JP4688565B2 - エマルション、その製造方法およびその用途 - Google Patents
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Description
これまでに、水性シーラーとしては、水性媒体中に(a)エチレン性不飽和カルボン酸8〜70重量%、(b)アクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステル,ビニル芳香族化合物、ハロゲン化ビニル、飽和カルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチレン、ブタジエンからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の単量体30〜92重量%、(c)その他の単量体0〜20重量%からなる単量体混合物を共重合することによって得られた共重合体であって、上記(a)のエチレン性不飽和カルボン酸の30%以上がアルカリの添加によって中和された状態で存在していることを特徴とする水性下塗剤(特許文献1参照)や、合成樹脂エマルション(I)及び水溶性樹脂溶液(II)の混合樹脂水性液を基体樹脂成分として含有してなる水性シーラー(特許文献2参照)が提案されている。また、水性室内塗料用として適した樹脂組成物として、最低造膜温度とガラス転移温度が特定範囲である共重合体の水性エマルション(A)と、ガラス転移温度が特定範囲であるアルカリにより水に可溶化された樹脂(B)とからなる組成物であって、前記(A)と(B)との不揮発分の重量比がA/B=95/5〜60/40である水性塗料用樹脂組成物(特許文献3参照)も提案されている。
また、従来、水溶性樹脂とエマルションを必須とする技術においては、エマルション中の粒子は一般に比較的大きく、該大きい粒子の隙間を水溶性樹脂で埋めることで塗膜を形成するようにしていたが、このような塗膜では溶剤系シーラーと比べると不充分な耐透水性しか得られないのが現状であった。詳しくは、従来、エマルション中の粒子の粒子径は界面活性剤の量を増やすことによって小さく制御できることが知られていたが、他方、界面活性剤が多量に存在することは耐透水性を低下させる要因になることも知られており、耐透水性の向上を目指す場合、界面活性剤を多く用いてまでエマルションの粒子径を小さくすることは、耐透水性の点で不利益になると考えられていたのである。なお、水溶性樹脂とエマルションを必須とする従来の技術において、水溶性樹脂としてアルカリ可溶性のものを選択することにより、耐透水性を改良することも考えられるが、それでも尚、溶剤系シーラーと同等の耐透水性は得られていなかった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、含浸密着性に加え耐透水性にも優れた塗膜を形成することができるエマルションと、その製造方法と、前記エマルションを用いた構造体とを提供することにある。
本発明はこれらの知見により完成したものである。
すなわち、本発明にかかる第1のエマルションは、水媒体中に分散している疎水性樹脂粒子(A)を必須の樹脂成分とするとともに、該疎水性樹脂粒子(A)を含む全樹脂成分の20〜60重量%が高分子乳化剤(B)であり、含まれる粒子の平均粒子径が50nm以下である。
なお、本発明において、前記樹脂成分は、疎水性樹脂粒子(A)と高分子乳化剤(B)の2種類を含むので、前記樹脂成分の重量平均分子量(Mw)については、つぎのようにして定めるものとする。すなわち、エマルション樹脂組成物をGPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)に掛けて、GPC分析で得られるチャートにおける、疎水性樹脂粒子(A)と高分子乳化剤(B)の2つのピーク(これらのピークが離れている場合も重なっている場合も含む)のうち、保持時間の短い方のピークの始点(ベースラインから立ち上がり始める点)から保持時間の長い方のピークの終点(ベースラインに戻った点)までの全部で求めるものとする。
本発明にかかる構造体は、多孔質基材と該基材の表面に形成された塗膜とを備えてなる構造体であって、前記塗膜が前記本発明のエマルションで形成されてなる、ことを特徴とする。
〔エマルション〕
本発明の第1のエマルションは、水媒体中に分散している疎水性樹脂粒子(A)を必須の樹脂成分とするとともに、該疎水性樹脂粒子(A)を含む全樹脂成分の20〜60重量%が高分子乳化剤(B)であるものである。前記高分子乳化剤(B)の含有量は、好ましくは全樹脂成分に対して20〜55重量%、より好ましくは全樹脂成分に対して20〜50重量%であるのがよい。疎水性樹脂粒子(A)を必須の樹脂成分とすることにより、優れた耐透水性を備えた塗膜を形成できるのであり、全樹脂成分に対して20〜60重量%の高分子乳化剤(B)を含有することにより、含浸密着性に優れた塗膜を形成することができるのである。また、高分子乳化剤(B)が、全樹脂成分に対して20重量%以上であると、平滑な塗膜が得られやすいという特長があり、その結果、水を透過する塗膜欠陥ができにくく、優れた耐透水性を発現させることに繋がる。
本発明の第2のエマルションにおいては、樹脂成分(すなわち前記疎水性樹脂粒子(A)および前記高分子乳化剤(B))の重量平均分子量(Mw)が4万〜100万であることが重要である。好ましくは5万〜80万であるのがよい。樹脂成分の重量平均分子量(Mw)が4万未満であると、樹脂の凝集力が低下し、充分な含浸密着性を発現しにくくなり、一方、100万を超えると、レベリング不足により成膜性が低下し、充分な耐透水性が発現できないこととなる。樹脂成分の重量平均分子量(Mw)は、前述したように、エマルション樹脂組成物をGPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)にて分析することにより測定されるものであり、具体的には、実施例で後述する方法で求めるものことができる。なお、樹脂成分(すなわち前記疎水性樹脂粒子(A)および前記高分子乳化剤(B))の重量平均分子量(Mw)は、本発明の第1のエマルションにおいても前記と同様の範囲であることが望ましい。
前記疎水性樹脂粒子(A)は、ガラス転移温度が−70〜30℃であることが好ましい。より好ましくは−60〜25℃であるのがよい。疎水性樹脂粒子(A)のガラス転移温度が−70℃未満であると、塗膜強度が不充分となり、密着性が低下する傾向があり、一方、30℃を超えると、レベリングが悪くなり、充分な耐透水性が得られにくくなる恐れがある。
なお、本発明において、疎水性樹脂粒子(A)のガラス転移温度(Tg(℃))は、該疎水性樹脂粒子を形成するのに用いたモノマー成分から、下記式(1)および式(2)によって算出することができる。
Tg(℃)=Tg(゜K)−273 (2)
(式(1)中、W、W2、・・・は(共)重合に使用されたモノマーのそれぞれの重量%であり、T1、T2、・・・はそれぞれのモノマーのホモポリマーのTg(゜K)である。なお、T1、T2、・・・で表されるモノマーのホモポリマーのTg(゜K)は、Polymer Hand Book(Scond Edition,J.Brandup・E.H.Immergut 編)による値を用いればよい。)
前記疎水性樹脂粒子(A)は、その全構成単位に占める酸基含有不飽和単量体由来の構成単位の割合(以下「酸基含有量」と称することもある)が1重量%以下であることが好ましい。より好ましくは0.8重量%以下であるのがよい。前記疎水性樹脂粒子(A)の酸基含有量が1重量%を超えると、吸水性が高くなり、充分な耐透水性が得られにくくなる恐れがある。
前記疎水性樹脂粒子(A)は、水媒体中に分散しうるものであればよく、前記疎水性樹脂粒子(A)を構成する樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ポリ酢酸ビニル重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、マレイン化ポリブタジエン重合体、ポリ塩化ビニル重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、合成ゴムラテックス、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。なお、前記疎水性樹脂粒子(A)は、コア・シェル型など多段構造の粒子であってもよい。
前記ビニル系樹脂としては、例えば、カルボニル基含有ラジカル重合性ビニル系モノマー、カルボキシル基含有ラジカル重合性ビニル系モノマー、必要に応じてその他のラジカル重合性不飽和モノマーからなる単量体成分を重合して得られる重合体が挙げられる。
前記カルボニル基含有不飽和モノマーは、1分子中に少なくとも1個のケト基またはアルデヒド基と1個のラジカル重合可能な二重結合を有するモノマーであればよく、具体例としては、例えば、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクロレイン、ホルミルスチロール、(メタ)アクリルアミドピバリンアルデヒド、ダイアセトン(メタ)アクリレート、アセトニル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートアセチルアセテート、ビニルアルキルケトン等が挙げられる。
前記その他のラジカル重合性不飽和モノマーは、前記以外のラジカル重合性不飽和モノマーであってカルボニル基やカルボキシル基と実質的に反応等を起こさない非官能性の不飽和化合物であればよく、具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビト−ル(メタ)アクリレ−ト、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルまたはシクロアルキルエステルモノマー;メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリプロポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルコキシアルキルエステルモノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニルモノマー;ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル等の不飽和モノマー;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−スチリルエチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリアセトキシシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリヒドロキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルヒドロキシシラン等のヒドロキシシランおよび/または加水分解性シラン基含有ビニル系モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロイソノニルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−nブトキシメチルアクリルアミド、N−nブトキシメチルメタクリルアミド等のアミドモノマーやその誘導体も、前記その他のラジカル重合性不飽和モノマーとして、好ましく挙げられる。
また、〔エマルションの製造方法〕の項で後述するように、前記高分子乳化剤(B)が疎水性樹脂粒子(A)を形成する際の乳化剤として作用させるものであることを考慮すると、高分子乳化剤(B)は、前述したものの中でも特に、(メタ)アクリル酸およびエステル類を必須とするモノマー成分(b)を重合して得られたものであることが前述したような平均粒子径の小さい粒子が得られやすい点で好ましい。さらに、前記モノマー成分(b)中のスチレン含有量が多いと、得られるエマルション中の粒子の粒子径が大きくなり、その結果、耐透水性が低下する恐れがあるので、該モノマー成分(b)はスチレン含有量が50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは0〜5重量%である。
前記多価金属としては、例えば、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、珪素(Si)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)等が挙げられる。これらの中でも特に、カルシウムおよび/またはマグネシウムが好ましい。カルシウムおよび/またはマグネシウムで前記カルボキシル基が中和されていることにより、塗膜の形成後にコンクリートや無機質建材等の基材側から供給されるカルシウムイオン等により実質的に完全に不溶化され、耐透水性を向上させることができるとともに、強度(硬度)の高い塗膜が得られ、一旦基材に含浸した組成物は強固に固定され、非常に優れた密着性(含浸密着性)を発揮するものとなる。
本発明の第1および第2のエマルションは、顔料をも含有することが好ましい。これにより、高度な耐ブロッキング性、隠蔽性、意匠性を備えた塗膜を形成することができる。顔料としては、例えば、有機系顔料では、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等が挙げられ、無機系顔料では、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等の着色顔料や、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の体質顔料等が挙げられる。これらは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の第1および第2のエマルションは、さらに、保存安定性や作業性などの観点から、必要に応じて、例えば、表面調整剤、増粘剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、消泡剤、有機溶剤等の各種添加物を、本発明の効果を損なわない範囲で含有するものであってもよい。
本発明の第1および第2のエマルションは、後述する本発明のエマルションの製造方法によって容易に得ることができるのであるが、これに限定されるわけではなく、例えば、前記疎水性樹脂粒子(A)と前記高分子乳化剤(B)とを各々合成し、これらを必要に応じて他の成分とともに混合する方法等によっても、本発明のエマルションを得ることができる。
本発明のエマルションの製造方法においては、〔エマルション〕の項で前述した高分子乳化剤(B)の水溶液(B’)中で、〔エマルション〕の項で前述した疎水性樹脂粒子(A)を形成するためのモノマー成分(a)を水溶性開始剤を用いて重合させることにより、平均粒子径が50nm以下である粒子を形成する。従来の技術では、平均粒子径が50nm以下であるような小さい粒子のエマルションを得ようとする場合、一般に、界面活性剤を増やす手法が採用されていたが、界面活性剤を増やして得られたエマルションでは耐透水性が低下することになる。本発明のエマルションの製造方法においては、前記高分子乳化剤(B)を乳化剤として利用するようにし、前記高分子乳化剤(B)の水溶液(B’)中でモノマー成分(a)を重合させることによって、耐透水性を損なうことなく、前述した本発明のエマルションを容易に得させるのである。また、高分子乳化剤(B)の水溶液(B’)中で疎水性樹脂粒子(A)を形成するための重合を行うようにすれば、1ポットで容易に本発明のエマルションを得ることができる。すなわち、疎水性樹脂粒子(A)と高分子乳化剤(B)とを別々に合成して混合するプロセスに比べ、混合のための工程が不要になる分、工程を簡略化することができるという利点があるのである。
前記高分子乳化剤(B)の水溶液(B’)は、(メタ)アクリル酸およびエステル類を必須とするモノマー成分(b)を乳化重合したのち、アルカリで可溶化することにより得られたものであることが好ましい。このような特定のモノマー成分(b)を乳化重合して得られた水溶液(B’)を用いることにより、前述したような平均粒子径の小さい粒子が得られやすくなるのである。さらに、前記モノマー成分(b)中のスチレン含有量が多いと、得られるエマルション中の粒子の粒子径が大きくなり、その結果、耐透水性が低下する恐れがあるので、前記モノマー成分(b)中のスチレン含有量は、50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは0〜5重量%であるのがよい。また、高分子乳化剤(B)を、前記モノマー成分(b)を乳化重合したのち、アルカリで可溶化することにより得るようにすると、引き続き疎水性樹脂粒子(A)を形成するための重合を行うことが可能であり、1ポットで容易に本発明のエマルションを得ることができる。例えば、高分子乳化剤(B)を溶液重合で得る場合に比べると、脱溶剤のための工程が不要になり工程を簡略化することができるので、生産性が大幅に向上することとなるのである。
前記水溶性開始剤としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等を用いることができる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水溶性開始剤の使用量は、特に制限されないが、前記モノマー成分(a)に対して0.05〜5重量%とすることが好ましい。水溶性開始剤の使用量が多すぎると、耐透水性が低下するおそれがあり、一方、少なすぎると、重合率が低下する傾向がある。なお、前記水溶性開始剤は、あらかじめ水溶液(B’)中に添加しておいてもよいし、モノマー成分(a)とともに滴下等の手段により水溶液(B’)中に添加するようにしてもよい。
〔構造体〕
本発明の構造体は、多孔質基材と該基材の表面に形成された塗膜とを備えてなる構造体であって、前記塗膜が前記本発明のエマルションで形成されてなるものである。すなわち、本発明の構造体は、前記本発明のエマルションを水性シーラーとして用いて基材の表面に塗膜を形成してなるものである。
前記多孔質基材の表面に本発明のエマルションによる塗膜を形成するに際しては、本発明のエマルション(水性シーラー)の固形分濃度は、10〜50重量%として使用することが好ましく、20〜40重量%として使用することがより好ましい。固形分濃度が10重量%未満であると、塗膜厚を確保するために塗装回数が多くなるので塗装効率が悪くなり、一方、40重量%を超えると、基材に対する浸透性が劣るため充分な含浸密着性を発現しえなくなるおそれがある。耐透水性及び密着性に優れることから、シーラー塗装後のシーラー塗膜の上に塗装される中塗り塗料(セカンドシーラー)としても、用いることができる。この場合、高度な含浸性が必要なくなる一方、乾燥性を高める必要があるため、固形分濃度としては、25〜60重量%であるのがよく、より好ましくは30〜55重量%であるのがよい。またこの場合、顔料を配合し用いることが好ましい。
前記多孔質基材の表面に本発明のエマルション(水性シーラー)による塗膜を形成する際の塗装方法は、特に制限はなく、従来公知の塗装方法、例えば、ローラー、刷毛、スプレー、ロールコーター、浸漬、フローコーター(カーテンフローコーターなど)等の方法を採用することができる。 前記多孔質基材の表面に本発明のエマルション(水性シーラー)による塗膜を形成するに際し、水性シーラーの塗布後の乾燥条件等は、特に制限はなく適宜設定すればよいのであるが、例えば、建材用途であれば70〜120℃で0.5〜30分間加熱乾燥することが好ましく、建築内外装用途であれば室温(JIS K 5000−1−6に基づく標準条件)で1時間以上乾燥することが好ましい。
各製造例における重量平均分子量(Mw)の測定は、得られた高分子乳化剤の水溶液をGPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)で分析することにより行った。用いた装置や測定条件などは以下の通りである。
GPCカラム:昭和電工製「GF−7MHQ」
移動相:リン酸水素二ナトリウム12水和物34.5gおよびリン酸二水素ナトリウム2水和物46.2g(いずれも試薬特級)に純水を加えて全量を5000gとし、その後0.45μmのメンブランフィルターでろ過した水溶液
検出器:ウォーターズ製「モデル481型」
検出波長:UV214nm
ポンプ:(株)日立製作所製「L−7110」
流量:0.5mL/分
温度:35℃
検量線:ポリアクリル酸ナトリウム標準サンプル(創和科学製)を用いて作成した
各実施例、参考例および比較例における樹脂成分の重量平均分子量(Mw)の測定は、得られたエマルションを乾燥した後、0.2%溶液になるようTHFに溶解した溶液を試料とし、GPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)により測定した。用いた装置や測定条件などは以下の通りである。
GPCカラム:東ソー製「TSK−GEL G5000HXL」と「GMHXL−L」の連結カラム
移動相:テトラヒドロフラン
検量線:ポリスチレン標準サンプルを用いて作成した
各実施例、参考例および比較例におけるエマルション中の粒子の平均粒子径(nm)の測定は、装置としてParticle Sizing Systems社製「NICOMP MODEL 880(Windows(登録商標) Based Software)」を用い、解析方法としてはVOLUME Weighted GAUSSIAN DISTRIBUTION Analysis(Solid Particle)を採用することにより行った。
攪拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、溶媒としてのイソプロピルアルコール240gを仕込み、85℃に加熱した後、窒素ガスを導入しながら、メタクリル酸13部、メタクリル酸メチル63部およびアクリル酸2−エチルヘキシル24部からなる組成の単量体成分160gと反応開始剤(日本ヒドラジン工業(株)製「ABN−E」)6.4gとの混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、さらに同温度を維持して2時間重合させ、その後、溶媒を減圧下で留去して、ガラス転移温度50℃の水溶性樹脂を得た。
〔製造例2〕
単量体成分として、アクリル酸35部、スチレン53部およびアクリル酸2−エチルヘキシル12部からなる組成の単量体成分160gを用いるように変更したこと以外は、製造例1と同様にして、ガラス転移温度70℃の水溶性樹脂を得た。
〔製造例3〕
還流冷却管および攪拌機を備えた容量5LのSUS316製セパラブルフラスコに、イオン交換水2800gを仕込み、攪拌下100℃に昇温した後、80%アクリル酸水溶液(以下「80%AA」と称す)630g(アクリル酸7モル)と、15%過硫酸アンモニウム水溶液(以下「15%APS」と称す)186.7g(アクリル酸1モルに対して過硫酸アンモニウム4g)とを、それぞれ別の滴下口から滴下した。このとき、滴下開始は同時とし、それぞれの滴下時間は、80%AAが180分間、15%APSが185分間となるようにするとともに、滴下の間、還流状態を維持するように加熱して行った。その後、80%AAの滴下終了から30分間、さらに還流状態を維持して重合を完結させたのち、反応溶液を室温まで冷却した。続いて、真空ポンプにて200mmHgまで減圧して約65℃で約90分間濃縮を行うことにより所定量の水分を除去し、固形分濃度40%の重合体水溶液を得た。
攪拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコに、高分子乳化剤の水溶液(1)400gおよび水150gを仕込み、窒素ガスを導入しながら、80〜85℃に保ち、表1におけるAの組成からなるモノマー成分240gと、1%過硫酸アンモニウム水溶液100gとを、それぞれ別の滴下口から2時間かけて滴下した。滴下後、さらに同温度を維持して2時間乳化重合を行い、固形分割合で疎水性樹脂粒子/高分子乳化剤(重量比)=60/40である固形分濃度45%のエマルションを得た。得られたエマルションの樹脂成分の重量平均分子量(Mw)およびエマルション中の粒子の平均粒子径(nm)は表2に示す。なお、表1には、各組成のモノマー成分が重合することにより形成される疎水性樹脂粒子のガラス転移温度を、各モノマー組成から算出して、併せて示した。
試験体(得られた構造体)の塗膜面にカッターナイフを用いて2mm間隔で36マスの碁盤目の切込みを入れ、該切り込みを入れた塗膜面に布粘着テープ(菊水テープ(株)製「No.916」)を貼り、布粘着テープの上から消しゴムを20回往復させて擦ることにより圧着させてから1分後に布粘着テープを垂直方向へ一気に引き剥がしたときの塗膜の剥離状態を調べ、下記の基準で評価した。
○:0〜6マス剥離した
△:7〜12マス剥離した
×:13マス以上剥離した
<耐透水性>
JIS−A6909に記載の透水試験B法に準じて評価した。具体的には、試験体(得られた構造体)を水平に保持し、該試験体の塗膜上に、口径75mmの三角漏斗の先に容量5mLのメスピペットをゴム管で連結してなる透水試験器具を、該器具の漏斗側を下にしてエポキシ樹脂系のシーリング剤によって止め付けたのち、その状態で24時間以上放置した。その後、20℃の水を試験体の塗膜表面から高さ250mmまで入れ、直後の水頭の高さと24時間後の水頭の高さとの差から透水量(cc)を求め、下記の基準で評価した。
◎:透水量1cc未満
〇:透水量1cc以上、2cc未満
△:透水量2cc以上、4cc未満
×:透水量4cc以上
<耐温水性>
試験体(得られた構造体)の塗膜面にカッターナイフを用いて2mm間隔で36マスの碁盤目の切込みを入れ、得られた試験体を50℃の温水に7日間浸漬した後、含浸密着性と同様の評価を行うと共に、塗膜のワレ、剥がれ、フクレ等の塗膜異常の有無を観察した。
〇:0〜6マス剥離するが、塗膜異常なし
△:7〜12マス剥離するが、塗膜異常なし
×13マス以上剥離し、且つ、塗膜のワレ、剥がれ、フクレ等が認められる
試験体(得られた構造体)の塗膜面にカッターナイフを用いて2mm間隔で36マスの碁盤目の切込みを入れ、得られた試験体について、20℃水中浸漬2時間、−20℃気中凍結2時間を1サイクルとして、200サイクルの試験を施した後、含浸密着性と同様の評価を行うと共に、塗膜のワレ、剥がれ、フクレ等の塗膜異常の有無を観察した。
〇:0〜6マス剥離するが、塗膜異常なし
△:7〜12マス剥離するが、塗膜異常なし
×:13マス以上剥離し、且つ、塗膜のワレ、剥がれ、フクレ等が認められる。
<耐透湿性>
得られたエマルションを、塗布量150g/m2(wet)になるように塗布した以外は実施例1と同様に試験体を得た。この試験体について、ASTM E96 B法の透湿性試験を行った。
〇:20g/m2・24時間未満
△:20〜70g/m2・24時間未満
×:70g/m2・24時間以上
<耐マッドクラック性>
得られた試験体について塗膜のマッドクラックを目視で観察した。
〇:マッドクラックが全く見受けられない。
×:全面的にマッドクラックを見られる。
<耐ブロッキング性>
得られた試験体及び無塗装のスレート板を50℃に調温した後、ガーゼを間にはさみ、熱プレスにて50℃に保ちながら2kg/cm2の荷重を30分間かけた。そして、室温まで冷却した後、ゆっくりガーゼをはがし、その時のはがし抵抗及びガーゼの痕跡を目視で観察し、評価した。
◎:ガーゼが自然に落下し、塗膜上にガーゼの痕跡が殆ど残っていない。
〇:ガーゼが自然に落下することはないが、塗膜上にガーゼの痕跡は殆ど残っていない。
×:ガーゼの剥離時に塗膜の一部も剥離し、ガーゼの痕跡が残っている。
モノマー成分として、表1におけるBの組成からなるモノマー成分240gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分割合で疎水性樹脂粒子/高分子乳化剤(重量比)=60/40である固形分濃度45%のエマルションを得た。得られたエマルションの樹脂成分の重量平均分子量(Mw)およびエマルション中の粒子の平均粒子径(nm)は表2に示す。
次に、得られたエマルションを用い、実施例1と同様にして、構造体を得た。得られた構造体の含浸密着性、耐透水性、耐温水性、耐凍害性、耐透湿性、耐マッドクラック性及び耐ブロッキング性について実施例1と同様の方法にて評価した。結果を表2に示す。
攪拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコに、イオン交換水353.8gと、乳化剤(第一工業製薬(株)製「ハイテノール18E」)3.1gをイオン交換水12.4gで溶解した乳化剤水溶液の全量とを仕込み、窒素ガスを導入しながら、72℃に加熱した後、メタクリル酸23.6g、メタクリル酸メチル110.3g、アクリル酸2−エチルヘキシル15.8gおよびチオグリコール酸2−エチルヘキシル7.9gからなる単量体混合物の10%分と、5%過硫酸アンモニウム水溶液22.1gとを投入した。投入してから15分経過後、単量体混合物の残り(90%分)を90分間かけて滴下した。滴下を終了してから10分後に75℃まで加熱したのち、25%アンモニア水を投入することで、高分子乳化剤の水溶液(4)を得た。該水溶液中の高分子乳化剤の重量平均分子量(Mw)は1万であった。
次に、得られたエマルションを用い、実施例1と同様にして、構造体を得た。得られた構造体の含浸密着性、耐透水性、耐温水性、耐凍害性、耐透湿性、耐マッドクラック性及び耐ブロッキング性について実施例1と同様の方法にて評価した。結果を表2に示す。
実施例3で得られたエマルションに攪拌しながらブチルセロソルブとテキサノールを全固形分に対してそれぞれ7%添加した。翌日、水で希釈して固形分濃度30%にした後、2%過硫酸アンモニウム水溶液11.9gを30分間かけて滴下した。その後、さらに同温度で120分間熟成を行い、固形分割合で疎水性樹脂粒子/高分子乳化剤(重量比)=60/40である固形分濃度40%のエマルションを得た。得られたエマルションの樹脂成分の重量平均分子量(Mw)およびエマルション中の粒子の平均粒子径(nm)は表2に示す。
次に、得られたエマルションを用い、実施例1と同様にして、構造体を得た。得られた構造体の含浸密着性、耐透水性、耐温水性、耐凍害性、耐透湿性、耐マッドクラック性及び耐ブロッキング性について実施例1と同様の方法にて評価した。結果を表2に示す。
実施例3で得られたエマルションと、以下に開示する混合用エマルションとを固形分割合で1:1になるように混合すると共に、攪拌しながらブチルセロソルブとテキサノールを全固形分に対してそれぞれ7%添加した。翌日、水で希釈して固形分濃度30%にした後、室温の珪カル板に刷毛にて塗布量100g/m2(wet)になるように塗布し、室温にて2時間乾燥することで構造体を得た。得られた構造体の含浸密着性、耐透水性、耐温水性、耐凍害性、耐透湿性、耐マッドクラック性及び耐ブロッキング性について実施例1と同様の方法にて評価した。結果を表2に示す。
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに脱イオン水76.8gを仕込んだ。
また、滴下ロートにアクアロンHS−10の25%水溶液4.0g、RN−20の25%水溶液4.0g、脱イオン水5.8g、メチルメタクリレート14.0g、n−ブチルメタクリレート7.0g、シクロヘキシルメタクリレート8.0g、アクリル酸1.0gからなる一段目のプレエマルションを調製し、そのうちトータルモノマー量の5%にあたる7.3gをフラスコに添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に75℃まで昇温した。
昇温後、5%の過硫酸カリウム水溶液を6.0g添加し、重合を開始した。この時に反応系内を80℃まで昇温し10分間維持した。ここまでを初期反応とした。
初期反応終了後、反応系内を80℃に維持したまま、調製した1段目用のプレエマルションを50分間にわたって均一滴下した。滴下後、脱イオン水5gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。その後も同温度で30分間維持し、一段目の重合を終了した。
次に、25%アンモニア水を0.9g添加し、同温度で10分間攪拌した。引き続いて、アクアロンHS−10の25%水溶液2.0g、アクアロンRN−20の25%水溶液2.0g、脱イオン水23.2g、2−エチルヘキシルアクリレート36.0g、シクロヘキシルメタクリレート12.0g、n−ブチルメタクリレート20.0g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.0g、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジニルメタクリレート1.0gからなる二段目のプレエマルションを130分間にわたって均一滴下した。滴下後、脱イオン水5gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。その後も同温度を1時間維持して、混合用エマルションを得た。
高分子乳化剤の水溶液(1)の仕込み量を200gに変更し、水の仕込み量を140gに変更し、モノマー成分(組成A)の量を320gに変更し、1%過硫酸アンモニウム水溶液の量を133gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分割合で疎水性樹脂粒子/高分子乳化剤(重量比)=80/20である固形分濃度45%のエマルションを得た。得られたエマルションの樹脂成分の重量平均分子量(Mw)およびエマルション中の粒子の平均粒子径(nm)は表2に示す。
次に、得られたエマルションを用い、実施例1と同様にして、構造体を得た。得られた構造体の含浸密着性、耐透水性、耐温水性、耐凍害性、耐透湿性、耐マッドクラック性及び耐ブロッキング性について実施例1と同様の方法にて評価した。結果を表2に示す。
実施例1と同様にして得られたエマルションを用い、珪酸カルシウム板の代わりに、スレート板(ノザワ社製「ノザワフレキシブルシート」:JIS−A5403、表中では「スレート板」と略す)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、構造体を得た。得られた構造体の含浸密着性、耐透水性、耐温水性、耐凍害性、耐透湿性、耐マッドクラック性及び耐ブロッキング性について実施例1と同様の方法にて評価した。結果を表2に示す。
高分子乳化剤の水溶液として、高分子乳化剤の水溶液(3)533gを用い、水の仕込み量を17gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分割合で疎水性樹脂粒子/高分子乳化剤(重量比)=60/40である固形分濃度45%のエマルションを得た。得られたエマルションの樹脂成分の重量平均分子量(Mw)およびエマルション中の粒子の平均粒子径(nm)は表2に示す。
次に、得られたエマルションを用い、実施例1と同様にして、構造体を得た。得られた構造体の含浸密着性、耐透水性、耐温水性、耐凍害性、耐透湿性、耐マッドクラック性及び耐ブロッキング性について実施例1と同様の方法にて評価した。結果を表2に示す。
水溶性樹脂の水溶液(1)の仕込み量を450gに変更し、水の仕込み量を129gに変更し、モノマー成分(組成A)の量を220gに変更し、1%過硫酸アンモニウム水溶液の量を90gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分割合で疎水性樹脂粒子/高分子乳化剤(重量比)=55/45である固形分濃度45%のエマルション(I)を得た。得られたエマルション(I)の樹脂成分の重量平均分子量(Mw)およびエマルション(I)中の粒子の平均粒子径(nm)は表2に示す。
イオン交換水:52.3g
分散剤(花王社製「デモールEP」):20.0g
消泡剤(サンノプコ社製「ノプコ8034」):0.3g
酸化チタン(石原産業社製「R−780」)30.0g
炭酸カルシウム(日東粉化社製「NS−100」):15g
カオリン(山陽クレー社製「AAカオリン」):15g
増粘剤(旭電化社製「アデカノールUH420」の5%水溶液):1.0g
次に、得られた顔料を含むエマルション(II)を、水で希釈して固形分濃度30%にした後、あらかじめ55℃になるようにプレヒートしておいた珪酸カルシウム板(A&Aマテリアル製「ハイラック0.8軽質ケイカル」:JIS−A5403、表中では「珪カル板」と略す)に、エアレススプレーにて塗布量100g/m2(wet)になるように塗布し、120℃で5分間乾燥して、構造体を得た。得られた構造体の含浸密着性、耐透水性、耐温水性、耐凍害性、耐透湿性、耐マッドクラック性及び耐ブロッキング性について実施例1と同様の方法にて評価した。結果を表2に示す。
実施例9で得られた顔料を含むエマルション(II)水で希釈して固形分濃度30%にした後、あらかじめ55℃になるようにプレヒートしておいた珪酸カルシウム板(A&Aマテリアル製「ハイラック0.8軽質ケイカル」:JIS−A5403、表中では「珪カル板」と略す)に、エアレススプレーにて塗布量100g/m2(wet)になるように塗布し、120℃で5分間乾燥した後、更にもう一度エアレススプレーにて塗布量100g/m2(wet)になるように塗布し、120℃で5分間乾燥して、構造体を得た。得られた構造体の含浸密着性、耐透水性、耐温水性、耐凍害性、耐透湿性、耐マッドクラック性及び耐ブロッキング性について実施例1と同様の方法にて評価した。結果を表2に示す。
モノマー成分として、表1におけるCの組成からなるモノマー成分240gを用い、1%過硫酸アンモニウム水溶液100gの代わりに3%過硫酸アンモニウム水溶液100gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分割合で疎水性樹脂粒子/高分子乳化剤(重量比)=60/40である固形分濃度45%のエマルションを得た。得られたエマルションの樹脂成分の重量平均分子量(Mw)およびエマルション中の粒子の平均粒子径(nm)は表2に示す。
次に、得られたエマルションを用い、実施例1と同様にして、構造体を得た。得られた構造体の含浸密着性、耐透水性、耐温水性、耐凍害性、耐透湿性、耐マッドクラック性及び耐ブロッキング性について実施例1と同様の方法にて評価した。結果を表2に示す。
高分子乳化剤の水溶液(1)の仕込み量を700gに変更し、水の仕込み量を21gに変更し、モノマー成分(組成A)の量を120gに変更し、1%過硫酸アンモニウム水溶液の量を48gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分割合で疎水性樹脂粒子/高分子乳化剤(重量比)=30/70である固形分濃度45%のエマルションを得た。得られたエマルションの樹脂成分の重量平均分子量(Mw)およびエマルション中の粒子の平均粒子径(nm)は表2に示す。
次に、得られたエマルションを用い、実施例1と同様にして、構造体を得た。得られた構造体の含浸密着性、耐透水性、耐温水性、耐凍害性、耐透湿性、耐マッドクラック性及び耐ブロッキング性について実施例1と同様の方法にて評価した。結果を表2に示す。
高分子乳化剤の水溶液として、高分子乳化剤の水溶液(2)400gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分割合で疎水性樹脂粒子/高分子乳化剤(重量比)=60/40である固形分濃度45%のエマルションを得た。得られたエマルションの樹脂成分の重量平均分子量(Mw)およびエマルション中の粒子の平均粒子径(nm)は表2に示す。
次に、得られたエマルションを用い、実施例1と同様にして、構造体を得た。得られた構造体の含浸密着性、耐透水性、耐温水性、耐凍害性、耐透湿性、耐マッドクラック性及び耐ブロッキング性について実施例1と同様の方法にて評価した。結果を表2に示す。
Claims (9)
- 水媒体中に分散している疎水性樹脂粒子(A)を必須の樹脂成分とするとともに、該疎水性樹脂粒子(A)を含む全樹脂成分の20〜60重量%が高分子乳化剤(B)であって、
該高分子乳化剤(B)は、(メタ)アクリル酸およびエステル類を必須とし、スチレン含有量が50重量%以下であるモノマー成分を重合して得られたカルボキシル基含有ポリマーであり、その全カルボキシル基のうちの1モル%以上が多価金属で中和されているものであり、含まれる粒子の平均粒子径が50nm以下である、エマルション。 - 水媒体中に分散している疎水性樹脂粒子(A)と該水媒体中に溶解している高分子乳化剤(B)を樹脂成分として含有するエマルションであって、
該高分子乳化剤(B)は、(メタ)アクリル酸およびエステル類を必須とし、スチレン含有量が50重量%以下であるモノマー成分を重合して得られたものであり、
該疎水性樹脂粒子(A)と該高分子乳化剤(B)との割合(重量比)が、疎水性樹脂粒子(A)/高分子乳化剤(B)=40/60〜80/20であり、
含まれる粒子の平均粒子径が50nm以下であり、かつ、該樹脂成分の重量平均分子量(Mw)が4万〜100万である、
ことを特徴とするエマルション。 - 前記高分子乳化剤(B)はアルカリにより水に可溶化された水溶性樹脂である、請求項1または2に記載のエマルション。
- 顔料をも含有する、請求項1から3までのいずれかに記載のエマルション。
- 水性シーラーとして用いられる、請求項1から4までのいずれかに記載のエマルション。
- 水媒体中に分散している疎水性樹脂粒子(A)と該水媒体中に溶解している高分子乳化剤(B)を樹脂成分として含有するエマルションの製造方法であって、
該高分子乳化剤(B)は、(メタ)アクリル酸およびエステル類を必須とし、スチレン含有量が50重量%以下であるモノマー成分を重合して得られたものであり、
該高分子乳化剤(B)の水溶液(B’)中で該疎水性樹脂粒子(A)を形成するためのモノマー成分(a)を水溶性開始剤を用いて重合させることにより、平均粒子径が50nm以下である粒子を形成することとし、該水溶液(B’)と該モノマー成分(a)との固形分割合(重量比)を、モノマー成分(a)/水溶液(B’)=40/60〜80/20とし、樹脂成分の重量平均分子量(Mw)が4万〜100万であるエマルションを製造する
ことを特徴とするエマルションの製造方法。 - 前記高分子乳化剤(B)として、アルカリにより水に可溶化された水溶性樹脂を用いる、請求項6に記載のエマルションの製造方法。
- 前記水溶液(B’)は、(メタ)アクリル酸およびエステル類を必須とするモノマー成分(b)を乳化重合したのち、アルカリで可溶化することにより得られたものである、請求項6または7に記載のエマルションの製造方法。
- 多孔質基材と該基材の表面に形成された塗膜とを備えてなる構造体であって、該塗膜が請求項1から5までのいずれかに記載のエマルションで形成されてなる、ことを特徴とする構造体。
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