JPH11152624A - ポリプロピレン系高捲縮性複合長繊維及びその製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系高捲縮性複合長繊維及びその製造方法

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JPH11152624A
JPH11152624A JP33373697A JP33373697A JPH11152624A JP H11152624 A JPH11152624 A JP H11152624A JP 33373697 A JP33373697 A JP 33373697A JP 33373697 A JP33373697 A JP 33373697A JP H11152624 A JPH11152624 A JP H11152624A
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polypropylene
long fiber
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propylene
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Yoshishige Shimizu
喜茂 清水
Hideo Sakakura
秀夫 坂倉
Tadao Miyazaki
忠夫 宮崎
Yoshinori Nishitani
吉憲 西谷
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常のポリプロピレン長繊維と同等の強伸度
を有し、良好な縮捲発現性を有する熱処理温度差で縮捲
発現性に影響の少ないポリプロピレン高縮捲性複合長繊
維及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 プロピレンを主成分とし、エチレン及び
炭素数4〜12から選ばれる少なくとも1種のα−オレ
フィン含有量が3〜8%のプロピレン−α−オレフィン
ランダム共重合体100重量部に対し1.0重量部以下
の造核剤と40重量部以下のゴム成分との少なくとも何
れか一方を含有する成分A、及びポリプロピレン樹脂で
ある成分Bが複合構造に配されたポリプロピレン高縮捲
性複合長繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレン系
高捲縮性複合長繊維及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、捲縮を発現させるポリオレフ
ィン系複合繊維としては、ポリプロピレンのメルトフロ
レート差をつけた2成分を複合紡糸することにより、2
成分の収縮性の違いを利用して、捲縮を発現させる方法
が知られいる。しかしながら、この方法ではメルトフロ
レートの違いにより、複合紡糸するときに、紡糸ノズル
下で繊維が曲がり、安定的に紡糸を行うことが困難であ
った。さらに、延伸工程では、捲縮発現のために低温で
延伸を行う必要があり、低倍率延伸となり低強度の繊維
となり、通常のポリプロピレン長繊維と同等の強度は得
られない。
【0003】そこで、このような問題を解決するため
に、エチレン−プロピレンランダムコポリマーとポリプ
ロピレンとからなる複合繊維が特開平2−191720
号公報、特開平5−71057号公報、特開平5−78
916号公報及び特開平5−230714号公報等で提
案されている。例えば、特開平2−191720号公報
には、第1成分をQ値が5未満、190〜300℃での
メルトフローレートが15以上200未満のポリプロピ
レンとし、第2成分を融解ピーク温度が133℃以上1
45℃未満のエチレン−プロピレンランダム共重合体6
0〜100重量%と融解ピーク温度が133℃以上14
5℃未満のエチレン−ブテン−プロピレン三元共重合体
0〜40重量%とポリプロピレン0〜20重量%との組
成物とし、並列型または偏心芯鞘型に配する複合繊維が
開示されている。しかしながら、これらの繊維は、何れ
も短繊維であり、捲縮を発現させるには、後加工で加熱
処理して捲縮を発現させる必要があった。
【0004】長繊維の例としては、特開昭57−617
21号公報には、(A)結晶性のポリプロピレン等のポ
リオレフインと、(B)エチレン−プロピレン系エラス
トマー等の熱可塑性のエラストマーよりなる弾性フイラ
メントが開示されているが、やはり、得られたフイラメ
ントは150℃で1分程度の熱処理を行わなければ捲縮
が発現しない。また、特開平7−216653号公報に
は、エチレン−プロピレンランダムコポリマーとポリプ
ロピレンとを複合成分として溶融並列複合紡糸し、未延
伸糸を倍率3〜6倍、温度70〜100℃で延伸し、温
度100〜130℃で熱セツトして、温度130℃の熱
処理で捲縮率40%以上の捲縮性を有するポリプロピレ
ン系高捲縮性フイラメント糸を得ることが開示されてい
る。
【0005】しかしながら、この方法も、後加工で緩和
熱処理することによって、捲縮を発現させる必要があっ
た。また、これらの捲縮発現方法として採用されている
熱収縮差を利用した捲縮発現方法では温度差によって捲
縮発現性に差が発生する問題を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、通常
のポリプロピレン長繊維と同等の強伸度を有し、かつ、
良好な捲縮発現を有し、熱処理温度差で捲縮発現性に影
響の少ないポリプロピレン系高捲縮性複合長繊維を提供
することにある。また、後加工による緩和熱処理工程を
経ずに、捲縮を発現させるポリプロピレン系高捲縮性複
合長繊維の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、熱収縮差
で捲縮を発現させる方法でなく、延伸後の繊維弾性回復
率差で捲縮を発現させることにより、ポリプロピレン系
高捲縮性複合長繊維を得られることを見いだし本発明に
到達した。
【0008】本発明は、プロピレンを主成分とし、エチ
レン及び炭素数4〜12から選ばれる少なくとも1種の
α−オレフィン含有量が3〜8%のプロピレン−α−オ
レフィンランダム共重合体100重量部に対し、1.0
重量部以下の造核剤と、40重量部以下のゴム成分との
少なくとも何れか一方を含有する成分A、及びポリプロ
ピレン樹脂である成分Bが複合構造に配されたことを特
徴とするポリプロピレン高捲縮性複合長繊維にある。
【0009】更に本発明は、プロピレンを主成分とし、
エチレン及び炭素数4〜12から選ばれる少なくとも1
種のα−オレフィン含有量が3〜8%のプロピレン−α
−オレフィンランダム共重合体100重量部に対し、
1.0重量部以下の造核剤と、40重量部以下のゴム成
分との少なくとも何れか一方を含有する成分A、及びポ
リプロピレン樹脂である成分Bを複合構造に配して溶融
紡糸し、得られた未延伸糸を熱延伸することを特徴とす
るポリプロピレン系高捲縮性複合長繊維の製造方法にあ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の高捲縮性複合長繊維は、
プロピレン−α−オレフィン共重合体を主成分とする成
分Aと、ポリプロピレンからなる成分Bが、並列型また
は偏芯鞘芯型に配された複合構造からなるものであり、
成分Aと成分Bの複合比(重量比)は75/25〜25
/75の範囲にある。
【0011】本発明において、成分Aに使用されるプロ
ピレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフ
ィンとしては、エチレンであることが好ましい。また、
成分Aには造核剤及びゴム成分の何れか一方を少なくと
も含む。使用される造核剤としては、無機系の下記化学
式(1)で示されるタルク及び/又は有機系の下記化学
式(2)で示されるソルビトール系誘導体、下記化学式
(3)で示される芳香族リン酸の金属塩、下記化学式
(4)で示される芳香族カルボン酸の金属塩から選ばれ
る少なくとも1種の化合物が好ましい。なかでも、有機
系の下記化学式(2)で示されるソルビトール系誘導体
が特に好ましく用いられる。
【0012】
【化1】 3MgO・4SiO2 ・H2 O (1)
【0013】
【化2】
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】本発明において成分Aに含ませる造核剤
で、化学式(2)で示されるソルビトール誘導体の例と
しては、1,3,2,4−ジ−p−メチルベンジリデン
ソルビトール(新日本理化社製、商品名「ゲルオールM
D」)が挙げられる。また、化学式(3)で示される芳
香族リン酸の金属塩としては、リン酸−2,2’−メチ
レンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウ
ム(旭電化工業社製、商品名「アデカスタブNA−1
1」)を、化学式(4)で示される芳香族カルボン酸の
金属塩としては、ビス(4−t−ブチル安息香酸)ヒド
ロキシアルミニウム(シェル化学社製、商品名「AL−
PTBBA」)を挙げることができる。
【0017】また、ゴム成分は、オレフィン系ゴムとし
てはエチレンを主成分とし炭素数3〜12のα−オレフ
ィンとの共重合ゴムであり、なかでもエチレン−プロピ
レン共重合体(EPM)、エチレン−1−ブテン共重合
体(EBM)、エチレン−1−オクテン共重合体(EO
M)が好ましい。また、スチレン系ゴムとしては、スチ
レンと共役ジエンからなるブロックポリマーの水素添加
誘導体であり、共役ジエンとしてはブタジエン、イソプ
レンが好ましく用いられる。これら、オレフィン系ゴム
及びスチレン系ゴムは、それぞれ単独に用いてもよく、
あるいは2種以上を併用しても良い。
【0018】造核剤として用いる前記化学式(1)〜
(4)で示される化合物の配合量は、プロピレンを主成
分としエチレン及び炭素数4〜12から選ばれる少なく
とも1種のα−オレフィン含有量が3〜8%のプロピレ
ン−α−オレフィンランダム共重合体100重量部に対
し、1.0重量部以下である。また、ゴム成分は40重
量部以下であり、この範囲の量において造核剤及びゴム
成分は成分Aに少なくとも何れか一方を含有しなければ
ならない。
【0019】上記範囲において造核剤、ゴム成分の少な
くとも何れかを含有する成分Aは、高い弾性回復性を有
しうる。したがって、本発明の高捲縮性複合長繊維にお
いて、高弾性回復性側として成分Aを、低弾性回復性側
として通常のポリプロピレン成分とを配することによっ
て、高弾性回復側と低弾性回復側を引き揃え延伸で、5
%以上の糸長差の発生するポリマーの組合せにより捲縮
が発現するために、熱処理温度差による捲縮発現性の変
動が小さい。
【0020】本発明で用いる成分Aは、プロピレンが9
2〜97重量%、含まれるエチレン及び炭素数4〜12
のα−オレフィン含有量が3〜8重量%のランダム共重
合体100重量部に対し、造核剤を0〜1.0重量部及
び/又はゴム成分0〜40重量部の範囲で、少なくとも
何れか一方を含有する必要がある。また、成分Bは、通
常のポリプロピレン成分である。
【0021】これら成分のメルトフローレート(以下、
MFR値と略記する。)は、JIS−K6758に準拠
し、230℃、2.16kg荷重で測定した値(以下、
同じ。)が、成分Aは5〜50g/10分の範囲にある
ことが好ましく、特に10〜30g/10分が好まし
い。また、成分BのMFR値は10〜50g/10分の
範囲にあることが好ましく、特に10〜30g/10分
が好ましい。
【0022】成分Aにおいて、プロピレン−α−オレフ
ィンランダム共重合体中のエチレン及び炭素数4〜12
のα−オレフィン含有量が、3%未満であると高収縮側
の収縮性が低くなり捲縮発現性が低下する。また、8%
を超えると得られた長繊維の繊維強度が低下する。ま
た、造核剤が1.0重量部、ゴム成分が40重量部を超
えると製糸性が悪化する。
【0023】また、成分AポリマーのMFR値が5g/
10分未満、成分BポリマーのMFR値が10g/10
分未満では製糸ときに溶融温度を高温に設定しなければ
製糸安定性を悪くする。更に繊維の使用目的によって原
着繊維とする場合顔料着色性が悪化しやすい。また、成
分AのMFR値が50g/10分を超え、成分BのMF
R値が50g/10分を超えると、製糸安定性が悪化
し、得られた長繊維の繊維強度も低下し、好ましくな
い。
【0024】本発明のポリプロピレン系高捲縮性複合長
繊維は、その繊度には限定がなく任意の繊度でよく、繊
維断面は円形断面、三角等の異型断面の何れであっても
よい。また、複合構造は並列型が好ましいが、偏芯芯鞘
型でもよく、また、着色顔料が含有された原着繊維であ
ってもよい。
【0025】このような本発明のポリプロピレン系高捲
縮性複合長繊維は、成分Aと成分Bとを複合成分とし
て、成分Aと成分Bの複合比(重量比)を75/25〜
25/75の範囲とし、押出機温度200〜280℃、
紡糸速度300m/分以上で溶融紡糸法により複合紡糸
して繊維形成を行い未延伸糸として引き取る。
【0026】つぎに、得られた未延伸糸を倍率2〜6
倍、温度60〜100℃、熱セット温度70〜120℃
で延伸することによって、ポリプロピレン系高捲縮性複
合長繊維を得る。
【0027】延伸倍率が2倍未満では、得られる繊維の
強度が低下し、伸度が増加しやすく、捲縮発現も少なく
なり、好ましくない。また、6倍を超えると製糸安定性
が低下するので好ましくない。延伸温度が60℃未満で
は、高倍率の延伸ができず繊維の強度が低下し、捲縮発
現も少なくなるので好ましくない。また、100℃を超
えると、製糸安定性が低下するので好ましくない。熱セ
ット温度は70℃未満では低収縮成分の収縮率が上がり
捲縮発現が少なくなり好ましくない。また、120℃を
超えると緩和率が下がり捲縮発現が少なくなる傾向があ
る。
【0028】本発明では、緩和熱処理は必須ではない
が、緩和熱処理することによって、さらに、捲縮性の高
いポリプロピレン系高捲縮性複合長繊維とすることがで
きる。この緩和熱処理は、温度100〜190℃、緩和
率20%以上で行なうことが好ましい。
【0029】本発明の高捲縮性複合長繊維を得るに当た
っては、上記のごとく捲縮発現手段としての緩和熱処理
工程は必ずしも必要ではないが、捲縮糸の収縮率を低下
させるために、緩和熱処理することが好ましい。緩和熱
処理を行う場合において、緩和熱処理温度が100℃未
満では、捲縮発現が少なく、また、190℃を超えると
製糸安定性が低下する傾向にある。また、緩和率は、2
0%未満では捲縮発現が少なくなる傾向にあり、高捲縮
性複合繊維を巻き取った後、経時的に巻き締まりが発生
することがある。
【0030】
【実施例】つぎに、本発明を実施例により具体的に説明
する。なお、評価のための糸の捲縮率及びA、B2成分
の糸長差は次の方法で測定した。
【0031】[捲縮率−1] 繊維を束ねてカセ状のサンプルを作成する。 サンプル作成後10分以上放置する。 サンプル糸の一端に測定荷重Aを掛け1分後に糸長
(L1)を測定する。 測定荷重A=デニール×1/10×(2×巻回数) 測定荷重Aを除き2分間放置する。 サンプル糸の一端に測定荷重Bを掛け1分後に糸長
(L2)を測定する。 測定荷重B=デニール×1/1000×(2×巻回数) 次の計算式で算出する。
【数1】 捲縮率−1(%)=[(L1−L2)/L1]×100
【0032】[捲縮率−2] 繊維を束ねてカセ状のサンプルを作成する。 試料を70℃で10分間乾熱処理を行なう。 熱処理後10分以上放置する。 サンプル糸の一端に測定荷重Aを掛け1分後に糸長
(L1)を測定する。 測定荷重A=デニール×1/1000×(2×巻回数) 測定荷重Aを除き2分間放置する。 サンプル糸の一端に測定荷重Bを掛け1分後に糸長
(L2)を測定する。 測定荷重B=デニール×1/1000×(2×巻回数) 次の計算式で算出する。
【数2】 捲縮率−2(%)=[(L1−L2)/L1]×100
【0033】[2成分の糸長差の測定] それぞれの原料を同一紡糸条件で紡糸し巻き取る。 それぞれの未延伸糸を、同一延伸条件で引き揃えて
延伸する。 延伸後の糸を解舒して30cmの所へ印を付ける。 印を付けたサンプルを成分毎に分繊する。 成分毎にその糸長を測定する。 次の計算式で算出する。
【数3】糸長差(%)=[(長い糸長−短い糸長)/短
い糸長]×100
【0034】[実施例1]プロピレンを主成分とするエ
チレン含有量5重量%、MFR値10g/10分のプロ
ピレン−エチレンランダム共重合体樹脂100重量部
に、オレフィン系ゴム(エチレン含有量85重量%)の
MFR値35g/10分のエチレン−1−ブテン共重合
体)10重量部、さらに、有機系造核剤である1,3,
2,4−ジ−p−メチルベンジリデンソルビトール0.
2重量部、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジト
リデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタ
ン0.1重量部、及びステアリン酸カルシウム0.05
重量部をヘンシェルミキサーで配合・混合した後、50
mmφ単軸押出機にて230℃の温度で溶融混練し、ダ
イより押出して、MFR値12g/10分の重合体組成
物のペレットとした(成分A)。
【0035】この成分AとMFR値が30g/10分の
ポリプロピレン(成分B)とを用いて、成分Aの押出機
温度を第1ゾーン220℃、第2〜4ゾーン250℃、
成分Bの押出機温度を第1ゾーン220℃、第2〜4ゾ
ーン250℃、紡糸温度250℃に設定し、紡糸速度5
00m/分で並列複合紡糸した。このときノズル下は繊
維の曲がりも無く安定した状態であった。得られた未延
伸糸を延伸倍率3.38倍、延伸温度75℃、熱セット
温度80℃で延伸し巻き取った。その延伸糸を解舒して
捲縮発現性を測定した。捲縮状態を顕微鏡写真によって
数値化し表1に示した。かなり細かな良好な捲縮状態で
あった。
【0036】[実施例2]実施例1で得られた未延伸糸
を延伸速度450m/分、延伸倍率3.38倍・延伸温
度75℃、熱セット80℃、緩和熱処理温度150℃、
緩和率38.3%で、押し込み型同時延伸ホットエアー
加工を行い、400デニール(d)/60フィラメント
(f)の円形断面複合長繊維の捲縮糸を得た。得られた
繊維は良好な捲縮状態にあり、その製糸安定性(紡糸安
定性と糸捲き取りまでの延伸、緩和熱処理工程までの工
程通過性)も良好であった。得られた捲縮糸の糸物性を
表2、捲縮特性を表3に示した。
【0037】[参考例]ポリプロピレンのみから得られ
た400d/60fの押し込み型同時延伸ホットエアー
加工の捲縮長繊維を参考例として、表2、3に普通糸と
して示した。表2、3から明らかなように、本発明によ
る長繊維は、普通糸と同程度の強伸度を有しながら、高
捲縮性を有する糸であった。
【0038】[実施例3]緩和熱処理温度を175℃に
変更した以外は実施例2と同条件で400d/60fの
円形断面複合長繊維の捲縮糸を得た。得られた繊維は良
好な捲縮状態にあり、その製糸安定性も良好であった。
得られた捲縮糸の糸物性を表2、捲縮特性を表3に示し
た。捲縮発現性は、実施例2の場合と変わらなかった。
【0039】[実施例4]実施例2の細デニール化とし
て、紡糸速度700m/分、延伸倍率3.12、緩和率
36.3%に変更したほかは実施例2と同様にして20
0d/30fの捲縮糸を得た。得られた繊維は良好な捲
縮特性を示し、その製糸安定性も良好であった。得られ
た捲縮糸の糸物性を表2、捲縮特性を表3に示した。
【0040】[比較例1]成分AをMFR値10g/1
0分のホモタイプのポリプロピレン(成分C)に変更
し、成分BとしてはMFR値が30g/10分のポリプ
ロピレンを用いて、成分Cの押出機温度を第1ゾーン2
20℃、第2〜4ゾーン250℃、成分Bの押出機温度
を第1ゾーン220℃、第2〜4ゾーン250℃、紡糸
温度250℃に設定し、紡糸速度500m/分で並列複
合紡糸した。このときノズル下は繊維の曲がりも大きく
不安定な状態であった。さらに、得られた未延伸糸を延
伸倍率3.38倍、延伸温度75℃、熱セット温度80
℃で延伸し巻き取った。その延伸糸を解舒して捲縮発現
性を測定した。捲縮状態を顕微鏡写真によって数値化し
表4に示した。かなり大まかな捲縮状態であった。
【0041】[比較例2]比較例1で得られた未延伸糸
を延伸速度450m/分、延伸倍率3.88倍・延伸温
度75度、熱セット80℃、緩和熱処理温度150℃、
最大緩和率18.7%で、押込み型同時延伸ホットエア
ー加工を行い、400d/60フィラメントfの円形断
面複合長繊維の捲縮糸を得た。得られた繊維は大まかな
捲縮状態にあった。得られた捲縮糸の糸物性を表2、捲
縮特性を表3に示した。
【0042】[比較例3]比較例2と同条件で緩和熱処
理温度を175℃に変更したところ、最大緩和率が2
3.1%となり、捲縮状態も向上したが、実施例2より
は大まかな捲縮状態であった。得られた捲縮糸の糸物性
を表2、捲縮特性を表3に示した。
【0043】[比較例4]実施例1で用いたプロピレン
を主成分とするエチレン含有量5重量%、MFR10g
/10分のプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂
を用いて、オレフィン系ゴムと有機系造核剤を除いたほ
かは実施例1と同様の方法で、MFR10g/10分の
ペレットを得た(成分D)。
【0044】この成分DとMFR値が30g/10分の
ポリプロピレン(成分B)とを用いて、成分Dの押出機
温度を第1ゾーン220℃、第2〜4ゾーン250℃、
成分Bの押出機温度を第1ゾーン220℃、第2〜4ゾ
ーン250℃、紡糸温度250℃に設定し、紡糸速度5
00m/分で並列複合紡糸した。このときノズル下は繊
維の曲がりも無く安定した状態であった。さらに、得ら
れた未延伸糸を延伸倍率3.38倍、延伸温度75℃、
熱セット温度80℃で延伸し巻き取った。その延伸糸を
解舒して捲縮発現性を測定したが、捲縮の無い状態であ
った。
【0045】[比較例5]比較例4で得られた未延伸糸
を、比較例3と同条件で、最大緩和率30.0%で、押
込み型同時延伸ホットエアー加工を行い、400d/6
0(f)の捲縮糸を得たが、捲縮状態は大まかな捲縮で
あった。この捲縮糸は温度130℃、10分の熱処理で
細かな捲縮を発現した。
【0046】参考のために、実施例1で用いた原料ポリ
マーと比較例1で用いた原料ポリマーについて、2成分
のポリマーの糸長差を表4に示す。これから明らかなよ
うに、本発明で用いるポリマーの組み合わせは、大きな
糸長差を生じさせるものである。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【発明の効果】本発明によるポリプロピレン系高捲縮性
複合長繊維は、通常のポリプロピレンフィラメント糸と
同等の強度及び伸度を有し、産業資材分野での素材とし
て好適であり、織編物素材として用いられ、また、製糸
後熱処理を施さなくても、通常のポリプロピレン仮撚加
工糸より高い捲縮特性、嵩高性を有することから、スト
レッチバック性に優れた編物、ボリューム感、高反発性
のあるカーペット等に用いることが出来るなど、産業資
材分野をはじめ各分野での素材として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮崎 忠夫 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内 (72)発明者 西谷 吉憲 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレンを主成分とし、エチレン及び
    炭素数4〜12から選ばれる少なくとも1種のα−オレ
    フィン含有量が3〜8%のプロピレン−α−オレフィン
    ランダム共重合体100重量部に対し、1.0重量部以
    下の造核剤と、40重量部以下のゴム成分との少なくと
    も何れか一方を含有する成分A、及びポリプロピレン樹
    脂である成分Bが複合構造に配されたことを特徴とする
    ポリプロピレン高捲縮性複合長繊維。
  2. 【請求項2】 成分Aと成分Bの複合比(重量比)が7
    5/25〜25/75の範囲にあり、成分Aと成分Bが
    並列型に配された請求項1記載のポリプロピレン高捲縮
    性複合長繊維。
  3. 【請求項3】 成分Aに使用されるプロピレン−α−オ
    レフィンランダム共重合体のα−オレフィンが、エチレ
    ンである請求項1又は請求項2記載のポリプロピレン系
    高捲縮性複合長繊維。
  4. 【請求項4】 成分Aに使用される造核剤が無機系造核
    剤及び/又は有機系造核剤である請求項1〜3何れか1
    項に記載のポリプロピレン系高捲縮性複合長繊維。
  5. 【請求項5】 ゴム成分がオレフィン系ゴム及び/又は
    スチレン系ゴムである請求項1〜3の何れか1項に記載
    のポリプロピレン系高捲縮性複合長繊維。
  6. 【請求項6】 プロピレンを主成分とし、エチレン及び
    炭素数4〜12から選ばれる少なくとも1種のα−オレ
    フィン含有量が3〜8%のプロピレン−α−オレフィン
    ランダム共重合体100重量部に対し、1.0重量部以
    下の造核剤と、40重量部以下のゴム成分との少なくと
    も何れか一方を含有する成分A、及びポリプロピレン樹
    脂である成分Bを複合構造に配して溶融紡糸し、得られ
    た未延伸糸を熱延伸することを特徴とするポリプロピレ
    ン系高捲縮性複合長繊維の製造方法。
  7. 【請求項7】 成分AのMFR値が5〜50g/10分
    であり、成分BのMFR値が10〜50g/10分であ
    る請求項6記載のポリプロピレン系高捲縮性複合長繊維
    の製造方法。
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