JPH11144312A

JPH11144312A - 光記録媒体及び光記録再生方法

Info

Publication number: JPH11144312A
Application number: JP9308390A
Authority: JP
Inventors: Akito Miyamoto; 明人宮本; Shinichi Takano; 晋一高野; Mitsuru Hashimoto; 充橋本; Tomiji Hosaka; 富治保坂; Yoshihiro Tozaki; 善博戸崎
Original assignee: Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Current assignee: Panasonic Holdings Corp
Priority date: 1997-11-11
Filing date: 1997-11-11
Publication date: 1999-05-28

Abstract

(57)【要約】【課題】安定で確実な記録再生特性を有し、長期保存
安定性を兼ね備え、次世代の高密度光記録媒体への適用
も可能とした光記録媒体及びそれを用いた光記録再生方
法を実現することを目的とする。【解決手段】本発明は、記録層２に以下の一般式（化
１）または（化２）で表されるテトラアザポルフィリン
化合物を用いた光記録媒体及びこのような光記録媒体を
用いた光記録再生方法である。【化１】【化２】ここで、（化１）中のＭは酸素原子またはハロゲン原子
を有していてもよい２価から４価の金属原子を示し、
（化１）及び（化２）中のＲ１及びＲ２は共同で置換ま
たは非置換の飽和炭化水素環を形成していることを示
す。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、光記録媒体及び光
記録再生方法に関し、特に、レーザー光により、情報を
記録、再生するに好適な光記録媒体及び光記録再生方法
に関する。

【０００２】

【従来の技術】レーザー光線により情報を再生する光記
録媒体は、再生専用光ディスク（以下ＣＤ、ＣＤ−ＲＯ
Ｍと称する。）と呼ばれ、音楽再生用や情報端末用に、
現在、広く普及している。

【０００３】この光記録媒体は、厚さ１．２ｍｍの透明
基板の片側に凹凸のピット列を設けて情報を記録し、そ
の上からアルミ、金等の反射膜を、スパッタ法や蒸着法
により設け、さらにその上に保護膜をコートした構成を
有することが一般的である。

【０００４】そして、この光記録媒体は、波長７８０ｎ
ｍの半導体レーザー光が、透明基板を介して入射されて
反射膜で反射される際の、予め記録された情報ピットの
凹凸に対応したその反射率の変化を読みとり、予め記録
された情報を再生するものである。

【０００５】しかしながら、ＣＤ、ＣＤ−ＲＯＭの場合
には、再生専用メディアであり、編集機能を持たない。

【０００６】そこで、記録可能な光記録媒体として、一
度だけ記録可能な追記憶型光ディスク（以下、ＣＤ−Ｒ
と称する。）、書き換え可能型光ディスク（以下、ＰＤ
と称する。）等が開発、実用化されており、このような
記録可能な光ディスクは、再生機能において、ＣＤ、Ｃ
Ｄ−ＲＯＭとの互換性を有する。

【０００７】このようなＣＤ−Ｒでは、Ｔｅ等のカルコ
ゲナイト系化合物、希土類金属化合物、ポルフィリン
系、シアニン系、ナフタロシアニン系等の有機化合物
を、記録層に適用したものが実用化されており、記録層
の微小領域に７６０から８００ｎｍのレーザ光を集光し
て熱エネルギーに変換し、その性状を変えて情報を記録
する。

【０００８】また、再生時には、記録時よりも低出力の
レーザ光を照射し、記録部分と未記録部分との反射率の
変化、つまりコントラストが電気信号に変換され、情報
が再生されることになる。

【０００９】また、再生互換性を有するが故に、ＣＤ−
ＲＯＭ再生装置を具備する情報端末装置で記録されたＣ
Ｄ−Ｒの情報を確実に再生することが可能であり、ＣＤ
−ＲＯＭ装置にＣＤ−Ｒの記録機能を付与することで、
ＣＤ−ＲＯＭと同一容量である１枚あたり６５０Ｍバイ
トの情報記録装置とすることも可能である。

【００１０】また、ＣＤ−ＲＯＭの情報内容の編集にあ
たって、試験的にＣＤ−ＲＯＭを作製する必要がある
が、このような編集業務であるオーサリング業務におい
ても、ＣＤ−ＲＯＭ再生機能互換のＣＤ−Ｒは、ＣＤ−
ＲＯＭの試作時に必要不可欠のキーデバイスともなって
いる。

【００１１】また、ＣＤ−Ｒは、一度だけ記録可能な追
記憶型光ディスクであるから、公文書や機密文書の記録
に用いられることも多い。

【００１２】さて、一方では、次世代の高密度光記録媒
体の開発が、活発に進んでいる。この次世代高密度光記
録媒体の大きな特徴は、レーザー光の波長を６００から
６８０ｎｍに短波長化し、トラックピッチの間隔、長さ
を短縮化することで記録密度を向上させて、現行ＣＤ−
ＲＯＭの記憶容量６５０Ｍバイトに対し、５〜１０倍の
３〜１０Ｇバイトのデジタルデータの取扱いを可能とす
るものである。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】以上より、従来のＣ
Ｄ、ＣＤ−ＲＯＭに対して再生互換性を有しながら、追
記憶型である光ディスクであって、次世代の高密度光記
録媒体への適用も可能な光ディスクの実現が待望されて
いる現状にあり、かつそれは安定で確実な記録再生動作
と長期保存安定性を兼ね備えたものであることが必要と
されている。

【００１４】また、繰返し再生による読み出し破壊の防
止と記録感度の向上の目的で、再生光波長より短波長の
光で情報の記録を行う構成が、特開平０６−２９５４６
９号公報に開示されているが、記録再生装置の構成上か
らいえば、記録再生波長は同一のものであることが好ま
しい。

【００１５】本発明は、安定で確実な記録再生特性を有
し、長期保存安定性を兼ね備え、次世代の高密度光記録
媒体への適用も可能とした光記録媒体及びそれを用いた
光記録再生方法を実現することを目的とする。

【００１６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、記録層に以下の一般式（化３）または
（化４）で表されるテトラアザポルフィリン化合物を用
いた光記録媒体及びこのような光記録媒体を用いた光記
録再生方法である。

【００１７】

【化３】

【００１８】

【化４】

【００１９】ここで、（化３）中のＭは酸素原子また
はハロゲン原子を有していてもよい２価から４価の金属
原子を示し、（化３）及び（化４）中のＲ１及びＲ２は
共同で置換または非置換の飽和炭化水素環を形成してい
ることを示す。

【００２０】このような構成により、安定で確実な記録
再生特性を有し、長期保存安定性を兼ね備え、次世代の
高密度光記録媒体への適用も可能とした光記録媒体及び
それを用いた光記録再生方法を実現するものである。

【００２１】

【発明の実施の形態】請求項１記載の本発明は、記録光
が照射されることにより反射率変化を生じて情報を記録
する記録層を有する光記録媒体であって、前記記録層が
下記一般式（化５）で表されるテトラアザポルフィリン
化合物を含む光記録媒体である。

【００２２】

【化５】

【００２３】ここで、Ｍは酸素原子またはハロゲン原
子を有していてもよい２価から４価の金属原子を示し、
Ｒ１及びＲ２は共同で置換または非置換の飽和炭化水素
環を形成していることを示す。

【００２４】このような構成により、安定で確実な記録
再生特性を有し、長期保存安定性を兼ね備え、次世代の
高密度光記録媒体への適用も可能とする。

【００２５】なお、長期保存安定性は、かかるテトラア
ザポルフィリン化合物が、光に対する安定性が本来的に
高いという属性による。

【００２６】より具体的には、請求項２記載のように、
テトラアザポルフィリン化合物は、シクロヘキセノテト
ラアザポルフィリン化合物であること、請求項３記載の
ように、請求項１記載の一般式（化５）のＲ１及びＲ２
の示す飽和炭化水素環は、シクロヘキセン環であるこ
と、請求項４記載のように、請求項１記載の一般式（化
５）のＭが、Ｃｕ、Ｍｇ、Ｎｉ、ＣｏまたはＰｄである
ことが、上記作用の確実性等の観点より好適である。

【００２７】または、本発明は、請求項５記載のよう
に、記録光が照射されることにより反射率変化を生じて
情報を記録する記録層を有する光記録媒体であって、前
記記録層が下記一般式（化６）で表されるテトラアザポ
ルフィリン化合物を含む光記録媒体であってもよい。

【００２８】

【化６】

【００２９】ここで、Ｒ１及びＲ２は共同で置換また
は非置換の飽和炭化水素環を形成していることを示す。

【００３０】このような構成によっても、安定で確実な
記録再生特性を有し、長期保存安定性を兼ね備え、次世
代の高密度光記録媒体への適用も可能とする。

【００３１】ここで、請求項６記載のように、請求項５
記載の一般式（化６）のＲ１及びＲ２の示す飽和炭化水
素環は、シクロヘキセン環であることが、上記作用の確
実性等の観点より好適である。

【００３２】以上において、請求項７記載のように、テ
トラアザポルフィリン化合物は、４００ｎｍから８００
ｎｍの範囲内に吸収ピークを示す吸収スペクトルを有す
るものであり、現在用いられている光ディスクから次世
代の光ディスクに対して記録再生を可能とする。

【００３３】また、具体的構成は、請求項８記載のよう
に、記録層の一方に透明基板が隣接して形成され、前記
記録層の他方に反射層が隣接して形成されたものであっ
てもよく、請求項９記載のように、反射層が、金属層で
あってもよい。

【００３４】この際、使用される基板材料は、４００か
ら８００ｎｍの波長範囲で高い透過率を示すものであれ
ば使用可能であり、透過率は、高い反射出力の維持の目
的のため８０％以上が望ましく、９０％以上あればさら
に好ましい。

【００３５】また、具体的な基板材料としては、ガラ
ス、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド
樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂等が使用
可能であり、ポリカーボネート樹脂が一般的である。

【００３６】また、基板形状としては、使用光源である
短波長半導体レーザーの光学系の焦点に対して、適正な
厚みと直径で規定される円盤状が好ましく、この基板の
片側には案内溝が設けられていることがより望ましく、
切削加工や射出成形で形成可能である。

【００３７】そして、反射層は、使用光源波長に対して
反射率の高い材料を用いることが必要で、使用する材料
は金属、例えばアルミニウム、銀、金、鉄、ニッケル、
コバルト、錫、亜鉛、銅等が好ましく、これらを単独ま
たは合金として使用することが可能であり、スパッタ法
等により１０から２００ｎｍ程度、好適には２０から２
００ｎｍの厚さに形成する。

【００３８】また、請求項１０記載のように、更に、反
射層の外方側に隣接して保護層が形成されたものであっ
てもよい。

【００３９】この保護層は、記録層や反射層に対する傷
や汚れの保護や保存安定性のために設けられ、無機材料
としてはＳｉＯやＳｉＯ₂等が使用でき、有機材料で
は、ポリメチルアクリレート、ポリカーボネート、エポ
キシ樹脂、ポリスチレン、ポリエステル樹脂、ビニル樹
脂、セルロース、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化
水素樹脂系、天然ゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾
性油、ロジン等の熱軟化性、熱溶融樹脂も用いることが
できる。または、熱硬化性や光硬化性樹脂を用いてもよ
い。

【００４０】なお、保護層には必要に応じ、難燃剤、安
定剤、帯電防止剤などを添加することができ、接着剤に
よって樹脂基板を貼り合わせたものでもよい。

【００４１】ここで、請求項１１記載のように、記録層
が、スピンコート層、真空蒸着層またはスパッタ層であ
ってもよい。

【００４２】つまり、この記録層は、基板片側面（案内
溝が設けてあればその面）に、ウエットプロセスでは、
スピンコート法、ドライプロセスでは、真空蒸着法、ス
パッタ法等を用いて形成し得る。なお、案内溝は、平均
溝幅が、０．３から０．８μｍ、溝深さは７０から２０
０ｎｍの範囲が好ましい。

【００４３】スピンコート法では、有機色素を溶剤に溶
解し、透明基板を回転させつつ前記色素溶液を滴下して
記録層を形成する。この色素溶液は、０．５〜５重量％
の色素濃度に調整されていることが望ましい。

【００４４】また、色素溶液を作製する溶媒は、色素を
溶解し透明基板に無害であれば使用可能であり、メチル
アルコール、エタノール、プロパノール、ブタノール、
テトラフルオロアルコール、アセトンメチルエチルケト
ン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチル
エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ヘキサン、シク
ロヘキサン、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロフォ
ルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタ
ン、２−メトキシエタノール、２−エトキシエタノー
ル、２−イソプロポキシエタノール、アセトニトリル、
トリエチルアミン、ジプロピルアミン、ジメチルフォル
ムアミド等が使用可能であり、色素溶解性、作業性、基
板への影響、経済性を考慮して決定され得る。

【００４５】なお、有機溶媒に色素を溶解して色素溶液
を作製する際に光安定剤、酸化防止剤が含まれていても
よく、光安定剤としては、一重項酸素クエンチャーであ
る金属錯体やジイモニュウム塩、ヒンダードアミン化合
物、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール化合物、ベ
ンゾフェノン化合物、酸化防止剤としては、一次酸化防
止剤としてフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止
剤、２次の酸化防止剤として有機イオウ系２次酸化防止
剤、リン系２次酸化防止剤等があげられる。

【００４６】もちろん、これらの光安定剤、酸化防止剤
を単独、または複合して配合してもよい。この場合、添
加量は色素重量１００部に対して添加剤を０．１〜２０
０部程度が好ましい。

【００４７】また、色素溶液に結着剤として樹脂を添加
してもよく、これらの樹脂はニトロセルロース、リン酸
セルロース、硫酸セルロース、酢酸セルロース、プロピ
オン酸セルロース、酪酸セルロース、ミリスチン酸セル
ロース、パルミチン酸セルロース、酢酸・プロピオン酸
セルロース、酢酸・酪酸セルロース等のセルロースエス
テル類、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピ
ルセルロース、ブチルセルロース等のセルロースエーテ
ル類、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポ
リビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどのビニ
ル樹脂類、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン
−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−ブタジエン
−アクリロニトリルコポリマー、塩化ビニル−酢酸ビニ
ルコポリマーなどの共重合樹脂類、ポリメチルメタクリ
レート、ポリメチルアクリレート、ポリアクリル酸、ポ
リメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアクリルニ
トリルなどのアクリル樹脂類、ポリエチレンテレフタレ
ートなどのポリエステル類、ポリ（４，４−イソプロピ
リデンジフェニレン−コ−１，４−シクロヘキシレンジ
メチレンカーボネート）、ポリ（エチレンジオキシ−
３，３−フェニレンチオカーボネート）、ポリ（４，４
−イソプロピリデンジフェニレンカーボネート−コ−テ
レフタレート）、ポリ（４，４−イソプロピリデンジフ
ェニレンカーボネート）、ポリ（４，４−ｓｅｃ−ブチ
リデンジフェニレンカーボネート）、ポリ（４，４−イ
ソプロピリデンジフェニレンカーボネート−ブロック−
オキシエチレン）などのポリアクリレート樹脂類、ポリ
アミド類、エポキシ樹脂類、フェノール樹脂類、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等のポリ
オレフィン類などを用いることができ、これら樹脂類
は、色素重量１００部に対し１〜１０００部の範囲で添
加することができる。

【００４８】また、スピンコート法によって記録層を形
成するには、回転数と回転時間で所望の膜厚に調整する
必要があり、塗布条件は、色素溶液粘度、色素濃度等考
慮して決定する。記録層は、５０〜４００ｎｍの範囲に
設定されることが望ましいから、回転数１０００〜５０
００ｒｐｍでこのような膜厚となるように色素溶液の濃
度と粘度を調整する。もちろん、上述した光安定剤、酸
化防止剤等を塗布液に含ませてもよい。

【００４９】蒸着等の方法で記録層を形成する場合に
は、１０^-2Ｐａ以下の真空度で蒸着されることが望まし
く、蒸着可能な光安定剤、酸化防止剤等を同時に蒸着し
て記録層を形成することもできる。この場合光安定剤、
酸化防止剤等は、上述した化合物から選択され得る。こ
の蒸着は、記録層色素と添加剤を所定量混合して一つの
熱源で蒸着することも可能であり、もちろん別々の熱源
で蒸着してもよい。このような、抵抗加熱による真空蒸
着法等の蒸着法が適用可能となるのは、テトラアザポル
フィリン系色素材料が耐熱性に優れているためで、より
均一な薄膜形成ができる。

【００５０】一方で、方法に係る本発明は、請求項１２
記載のように、請求項１から１１のいずれかに記載の光
記録媒体を用意する行程と、波長が４００から８００ｎ
ｍのレーザ光を記録光として情報を記録する記録行程と
を有する光記録方法であり、追記型で高密度の情報の記
録を安定性高く行う。

【００５１】または、請求項１３記載のように、請求項
１から１１のいずれかに記載の光記録媒体であって波長
が４００から８００ｎｍのレーザ光を記録光として情報
が記録された光記録媒体を用意する行程と、波長が４０
０から８００ｎｍのレーザ光を再生光として前記記録さ
れた情報を再生する再生行程とを有する光再生方法であ
り、高密度で記録された情報を安定性高く再生する。

【００５２】ここで、請求項１４記載のように、記録光
の波長と再生光の波長とが等しいことが、装置構成の簡
便上好ましい。

【００５３】または、請求項１５記載のように、請求項
１から１１のいずれかに記載の光記録媒体を用意する行
程と、波長が４００から８００ｎｍのレーザ光を記録光
として情報を記録する記録行程と、前記記録行程で情報
が記録された光記録媒体に波長が４００から８００ｎｍ
のレーザ光を再生光として用いて前記記録された情報を
再生する再生行程とを有する光記録再生方法であり、高
密度で情報を記録し、記録された情報を安定性高く再生
する。

【００５４】ここでも、請求項１６記載のように、記録
光の波長と再生光の波長とが等しいことが好ましい。

【００５５】以下、本発明の各実施の形態を、図面を参
照しながらより詳細に説明する。（実施の形態１）図１は、本発明の実施の形態１におけ
る追記型光記録媒体の構成図である。

【００５６】図１において、１は基板、２は記録層、３
は反射層、及び４は保護層である。本実施の形態では、
基板１は、ポリカーボネート製の円盤状の透明基板であ
り、厚さ０．６ｍｍ、トラックピッチ０．７４μｍ、溝
幅０．３μｍ、溝深さ７６ｎｍの形状に射出成形したも
のを用いた。

【００５７】次に、本実施の形態で記録層２に用いたテ
トラアザポルフィリン化合物は、以下の化学式（化７）
で示されるシクロヘキセノテトラアザポルフィリン銅色
素である。

【００５８】

【化７】

【００５９】本実施の形態では、このシクロヘキセノテ
トラアザポルフィリン銅色素を、前述したポリカーボネ
ート製の透明基板１上に、基板温度は室温、真空度４×
１０ ^-4Ｐａ及び蒸着速度０．１ｎｍ／ｓの条件の下、真
空蒸着を行い記録層２を１５０ｎｍの厚さで形成した。

【００６０】ついで、このように形成された記録層２上
に金の反射膜を約６０ｎｍの厚さに均一にスパッタし、
反射層３を形成した。

【００６１】その後、ＵＶ硬化性樹脂で、厚み０．６ｍ
ｍの保護層５を形成し、厚み約１．２ｍｍの光記録媒体
を完成した。

【００６２】以下、このようにして得られる光記録媒体
を１０個用意し、その記録や再生の特性について確認し
た結果について説明する。

【００６３】本実施の形態では、記録再生試験は、パル
ステック社製ＤＤＵ−１０００を用いて行い、波長６３
５ｎｍの半導体レーザー光の照射によるものとした。

【００６４】なお、各測定値は、用意した１０個の媒体
の平均値である。光記録では信号情報を変調された符号
に変化して記録ピット長の長さを変化させて記録を行う
が、短波長レーザーを用いる光記録では、使用される記
録ピット長が最長のものを１４Ｔ信号、最短の記録ピッ
ト長を３Ｔ信号と呼び、特に、３Ｔ信号は、非常に短い
ピット長０．４μｍに対応する。

【００６５】そこで、最長のピット長に対応した１４Ｔ
信号と最短のピット長に対応した３Ｔ信号につき、記録
速度１．５ｍ／ｓ、記録感度６ｍＷと各々設定し情報を
記録し、その後、再生速度１．５ｍ／ｓ、再生感度０．
５ｍＷと各々設定して情報を再生した。

【００６６】その結果、未記録部分の反射率は５０％、
１４Ｔ信号の出力信号とノイズ信号との比であるＣＮ出
力は４３ｄＢ、及び３Ｔ信号の出力信号とノイズ信号と
の比であるＣＮ出力は３７ｄＢであり、いずれも実用上
十分な結果を得ることができ、特に記録時には高感度で
あった。

【００６７】そして、以上の再生行程を、１０００回行
ったが、再生出力及びＣＮ出力ともに劣化は見られなか
った。

【００６８】さらに、４００から８００ｎｍの範囲内
で、入手可能な他のレーザ光源を用いて同様の測定を行
ったが、同様の傾向が確認された。

【００６９】以上より、本実施の形態の記録媒体は、波
長範囲が４００から８００ｎｍの波長範囲のレーザー光
源を用いてヒートモード方式によりピットを形成し情報
を記録しかつ再生を行なう場合において、安定でかつ高
感度な記録再生特性を有する追記型高密度光記録媒体及
び光記録再生方法を実現することができたことがわか
る。

【００７０】（実施の形態２〜６）本実施の各形態で
は、実施の形態１で用いたシクロヘキセノテトラアザポ
ルフィリン銅色素の代わりに、前述の化学式（化７）の
中心金属ＭをＭｇ、Ｎｉ、Ｃｏ及びＰｄとしたシクロヘ
キセノテトラアザポルフィリン化合物と、前述の（化
６）で表されるテトラアザポルフィリン化合物であっ
て、Ｒ１及びＲ２を（化７）と同様にしたものを、各々
記録層２に用いたこと以外、実施の形態１と同様に光記
録媒体を作製した。

【００７１】そして、実施の形態１と記録感度を調整し
たこと以外は同様に記録再生の特性について確認したと
ころ、いずれも、未記録部分の反射率は約５０％であっ
た。更に、１４Ｔ信号及び３Ｔ信号の変調度（信号振
幅）についても良好であることが確認された。

【００７２】以下の（表１）中に、記録感度と変調度の
結果をまとめる。なお、中心金属を水素と記したもの
は、（化６）のテトラアザポルフィリン化合物のＲ１及
びＲ２を（化７）と同様にしたものを示す。

【００７３】

【表１】

【００７４】なお、前述の（化５）で表されるテトラア
ザポルフィリン化合物の中心金属Ｍについて、２価から
４価のものや、２価から４価のものであって酸素原子ま
たはハロゲン原子を有しているもの、Ｒ１及びＲ２につ
いて、共同で飽和炭化水素環を形成し置換されているも
の、及び共同で飽和炭化水素環を形成し置換されていな
いものを種々組み合わせたものを用いて確認したとこ
ろ、同様の結果が得られた。

【００７５】さらに、前述の（化６）で表されるテトラ
アザポルフィリン化合物のＲ１及びＲ２について、共同
で飽和炭化水素環を形成し置換されているもの、及び共
同で飽和炭化水素環を形成し置換されていないものを種
々組み合わせたものを用いて確認したところ、同様の結
果が得られた。

【００７６】以上の結果から、以上説明してきた記録材
料が、波長範囲４００から８００ｎｍにおいて高密度光
記録媒体として適当な吸収・反射特性を呈し得るような
吸収ピークを含む吸収領域を好適に有することが理解で
き、かかる特性は、前述の（化５）で表されるテトラア
ザポルフィリン化合物の骨格と、中心金属Ｍ、Ｒ１及び
Ｒ２の組み合わせの効果、並びに前述の（化６）で表さ
れるテトラアザポルフィリン化合物の骨格やＲ１やＲ２
についての組み合わせの効果により発現したものと考え
られる。

【００７７】

【発明の効果】以上のように本発明は、記録層に所定の
テトラアザポルフィリン化合物を用いた光記録媒体を構
成することによって、安定で確実な記録再生特性を有
し、長期保存安定性を兼ね備え、次世代の高密度光記録
媒体への適用も可能とした光記録媒体及びそれを用いた
光記録再生方法を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態１の光記録媒体の構造図

【符号の説明】

１透明基板２有機記録層３反射層４保護層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者保坂富治大阪府門真市大字門真1006番地松下電器産業株式会社内 (72)発明者戸崎善博大阪府門真市大字門真1006番地松下電器産業株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】記録光が照射されることにより反射率変
化を生じて情報を記録する記録層を有する光記録媒体で
あって、前記記録層が下記一般式（化１）で表されるテ
トラアザポルフィリン化合物を含む光記録媒体。【化１】ここで、Ｍは酸素原子またはハロゲン原子を有してい
てもよい２価から４価の金属原子を示し、Ｒ１及びＲ２
は共同で置換または非置換の飽和炭化水素環を形成して
いることを示す。
【請求項２】テトラアザポルフィリン化合物は、シク
ロヘキセノテトラアザポルフィリン化合物である請求項
１記載の光記録媒体。
【請求項３】請求項１記載の一般式（化１）のＲ１及
びＲ２の示す飽和炭化水素環は、シクロヘキセン環であ
る請求項２記載の光記録媒体。
【請求項４】請求項１記載の一般式（化１）のＭが、
Ｃｕ、Ｍｇ、Ｎｉ、ＣｏまたはＰｄである請求項３記載
の光記録媒体。
【請求項５】記録光が照射されることにより反射率変
化を生じて情報を記録する記録層を有する光記録媒体で
あって、前記記録層が下記一般式（化２）で表されるテ
トラアザポルフィリン化合物を含む光記録媒体。【化２】ここで、Ｒ１及びＲ２は共同で置換または非置換の飽
和炭化水素環を形成していることを示す。
【請求項６】請求項５記載の一般式（化２）のＲ１及
びＲ２の示す飽和炭化水素環は、シクロヘキセン環であ
る請求項５記載の光記録媒体。
【請求項７】テトラアザポルフィリン化合物は、４０
０ｎｍから８００ｎｍの範囲内に吸収ピークを示す吸収
スペクトルを有する請求項１から６のいずれかに記載の
光記録媒体。
【請求項８】記録層の一方に透明基板が隣接して形成
され、前記記録層の他方に反射層が隣接して形成された
請求項１から７のいずれかに記載の光記録媒体。
【請求項９】反射層が、金属層である請求項８記載の
光記録媒体。
【請求項１０】更に、反射層の外方側に隣接して保護
層が形成された請求項９記載の光記録媒体。
【請求項１１】記録層が、スピンコート層、真空蒸着
層またはスパッタ層である請求項１から請求項１０のい
ずれかに記載の光記録媒体。
【請求項１２】請求項１から１１のいずれかに記載の
光記録媒体を用意する行程と、波長が４００から８００
ｎｍのレーザ光を記録光として情報を記録する記録行程
とを有する光記録方法。
【請求項１３】請求項１から１１のいずれかに記載の
光記録媒体であって波長が４００から８００ｎｍのレー
ザ光を記録光として情報が記録された光記録媒体を用意
する行程と、波長が４００から８００ｎｍのレーザ光を
再生光として前記記録された情報を再生する再生行程と
を有する光再生方法。
【請求項１４】記録光の波長と再生光の波長とが等し
い請求項１３記載の光再生方法。
【請求項１５】請求項１から１１のいずれかに記載の
光記録媒体を用意する行程と、波長が４００から８００
ｎｍのレーザ光を記録光として情報を記録する記録行程
と、前記記録行程で情報が記録された光記録媒体に波長
が４００から８００ｎｍのレーザ光を再生光として用い
て前記記録された情報を再生する再生行程とを有する光
記録再生方法。
【請求項１６】記録光の波長と再生光の波長とが等し
い請求項１５記載の光記録再生方法。