JP2016528149A - 超親水性コーティング - Google Patents

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Abstract

ケイ素酸化物から本質的に構成されている超親水性コーティングを調製する方法が提供される。該方法は、フッ素含有ケイ素錯体及びフッ素捕捉剤を含む水性混合物を提供することと;基材を約100℃未満の温度で水性混合物と接触させて基材上に前記超親水性コーティングを得ることとを含む。二酸化ケイ素のアイランドから本質的に構成され、各アイランドが約10nm〜約50nmの範囲の大きさを有する超親水性コーティング、並びに様々な用途、例えばレンズ、ゴーグル、防汚コーティング、自浄表面、鏡、風防、窓、表面用プライマー層、及び調理器具用のカバーなどにおける超親水性コーティングの使用も提供される。

Description

本発明は超親水性コーティングに関する。
固体表面の濡れ性は様々な商業的用途にとって重要である。150°を超える水滴接触角を有する超疎水性表面、又は10°未満の水滴接触角を有する超親水性表面を得るための表面改質に関する研究は、大きな注目を浴びてきた。
これまでは、表面は該表面に自浄特性を付与するために超疎水性となされてきた。不運にして、一般に有機化合物に基づくそのようなコーティングは長持ちせず、ほとんどが定期的に再施用されなければならない。
他方、超親水性表面は、UV光の照射で超親水性となる二酸化チタン(TiO)のような光化学的に活性な材料を使用して得られうる。しかしながら、光触媒活性によって生じた上記の超親水性薄膜は、UV照射が除かれた数分〜数時間後に、又は暗所に保管した後に、その超親水性を失う。これに対処するために、例えば、TiOナノ粒子及びポリエチレングリコールの多層アセンブリのような複合材システムの形成による研究がなされてきたが、TiOの濡れ挙動を保持するということは未だ難問である。更に、TiO被膜は600℃を上回る温度でしか表面上に施用されない可能性がある。このことは、TiO被膜の適用範囲を高温に耐えることができる材料に限定している。
上記を考慮すると、前述の問題のうち1つ以上を克服又は少なくとも緩和する、改善された超親水性コーティング及び該超親水性コーティングを調製する方法が依然として必要とされている。
概要
第1の態様では、本発明は、ケイ素酸化物から本質的に構成されている超親水性コーティングを調製する方法に関する。該方法は、
a)フッ素含有ケイ素錯体及びフッ素捕捉剤を含む水性混合物を提供することと;
b)基材を、約100℃未満の温度で前記水性混合物と接触させて、基材上に超親水性コーティングを得ることとを含む。
第2の態様では、本発明は、第1の態様の方法によって調製された、ケイ素酸化物から本質的に構成されている超親水性のコーティングに関する。
第3の態様では、本発明は、二酸化ケイ素のアイランドから本質的に構成されており、各アイランドが約10nm〜約50nmの範囲の大きさを有する超親水性コーティングを指す。
第4の態様では、本発明は、レンズ、ゴーグル、防汚コーティング、自浄表面、鏡、風防、窓、表面用プライマー層、及び調理器具用のカバーにおける、第1の態様の方法によって調製された超親水性コーティング又は第3の態様による超親水性コーティングの使用を指す。
本発明は、非限定的な実施例及び添付の図面と併せて考慮されたとき、詳細な説明を参照すれば一層よく理解されるであろう。
50℃にてガラス基材上で成長させた薄膜の表面形態を示す、走査電子顕微鏡検査(SEM)の結果を示す図。 ガラス基材及びガラス上で成長させた薄膜の紫外・可視分光分析(UV/VIS)での透過スペクトルを示すグラフ。 二酸化ケイ素(SiO)コーティングを備えたガラス基材及び備えていないガラス基材の可視範囲における反射率スペクトルを示すグラフ。 Siの2pについてSiO薄膜のX線光電子分光分析(XPS)スペクトルを示すグラフ。 Oの1sについてSiO薄膜のXPSスペクトルを示すグラフ。 ガラス基材上に成長させたSiO薄膜の飛行時間型二次イオン質量分析(TOF‐SIMS)結果を示すグラフ。 無処理のガラス基材のTOF‐SIMS結果を示すグラフ。 接触角測定の際の2μLの水滴の滴下を示す図。 コーティングされていないガラス上における2μLの水滴を示す図。 SiO薄膜でコーティングされたガラス上における2μLの水滴を示す図。SiO薄膜でコーティングされたガラス上での接触角測定の際の2μLの水滴の拡張は、SiO薄膜の超親水性の挙動を実証している。 1週間経過後のSiO薄膜についての接触角測定を示す図。 1か月経過後のSiO薄膜についての接触角測定を示す図。 2か月超経過後のSiO薄膜についての接触角測定を示す図。 液相析出法(LPD)を使用して成長させたSiO薄膜についての経時的な接触角の変化を示すグラフ。 SiO薄膜で部分的に覆われたスライドガラスを示す図。SiO薄膜コーティングを備えたスライドガラス及び備えていないスライドガラスにおける水噴霧試験を示す。 SiO薄膜で部分的に覆われたスライドガラスを示す図。SiO薄膜コーティングを備えたスライドガラス上及び備えていないスライドガラス上の水滴の接触角を示す。 SiO薄膜上の水滴の接触角に対する水洗浄の効果を示す図。2か月前に析出させたSiO薄膜上に滴下された後の水滴の接触角を示す。 SiO薄膜上の水滴の接触角に対する水洗浄の効果を示す図。水を用いた薄膜の洗浄後におけるSiO薄膜上の水滴の接触角を示す。 SiO薄膜上の水滴の接触角に対する水洗浄の効果を示す図。水を用いた薄膜の超音波洗浄後におけるSiO薄膜上の水滴の接触角を示す。 SiO薄膜上の水滴の接触角に対する、洗剤を使用した洗浄の効果を示す図。 SiO薄膜上の水滴の接触角に対する、ピラニア溶液を使用した洗浄の効果を示す図。 ガラス上で成長させたSiO薄膜の断面SEMを示す図。
詳細な説明
第1の態様では、本発明は、ケイ素酸化物から本質的に構成されている超親水性コーティングを調製する方法に関する。本明細書中で使用されるように、用語「超親水性」とは、基材の属性であって水滴と該基材の表面との間の接触角が約10°より小さくなる属性を指す。例えば、本明細書中に開示される超親水性コーティングの接触角は、10°未満、例えば8°未満、6°未満、又は5°未満などとなりうる。
好都合には、本明細書中に開示される超親水性のケイ素酸化物コーティングは、100℃未満の低い成長温度で液相析出プロセスを使用して得ることができる。このことは調製方法の融通性につながる、というのも、重合体膜、プラスチック及び有機物の基材又は表面などのような熱に弱い表面を含む、あらゆる基材上で、超親水性のケイ素酸化物コーティングが形成されうるからである。さらに、このケイ素酸化物コーティングを調製する方法は簡単であり、かつバッチプロセス及び低コスト製作のために大面積の基材へと容易にスケールアップされうる。該コーティングの超親水性を活性化するために光触媒による活性化又はUV照射は必要とされないので、これは超親水性コーティングを夜間及び光の弱い屋内での使用に適したものとする。
本明細書中に開示された方法を使用して調製された超親水性コーティングは、ケイ素酸化物から本質的に構成されている。「本質的に構成されている」という用語によって、該コーティングが例えば調製プロセスから生じる可能性のある微量の他の物質を含有しうることが意味される。微量の他の物質は、原子組成百分率で5at%未満、例えば2at%未満、好ましくは1at%未満、さらにより好ましくは0.5at%未満などの量で存在しうる。具体的な実施形態では、本明細書中に開示された方法を使用して調製された超親水性コーティングは、ケイ素酸化物からなる。
一般に、ケイ素酸化物は二酸化ケイ素の形態である。様々な実施形態において、ケイ素酸化物は二酸化ケイ素(SiO)からなる。好都合なことに、二酸化ケイ素は優れた化学的安定性と低い屈折率を伴う良好な光透過率とを有し、このことが、様々な用途における、例えば電子デバイスなどにおけるパッシベーション層としての、またディスプレイ用の反射防止コーティングとしての、二酸化ケイ素の適性をもたらす。
方法はフッ素含有ケイ素錯体とフッ素捕捉剤とを含む水性混合物を提供することを含む。様々な実施形態において、水性混合物は、フッ素含有ケイ素錯体及びフッ素捕捉剤で本質的に構成されている、又はフッ素含有ケイ素錯体及びフッ素捕捉剤からなる。
様々な実施形態において、フッ素含有ケイ素錯体は一般式(I):
SiF (I)
を有し、
上記式中、Aは、水素、アルカリ金属、アンモニウム基、及び配位水からなる群から選択される。例えば、Aは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムのようなアルカリ金属であってよい。いくつかの実施形態では、Aはアンモニウム基である。
様々な実施形態において、フッ素含有ケイ素錯体は、ヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸カリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。具体的な実施形態では、フッ素含有ケイ素錯体はヘキサフルオロケイ酸アンモニウム((NHSiF)を含むか又はヘキサフルオロケイ酸アンモニウムからなる。
様々な実施形態において、フッ素含有ケイ素錯体は、例えば粉体、ゲル及び薄膜のうち少なくともいずれかのような様々な形態のSiOをNHF又はHFと混合することにより提供されうる。いくつかの実施形態において、シリカの微粒子、粉体及びゲルのうち少なくともいずれかを水性混合物に添加して水性混合物を飽和させる。
水性混合物中のフッ素含有ケイ素錯体の濃度は約0.02M〜約0.1Mの範囲であってよい。例えば、水性混合物中のフッ素含有ケイ素錯体の濃度は、約0.05M〜約0.1M、約0.07M〜約0.1M、約0.08M〜約0.1M、約0.02M〜約0.08M、約0.02M〜約0.06M、約0.02M〜約0.04Mの範囲、約0.02M、約0.05M、約0.07M、又は約0.1Mであってよい。フッ素含有ケイ素錯体が(NHSiFである具体的な実施形態では、水性混合物中の(NHSiFの濃度は約0.1Mであってよい。
用語「フッ素捕捉剤」とは、フッ素含有ケイ素錯体を含む水性混合物中のフッ化物イオンを捕捉してケイ素酸化物を沈殿させることができる化合物を指す。フッ素含有ケイ素錯体及びフッ素捕捉剤を含む水性混合物を提供し、基材を該水性混合物と接触させることにより、ケイ素酸化物から本質的に構成されている超親水性コーティングが基材上に沈殿又は析出されうる。
フッ素捕捉剤は、ホウ酸、アルカリ金属ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、無水ホウ酸、一酸化ホウ素、塩化アルミニウム、水酸化ナトリウム、アンモニア水、金属アルミニウム、酸化アルミニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されうる。様々な実施形態において、フッ素捕捉剤はホウ酸を含むか又はホウ酸からなる。
水性混合物中のフッ素捕捉剤の濃度は約0.06M〜約0.3Mの範囲にあってよい。例えば、水性混合物中のフッ素捕捉剤の濃度は、約0.08M〜約0.3M、約0.1M〜約0.3M、約0.15M〜約0.3M、約0.2M〜約0.3M、約0.25M〜約0.3M、約0.06M〜約0.25M、約0.06M〜約0.2M、約0.06M〜約0.15M、約0.06M〜約0.1Mの範囲、約0.06M、約0.15M、約0.2M、又は約0.3Mであってよい。フッ素捕捉剤がホウ酸である実施形態において、水性混合物中のホウ酸の濃度は約0.3Mであってよい。
様々な実施形態において、フッ素含有ケイ素錯体及びフッ素捕捉剤を含む水性混合物の提供は、フッ素含有ケイ素錯体及びフッ素捕捉剤をそれぞれ個別の水溶液に溶解することと、その後それぞれの水溶液を混合して水性混合物を形成することとを含む。混合は、任意の適切な方法、例えば撹拌、振盪、混成、又は渦流混合などを使用して実行されうる。混合は、フッ素含有ケイ素錯体及びフッ素捕捉剤を、水性混合物が少なくともほぼ均質であるような方法で混合するために実行されうる。
方法は、約100℃未満の温度で基材を水性混合物と接触させて基材上に前記超親水性コーティングを得ることを含む。
基材は、任意の適切な材料、例えばごく少数を挙げればガラス、金属、セラミックス、有機ポリマー材料、プラスチック、半導体などで作られたものであってよい。さらに、これらの材料の複合材も基材として使用されうる。具体的な実施形態では、基材はガラス基材である。基材の形状及び構造は恣意的に選択されてよく、かつ平面に限定されない。例えば、基材は非平面形状を有してもよいし、製品の、又は超親水性コーティングが施されるべき表面を有する建造物の形態であってもよい。
基材と水性混合物との接触は、基材を水性混合物中に浸漬することにより実行されうる。基材を水性混合物中に浸漬することにより、表面であって該表面上に超親水性コーティングが形成されうる表面が提供される。超親水性のケイ素酸化物コーティングは、水性混合物に接触している基材の少なくとも一部分の上に沈殿しうる。様々な実施形態において、超親水性のケイ素酸化物コーティングは水性混合物に接触している基材のほぼ全体の上に沈殿する。
ケイ素酸化物の形成の速度は、例えば、フッ素含有ケイ素錯体及びフッ素捕捉剤の濃度及び比率、pH、並びに温度によって制御されうる。
本明細書中に開示された実施例1の、ル・シャトリエの原理による第1の等式を参照すると、等式の左側の[SiF2−の形のフッ素含有ケイ素錯体の濃度が高いほど、これが等式を右へと推進するので、より速い正反応がもたらされる。同じ原理によって、例えば、HBOのようなフッ素捕捉剤の濃度を増大させることによって、等式の右側に存在するHFの濃度を低下させると、等式は左へと推進されて、SiOのより速い形成がもたらされる。
他方、pHはSiOの溶解度に影響する。水性混合物のpHをSiOがより溶解しやすい値に設定することによって、固体SiOの形成の程度がより低くなる。反対に、SiOがそれほど溶解しない値に水性混合物のpHが設定されると、固体SiOの形成の程度は高くなりうる。
pHとは別に、温度もSiOの溶解度に影響しうる。同時に、温度は化学反応が起こる速度も高めうる。
上述のように、100℃未満の低い成長温度を使用するということは、プラスチックのような重合体膜及び有機物の基材/表面の上にケイ素酸化物の薄膜が形成されうることを意味している。様々な実施形態において、基材と水性混合物との接触は、約50℃〜約80℃の範囲、例えば約60℃〜約80℃、約70℃〜約80℃、約50℃〜約70℃、約50℃〜約60℃、約60℃〜約70℃、約50℃、約60℃、約70℃、又は約80℃の温度で実行される。具体的な実施形態において、基材と水性混合物との接触は、透明性の高いコーティングを得るために80℃未満の温度で実行される。
基材と水性混合物との接触は、超親水性コーティングを得るのに十分な任意の適切な時間にわたって実行されうる。この時間は、使用されるフッ素含有ケイ素錯体、及び基材を水性混合物と接触させる温度に応じて変化しうる。より低い温度が使用される場合は、例えば、超親水性コーティングを成長又は形成させるためのより長い接触時間が必要とされうる。接触時間を制御することにより、基材上に形成される超親水性コーティングの厚さが制御されうる。
様々な実施形態において、基材と水性混合物との接触は、約2時間〜約72時間の範囲の時間、例えば約6時間〜約72時間、例えば約12時間〜約72時間、約24時間〜約72時間、約36時間〜約72時間、約48時間〜約72時間、約60時間〜約72時間、約2時間〜約60時間、約2時間〜約48時間、約2時間〜約36時間、約2時間〜約24時間、約2時間〜約12時間、約12時間〜約60時間、約12時間〜約48時間、約12時間〜約24時間、約3時間〜約12時間、又は約12時間〜約24時間にわたって実行される。
様々な実施形態において、こうして得られた超親水性のケイ素酸化物コーティングはほぼ均一な厚さを有する。様々な厚さの超親水性のケイ素酸化物コーティングが、基材と水性混合物との接触時間を制御することにより得られうる。一般に、接触時間がより長いほど、より厚いコーティングが生じる。
例えば、超親水性のケイ素酸化物コーティングの厚さは、約100nm〜約600nmの範囲、例えば約150nm〜約600nm、約200nm〜約600nm、約300nm〜約600nm、約400nm〜約600nm、約500nm〜約600nm、約100nm〜約500nm、約100nm〜約400nm、約100nm〜約300nm、約100nm〜約200nm、約200nm〜約400nm、約250nm〜約450nm、又は約300nm〜約400nmであってよい。例えば、図12に示される実施形態では、超親水性のケイ素酸化物コーティングの厚さは約360nmである。
上述のように、超親水性コーティングの超親水性を活性化するためにUV励起は必要とされない。このことは、光触媒による活性化又はUV励起が必要とされる、酸化チタンを含有する超親水性コーティングを調製する当分野の方法の状況とは違うことを示している。UV励起の必要が除かれることにより、本明細書中に開示された超親水性コーティングの、夜間及び屋内での使用についての適用可能性が生じる。
本明細書中に開示された方法によって調製された超親水性コーティングは、二酸化ケイ素のアイランドから本質的に構成されうる。本明細書中で使用されるように、用語「アイランド」は、層の特徴的なエリアであって層から突出している明確な幾何学的形状を有するエリアを指す。様々な実施形態において、超親水性コーティングは、融合して連続薄膜を形成することができる二酸化ケイ素アイランドでできている。
二酸化ケイ素のアイランドはそれぞれ約10nm〜約50nmの範囲の大きさを有しうる。例えば、二酸化ケイ素のアイランドはそれぞれ、約20nm〜約50nm、約30nm〜約50nm、約40nm〜約50nm、約10nm〜約40nm、約10nm〜約30nm、約10nm〜約20nm、又は約20nm〜約40nmの範囲の大きさを有しうる。アイランドは、形状が規則的でないか、同一の形状でないかのうち少なくともいずれかとなりうるので、本明細書中で使用されるような用語「大きさ」はアイランドの最大寸法を指す。様々な実施形態において、二酸化ケイ素アイランドは本質的に単分散であり、用語「単分散」は少なくともほぼ同一の大きさのアイランドを指す。
本明細書中に開示されたコーティングの超親水性は、薄膜の多孔性の性質に起因しうる。様々な実施形態において、超親水性コーティングはメソ多孔性である。IUPACの定義によれば、メソ孔は約2nm〜約50nmの大きさを有する。メソ孔は二酸化ケイ素のアイランドによって画成され、アイランド間の空間の形態で存在しうる。好都合には、該超親水性コーティングは透明性が高く、かつ成長した時点で超親水性であり、これは成長後の熱処理が必要ないことを意味している。
超親水性コーティングは、350nm〜750nmの波長域において少なくとも85%の透過率を示しうる。本明細書中で使用されるような用語「透過率」は、入射光の強度と比較した、材料を通して伝達された放射光の強度であって、百分率として表されるものを指す。350nm〜750nmの波長域は電磁スペクトルの可視光線範囲に相当する。様々な実施形態において、コーティングは、350nm〜750nmの波長域において少なくとも85%、少なくとも87%、又は少なくとも90%の透過率を示す。
さらなる態様では、本発明は、第1の態様による方法で調製されたケイ素酸化物から本質的に構成されている超親水性コーティング、及び、各々が約10nm〜約50nmの範囲の大きさを有する二酸化ケイ素アイランドから本質的に構成されている超親水性コーティングを指す。
上述のように、超親水性コーティングはメソ多孔性であってよい。超親水性コーティングは、350nm〜750nmの波長域において少なくとも85%の透過率を示しうる。
第4の態様では、本発明は、建造物、レンズ、ゴーグル、防汚コーティング、自浄表面、鏡、風防、窓、表面用プライマー層、及び調理器具用のカバーにおける、第1の態様による方法で調製された超親水性コーティング又は第3の態様による超親水性コーティングの使用に関する。
様々な実施形態において、超親水性コーティングは、水をはじくのではなく水を引き寄せることができる。これは、ガラス又はプラスチックの表面上の曇りを防止し、かつ表面をより長期間にわたってより清浄に維持する水の層を作出する。例えば、超親水性コーティングで建造物外面をコーティングすると、雨の間の自己清浄が可能となる。好都合なことに、その超親水性の性質ゆえに、該コーティングは、視覚を害する水滴を形成する撥水技術とは対照的に、追加の均一な水層を作出してより良好な視界を生じる。このことは、本明細書中に開示された超親水性コーティングを、可視範囲において高い透過率を必要とする鏡、風防及びビル窓の表面に適用するのに特に適したものとする。
別例として、本明細書中に開示された超親水性コーティングは、その上にコーティングされる例えば膠着剤のような次層の接着強さの改善を助けるために、プライマー層として機能するべく表面上に適用されてもよい。超親水性コーティングを含むプライマー層は、その上にコーティングされる層の均一性を改善するためにも使用されうる。
以下に、本発明の典型的な実施形態が示された添付の図面を参照しながら、本発明についてより十分に説明することとする。しかしながら本発明は様々な形態で具体化されることが可能であり、本明細書中に述べられた典型的な実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全となり、また当業者に対して本発明の範囲を十分に伝えることになるように提供される。図面において、層及び領域の長さ及び大きさは、明瞭にするために誇張されている場合がある。
本明細書中で使用されるように、用語「及び〜のうち少なくともいずれか」は、列挙された関連項目のうち1つ以上のあらゆる組み合わせを含む。本明細書中で使用される専門用語は、特定の実施形態のみについて説明するためのものであり、本発明を限定するようには意図されていない。本明細書中で使用されるように、単数形「1つの」並びに「その」、「該」、「前記」は、文脈からそうでないことが明白でないかぎり、同じく複数形を含むように意図されている。さらに、用語「含む」は、本明細書において使用される場合、述べられた特徴、整数値、ステップ、操作、要素、及び成分のうち少なくともいずれかの存在を指すが、1つ以上の他の特徴、整数値、ステップ、操作、要素、成分、及びこれらの群のうち少なくともいずれかの存在又は追加を妨げないということは、理解されるであろう。
本明細書中に例証を用いて記載された発明は、本明細書中に具体的に開示されていない任意の1つ又は複数の要素、1つ又は複数の限定が存在しなくとも適切に実行されうる。よって、例えば、用語「含む」、「含有する」などは、拡張的かつ限定を伴わずに解釈されるものとする。加えて、本明細書中で使用される用語及び表現は、限定の用語ではなく説明の用語として使用されており、そのような用語及び表現の使用には、示されかつ説明された特徴又はその一部のいかなる等価物も除外する意図はなく、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲内において様々な改変が可能であることが認識されている。よって、本発明については好ましい実施形態及び任意選択の特徴によって具体的に開示されてきたが、本明細書中に開示された具体化された発明の改変形態及び変形形態が当業者によって用いられうること、並びに、そのような改変形態及び変形形態は本発明の範囲内にあるとみなされることは理解されるはずである。
本発明について、本明細書中に広範囲かつ総括的に説明がなされてきた。総括的な開示の範囲内にある、より狭い種類のもの及び下位概念的群分けもそれぞれ、本発明の一部を形成する。これは、除かれる材料が本明細書中に具体的に挙げられているかどうかにかかわらず、その上位概念から任意の主題を除く条件付き又は消極的な限定を伴った、本発明の総括的な説明を含んでいる。
その他の実施形態は添付の特許請求の範囲及び非限定的な実施例の内にある。加えて、本発明の特徴又は態様がマーカッシュ群を用いて記載される場合、当業者は、本発明がその結果としてマーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はメンバーの部分群を用いても記載されることを認識するであろう。
実験の部
ここで開示された液相析出法は、低温でガラス基材上において成長した均一で透明なSiO薄膜を合成するために使用された。このナノ多孔性のSiO薄膜は、UV光の照射が存在しない状態で超親水性及び防曇性を成し遂げた。
SiO薄膜を成長させる様々な技法、例えば熱酸化、化学蒸着法、高周波反応性イオンスパッタリング、スピンオングラス、液相析出法(LPD)などが存在する。溶液の化学析出方法すなわちゾル‐ゲル法及び液相析出法(LPD)は、魅力的な選択肢を提示する可能性がある。しかしながら、第1の技法は、SiOの形成を達成するために析出後のアニーリング及び複雑なプロセスを必要とする。LPDのSiOは、他の方法よりも優れたいくつかの利点、すなわち低い成長温度(T<100℃)、特殊な装置又は制御環境(例えば真空系)の不必要、も有する。したがって、LPDは、様々な基材(特に高温に耐えることができないもの)においてSiO薄膜を調製するための万能の技法であると考えられる。
LPDのプロセスは、そのような技法に伴う固有の単純性及び低いコストゆえに、関心が高まっている。薄膜の析出は、広い面積にわたって、複雑な形状及び多孔性基材に一致するようにSiO薄膜を析出するために、プラスチック/ガラスのビーカーの中で完了させることができる。該プロセスに複雑な機器は必要なく、析出は低温で(本例では100℃未満で)完了させることができる。ゾル‐ゲル法とは異なり、高温でのアニーリングはこの方法においては回避される。よって、LPDについては、温度感受性で高温のプロセスに耐えることができない様々な基材上にSiO薄膜を調製することが約束されうる。
この方法を使用して、結晶性の金属酸化膜が、低温(25℃〜100℃)の水溶液から直接得られる可能性がある。これは、一般的なフッ素捕捉剤としてホウ酸を用いた金属フッ素錯体[MFm−nの緩徐型加水分解に基づいている。この技法は、低温の過飽和の化学溶液中に対象の基材を浸漬することにより、大面積にわたって良好な均一性を備えた酸化膜を生じる。
実施例1:方法論
水溶液中の金属フルオロ錯体と金属酸化物との間の化学平衡反応による水性前駆物質からの結晶SiOの形成は、次の反応すなわち
[SiF2−+nHO→[SiF6−n(OH)2−+nHF
BO+4HF→HBF+3H
に示される通りである。
このフッ化物リガンドは、ホウ酸がF捕捉剤として働くのでホウ酸濃度の制御を介してより緩徐かつより制御し易い加水分解を呈する。
0.02M〜0.1Mのヘキサフルオロケイ酸アンモニウム(NHSiFと、0.06M〜0.3Mのホウ酸とを含有する溶液は、水中にそれぞれの粉体を溶解することにより別々に調製された(NHSiFの溶液及びホウ酸の溶液を混合することにより調製された。最初に、ガラス基材を、ピラニア溶液(体積比率は3HSO:1H)に室温で15分間浸漬することにより清浄化した。次に、該ガラス基材をDI水で清浄化し、風乾させ、溶液とともにテフロン(登録商標)ライナーの中で表を下にして吊り下げ、50℃〜80℃のコンベクションオーブン中に12時間〜24時間置いた。
図1は、0.1Mの(NHSiF及び0.3Mのホウ酸を使用して50℃で16時間成長させた、ガラス基材上に形成された薄膜の表面形態であって、直径10nm〜50nmのアイランドで構成されている表面形態を示している。これらのアイランドは可視光の波長より小さく、400nm〜700nmの範囲すなわち可視光において高い透過率を達成するための重要な要因であった。SEMから、薄膜はアイランド様式で成長することが示された。AFMにより、薄膜は非常に滑らかであり6.2nmの二乗平均粗さVrmsを有することが明らかとなった。
実施例2:光学的性質
図2は、50℃で16時間成長させた薄膜の透過率をコーティングされていないガラス基材と比較して示している。無処理のガラス基材の透過率は350nm〜800nmの波長域において約91%であった。SiOコーティングガラスの透明度はガラス基材とほとんど同じであり、300nm〜800nmの波長域において約85%〜89%の透過率を備えていた。全ての薄膜が85%〜89%の高いレベルを維持しており、これはスライドガラスの透過レベルがコーティングされたSiO薄膜に影響されなかったことを示している。結果から、薄膜が可視域において高い透明性を有することが実証された。SiOコーティングされたガラス基材の可視域における反射率スペクトルは図3に示されている。無処理のガラス基材も比較として測定された。ガラス基材はSiOコーティングを備えても備えていなくとも7%〜9%の範囲の同様の反射率を示したが、コーティングされたガラスの反射性はコーティングされていないガラスよりも低く、これはいかなる眩輝問題も存在しないことを示している。
X線光電子分光分析(XPS)はSiO薄膜の元素組成を明らかにするために使用された(図4A及び4B)。観察された結合エネルギーのピークは、Siの2p軌道、Oの1s軌道に相当した。薄膜中に存在する元素の定量分析は、ピーク下面積をその原子の感度係数で割ったものの測定により実施された。XPSの結果は、SiOがSi元素及びO元素だけでなく、前駆物質溶液由来の残存元素に起因するF元素も含有することを示した。LPDのSiO薄膜は、基材について測定された0.529に近い0.524のSi/O比を有していた。フッ素含量は薄膜では0.2%未満であり、無処理のガラス基材では0.1%未満であった。
SiO薄膜及び無処理のガラス基材における化学組成の深さプロファイルは、図5A及び5Bに示されている。ホウケイ酸ガラス基材由来のホウ素は薄膜中では非常に低値であり、LPDによって成長させたSiO薄膜とガラス基材との間の境界面で急激に増加した。Si含量は表面から増加し、境界面まで徐々に減少した。対照的に、Si含量は無処理のガラス基材(成長させたSiO薄膜を伴わない)の全体にわたって全く一定であることが観察された。
先のXPS結果から、SiO薄膜のSi及びOの含量は、無処理のガラス基材のものにかなり似ていた。したがって、TOF‐SIMS結果からの、SiO薄膜のSi含量の増加は、SIMS特性解析の際のガラス基材に起因するというよりも、高い有効なスパッタ率をもたらすであろう該薄膜のメソ多孔性構造に起因する。これは、本明細書中に開示されたSiO薄膜が薄膜の超親水性を担うメソ多孔性構造を有することをよく示している。薄膜のメソ多孔性構造は該薄膜をあまり高密度にせず、より高い有効なスパッタ率及びより高い強度をもたらしている。
薄膜の親水性は水の接触角を調査することにより評価された。成長直後の(as−grown)薄膜でコーティングされたガラス上及び未処理のガラス上における、初期の水滴の拡張が、図6に示されている。水滴は、マイクロリットルピペットを使用して表面上に静かに置かれ、電荷結合素子カメラレンズのアレイシステムが、液滴プロファイルの画像を捕らえるために使用された。水滴の体積は2μLであった。成長直後の薄膜表面上では、拡張が促進されるとともに水滴は陥凹部内に浸透し、ミリ秒以内に拡張する。結果として、薄膜はほぼゼロの接触角を示したが、未処理のガラス基材上の水滴の接触角はおよそ34°である。この超親水性の挙動を活性化するためにUV照射は適用されなかった。
SiO薄膜の超親水性の持続性を検査するために、該薄膜を大気に長時間曝露し、その間に接触角の測定を実施した。コーティングガラス上の水滴の接触角を、経過時間(1週間後、1か月後及び2か月以上後)に応じて図7A〜Cに示した。2μLの体積を有する水滴は、2か月後ですら依然として薄膜の表面上でミリ秒以内に拡張した。その結果、SiO薄膜は依然としてその親水性を維持していた。これらの測定中、この超親水性の挙動を活性化するためにUV照射は適用されなかった。しかしながら、50℃で成長させたSiO薄膜は、大気からの薄膜表面上への有機汚染物質の吸着が原因で、その超親水性を1か月を超えては保持しなかった(表1を参照)。
図8は、LPDを使用して成長させたSiO薄膜についての経時的な接触角の変化を示すグラフである。
実施例3:超親水性
図9A及びBは、実証として、2μLの水滴を使用して、SiOコーティングされたスライドガラスの水を拡張させる挙動を例証している。スライドガラスの半分は、その半分の上での薄膜成長を防止するために成長溶液中に入れる前にサーマルテープで覆われた。成長の後、コーティングされたスライドガラスに対し、図9Aに示されるように雨を模倣するため水を噴霧した。スライドのコーティング部分は透明なままであったが、コーティングされていない部分は多くの水滴を示した。これは、SiOコーティングされたスライドガラスの接触角測定結果(図9B)が、SiO薄膜で覆われた部分については非常に低い接触角の値(10°未満)を、また無処理のガラス部分については高い値を示したことと一致している(図9B)。効果的な超親水性を備えつつ、透明なSiO薄膜は、防曇性かつ自浄性の製品のための適用において大きな可能性を提示している。
実施例4:SiO薄膜の洗浄
実施例4.1:水を用いた洗浄
実行された実験により、水を用いた簡単な洗浄で接触角を再び減少させることができることが実証された。
図10Aにおいて、2か月後の接触角は25°である。水洗浄を行うと、接触角は図10Bに示されるように17°に減少した。水中での超音波洗浄が使用された場合、接触角は図10Cに示されるように13°に減少した。
実施例4.2:他の試薬を用いた洗浄
図11A及びBは、SiO薄膜上の水滴の接触角に対する、(A)洗剤、及び(B)ピラニア溶液を使用した洗浄の効果を示す。
接触角は洗剤を用いた洗浄の後に低減可能であり、15°に減少した。
ピラニア溶液(3HSO:1H)を用いた洗浄後の接触角の5°への低減は、前述の洗浄方法が表面の有機分子種の除去により濡れを改善することを例証している。
自浄、防曇の用途のためにSiO薄膜を析出する簡単かつ再現性のある方法が実証された。溶液を用いる方法は、薄膜の大規模生産に容易に適用されうる。さらに、この手法におけるLPDは50℃以下で完了するが、これは、水の沸点未満での成長は成長のために圧力を伴うオートクレーブがもはや必要ないということを意味するので、重要なステップである。また、ステンレス鋼の反応器の代わりにガラスが使用されうるので、光学的技法によるその場での成長モニタリングの可能性ももたらされる。低温LPDプロセスは、プラスチック及びガラスのような温度感受性の基材上でのSiO薄膜の析出において大きな可能性を有している。
液相析出法の使用により、低温で、高接着性の透明なSiO薄膜の調製に成功した。ガラス基材上の薄膜の透過率は350nm〜800nmの波長域において85%以上であった。これは、そのようなコーティングが超親水性であるように最適化することが可能な場合は特に重要である。ここでの主な新しさは、低温でガラス基材上に持続的な超親水性を備えたメソ多孔性のSiO薄膜を形成するために、LPD法による前駆物質を使用することであり、このことはこれまで報告されていない。
本明細書中で実証されるように、LPDによって調製された調製時点のSiO薄膜の接触角測定から、超親水性がいかなるUV光の適用も伴わずに得られることを示す非常に小さな水接触角(<10°)が明らかである。このことは、自浄性のSiOが、屋内でも、UV照明が弱い場所でも使用されうるので、重要である。超親水性は薄膜のメソ多孔性構造に起因する可能性がある。
適用分野には、眼鏡のレンズ及びカメラレンズのような防曇レンズ、防汚コーティング、自浄表面、自動車のサイドミラーのような鏡、風防、及び窓が挙げられる。上記の適用分野のうち1つ以上は、例えば、雨の中などのような悪天候下での視認性の改善を提供しうる。
実施形態によれば、超親水性のSiOコーティングを形成する方法が提供される。示した実施形態では、100℃未満の析出温度が使用され、かつUV励起は適用されない。ガラス基材上にこのように形成された超親水性コーティングは、350nm〜750nmの波長域において少なくとも85%の高い透過率を有する。使用される化学的前駆物質にはヘキサフルオロケイ酸アンモニウム及びホウ酸が挙げられる。そのような化学薬品を用いて作製された溶液は、それぞれ0.1M未満及び0.3M未満の濃度を有していなければならない。具体的な実施形態では、成長温度はコーティングの高い透明性を達成するように80℃未満である。
本発明についてその典型的な実施形態に関して詳細に示しかつ説明してきたが、該実施形態に、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の思想及び範囲から逸脱することなく形態及び細部の様々な変更が行なわれうることは、当業者には理解されるであろう。

Claims (20)

  1. ケイ素酸化物から本質的に構成されている超親水性コーティングを調製する方法であって、
    a)フッ素含有ケイ素錯体及びフッ素捕捉剤を含む水性混合物を提供することと;
    b)基材を、約100℃未満の温度で前記水性混合物と接触させて、基材上に前記超親水性コーティングを得ることと
    を含む方法。
  2. フッ素含有ケイ素錯体は一般式(I):
    SiF (I)
    を有し、
    上記式中、Aは、水素、アルカリ金属、アンモニウム基、及び配位水からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. フッ素含有ケイ素錯体は(NHSiFを含むか又は(NHSiFからなる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記水性混合物中のフッ素含有ケイ素錯体の濃度は約0.02M〜約0.1Mの範囲にある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. フッ素捕捉剤は、ホウ酸、アルカリ金属ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、無水ホウ酸、一酸化ホウ素、塩化アルミニウム、水酸化ナトリウム、アンモニア水、金属アルミニウム、酸化アルミニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. フッ素捕捉剤はホウ酸を含むか又はホウ酸からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記水性混合物中のフッ素捕捉剤の濃度は約0.06M〜約0.3Mの範囲にある、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 基材はガラス基材である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 基材と前記水性混合物との接触は、約50℃〜約80℃の範囲の温度で実行される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 基材と前記水性混合物との接触は、約2時間〜約72時間の範囲の時間にわたって実行される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 超親水性コーティングの超親水性を活性化するためにUV励起は使用されない、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 超親水性コーティングは二酸化ケイ素のアイランドから本質的に構成されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 二酸化ケイ素のアイランドはそれぞれ約10nm〜約50nmの範囲の大きさを有する、請求項12に記載の方法。
  14. 超親水性コーティングはメソ多孔性である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 超親水性コーティングは、350nm〜750nmの波長域において少なくとも85%の透過率を示す、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法で調製されたケイ素酸化物から本質的に構成されている超親水性コーティング。
  17. 各々が約10nm〜約50nmの範囲の大きさを有する二酸化ケイ素アイランドから本質的に構成されている、超親水性コーティング。
  18. 超親水性コーティングはメソ多孔性である、請求項17に記載の超親水性コーティング。
  19. 超親水性コーティングは350nm〜750nmの波長域において少なくとも85%の透過率を示す、請求項17又は18に記載の超親水性コーティング。
  20. レンズ、ゴーグル、防汚コーティング、自浄表面、鏡、風防、窓、表面用プライマー層、及び調理器具用のカバーに、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法で調製された超親水性コーティング又は請求項16〜19のいずれか1項に記載の超親水性コーティングを使用する方法。
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