JPH11158332A - 水性分散体組成物およびその製造方法 - Google Patents

水性分散体組成物およびその製造方法

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JPH11158332A
JPH11158332A JP9326191A JP32619197A JPH11158332A JP H11158332 A JPH11158332 A JP H11158332A JP 9326191 A JP9326191 A JP 9326191A JP 32619197 A JP32619197 A JP 32619197A JP H11158332 A JPH11158332 A JP H11158332A
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JP
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ionomer resin
aqueous dispersion
composition
resin
neutralized
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JP9326191A
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English (en)
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Taku Tokita
卓 時田
Shigenobu Otsubo
重信 大坪
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】2価の金属で中和されたアイオノマー樹脂の水
性分散体を含み、極性化合物との相溶性、接着性等にお
いて高度化する要求性能に十分応えられる、優れた特性
を有する水性分散体組成物、およびその水性分散体組成
物を、高収率で製造することができる方法の提供。 【解決手段】2価の金属で中和されたアイオノマー樹脂
(A)と、ポリウレタン樹脂(B)とを、(A)/
(B)の重量比が99/1〜50/50の割合で含む水
性分散体組成物およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水性分散体組成物お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】主として炭化水素から構成される高分子
主鎖からなり、側鎖に有するカルボキシル基の一部が金
属陽イオンで中和されてなる部分中和物であるアイオノ
マー樹脂が、各種の基材、特に金属と良好な密着性を有
することは良く知られている。また、このアイオノマー
樹脂は、水に容易に分散させることができるため、水分
散体として使用できることが知られている。そのため、
従来、アイオノマー樹脂を含む水分散体は、アルミ箔、
フィルム、紙用のヒートシール剤、金属コーティング
剤、各種エマルジョンの改質剤、塗料、接着剤等として
使用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年、アイオ
ノマー樹脂が形成する塗膜に要求される性能は多岐にわ
たってきており、従来のアイオノマー樹脂を水性分散体
として使用した場合、その多様性に対応できないという
事態になってきた。これは、現在上市されている水性分
散体におけるアイオノマー樹脂は、Na、K等の1価の
金属、あるいはNH3 、アミン等によって中和されたも
のに限られていたことに原因がある。一方、従来より、
Mg、Zn等の2価の金属で中和されたアイオノマー樹
脂が知られているが、それらの樹脂は乳化性が低く、良
好な収率で水性分散体を得ることができないものであっ
た。
【0004】さらに、近年、極性化合物との相溶性およ
び接着性等に対し、高い性能が要求されているが、従来
のカルボキシル基を有するアイオノマー樹脂だけでは、
それらの要求に応えられなくなってきた。
【0005】そこで、本発明の目的は、前記従来の問題
点を解決し、2価の金属で中和されたアイオノマー樹脂
の水性分散体を含み、極性化合物との相溶性、接着性等
において高度化する要求性能に十分応えられる、優れた
特性を有する水性分散体組成物を提供し、また、その水
性分散体組成物を、高収率で製造することができる方法
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、従来、乳化性が低く、低い収率でしか水分散体
を得ることができないとされていた、2価の金属で中和
されたアイオノマー樹脂について、乳化時に、K,Na
等の1価のアルカリ金属化合物を併用することで、良好
な収率で水性分散体を得ることができることを見出し、
本発明を完成した。
【0007】本発明は、前記課題を解決するために、2
価の金属で中和されたアイオノマー樹脂(A)と、ポリ
ウレタン樹脂(B)とを、(A)/(B)の重量比が9
9/1〜50/50の割合で含む水性分散体組成物を提
供するものである。
【0008】さらに、本発明は、前記水性分散体の製造
方法として、2価の金属で中和されたアイオノマー樹脂
(A)と、1価のアルカリ金属化合物を混合して乳化す
る工程を含む方法を提供するものである。
【0009】以下、本発明の水性分散体組成物(以下、
「本発明の組成物」という)およびその製造方法につい
て詳細に説明する。
【0010】本発明の組成物の主成分であるアイオノマ
ー樹脂(A)は、2価の金属で中和されたものであり、
主として炭化水素から構成される高分子骨格からなり、
該分子骨格の側鎖にカルボキシル基を有し、該カルボキ
シル基の少なくとも1部が2価の金属と結合してなる重
合体である。このアイオノマー樹脂の具体例として、エ
チレン−不飽和カルボン酸共重合体であって、含有する
カルボキシル基の少なくとも1部が金属陽イオンで中和
された部分中和物からなるアイオノマー樹脂(A−1)
を挙げることができる。このアイオノマー樹脂(A−
1)の主骨格を構成するエチレン−不飽和カルボン酸共
重合体は、ランダム共重合体でもよいし、ポリエチレン
への不飽和カルボン酸のグラフト共重合体でもよい。特
に、透明性の点で、エチレン−不飽和カルボン酸ランダ
ム共重合体が好ましい。また、このエチレン−不飽和カ
ルボン酸共重合体は、1種の不飽和カルボン酸のみを含
むものでもよいし、2種以上の不飽和カルボン酸を含む
ものでもよい。
【0011】エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の成
分である不飽和カルボン酸としては、例えば、炭素数3
〜8の不飽和カルボン酸等を挙げることができる。炭素
数3〜8の不飽和カルボン酸の具体例としては、アクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコ
ン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、シトラコン酸、ア
リルコハク酸、メサコン酸、グルタコン酸、ナジック
酸、メチルナジック酸、テトラヒドロフタール酸、メチ
ルヘキサヒドロフタル酸等を挙げることができる。これ
らの中では、共重合体の製造が容易である点で、特に、
アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0012】また、このアイオノマー樹脂(A−1)の
主骨格を構成するエチレン−不飽和カルボン酸共重合体
は、エチレンと不飽和カルボン酸に加えて第3成分を含
んでいてもよい。この第3成分としては、(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)ア
クリル酸イソブチル等の不飽和カルボン酸エステル、酢
酸ビニル等のビニルエステルなどを挙げることができ
る。
【0013】このエチレン−不飽和カルボン酸共重合体
におけるエチレンと不飽和カルボン酸の含有割合は、通
常、エチレン95〜60重量部に対して、不飽和カルボ
ン酸5〜40重量部の割合であり、共重合体の製造が容
易であり、しかも得られるアイオノマー樹脂の乳化性の
点で、好ましくはエチレン92〜75重量部に対して、
不飽和カルボン酸8〜25重量部の割合である。また、
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が第3成分を含む
場合は、第3成分は40重量%以下の量で含有すること
が好ましい。
【0014】このアイオノマー樹脂(A−1)におい
て、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が側鎖に有す
るカルボキシル基の少なくとも1部は、2価の金属で中
和されている。1価の金属陽イオンで中和されたアイオ
ノマー樹脂は、形成する塗膜の耐食性が不十分であり、
また3価の金属陽イオンで中和されたアイオノマー樹脂
は、水性分散体を高収率で得ることができない。また、
1価の金属陽イオンの代わりに、NH3 、アミン等で中
和してなるアイオノマー樹脂は、容易に水性分散体にす
ることはできるが、形成する塗膜の耐食性および強度が
不十分である。
【0015】本発明において、アイオノマー樹脂(A)
が有する2価の金属としては、Mg、Zn、Ca、C
u、Fe、Ba等を挙げることができる。これらの中で
も、MgおよびZnを2価の金属イオンとして有するア
イオノマー樹脂が、製造が容易である点で好ましい。
【0016】アイオノマー樹脂(A−1)において、エ
チレン−不飽和カルボン酸共重合体が側鎖に有するカル
ボキシル基のモル数に対する、2価の金属で中和された
カルボキシル基の割合、すなわち中和度は、耐食性に優
れた塗膜が得られる点で、通常、20〜100%程度で
あり、好ましくは30〜80%である。また、このアイ
オノマー樹脂は、ASTM D 1238によるMFR
(190℃)が、0.05〜100g/10minであ
るものが好ましく、特に0.1〜50g/10minで
あるものが好ましい。
【0017】このアイオノマー樹脂(A−1)の製造
は、例えば、エチレンと不飽和カルボン酸、および必要
に応じて用いられる第3成分を、高圧ラジカル重合法に
より共重合させ、得られるエチレン−不飽和カルボン酸
共重合体のカルボキシル基を、前記2価金属陽イオンを
有する化合物で中和処理する方法;ポリエチレンに不飽
和カルボン酸をグラフト共重合し、得られる共重合体の
カルボキシル基を前記2価金属陽イオンを有する化合物
で中和処理する方法等の方法に従って行うことができ
る。また、この製造は、押出機に所定の成分を供給して
溶融混練して反応させてもよいし、水あるいは適当な有
機溶剤中で行わせてもよい。
【0018】前記2価の金属を有する化合物としては、
例えば、ZnO、Zn(OH)2 、MgO、Mg(O
H)2 、CuO、Cu(OH)2 、Ba(OH)2 、Z
nCO 3 、MgCO3 、Zn(CH3 COO)2 、Mg
(CH3 COO)2 等を挙げることができる。本発明に
おいて、アイオノマー樹脂(A)は、これらの2価の金
属の陽イオンを1種単独または2種以上の組み合わせで
含んでいてもよい。
【0019】本発明の組成物の(B)成分であるポリウ
レタン樹脂としては、水性ポリウレタン樹脂が好まし
く、特に、カルボキシル基を有する水性ポリウレタン樹
脂が好ましい。このカルボキシル基を有する水性ポリウ
レタン樹脂は、脂肪族、芳香族または脂環式イソシアネ
ート類と、カルボキシル基を有するポリオール類と、必
要に応じて用いられるポリオール類とを反応させて得ら
れる、末端に2個以上のイソシアネート基を有するカル
ボキシル基含有のウレタンプレポリマーを用いて製造さ
れるものである。このカルボキシル基含有のウレタンプ
レポリマーの製造は、ポリウレタン樹脂の製造に通常用
いられる、いわゆるウレタン系プレポリマーと全く同様
の公知の方法により行うことができる。
【0020】前記のイソシアネート類としては、例え
ば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6
−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリ
メチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,8−ジイ
ソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族イソシアネ
ート類、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリ
メチルシクロヘキシルイソシアンート、ジシクロヘキシ
ルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘ
キシル−2,4−ジイソシアネート等の脂環式ジイソシ
アネート類、トルイレンジイソシアネート、ジフェニル
メタンジイソシアネート、1,5−ナフテンジイソシア
ネート、ジフェニルメチルメタンジイソシアネート、テ
トラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,
4‘−ジベンジルジイソシアネート、1,3−フェニレ
ンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類など
のジイソシアネート類、また、これらの脂肪族、脂環式
あるいは芳香族ジイソシアネート類を塩素化または臭素
化してなる塩素化ジイソシアネート類または臭素化ジイ
ソシアネート類、さらに、これらのジイソシアネート
類、塩素化ジイソシアネート類または臭素化ジイソシア
ネート類に水を付加してなるポリイソシアネート化合物
などが挙げられ、これらは1種単独または2種以上の混
合物で用いられる。
【0021】また、カルボキシル基含有のウレタンプレ
ポリマーの製造において用いられるカルボキシル基含有
のポリオール類は、線状のウレタンプレポリマー分子骨
格に、分岐状にカルボキシル基を付与するものであれ
ば、いずれのものも使用できる。ウレタンプレポリマー
中のカルボキシル基含有量を多くするには、分岐状にカ
ルボキシル基を少なくとも1個有する炭素数3〜10の
低分子量のものが好ましく、例えば、2,2−ジメチロ
ールプロピオン酸等が好ましい。また、ポリオール類と
しては、通常のウレタン樹脂の製造に使用される公知の
ポリオール類、例えば、ジエチレングリコール、ブタン
ジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、
トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリ
トール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクト
ン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリチオ
エーテルポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリ
ブタジエンポリオール、フランジメタノール等が挙げら
れる。カルボキシル基含有のウレタンプレポリマーの製
造において、前記のカルボキシル基含有のポリオール類
および必要に応じて用いられるポリオール類は、1種単
独または2種以上の混合物で用いられ、本発明の組成物
からなる塗膜に求められる物性等に応じて適宜選択さ
れ、例えば、良好な加工性等を得るために塗膜の柔軟性
を容易に調整することができる。
【0022】前記の反応において、イソシアネート類
と、カルボキシル基を有するポリオール類およびポリオ
ールから選ばれる少なくとも1種との使用割合は、得ら
れるウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有量
(固形分換算で)が0.5〜10重量%、好ましくは1
〜4重量%となるように調整される。イソシアネート基
含有量が0.5重量%未満では、鎖伸長反応において分
子量が大きくなり難く、また、10重量%を超えると、
鎖伸長反応において発生する炭酸ガス量が多くなりすぎ
るため、製造が困難となり易い。また、前記の反応にお
いて、カルボキシル基を有するポリオール類の量は、酸
価(固形分換算で)として10KOHmg/g以上、好
ましくは20KOHmg/g以上になるように調整され
る。酸価が10KOHmg/g未満であると、自己乳化
が難しくなり、水性分散体の粒径が大きくなり、貯蔵安
定性が悪化する。
【0023】本発明において、ポリウレタン樹脂(B)
として好適に用いられる水性ポリウレタン樹脂の製造
は、前記カルボキシル基含有ウレタンプレポリマーを、
溶媒および/または水に溶解または懸濁させ、塩基性有
機化合物および伸長剤を滴下するか、または溶媒および
/または水に塩基性有機化合物および伸長剤を溶解し、
ウレタンプレポリマーの溶液を滴下する等の方法によ
り、カルボキシル基含有のウレタンプレポリマーに親水
性を持たせると同時に伸長剤との反応を行う。次いで、
適当量の水で希釈し、減圧下、不揮発分の濃度が30〜
40%になるまで、脱水、脱溶媒して、さらに70〜8
0℃で約6時間反応させることにより行うことができ
る。
【0024】用いられる溶媒としては、例えば、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、
トルエン、キシレン、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、ア
セトン、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロ
リドン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙
げられる。
【0025】また、伸長剤としては、例えば、水または
ポリアミン類が用いられる。ポリアミン類としては、例
えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリ
エチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ブチレンジ
アミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシレンジ
アミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、フェニレ
ンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、
α、α‘−メチレンビス(2−クロルアニリン)−3,
3’ジクロル−α,α―ビフェニルジアミン、2,6−
ジアミノピリジン、α,α―ジアミノジフェニルメタ
ン、m−キシレンジアミン、イソフォロンジアミン、N
−メチル−3,3‘−ジアミノプロピルアミンおよびジ
エチレントリアミンとアクリレートとの付加物またはそ
の加水分解生成物等が挙げられる。
【0026】また、塩基性有機化合物は、カルボキシル
基と反応して、親水基を付与するためのものであり、特
に限定されず、公知のものであれば何れのものも使用す
ることができる。例えば、ジメチルエタノールアミン、
ジエチルエタノールアミン、トリエチルアミン等が挙げ
られる。
【0027】本発明の組成物は、アイオノマー樹脂
(A)とポリウレタン樹脂(B)とを混合して本発明の
組成物を製造する際に、アイオノマー樹脂(A)が有す
るカルボキシル基の少なくとも一部と、ポリウレタン樹
脂(B)が有する水酸基の少なくとも一部とが反応して
形成された反応物(C)を含んでいてもよい。この反応
物(C)は、水性分散体組成物の調製が容易となる点
で、水溶性またはディスパージョンを形成するものが好
ましい。
【0028】本発明の組成物は、2価の金属で中和され
たアイオノマー樹脂(A)と、1価のアルカリ金属化合
物を混合して乳化させ、得られたアイオノマー樹脂
(A)の水性分散体と、前記ポリウレタン樹脂(B)と
を混合させることにより製造することができる。1価の
アルカリ金属化合物を使用すると、2価金属で中和され
たアイオノマー樹脂(A)を容易に乳化することができ
る。通常、水に対して1〜60重量%の固形分のアイオ
ノマー樹脂(A)と1価のアルカリ金属化合物とを混合
して、100〜250℃の温度で加熱溶融し、分散させ
る方法によって、容易にアイオノマー樹脂(A)の水分
散体を製造することができる。
【0029】アイオノマー樹脂(A)の乳化に用いられ
る1価のアルカリ金属化合物としては、例えば、KO
H、NaOH、LiOH等の水酸化物、K2 CO3 、N
2 CO3 等の炭酸塩等を挙げることができる。これら
の中でも、入手が容易で安価である点で、特に、KO
H、NaOHが好ましい。
【0030】アイオノマー樹脂(A)の乳化において、
1価のアルカリ金属化合物は、通常、アイオノマー樹脂
(A)のみ中和の状態でのカルボキシル基量に対して、
0.2〜1当量の割合の量が使用され、特に、0.5〜
0.95当量の割合となる量で使用するのが好ましい。
【0031】このアイオノマー樹脂(A)の乳化におい
て、調製されるアイオノマー樹脂(A)の水分散体は、
本発明の組成物の製造における作業性の点から、アイオ
ノマー樹脂(A)100重量部に対して、水100〜2
000重量部の割合で含む水分散体に調製すると、好ま
しい。
【0032】本発明の組成物の製造は、前記アイオノマ
ー樹脂(A)の水性分散体に、ポリウレタン樹脂(B)
を溶解する方法、アイオノマー樹脂(A)の水性分散体
にポリウレタン樹脂(B)の水溶液を混合する方法、ア
イオノマー樹脂(A)、ポリウレタン樹脂(B)、1価
のアルカリ金属化合物および水の混合物を加熱溶融して
一括乳化する方法等によって行うことができる。特に
は、アイオノマー樹脂(A)の水性分散体へポリウレタ
ン樹脂(B)を溶解した水溶液を混合する方法が、均一
かつ安定な溶液を得ることができる点で、好ましい。こ
の本発明の組成物の製造は、常温〜180℃の温度で行
われることが好ましい。この組成物において、通常、ア
イオノマー樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の合計
量100重量部に対し、水100〜2000重量部の割
合が好ましい。また、本発明の組成物は、この組成物の
製造において、アイオノマー樹脂(A)とポリウレタン
樹脂(B)は、一部反応して反応物(C)を含んでいて
もよい。
【0033】本発明の組成物は、前記アイオノマー樹脂
(A)を主成分とし、さらにポリウレタン樹脂(B)、
およびアイオノマー樹脂(A)とポリウレタン樹脂
(B)との反応物(C)を含むものであり、上塗り塗料
等の硬化性樹脂からなる被膜との密着性に優れる塗膜を
形成できる点で好ましい。本発明の組成物におけるアイ
オノマー樹脂(A)およびポリウレタン樹脂(B)は、
上塗り塗料の種類、水性分散体組成物を塗布して塗膜を
形成する被着対象物の種類、極性、塗膜の成膜条件(水
性分散体組成物の乾燥条件)等に応じて適宜選択され
る。
【0034】さらにアイオノマー樹脂(A)と、ポリウ
レタン樹脂(B)、およびアイオノマー樹脂(A)とポ
リウレタン樹脂(B)の反応に生成する反応物(C)を
含む本発明の組成物において、アイオノマー樹脂(A)
と、ポリウレタン樹脂(B)の含有割合は、(A)/
(B)の比が99/1〜50/50となる割合が好まし
く、特に好ましくは、(A)/(B)の比が90/10
〜60/40となる割合である。この含有割合は、反応
物(C)におけるアイオノマー樹脂およびポリウレタン
樹脂(B)をも含めた量の割合である。
【0035】本発明の組成物は、前記アイオノマー樹脂
(A)、ポリウレタン樹脂(B)、およびアイオノマー
樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の反応によって組
成物中に生成する反応物(C)以外に、必要に応じて、
各種の樹脂、配合剤等の他の成分を、本発明の目的を損
なわない範囲で含有していてもよい。他の成分として
は、水溶性アミノ樹脂、硬化剤、有機増粘剤、無機増粘
剤、界面活性剤、水溶性多価金属塩類、その他の防錆
剤、防かび剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、発泡剤、顔
料、充填剤等が挙げられる。
【0036】水溶性アミノ樹脂は、塗膜の強度を向上さ
せるために用いられ、例えば、水溶性メラミン樹脂、ヘ
キサメトキシメラミン、メチロール化ベンゾグアナミン
樹脂、メチロール化尿素樹脂等が挙げられる。硬化剤と
しては、フェノール樹脂等が挙げられる。また、有機増
粘剤または無機増粘剤は、組成物の安定性を向上させ、
粘度を調整するために配合されるものであり、有機増粘
剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニ
ルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレ
ンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、
カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース等が挙げられる。無機増粘剤と
しては、例えば、二酸化珪素、活性白土、ベントナイト
等が挙げられる。
【0037】界面活性剤は、組成物の安定性を向上させ
るために用いられるものであり、例えば、ノニオン系界
面活性剤、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。ま
た、防錆剤は、得られる塗膜の防錆能力を向上させるた
めに用いられるものであり、例えば、ストロンチウムク
ロメート等の水溶性多価金属塩類等が挙げられる。さら
に、顔料としては、例えば、チタン白、ベンガラ、フタ
ロシアニン、カーボンブラック、パーマネントイエロー
等が挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、タルク、水酸
化アルミニウム、硫酸カルシウム、カオリン、雲母、ア
スベスト、マイカ、珪酸カルシウム等が挙げられる。
【0038】本発明の組成物は、基材上に塗布し、乾
燥、硬化して塗膜を形成する。組成物の塗布は、スプレ
ー、カーテン、フローコーター、ロールコーター、刷毛
塗り、浸漬等のいずれの方法によっても行うことができ
る。組成物を塗布した後、自然乾燥させてもよいが、焼
き付けを行うことが好ましい。焼き付け温度は、60〜
250℃で、1〜180秒程度加熱することにより、良
好な状態の塗膜を形成することができる。
【0039】本発明の組成物は、極性化合物との接着性
に優れるため、アルミ箔、フィルム、紙用のヒートシー
ル剤、金属コーティング剤、プラスチック、防錆塗料等
の鋼板用塗料、各種エマルジョン改質剤、その他接着剤
などとして使用することができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例および比較例によって
本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実
施例に限定されるものではない。
【0041】(合成例1)内容量1.5lの加圧オート
クレーブに、Mgで中和されたエチレン−メタクリル酸
共重合体(MFR(190℃) :0.6g/10min、メ
タクリル酸含量:15重量%、中和度;54%)240
g、水760g、および水酸化カリウム18.8g(未
中和のエチレン−メタクリル酸共重合体のカルボキシル
基に対して0.8化学当量)を入れ、170℃に昇温し
た後、2時間攪拌してアイオノマー樹脂の分散体を得
た。得られたアイオノマー樹脂の分散体は、固形分濃度
24.5重量%、粘度1900mPa・s、pH11.
3、および100メッシュの篩による篩上の残量が0.
02重量%であり、また収率は97.2%であった。
【0042】(合成例2)内容量1.5lの加圧オート
クレーブに、Znで中和されたエチレン−メタクリル酸
共重合体(MFR(190℃) :14g/10min、メタ
クリル酸含量:15重量%、中和度:22%)230
g、水770g、および水酸化カリウム15.7g(未
中和のエチレン−メタクリル酸共重合体のカルボキシル
基に対して0.7化学当量)を入れ、150℃に昇温し
た後、2時間攪拌してアイオノマー樹脂の分散体を得
た。得られたアイオノマー樹脂の分散体は、固形分濃度
23.5重量%、粘度224mPa・s、pH10.
9、および100メッシュの篩による篩上の残量が0.
001重量%であり、また、収率は98.2%であっ
た。
【0043】(合成例3)温度計および窒素導入管を備
えた2.0lの4つ口フラスコに、分子量2000のポ
リテトラメチレンエーテルグリコール83.7g、ネオ
ペンチルグリコール51.6g、トリメチロールプロパ
ン4.2g、ジメチロールプロピオン酸21.5g、お
よびN−メチル−2−ピロリドン34.4gを装入し、
窒素を導入しながら90℃まで昇温して、内容物を溶解
させた。次に、40℃まで冷却し、アセトン86.0g
を入れ、内温が30℃になったところでトリレンジイソ
シアネート139.0gを1時間掛けて滴下した。内温
を30〜40℃に保ち、8時間反応を行った後、アセト
ン86.0gで希釈してプレポリマーを製造した。この
プレポリマーのNCO基含量は、0.90%であった。
さらに、ジメチルエタノールアミン12.1gを含有す
る脱イオン水481.5gを40℃に保ち、上記に得ら
れたプレポリマー506.4gを滴下し、反応させるこ
とにより水性ポリウレタン樹脂を得た。この水性ポリウ
レタン樹脂を、さらに40℃で減圧脱アセトンして、最
終的に固形分濃度38.2重量%、pH7.6、および
粘度1100mPa・sの水性ポリウレタン樹脂水溶液
を得た。
【0044】(実施例1〜4)各例において、合成例1
または2で調製したアイオノマー樹脂の分散体と、合成
例3で調製した水性ポリウレタン樹脂水溶液を、表1に
示す固形分比となるように混合し、水性分散体組成物を
調製した。得られた水性分散体組成物の粘度およびpH
を測定した。結果を表1に示す。
【0045】
【0046】
【発明の効果】本発明の水性分散体組成物は、2価の金
属で中和されたアイオノマー樹脂の水性分散体を含み、
極性化合物との相溶性、接着性等において高度化する要
求性能に十分応えられる、優れた特性を有するものであ
る。また、本発明の方法によれば、従来、乳化性が低
く、低い収率でしか水分散体を得ることができないとさ
れていた2価金属で中和されたアイオノマー樹脂の水性
分散体を、良好な収率で得ることができ、該水性分散体
を含み、極性化合物との相溶性、接着性等において高度
化する要求性能に十分に応えられる水性分散体組成物を
得ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2価の金属で中和されたアイオノマー樹脂
    (A)と、ポリウレタン樹脂(B)とを、(A)/
    (B)の重量比が99/1〜50/50の割合で含む水
    性分散体組成物。
  2. 【請求項2】前記2価の金属が、MgおよびZnから選
    ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の水性分散
    体組成物。
  3. 【請求項3】2価の金属で中和されたアイオノマー樹脂
    (A)と、1価のアルカリ金属化合物を混合して乳化す
    る工程を含む請求項1または2に記載の水性分散体組成
    物の製造方法。
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