JPH11145758A - 圧電素子およびその製造方法 - Google Patents

圧電素子およびその製造方法

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JPH11145758A
JPH11145758A JP30471497A JP30471497A JPH11145758A JP H11145758 A JPH11145758 A JP H11145758A JP 30471497 A JP30471497 A JP 30471497A JP 30471497 A JP30471497 A JP 30471497A JP H11145758 A JPH11145758 A JP H11145758A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極膜を構成する貴金属電極層を除去しなく
ても絶縁性の表面保護膜を広い範囲にわたって形成する
ことを可能にして、ウイスカーなどに起因する短絡の防
止と、電極膜の低抵抗化と、CI値の経時的な増大や周
波数の変化の抑制を図ることのできる圧電素子を提供す
る。 【解決手段】 圧電素子1は音叉型水晶振動子であり、
圧電素子片2の両面には、それぞれ所定のギャップ10
を隔てて2つの電極膜40が形成されている。電極膜4
0では、金電極層42Aが下地金属膜41表面に積層さ
れ、かつ、金電極層42Aの表面は、その表面に形成さ
れたチオール処理膜44と、絶縁性の表面保護膜45と
によって覆われている。表面保護膜45は、金属アルコ
キシドの縮合膜、またはポリシラザンの熱処理膜であ
り、プラグ30の内部端子32と圧電素子片2とのはん
だ接続部分も覆っている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水晶振動子などの圧
電素子、およびその製造方法に関するものである。さら
に詳しくは、当該圧電素子に用いた圧電素子片上での短
絡防止技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種圧電素子のうち、音叉型水晶振動子
は、図7(A)、(B)に示すように、基部21から2
つの腕部22、23が延びた薄板状の水晶片からなる圧
電素子片2と、この圧電素子片2の基部21に対して内
部端子31が接続されたプラグ30と、圧電素子片2を
収納したケース35とから構成され、このケース35と
プラグ30とによって内部が気密状態に保たれている。
圧電素子片2の両面には、それぞれ所定のギャップ10
を隔てて2つの電極膜40が形成され、これらの電極膜
40の各々にプラグ30の外部端子33から交流電圧を
印加することによって腕部22、23が所定の周波数で
振動する。なお、2つの電極膜40を区別するために、
一方の電極膜40には右上がりの斜線を付し、他方の電
極膜40には右下がりの斜線を付して、それぞれを図示
してある。図7(C)に示すように、電極膜40はクロ
ム膜からなる下地金属層41(狭いピッチで斜線を付し
てそれを図示してある。)と金電極層42A(広いピッ
チで斜線を付してそれを図示してある。)との2層構造
になっている。
【0003】このように構成した圧電素子1A(水晶振
動子)の腕部22、23では、各電極膜40間のギャッ
プ10が約15μmと極めて狭いため、電極膜40間で
短絡が発生しやすい。そこで、従来は、電極膜40の表
面にシリコン酸化膜からなる表面保護膜45Aをスパッ
タ形成している。但し、シリコン酸化膜は金電極層42
Aへの密着性が悪いため、腕部22、23の側では金電
極層42Aを部分的に除去してクロム膜からなる下地金
属層41を露出させ、この下地金属層41上に表面保護
膜45Aを積層した構造になっている。なお、腕部2
2、23の側では、金電極層42Aの全部を除去してク
ロム膜からなる下地金属層41の全面を露出させ、この
クロム電極層にシリコン酸化膜からなる表面保護膜45
Aが積層する構造とする場合もある。これに対して、基
部21の側では、図7(D)に示すように、プラグ30
の内部端子31との半田付けを行うことから、金電極層
42Aが必要である。このため、基部21の側では電極
膜40間のギャップ10が広いとして、シリコン酸化膜
からなる表面保護膜45Aの形成を行っていない。
【0004】このような構成の圧電素子1Aの製造方法
を、図8および図9を参照して説明する。ここで説明す
る製造プロセスは、半導体プロセスと共通する部分があ
るが、半導体プロセスと違って、水晶振動子の場合には
ウエーハの両面に同一パターンを形成していく。
【0005】まず、図8(A)に示すように切り出した
水晶ウェーハ20に研磨加工、洗浄を行った後、図8
(B)に示すように、クロム層Crおよび金層Auをそ
れぞれ真空蒸着する。
【0006】次に、図8(C)に示すように、フォトレ
ジストRを音叉形状のパターンに焼付け、現像し、音叉
外形のフォトレジストRを残す。次に、図8(D)に示
すように、フォトレジストRをマスクとして金層Auお
よびクロム層Crにエッチングを行い、金層Auおよび
クロム層Crを音叉形状に残す。次に、金層Auおよび
クロム層Crをマスクとして水晶ウェーハ20のエッチ
ングを行い、図8(E)に示すように、水晶を音叉形状
に成形する。これが圧電素子片2である。
【0007】次に、圧電素子片2上の金層Auおよびク
ロム層Crを全て除去し、図8(F)に示すように、改
めて、電極膜40を形成するためのクロム層Crおよび
金層Auを形成する。
【0008】次に、図8(G)に示すように、フォトレ
ジストRを各電極膜40のパターン形状に焼付け、現像
し、各電極膜40の外形をしたフォトレジストRを残
す。
【0009】しかる後には、図8(H)に示すように、
フォトレジストRをマスクとして金層Auおよびクロム
層Crにエッチングを行い、金層Auおよびクロム層C
rを電極膜40のパターン形状に残す。このようにして
クロム膜からなる下地金属層41と金電極層42Aとか
らなる電極膜40を形成する。
【0010】次に、電極膜40の金電極層42Aについ
ては、所定のパターンに焼付け、現像したフォトレジス
トをマスクとして金電極層42Aのみにエッチングを行
い、図7(B)、(C)、(D)を参照して説明したよ
うに、シリコン酸化膜からなる表面保護膜45Aを形成
する部分の金電極層42Aを部分的に、あるいは腕部2
2、23側の金電極層42Aを全て除去する(図8
(I))。
【0011】次に、シリコン酸化膜を形成した後、所定
のパターンに焼付け、現像したフォトレジストをマスク
としてシリコン酸化膜にエッチングを行い、図7
(B)、(C)、(D)を参照して説明したように、シ
リコン酸化膜からなる表面保護膜45Aを形成する(図
8(J))。
【0012】このようにして製造した圧電素子片2につ
いては、図9に示すように、その基部21にプラグ30
の内部端子31をはんだ接続する(図7(A)、
(B)、(C)、(D)参照)。
【0013】次に、この段階での圧電素子片2の周波数
調整を腕部22、23の先端部に対するレーザトリミン
グにより行った後、真空チャンバー内でプラグ30をケ
ース35を圧入し、圧電素子1Aをケース35内に収納
する。しかる後には、圧電素子1Aの特性検査を行う。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
水晶振動子では、圧電素子片2の基部21の側には表面
保護膜45Aを一切形成していないので、図7(B)に
示すように、はんだ接続部分38からウイスカー39が
成長して反対側の電極膜40に届くおそれがある。この
ようして発生した短絡は、水晶振動子の発振不能という
致命的な不具合の原因となる。また、従来の水晶振動子
のように、腕部22、23の側から金電極層42Aを部
分的に除去した構成では、その分、電極膜40の電気的
抵抗値が高く、CI値(クルスタルインピーダンス/振
動子の機械的振動を抵抗R、容量C1、インダクタンス
Lの直列共振回路とこの直列共振回路に対する並列容量
C2とによって等価回路として表したときの抵抗Rの
値)が経時的に増加しやすいという問題点もある。
【0015】以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、
電極膜の上層を構成する貴金属電極層を除去しなくても
絶縁性の表面保護膜を広い範囲にわたって形成すること
を可能にして、ウイスカーなどに起因する短絡の防止
と、電極膜の低抵抗化とを図ることのできる圧電素子を
提供することにある。
【0016】また、本発明の課題は、圧電素子片の電極
膜とプラグの内部端子との接続部分まで覆うように表面
保護膜を形成することにより、この接続部分でのウイス
カーに起因する短絡を防止することのできる圧電素子の
製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、所定のギャップを隔てて2つ以上の電
極膜が形成された圧電素子片と、該圧電素子片が搭載さ
れたプラグとを有する圧電素子において、前記電極膜
は、前記圧電素子片表面に積層された下地金属膜と、該
下地金属膜表面に積層された金電極層とを備え、当該金
電極層の表面は、その表面に形成されたチオール処理膜
と、該チオール処理膜の表面側に形成された絶縁性の表
面保護膜とによって覆われていることを特徴とする。
【0018】ここでいうチオール処理膜とは、Xm−R
−SH(但し、Xは水酸基あるいはエポキシ基であり、
Rは(CH2n であり、mは1、2あるいは3、nは
1以上の整数である。)で表されるチオールまたはその
誘導体を金電極層あるいは後述する銀電極層の表面に定
着させた層をいう。
【0019】本発明では、金電極層の表面には表面保護
膜の下地膜としてチオール処理膜を形成してあり、この
チオール処理膜を形成しておけば、金電極層の表面側に
絶縁性の表面保護膜を高い密着性をもって形成できる。
それ故、電極膜の金電極を除去しなくてもよいので、絶
縁性の表面保護膜を広い範囲にわたって形成できる。従
って、ウイスカーなどに起因する短絡を防止できる。ま
た、金電極層を下地金属膜表面に形成したまま、すなわ
ち、金電極層を広い範囲にわたって形成したまま表面保
護膜を形成できるので、金電極層を除去する必要がない
分、電極膜の電気的抵抗値を低下させることができる。
それ故、CI値の経時的な増大を抑えることができる。
【0020】本発明では、上記金電極層に代えて、銀電
極層としてもよい。すなわち、本発明の別の形態では、
所定のギャップを隔てて2つ以上の電極膜が形成された
圧電素子片と、該圧電素子片が搭載されたプラグとを有
する圧電素子において、前記電極膜は、前記圧電素子片
表面に積層された下地金属膜と、該下地金属膜表面に積
層された銀電極層とを備え、当該銀電極層の表面は、そ
の表面に形成されたチオール処理膜と、該チオール処理
膜の表面側に形成された絶縁性の表面保護膜とによって
覆われていることを特徴とする。
【0021】本発明のさらに別の形態では、電極膜に用
いた銀電極の特性を活かして、前記チオール処理膜を形
成せずに、絶縁性の表面保護膜を広い範囲にわたって形
成する。すなわち、所定のギャップを隔てて2つ以上の
電極膜が形成された圧電素子片と、該圧電素子片が搭載
されたプラグとを有する圧電素子において、前記電極膜
は、前記圧電素子片表面に積層された下地金属膜と、該
下地金属膜表面に積層された銀電極層とを備え、該銀電
極層の表面は絶縁性の表面保護膜によって覆われている
ことを特徴とする。すなわち、銀電極層はそのままでも
シリコン膜などの絶縁性の表面保護膜との密着性が高い
という特有の性質を活かして、本形態では、下地金属膜
表面に銀電極層を積層したまま、該銀電極層の表面を絶
縁性の表面保護膜で直に覆う。従って、ウイスカーなど
に起因する短絡を防止できるとともに、銀電極層を除去
する必要がない分、電極膜の電気的抵抗値を低下させる
ことができるので、CI値の経時的な増大を抑えること
ができる。
【0022】本発明において、前記表面保護膜は、金属
アルコキシドの縮合膜およびポリシラザンの熱処理膜の
いずれかであることが好ましい。ポリシラザンは、
((SiHabn 、但し、a=1〜3、b=0ある
いは1)で表され、主鎖である−Si−N−構造に側鎖
として水素のみが結合しているセラミックスである。金
属アルコキシドは4属あるいは5属の金属アルコキシド
である。このような表面処理膜は緻密性が高く、かつ、
絶縁抵抗値が高いので、薄膜化が可能であり、CI値の
増大を抑えることができるなど、表面保護膜として適し
ている。また、これらの表面処理膜は、ガス吸着量が低
いので、圧電素子を長期間放置しても、CI値の増大
(ΔCI)や発振周波数変化量(ΔF)の増大を抑える
ことができる。また、このような表面処理膜であれば、
後述するように、スパッタ成膜やフォトリソグラフィ技
術といった半導体プロセスを行わなくても形成できるの
で、前記電極膜を形成した前記圧電素子片を前記プラグ
上に搭載した後であっても、表面保護膜を形成すること
ができる。従って、前記圧電素子片の前記電極膜と前記
プラグの内部端子との接続部分まで覆うように表面保護
膜を形成できるので、接続部分でのウイスカーに起因す
る短絡を防止することができる。
【0023】本発明において、所定のギャップを隔てて
2つ以上の電極膜が形成された圧電素子片と、該圧電素
子片が搭載されたプラグとを有する圧電素子の製造方法
においては、前記圧電素子片のうち、前記電極膜の表面
にチオール溶液からチオールを付着させてチオール処理
膜を形成する第1の工程と、金属アルコキシドの縮合膜
またはポリシラザンの熱処理膜を形成するための前駆体
溶液への前記圧電素子片の浸漬処理、および該浸漬処理
を施した前記圧電素子片への熱処理を行って前記チオー
ル処理膜の表面全体に金属アルコキシドの縮合膜または
ポリシラザンの熱処理膜からなる表面保護膜を積層する
第2の工程とを行なうことを特徴とする。この第2の工
程において、浸漬処理と熱処理とをそれぞれ1回ずつ行
なっただけでは表面保護膜を所定の膜厚で形成できない
場合には、所定の膜厚が得られるまで、浸漬処理と熱処
理とを交互に、あるいは浸漬処理の方だけを必要な回数
繰り返す。
【0024】この場合には、前記電極膜を形成した前記
圧電素子片を前記プラグ上に搭載した後、前記第1の工
程と前記第2の工程とを行なうことにより、前記圧電素
子片の前記電極膜と前記プラグの内部端子との接続部分
まで覆うように前記表面保護膜を形成することが好まし
い。すなわち、半導体プロセスと同様な方法で圧電素子
を形成していくとすれば、前記電極膜を形成した前記圧
電素子片を前記プラグ上に搭載した後に表面保護膜を形
成するのは、プラグが邪魔で不可能、あるいは大変な工
程数が必要となるが、本発明のように、前駆体溶液への
圧電素子片の浸漬処理や圧電素子片への熱処理とによっ
て表面保護膜を形成していくのであれば、前駆体溶液へ
の圧電素子片の浸漬深さを調整すれば、前記圧電素子片
の前記電極膜と前記プラグの内部端子との接続部分まで
覆うように緻密な表面保護膜を形成することができる。
従って、この製造方法によれば、接続部分でのウイスカ
ーに起因する短絡を防止することができる素子構造を容
易に構成できる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して、本発明
の好適な実施の形態を説明する。
【0026】〔実施の形態1〕図1(A)、(B)、
(C)、(D)はそれぞれ、本形態の圧電素子の全体構
成を示す斜視図、この圧電素子に用いた圧電素子片の電
極膜形成パターンを示す圧電素子片の平面図、この圧電
素子片の腕部のA−A′線における断面図、および圧電
素子片の基部のB−B′線における断面図である。な
お、これらの図にお いて、2つの電極膜の一方には右
上がりの斜線を付し、他方には右下がりの斜線を付し
て、それぞれの領域がわかるように図示してある。ま
た、本形態の圧電素子の構成要素のうち、従来の圧電素
子と共通する部分には同一の符号を付してある。
【0027】図1(A)、(B)に示すように、本形態
の圧電素子1は音叉型水晶振動子であり、基部21から
2つの腕部22、23が延びた薄板状の水晶片からなる
圧電素子片2と、この圧電素子片2の基部21に対して
内部端子31がはんだ接続されたプラグ30と、圧電素
子片2を収納したケース35とから構成され、このケー
ス35とプラグ30とによって内部が気密状態に保たれ
ている。圧電素子片2の両面には、それぞれ所定のギャ
ップ10を隔てて2つの電極膜40が形成され、これら
の電極膜40の各々にプラグ30の外部端子33から交
流電圧を印加することによって腕部22、23が所定の
周波数で振動する。
【0028】この状態のままでは、腕部22、23の側
において電極膜40間のギャップ10が約15μmと極
めて狭いため、電極膜40間で短絡が発生しやすく、ま
た、基部21の側では、電極膜40間のギャップ10が
広いといっても、電極膜40が露出していると、はんだ
接続部分38からのウイスカーに起因する短絡が発生す
るおそれがある。
【0029】そこで、本形態では以下の短絡防止構造を
採用しているが、図1(C)に示すように、本形態で
も、電極膜40は、圧電素子片2表面に積層されたクロ
ム膜からなる下地金属膜41と、該下地金属膜41の表
面に積層された金電極層42Aとの2層構造になってお
り、この点では従来と同様である。
【0030】本形態において、金電極層42Aは下地金
属膜41表面の全面に積層され、かつ、金電極層42A
の表面は、その表面に形成されたチオール処理膜44
と、該チオール処理膜44の表面側に形成された絶縁性
の表面保護膜45とによって覆われている。ここで、チ
オール処理膜44は、Xm −R−SH(但し、Xは水酸
基あるいはエポキシ基であり、Rは(CH2n であ
り、mは1、2あるいは3、nは1以上の整数であ
る。)で表されるチオールまたはその誘導体を金電極層
42A、あるいは後述する銀電極層の表面に定着させた
層であり、金電極層42Aと表面保護膜45との密着性
を高める機能を有する。そこで、本形態では、このチオ
ール処理膜44の性質を利用して、下地金属膜41表面
の全面に金電極層42Aを積層したまま、この金電極層
42Aの表面側全体に絶縁性の表面保護膜45を形成し
てある。
【0031】ここで、表面保護膜45は、金属アルコキ
シドの縮合膜、またはポリシラザンの熱処理膜のいずれ
かである。ポリシラザンは、((SiHabn 、但
し、a=1〜3、b=0あるいは1)で表され、主鎖で
ある−Si−N−構造に側鎖として水素のみが結合して
いるセラミックスである。金属アルコキシドは4属ある
いは5属の金属のアルコキシドである。このような表面
保護膜45は緻密性が高く、かつ、絶縁抵抗値が高いの
で、薄膜化が可能であり、CI値の増大を抑えることが
できるなど、圧電素子片2の表面保護用に適している。
また、これらの表面保護膜41は、ガス吸着量が低いの
で、圧電素子1を長期間放置しても、CI値の増大(Δ
CI)や発振周波数変化量(ΔF)の増大を抑えること
ができる。しかも、このような表面保護膜41は、後述
するように、半導体プロセスのようなプロセスを行わな
くても形成できる。そこで、本形態では、電極膜40を
形成した圧電素子片2をプラグ30上に搭載した後に表
面保護膜45を形成することによって、圧電素子片2の
電極膜40とプラグ30の内部端子31との各はんだ接
続部分38まで覆うように表面保護膜45を形成してあ
る。
【0032】このように構成した圧電素子1では、金電
極層42Aの表面には表面保護膜45の下地膜としてチ
オール処理膜44を形成してあり、このチオール処理膜
44によれば、金電極層42Aの露出部分全体に絶縁性
の表面保護膜45を高い密着性をもって形成できる。従
って、電極膜40の金電極層42Aを除去することな
く、絶縁性の表面保護膜45を広い範囲にわたって形成
できるので、腕部22、23の電極膜40間の狭いギャ
ップ10も表面保護膜45で埋めることができ、かつ、
基部21の電極膜40間の広いギャップ10も表面保護
膜45で埋めることができる。また、電極膜40には露
出部分が一切ない。従って、腕部22、23の電極膜4
0間で導電性異物に起因する短絡が発生しないととも
に、たとえはんだ接続部分38からウイスカーが成長し
ても、このウイスカーに起因する短絡も防止できる。
【0033】また、金電極層42Aを下地金属膜41表
面の全面に形成したまま、すなわち、金電極層42Aを
広い範囲にわたって形成したまま、表面保護膜45を形
成してあるので、金電極層42Aを除去する必要がない
分、電極膜40の電気的抵抗値を低下させることができ
る。それ故、CI値の低減を図ることができる。
【0034】また、本形態では、圧電素子片2の前記電
極膜40と前記プラグ30の内部端子31とのはんだ接
続部分38まで覆うように表面保護膜45を形成し、し
かも、この表面保護膜45は緻密性の高い金属アルコキ
シドの縮合膜、またはポリシラザンであるので、はんだ
接続部分38でのウイスカーに起因する短絡を防止する
ことができる。
【0035】このような構成の水晶振動子の製造方法
を、図2ないし図4を参照して説明する。ここで説明す
る製造プロセスは、半導体プロセスと共通する部分があ
るが、半導体プロセスと違って、水晶振動子の場合には
ウエーハの両面に同一パターンを形成していく。なお、
図2の工程断面図は、音叉形状の2つの腕部22、23
のそれぞれの断面に相当する。
【0036】まず、図2(A)に示すように切り出した
水晶ウェーハ20に研磨加工、洗浄を行った後、図2
(B)に示すように、クロム層Crおよび金層Auをそ
れぞれ数百オングストーム〜約2000オングストーム
の膜厚で真空蒸着する。ここで、クロム層Crを形成す
るのは金層Auだけでは水晶ウェーハ20に対する密着
性が悪いからである。
【0037】次に、フォトレジストRを形成した後、そ
れを図2(C)に示すように、音叉形状のパターンで焼
付け、現像し、音叉形状にフォトレジストRを残す。次
に、図2(D)に示すように、フォトレジストRをマス
クとして金層Auおよびクロム層Crにエッチングを行
い、金層Auおよびクロム層Crを音叉形状に残す。次
に、金層Auおよびクロム層Crをマスクとして、フッ
酸およびフッ化アンモニウムを用いたエッチング液で水
晶ウェーハ20のエッチングを行い、図2(E)に示す
ように、水晶を音叉形状に成形する。これが圧電素子片
2である。
【0038】次に、圧電素子片2上の金層Auおよびク
ロム層Crを全て除去し、図2(F)に示すように、改
めて、電極膜40を形成するためのクロム層Crおよび
金層Auを形成する。
【0039】次に、フォトレジストRを形成した後、そ
れを各電極膜40のパターン形状に焼付け、現像し、図
2(G)に示すように、フォトレジストRを各電極膜4
0のパターン形状に残す。
【0040】しかる後には、図2(H)に示すように、
フォトレジストRをマスクとして金層Auおよびクロム
層Crにエッチングを行い、金層Auおよびクロム層C
rを電極膜40のパターン形状に残して、図1(B)、
(C)、(D)を参照して説明したクロム膜からなる下
地金属膜41および金電極層42Aからなる電極膜40
を形成する。なお、図示を省略するが、後述する周波数
調整のための錘部分を圧電素子片2の腕部22、23先
端側に金膜として形成しておく。
【0041】このようにして電極膜40を形成した圧電
素子片2については、図3に示すように、マウント工程
として、その基部21にプラグ30の内部端子31をは
んだ接続する(図1(A)、(B)、(C)、(D)参
照)。
【0042】次に、絶縁性の表面保護膜45を形成す
る。
【0043】それには、まず、図4(A)に示すよう
に、プラグ30に搭載した圧電素子片2全体をチオール
溶液(チオールまたはその誘導体のアルコール溶液)に
浸漬した後、この溶液と同じ溶媒(アルコール)で濯い
で余剰なチオール溶液を除去する。それでも、圧電素子
片2に形成したある金電極層42Aの表面には、チオー
ル溶液に配合されていたチオールまたはその誘導体が、
たとえば単分子層の状態で付着する。次に、圧電素子片
2に乾燥処理を行って、金電極層42Aの表面にチオー
ルまたはその誘導体を定着させ、金電極層42Aの表面
にチオール処理膜44を形成する(第1の工程)。
【0044】次に、図4(B)に示すような金属アルコ
キシドの縮合膜、またはポリシラザンを形成するための
前駆体溶液への圧電素子片2の浸漬処理と、この浸漬処
理を施した圧電素子片2への熱処理とを行って、圧電素
子片2の腕部22、23、基部21、さらには、圧電素
子片2の電極膜40とプラグ30の内部端子31とのは
んだ接続部分38まで覆うように金属アルコキシドの縮
合膜またはポリシラザンからなる絶縁性の表面保護膜4
5を形成する(第2の工程)。第2の工程において、浸
漬処理と熱処理とをそれぞれ1回ずつ行なっただけでは
表面保護膜45を所定の膜厚で形成できない場合には、
所定の膜厚が得られるまで、浸漬処理と熱処理とを交互
に、あるいは浸漬処理の方だけを必要な回数繰り返す。
【0045】次に、この段階での圧電素子片2の周波数
調整を圧電素子片2の腕部22、23先端に形成してあ
る錘部分へのレーザトリミングにより行った後、真空チ
ャンバー内でケース35へプラグ30を圧入し、圧電素
子1を製造する。
【0046】しかる後には、圧電素子1の特性検査を行
う。
【0047】このように、本形態では、圧電素子片2に
電極膜40を形成するまでは、半導体プロセスと概ね同
様な方法を用いるが、圧電素子片2に電極膜40を形成
した後は、チオール容液への圧電素子片2の浸漬、金属
アルコキシドの縮合膜またはポリシラザンの前駆体溶液
への圧電素子片2の浸漬処理、および圧電素子片2への
熱処理を行って表面保護膜45を形成していく。この方
法によれば、前駆体溶液などへの圧電素子片2の浸漬深
さを調整すれば、圧電素子片2の前記電極膜40と前記
プラグ30の内部端子31とのはんだ接続部分38まで
覆うように表面保護膜45を形成することができる。従
って、この方法によれば、はんだ接続部分38でのウイ
スカーに起因する短絡を防止することができる素子構造
を容易に構成できる。
【0048】〔実施の形態2〕実施の形態1に係る圧電
素子1では、電極膜40をクロム層Crからなる下地金
属膜41と金電極層42Aとによって構成したが、本形
態では、金電極層42Aに代えて、銀電極層42Bを形
成する点を除けば、実施の形態1と同様である。従っ
て、圧電素子1全体の構造や圧電素子片2に形成した電
極構造などは、図1(A)、(B)、(C)、(D)と
同様であるので、その説明を省略する。
【0049】本形態に係る圧電素子1では、図1
(C)、(D)に示すように、銀電極層42Bの表面に
は表面保護膜45の下地膜としてチオール処理膜44を
形成してあり、このチオール処理膜44の表面には緻密
性の高い金属アルコキシドの縮合膜、またはポリシラザ
ンからなる表面保護膜45が形成されている。このた
め、銀電極層42Bの表面と表面保護膜45とも密着性
が高いので、銀電極層42Bが酸化していても、高い信
頼性を得ることができる。それ故、表面保護膜45を形
成する際には、銀電極層42B表面の酸化膜を除去する
必要がない。
【0050】また、本形態でも、腕部22、23の側お
よび基部21の側のいずれにおいても電極膜40には露
出部分がないので、ウイスカーなどに起因する短絡を防
止できる。また、銀電極層42Bを下地金属膜41表面
の全面に形成したまま、すなわち、銀電極層42Bを広
い範囲にわたって形成したまま、表面保護膜45を形成
できるので、銀電極層42Bを除去する必要がない分、
電極膜40の電気的抵抗値を低下させることができる。
それ故、電気的抵抗値を低下させることができるなど、
実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0051】なお、このような構成の水晶振動子の製造
方法は、図2ないし図4を参照して説明した実施の形態
1に係る水晶振動子の製造方法において、金層Auに代
えて銀層を形成する点だけが相違するので、それらの説
明を省略する。
【0052】〔実施の形態3〕図5(A)、(B)、
(C)、(D)はそれぞれ、本形態の圧電素子の全体構
成を示す斜視図、この圧電素子に用いた圧電素子片の電
極膜形成パターンを示す圧電素子片の平面図、この圧電
素子片の腕部のA−A′線における断面図、および圧電
素子片の基部のB−B′線における断面図である。
【0053】図5(A)、(B)に示すように、本形態
の圧電素子1は音叉型水晶振動子であり、基部21から
2つの腕部22、23が延びた薄板状の水晶片からなる
圧電素子片2と、この圧電素子片2の基部21に対して
内部端子31が接続されたプラグ30と、圧電素子片2
を収納したケース35とから構成され、このケース35
とプラグ30とによって内部が気密状態に保たれてい
る。圧電素子片2の両面には、それぞれ所定のギャップ
10を隔てて2つの電極膜40が形成されている。
【0054】この状態のままでは、電極膜40間のギャ
ップ10が約15μmと極めて狭いため、電極膜40間
で短絡が発生しやすく、また、基部21の側では、電極
膜40間のギャップ10が広いといっても、電極膜40
が露出していると、はんだ接続部分38からのウイスカ
ーに起因する短絡が発生するおそれがある。
【0055】そこで、本形態では以下の短絡防止構造を
採用しているが、図5(C)に示すように、本形態で
も、実施の形態2と同様、電極膜40は、圧電素子片2
表面に積層されたクロム膜からなる下地金属膜41と、
該下地金属膜41の表面に積層された銀電極層42Bと
の2層構造になっている。
【0056】ここで、銀電極層42Bは下地金属膜41
表面の全面に積層され、かつ、銀電極層42Bの表面は
絶縁性の表面保護膜45によって直に覆われている。す
なわち、銀電極層42Bはそのままでもシリコン膜など
の絶縁性の表面保護膜45との密着性が高いという性質
を利用して、本形態では、下地金属膜41の全面に銀電
極層42Bを積層したまま、該銀電極層42Bの表面を
絶縁性の表面保護膜45で覆ってある。
【0057】この表面保護膜45は、金属アルコキシド
の縮合膜およびポリシラザンの熱処理膜のいずれかであ
り、このような表面処理膜は緻密性が高いなど、表面保
護膜45として適している。それ故、電極膜40に銀電
極層42Bを用いても、表面保護膜45を形成した以降
は、銀電極層42Bの表面が酸化されないなどの利点が
ある。
【0058】また、このような表面処理膜であれば、後
述するように、半導体プロセスのようなプロセスを行わ
なくても形成できるので、本形態では、電極膜40を形
成した圧電素子片2をプラグ30上に搭載した後に表面
保護膜45を形成することによって、圧電素子片2の電
極膜40とプラグ30の内部端子31とのはんだ接続部
分38まで覆うように表面保護膜45を形成してある。
【0059】このように構成した圧電素子1では、腕部
22、23の側および基部21の側のいずれにおいても
電極膜40には露出部分がないので、ウイスカーなどに
起因する短絡を防止できる。また、銀電極層42Bを下
地金属膜41表面の全面に形成したまま、すなわち、銀
電極層42Bを広い範囲にわたって形成したまま、表面
保護膜45を形成できるので、銀電極層42Bを除去す
る必要がない分、電極膜40の電気的抵抗値を低下させ
ることができる。それ故、CI値の低減を図ることがで
きる。
【0060】また、本形態では、圧電素子片2の電極膜
40とプラグ30の内部端子31とのはんだ接続部分3
8まで覆うように表面保護膜45を形成し、しかも、こ
の表面保護膜45は緻密性の高い金属アルコキシドの縮
合膜、またはポリシラザンであるので、はんだ接続部分
38でのウイスカーに起因する短絡を防止することがで
きる。
【0061】このような構成の水晶振動子の製造方法
は、実施の形態2と基本的な構成が同一であり、基本的
には表面保護膜45の形成方法だけが相違する。そこ
で、特徴的な工程のみについて説明する。
【0062】本形態の圧電素子1の製造方法では、電極
膜40を形成した圧電素子片2については、銀電極層4
2Bの表層を除去して不安定な皮膜を除去した後、図4
(A)に示すようにプラグ30に搭載する。次に、表面
保護膜45の形成工程では、図6に示すように、金属ア
ルコキシドの縮合膜またはポリシラザンを形成するため
の前駆体溶液への圧電素子片2の浸漬処理と、この浸漬
処理を施した圧電素子片2への熱処理とを行って、圧電
素子片2の腕部22、23、基部21、さらには、圧電
素子片2の電極膜40とプラグ30の内部端子31との
はんだ接続部分38まで覆うように金属アルコキシドの
縮合膜またはポリシラザンの熱処理膜からなる絶縁性の
表面保護膜45を形成する。
【0063】それ以降の工程は実施の形態1、2と全く
同様なので、説明を省略する。
【0064】このように、本形態でも、圧電素子片2に
電極膜40を形成するまでは、半導体プロセスと同様な
方法であるが、圧電素子片2に電極膜40を形成した後
は、金属アルコキシドの縮合膜またはポリシラザンの前
駆体溶液への圧電素子片2の浸漬処理、および圧電素子
片2への熱処理を行って表面保護膜45を形成してい
く。この方法によれば、前駆体溶液などへの圧電素子片
2の浸漬深さを調整すれば、圧電素子片2の前記電極膜
40とプラグ30の内部端子31とのはんだ接続部分3
8まで覆うように表面保護膜45を形成することができ
る。従って、この方法によれば、はんだ接続部分38で
のウイスカーに起因する短絡を防止することができる素
子構造を容易に構成できる。
【0065】
【実施例】以上説明した各形態に係る圧電素子1を、以
下に説明するように各種条件で製作して評価したので、
その結果を表1および表2に示す。
【0066】表1には、本発明の各実施例および比較例
に係る試料の電極材料、チオール処理の有無、保護膜の
形態を示すとともに、各試料の試験後のショート発生率
を示してある。ここでいう試験とは、ケース35への組
立てまで完了した圧電素子1を100mm径、200m
mの高さの密閉円筒内に入れ、20RPMで1時間回転
する試験である。
【0067】
【表1】
【0068】表2には、本発明の各実施例および比較例
に係る試料の電極材料、チオール処理膜の有無、表面保
護膜の形態を示すとともに、各試料を100℃、100
0時間放置した後の発振周波数変化量(ΔF)およびC
I値の変化量(ΔCI)を示 してある。
【0069】
【表2】
【0070】ここで用いた試料は、実施の形態1に関し
ては試料1、2、3が対応し、実施の形態2に関しては
試料4、5が対応し、実施の形態3に関しては試料6、
7が対応する。なお、比較例としては、比較試料1、
2、3、4、5を用いた。
【0071】試料1は、実施の形態1に係る圧電素子1
として、クロム膜からなる下地金属膜41と金電極層4
2Aからなる電極膜40の表面にチオール処理膜44を
形成した後、表面保護膜としてポリシラザンの熱処理膜
を約200オングストローム形成したものである。試料
2は、実施の形態1に係る圧電素子1として、クロム膜
からなる下地金属膜41と金電極層42Aからなる電極
膜40の表面にチオール処理膜44を形成した後、表面
保護膜としてポリシラザンの熱処理膜を約400オング
ストローム形成したものである。試料3は、実施の形態
1に係る圧電素子1として、クロム膜からなる下地金属
膜41と金電極層42Aからなる電極膜40の表面にチ
オール処理膜44を形成した後、表面保護膜としてシリ
コンアルコキシドとチタンアルコキシドの縮合膜を約2
000オングストローム形成したものである。
【0072】試料4は、実施の形態2に係る圧電素子1
として、クロム膜からなる下地金属膜41と銀電極層4
2Bからなる電極膜40の表面にチオール処理膜44を
形成した後、表面保護膜としてポリシラザンの熱処理膜
を約400オングストローム形成したものである。試料
5は、実施の形態2に係る圧電素子1として、クロム膜
からなる下地金属膜41と金電極層42Aからなる電極
膜40の表面にチオール処理膜44を形成した後、表面
保護膜としてシリコンアルコキシドとチタンアルコキシ
ドの縮合膜を約2000オングストローム形成したもの
である。
【0073】試料6は、実施の形態3に係る圧電素子1
として、クロム膜からなる下地金属膜41と銀電極層4
2Bからなる電極膜40の表面にチオール処理膜44を
形成せずに、表面保護膜としてポリシラザンの熱処理膜
を約400オングストローム形成したものである。試料
7は、実施の形態3に係る圧電素子1として、クロム膜
からなる下地金属膜41と銀電極層42Bからなる電極
膜40の表面にチオール処理膜44を形成せずに、表面
保護膜としてシリコンアルコキシドとチタンアルコキシ
ドの縮合膜を約2000オングストローム形成したもの
である。
【0074】比較試料1は、従来技術で説明したよう
に、電極膜40を構成するクロム膜からなる下地金属膜
41および金電極層42Aのうち、金電極層42Aを部
分的に剥離した後に、表面保護膜として、シリコン酸化
膜を約500オングストローム形成したものである。比
較試料2は、従来技術で説明したように、電極膜40を
構成するクロム膜からなる下地金属膜41および金電極
層42Aのうち、金電極層42Aを部分的に剥離した後
に、表面保護膜として、シリコン酸化膜を約1000オ
ングストローム形成したものである。比較試料3は、従
来技術で説明したように、電極膜40を構成するクロム
膜からなる下地金属膜41および銀電極層42Bのう
ち、銀電極層42Bを部分的に剥離した後に、表面保護
膜として、シリコン酸化膜を約1500オングストロー
ム形成したものである。比較試料4は、従来技術で説明
したように、電極膜40を構成するクロム膜からなる下
地金属膜41および金電極層42Aのうち、金電極層4
2Aを部分的に剥離した後に、表面保護膜として、シリ
コンアルコキシドとチタンアルコキシドの縮合膜を約3
000オングストローム形成したものである。なお、比
較試料5は、あくまで参考試料であり、クロム膜からな
る下地金属膜41と銀電極層42Bからなる電極膜40
の表面にチオール処理膜を形成せず、かつ、表面保護膜
を形成しなかったものである。
【0075】これらの各試料の評価結果を表1に示す値
から比較すると明らかなように、本発明を適用した圧電
素子1では、いずれもショート発生率が約10ppm以
下と著しく低い。
【0076】また、本発明を適用した圧電素子1では、
表面保護膜が薄くても、比較試料1〜5と比較して、発
振周波数変化量(ΔF)およびCI値の変化量(ΔC
I)が小さい傾向にある。特に、本発明の実施の形態
1、2を適用した試料1、2、3、4では、発振周波数
変化量(ΔF)およびCI値の変化量(ΔCI)を小さ
く 抑えることができる。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る圧電
素子では、電極膜を構成する金電極層または銀電極層の
表面には、表面保護膜の下地膜としてチオール処理膜を
形成し、このチオール処理膜によって、金電極層または
銀電極層の表面側に絶縁性の表面保護膜を高い密着性を
もって形成したことに特徴を有する。それ故、電極膜の
金電極層を除去せずに、表面保護膜を広い範囲にわたっ
て形成できるので、ウイスカーなどに起因する短絡を防
止できる。また、金電極層を下地金属膜表面に形成した
まま、すなわち、金電極層を広い範囲にわたって形成し
たまま表面保護膜を形成できるので、金電極層を除去す
る必要がない分、電極膜の電気的抵抗値を低下させるこ
とができる。それ故、CI値の低減を図ることができ
る。また、表面保護膜はガス吸着量が少ないので、長時
間経過してもCI値の経時的な増大や周波数の変化を抑
えることができる。
【0078】また、本発明の別の形態では、銀電極層は
そのままでもシリコン膜などの絶縁性の表面保護膜との
密着性が高いという特有の性質を活かして、下地金属膜
表面に銀電極層を積層したまま、銀電極層の表面を絶縁
性の表面保護膜で直に覆うことに特徴を有する。従っ
て、本発明によれば、ウイスカーなどに起因する短絡を
防止できるとともに、銀電極層を除去する必要がない
分、電極膜の電気的抵抗値を低下させることができるの
で、CI値の低減を図ることができ、かつ、表面保護膜
はガス吸着量が少ないので、長時間経過してもCI値の
経時的な増大や周波数の変化を抑えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ、
本発明の実施の形態1に係る圧電素子の全体構成を示す
斜視図、この圧電素子に用いた圧電素子片の電極膜形成
パターンを示す圧電素子片の平面図、この圧電素子片の
腕部のA1−A1′線における断面図、および圧電素子
片の基部のB1−B1′線における断面図である 。
【図2】本発明の実施の形態1の圧電素子の製造方法に
おいて、圧電素子片に電極膜などを形成するまでの製造
工程図である。
【図3】本発明の実施の形態1の圧電素子の製造方法に
おいて、圧電素子片に電極膜などを形成した以降の工程
図である。
【図4】(A)、(B)はそれぞれ、本発明の実施の形
態1に係る圧電素子の製造方法において、チオール処理
膜を形成するための工程を示す説明図、および表面保護
膜を形成する工程を示す説明図である。
【図5】(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ、
本発明の実施の形態2に係る圧電素子の全体構成を示す
斜視図、この圧電素子に用いた圧電素子片の電極膜形成
パターンを示す圧電素子片の平面図、この圧電素子片の
腕部のA2−A2′線における断面図、および圧電素子
片の基部のB2−B2′線における断面図である 。
【図6】本発明の実施の形態2に係る圧電素子の製造方
法において、表面保護膜を形成する工程を示す説明図で
ある。
【図7】(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ、
従来の圧電素子の全体構成を示す斜視図、この圧電素子
に用いた圧電素子片の電極膜形成パターンを示す圧電素
子片の平面図、この圧電素子片の腕部のA3−A3′線
における断面図、および圧電素子片の基部のB3−B
3′線における断面図である。
【図8】従来の圧電素子の製造方法において、圧電素子
片に電極膜などを形成するまでの製造工程図である。
【図9】従来の圧電素子の製造方法において、圧電素子
片に電極膜などを形成した以降の工程図である。
【符合の説明】
1 圧電素子(音叉型水晶振動子) 10 電極膜間のギャップ 21 圧電素子の基部 22、23 圧電素子の腕部 30 プラグ 31 プラグの内部端子 33 プラグの外部端子 35 ケース 38 はんだ接続部分 40 電極膜 41 クロム膜からなる下地金属膜 42A 金電極層 42B 銀電極層 44 チオール処理膜 45、45A 表面保護膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定のギャップを隔てて2つ以上の電極
    膜が形成された圧電素子片と、該圧電素子片が搭載され
    たプラグとを有する圧電素子において、 前記電極膜は、前記圧電素子片表面に積層された下地金
    属膜と、該下地金属膜表面に積層された金電極層とを備
    え、 当該金電極層の表面は、その表面に形成されたチオール
    処理膜と、該チオール処理膜の表面側に形成された絶縁
    性の表面保護膜とによって覆われていることを特徴とす
    る圧電素子。
  2. 【請求項2】 所定のギャップを隔てて2つ以上の電極
    膜が形成された圧電素子片と、該圧電素子片が搭載され
    たプラグとを有する圧電素子において、 前記電極膜は、前記圧電素子片表面に積層された下地金
    属膜と、該下地金属膜表面に積層された銀電極層とを備
    え、 当該銀電極層の表面は、その表面に形成されたチオール
    処理膜と、該チオール処理膜の表面側に形成された絶縁
    性の表面保護膜とによって覆われていることを特徴とす
    る圧電素子。
  3. 【請求項3】 所定のギャップを隔てて2つ以上の電極
    膜が形成された圧電素子片と、該圧電素子片が搭載され
    たプラグとを有する圧電素子において、 前記電極膜は、前記圧電素子片表面に積層された下地金
    属膜と、該下地金属膜表面に積層された銀電極層とを備
    え、 該銀電極層の表面は絶縁性の表面保護膜によって覆われ
    ていることを特徴とする圧電素子。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    前記表面保護膜は、金属アルコキシドの縮合膜およびポ
    リシラザンの熱処理膜のいずれかであることを特徴とす
    る圧電素子。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記表面保護膜は、
    前記圧電素子片の前記電極膜と前記プラグの内部端子と
    の接続部分まで覆うように形成されていることを特徴と
    する圧電素子。
  6. 【請求項6】 所定のギャップを隔てて2つ以上の電極
    膜が形成された圧電素子片と、該圧電素子片が搭載され
    たプラグとを有する圧電素子の製造方法において、 前記圧電素子片のうち、前記電極膜の表面にチオール溶
    液を用いてチオールを付着させてチオール処理膜を形成
    する第1の工程と、 金属アルコキシドの縮合膜またはポリシラザンの熱処理
    膜を形成するための前駆体溶液への前記圧電素子片の浸
    漬処理、および該浸漬処理を施した前記圧電素子片への
    熱処理を行って前記チオール処理膜の表面全体に金属ア
    ルコキシドの縮合膜またはポリシラザンの熱処理膜から
    なる表面保護膜を積層する第2工程とを行なうことを特
    徴とする圧電素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6において、前記電極膜を形成し
    た前記圧電素子片を前記プラグ上に搭載した後に前記第
    1の工程と前記第2の工程とを行うことにより、前記圧
    電素子片の前記電極膜と前記プラグの内部端子との接続
    部分まで覆うように前記表面保護膜を形成することを特
    徴とする圧電素子の製造方法。
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