JP3122658B1 - チタン酸化物形成用溶液およびその製造方法 - Google Patents
チタン酸化物形成用溶液およびその製造方法Info
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Abstract
化物形成用溶液を提供する。 【構成】 金属チタン、または酸素、水素のうちの少な
くともいずれかを含有する固体状チタン化合物に、チタ
ンの量に対して過剰の水酸基を有する塩基性物質を加
え、さらに過酸化水素水を加えて生成した溶液中のチタ
ンイオン、チタン含有イオンおよび水素イオン以外の陽
イオンの除去と過剰の過酸化水素水の分解工程を、溶液
のpHを3〜10に保持した状態で複数回行うことによ
り溶液中のチタンイオン、チタン含有イオンおよび水素
イオン以外の陽イオン濃度がチタンの濃度の1/2以下
としたチタン酸化物形成用溶液およびその製造方法。
Description
用溶液およびその製造方法に関し、とくに基体上にチタ
ン酸化物膜を形成させる等の目的で使用されるチタン酸
化物塗布剤に有用なチタン酸化物形成用溶液およびその
製造方法に関し、本発明において得られるチタン酸化物
形成用溶液は、各種材料への保護被膜、光触媒膜、紫外
線カット被膜、着色膜、誘電体膜、膜型センサー、酸化
チタンゾルの製造などに利用され得るものである。
剤としては、酸化チタン粉体スラリー、塩化チタンや硫
酸チタンの水溶液、金属アルコキシドの加水分解で作製
したゾル、ペルオキソチタン酸溶液、ペルオキソ基を含
むアナターゼゾル等が知られている。酸化チタン粉末を
用いる塗布方法は簡単であるが、緻密で密着性良好な膜
は得られ難く、またチタン酸化物は合成温度が一般に高
いため、高温度での焼成に耐える基体に限られるという
問題がある。
には、一般に酸あるいは有機溶剤が用いられている。
酸、有機溶剤では、塗布する基体自体を腐食する場合が
あり、また塩化チタンや硫酸チタン等の水溶液を塗布焼
成する方法はハロゲン化合物等の大気中への放出には問
題がある物質が生成するとともに、焼成温度も数百度以
上を必要とする。
ゾルは塗布や含浸処理が可能で、大面積の塗布、低温合
成が可能で工業的な利点が多いが、チタンテトライソプ
ロポキシドやテトラブチルチタネートなどの有機金属を
利用して塗布することが必要であり、原料が化学的に不
安定で温度や雰囲気に影響されやすく取り扱い難いとい
う問題もあり、さらにこれらの有機金属化合物は高価で
あった。
物質を含むので焼成除去するには400℃以上の加熱が
必要であり、また酸に侵されやすい材料には不適当であ
り、低温焼成では多孔質になりやすかった。また、ゾル
ゲル法は、塩化物等を原料とする方法と同様に基体の腐
蝕の問題や廃ガスを処理する必要があった。さらに、常
温では数日間放置するとゲル化や沈殿などが起こること
があるため、長期間の保存が難しく、塗布時時に基体な
どから混入する不純物でゲル化などが起こるので、工業
的な規模での利用には問題があった。
オキソチタン酸溶液を加熱処理して得られるアナターゼ
ゾルは低温でも密着性の塗布膜を作製することが可能で
基体の腐食や有害ガスの発生も少ないことから、チタン
酸化物の塗布剤として優れていることが知られている。
しかし、ペルオキソチタン酸溶液は、不安定であるため
に合成条件が制限されていた。例えば、特開昭62−2
52319号公報には、高純度の酸化チタン膜を作製す
るために、水素化チタンあるいはアルコキシチタンに直
接、過酸化水素水を添加して溶解し、最終的に過酸化水
素化チタンを含む液体を製造する方法が記載されてい
る。しかし、水素化チタンあるいはアルコキシチタン化
学安定性に欠けるとともに高価であり、過酸化水素水を
作用させた場合にかなりの発熱反応が起こって、異常な
増粘や白濁化などの悪影響が生じる欠点があった。した
がって、商業的に大量生産を行う場合には十分に冷却で
きないためにペルオキソチタン酸が重合して非常に増粘
し、光の透過を遮る程度にまで粒子が成長して濁を生じ
ることもあるので、塗布膜の密着性や密度が低下する問
題があり、そのために少量ずつしか製造することができ
ないという問題があった。
び特開平1−224220号公報には、水酸化チタンの
ゲルあるいはゾルに、過酸化水素水を添加して作製され
るチタニルイオン過酸化水素錯体あるいはチタン酸の水
溶液の製造方法が記載されている。しかし、水酸化チタ
ンに直接過酸化水素水を添加するとペルオキソ化と溶液
化が同時に起こるため発熱が大きく、増粘および重合に
より粒子として成長し濁ることがあるという問題点があ
った。この方法によっても他の方法と同様に、製造量が
多くなると冷却による温度調整が難しくなり、溶液の増
粘や白濁化が起こることがあった。
を十分に取り除かないと、完全に溶解したものが得られ
ないため、その工程中で作製される水酸化チタンのゲル
またはゾルであるチタン水和物の沈殿物の洗浄を十分に
行わなければならない。水酸化チタン等のチタン水和物
のゲルまたはゾルは、塩化チタンや硫酸チタンなどの水
溶液にアンモニアなどの塩基性物質を添加することによ
って製造されるが、添加の際には瞬間的に水酸化チタン
の析出が起こるので、不純物となるアンモニウムイオン
などの陽イオンや塩素イオンなどの陰イオンを吸着等に
よって取り込んだものとなる。
イオン不純物の残存量が多いと、過酸化水素水を添加し
た後に生成するペルオキソチタン酸の重合を促進し、透
明な水溶液が得られない場合があったり、増粘を引き起
こしていた。また、チタン水和物に吸着している不純物
イオンは精製水で繰り返し洗浄して濃度を低下させて、
過酸化水素水を作用させることにより透明なペルオキソ
チタン酸溶液を作成できるが、不純物濃度が少なくなる
とチタン水和物が沈殿し難くなるため、洗浄に非常に長
い時間が必要であった。また、本発明者等は、特許第2
875993号、特許第2938376号において、チ
タニア膜の形成用液体を提案しているが、これらの方法
に比べて更に製造方法が容易で、大量に製造しても特性
が優れた安定なチタニア膜の形成用液体を提供すること
が求められていた。
物塗布剤等に使用するチタン酸化物形成用溶液およびそ
の製造方法を提供することを課題とするものであり、従
来のチタン酸化物形成用の製造方法の問題点を解決した
安定なチタン酸化物形成用溶液、およびそれによって得
られるアナターゼ微粒子の分散ゾルの新たな製造方法を
提供することを課題とするものである。また、原料から
チタン酸化物形成用溶液への反応過程で、不純物イオン
の調整によって溶液化を促進させた製造方法を提供する
ことを課題とするものである。
形成用溶液において、金属チタン、チタン酸化物、もし
くはチタン水和物からなる固体状チタン化合物に、、チ
タンの量に対して過剰の水酸基を有する塩基性物質を加
え、さらに過酸化水素水を加えて溶液化したものであ
り、溶液中のチタンイオン、チタン含有イオンおよび水
素イオン以外の陽イオン濃度がチタン濃度の1/2以下
であるチタン酸化物形成用溶液である。また、チタン酸
化物形成用溶液の製造方法において、金属チタン、チタ
ン酸化物、もしくはチタン水和物からなる固体状チタン
化合物に、チタンの量に対して過剰の水酸基を有する塩
基性物質を加え、さらに過酸化水素水を加えて生成した
溶液中のチタンイオン、チタン含有イオンおよび水素イ
オン以外の陽イオンの除去と過剰の過酸化水素水の分解
工程を、溶液のpHを3〜10に保持した状態で複数回
行うチタン酸化物形成用溶液の製造方法である。固体状
チタン化合物が、チタン化合物に塩基性物質を加えて生
成するチタン水和物である前記のチタン酸化物形成用溶
液の製造方法である。チタンの量に対して2倍以上の水
酸基量の塩基性物質を添加する前記のチタン酸化物形成
用溶液の製造方法である。
において、金属チタン、チタン酸化物、もしくはチタン
水和物からなる固体状チタン化合物に、チタンの量に対
して過剰の水酸基を有する塩基性物質を加え、さらに過
酸化水素水を加えて溶液化し、チタン化合物を析出分離
した後に洗浄してチタンイオン、チタン含有イオンおよ
び水素イオン以外の陽イオンの除去を行った後に、過酸
化水素水を加えて溶解するチタン酸化物形成用溶液の製
造方法である。
および水素イオン以外の陽イオン濃度がチタン濃度の1
/2以下である前記のチタン酸化物形成用溶液の製造方
法である。溶液中には、ペルオキソチタンが含まれてい
る前記のチタン酸化物形成用溶液の製造方法である。
いて、金属チタン、チタン酸化物、もしくはチタン水和
物からなる固体状チタン化合物に、チタンの量に対して
過剰の水酸基を有する塩基性物質を加え、さらに過酸化
水素水を加えて生成した溶液中のチタンイオン、チタン
含有イオンおよび水素イオン以外の陽イオンの除去と過
剰の過酸化水素水の分解を、溶液のpHを3〜10に保
持した状態で複数回行うことにより、チタンイオン、チ
タン含有イオンおよび水素イオン以外の陽イオン濃度を
チタン濃度に対して2分の1以下とした後に80℃以上
の温度で加熱処理しアナターゼ粒子を析出するチタン酸
化物塗布剤の製造方法である。
の原料として特定の原料を用いるとともに、新規なチタ
ン化合物の溶液化と溶液中でのチタン酸化物の形成工程
とを組み合わせることによって特性の優れたチタン酸化
物の形成等に使用可能なチタン酸化物形成用溶液および
その製造方法を提供するものである。すなわち、金属チ
タン、チタン酸化物、もしくはチタン水和物からなる固
体状チタン化合物に、チタン量に対して過剰の水酸基を
有する塩基性物質を加え、さらに過酸化水素水を作用さ
せて溶解した後に生成した溶液から、チタンの収率を低
下させたりすることなく塩基性物質を所定の濃度以下に
低下させることによって、安定したペルオキソ基を有す
るチタン酸化物塗布剤等として好適なチタン酸化物形成
用溶液が得られることを見いだしたものである。
散剤の原料として利用されることが一般的ではなかっ
た、金属チタン、チタン酸化物、もしくはチタン水和物
からなる固体状チタン化合物を用いることによって、安
定したチタン酸化物塗布剤等として有用なペルオキソチ
タン酸の水溶液の製造方法を提供するものである。
塩基性物質と過酸化水素水を加えて溶解した溶液は、溶
解に使用した塩基性物質の種類と添加量、あるいは過酸
化水素水の添加量によって異なるものの、溶液の生成
後、数分から数日間は透明な溶液の状態を保持している
が、時間の経過とともに、溶液が白濁化したり、あるい
はゲル化などが起こり不安定なものである。また、冷却
によって保存が可能であるが、長期保存性の面では問題
があった。このようなチタン含有溶液の不安定性の原因
が、残留した塩基性物質と過酸化水素にあることに着目
し、塩基性物質を所定の濃度以下に除去するとともに、
過酸化水素の分解を行うことによって安定なチタン含有
化合物を得るものである。
水素を加えることによって作製したチタン含有溶液中に
溶解したチタンはヒドロキシル基が結合した錯体からな
る陰イオンの形態で存在している。したがって、溶液中
に陽イオン交換樹脂、ゼオライト等の陽イオンを交換あ
るいは補足する物質を添加した後にこれらの物質を取り
除くならば、溶解したチタンには影響を与えずに溶液中
に存在している塩基性物質に由来する陽イオンを除去す
ることが可能となる。
を陽イオン交換樹脂等によって除去すると、塩基性物質
に由来の陽イオンと水素イオンとのイオン交換によって
溶液のpHが変化する。そして、pHが一定の値よりも
小さくなると溶液中のペルオキソチタン酸イオン等のチ
タン含有イオンがチタンイオン等の陽イオンとなり陽イ
オン交換樹脂に補足されて溶液中のチタンが失われるこ
ととなる。したがって、溶液中の塩基性物質に由来する
陽イオンの除去は、pH3以上において行うことが必要
であり、pHが4以上であることがより好ましい。
分解することが必要となるが、過酸化水素を急激に分解
するとpHの上昇や、溶解しているチタン化合物が析出
する等の問題が生じる。pHは、10以上に上昇させな
いことが必要であり、より好ましくは9以上に上昇させ
ないことが好ましい。そこで、本発明の方法では、塩基
性物質の除去過程および過酸化水素の分解過程の溶液の
pHを所定の範囲内に保持するために、塩基性物質由来
の陽イオンの除去と過酸化水素の分解を複数回に分けて
行うことを特徴としている。
の濃度は、溶液中において解離したものの濃度を意味す
るのではなく、解離していないもの、配位したもの等の
分析において測定されるものの全量を意味する。同様に
チタン濃度についても、溶液中の存在形態を問わず、溶
液中に存在しているチタンの全量を意味する。
過酸化水素の分解方法の一例を説明する。 1.金属チタン、またはチタンと水素、酸素の少なくと
もいずれか一方を含有するチタン化合物を塩基性物質と
過酸化水素水とを加えて溶液化したチタン含有溶液に、
陽イオン交換樹脂を加えてpH3〜6程度の弱酸ないし
は中性域の範囲内に保持して塩基性物質由来の陽イオン
を除去する。 2.次いで、チタン含有溶液をそのまま放置、撹拌、超
音波照射、あるいは加熱処理することにより、過酸化水
素を分解し、その際にチタン含有溶液のpHの上昇はp
H7〜10までの範囲内とする。 3.再度、上記の1と同様にチタン含有溶液に陽イオン
交換樹脂を少量加えて脱イオン化し、pH3〜6程度の
弱酸または中性の範囲内で塩基性物質由来の陽イオンを
除去し、引き続き2と同様の処理を行う。
陽イオンの最初の除去工程では、溶液中に大量の過酸化
水素が存在しているので陽イオンの除去を十分に行うこ
とができないので、pHが3〜6程度の範囲内とし、4
〜6の範囲とすることが好ましい。引き続く過酸化水素
の分解工程では、大量の過酸化水素を分解するとペルオ
キソチタンの水和物の沈殿物が析出する可能性があるの
で、過酸化水素の分解は、pHが7〜9程度の範囲内で
行うことが必要となる。
ンの除去と過酸化水素の分解を、チタン酸化物形成用溶
液中のチタンが陽イオン除去工程で失われたり、ペルオ
キソチタンが重合物を形成して沈殿等を生じることがな
いようにすることが必要である。得られるチタン酸化物
形成用溶液中の塩基性物質由来の陽イオン濃度は、チタ
ン濃度に対して少なくする方が好ましく、2分の1以下
の濃度とすることが好ましい。この様な濃度とすること
によって、塗布剤として安定に存在させることができ
る。
合物の溶解に使用する塩基性物質としてはアンモニア
水、アルカリ金属水酸化物水溶液、テトラアルキルアン
モニウム水溶液などを用いることができるが、チタン酸
化物形成用溶液を塗布剤として使用してチタン酸化物の
塗布膜を形成する際に、揮発、分解によって除去するこ
とが容易なアンモニア水、テトラアルキルアンモニウム
等の金属元素を含有しないものが好ましく、とくにアン
モニア水が好ましい。
に使用する塩基性物質の量は、チタンのモル数に対して
2倍以上とすることが好ましく、より好ましくは4倍以
上の量である。また、水酸基を含まないチタン化合物の
場合には、4倍以上の量を用いることが好ましく、より
好ましくは6倍以上である。塩基性物質および過酸化水
素水による溶解は、常温でも可能であるが、加熱して反
応を促進しても良い。
ン含有物質は、チタン鉱物等から得られた金属チタン、
または水素、酸素のいずれか1種を含有するチタン化合
物を用いることができるが、四塩化チタン等の可溶性チ
タン化合物の水溶液に過酸化水素水を添加した後にアン
モニア水等の塩基性物質を添加して得られたチタン水和
物、チタン酸化物等から塩化物イオン等の陰イオンを除
去することによって得られたものを用いても良い。本発
明において、塩基性物質由来の陽イオンの除去は、陽イ
オン交換樹脂、ゼオライト等を用いる方法以外にも、イ
オン交換膜を用いた電気透析、透析、逆浸透等の方法に
よって行っても良い。
基性物質を加え、さらに過酸化水素水を加えて溶解して
得られたチタン酸化物形成用溶液から析出等の操作をす
ることなく目的の溶液を作製する方法のみではなく、チ
タンまたはチタン化合物を溶解した溶液をそのまま放置
するか、あるいは加熱してチタン化合物の沈殿を析出さ
せ、その後洗浄して塩基性物質に由来する陽イオンを洗
浄して所望の濃度以下に減少させた後に、さらに過酸化
水素水を作用させることによってチタン酸化物形成用溶
液を作製することもできる。
酸化物形成用溶液中の塩基性物質由来の陽イオン濃度を
チタン濃度に対して2分の1以下、好ましくは4分の1
以下に脱陽イオンした後に80℃以上の温度に加熱する
か、あるいはオートクレーブで加圧下で加熱処理するこ
とにによってアナターゼ微粒子が分散したアナターゼゾ
ルからなるチタン酸化物塗布剤を作製することができ
る。
化合物を析出させた後に、チタン化合物を再度溶液化す
るチタン化合物のペルオキソ化の工程中で添加する過酸
化水素水の量は過酸化水素/チタンの比が1以上必要
で、それ以下では、完全にペルオキソ化が困難であり、
添加した過酸化水素水が反応することなく分解が起こる
こともあるので、過酸化水素/チタンの比が1よりも過
剰に加えることが好ましい。反応温度は常温、加熱のい
ずれでも良いが、原料が酸化物のような安定なものを使
用する場合は、高い温度のほうが反応を早く進ませるこ
とができる。しかし、温度が高いとアンモニア等の揮発
性の塩基性物質は逃散しやすく、また、加えた過酸化水
素自体が分解し易く、原料を完全に溶液化する前に濁っ
たり、ゲル化したり沈殿が生成することがある。塩基性
物質が多く含まれていると反応温度を上げてもアナター
ゼ等のチタン酸化物が結晶化することは少ないが、80
℃以下で反応させることが好ましい。また、撹拌するこ
とによって反応を促進することができる。
体上に塗布した後に200℃未満で加熱することによっ
て非晶質の酸化チタン膜を作製することができる。ま
た、200℃以上に加熱すれば結晶性の緻密な酸化チタ
ン膜を作製できる。これらの膜は耐酸性に優れ、各種の
防蝕性被覆として利用できる。また、本発明のチタン酸
化物形成用水溶液から作製したアナターゼゾルの分散液
は塗布するのみで結晶性のチタニア膜が形成できるた
め、加熱処理をできない材料の塗布剤として有用であ
る。また、アナターゼゾルの分散液は本発明の安定なチ
タン酸化物形成用溶液と任意の割合で混合して塗布剤と
して利用することもでき、これによって密着性に優れた
アナターゼ膜を形成することができる。また、安定なチ
タン酸化物形成用溶液およびアナターゼゾルの分散液の
両者を用いて合成樹脂等の基体上に本発明のチタン酸化
物形成用溶液を塗布した後に、その上にアナターゼゾル
の分散液を塗布して層形成すれば、表面のチタン酸化物
層の光触媒作用によって基材の有機物の分解等が起こ
り、塗布したチタン酸化物層が基体から剥離することを
防止することができる。
被膜や光触媒層の形成等の目的に利用可能であり、高密
度で密着性の良い膜を比較的低い温度で得ることができ
る。また、本発明のチタン酸化物形成用溶液から得られ
るチタン酸化物微粒子は、分散性に優れており、あらか
じめ各種の固体微粒子と混合して、超音波分散装置、ボ
ールミル等で分散させた後に塗布して乾燥焼成すること
によって得られる酸化チタン膜中に、他の微粒子を担持
あるいは分散した複合体を作製することも可能である。
また、塗布する基体としては、セラミックス、陶磁器、
金属、プラスチックス、繊維、建材等を用いることがで
き、また、多孔体の内部や粉体の表面処理を行なうこと
も可能である。
説明する。 実施例1 チタン原料として二酸化チタンを使用した。二酸化チタ
ン(日本アエロジル社製二酸化チタンP25)を0.8
g秤量し、濃度25重量%アンモニア水の2倍希釈液を
15ml添加し、濃度30重量%過酸化水素水を40m
l加えて蒸留水で100mlとして撹拌し、これを25
℃で2日間放置して溶解し黄色透明の溶液を得た。チタ
ン濃度は0.1mol/l、アンモニウム濃度は1.1
mol/lであった。
オン交換樹脂(オルガノ製アンバーライトIR118)
を得られた溶液中に、30gを徐々に投入して撹拌しp
H5とした。添加した陽イオン交換樹脂を分離した後に
超音波照射し、pH8となるまで過酸化水素の分解を行
った。なお、過酸化水素の分解は、液中からの気泡の発
生によって確認することができる。
オンの除去と同様の操作で溶液のpHを5とした後に、
過酸化水素の分解と陽イオン交換樹脂による陽イオンの
除去の操作をそれぞれ2回行いpH5のチタン酸化物形
成用水溶液を得た。得られた溶液中のアンモニウム濃度
は0.01mol/lであった。
末を、X線回折装置(理学電機製RAD−B)によっ
て、銅ターゲットを用い、加速電圧30kV、電流15
mAの測定条件で測定し、その結果を図1に示す。得ら
れた液体は非晶質であった。また、25℃で乾燥した粉
末を臭化カリウムと混合して錠剤を形成した臭化カリウ
ム錠剤法によって、フーリエ変換赤外線吸収スペクトル
測定装置(日本分光製FT/IR−5300)で透過法
によって測定し、その結果を図2に示す。900cm-1
付近に吸収が認められ、ペルオキソ基が存在しているこ
とが確認できた。また、25℃において、30日間放置
しても沈殿物の析出は無く、溶液の性状に変化はなかっ
た。
ン濃度、およびアンモニウム濃度野測定は以下の測定方
法によって測定した。 (チタン濃度の測定方法)試料の任意の量を採取して蒸
留水で200倍に希釈し、ICP発光分光分析装置(島
津製作所製ICPS−2000)を用い、チタン標準液
から(和光純薬工業製 濃度1000ppm)から調製
した濃度10ppm、20ppmおよび40ppmの標
準液によって作成した検量線からチタン濃度を測定し
た。
意の量を採取し、過酸化水素が含まれている場合には完
全に分解した後に10倍に希釈し、その1mlを容器に
採取し、蒸留水20mlと濃度0.35mol/lの硫
酸亜鉛水溶液を1ml加え、さらに30gの水酸化ナト
リウムと25gの炭酸ナトリウムを蒸留水200mlに
溶解したアルカリ液を加えてpHを10.5とした。次
いで、1.3mol/lのナトリウムフェノラート溶液
10mlと0.15mol/lのエチレンジアミン四酢
酸二ナトリウム溶液1mlを加えて撹拌し、1容量%次
亜塩素酸ナトリウム水溶液5mlを加え蒸留水を加えて
50mlとして撹拌し、30分経過後に濾過した。得ら
れた濾液の630nmにおける吸光度を分光光度計(島
津製作所製UV−2100)によって測定した。また、
塩化アンモニウム(特級試薬)を溶解して希釈して標準
液を調製し、試験液と同様の方法によって測定して検量
線を作成し試験液の濃度を求めた。
(和光純薬製 金属チタン粉末)を0.48g秤量し、
濃度25重量%アンモニア水の2倍希釈液を7ml添加
し、濃度30重量%過酸化水素水を20ml加えて蒸留
水で100mlとして撹拌し、これを25℃で24時間
放置し溶解して黄色透明の溶液を得た。チタン濃度は
0.1mol/l、アンモニウム濃度は0.6mol/
lであった。
オン交換樹脂(オルガノ製アンバーライトIR118)
の30gを得られた溶液中に徐々に投入して撹拌しpH
5に達した時点で添加した陽イオン交換樹脂の分離後、
超音波照射して過酸化水素の分解を行い、pHが8とな
ったところで再度陽イオン交換樹脂を5gを投入してp
Hを4にした。
イオン交換樹脂による陽イオンの除去の操作をそれぞれ
2回行いpH5のチタン酸化物形成用水溶液を得た。チ
タン濃度は、0.1mol/lであり、アンモニウム濃
度は0.01mol/lであった。
燥して得られた粉末を、X線回折装置によって測定した
ところ、非晶質であった。また、実施例1と同様にフー
リエ変換赤外線吸収スペクトル測定装置によって測定し
たところ900cm-1付近に吸収が認められ、ペルオキ
ソ基が存在していることが確認できた。
%四塩化チタン水溶液5mlを蒸留水で500mlに希
釈した溶液に、濃度25重量%アンモニア水の10倍希
釈液を滴下してpHを7とし、白色ゲル状の水酸化チタ
ンを沈殿させ、ろ過洗浄を行い、濾別残渣を蒸留水で全
量を150mlとした。次に、濃度25重量%アンモニ
ア水の4倍希釈液25mlおよび濃度30重量%過酸化
水素水を20mlおよび蒸留水を加えて放置し、12時
間後にチタンを含む黄色液体250mlを得た。得られ
たチタン含有溶液のチタン濃度は0.1mol/l、ア
ンモニウム濃度は0.38mol/l、塩素濃度は0.
0086mol/lであった。
たH+ 置換型陽イオン交換樹脂(オルガノ製アンバーラ
イトIR118)を50g投入して1時間放置し、アン
モニウムイオンを除去した後に添加した陽イオン交換樹
脂を分離除去し、更に溶液を7℃に保持した状態で濃度
30重量%過酸化水素水10mlを加えて黄色透明のペ
ルオキソチタン酸水溶液を得た。この液中のアンモニウ
ム濃度は0.011mol/lであった。
燥して得られた粉末を、X線回折装置によって測定した
ところ、非晶質であった。また、実施例1と同様にフー
リエ変換赤外線吸収スペクトル測定装置によって測定し
たところ900cm-1付近に吸収が認められ、ペルオキ
ソ基が存在していることが確認できた。
%四塩化チタン水溶液5mlを蒸留水で500mlに希
釈した溶液に、濃度25重量%アンモニア水の10倍希
釈液を滴下してpHを7とし、白色ゲル状の水酸化チタ
ンを沈殿させ、ろ過洗浄を行い、残渣物を蒸留水で全量
を150mlとし、この液を氷水で10℃以下に冷却し
ながら濃度30重量%過酸化水素水を20ml加えて1
2時間反応させ黄色半透明のチタン酸化物形成用溶液を
得た。
ン交換樹脂(オルガノ製アンバーライトIRA410)
を1N水酸化ナトリウムで1時間処理した後に洗浄し
て、OH- 置換型としたもの30gを投入して3時間放
置後、陰イオン交換樹脂を分離した後に濃度25重量%
アンモニア水の4倍希釈液25mlおよび濃度30重量
%過酸化水素水を10mlを加えて放置し、12時間後
にチタンを含む黄色液体250mlを得た。チタン濃度
は0.1mol/l、アンモニウム濃度は0.39mo
l/l、塩素濃度は0.0039mol/lであった。
オン交換樹脂(オルガノ製アンバーライトIR118)
を得られた溶液中に50gを投入して1時間放置し、残
留したアンモニウムイオンを除去した後に添加した陽イ
オン交換樹脂を分離除去し、さらに、溶液を冷却して7
℃に保持した状態で濃度30重量%過酸化水素を10m
l加えて黄色透明の溶液を得た。溶液中のアンモニウム
濃度は0.013mol/lであった。
燥して得られた粉末を、X線回折装置によって測定した
ところ、非晶質であった。また、実施例1と同様にフー
リエ変換赤外線吸収スペクトル測定装置によって測定し
たところ900cm-1付近に吸収が認められ、ペルオキ
ソ基が存在していることが確認できた。
%四塩化チタン水溶液5mlを蒸留水で500mlに希
釈した溶液に、濃度30重量%過酸化水素水を20ml
加えて撹拌して褐色の透明液体を作製し、この溶液に濃
度25重量%アンモニア水の10倍希釈液を滴下してp
Hを7とし、黄色透明溶液を作製し、これを25℃にお
いて、一昼夜放置し、黄色の沈殿物を析出させた。これ
を濾過洗浄した後に、濾過残渣を蒸留水で150mlと
した。
イオン交換樹脂(オルガノ製アンバーライトIRA41
0)を1N水酸化ナトリウムで1時間処理した後に洗浄
して、OH- 置換型としたもの30gを投入して30分
間放置後、添加した陰イオン交換樹脂を合成樹脂製の網
を用いて分離して塩素イオンを除去した後、蒸留水で1
80mlとし、アンモニア濃度として濃度25重量%ア
ンモニア水の4倍希釈液25ml、濃度30重量%過酸
化水素水を20mlおよび蒸留水を加えて、12時間後
にチタン化合物の透明黄色液体250mlを得た。得ら
れた溶液のチタン濃度は0.1mol/l、アンモニウ
ム濃度は0.41mol/l、塩素濃度は0.005m
ol/lであった。
たH+ 置換型陽イオン交換樹脂(オルガノ製アンバーラ
イトIR118)を50g投入して1時間放置し、アン
モニウムイオンを除去した後に添加した陽イオン交換樹
脂を分離除去し、更に溶液を冷却して7℃に保持した状
態で濃度30重量%過酸化水素水10mlを加えて黄色
透明の溶液を得た。この溶液中のアンモニウムイオン濃
度は0.011mol/lであった。
燥して得られた粉末を、X線回折装置によって測定した
ところ、非晶質であった。また、実施例1と同様にフー
リエ変換赤外線吸収スペクトル測定装置によって測定し
たところ900cm-1付近に吸収が認められ、ペルオキ
ソ基が存在していることが確認できた。
て100℃で5時間加熱し、淡黄色半透明の液体を得
た。この液体を乾燥して得た粉末を実施例1と同様にX
線回折で調べたところ、結晶性のアナターゼが生成して
おり、得られた液体がアナターゼゾルであることが確認
できた。
(和光純薬工業製)を0.48gずつ4個の容器に秤量
し、そのうち3個の容器に濃度25重量%アンモニア水
の4倍希釈液を、5、10、15mlをそれぞれ加え、
さらに全ての容器に対して濃度30重量%過酸化水素水
を40mlと蒸留水を加えて100mlとして撹拌した
後に、これを25℃において20時間放置した。
ウム濃度はそれぞれ0、0.18、0.37、0.55
mol/lであった。アンモニウム濃度が0.18mo
l/l以下の試料は完全に溶解することができず、わず
かに不溶物が残存した。0.37mol/l以上の場合
は完全に透明に溶解していた。
置換型陽イオン交換樹脂(オルガノ製アンバーライトI
R118)の30gを徐々に投入して撹拌しpHを5に
した。次いで、添加した陽イオン交換樹脂を分離した後
に超音波照射装置によって超音波を照射して過酸化水素
を分解させ、過酸化水素の分解とともにpHが上昇し
た。pHが8となった時点で再度陽イオン交換樹脂5g
を投入して撹拌しpHを5とした後に、陽イオン交換樹
脂を分離した。次いで、超音波照射による過酸化水素の
分解と陽イオン交換樹脂による処理を2回繰り返してp
H5の黄色透明の水溶液を得た。得られた液中のアンモ
ニウム濃度は0.01mol/lであった。
燥して得られた粉末を、X線回折装置によって測定した
ところ、非晶質であった。また、実施例1と同様にフー
リエ変換赤外線吸収スペクトル測定装置によって測定し
たところ900cm-1付近に吸収が認められ、ペルオキ
ソ基が存在していることが確認できた。
ン(日本アエロジル社製二酸化チタンP25)を3個の
容器に0.8gずつ秤量し、濃度25重量%アンモニア
水の4倍希釈液を5、10、15mlずつ加え、さらに
濃度30重量%過酸化水素水を40ml加えて蒸留水で
100mlとして撹拌した。次いで、60℃で5分間加
熱した後に25℃において30時間放置して溶解した。
チタン濃度は0.1mol/l、アンモニウム濃度はそ
れぞれ0.18、0.37、0.55mol/lであっ
た。アンモニウムイオン濃度が0.37mol/l以下
の試料は完全に溶解することができず、アンモニアを添
加しないものは酸化チタンの粉末がほとんど溶解せず、
白い不透明な懸濁液が得られたのみであった。
置換型陽イオン交換樹脂(オルガノ製アンバーライトI
R118)の30gを徐々に投入して撹拌しpHを5に
した後に陽イオン交換樹脂を分離した。次いで超音波照
射装置によって超音波を照射し過酸化水素の一部を分解
した。過酸化水素の分解とともにpHが上昇し、pHが
8となった時点で再度陽イオン交換樹脂5gを投入して
撹拌しpHを5とした後に、陽イオン交換樹脂を分離し
た。次いで、超音波照射による過酸化水素の分解と陽イ
オン交換樹脂による処理を2回繰り返してpH5の黄色
透明の水溶液を得た。得られた液中のアンモニウム濃度
は0.01mol/lであった。
つ分取し、アンモニア水を添加して、液中のアンモニウ
ムイオン濃度が0.0136、0.021、0.028
4、0.0358、0.0423mol/lおよび0.
055mol/lとなるようにし、密閉容器に入れて1
00℃で6時間加熱した。
を実施例1と同様にX線回折装置によって測定した結果
を図3に示す。また、同じ粉末を実施例1と同様に測定
したフーリエ変換赤外線吸収スペクトルを図4に示す。
アンモニウム濃度が0.0284mol/l以上のもの
は、X線回折の結果、非晶質であり、またフーリエ変換
赤外分光によって調べた結果、900cm-1付近に吸収
が認められ、ペルオキソ基が存在していることを確認す
ることができた。
は、X線回折の結果アナターゼ結晶が含まれておりゾル
状態であることが判明した。すなわち、アンモニウム濃
度が、チタン濃度に対して少ない場合のみアナターゼゾ
ルが得られた。また、100℃で熱処理せずにアンモニ
アを添加したのみのものでは、0.0423mol/l
以下のものは常温で1カ月以上透明で変化がなかった
が、0.055mol/lのものは濁りが生じ不安定で
あった。また、アンモニウム濃度が、チタン濃度に対し
て2分の1以下である場合のみ安定なペルオキソチタン
酸水溶液が得られ、それ以上の濃度では長期安定性がな
かった。
/lの黄色透明の溶液を70℃で3時間加熱して黄色ゲ
ル状沈殿物を析出させた。このゲルを蒸留水で洗浄後、
蒸留水で80mlとし、冷却して7℃に保持した状態で
濃度30重量%過酸化水素水を20ml添加して黄色透
明のチタン化合物溶液を得た。この液中のアンモニウム
濃度は0.02mol/lであった。
燥して得られた粉末を、X線回折装置によって測定した
ところ、非晶質であった。また、実施例1と同様にフー
リエ変換赤外線吸収スペクトル測定装置によって測定し
たところ900cm-1付近に吸収が認められ、ペルオキ
ソ基が存在していることが確認できた。
(和光純薬製 金属チタン粉末)を0.48g採取し、
濃度25重量%アンモニア水の2倍希釈液を7ml添加
し、濃度30重量%過酸化水素水を20ml加えて蒸留
水で100mlとして撹拌し、これを25℃で24時間
放置し溶解して黄色透明の溶液を得た。チタン濃度は
0.1mol/l、アンモニウムイオン濃度は0.6m
ol/lであった。
ルガノ製アンバーライトIR118)の30gを得られ
た溶液中に徐々に投入して撹拌しpH5に達した時点で
添加した陽イオン交換樹脂を分離後、超音波照射を行い
過酸化水素を分解して溶液1を得た。次いで、溶液1に
再度陽イオン交換樹脂2gを投入してpHが5に達した
時点で陽イオン交換樹脂を分離後、超音波照射を行い過
酸化水素を分解して溶液2を得た。さらに溶液2に陽イ
オン交換樹脂2gを投入してpHが5に達した時点でイ
オン交換樹脂を分離後、超音波照射を行い過酸化水素を
分解して溶液3を得た。
ニウムイオン濃度は、溶液1:0.058mol/l、
溶液2:0.043mol/l、溶液3:0.020m
ol/lであった。溶液2および溶液3は1カ月以上変
化がなかったが、溶液1は、25℃において放置後2日
目から液が濁り、固形物が析出した。
燥して得られた粉末を、X線回折装置によって測定した
ところ、非晶質であった。また、実施例1と同様にフー
リエ変換赤外線吸収スペクトル測定装置によって測定し
たところ900cm-1付近に吸収が認められ、ペルオキ
ソ基が存在していることが確認できた。
(和光純薬製 金属チタン粉末)を0.48g秤量し、
水酸化ナトリウム(和光純薬製 試薬特級)4gを50
gの蒸留水で溶解した液中に投入し、濃度30重量%過
酸化水素水を20ml加えて蒸留水で100mlとして
撹拌し、これを25℃で15時間放置し溶解して黄色透
明の溶液を得た。チタン濃度は0.1mol/l、ナト
リウム濃度は1mol/lであった。
ルガノ製アンバーライトIR118)の60gを得られ
た溶液中に徐々に投入して撹拌しpH5に達した時点で
イオン交換樹脂を分離後、超音波照射を行い過酸化水素
を分解させpH8となった時点で再度陽イオン交換樹脂
4gを投入してpHが5に達した時点で添加した陽イオ
ン交換樹脂を分離後、超音波照射を行い過酸化水素を分
解させpH8となった時点で、再度陽イオン交換樹脂の
投入と超音波処理、4gを投入してpHを5にした。樹
脂の分離後に超音波処理、陽イオン交換樹脂による処理
を3回繰り返してpHを6にし、黄色透明なチタン酸化
物形成用溶液を得た。この液中のナトリウムイオン濃度
は0.01mol/lであった。
燥して得られた粉末を、X線回折装置によって測定した
ところ、非晶質であった。また、実施例1と同様にフー
リエ変換赤外線吸収スペクトル測定装置によって測定し
たところ900cm-1付近に吸収が認められ、ペルオキ
ソ基が存在していることが確認できた。
(和光純薬製 金属チタン粉末)を0.48g採取し、
濃度25重量%アンモニア水の2倍希釈液を7ml添加
し、濃度30重量%過酸化水素水を20ml加えて蒸留
水で100mlとして撹拌し、これを25℃で24時間
放置し溶解して黄色透明の溶液を得た。チタン濃度は
0.1mol/l、アンモニウム濃度は0.6mol/
lであった。
ルガノ製アンバーライトIR118)の投入量を変えて
撹拌した後に、10分後に添加した陽イオン交換樹脂を
除去した溶液について、pH、チタン濃度、アンモニウ
ムイオン濃度を測定し、その結果を表1に示す。いずれ
の試料についても過酸化水素は残存しており発泡が継続
し、3日後に発泡が収まりpHは上昇し、いずれの試料
においても濁りや沈殿が生じた。
行わずに作製したチタン酸化物形成用溶液を、25℃に
おいて5日間放置すると、黄色白濁ゲル化した。実施例
1で得られた液体は常温で30日間放置しても変化しな
かった。
タン水和物からなる固体状チタン化合物を原料として、
塩基性物質と過酸化水素水によって溶解したチタン酸化
物形成用溶液中の塩基性物質由来の陽イオンと過酸化水
素を段階的に除去することによってチタン酸化物形成用
溶液を安定化させることができ、特性の優れたチタン酸
化物形成用の塗布剤等を作製することができる。
物形成用溶液を乾燥した粉末のX線回折結果を説明する
図である。
物形成用溶液のフーリエ変換赤外線吸収スペクトル測定
装置による測定結果を説明する図である。
物形成用溶液を乾燥した粉末のX線回折結果を説明する
図である。
物形成用溶液のフーリエ変換赤外線吸収スペクトル測定
装置による測定結果を説明する図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 チタン酸化物形成用溶液において、金属
チタン、チタン酸化物、もしくはチタン水和物からなる
固体状チタン化合物に、チタンの量に対して過剰の水酸
基を有する塩基性物質を加え、さらに過酸化水素水を加
えて溶液化したものであり、溶液中のチタンイオン、チ
タン含有イオンおよび水素イオン以外の陽イオン濃度が
チタンの濃度の1/2以下であることを特徴とするチタ
ン酸化物形成用溶液。 - 【請求項2】 チタン酸化物形成用溶液の製造方法にお
いて、金属チタン、チタン酸化物、もしくはチタン水和
物からなる固体状チタン化合物に、チタンの量に対して
過剰の水酸基を有する塩基性物質を加え、さらに過酸化
水素水を加えて生成した溶液中のチタンイオン、チタン
含有イオンおよび水素イオン以外の陽イオンの除去と過
剰の過酸化水素水の分解工程を、溶液のpHを3〜10
に保持した状態で複数回行うことを特徴とするチタン酸
化物形成用溶液の製造方法。 - 【請求項3】 固体状チタン化合物が、チタン化合物に
塩基性物質を加えて生成するチタン水和物であることを
特徴とする請求項2記載のチタン酸化物形成用溶液の製
造方法。 - 【請求項4】 チタン水和物が、チタンの量に対して2
倍以上の水酸基量の塩基性物質を添加することによって
調製したものであることを特徴とする請求項3記載のチ
タン酸化物形成用溶液の製造方法。 - 【請求項5】 チタン酸化物形成用溶液の製造方法にお
いて、金属チタン、チタン酸化物、もしくはチタン水和
物からなる固体状チタン化合物に、チタンの量に対して
過剰の水酸基を有する塩基性物質を加え、さらに過酸化
水素水を加えて溶液化し、チタン化合物を析出分離した
後に洗浄してチタンイオン、チタン含有イオンおよび水
素イオン以外の陽イオンの除去を行った後に、過酸化水
素水を加えて溶解することを特徴とするチタン酸化物形
成用溶液の製造方法。 - 【請求項6】 溶液中のチタンイオン、チタン含有イオ
ンおよび水素イオン以外の陽イオンの濃度がチタン濃度
の1/2以下であることを特徴とする請求項2ないし5
のいずれか1項記載のチタン酸化物形成用溶液の製造方
法。 - 【請求項7】 溶液中には、ペルオキソチタンが含まれ
ていることを特徴とする請求項2ないし6のいずれか1
項記載のチタン酸化物形成用溶液の製造方法。 - 【請求項8】 チタン酸化物塗布剤の製造方法におい
て、金属チタン、チタン酸化物、もしくはチタン水和物
からなる固体状チタン化合物に、チタンの量に対して過
剰の水酸基を有する塩基性物質を加え、さらに過酸化水
素水を加えて生成した溶液中のチタンイオン、チタン含
有イオンおよび水素イオン以外の陽イオンの除去と過剰
の過酸化水素水の分解を、溶液のpHを3〜10に保持
した状態で複数回行うことにより、チタンイオン、チタ
ン含有イオンおよび水素イオン以外の陽イオン濃度をチ
タン濃度に対して2分の1以下とした後に80℃以上の
温度で加熱処理しアナターゼ粒子を析出することを特徴
とするチタン酸化物塗布剤の製造方法。
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