JPH11147717A - 酸化チタン被膜の製造方法 - Google Patents

酸化チタン被膜の製造方法

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JPH11147717A
JPH11147717A JP9310244A JP31024497A JPH11147717A JP H11147717 A JPH11147717 A JP H11147717A JP 9310244 A JP9310244 A JP 9310244A JP 31024497 A JP31024497 A JP 31024497A JP H11147717 A JPH11147717 A JP H11147717A
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titanium oxide
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aluminum chloride
substrate
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Koji Kishimoto
広次 岸本
孝一 ▲高▼濱
Koichi Takahama
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Panasonic Electric Works Co Ltd
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Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アナターゼ型酸化チタンの含有量の多い酸化
チタン被膜を析出させることができるようにする。 【解決手段】 チタンフッ化アンモニウムを含む水溶液
中に(NH4 2 TiF 6 +2H2 O⇔TiO2 +4H
F+2NH 4Fの平衡を右に進める添加剤を添加して、
酸化チタンの過飽和溶液とした処理液を調製する。そし
てこの処理液と基材とを接触させて、基材の表面に酸化
チタン被膜を形成させる。この際に、平行を右に進める
添加剤として塩化アルミニウムとアンモニアを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液相での析出現象
を利用して酸化チタン含有溶液と基材とを接触させて基
材の表面に酸化チタン被膜を形成する酸化チタン被膜の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸化チタン被膜は、光触媒やアルカリ溶
出防止膜などに利用されているが、上記被膜を基材の表
面に形成する方法として、従来より、気相法ではCVD
法やPVD法などが、液相法ではゾル−ゲル法によるデ
ィップコーティング法やスピンコーティング法などが知
られている。
【0003】しかしCVD法やPVD法には、高価な装
置を用いなければならず、また真空中のバッチ処理であ
るため、プロセスコストが高くなるという問題があり、
さらにサイズが小さく比較的凹凸の少ない基材にしか適
用できない、等の問題があった。またゾル−ゲル法によ
るディップコーティング法やスピンコーティング法では
平板状の基材にしか被膜を形成することができず、しか
も有機溶媒を用いるために火災や爆発の危険を伴い、さ
らに被膜に有機物が大量に残存するので、これを除去す
るために高温での処理が必要になるという問題があっ
た。
【0004】一方、チタンフッ化アンモニウムあるいは
チタンフッ化水素酸水溶液にほう酸あるいはアルミニウ
ムを添加して調製した処理液にガラス基材を浸漬し、ガ
ラス基材の表面に酸化チタン被膜を析出させる液相析出
法が、特開昭59−141441号公報、特開平1−9
3443号公報、特開平3−285821号公報、特開
平3−285822号公報、特開平4−26516号公
報、特公平7−35268号公報等で知られている。こ
れらの方法は上記の各方法のような問題がなく、酸化チ
タン被膜を基材の表面に形成する方法として比較的優れ
ているといえる。
【0005】さらに本発明者等は、チタンフッ化アンモ
ニウムにほう酸を添加する液相析出法によって、熱処理
なしでアナターゼ型(anatase−type)酸化
チタンと無定形(非晶質)の酸化チタンの混合物が得ら
れることを既に報告している(「第15回光がかかわる
触媒化学シンポジウム」(’96東京工業大学)講演予
稿集P16)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、チタンフッ化
アンモニウムにほう酸を添加する液相析出法では、上記
の混合物中において結晶性のアナターゼ型酸化チタンの
含有量は38%程度であり、実際の使用に際しては、結
晶の含有量を増加させるためにこの混合物を熱処理して
用いることが必要である。すなわち、酸化チタン被膜や
酸化チタン粒子を光触媒として用いる場合、非晶質の酸
化チタンには光触媒活性がないかあるいは非常に小さい
ため、チタンフッ化アンモニウムにほう酸を添加する液
相析出法で作製した酸化チタンにはアナターゼ型酸化チ
タンを含んではいるものの、300℃〜500℃での熱
処理を行なって、結晶性のアナターゼ型酸化チタンの含
有量を高める必要があるのである。
【0007】このようにアナターゼ型酸化チタンの含有
量が小さい場合には熱処理が必要であるが、アナターゼ
型酸化チタンの含有量の多い酸化チタンを析出すること
ができれば、熱処理が不要になって利用できる範囲が広
がる。例えば酸化チタン被膜を光触媒汚れ防止膜として
用いる場合、アナターゼ型酸化チタンの含有量が多いと
光触媒活性が高いので熱処理をしなくてもより汚れの付
着量が多い場所への応用展開が可能になるものである。
また、熱処理して用いる場合においても、熱処理前のア
ナターゼ型酸化チタンの含有量が多いものでは、より低
い温度での熱処理でより高い結晶性を持つ酸化チタンを
作製することができるものである。
【0008】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、アナターゼ型酸化チタンの含有量の多い酸化チタ
ン被膜を析出させることができる酸化チタン被膜の製造
方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る酸化チタン
被膜の製造方法は、チタンフッ化アンモニウムを含む水
溶液中に(NH4 2 TiF6 +2H2 O⇔TiO2
4HF+2NH 4Fの平衡を右に進める添加剤を添加し
て、酸化チタンの過飽和溶液とした処理液を調製し、こ
の処理液と基材とを接触させて、基材の表面に酸化チタ
ン被膜を形成させるにあたって、平行を右に進める添加
剤として塩化アルミニウム及びアンモニアを用いること
を特徴とするものである。
【0010】また請求項2の発明は、塩化アルミニウム
の処理液中の濃度を、0.1mol/L〜0.2mol
/Lに設定することを特徴とするものである。また請求
項3の発明は、アンモニアの処理液中の濃度を、塩化ア
ルミニウムの濃度の1.0倍〜2.0倍に設定すること
を特徴とするものである。尚、反応式中の「⇔」は平衡
反応を示す符号であり、また「mol/L」は「モル/
リットル」を意味する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。本発明において、処理液中のチタンフッ化アンモ
ニウム((NH4 2 TiF 6 )の濃度は、0.5mo
l/L未満であることが望ましい。これよりも高い濃度
に処理液の濃度を設定しようとすると、後述の添加剤と
混合する前のチタンフッ化アンモニウムの濃度を0.5
mol/リットル以上に設定しなければならず、常温で
この濃度にチタンフッ化アンモニウムを水に溶解させる
には非常に時間がかかるかまたは溶解しないので、作業
上好ましくない。フッ化チタンアンモニウムの濃度の下
限は特に設定されないが、十分な製膜速度を得るために
0.08mol/Lより高いことが好ましい。
【0012】そして本発明では、処理液中で(NH4
2 TiF6 +2H2 O⇔TiO2 +4HF+2NH 4
の平衡を右に進める添加剤として、塩化アルミニウムを
用いるものであり、チタンフッ化アンモニウム水溶液に
塩化アルミニウムを添加して処理液を調製する。この塩
化アルミニウムの処理液への添加量が少な過ぎると、酸
化チタンが基材の表面に析出しないか、析出するのに時
間がかかって作業上好ましくない。逆に塩化アルミニウ
ムの処理液への添加量が多過ぎると、得られる酸化チタ
ン中にアルミニウムや塩素などの不純物が多く取り込ま
れる恐れがあり、また却って成膜速度の低下を招く恐れ
があって好ましくない。従って添加剤として塩化アルミ
ニウムを用いる場合、処理液中の塩化アルミニウムの濃
度が0.02mol/L〜0.2mol/Lとなるよう
に塩化アルミニウム水溶液をチタンフッ化アンモニウム
水溶液に添加するのが好ましい。処理液中の塩化アルミ
ニウムのより好ましい濃度は0.1mol/L〜0.2
mol/Lである。
【0013】しかし、上記のように塩化アルミニウムを
単独でチタンフッ化アンモニウム水溶液に添加して処理
液を調製すると、処理液のpHが1以下になり、上記の
平衡反応を右に進めることができない。そこで本発明で
は、平衡反応を右に進める添加剤として塩化アルミニウ
ムの他にアンモニアを併用することによって、処理液の
pHが3以上になるようにpH調整を行なうようにして
いるものである。pH調整することができるものであれ
ば何でもよいが、得られる酸化チタン中に取り込まれて
も簡単に除去できる点から、本発明ではアンモニアを用
いるようにしている。アンモニアの好ましい添加量は、
処理液中の塩化アルミニウムの濃度に大きく影響される
ものであり、処理液中の塩化アルミニウムの濃度の1.
0〜2.0倍の濃度にアンモニアの濃度がなるように、
つまり(アンモニア濃度)/(塩化アルミニウム濃度)
=1.0〜2.0になるように、設定するのが好まし
い。(アンモニア濃度)/(塩化アルミニウム濃度)が
2.0を超える場合には、得られる酸化チタン中にアル
ミニウム等の不純物が多く取り込まれる恐れがあるので
好ましくない。逆に(アンモニア濃度)/(塩化アルミ
ニウム濃度)が1.0未満の場合には、酸化チタンが析
出しないか、析出するのに時間がかかって作業上好まし
くない。
【0014】上記のように調製される処理液の温度は2
5℃以上、100℃未満であることが好ましい。処理液
の温度が25℃未満であると、所望の膜厚の酸化チタン
被膜や所望の量の酸化チタン粉末を得るまでに時間がか
かり、生産性が低くなる恐れがある。逆に処理液の温度
が100℃以上になると、処理液が沸騰してしまい、均
一な酸化チタン被膜の析出が妨げられる恐れがある。
【0015】一方、本発明において用いる基材として
は、上記処理液と反応しないものあるいは反応しにくい
ものであればよく、例えばガラスを用いることができ
る。また基材の形状は処理液と接触できるものであれば
よく、糸状、板状、壺状のもの、あるいは表面に凹凸の
あるものなど任意の形状のものを用いることができる。
そして上記の処理液に基材を所定時間浸漬することによ
って、基材の表面に酸化チタンを析出させることができ
るものであり、アナターゼ型酸化チタンの含有率が高い
酸化チタンを得ることができる。添加剤として塩化アル
ミニウムとアンモニアを用いることによってアナターゼ
型酸化チタンの含有率が高い酸化チタンを得ることがで
きる理由は明確ではないが、アルミニウムイオンによる
強いフッ素イオンの捕捉力が原因となっていることや、
酸化チタンが析出する前の反応中間体の配位構造が変化
することによってその構造がアナターゼ型酸化チタンの
構造、つまり6配位のチタンがらせん状に連なる形に近
いものになっていることなどが考えられる。このよう
に、結晶性であるアナターゼ型酸化チタンの含有率が高
い酸化チタンを得ることができるので、熱処理なしで
も、例えばこの酸化チタンを光触媒汚れ防止膜として用
いるにあたって高い光触媒活性を得ることができ、汚れ
の付着量が多い場所への応用展開が可能になるものであ
る。またこれを熱処理して用いるにあたっても、より低
い温度での熱処理でより高い結晶性を持つ酸化チタンを
作製することができるものである。
【0016】尚、上記の反応速度及び析出する酸化チタ
ンの性状や膜厚は、チタンフッ化アンモニウム、塩化ア
ルミニウム、及びアンモニアの各濃度及び反応温度によ
って影響を受けるものであり、各条件を上記の範囲内に
設定することが好ましい。
【0017】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 (実施例1)濃度が0.5mol/Lの塩化アルミニウ
ム水溶液を40mL(ミリリットル)入れた容器を5本
用意した。この塩化アルミニウム水溶液を攪拌しなが
ら、濃度が1.0mol/Lのアンモニア水溶液をそれ
ぞれの容器に15mL、20mL、25mL、30m
L、35mLを徐々に滴下した。次に、このアンモニア
を含有する塩化アルミニウム水溶液をそれぞれ75mL
となるように水で希釈し、これに濃度が0.4mol/
Lのチタンフッ化アンモニウム水溶液25mLを加えて
混合し、約100mLの処理液を5種類調製した。
【0018】この5種類の処理液は、チタンフッ化アン
モニウムの濃度が0.1mol/L、塩化アルミニウム
の濃度が0.2mol/Lであり、アンモニアの濃度は
それぞれ0.15mol/L、0.20mol/L、
0.25mol/L、0.30mol/L、0.35m
ol/Lであって、(アンモニア濃度)/(塩化アルミ
ニウム濃度)の値はそれぞれ0.75、1.0、1.2
5、1.5、1.75であった。
【0019】一方、縦の長さが76mm、横の長さが2
6mm、厚さが1.1mmのソーダライムガラスを十分
に洗浄、乾燥し、試料の基材とした。そして、上記の5
種類の処理液を40℃で保持しながら、各処理液にこの
基材を縦長の姿勢にして浸漬した。この際、基材の下部
50mmまでの部分まで浸漬し、上部26mmの部分は
処理液に接触しないようにして保持した。
【0020】3時間経過後は総ての基材に被膜の形成は
観察されなかった。24時間経過後に基材を引き上げて
水で洗浄して乾燥すると、(アンモニア濃度)/(塩化
アルミニウム濃度)の値が0.75の処理液に浸漬した
基材には被膜は形成されていなかったが、(アンモニア
濃度)/(塩化アルミニウム濃度)の値が1.0、1.
25、1.5、1.75の処理液に浸漬した基材の表面
には白色の酸化チタン被膜が形成されていた。得られた
酸化チタンをX線回折測定し、そのチャートの25.3
°のピークの面積強度によって計算したところ、各酸化
チタンのアナターゼ型酸化チタンの含有量はそれぞれ4
6%、46%、40%、44%であった(表1参照)。
【0021】(実施例2)濃度が0.5mol/Lの塩
化アルミニウム水溶液を20mL入れた容器を5本用意
した。この塩化アルミニウム水溶液を攪拌しながら、濃
度が1.0mol/Lのアンモニア水溶液をそれぞれの
容器に10mL、15mL、20mL、25mL、30
mLを徐々に滴下した。アンモニア水溶液を30mL滴
下した液からは沈澱が生じ、攪拌により溶解しなかった
ので、この液は以後の検討には用いなかった。次に、こ
のアンモニアを含有する塩化アルミニウム水溶液をそれ
ぞれ75mLとなるように水で希釈し、これに濃度が
0.4mol/Lのチタンフッ化アンモニウム水溶液2
5mLを加えて混合し、約100mLの処理液を5種類
調製した。
【0022】この5種類の処理液は、チタンフッ化アン
モニウムの濃度が0.1mol/L、塩化アルミニウム
の濃度が0.1mol/Lであり、アンモニアの濃度は
それぞれ0.10mol/L、0.15mol/L、
0.20mol/L、0.25mol/Lであって、
(アンモニア濃度)/(塩化アルミニウム濃度)の値は
それぞれ1.0、1.5、2.0、2.5であった。
【0023】そして、上記の5種類の処理液を40℃で
保持しながら、各処理液に実施例1と同じ基材を縦長の
姿勢にして浸漬した。この際、基材の下部50mmまで
の部分まで浸漬し、上部26mmの部分は処理液に接触
しないようにして保持した。30分経過後は総ての基材
に被膜の形成は観察されなかった。3時間経過後に基材
を引き上げて水で洗浄して乾燥すると、(アンモニア濃
度)/(塩化アルミニウム濃度)の値が1.0、1.5
の処理液に浸漬した基材の表面には白色半透明の酸化チ
タン被膜が形成されていた。また(アンモニア濃度)/
(塩化アルミニウム濃度)の値が2.0の処理液に浸漬
した基材の表面には青色の干渉色を示す酸化チタン被膜
が形成されていた。また(アンモニア濃度)/(塩化ア
ルミニウム濃度)の値が2.5の処理液に浸漬した基材
の表面にはアルミニウム/チタン複合酸化物の被膜が形
成されていた。得られた酸化チタンを実施例1と同様に
して測定したところ、各酸化チタンのアナターゼ型酸化
チタンの含有量はそれぞれ42%、45%、44%であ
った(表1参照、アルミニウム/チタン複合酸化物につ
いては測定せず)。
【0024】(実施例3)濃度が0.5mol/Lの塩
化アルミニウム水溶液を10mL入れた容器を5本用意
した。この塩化アルミニウム水溶液を攪拌しながら、濃
度が1.0mol/Lのアンモニア水溶液をそれぞれの
容器に5mL、7.5mL、10mL、12.5mL、
15mLを徐々に滴下した。アンモニア水溶液を15m
L滴下した液からは沈澱が生じ、攪拌により溶解しなか
ったので、この液は以後の検討には用いなかった。次
に、このアンモニアを含有する塩化アルミニウム水溶液
をそれぞれ75mLとなるように水で希釈し、これに濃
度が0.4mol/Lのチタンフッ化アンモニウム水溶
液25mLを加えて混合し、約100mLの処理液を5
種類調製した。
【0025】この5種類の処理液は、チタンフッ化アン
モニウムの濃度が0.1mol/L、塩化アルミニウム
の濃度が0.05mol/Lであり、アンモニアの濃度
はそれぞれ0.05mol/L、0.075mol/
L、0.10mol/L、0.125mol/Lであっ
て、(アンモニア濃度)/(塩化アルミニウム濃度)の
値はそれぞれ1.0、1.5、2.0、2.5であっ
た。
【0026】そして、上記の5種類の処理液を40℃で
保持しながら、各処理液に実施例1と同じ基材を縦長の
姿勢にして浸漬した。この際、基材の下部50mmまで
の部分まで浸漬し、上部26mmの部分は処理液に接触
しないようにして保持した。30分経過後は(アンモニ
ア濃度)/(塩化アルミニウム濃度)の値が2.0、
2.5の処理液に浸漬した基材の表面に青色の干渉色を
示す酸化チタン被膜が形成されていた。それ以外の基材
には被膜の形成は観察されなかった。1時間経過後は、
(アンモニア濃度)/(塩化アルミニウム濃度)の値が
1.5の処理液に浸漬した基材の表面に青色の干渉色を
示す酸化チタン被膜が形成されていた。また3時間経過
後は、(アンモニア濃度)/(塩化アルミニウム濃度)
の値が1.0の処理液に浸漬した基材の表面に無色半透
明の酸化チタン被膜が形成されていた。得られた酸化チ
タンを実施例1と同様にして測定したところ、各酸化チ
タンのアナターゼ型酸化チタンの含有量はそれぞれ48
%、47%、43%、42%であった(表1参照)。
【0027】(実施例4)濃度が0.5mol/Lの塩
化アルミニウム水溶液を4mL入れた容器を5本用意し
た。この塩化アルミニウム水溶液を攪拌しながら、濃度
が1.0mol/Lのアンモニア水溶液をそれぞれの容
器に2mL、3mL、4mL、5mL、6mLを徐々に
滴下した。アンモニア水溶液を6mL滴下した液からは
沈澱が生じ、攪拌により溶解しなかったので、この液は
以後の検討には用いなかった。次に、このアンモニアを
含有する塩化アルミニウム水溶液をそれぞれ75mLと
なるように水で希釈し、これに濃度が0.4mol/L
のチタンフッ化アンモニウム水溶液25mLを加えて混
合し、約100mLの処理液を5種類調製した。
【0028】この5種類の処理液は、チタンフッ化アン
モニウムの濃度が0.1mol/L、塩化アルミニウム
の濃度が0.02mol/Lであり、アンモニアの濃度
はそれぞれ0.02mol/L、0.03mol/L、
0.04mol/L、0.05mol/Lであって、
(アンモニア濃度)/(塩化アルミニウム濃度)の値は
それぞれ1.0、1.5、2.0、2.5であった。
【0029】そして、上記の5種類の処理液を40℃で
保持しながら、各処理液に実施例1と同じ基材を縦長の
姿勢にして浸漬した。この際、基材の下部50mmまで
の部分まで浸漬し、上部26mmの部分は処理液に接触
しないようにして保持した。3時間経過後は総ての基材
に被膜の形成は観察されなかった。24時間経過後に基
材を引き上げて水で洗浄して乾燥すると、(アンモニア
濃度)/(塩化アルミニウム濃度)の値が1.0の処理
液に浸漬した基材には被膜は形成されていなかったが、
(アンモニア濃度)/(塩化アルミニウム濃度)の値が
1.5、2.0、2.5の処理液に浸漬した基材の表面
には白色の酸化チタン被膜が形成されていた。得られた
酸化チタンを実施例1と同様にして測定したところ、各
酸化チタンのアナターゼ型酸化チタンの含有量はそれぞ
れ42%、43%、40%であった(表1参照)。
【0030】(比較例1)濃度が0.4mol/Lのチ
タンフッ化アンモニウム水溶液を25m/L用意した。
このチタンフッ化アンモニウム水溶液に水を加えて60
m/Lとなるように希釈し、濃度が0.5mol/lの
ほう酸水溶液4m/Lを混合し、約100mLの処理液
を調製した。この処理液中のチタンフッ化アンモニウム
の濃度は0.1mol/Lであり、ほう酸の濃度は0.
2mol/Lであった。
【0031】そして、この処理液を40℃で保持しなが
ら、実施例1と同じ基材を縦長の姿勢にして浸漬した。
この際、基材の下部50mmまでの部分まで浸漬し、上
部26mmの部分は処理液に接触しないようにして保持
した。60分経過後、基材を引き上げて水で洗浄して乾
燥したところ、基材の表面には白色の酸化チタン被膜が
形成されていた。得られた酸化チタンを実施例1と同様
にして測定したところ、アナターゼ型酸化チタンの含有
量は38%であった。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】上記のように本発明は、チタンフッ化ア
ンモニウムを含む水溶液中に(NH42 TiF6 +2
2 O⇔TiO2 +4HF+2NH 4Fの平衡を右に進
める添加剤を添加して、酸化チタンの過飽和溶液とした
処理液を調製し、この処理液と基材とを接触させて、基
材の表面に酸化チタン被膜を形成させるにあたって、平
行を右に進める添加剤として塩化アルミニウムとアンモ
ニアを用いるようにしたので、塩化アルミニウムとアン
モニアの作用で、アナターゼ型酸化チタンの含有量の多
い酸化チタン被膜を析出させることができるものであ
る。
【0034】また請求項2の発明は、塩化アルミニウム
の処理液中の濃度を、0.1mol/L〜0.2mol
/Lに設定するようにしたので、酸化チタンの析出速度
が遅くなったり、酸化チタン中に不純物が多く取り込ま
れたりする恐れなく、酸化チタン被膜を析出させること
ができるものである。また請求項3の発明は、アンモニ
アの処理液中の濃度を、塩化アルミニウムの濃度の1.
0倍〜2.0倍に設定するようにしたので、酸化チタン
の析出速度が遅くなったり、酸化チタン中に不純物が多
く取り込まれたりする恐れなく、酸化チタン被膜を析出
させることができるものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタンフッ化アンモニウムを含む水溶液
    中に(NH4 2 TiF6 +2H2 O⇔TiO2 +4H
    F+2NH 4Fの平衡を右に進める添加剤を添加して、
    酸化チタンの過飽和溶液とした処理液を調製し、この処
    理液と基材とを接触させて、基材の表面に酸化チタン被
    膜を形成させるにあたって、平行を右に進める添加剤と
    して塩化アルミニウムとアンモニアを用いることを特徴
    とする酸化チタン被膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 塩化アルミニウムの処理液中の濃度を、
    0.1mol/L〜0.2mol/Lに設定することを
    特徴とする請求項1に記載の酸化チタン被膜の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 アンモニアの処理液中の濃度を、塩化ア
    ルミニウムの濃度の1.0倍〜2.0倍に設定すること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の酸化チタン被膜の
    製造方法。
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