部空間内に配置するタイヤおよび
/またはタイヤ組立物の使用量が膨大なものにならない
ように抑制しながら、良好な消波機能および水棲生物の
生息促進機能を水域構築物に付与することができる。
【0041】更に、ケーソンなどから形成されていて広
い内部空間を有する水域構築物では、内部空間の一部に
必要に応じてタイヤおよび/またはタイヤ組立物以外の
他の物体や資材などを配置したり充填してもよい。例え
ば、内部空間の底部、内部空間の水域に向かっていない
背面側の部分、内部空間の水域構築物の長さ方向(延設
方向)に沿った中央帯部分などに、砂、石、土砂、鋼
材、その他の重量物などを充填して水域構築物に重量や
強度を付与して水域構築物の倒壊や移動などを防止する
と共に、内部空間内の残余の部分に、タイヤおよび/ま
たはタイヤ組立物を完全に詰め込んで配置したり、また
はスペースが残るようにして部分的に配置することがで
きる。
【0042】また、本発明では、タイヤおよび/または
タイヤ組立物と共に、必要に応じて貝殻やその他の水浄
化作用を有することが知られている水浄化材を、水浄化
材が水域構築物の内部空間から容易に流失してしまわな
いような形態にして(例えば透水性の袋、型枠、容器な
どに入れて)水域構築物の内部空間に配置してもよく、
その場合には、タイヤおよび/またはタイヤ組立物によ
る水浄化機能と貝殻やその他の水浄化材との水浄化機能
の両方の働きによって水域環境の水質の向上を一層促進
することができる。
【0043】本発明の水域構築物を得るための構築方法
や作業方法などは特に制限されず、水域に向かって開い
た開口部に連通する内部空間内にタイヤおよび/または
タイヤ組立物が配置されている水域構築物を得ることの
できる方法であればいずれも採用できる。限定されるも
のではないが、本発明の水域構築物の形成方法として
は、 (1) 消波用ブロックや開口部を有するケーソン(ス
リットケーソンなど)などの基材を用いて水域構築物を
水域環境に構築する際に、水域構築物の水域に向かって
開いた開口部に連通する内部空間内にタイヤおよび/ま
たはタイヤ組立物を同時に配置する方法; (2) 消波用ブロックやケーソンなどの基材における
水域に向かって開いた開口部に連通する内部空間内にタ
イヤおよび/またはタイヤ組立物を予め配置しておき、
そのような基材を用いて水域環境で水域構築物を形成す
る方法; (3) 消波用ブロックやケーソンなどの基材を用いて
水域環境中に水域構築物を形成した後、その水域構築物
の水域に向かって開いた開口部に連通する内部空間内
に、タイヤおよび/またはタイヤ組立物を外部から挿入
して配置する方法; (4) 既に構築されている既存の水域構築物の内部空
間内にタイヤおよび/またはタイヤ組立物を外部から挿
入して配置する方法;などを挙げることができる。
【0044】特に、消波・水棲生物生息促進物体として
タイヤおよび/またはタイヤ組立物を用いる本発明によ
る場合には、上記したように、タイヤおよび/またはタ
イヤ組立物の体積や寸法などを押圧などによって水域構
築物の内部空間に外部から挿入するのに適した大きさに
一時的に圧縮、変形、縮小させることができるので、上
記した(3)または(4)の方法を円滑に行うことがで
きる。その場合に、タイヤおよび/またはタイヤ組立物
の内部空間への挿入を容易にするために、場合によって
はタイヤおよび/またはタイヤ組立物の一部に切り込み
や切り欠きなどを設けて内部空間への挿入を行ってもよ
い。
【0045】上記したように、本発明による場合は、既
に従来から販売されている消波用ブロックやケーソンな
どをそのまま用いて、または既に構築された水域構築物
に対して実施することができるが、それに限定されるも
のではなく、場合によっては、水域構築物の内部空間に
配置するタイヤおよび/またはタイヤ組立物の形状、構
造、大きさなどに応じて水理実験や数理解析などを行っ
て、本発明を実施するのに適する消波用ブロックやケー
ソンなどの基材を新たに設計して用いてもよい。
【0046】
【実施例】以下に本発明について図面を参照して具体的
に説明するが、本発明は何らそれにより限定されるもの
ではない。
【0047】まず、直立型消波用ブロックの1種である
上記した“イグルー”を用いて形成された本発明の水域
構築物の具体例について説明する。“イグルー”は、図
1に示すような外観を有しており、この“イグルー”を
図2に示すようにして積み重ねることによって、直立型
護岸などの水域構築物が形成される。そして、そのよう
にして形成された図2の水域構築物では、図3の垂直断
面図(A−Aの切断面)にみるように、各々の消波用ブ
ロック1(“イグルー”)の上部に存在する水平板2の
作用で波浪の上下運動が水平な流れに変換されて水塊と
なって、その開口部3から消波用ブロック1の楕円形の
内部空間(チャンバー)4に導かれ、内部空間(チャン
バー)4に導かれた水塊は図4の横断面図(B−Bの切
断面)に示すように直進、分流、内部空間(チャンバ
ー)4の内壁面との摩擦などによって多くのエネルギー
を失う。またそれと共に、図5の垂直断面図(C−Cの
切断面)に示すように、内部空間(チャンバー)4に流
入した波浪(水流)は、上下に積み重ねた消波用ブロッ
ク1の間の間隙5を通しても流れて、その方向転換、細
流化、分流、その流路壁との摩擦などによって更にエネ
ルギーを失って消波が効果的に行われる。
【0048】そして、本発明の水域構築物では、“イグ
ルー”のような消波用ブロック1から形成された水域構
築物の内部空間(チャンバー)4の内部に、図6の
(a)に示すような弾力性材料からなる廃タイヤなどの
タイヤ6、図6の(b)〜(e)に示すようなタイヤ6
を複数個用いて組み立てて形成した組立物の1個または
2個以上を、図7〜図9に示すようにして配置する。こ
こで、図7〜図9は、“イグルー”のような消波用ブロ
ック1から形成された水域構築物の内部空間(チャンバ
ー)4の内部に、タイヤ6を1個ずつ配置した場合を模
式的に示した図であって、図7は水域構築物の垂直断面
図(A−Aの切断面)、図8は水域構築物の横断面図
(B−Bの切断面)、図8は水域構築物の垂直断面図
(C−Cの切断面)を示す。
【0049】そして、水域構築物の内部空間(チャンバ
ー)4内に上記のようにして消波・水棲生物生息促進用
物体であるタイヤ6を配置することによって、水域構築
物の内部空間(チャンバー)4の内部で、水流の分流、
細流化、方向転換、タイヤ6と水流との衝突や摩擦、タ
イヤ6の弾性に基づく水流の跳ね返し作用、タイヤ6と
内部空間(チャンバー)4の壁面との間の摩擦、タイヤ
6の内部空間(チャンバー)4の内部での移動(運動)
などが更に複雑に絡み合って、水流(波浪)のエネルギ
ーが一層効果的に低減されて、消波が一層促進される。
しかも、それと同時に水域構築物の内部空間(チャンバ
ー)4の壁面にタイヤ6が接触し、該壁面がタイヤ6で
摩擦され、更にはタイヤ6の撹拌作用によって空気が水
流中に取り込まれて、磯ヤケが防止されて、水域構築物
に水棲生物が付着し生息して、またタイヤ6の外側の表
面や内側内やその表面にも水棲生物が生息するようにな
って水の浄化が同時に行われるようになる。
【0050】なお、図7〜図9には、水域構築物のそれ
ぞれの内部空間(チャンバー)4内にタイヤ6を1個ず
つ配置した場合について具体的に説明したが、勿論、そ
れに限定されず、内部空間(チャンバー)4内に配置す
るタイヤの数は必ずしも1個でなく2個以上であっても
よく、また場合によっては、例えば内部空間(チャンバ
ー)4の水底からの高さ位置、横方向位置などに応じて
それぞれの内部空間(チャンバー)4内に配置するタイ
ヤおよび/またはタイヤ組立物の種類や数を適宜変えて
もよい。
【0051】次に、ケーソンを用いて形成した本発明の
水域構築物の具体例について説明する。図10は、ケー
ソン(スリットケーソン)8の複数個を長さ方向に延設
して構築した堤防やその他の水域構築物の一例を示す図
であり、水域構築物を構成するケーソン8の前面壁9に
は、ケーソン8の内部空間内に水流や波浪を流入させる
ための水域に向かって開いたスリット10を形成してあ
る。図10のケーソン8の内部空間内には、ケーソン8
の強度の向上や、ケーソン8の内部空間内の所定位置に
タイヤおよび/またはタイヤ組立物よりなる消波・水棲
生物生息促進用物体13(以下タイヤおよびタイヤ組立
物を総称して単に「消波・水棲生物生息促進用物体」と
いうことがある)を安定した状態で配置するために仕切
り11,12を設けてある。そして、仕切り11,12
によって仕切られた内部空間内には、該消波・水棲生物
生息促進用物体13を未充填部が存在しないようにして
隅々まで完全に充填して配置してある。図10の水域構
築物では、それぞれのケーソン8の向かって右側の内部
空間には、図6の(c)に示した3個のタイヤを毬状に
組み合わせた組立物からなる消波・水棲生物生息促進用
物体13が充填・配置してあり、一方向かって左側の内
部空間には図6の(a)に示したタイヤからなる消波・
水棲生物生息促進用物体13が配置してある。
【0052】また、図10の水域構築物では、ケーソン
8の内部空間に仕切り11,12を設けてあるが、場合
によっては仕切りがなくてもよく、また別の方式で仕切
りを設けてもよい。さらに、図10の水域構築物では、
ケーソン8の内部空間の向かって右側と左側とで上記し
たようにそれぞれ異なる種類の消波・水棲生物生息促進
用物体13を充填配置しているが、それに限定されるも
のではなく、両者で同じ種類の消波・水棲生物生息促進
用物体13を配置しても、また図6の(a)および
(c)とは異なる消波・水棲生物生息促進用物体13を
充填して配置してもよい。この図10の水域構築物にお
いて、ケーソン8の内部空間内へのタイヤおよび/また
はタイヤ組立物よりなる消波・水棲生物生息促進用物体
13の充填量や配置量を少なくして、消波・水棲生物生
息促進用物体13が内部空間内である程度移動できた
り、かなり自由に移動できるようにするのがよい。さら
に、ケーソン8の上部に水透過性または水不透過性の蓋
体(図示せず)などを取り付けて、ケーソン8の内部空
間内に充填して配置した消波・水棲生物生息促進用物体
13がケーソン8の外部に飛び出すのを防止してもよ
い。
【0053】次に、図11は、ケーソン(スリットケー
ソン)8を長さ方向に複数個延設して構築した水域構築
物の別の例を示す図であり、図11の水域構築物におい
ても、それぞれのケーソン8の前面壁9に水域に向かっ
て開いたスリット10が形成してある。図11のケーソ
ン8の内部空間内には、ケーソン8の内部空間を前面部
と後面部、および左半分と右半分に仕切るための仕切り
11,12を設けてあり、仕切り11によって仕切られ
た前面部にのみタイヤおよび/またはタイヤ組立物より
なる消波・水棲生物生息促進用物体13を充填して配置
してある。この図11の水域構築物では、仕切り11に
よって仕切られた後面部の空間14には何も充填しなく
てもよいが、水域構築物の補強や重量増加などのため
に、空間14内に砂利、砂、石、鋼材などの重量物(図
示せず)を充填しておくのが望ましい。
【0054】図11の水域構築物の場合も、前面部の右
半分と左半分の空間で異なった消波・水棲生物生息促進
用物体13を充填配置している。前面部の右側の内部空
間には図6の(c)に示した3個のタイヤを毬状に組み
合わせた組立物からなる消波・水棲生物生息促進用物体
13を、前面部の左側の内部空間には図6の(a)に示
したタイヤからなる消波・水棲生物生息促進用物体13
が配置してあるが、それに何ら限定されず、同じ消波・
水棲生物生息促進用物体13を配置しても、または図6
の(a)および(c)とは異なる種類のタイヤおよび/
またはタイヤ組立物よりなる消波・水棲生物生息促進用
物体13を配置してもよい。また、この図11の水域構
築物において、ケーソン8の内部空間の前面部における
消波・水棲生物生息促進用物体13の充填量や配置量を
少なくして、消波・水棲生物生息促進用物体13が内部
空間内である程度移動できたり、かなり自由に移動でき
るようにしてもよい。さらに、ケーソン8の上部に水透
過性または水不透過性の蓋体(図示せず)などを取り付
けて、ケーソン8の内部空間の前面部内に充填・配置し
た該消波・水棲生物生息促進用物体13がケーソン8の
外部に飛び出すのを防止してもよい。
【0055】そして、図12は、スリットケーソン8の
複数個をその長さ方向に連設して構築した水域構築物の
さらに別の例を示す図である。この図12の水域構築物
においても、それぞれのケーソン8の前面壁9に水域に
向かって開いたスリット10が形成してある。図12の
水域構築物では、ケーソン8の内部空間に棚などの仕切
り15を設けて、ケーソン8の内部空間を上部と下部に
仕切ってある。そして、仕切り15によって仕切られた
上部の空間にのみタイヤおよび/またはタイヤ組立物よ
りなる消波・水棲生物生息促進用物体13を充填して配
置してある。また、仕切り(棚)15の上部に充填・配
置した該消波・水棲生物生息促進用物体13の上面に
は、簀の子やその他の通水板16を載置して(被せ
て)、消波・水棲生物生息促進用物体13の大幅な移動
やケーソン8の内部空間からの飛び出しを防止してあ
る。
【0056】この図12の水域構築物では、仕切り15
によって仕切られた下部の空間17には何も充填しなく
てもよいが、水域構築物の補強、重量増加のために、空
間17内に砂利、砂、石、鋼材などの重量物(図示せ
ず)を充填しておくのが望ましい。また、図12の水域
構築物において、上部の空間に充填・配置したタイヤお
よび/またはタイヤ組立物よりなる消波・水棲生物生息
促進用物体13の上面に通水板16を載せる代わりに、
該消波・水棲生物生息促進用物体13の全体を丈夫な網
体、籠、通水性の箱などの通水性外殻(図示せず)内に
充填し、それを仕切り(棚)15の上に載せて配置する
ようにしてもよい。
【0057】また、図13は、ケーソン(スリットケー
ソン)8を複数連ねて形成した堤防やその他の水域構築
物のさらに別の例を示す図であり、図13の水域構築物
においても、それぞれのケーソン8の前面壁9に水域に
向かって開いたスリット10が形成してある。図13の
水域構築物では、ケーソン8の内部空間を仕切り11,
12によって前後および左右に仕切ると共に、棚などの
仕切り15によってさらに上部と下部に仕切ってある。
そして、仕切り11,12および15によって包囲され
た前面部の上部の空間にのみタイヤおよび/またはタイ
ヤ組立物よりなる消波・水棲生物生息促進用物体13を
充填して配置してあり、その上面には簀の子やその他の
通水板16を載せて(被せて)、該消波・水棲生物生息
促進用物体13の大幅な移動やケーソン8の内部空間か
らの飛び出しを防止してある。
【0058】この図13の水域構築物では、仕切り1
1,12によって仕切られた後面部の空間14および仕
切り11,12および15によって仕切られた前面下部
の空間18には何も充填しなくてもよいが、水域構築物
の補強、重量増加のために、空間14および空間18内
に砂利、砂、石、鋼材などの重量物(図示せず)を充填
しておくのが望ましい。また、図13の水域構築物にお
いても、前面上部の空間に充填・配置したタイヤおよび
/またはタイヤ組立物よりなる消波・水棲生物生息促進
用物体13の上面に通水板16を載置する代わりに、該
消波・水棲生物生息促進用物体13の全体を丈夫な網
体、籠、通水性箱体などの通水性外殻(図示せず)内に
充填し、それを仕切り(棚)15の上に載せて配置する
ようにしてもよい。
【0059】そして、上記した図10〜図13で例示し
た水域構築物において、ケーソン8の内部空間に設ける
仕切り11,12,15、ケーソン8の側面壁(左右の
外壁)19は水を通さない遮断型のものであってもよい
が、それらの仕切りや側面壁19に水を通過させるため
の通水口(例えばスリット、円形孔、方形孔、その他の
形状の開口)を設けておくと、前面壁9のスリット10
からケーソン8の内部空間内に流入してきた水や波浪
が、ケーソン8内の仕切り11,12,15やケーソン
8の側面壁19を通して流れて、水域構築物の長さ方向
(延設方向)や上下方向にも流動することができるよう
になり、その結果、ケーソン8の内部空間に流入してき
た波浪や水のエネルギーの低減および消波を、ケーソン
8から形成されている水域構築物の長さ方向(延長方
向)の全体に亙って一層円滑に無理なく達成することが
でき、且つケーソン8の内部空間内に流入してきた波浪
や水がケーソン8内の仕切り、側面壁19、後面壁20
に及ぼす力(エネルギー)が低減されてケーソンやそれ
からなる水域構築物の損傷が大幅に低減できその耐久寿
命を長くすることができるので望ましい。
【0060】上記の場合に、仕切り11,12,15お
よびケーソン8の側面壁19のすべてに通水口を設けて
もまたは一部に通水口を設けてもよく、ケーソン8の大
きさ、ケーソンからなる水域構築物を構築する水域の状
況などに応じてどの仕切りや側面壁に通水口を設けるの
が適当か決めるとよい。また、仕切り11,12,15
および/またはケーソン8の側面壁19に設ける通水口
の位置、大きさ、数、形状なども水域構築物を構築する
水域の状況、ケーソンの構造や形状、大きさ、ケーソン
内における仕切りの数や位置などに応じて、より適した
ものになるように選択するのがよい。
【0061】また、図10〜図13で例示した水域構築
物において、ケーソン8の後面壁を開口部のない遮断構
造とした場合には、ケーソン8の前面壁9のスリット1
0が流入してきた水が再びスリット10から流出してゆ
く遮断型の水域構築物が形成される。一方、図10〜図
13で例示した水域構築物において、ケーソン8の後面
壁にもスリットやその他の開口部を設け且つ仕切り12
に通水口を設けた場合には、ケーソン8の前面壁9のス
リット10から流入した水が前面壁9のスリット10お
よび後面壁の開口部の両方から流出し、さらにケーソン
8の後面壁の開口部から流入した水が前面壁9のスリッ
ト10や後面壁の開口部から流出する透過型の水域構築
物が形成される。図10〜図13の水域構築物を遮断型
または透過型のいずれにするかは、水域構築物の種類
や、それを構築する水域の状況などに応じて決めるとよ
い。
【0062】次に、図14は、ケーソン(スリットケー
ソン)8を複数長さ方向に連ねて形成した堤防やその他
の水域構築物のさらに別の例を示す図であり、図14の
水域構築物においても、それぞれのケーソン8の前面壁
9に水域に向かって開いたスリット10が形成してあ
る。図14の水域構築物では、それぞれのケーソン8の
内部空間を、仕切り11および12によって前後および
左右に仕切ると共に、前面左側の空間を棚などの2つの
仕切り21,22によって上部、中間部および下部の3
つの空間に仕切り、且つ前面右側の空間を棚などの仕切
り23によって上部と下部の2つの空間に仕切ってあ
る。そして、前面左側の空間に設けた2つの仕切り21
および22のそれぞれの上にタイヤおよび/またはタイ
ヤ組立物よりなる消波・水棲生物生息促進用物体13を
配置すると共に、前面右側の仕切り23の上に該消波・
水棲生物生息促進用物体13を配置し、そのような消波
・水棲生物生息促進用物体13の配置形式を水域構築物
の長さ方向(延長方向)に交互に繰り返して、水域構築
物全体では、その内部空間内に消波・水棲生物生息促進
用物体13が市松模様状に規則的に配置された構造とな
っている。
【0063】そして、図14の水域構築物の場合も、図
12および図13の水域構築物の場合と同様に、仕切り
21,22,23の上に配置したタイヤおよび/または
タイヤ組立物よりなる消波・水棲生物生息促進用物体1
3の上面には簀の子やその他の通水板16を載せて(被
せて)、該消波・水棲生物生息促進用物体13の大幅な
移動やケーソン8の内部空間からの飛び出しを防止して
あるが、それに限定されるものではなく、それぞれの仕
切りの上に配置する消波・水棲生物生息促進用物体13
の全体を丈夫な網体、籠、通水性箱体などの通水性外殻
(図示せず)内に充填し、それを仕切り21,22,2
3の上に載せるようにしてもよい。この図14の水域構
築物では、仕切り11,12によって仕切られた後面部
の空間14には何も充填しなくてもよいが、水域構築物
の補強、重量増加のために、空間14内に砂利、砂、
石、鋼材などの重量物(図示せず)を充填しておくのが
望ましい。
【0064】また、図14では、水域構築物を構成する
それぞれのケーソン8の前面左側の空間を上部、中間部
および下部の3つの空間に仕切り且つ前面右側の空間を
上部と下部の2つに仕切ってあるが、それに限定される
ものではなく、ケーソン8の大きさ、その内部空間の大
きさなどに応じて、例えばケーソン8の前面左側の空間
を上下に4つの空間に仕切り且つ前面右側の空間を前面
右側の仕切り方と交互になるようにして上下に3つの空
間に仕切って、仕切られたそれぞれの空間部分にタイヤ
および/またはタイヤ組立物よりなる消波・水棲生物生
息促進用物体13を交互に配置した場合にも水域構築物
全体では消波・水棲生物生息促進用物体13が同様に市
松模様状に規則的に配置してもよく、またそれ以外の仕
切り方(消波・水棲生物生息促進用物体13の配置の仕
方)であってもよい。更に、図14に例示する水域構築
物において、仕切り12を設けずに、仕切り21,2
2,23を後面壁20に接するまで設けて、それらの仕
切りの上に消波・水棲生物生息促進用物体13を配置す
るようにしてもよい。
【0065】そして、図15は、ケーソン(スリットケ
ーソン)8を複数連ねて形成した堤防やその他の水域構
築物のさらに別の例を示す図であり、図15の水域構築
物においても、それぞれのケーソン8の前面壁9に水域
に向かって開いたスリット10が形成してある。図15
の水域構築物では、それぞれのケーソン8の内部空間を
仕切り11および12によって前後および左右に仕切っ
てある。そして、それぞれのケーソン8の前面の空間の
すべてにタイヤおよび/またはタイヤ組立物よりなる消
波・水棲生物生息促進用物体13を配置する代わりに、
一ケーソンおきに前面部の空間に消波・水棲生物生息促
進用物体13を配置してある。この図15の水域構築物
では、消波・水棲生物生息促進用物体13を配置してな
いケーソン8の後面部の空間14および消波・水棲生物
生息促進用物体13を配置していないケーソン8の前面
部の空間24には何も充填しなくてもよいが、水域構築
物の補強、重量増加のために、空間14および/または
空間24に砂利、砂、石、鋼材などの重量物(図示せ
ず)を充填しておいてもよい。
【0066】そして、上記の図14および図15で例示
した水域構築物において、ケーソン8の内部空間に設け
る仕切り11,12,21,22,23、ケーソン8の
側面壁19は水を通さない遮断型のものであってもよい
が、それらの仕切りや側面壁19に水を通過させるため
の通水口(例えばスリット、円形孔、方形孔、その他の
形状の開口)を設けておくと、前面壁9のスリット10
からケーソン8の内部空間内に流入してきた水や波浪
が、ケーソン8内の仕切り11,12,21,22,2
3やケーソン8の側面壁19を通して流れて、水域構築
物の長さ方向(延長方向)や上下方向にも流動すること
ができるようになり、その結果、ケーソン8の内部空間
に流入してきた波浪や水流のエネルギーの低減および消
波を、ケーソン8から形成されている水域構築物の長さ
方向(延長方向)の全体に亙って一層円滑に無理なく達
成することができ、しかもケーソン8の内部空間内に流
入してきた波浪や水がケーソン8内の仕切り、側面壁1
9、後面壁20に及ぼす力(エネルギー)が低減されて
ケーソン、水域構築物の損傷が大幅に低減できその寿命
を長くすることができるので望ましい。
【0067】上記の場合に、仕切り11,12,21,
22,23およびケーソン8の側面壁19のすべてに通
水口を設けてもまたは一部に通水口を設けてもよく、ケ
ーソン8の大きさ、ケーソンからなる水域構築物を構築
する水域の状況などに応じて通水口を設ける仕切りや側
壁の種類などを決めるとよい。また、仕切り11,1
2,21,22,23および/またはケーソン8の側面
壁19に設ける通水口の位置、大きさ、数、形状なども
水域構築物を構築する水域の状況、ケーソンの構造や形
状、大きさ、ケーソン内における仕切りの数や位置など
に応じて、より適したものになるように選択するのがよ
い。
【0068】また、図14および図15で例示した水域
構築物において、ケーソン8の後面壁20を開口部のな
い遮断構造とした場合には、ケーソン8の前面壁9のス
リット10から流入した水が再びスリット10から流出
してゆく遮断型の水域構築物が形成される。一方、図1
4および図15で例示した水域構築物において、ケーソ
ン8の後面壁20にもスリットやその他の開口部を設け
且つ仕切り12に通水口を設けた場合には、ケーソン8
の前面壁9のスリット10から流入した水が前面壁9の
スリット10および後面壁20の開口部の両方から流出
し、さらにケーソン8の後面壁20の開口部から流入し
た水が前面壁9のスリット10や後面壁20の開口部か
ら流出する透過型の水域構築物が形成される。図14お
よび図15の水域構築物を遮断型または透過型のいずれ
にするかは水域構築物の種類や、それを構築する水域の
状況などに応じて決めるとよい。
【0069】また、図16は、ケーソン(スリットケー
ソン)8を複数連ねて形成した堤防やその他の水域構築
物のさらに別の例を示す図であって、水域構築物を上方
から見た平面図である。図16の水域構築物では、それ
ぞれのケーソン8の前面壁9および後面壁20に水域に
向かって開いたスリット10,10’が形成してあり、
さらに仕切り25,26によってケーソン8の内部空間
を前後に3つの空間に仕切ってある。そして、それぞれ
のケーソン8の前面の空間および後面の空間には消波・
水棲生物生息促進用物体13を配置すると共に、中間の
空間27には、砂利、砂、石、鋼材などの重量物を充填
しておく。そして、水域構築物を構成するケーソン8の
前面と後面の両方に水域に向かって開いた開口部(スリ
ット10,10’)を設けると共に前面と後面の両方に
タイヤおよび/またはタイヤ組立物よりなる消波・水棲
生物生息促進用物体13を配置している図16に示すよ
うな水域構築物では、その水域構築物の前面と後面の両
方で消波作用および水棲生物の生息促進作用を果たすこ
とができるので、岸などから水域に突出して構築される
堤防や護岸、潜堤、離岸堤などの水域構築物として特に
有効である。また、例えば図16に示す水域構築物を岸
から多少離して岸に沿って構築した場合には、沖に向い
ている前面側では消波機能と水棲生物の生息の促進の両
方が行われ、岸側に向いている後面側では主として水棲
生物の生息の促進が行われて、水域構築物に多様な機能
を持たせることができる。
【0070】上記の図10〜図16で例示した水域構築
物では、ケーソン8の長さ方向(延長方向)における配
列状態が直線状またはほぼ直線状になっているが、本発
明の水域構築物は直線状のものに何ら限定されず、例え
ば、図17の(a)〜(c)に示すように種々の形態で
あることができる[図17の(a)〜(c)はいずれも
水域構築物を上面からみた平面図]。具体的に説明する
と、本発明の水域構築物は、例えば、図7の(a)に示
すように湾曲状に構築してあっても、図7の(b)に示
すように蛇行した状態で構築してあっても、図7の
(c)に示すようにT字型に構築してあってもよく、ま
たはその他の形態で構築してあってもよい。図17の
(a)〜(c)で例示するような水域構築物は、水域構
築物を構成する消波用ブロックやケーソンなどの基材の
水域での配置状態を調節したり、消波用ブロックやケー
ソンなどの基材自体の形状や構造をそれに適したものに
設計したりすることによって容易に実施することができ
る。
【0071】そして、上記の図10〜図17で例示する
水域構築物において、水域構築物を構成するケーソン8
は、コンクリート、鉄筋コンクリート、鉄骨コンクリー
ト、鉄筋・鉄骨コンクリート、鋼材などの素材によって
形成しておくことができる。更に、上記の図10〜図1
7で例示した水域構築物では、ケーソン8の形状は方形
となっているが、必ずしも方形でなくてもよい、例えば
円筒形、楕円筒形、半円筒形、台形筒形、三角筒形、半
球状などの形状であってもよい。また、ケーソン8の前
面壁9を外方に湾曲させておき、そこにスリット10を
形成してもよい。
【0072】そして、上記の図10〜図17で例示した
本発明の水域構築物による場合は、水域構築物の前面壁
9に向かってきた波浪や水がケーソン8の前面壁9のス
リット10からケーソン8の内部空間内に流入し、内部
空間内に配置されたタイヤおよび/またはタイヤ組立物
よりなる消波・水棲生物生息促進用物体13との衝突、
消波・水棲生物生息促進用物体13の変形と復元、消波
・水棲生物生息促進用物体の移動、運動などによって、
波浪や水の分流、細流化、方向転換などが生じてそのエ
ネルギーを低減して消波される。特に、ケーソン8の内
部空間に設けた仕切りや側面壁19にも通水口を設けて
ある本発明の水域構築物の場合は、上記したように、前
面壁9のスリット10からケーソン8の内部空間内に流
入してきた水や波浪が、ケーソン8内の仕切りやケーソ
ン8の側面壁19を通して流れて、水域構築物の長さ方
向(延長方向)や上下方向にも流動することができるよ
うになって、波浪や水流のエネルギーの低減および消波
が水域構築物の長さ方向(延長方向)の全体に亙って一
層円滑に無理なく行われ、しかもケーソン8の内部空間
内に流入してきた波浪や水がケーソン8内の仕切り、側
面壁19、後面壁20に及ぼす力(エネルギー)が低減
されてケーソンおよび水域構築物の損傷が大幅に低減で
きその寿命を長くすることができる。
【0073】更に、上記の図10〜図17で例示した本
発明の水域構築物による場合は、上記した優れた消波作
用と共に、タイヤおよび/またはタイヤ組立物よりなる
消波・水棲生物生息促進用物体13の変形や復元、移
動、位置ずれ、消波・水棲生物生息促進用物体13とケ
ーソン8の内部空間の壁面との接触や摩擦などに伴っ
て、ケーソン8の内部空間における磯ヤケが防止され、
その上水面近くに位置する内部空間部分(消波・水棲生
物生息促進用物体13配置位置)では水中への空気の取
り込みなどが促進され、しかも消波・水棲生物生息促進
用物体13の配置によって水棲生物が付着したり生息で
きる部分の表面積が増加するために、水棲生物が水域構
築物の内部空間やその近傍で良好に生息、繁殖するよう
になる。その結果、水域環境における水の浄化が促進さ
れ、場合によっては藻類や魚介類などの有用資源の増殖
に有効な藻場、漁巣の造成が達成される。特に、図14
および図15で例示した本発明の水域構築物では、水域
構築物の内部空間内に所定のスペースをとりながら消波
・水棲生物生息促進用物体13を規則的に配置してある
ので、消波・水棲生物生息促進用物体13の使用量を適
量に保ちながら水域構築物に良好な消波機能と水棲生物
の生息促進機能を付与することができる。更に、図10
〜図17で示した本発明の水域構築物による場合は、水
域構築物の内部空間内に配置された消波・水棲生物生息
促進用物体13が水の濾過機能を有し、かかる点からも
水の浄化を促進できる。
【0074】また、満潮時と干潮時とで2mまたはそれ
以上の水位差がある水域があるが、そのような干満時の
水位差の大きい水域環境中に、上記で図示した水域構築
物やその他の本発明の水域構築物を、水域構築物の内部
空間内に配置した一部の消波・水棲生物生息促進用物体
が干潮時に水面から突出し且つ残りの消波・水棲生物生
息促進用物体が干満に拘わらず常に水中に存在するよう
にして設計した場合には、本発明の水域構築物内または
その近傍に干潮環境に生息する水棲生物(例えば干潟の
生物)と満潮環境に生息する水棲生物の両方が生息する
ようになって、水域環境の水質浄化をトータル的に行う
ことができるようになり、しかも多種多様の水棲生物が
生息することによってバランスのとれた生態系が形成さ
れる。
【0075】また、場合によっては、図14や図15に
示したような前面壁9および側面壁19にもスリット1
0,10’などの通水部を設けたケーソン8を連設した
水域構築物において、該水域構築物の内部空間14内に
タイヤおよび/またはタイヤ組立物よりなる消波・水棲
生物生息促進物体13を配置してもまたは充填しなくて
もよく、その場合にもケーソン8の側面壁19にも通水
部が形成してあることによって、ケーソン8の内部に前
面壁9のスリット10から流入してきた水や波浪がケー
ソン8の横方向にも側面壁19に設けたスリットなどの
通水部を通して流れることにより、側面壁19が通水部
を有しておらず遮断状態になっている従来のスリットケ
ーソンに比べて、良好な消波機能を有する。
【0076】
【発明の効果】本発明による場合は、水域構築物の水域
に向かって開いた開口部が流入してきた波浪や水と、水
域構築物の内部空間内に配置されたタイヤおよび/また
はタイヤ組立物よりなる消波・水棲生物生息促進用物体
との衝突、該消波・水棲生物生息促進用物体の変形と復
元、消波・水棲生物生息促進用物体の移動、運動などに
よって波浪や流水の分流、細流化、方向転換などが生じ
て、波浪や流水のエネルギーを極めて効果的に且つ円滑
に低減でき、優れた消波機能を発揮させることができ
る。そして、本発明による場合は、水域に向かう部分に
開口部を有し且つ内部にその開口部と連通する空間を有
する水域構築物に対して、その種類、形式、構造などを
問わずに、共通してその消波機能の向上を達成すること
ができる。更に、本発明による場合は、従来の消波用ブ
ロックやスリットケーソンなどの基材、それらの基材か
ら形成された水域構築物自体の形状、構造の変更などを
特に行わずに、それらをそのまま用いてその消波機能を
一層向上させることができる。また、本発明による場合
は、新たに構築される水域構築物、および既に構築され
ている既存の水域構築物のいずれに対してもその消波機
能の向上をはかることができる。
【0077】そして、本発明による場合は、タイヤおよ
び/またはタイヤ組立物よりなる消波・水棲生物生息促
進物体の水域構築物の内部空間壁面との接触、摩擦、消
波・水棲生物生息促進物体の運動に伴う水流の撹拌に伴
う空気の取り込み、水棲生物の生息面積の増大などによ
って、水域構築物に磯ヤケが生じず、水棲生物が水域構
築物に付着して繁殖するので、水域環境における水の浄
化を促進することができ、しかも藻類や魚介類などの有
用資源の増殖に有効な藻場、漁巣の造成が達成される。
そして、本発明において、消波・水棲生物生息促進物体
をなすタイヤおよび/またはタイヤ組立物として水棲生
物生息促進物体として廃タイヤを用いた場合には、廃棄
物としてその取り扱いが苦慮されていた廃タイヤを有効
に利用することができ、かかる点からも極めて有効であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いるのに適する消波用ブロック“イ
グルー”の外観を示す図である。
【図2】図1の“イグルー”を積み重ねて形成した直立
型護岸などの水域構築物の構造を示す図である。
【図3】図2の水域構築物の縦断面図と水流(波浪)の
流動状態を示す図である。
【図4】図2の水域構築物の横断面図と水流(波浪)の
流動状態を示す図である。
【図5】図2の水域構築物のもう一方の縦断面図と水流
(波浪)の流動状態を示す図である。
【図6】本発明で用いるタイヤおよび/またはタイヤ組
立物よりなる消波・水棲生物生息促進物体の代表例を示
す図である。
【図7】図2の水域構築物の内部空間にタイヤよりなる
消波・水棲生物生息促進物体を配置した本発明の水域構
築物の縦断面図と水流(波浪)の流動状態を模式的に示
した図である。
【図8】図2の水域構築物の内部空間にタイヤよりなる
消波・水棲生物生息促進物体を配置した本発明の水域構
築物の横断面図と水流(波浪)の流動状態を模式的に示
した図である。
【図9】図2の水域構築物の内部空間にタイヤよりなる
消波・水棲生物生息促進物体を配置した本発明の水域構
築物のもう一方の縦断面図と水流(波浪)の流動状態を模
式的に示した図である。
【図10】複数個のケーソン(スリットケーソン)を長
さ方向に延設して構築した本発明の水域構築物の一例を
示す図である。
【図11】複数個のケーソン(スリットケーソン)を長
さ方向に延設して構築した本発明の水域構築物の別の例
を示す図である。
【図12】複数個のケーソン(スリットケーソン)を長
さ方向に延設して構築した本発明の水域構築物の更に別
の例を示す図である。
【図13】複数個のケーソン(スリットケーソン)を長
さ方向に延設して構築した本発明の水域構築物の更に別
の例を示す図である。
【図14】複数個のケーソン(スリットケーソン)を長
さ方向に延設して構築した本発明の水域構築物の更に別
の例を示す図である。
【図15】複数個のケーソン(スリットケーソン)を長
さ方向に延設して構築した本発明の水域構築物の更に別
の例を示す図である。
【図16】複数個のケーソン(スリットケーソン)を長
さ方向に延設して構築した本発明の水域構築物の更に別
の例を示す図である。
【図17】複数個のケーソン(スリットケーソン)を長
さ方向に延設して構築した本発明の水域構築物の更に別
の例を示す図である。
【符号の説明】
1 消波用ブロック(“イグルー”) 2 水平板 3 開口部 4 内部空間(チャンバー) 5 消波用ブロックの間の間隙 6 タイヤ 8 ケーソン 9 前面壁 10 スリット 10' スリット 11 仕切り 12 仕切り 13 タイヤ及び/又はタイヤ組立物よりなる消波・水
棲生物生息促進用物体 14 空間 15 仕切り 16 通水板 17 空間 18 空間 19 側面壁 20 後面壁 21 仕切り 22 仕切り 23 仕切り 24 空間 25 仕切り 26 仕切り 27 空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久田 安夫 東京都新宿区西新宿6−3−1 日本テ トラポッド株式会社内 (72)発明者 大隈 正登 大阪府大阪市北区芝田1−4−8 日本 テトラポッド株式会社 大阪支店内 (72)発明者 矢島 昭弘 大阪府大阪市北区芝田1−4−8 日本 テトラポッド株式会社 大阪支店内 (56)参考文献 特開 平3−221608(JP,A) 実開 平1−90821(JP,U) 実開 昭49−80038(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E02B 3/06 301 E02B 3/14 302

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 消波機能および水棲生物の生息促進機能
    を有する水域構築物であって、該水域構築物は水域に向
    かって開いた開口部と該開口部に連通する内部空間を有
    し、且つ前記内部空間内に、前記内部空間内で運動およ
    び/または移動可能なタイヤおよび/またはタイヤより
    なる組立物を配置してあることを特徴とする水域構築
    物。
  2. 【請求項2】 水域構築物が、消波用ブロックを用いて
    形成したものである請求項1の水域構築物。
  3. 【請求項3】 水域構築物が、水域に向かって開いた開
    口部を有するケーソンを用いて形成したものである請求
    項1の水域構築物。
  4. 【請求項4】 水域構築物が、岸壁、護岸、防波堤、桟
    橋、堤防および/または潜堤である請求項1〜3のいず
    れか1項の水域構築物。
  5. 【請求項5】 水域構築物が、一方の壁面に設けた開口
    部から水流が出入りする遮断型の構造である請求項1〜
    4のいずれか1項の水域構築物。
  6. 【請求項6】 水域構築物が、構築物を通過して水が流
    れる透過型の構造である請求項1〜4のいずれか1項の
    水域構築物。
  7. 【請求項7】 水域構築物が複数の内部空間を有し、該
    内部空間内に流入してきた水および/または波浪が、隣
    接する内部空間を通して、横方向、上下方向、前後方向
    および斜め方向のうちの少なくとも一つの方向に流れ得
    るように内部空間同士を連通構造に形成してある請求項
    1〜6のいずれか1項の水域構築物。
  8. 【請求項8】 水域構築物が、水域に向かって開いた開
    口部を前面壁に有する複数のケーソンを隣接させて形成
    してあり、前記の開口部から個々のケーソン内に流入し
    た水及び/又は波浪が、隣接する複数のケーソンの内部
    空間を通して、及び/又はケーソン内の仕切りを通し
    て、横方向、上下方向、前後方向および斜め方向のうち
    の少なくとも一つの方向に流動し得るように、ケーソン
    の側壁、後壁および/またはケーソンの内部空間内の仕
    切りの少なくとも一部に水の連通部を設けてある、請求
    項1および請求項3〜7のいずれか1項の水域構築物。
  9. 【請求項9】 タイヤおよび/またはタイヤよりなる組
    立物を、水域構築物の内部空間内に、該内部空間がタイ
    ヤおよび/またはタイヤよりなる組立物によって完全に
    またはほぼ完全に埋め尽くされるようにして内部空間内
    に充填・配置するか、或いは前記の物体が充填されてい
    ないスペースが存在するようにして内部空間内に配置し
    てある請求項1〜8のいずれか1項の水域構築物。
  10. 【請求項10】 前記のタイヤおよび/またはタイヤよ
    りなる組立物を、該タイヤおよび/またはタイヤよりな
    る組立物が配置されていないスペースが内部空間内に存
    在するようにして、水域構築物の内部空間に規則的に配
    置してある請求項9の水域構築物。
  11. 【請求項11】 水域構築物の内部空間内に水浄化材を
    更に配置してある請求項1〜10のいずれか1項の水域
    構築物。
  12. 【請求項12】 水域構築物の製造時に、水域構築物に
    おける水域に向かって開いた開口部と連通する内部空間
    内に、前記内部空間内で運動および/または移動可能な
    タイヤおよび/またはタイヤよりなる組立物を配置する
    方法。
  13. 【請求項13】 既に構築されている水域構築物の水域
    に向かって開いた開口部と連通する内部空間内に、前記
    内部空間内で運動および/または移動可能なタイヤおよ
    び/またはタイヤよりなる組立物を外部から挿入して配
    置する方法。
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