JP3490013B2 - チタン酸化物形成用溶液の製造方法 - Google Patents

チタン酸化物形成用溶液の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基体上にチタン酸
化物膜を形成させることを目的としたチタン酸化物塗布
剤の製造方法およびそれらの塗布剤を用いて作製された
チタン酸化物膜被覆体に関する。
【0002】
【従来の技術】チタン酸化物膜の形成方法は、酸化チタ
ン粉体スラリーあるいは塩化チタンや硫酸チタンの水溶
液を基体に塗布後焼成する塗布法、金属アルコキシドの
加水分解で作製したゾルを基体に塗布後焼成するゾルゲ
ル法、高真空中で酸化物のターゲットをスパッタリング
し基体上に成膜するスパッタリング法、有機金属化合物
やハロゲン化物を揮発させ加熱炉の中で分解して基体上
に膜を作製するCVD法、固体粒子を大気中で発生させ
たプラズマ中で溶融し基体表面に照射するプラズマ溶射
等がある。このうち、チタン酸化物膜の形成方法として
塗布液を用いる方法が簡便で実用性が高いとされてい
る。
【0003】酸化チタン粉末を用いる塗布法は簡単であ
るが、緻密で密着性良好な膜は得られ難く、チタン酸化
物膜の形成には、一般に高い合成温度を必要とするため
に合成温度に耐える耐熱性の基体を用いる必要があり、
適用できる基体の種類には制限がある。また、その酸化
チタンの微粒子の分散液体を得るために、一般に酸ある
いは適当な有機分散剤が用いられており、焼成によって
有害なハロゲン化合物等を生成する欠点があった。ま
た、塩化チタンや硫酸チタン等の水溶液を塗布焼成する
方法は有害なハロゲン化合物を生成し、また、焼成温度
も数百度以上を必要とした。
【0004】また、ゾルゲル法で作製された市販の酸化
チタンゾルは塗布や含浸処理が可能で、大面積コーティ
ング、低温合成が可能で工業的な利点が多いが、チタン
テトライソプロポキサイドやテトラブチルチタネートな
どの有機金属を利用して合成しなければならなかったた
め、原料が高価であるとともに、原料が化学的に不安定
で温度制御や雰囲気に影響されやすく取り扱い難いとい
う問題があった。また、ゾルゲル法は原料ゾル中に酸や
有機物質を含むので焼成除去するのに400℃以上の加
熱が必要であり、酸に侵されやすい材料には不向きであ
り、低温焼成では多孔質になりやすいという問題点があ
った。
【0005】また、ゾルゲル法は工程が煩雑で、有機溶
媒を使用しなければならないず、ゾルゲル法によって作
製した酸化チタンゾル中には酸やアルカリ、あるいは有
機物が加えられており、被塗布材の腐蝕の問題があっ
た。また、有機物を分解するために400℃以上の温度
が必要であり、加熱焼成中に有害なハロゲン化物や窒素
酸化物などが副成する等の欠点があった。
【0006】このように、従来の方法では密度の高い結
晶性チタニア膜を低温で作製することが困難であり、比
較的低温で作製できるゾルゲル法では有機物質や酸等を
熱処理で分解消失させることが必要で、そのことが多孔
質化しやすくする原因にもなり、密度の高い膜を作製す
るには熱処理温度を比較的高くしなければならなかっ
た。また、それらの助剤が熱処理によって窒素酸化物や
有機物気体等の有害物質を生成する欠点もあった。
【0007】こうした方法に対して、ペルオキソチタン
水和物からチタン酸化物膜を形成する場合には、特性の
良好な膜を比較的低い温度で形成可能なことが知られて
いる。ペルオキソチタン水和物は、四塩化チタン、硫酸
チタンなどの溶液に直接、過酸化水素水を添加すると、
ペルオキソチタン水和物イオンを生成し、それが縮合し
て固体析出物の形で生成されることが知られている。
【0008】また、ペルオキソチタン水和物イオンはp
Hが1以上ではチタン原子を2個以上含む多核イオンな
どとして生成し、常温では除々に縮合し、析出沈殿す
る。したがって、pHが1以上で酸化チタンの塗布剤と
して使用することは困難であるので、pHが1以下の強
酸性の塗布剤を適用可能な基体の種類は限定された。ま
た、含まれるハロゲンや硫黄等が熱処理によってハロゲ
ン化水素や硫黄酸化物等の有害物質を生成するという問
題点もあった。
【0009】また、高純度の酸化チタン膜を作製するた
めに、水素化チタンあるいはアルコキシチタンに直接に
過酸化水素水を添加して溶解して過酸化水素化チタン、
すなわちペルオキソチタン水和物と思われる物質を製造
することが特開昭62−252319号公報において提
案されている。しかしながら、これらのチタン原料は安
定ではなく、過酸化水素水を作用させた場合にかなりの
発熱反応が起こって、原料や生成物の熱分解などの悪影
響を生じるという欠点があった。したがって、大量に生
産しようとする場合には、十分に冷却ができないため
に、生成するペルオキソチタン酸が重合して非常に増粘
し、甚だしい場合には光の透過を遮る程度にまで粒子が
成長して濁ってくるので、塗布剤として使用した場合に
は膜の密着性や密度が低下する原因となる。
【0010】また、含水酸化チタンのゲルあるいはゾル
に、過酸化水素水を添加してチタニルイオン過酸化水素
錯体あるいはチタン酸と記載されているされるペルオキ
ソチタン水和物と考えられる水溶液の製造方法が特開昭
63−35419号公報、および特開平1−22422
0号公報に記載されている。ところが、水酸化チタンに
直接過酸化水素水を添加するとペルオキソ化と溶液化が
同時に起こるため発熱が大きく、十分に攪拌冷却する必
要があるが、製造量が多くなると温度調整が非常に難し
くなり、十分に冷却できないと、増粘し、縮合が起こっ
てポリマーが粒子として成長し、さらには濁ってくるこ
とがあるという問題点があった。
【0011】また、含水酸化チタンのゲルまたはゾルを
作製する場合に、アンモニアなどの塩基性物質を添加す
るが、瞬間的に含水酸化チタンの析出が起こるので不純
物であるアンモニウムイオンなどの陽イオンや塩素イオ
ンなどの陰イオンを取り込んで吸着しやすくなる。とく
に、塩素イオンや硫酸イオンなどの陰イオン不純物の存
在は、過酸化水素水を添加した後に生成するペルオキソ
チタン水和物の縮合を促進し、透明な水溶液が得られな
い場合がある。また、含水酸化チタンを蒸留水で洗浄し
ても完全に不純物を除くことは難しく、ペルオキソチタ
ン水和物の安定的な生産のためには大きな問題となって
いた。
【0012】また、本発明者は特開平9−71418号
公報、および特開平10−67516号公報において、
ペルオキソチタン水和物を加熱することによってアナタ
ーゼ超微粒子が析出した塗布剤が得られ、これによって
密着性が良好な結晶性のチタニア膜の形成が可能である
ことを提案している。これらの方法では、従来の方法に
比べて密着性が良好な結晶性のチタニア膜を形成するこ
とが可能であるが、アンモニウムイオンなどの陽イオン
の残存量が多い場合には、ペルオキソチタン水和物の水
溶液を加熱してアナターゼゾルを作製する場合に、ペル
オキソ基の分解が起こり難くなり、粒子の大きさが大き
くなって、塗布剤として使用した場合に密着性、あるい
は密度に劣る場合があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の問題
点を改善するものであり、ペルオキソチタン水和物の水
溶液の新しい作成方法を提供するものである。すなわ
ち、過酸化水素水によってペルオキソチタン水和物の水
溶液を作製する場合に、製造過程における熱的な影響に
よる縮合、あるいは粒子の必要以上の成長等によって塗
布剤として使用した場合に生じる密着性や密度の低下を
防止することを課題とするものであり、密着性が良好
で、密度が大きなチタン酸化物塗布膜が形成可能なチタ
ン酸化物形成用溶液を得ることを課題とするものであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、チタン酸化物
形成用溶液の製造方法において、チタン含有原料水溶液
に過酸化水素水を加えてペルオキソチタン錯体を形成さ
せた後に、塩基性物質を添加して得られた溶液を放置も
しくは加熱することによってペルオキソチタン水和物の
重合体の沈殿物を形成した後に、少なくともチタン含有
原料水溶液に由来する水以外の溶解成分を除去した後
に、過酸化水素水を作用させて溶液化するチタン酸化物
形成用溶液の製造方法である。また、水和物形成用に添
加した塩基性物質に由来する水以外の溶解成分を除去す
る前記のチタン酸化物形成用溶液の製造方法である。溶
解成分の除去を水洗、もしくはイオン交換反応によって
行う前記のチタン酸化物形成用溶液の製造方法である。
また、ペルオキソチタン水和物の重合体の沈殿物と過酸
化水素水との反応を、40℃以下の温度で行う前記のチ
タン酸化物形成用チタン含有溶液の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、ペルオキソチタン水和
物を経由したチタン酸化物形成用溶液の製造過程におい
て、縮合等を促進する要因を除去することによって特性
の優れたチタン酸化物形成用溶液が得られることを見い
だし本発明をなし得たものである。すなわち、反応過程
において縮合等を促進する要因となる反応生成物、ある
いは原料から混入する不純物を早期に分離することによ
って縮合等を防止し、さらに発熱反応を連続的に行うの
ではなく、過酸化水素水との反応による発熱反応の工程
を第一の発熱反応と第二の発熱反応とに分離することに
よって発熱反応に起因する問題を解決したものであり、
以下の工程から構成されている。
【0016】(1)ペルオキソチタン水和物の重合体の
析出工程 四塩化チタン等の可溶性チタン化合物を水で希釈し、適
量の過酸化水素水を添加して褐色のペルオキソ錯体を生
成せしめ、次に、アンモニア等の塩基性物質を添加し、
黄色のペルオキソチタン水和物の水溶液を作製し、この
水溶液を常温放置、あるいは加熱してペルオキソチタン
水和物の重合体を析出沈殿させる。 (2)イオン性物質や不純物の除去工程 ペルオキソチタン水和物の重合体の析出沈殿物を含む液
体を洗浄、あるいはろ過と洗浄等の処理を行って、液体
中に含まれているアンモニウムイオンや塩素イオン、あ
るいは原料に由来する不純物を取り除く。 (3)ペルオキソ水和物水溶液の形成工程 洗浄処理によってイオン性物質や不純物を除去したペル
オキソチタン水和物を室温あるいは室温以下に冷却しな
がら過酸化水素水を添加することによって、黄色透明で
準安定なペルオキソチタン水和物の水溶液を作製する。
以上の工程によって作製することによって、縮合を抑制
したチタン酸化物形成用溶液を得ることができる。
【0017】本発明の方法において原料として使用され
る可溶性チタン化合物は、四塩化チタン、硫酸チタン、
硝酸チタン、アルコキシチタンなどを挙げることができ
る。また、可溶性チタン化合物の水溶液へ添加する過酸
化水素水の量は過酸化水素/チタンのモル比は1以上が
必要で、それ以下の量では、完全にペルオキソ化が完了
しない。しかも、添加した過酸化水素水には反応に関与
することなく分解するものがあるので、過酸化水素/チ
タンのモル比が1よりも過剰に加えることが好ましい。
【0018】可溶性チタン含有溶液に過酸化水素水を加
えるとほとんど瞬時にペルオキソ化が起こり、pHが3
以下では主に陽イオンとして溶解しており、pHが3以
上では主にペルオキソチタン水和物の陰イオンとして存
在している。これはpHが高いほど早く縮合して無定型
のペルオキソチタン水和物の重合体を析出するためであ
ると考えられる。塩基性物質を添加する場合において
も、pHが低いとペルオキソチタン水和物の重合体を析
出する時間が長くなるので、pHが3以上になるまで塩
基性物質を加えることが好ましく、さらに好ましくは中
性域までpHを調整した方が良い。
【0019】塩基性物質を添加することによって生成し
たペルオキソチタン水和物の黄色透明液体から黄色の沈
殿物を生成させる場合には、室温で放置しても良いが、
加温することによって析出を促進することができる。攪
拌するとさらに析出が早くなる。しかしながら、80℃
以上に加温するとアナターゼ結晶粒子を生成する場合が
あるので、加温は、80℃以下の温度で行うことが好ま
しい。
【0020】析出沈殿物を含む液体中から液体中に含ま
れているアンモニウムイオンや塩素イオン、あるいは原
料に由来する不純物を取り除く工程では、デカンテーシ
ョン、ろ過洗浄、遠心分離などの方法、あるいはイオン
交換反応、逆浸透法を適用してイオン性物質を除去する
方法を用いることができる。
【0021】不純物の残存量が多い場合は、最終的に得
られるペルオキソチタン水和物の水溶液の安定性や性状
に悪影響を与えるので十分に処理することが望ましい。
とくに、塩素イオン等の陰イオンはペルオキソチタン水
和物の縮合を促すと考えられ、これらの除去が不十分の
場合には完全な透明にならず濁る場合がある。一方、ア
ンモニウムイオン等の陽イオンが残っていても陰イオン
を十分に除くとペルオキソチタン水和物を含む黄色透明
な水溶液を得ることができる。また、沈殿物の処理にお
いては、沈殿物が乾燥すると脱水固化をして、その後の
溶液化の工程に悪影響を及ぼすので乾燥させないように
することが必要である。
【0022】次いで、ペルオキソ水和物水溶液の形成工
程において、洗浄した析出沈殿物を含む液体に過酸化水
素水を加える場合には、添加する過酸化水素水の量は過
酸化水素/チタンの比が1以上が好ましく、それ以下で
は、完全に溶液化できない場合がある。また、あらかじ
め40℃以下に冷却しておくと、反応熱等による液の過
昇温を防ぐことができ、溶液化したペルオキソチタン水
和物が再縮合することを防止することができる。反応中
の液温度が40℃以上になると非常に増粘するため、液
温度は、40℃以下とすることが必要であり、好ましく
は20℃以下に冷却することが好ましい。
【0023】水酸化チタンあるいは酸化チタン水和物に
直接、過酸化水素水を加える従来の方法では、ペルオキ
ソ化及び溶解過程が連続して起こるため大きく発熱する
が、既にペルオキソ化しているペルオキソチタン水和物
の重合体を溶液化する場合にはそれほどの発熱を伴わな
いで比較的緩やかに反応が進むので、品質の優れたペル
オキソチタン水和物の水溶液を得ることができる。
【0024】この溶液化過程では、室温以上に加熱され
ると、溶液化したペルオキソチタン水和物が再縮合する
ため、液の増粘、微粒子の形成、不透明化などによって
目的の酸化チタン塗布剤が得られない場合があるので、
沈殿物含有液体を予め冷却した後に過酸化水素水を添加
するか、あるいは冷却下で過酸化水素水を添加すること
が好ましい。
【0025】本発明のチタン酸化物形成用液体は、塗布
剤として塗布した後に、200℃未満の加熱処理では非
晶質の酸化チタン膜、200℃以上での加熱処理では結
晶性の緻密な酸化チタン膜を作製できる。これらの膜は
耐酸性に優れ、各種の防蝕被覆としても利用できる。
【0026】また、80℃以上の加熱処理をしたアナタ
ーゼゾル液体は塗布するだけで結晶性のチタニア膜が形
成できるため、加熱処理をできない材料の塗布剤として
有用である。このような方法において、保護被膜や光触
媒等種々の用途に利用可能であり、しかも比較的密度が
高く密着性の良いものを比較的低温で得ることができ
る。
【0027】本発明のチタン酸化物塗布剤は、各種微粒
子を分散させる働きがあり、固体微粒子と混合して、超
音波やボールミル等で分散させることができ、それを塗
布して乾燥焼成などで得られる酸化チタン膜の中に、他
の物質を担持あるいは分散した複合体を作成することも
可能である。また、塗布する基体としては、セラミック
ス、陶磁器、金属、プラスチックス、繊維、建材等、用
途に応じた加熱処理に耐え得る素材であればあらゆるも
のに塗布可能であり、多孔体の内部や粉体の表面処理を
行なうことも可能であり、本発明で作製されるチタン酸
化物塗布剤は各種材料製品の保護被膜、光触媒膜、紫外
線カット被膜、着色塗布膜、誘電体膜、膜型センサー、
酸化チタンゾルの製造などの分野に利用され得る。
【0028】
【実施例】以下に、実施例を示し本発明を説明する。 実施例1 四塩化チタン60%水溶液5mlを蒸留水で500ml
に希釈した溶液に、過酸化水素水30%溶液を20ml
加えて攪拌して褐色の透明液体を作製し、この溶液にア
ンモニア水(1:9)を滴下してpHを7とし、黄色透
明の溶液を作製した。得られた溶液を25℃で一昼夜放
置し、黄色の析出沈殿物を生成させた。これを、ろ過洗
浄後、蒸留水で約150mlとし、陽イオン交換樹脂及
び陰イオン交換樹脂をそれぞれ25gずつ投入して30
分間放置し、陽イオン性物質、陰イオン性物質を除去し
た。陽イオン交換樹脂としては、オルガノ製アンバーラ
イトIR120B(Na+置換型)を2N塩酸で1時間
処理した後に洗浄して、H+ 置換型としたものを用い、
陰イオン交換樹脂としては、オルガノ製アンバーライト
IRA410(Cl - 置換型)を1N水酸化ナトリウム
で1時間処理した後に洗浄して、OH- 置換型としたも
のを用いた。
【0029】得られた黄色沈殿物を25℃で乾燥して得
られた粉末をX線回折装置(理学電機製 RAD−B)
によって、銅ターゲットを用い、加速電圧30kV、電
流15mAの測定条件で測定し、その結果を図1に示
す。得られた沈殿物はアモルファス状態のものであっ
た。また、25℃で乾燥して得た粉末を臭化カリウム粉
末と混合して錠剤を形成した臭化カリウム錠剤法によっ
て、フーリエ変換赤外線吸収スペクトル測定装置(日本
分光製 FT/IR−5300)で透過法によって測定
し、その結果を図2に示す。900cm-1付近に吸収が
認められ、ペルオキソ基が存在していることが認められ
た。
【0030】次に、ろ過してイオン交換樹脂を取り除い
た後、蒸留水で約180mlとし、氷水で冷却し、過酸
化水素水30%溶液を20ml加えて引き続き冷却する
ことによって、1時間後にチタンを含む透明黄色液体2
00mlを得た。7℃の冷蔵庫での保存では1ヶ月以上
経ても変化がなかった。また、調製してから5日後のp
Hは5.1であった。この透明黄色液体を常温で乾燥し
た粉末についても、同様にX線回折によって測定した結
果を図3に示す。X線回折の結果、結晶性を示すピーク
は認められず非晶質であった。また同様にフーリエ変換
赤外分光分析によって測定した結果を図4に示す。90
0cm-1付近に吸収が認められ、ペルオキソ基が多数存
在していることが確認できた。
【0031】実施例2 実施例1で得られた黄色透明の液体をガラス容器に密閉
し、100℃で5時間加熱し、淡黄色半透明の液体を得
た。この液体のpHは8.8であった。この液体を常温
で乾燥した粉末を、実施例1と同様にX線回折で調べた
ところ、結晶性のアナターゼが生成しており、得られた
液体はアナターゼゾルであった。
【0032】実施例3 実施例1で得られた液体をスライドガラス上に塗布乾燥
を4回繰り返し、各種温度で熱処理して、厚み約1μm
の膜を作製した。X線回折により200℃未満では無定
型であったが、200℃以上ではアナターゼの存在が確
認された。また、常温以上で乾燥あるいは熱処理した膜
は、セロハンテープ引きはがし試験によって剥離が起き
なかった。
【0033】セロハンテープ引き剥がし試験は、形成し
た膜に1mm間隔でカッターナイフで傷をつけた後に、
セロハンテープ(ニチバン製)を粘着させた後に、1c
m/秒の速度で形成した膜と垂直方向へ引き剥がし、膜
表面およびセロハンテープ面を観察して膜剥がれの有無
を調べた。
【0034】実施例4 四塩化チタン60%水溶液5mlを蒸留水で500ml
に希釈した溶液に、過酸化水素水30%溶液を20ml
加えて攪拌し褐色の透明液体を作製し、この溶液にアン
モニア水(1:9)を滴下してpHを7とし、黄色透明
の溶液を作製した後に50℃で2時間加熱し、黄色の析
出沈殿物を作製した。次いで、析出沈殿物のろ過洗浄を
行った。この黄色の析出沈殿物を含む液体を130ml
とし、15℃において過酸化水素水30%溶液を20m
l加えて放置し、12時間後に透明黄色液体150ml
を得た。過酸化水素水を添加後の液温は最高20℃まで
上昇した。数日後のpHは5.0であり、液体の粘度は
8cpであった。
【0035】比較例1 四塩化チタン60%水溶液5mlを蒸留水で500ml
に希釈した溶液に、アンモニア水(1:9)を滴下して
pHを7とし、白色ゲル状の水酸化チタンを沈殿させ、
ろ過洗浄を行い、蒸留水で130mlとした。次に、液
温を15℃とし、過酸化水素水30%溶液を20ml加
えて放置し、12時間後にチタンを含む黄色液体150
mlを得た。その間の液温は最高41℃まで上昇した。
調製してから5日後のpHは5.0であった。この液体
はゼリー状にゲル化し、その粘度は約28000cpで
あり、コーティング剤としては使用困難であった。
【0036】
【発明の効果】本発明に係る製造方法によってチタン酸
化物形成用溶液を作製すれば、従来の方法では同時に進
行していたペルオキソ化と溶液化を分離させることがで
き、特に、溶液化する場合に問題となる加熱によるペル
オキソチタン水和物の縮合の抑制を容易に行うことがで
きる。その結果、ペルオキソチタン水和物の水溶液を安
定的に提供することができ、また、ペルオキソチタン水
和物の水溶液を加熱して作製するアナターゼゾルの安定
供給が可能となる。したがって、産業上において与える
効果も大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例で得られた沈殿物のX線回折結
果を説明する図である。
【図2】図2は、実施例で得られた沈殿物のフーリエ変
換赤外線吸収スペクトル測定による測定結果を説明する
図である。
【図3】図3は、実施例で得られた透明黄色液体のX線
回折結果を説明する図である。
【図4】図4は、実施例で得られた透明黄色液体のフー
リエ変換赤外線吸収スペクトル測定による測定結果を説
明する図である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン酸化物形成用溶液の製造方法にお
    いて、チタン含有原料水溶液に過酸化水素水を加えてペ
    ルオキソチタン錯体を形成させた後に、塩基性物質を添
    加して得られた溶液を放置もしくは加熱することによっ
    てペルオキソチタン水和物の重合体の沈殿物を形成した
    後に、少なくともチタン含有原料水溶液に由来する水以
    外の溶解成分を除去した後に、過酸化水素水を作用させ
    て溶液化することを特徴とするチタン酸化物形成用溶液
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 水和物形成用に添加した塩基性物質に由
    来する水以外の溶解成分を除去することを特徴とする請
    求項1記載のチタン酸化物形成用溶液の製造方法。
  3. 【請求項3】 溶解成分の除去を水洗、もしくはイオン
    交換反応によって行うことを特徴とする請求項1または
    2に記載のチタン酸化物形成用溶液の製造方法。
  4. 【請求項4】 ペルオキソチタン水和物の重合体の沈殿
    物と過酸化水素水との反応を、40℃以下の温度で行う
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の
    チタン酸化物形成用チタン含有溶液の製造方法。
JP05086999A 1999-02-26 1999-02-26 チタン酸化物形成用溶液の製造方法 Expired - Lifetime JP3490013B2 (ja)

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