JP2000272921A - 酸化チタン粉末の製造方法及び酸化チタン被膜の製造方法 - Google Patents

酸化チタン粉末の製造方法及び酸化チタン被膜の製造方法

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JP2000272921A
JP2000272921A JP8347799A JP8347799A JP2000272921A JP 2000272921 A JP2000272921 A JP 2000272921A JP 8347799 A JP8347799 A JP 8347799A JP 8347799 A JP8347799 A JP 8347799A JP 2000272921 A JP2000272921 A JP 2000272921A
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titanium
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oxide film
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Koji Kishimoto
広次 岸本
孝一 ▲高▼濱
Koichi Takahama
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Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 後処理として焼成処理等の熱処理を行わなく
ても結晶性の高い酸化チタンを形成することができる酸
化チタン粉末の製造方法を提供する。 【解決手段】 チタンフルオロ錯体を含む水溶液中に下
記反応式(1)に示す反応の平衡を右に進める添加剤を
添加し、酸化チタンの過飽和液とした処理液を調製す
る。耐熱密閉容器内で密閉してこの処理液から酸化チタ
ンを析出させる。 TiF6 2-+2H2O⇔TiO2+4HF+2F- (1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化チタン粉末及
び酸化チタン被膜の製造方法に関し、詳しくは液相での
析出現象を利用して酸化チタン粉末又は酸化チタン被膜
を形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、チタンフッ化水素酸にほう酸ある
いは塩化アルミニウムを添加した溶液にガラス基材を浸
漬して、基材表面にTiO2膜を形成する方法(例えば
特開昭59−141441号公報や、特開平1−934
43号公報に開示)や、チタンフッ化アンモニウムを含
む水溶液を用いたTiO2膜の形成方法(例えば特開平
3−285822号公報、特開平3−285821号公
報、特開平4−130017号公報等に開示)が知られ
ている。
【0003】また同様の出発物質から光触媒活性を持つ
酸化チタン粉体や被膜の形成方法(例えば特公平10−
284519号公報に開示)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記析出法によ
って得られる酸化チタンは熱処理を行わなければ非晶質
であるか、結晶性が比較的低く、光触媒活性が不充分で
あり、酸化チタン形成後、100〜700℃程度の温度
で焼成して結晶性を高めて光触媒活性を向上させなけれ
ばならないものであった。そのため、処理コストが嵩
み、また酸化チタンを形成する基材が熱により劣化する
という問題もあった。
【0005】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、後処理として焼成処理等の熱処理を行わなくても
結晶性の高い酸化チタンを形成することができ、処理コ
ストの削減や、酸化チタンを形成する基材の熱による劣
化を防ぐことができる酸化チタン粉末及び酸化チタン被
膜の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
酸化チタン粉末の製造方法は、チタンフルオロ錯体を含
む水溶液中に下記反応式(1)に示す反応の平衡を右に
進める添加剤を添加して、酸化チタンの過飽和液とした
処理液を調製し、耐圧密閉容器内で密閉してこの処理液
から酸化チタンを析出させることを特徴とするものであ
る。 TiF6 2-+2H2O⇔TiO2+4HF+2F- (1) また本発明の請求項2に係る酸化チタン粉末の製造方法
は、請求項1の構成に加えて、チタンフルオロ錯体とし
てチタンフッ化アンモニウムを用いることを特徴とする
ものである。
【0007】また本発明の請求項3に係る酸化チタン粉
末の製造方法は、請求項1又は2の構成に加えて、処理
液中のチタンフルオロ錯体の濃度を処理液全量に対して
0.01〜0.2mol/リットルとし、上記反応式
(1)の平衡を右に進める添加剤の配合量を処理液全量
に対して0.05〜0.5mol/リットルとすること
を特徴とするものである。
【0008】また本発明の請求項4に係る酸化チタン被
膜の製造方法は、チタンフルオロ錯体を含む水溶液中に
下記反応式(1)に示す反応の平衡を右に進める添加剤
を添加して、酸化チタンの過飽和液とした処理液を調製
し、耐圧密閉容器内で密閉してこの処理液を基材と接触
させて基材の表面に酸化チタン被膜を形成することを特
徴とするものである。 TiF6 2-+2H2O⇔TiO2+4HF+2F- (1) また本発明の請求項5に係る酸化チタン被膜の製造方法
は、請求項4の構成に加えて、チタンフルオロ錯体とし
てチタンフッ化アンモニウムを用いることを特徴とする
ものである。
【0009】また本発明の請求項6に係る酸化チタン被
膜の製造方法は、請求項4又は5の構成に加えて、処理
液中のチタンフルオロ錯体の濃度を処理液全量に対して
0.01〜0.2mol/リットルとし、上記反応式
(1)の平衡を右に進める添加剤の配合量を処理液全量
に対して0.05〜0.5mol/リットルとすること
を特徴とするものである。
【0010】また本発明の請求項7に係る酸化チタン被
膜の製造方法は、請求項4乃至6のいずれかの方法に加
えて、基材の表面に厚み100nm〜2μmの酸化チタ
ン被膜を形成することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0012】本発明に係る酸化チタン粉末あるいは酸化
チタン被膜の製造方法においては、チタンフルオロ錯体
を含む水溶液中の下記反応式(1)の平衡を右に進める
添加剤を添加して処理液を調製し、過飽和となったこの
処理液から酸化チタンを析出させるものである。ここで
下記反応式(1)中の⇔は、反応が可逆的であることを
示す。 TiF6 2-+2H2O⇔TiO2+4HF+2F- (1) 更に詳しく述べると、反応開始時における処理液中のチ
タンフルオロ錯体の濃度は、0.01〜0.2mol/
リットルとすることが、良好な反応速度で酸化チタンの
みを析出させることができる点で好ましい。チタンフル
オロ錯体の濃度がこの範囲に満たないと、反応速度が遅
く、酸化チタンの析出速度が遅くなって、工業的な利用
に供することが困難となり、またこの範囲を超えると、
処理液中の反応によりNH4TiOF3とTiOF2の混
合物が析出する傾向が発生する。ここでチタンフルオロ
錯体を供給する物質としては、チタンフッ化アンモニウ
ムを用いることが、酸化チタンの析出速度が大きい点、
及び酸化チタン中に不純物として取り込まれるNH4 +
熱処理等で容易に除去できる点で好ましいが、これに限
られるものではない。チタンフルオロ錯体を供給する物
質としてチタンフッ化アンモニウムを用いる場合は、処
理液中の上記反応式(1)で示される反応は、下記反応
式(2)で表される。ここで下記反応式(2)中の⇔
は、反応が可逆的であることを示す。 (NH42TiF6+2H2O⇔TiO2+4HF+2NH4F (2) また処理液中の、上記反応式(1)の平衡を右に進める
添加剤の、反応開始時の濃度は、処理液全量に対して
0.05〜0.5mol/リットルとすることが、良好
な反応速度で均一な膜厚の酸化チタンを得ることができ
る点で好ましい。添加剤の濃度がこの範囲に満たない
と、反応速度が遅く、酸化チタンの析出速度が遅くなる
か、酸化チタンが析出しなくなって、工業的な利用に供
することが困難となる。また添加剤の濃度がこの範囲を
超える溶液は工業上、調製することが困難であるか、ま
たは調製に非常に時間がかかるため、作業効率が悪く、
コストの上昇にもつながるものであり、また酸化チタン
被膜を作製する場合は得られる酸化チタン被膜の膜厚が
不均一になるおそれがある。ここで上記反応式(1)の
平衡を右に進める添加剤として用いる物質は、ほう酸、
アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられ、特にほ
う酸を用いることが製造コストを低減することができ、
また均一な膜厚の酸化チタン被膜を得ることができる点
で好ましいが、これらに限られるものではなく、フッ素
と錯体を形成して上記反応式(1)の平衡を右に進めて
処理液中の酸化チタンを過飽和状態とすることができ、
かつ形成されたフッ素との錯体が処理液中に安定して存
在するものであればよいものである。
【0013】酸化チタン粉末を製造するにあたっては、
上記のように調製される処理液を、耐圧密閉容器内に入
れ、密閉状態で適宜の時間放置することにより、酸化チ
タン粉末を析出させる。ここで耐圧密閉容器とは、使用
する温度範囲において内部のガスを密閉でき、かつこの
温度範囲において容積変化がない容器であり、すなわち
内部に反応溶液を入れて密閉した際に内部の圧力を反応
溶液の蒸気圧に保つことができる容器である。この反応
後の処理液を濾過して得られる酸化チタン粉末を、充分
洗浄した後、乾燥する。この得られる酸化チタン粉末
は、後処理として焼成処理を行わなくても、結晶性が高
く、優れた光触媒活性を有するものである。この酸化チ
タンの結晶性が向上する理由は明らかではないが、耐圧
密閉容器内で反応を進行させることにより、耐圧密閉容
器内は反応温度における処理溶液の蒸気圧、すなわち常
圧よりも高い圧力となっており、その圧力がチタンフル
オロ錯体の加水分解・縮重合反応に何らかの影響を及ぼ
すものと考えられる。ここで耐圧密閉容器内における処
理液の反応温度は50〜140℃とすることが、より結
晶性が高く、充分な光触媒活性を有する酸化チタン粉末
を得ることができると共に、反応中における密閉性を容
易に維持することができる点で好ましく、反応温度が5
0℃に満たないと析出する酸化チタンの結晶性が充分で
なく、充分な光触媒活性が得られないおそれがあり、1
40℃を超えると耐圧密閉容器に要求される耐圧性能が
大きくなり、反応中の密閉性を維持することが困難とな
る場合がある。また反応後の処理液の乾燥は、室温(2
5℃)で行うことができるが、より高温で乾燥してもよ
い。
【0014】また酸化チタン被膜を形成するにあたって
は、上記のように調製される処理液を耐圧密閉容器内に
入れて密閉状態とすると共に、耐圧密閉容器内で、処理
液と、酸化チタン被膜が形成される所望の基材とを接触
させて、適宜の時間放置することにより、基材表面に酸
化チタン被膜を形成する。この反応後、酸化チタン被膜
が形成された基材表面を充分洗浄した後、乾燥する。こ
の得られる酸化チタン被膜は、後処理として焼成処理を
行わなくても、結晶性が高く、優れた光触媒活性を有す
るものである。ここで耐圧密閉容器内における処理液の
反応温度は50〜140℃とすることが、より結晶性が
高く、充分な光触媒活性を有する酸化チタン被膜を得る
ことができると共に、反応中における密閉性を容易に維
持することができる点で好ましく、反応温度が50℃に
満たないと析出する酸化チタンの結晶性が充分でなく、
充分な光触媒活性が得られないおそれがあり、140℃
を超えると耐圧密閉容器に要求される耐圧性能が大きく
なり、反応中の密閉性を維持することが困難となる場合
がある。また反応後の処理液の乾燥は、室温(25℃)
で行うことができるが、より高温で乾燥してもよい。
【0015】このようにして酸化チタン被膜を製造する
にあたって、この酸化チタン被膜の膜厚を100nm〜
2μmとすると、光触媒活性が著しく優れた酸化チタン
被膜を得ることができる。酸化チタン被膜の膜厚がこの
範囲に満たないと、酸化チタン被膜の光触媒活性が充分
に得られないおそれがあり、膜厚がこの範囲を超える
と、光触媒活性が飽和してそれ以上の触媒活性を得るこ
とができなくなると共に被膜がもろくなって強度が低下
するおそれがある。
【0016】酸化チタン被膜を形成する基材としては、
チタンフルオロ錯体を含む上記処理液と反応し難いもの
であればよく、ガラス、金属酸化物又は金属からなるも
のを好適に用いることができる。基材としてプラスチッ
クからなるものを用いる場合は、シランカップリング剤
にて基材表面を処理するなどして、基材表面に基材と酸
化チタンとの密着性を向上させる処理を施しておくこと
が好ましい。また更に好ましくは、酸化チタンの光触媒
作用による、基材であるプラスチックの分解を妨げるた
めに、基材表面にシリカ等のアンダーコートを施してお
くものである。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳述する。
【0018】下記の実施例1、2及び比較例1に示す方
法にて、酸化チタン粉末を得た。
【0019】(実施例1)チタンフッ化アンモニウム
0.4mol/リットル水溶液62.5ミリリットルと
ほう酸0.5mol/リットル水溶液100ミリリット
ルを混合し、更に水を加えて、250ミリリットルの処
理液を得た。この処理液を、内部にテフロンコートを施
したステンレス製の耐圧容器に注入してこの耐圧容器を
密閉し、120℃で3時間保ったところ、一次粒径20
〜80Åの酸化チタン粉末が析出した。この酸化チタン
粉末が析出した処理液を濾過し、得られる酸化チタン粉
末を充分に洗浄した後、室温(25℃)で乾燥した。
【0020】(比較例1)実施例1と同一条件で処理液
を調製した。この処理液を、ポリエチレン製の容器に注
入し、このポリエチレン製の容器を密閉しない状態で、
30℃で3時間保ったところ、一次粒径20〜80Åの
酸化チタン粉末が析出した。この酸化チタン粉末が析出
した処理液を濾過し、得られる酸化チタン粉末を充分に
洗浄した後、室温(25℃)で乾燥した。
【0021】上記の実施例1及び比較例1にて得られた
酸化チタン粉末を、X線回折測定装置[理学電気株式会
社製、品番:Rigaku RINT 2100]を用
い、て測定した。X線源としては銅の管球を用いた。測
定の結果、図1に示すような回折曲線が得られた。ここ
で図中の横軸は試料へのX線の入射角に2を乗じた値を
示し、縦軸は試料から反射されたX線の強度を示す。こ
の図1から明らかなように、実施例1では、比較例1の
場合よりもシャープな回折ピークが測定され、実施例1
で得られた酸化チタン粉末は、比較例1で得られた酸化
チタン粉末よりも高い結晶性を有することが確認され
た。
【0022】また上記の実施例1及び比較例1にて得ら
れた各酸化チタン粉末0.1gをそれぞれ容量300c
cの石英ガラス製透明容器に入れ、この容器内にアセト
アルデヒドを容器内の濃度が50ppmとなるように注
入した状態で容器を密封した。この容器に波長320〜
380nm、光量0.65mW/cm2のブラックライ
トを照射した。この状態で容器内のアセトアルデヒド濃
度の変化をガスクロマトグラフにて観測し、アセトアル
デヒド濃度が半減するまでに要するブラックライトの照
射時間、すなわち半減期を測定した。この結果を表1に
示す。
【0023】
【表1】
【0024】表1に示される結果から明らかなように、
実施例1では比較例1よりもアセトアルデヒドの半減期
が短縮されており、酸化チタン粉末の光触媒活性が向上
したことが確認された。
【0025】また下記の実施例2、3及び比較例2に示
す方法にて、酸化チタン粉末を得た。
【0026】(実施例2)実施例1と同一条件で処理液
を調製した。この処理液を実施例1と同一の耐圧容器に
注入すると共に耐圧容器内の処理液によく洗浄したガラ
ス基材を浸漬してこの耐圧容器を密閉し、50℃で15
時間保ったところ、ガラス基材表面に膜厚1μmの酸化
チタン被膜が形成された。この酸化チタン被膜が形成さ
れたガラス基材を充分に洗浄した後、室温(25℃)で
乾燥した。
【0027】(実施例3)実施例1と同一条件で処理液
を調製した。この処理液を実施例1と同一の耐圧容器に
注入すると共に耐圧容器内の処理液によく洗浄したガラ
ス基材を浸漬してこの耐圧容器を密閉し、50℃で1時
間保ったところ、ガラス基材表面に膜厚40nmの酸化
チタン被膜が形成された。この酸化チタン被膜が形成さ
れたガラス基材を充分に洗浄した後、室温(25℃)で
乾燥した。
【0028】(比較例2)実施例1と同一条件で処理液
を調製した。この処理液を、ポリエチレン製の容器に注
入すると共にポリエチレン製の容器内の処理液によく洗
浄したガラス基材を浸漬し、このポリエチレン製の容器
を密閉しない状態で、30℃で24時間保ったところ、
ガラス基材表面に厚み1μmの酸化チタン被膜が形成さ
れた。この酸化チタン被膜が形成されたガラス基材を充
分に洗浄した後、室温(25℃)で乾燥した。
【0029】上記の実施例2及び比較例2にて得られた
酸化チタン被膜を、X線回折測定装置[理学電気株式会
社製、品番:Rigaku RAD−rX]を用いて測
定した。X線源としては、銅の管球を用いた。測定の結
果、図2に示すような回折曲線が得られた。図中の横軸
は試料へのX線の入射角の2を乗じた値を示し、縦軸は
試料から反射されたX線の強度を示す。この図2から明
らかなように、実施例2では、比較例2の場合よりもシ
ャープな回折ピークが測定され、実施例2で得られた酸
化チタン被膜は、比較例2で得られた酸化チタン被膜よ
りも高い結晶性を有することが確認された。
【0030】また上記の実施例2、3及び比較例2にて
得られた、酸化チタン被膜が形成されたガラス基材から
5cm×5cmの寸法の試験片を切り出した。この各試
験片をそれぞれ容量300ccの石英ガラス製透明容器
に入れ、この容器内にアセトアルデヒドを容器内の濃度
が50ppmとなるように注入した状態で容器を密封し
た。この容器に波長320〜380nm光量0.65m
W/cm2のブラックライトを照射した。この状態で容
器内のアセトアルデヒド濃度の変化をガスクロマトグラ
フにより観測し、アセトアルデヒド濃度が半減するまで
に要するブラックライトの照射時間、すなわち半減期を
測定した。この結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】表2に示される結果から明らかなように、
実施例2,3は比較例2よりもアセトアルデヒドの半減
期が短縮されており、酸化チタン被膜の光触媒活性が向
上したことが確認された。また実施例2では、酸化チタ
ン被膜の厚みが100nmよりも薄い実施例3よりも光
触媒活性が更に向上したことが確認された。
【0033】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係る酸
化チタン粉末の製造方法は、チタンフルオロ錯体を含む
水溶液中に上記反応式(1)に示す反応の平衡を右に進
める添加剤を添加して、酸化チタンの過飽和液とした処
理液を調製し、耐圧密閉容器内で密閉してこの処理液か
ら酸化チタンを析出させるものであり、後処理として焼
成処理を施さなくても、結晶性が高く、優れた光触媒活
性を有する酸化チタン粉末を得ることができるものであ
る。
【0034】また本発明の請求項2に係る酸化チタン粉
末の製造方法は、請求項1の構成に加えて、チタンフル
オロ錯体としてチタンフッ化アンモニウムを用いるもの
であり、酸化チタンの析出速度を大きくすることができ
ると共に、酸化チタン中に不純物として取り込まれるN
4 +を熱処理等で容易に除去することができるものであ
る。
【0035】また本発明の請求項3に係る酸化チタン粉
末の製造方法は、請求項1又は2の構成に加えて、処理
液中のチタンフルオロ錯体の濃度を処理液全量に対して
0.01〜0.2mol/リットルとし、上記反応式
(1)の平衡を右に進める添加剤の配合量を処理液全量
に対して0.05〜0.5mol/リットルとするもの
であり、良好な反応速度で酸化チタンのみを析出させる
ことができるものである。
【0036】また本発明の請求項4に係る酸化チタン被
膜の製造方法は、チタンフルオロ錯体を含む水溶液中に
上記反応式(1)に示す反応の平衡を右に進める添加剤
を添加して、酸化チタンの過飽和液とした処理液を調製
し、耐圧密閉容器内で密閉してこの処理液を基材と接触
させて基材の表面に酸化チタン被膜を形成するものであ
り、後処理として焼成処理を施さなくても、結晶性が高
く、優れた光触媒活性を有する酸化チタン被膜を得るこ
とができるものである。
【0037】また本発明の請求項5に係る酸化チタン被
膜の製造方法は、請求項4の構成に加えて、チタンフル
オロ錯体としてチタンフッ化アンモニウムを用いるもの
であり、酸化チタンの析出速度を大きくすることができ
ると共に、酸化チタン中に不純物として取り込まれるN
4 +を熱処理等で容易に除去することができるものであ
る。
【0038】また本発明の請求項6に係る酸化チタン被
膜の製造方法は、請求項4又は5の構成に加えて、処理
液中のチタンフルオロ錯体の濃度を処理液全量に対して
0.01〜0.2mol/リットルとし、上記反応式
(1)の平衡を右に進める添加剤の配合量を処理液全量
に対して0.05〜0.5mol/リットルとするもの
であり、良好な反応速度で酸化チタンのみを析出させる
ことができ、しかも均一な膜厚の酸化チタン被膜を得る
ことができるものである。
【0039】また本発明の請求項7に係る酸化チタン被
膜の製造方法は、請求項4乃至6のいずれかの方法に加
えて、基材の表面に厚み100nm〜2μmの酸化チタ
ン被膜を形成するものであり、光触媒活性が更に優れた
酸化チタン被膜を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、2及び比較例1で得られた酸化チタ
ン粉末のX線回折測定により測定された回折曲線を示す
図である。
【図2】実施例3〜5及び比較例2で得られた酸化チタ
ン被膜のX線回折測定により測定された回折曲線を示す
図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタンフルオロ錯体を含む水溶液中に下
    記反応式(1)に示す反応の平衡を右に進める添加剤を
    添加して、酸化チタンの過飽和液とした処理液を調製
    し、耐圧密閉容器内で密閉してこの処理液から酸化チタ
    ンを析出させることを特徴とする酸化チタン粉末の製造
    方法。 TiF6 2-+2H2O⇔TiO2+4HF+2F- (1)
  2. 【請求項2】 チタンフルオロ錯体としてチタンフッ化
    アンモニウムを用いることを特徴とする請求項1に記載
    の酸化チタン粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 処理液中のチタンフルオロ錯体の濃度を
    処理液全量に対して0.01〜0.2mol/リットル
    とし、上記反応式(1)の平衡を右に進める添加剤の配
    合量を処理液全量に対して0.05〜0.5mol/リ
    ットルとすることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    酸化チタン粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】 チタンフルオロ錯体を含む水溶液中に下
    記反応式(1)に示す反応の平衡を右に進める添加剤を
    添加して、酸化チタンの過飽和液とした処理液を調製
    し、耐圧密閉容器内で密閉してこの処理液を基材と接触
    させて基材の表面に酸化チタン被膜を形成することを特
    徴とする酸化チタン被膜の製造方法。 TiF6 2-+2H2O⇔TiO2+4HF+2F- (1)
  5. 【請求項5】 チタンフルオロ錯体としてチタンフッ化
    アンモニウムを用いることを特徴とする請求項4に記載
    の酸化チタン被膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 処理液中のチタンフルオロ錯体の濃度を
    処理液全量に対して0.01〜0.2mol/リットル
    とし、上記反応式(1)の平衡を右に進める添加剤の配
    合量を処理液全量に対して0.05〜0.5mol/リ
    ットルとすることを特徴とする請求項4又は5に記載の
    酸化チタン被膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 基材の表面に厚み100nm〜2μmの
    酸化チタン被膜を形成することを特徴とする請求項4乃
    至6のいずれかに記載の酸化チタン被膜の製造方法。
JP8347799A 1999-03-26 1999-03-26 酸化チタン粉末の製造方法及び酸化チタン被膜の製造方法 Withdrawn JP2000272921A (ja)

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JP2002069655A (ja) * 2000-09-06 2002-03-08 National Institute For Materials Science 酸化亜鉛基化合物パターン化膜の製造方法
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