JPH11142369A - 窒素酸化物センサ - Google Patents

窒素酸化物センサ

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JPH11142369A
JPH11142369A JP9323856A JP32385697A JPH11142369A JP H11142369 A JPH11142369 A JP H11142369A JP 9323856 A JP9323856 A JP 9323856A JP 32385697 A JP32385697 A JP 32385697A JP H11142369 A JPH11142369 A JP H11142369A
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oxide
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忠司 中村
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啓市 佐治
Katsuji Yamashita
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 NO感度,NO2 感度を任意に制御すること
ができ、NOとNO2 が共存する雰囲気でもNO濃度又
はNO2 濃度を独立に検知可能な耐熱性に優れた窒素酸
化物センサを提供する。 【解決手段】 二つで一対となる電極が表面に形成され
た酸化物イオン導電性固体電解質からなるセンサ素子
と、対をなす二つの電極間に電圧又は電流を印加可能な
電圧源又は電流源とから構成され、前記二つの電極のう
ちの少なくとも一方の電極が少なくとも周期律表の第VI
族,第VII 族,第VIII族(但し、貴金属は除く)の何れ
かに属する金属を含む酸化物であり、前記電極間に電圧
を印加した時に流れる電流又は電流を印加した時の電極
間の電圧から被検ガス中の窒素酸化物のうちの少なくと
も一つの成分を検出する窒素酸化物センサ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のエンジン
やボイラーなどから出る燃焼排気ガス中に含まれる窒素
酸化物(NOx )の中のNO,NO2 の濃度を別々に直
接検知することができ、且つ全NOx (NO+NO2
濃度も検知することができる窒素酸化物センサに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】自動車
のエンジンやボイラーなどから発生する燃焼排気ガス中
に含まれる窒素酸化物(NOx )の低減のために、NO
x センサを用いたNOx 濃度モニタ及びその結果に基づ
く燃焼機器の燃焼状態の制御,触媒浄化装置の制御等が
検討されている。NOx を有効に検知するために、高温
の燃焼排気ガス中でも安定して作動する小型の窒素酸化
物センサの開発が望まれており、このようなセンサとし
ては、酸化物半導体を用いた抵抗変化式、又は固体電解
質を用いた起電力式,電流式の窒素酸化物センサが提案
又は報告されている。
【0003】抵抗変化式の窒素酸化物センサは、半導体
表面にNOx が吸着した場合に前記半導体の電気抵抗が
変化することを利用したセンサである。しかし、抵抗変
化式の窒素酸化物センサは還元性ガスに対しても感度を
有するため、ガス選択性に乏しい。又、600℃を越え
る高温では半導体表面へのガス吸着が起こりにくいた
め、抵抗変化式の窒素酸化物センサでは高温で充分な感
度が得られない。
【0004】起電力式の窒素酸化物センサは、固体電解
質を隔壁とした電気化学セル間に発生する起電力からN
x を検知する方式のセンサである。この方式では、電
極の一方に硝酸塩又は亜硝酸塩を塗布した固体素子型の
センサ素子を備えた窒素酸化物センサが主に検討され、
多数公開されている(例えば、特開昭61−18445
0号公報)。この方式のセンサは数百ppm以下の低濃
度のNOx に対しても数十〜数百mV以上の大きい起電
力変化を示し、その起電力がネルンストの式に一致する
という利点がある。しかし、これらのセンサ素子は構成
要素として水溶性且つ低融点の硝酸塩又は亜硝酸塩を含
むため、その融点によって動作温度が制限される。すな
わち、硝酸塩及び亜硝酸塩の中で最も融点が高いBa
(NO3 2 でも融点が592℃のため、前記窒素酸化
物センサは、600℃以上の高温では使用不可能であ
る。
【0005】起電力式の窒素酸化物センサにおける前記
問題を解決するために、電極の一方に各種酸化物を用い
る方式が提案されている。これらのセンサの特性は酸化
物材料に大きく依存することが知られており、良好な特
性を示す電極材料としてK2NiF4 型及びペロブスカ
イト型酸化物(特開平7−198671号公報)、VIIa
族又はVIIIa 族元素を含む酸化物(特開平8−2479
92号公報)等が開示されている。これらの酸化物電極
は、融点や分解温度が硝酸塩より高いため耐熱性は優れ
ている。しかし、NOx 検知機構が混成電位機構に基づ
くため、NOとNO2 に対して起電力の変化方向が原理
的に逆向きになる。燃焼排気ガス中のNOx はNOを主
成分として一部NO2 を含み、NOとNO2 の混合状態
となっている。そのためNOとNO2 に対する起電力の
変化方向が逆向きのセンサを排気ガス中で用いると、起
電力の出力が互いに打ち消されて正確なNOx 濃度の測
定ができなくなる。
【0006】前記の型のセンサにおいて、酸化物電極を
スピネル型酸化物とすることでNO2 選択性を高める方
法(特開平9−80014号公報)も開示されている
が、NOに対する起電力変化がNO2 に対する起電力変
化と逆向きであることに変わりはなく、例えばNOがN
2 に対して大過剰になるエンジン排気ガス中の使用で
も、依然として起電力の出力が互いに打ち消される可能
性がある。従って、酸化物電極をスピネル型酸化物とし
たセンサを用いても、排気ガス中の使用で求められるN
O,NO2 の独立測定や全NOx 濃度の測定は不可能で
ある。
【0007】電流式の窒素酸化物センサとしては、例え
ば、酸素イオン透過性固体電解質としてジルコニアのよ
うな酸化物イオン導電体を用い、この素子に設けた電極
(カソード電極)は、酸素欠損性又はペロブスカイト型
金属酸化物を含む)に直流を流してNOx が電気化学的
に分解された場合に前記電解質中をO2-として流れる電
流値からNOx 量を検知するセンサが提案されている
(特開平6−258283号公報)。又、カソード電極
が導電材と結合材(銅及び/又は酸化銅と酸化ビスマス
の混合物、或いは酸化ビスマス)からなり、外は前記素
子と同様の構成のセンサも提案されている(特開平7−
140099号公報)。しかし、NOx 以外に、排気ガ
ス中に共存するO2 も電気化学的に分解された場合にO
2-として電解質中を流れるので、電流式の窒素酸化物セ
ンサでは、NOx とO2 の分離検知が困難である。又、
前記電流値はガス濃度に比例するので、数百ppm以下
のNOx の検知に対しては電流出力が微小になる。
【0008】本発明は前記従来技術の問題点を解決する
ためのものであり、その目的とするところは、高温燃焼
排気ガス中でも使用可能な安定性を有し、且つNOとN
2が共存する被検ガス雰囲気中においてもそれぞれの
濃度を独立に測定可能で、且つ全NOx (NO+N
2 )濃度も測定可能な窒素酸化物センサを提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の窒素
酸化物センサは、二つで一対となる電極が表面に形成さ
れた酸化物イオン導電性固体電解質からなるセンサ素子
と、対をなす二つの電極間に電圧又は電流を印加可能な
電圧源又は電流源とから構成され、前記二つの電極のう
ちの少なくとも一方の電極が少なくとも周期律表の第VI
族,第VII 族,第VIII族(但し、貴金属は除く)の何れ
かに属する金属を含む酸化物であり、前記電極間に電圧
を印加した時に流れる電流又は電流を印加した時の電極
間の電圧から被検ガス中の窒素酸化物のうちの少なくと
も一つの成分を検出することを特徴とする。
【0010】酸化物電極を有する固体電解質セルの電極
間の起電力からNOx を検知する窒素酸化物センサ(例
えば、特開平7−198671号公報,特開平9−80
014号公報記載の窒素酸化物センサ)では、酸化物電
極(カソード電極)上でNO2 に対して以下の(1),
(2)の反応が起こっていると考えられる。 NO2 +2e- →NO+O2- (1) O2-→1/2O2 +2e- (2) 又、NOに対しては以下の(3),(4)の反応が起こ
っていると考えられる。 1/2O2 +2e- →O2- (3) NO+O2-→NO2 +2e- (4) すなわち、NO2 に対してはNO2 がNOに還元される
反応(1)が、又、NOに対してはNOがNO2 に酸化
される反応(4)が起こり、反応(1),(4)とO2
の電極反応(2),(3)とのバランスでNO,NO2
のそれぞれが検知される。従って、NOの検知とNO2
の検知では、原理的に起電力の変化方向が逆になること
を回避できない。
【0011】NOとNO2 の選択性を高める方法とし
て、酸化物電極の構造に特徴を持たせる方法(特開平9
−80014号公報記載の方法)及び触媒装置を併用し
て予めNOをNO2 に酸化する方法(特開平9−800
19号公報記載の方法)は公知である。それらの方法に
対して本発明では、センサ素子に形成した一対の電極間
に一定の電流を印加しておき、被検ガス中のNOx 濃度
に対応した電圧変化から被検ガス中のNOx を検知する
か、或いは前記電極間に一定の電圧を印加しておき、被
検ガス中のNOx 濃度に対応した電流値変化から被検ガ
ス中のNOx を検知する。すなわち、上記(1),
(2)の反応及び(3),(4)の反応を外部から電流
又は電圧を印加することで電気的に制御して選択性を発
現させる。
【0012】例えば、O2 が存在する雰囲気で、一対の
電極のうちの酸化物電極側が負、貴金属電極側が正にな
るように一定電流を印加した場合(すなわち、酸化物電
極をカソード分極した場合)、酸化物電極側で前記
(3)の反応が、貴金属電極側で前記(2)の反応がそ
れぞれ起こり、固体電解物質中を酸化物イオン(O2-
が酸化物電極側から貴金属電極側へ流れる。雰囲気中に
NOが共存する場合、このO2-の流れにより(4)の反
応が抑制される。そのためNO感度を下げることがで
き、印加電流がある値以上になると、見かけ上(4)の
反応が起こらないようにすることができる。すなわち、
窒素酸化物センサのNO感度をゼロにすることができ
る。この時の印加電流は、酸化物電極の種類と温度で決
まる。又、このような印加電流の印加はO2-の流れを促
進することを意味し、(1)の反応は促進されることに
なり、NO2 感度は向上する。つまり、NO感度がなく
なり、NO2 のみを高感度で検知できることになる。
【0013】更に印加電流が大きくなると、以下の反応
が起こるようになる。 NO+2e- →1/2N2 +O2- (5) この場合はNOの検知反応が還元反応になり、そのた
め、NOとNO2 ともに検知反応は還元反応となり、電
圧の変化方向を同一にすることができる。一方、酸化物
電極側を正、貴金属電極側を負になるように一定電流を
印加した場合(すなわち、酸化物電極をアノード分極し
た場合)は、前記の現象と逆の現象が起こり、NOの検
知反応(4)を促進し、NO2 の検知反応(1)を抑制
することができる。その結果NO2 感度がなくなり、N
Oのみを選択的に検知することができる。このように印
加電圧を選び、極性を変えることでNOのみ、NO2
みに感度を持たせることができるので、排気ガス中でN
OとNO2 を独立に測定することができる。又、それぞ
れの測定結果に適当な演算処理を施すことにより、全N
x を求めることもできる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の窒素酸化物センサにおい
て、センサ素子の固体電解質材料としては酸化物イオン
導電性を示すものを使用することができる。具体的に
は、例えばジルコニウム系固体電解質(ZrO2 −M2
3 固溶体又はZrO2 −MO固溶体、M=Y,Yb,
Gd,Ca,Mgなど)、セリア系固体電解質(CeO
2 −M23 固溶体又はCeO2 −MO固溶体、M=
Y,Smなど)、酸化ビスマス系固体電解質(Bi2
3 −WO3 固溶体など)を使用することができる。排気
ガス中での安定性の観点から、ジルコニウム系固体電解
質が好ましく、特に熱衝撃抵抗と酸化物イオン導電率と
の兼ね合いで、5〜8mol%のY2 3 を固溶させた
ZrO2 が最も好ましい。
【0015】二つの電極のうちの少なくとも一方の酸化
物電極の材料としては、適度な電子伝導性を有し、且つ
NOx の電極反応〔前記(1),(4)の反応〕の活性
が高く、酸素の電極反応〔前記(2),(3)の反応〕
の活性が低い材料が好ましく、具体的には例えば、周期
律表の第VI族,第VII 族,第VIII族(但し、貴金属は除
く)の何れかの金属を含む酸化物が好ましい。特に、C
r,Feの酸化物を用いた場合に高いNOx 感度を得る
ことができる。これら酸化物は単独酸化物に限るもので
はなく、CdMn2 4 ,NiCr2 4 などの複合酸
化物でもよく、更にはそれらの混合物(例えばCr2
3 +NiCr2 4 )でもよい。他方の電極材料は特に
限定されるものではないが、酸素の電極反応〔前記
(2),(3)の反応〕の活性が著しく高いものが好ま
しく、具体的には例えば、Pt,Pd及びそれらを主成
分とする合金や(La,Sr)MnO3 のような電子伝
導性酸化物を利用することができる。
【0016】本発明の窒素酸化物センサにおけるセンサ
素子及び電極は、この分野における慣用の方法、例え
ば、焼成法(センサ素子),印刷法及びスパッタ法(電
極)等により製造してよい。センサ素子及び電極の大き
さや形状は、窒素酸化物センサの大きさや形状に応じて
適宜選択する。本発明の窒素酸化物センサにおける電圧
源又は電流源としては、好適な直流電圧電源又は直流電
流電源を選択する。本発明の窒素酸化物センサを慣用の
電圧又は電流の極性の切り替え装置と組み合わせて使用
することができる。又、前記切り替え装置を用いず、本
発明のセンサ二つを用いてそれぞれのセンサに互いに逆
極性の電流又は電圧を印加してもよい。前記電圧源,電
流源,切り替え装置を制御・管理したり、又は、センサ
素子からの信号を処理するために、パーソナルコンピュ
ーターなどの装置を使用することができる。
【0017】本発明の窒素酸化物センサにおけるセンサ
素子を他の機能を有するセンサ素子、例えば酸素センサ
素子と組み合わせて使用することもできる。機能を異に
する複数のセンサ素子において、その構成要素、例えば
酸化物イオン導電性固体電解質を共有することができる
場合には、一つの酸化物イオン導電性固体電解質上に本
発明の窒素酸化物センサ素子を含む複数のセンサ素子を
形成して複合型センサを構成してもよい。
【0018】上述の事柄を考慮して、好ましい本発明の
窒素酸化物センサとしては、例えば、以下の構成を有す
るセンサを挙げることができる。 二つで一対となる電極が表面に形成された酸化物イ
オン導電性固体電解質からなるセンサ素子と、対をなす
二つの電極間に一定電圧又は一定電流を印加可能な定電
圧電源又は定電流電源と、前記二つの電極間に印加され
た一定電圧又は一定電流の極性を交互に切り替えるため
の切り替え装置とから構成され、前記二つの電極のうち
の一方の電極が周期律表の第VI族,第VII 族,第VIII族
(但し、貴金属は除く)の何れかに属する金属の酸化物
からなり、他方の電極が貴金属からなるセンサ。 二つで一対となる電極が表面に形成された酸化物イ
オン導電性固体電解質からなるセンサ素子二つと、前記
センサ素子二つの各々の対をなす二つの電極間に一定電
圧又は一定電流を両センサ素子に関して極性が互いに逆
となるように印加可能な定電圧電源又は定電流電源二つ
とから構成され、前記センサ素子二つの各々の二つの電
極のうちの一方の電極が周期律表の第VI族,第VII 族,
第VIII族(但し、貴金属は除く)の何れかに属する金属
の酸化物からなり、他方の電極が貴金属からなるセン
サ。
【0019】
【実施例】以下の実施例及び比較例により、本発明を更
に詳細に説明する。なお、前記実施例及び比較例は以下
の検討例の中に含まれ、各検討例において、基本的な構
造のセンサ素子を用いて種々の条件下における各窒素酸
化物センサの諸特性を比較・検討した。 検討例1 1−1.窒素酸化物センサの製造及びその構造 図1は本検討例で使用した窒素酸化物センサの概略構成
図である。固体電解質1は酸化物イオン導電性であり、
特に安定性の点でイットリア,カルシア,マグネシア等
で安定化したジルコニアが好ましい。本検討例では6m
ol%イットリアで安定化したジルコニアを用いた。丸
板状の固体電解質1の対向する面には酸化物電極2及び
貴金属電極3が設けられている。酸化物電極2及び貴金
属電極3はそれぞれFe2 3 及びPtで形成されてい
る。酸化物電極2(Fe2 3 電極)は、Fe2 3
末をテルピネオールに懸濁し、固体電解質上に塗布,乾
燥後、大気中で1000℃で1時間の熱処理を行い焼き
付けて形成した。貴金属電極3(Pt電極)はスパッタ
法により形成した。それぞれの電極には集電用のPtメ
ッシュ4,5を被せ、Ptリード線6,7を取り付け、
定電流電源8及び電圧計9に接続した。被検ガス中のN
x の測定に際しては、本センサのセンサ素子部を電気
炉中で700℃に加熱し、貴金属電極3側に空気を、酸
化物電極2側にNOx を含む被検ガスを各々1リットル
/分の流速で流した。
【0020】1−2.NOx に対する起電力応答(従来
技術のセンサ,比較例) 図2に、電流を印加せずに5%O2 −N2 雰囲気に50
0ppmのNOx (NO及びNO2 )を注入した時の両
電極間の起電力を測定した結果を示す。すなわち、図2
にNO及びNO2 の各々に関する起電力応答を示す。従
来技術のセンサでは、NOに対する起電力の方向とNO
2 に対する起電力の方向が互いに逆方向であり、それ
故、互いに相殺することが判る。
【0021】1−3.定電流印加時の電圧変化(カソー
ド分極及びアノード分極;本発明のセンサ,実施例1) 図3に、酸化物電極2側を+として−0.5μAの一定
電流を印加したこと以外は図2の場合と同一条件下で、
電圧変化を測定した結果を示す(カソード分極)。又、
図4に、図3の場合とは逆に酸化物電極2側を+とし、
印加電流を2μAとした時の電圧変化を示す(アノード
分極)。図2の起電力測定結果ではNOとNO2 の変化
方向が逆向きになっているのに対して、図3の電圧測定
結果では、NOとNO2 で変化方向が同一になっている
ことが判る。又、NO2 に対する電圧変化が大きくなっ
ていることも判る。更に、図4の条件では、NO2 に対
する感度がなく、NOのみを選択的に検知できることが
判る。
【0022】1−4.実施例1の窒素酸化物センサのI
−V特性 前記の如く、センサ素子に電流(又は電圧)を印加する
ことによりNOとNO2 に対する感度を任意に制御する
ことができるのは、NOx とO2 の電極反応平衡が電流
(又は電圧)の印加により変化するためであり、その変
化の様子をI−V特性で見ると図5のようになる(酸化
物電極側を+として測定した結果)。酸化物電極をアノ
ード分極した場合(図5のB点に相当)にはNOのみを
検知することができ、又、酸化物電極をカソード分極し
た場合(図5のA点に相当)にはNO2 を選択的に検知
することができる。従って、逆極性の電流を印加した二
つの素子を用いると、それぞれの素子でNO濃度とNO
2 濃度を独立に測定することができ、その結果から全N
x 濃度を求めることができる。
【0023】1−5.実施例1の窒素酸化物センサの構
造 図6に実施例1の窒素酸化物センサの概略構成図を示
す。図中、センサ素子10,11には各々定電流電源1
2及び電圧計13が接続されており、又、センサ素子1
0側には演算装置14が、センサ素子11側には演算装
置15が接続されている。更に、演算装置14と演算装
置15は演算装置16に接続されている。前述の如く、
演算装置14でNO濃度を、演算装置15でNO2 濃度
を、そして演算装置16でNOx 濃度を、各々算出する
ことができる。
【0024】検討例2 2−1.定電圧印加時の電流変化(アノード分極及びカ
ソード分極;本発明のセンサ,実施例2) 図1における酸化物電極2をCr2 3 で形成したこと
以外は、検討例1と同様の方法により、窒素酸化物セン
サを作製した。センサ素子は定電圧電源及び電流計に接
続した(図示せず)。センサ素子部を700℃に加熱
し、貴金属(Pt)電極側に空気を、酸化物(Cr2
3 )電極側にNOx を含む被検ガスを流した。図7に、
酸化物電極側を+として100mVの一定電圧を印加し
ておき、5%O2 −N2 雰囲気に500ppmのNOx
(NO及びNO2 )を注入した時の電流変化を測定した
結果を示す(アノード分極)。図8には、同一のセンサ
素子で印加電圧を−100mVとした時の電流変化を測
定した結果を示す(カソード分極)。図7,8ともにN
OとNO2 に対する電流変化方向が同一であり、共に検
知可能である。又、印加電圧を選べばNOx に対する電
流変化の向きも任意に制御することができる。図7に示
したようにNOとNO2 に対する電流変化量がほぼ同一
となるように印加電圧を選べば、排気ガス中の全NOx
濃度(NOとNO2 の和)を演算処理なしで測定するこ
とも可能となる。
【0025】2−2.実施例2の窒素酸化物センサのI
−V特性 図9,10に、実施例2の窒素酸化物センサを用いて測
定したI−V特性を示す。図9はI−V特性のNO2
度依存性を示し、図10はI−V特性のNO濃度依存性
を示す。図9のC,図10のD点に相当する印加電圧で
測定すれば、C点ではNOのみ、D点でNO2 のみを測
定することができる。図より明らかなように、これらの
点は、NO2 濃度又はNO濃度に殆ど依存しないので、
測定すべき成分の濃度を正確に測定することができる。
【0026】2−3.実施例2の窒素酸化物センサの構
造 図11に実施例2の窒素酸化物センサの概略構成図を示
す。図中、センサ素子17には互いに極性を異にする定
電圧電源18及び電流計19が接続されており、又、二
つの定電圧電源18は印加電圧切り替え装置20に接続
されている。前述の如く、センサ素子17に印加される
電圧の極性を切り替えることにより、NO濃度及びNO
2 濃度を別々に算出することができる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の窒素酸化
物センサは、電流又は電圧の印加によりNO感度、NO
2 感度を任意に制御することができ、印加電流又は印加
電圧の極性と大きさ適切に選択することにより、NOと
NO2 が共存する雰囲気でもNO濃度のみ又はNO2
度のみを検知することができる。又、それぞれの信号か
ら全NOx 濃度(NO濃度とNO2 濃度の和)を検知
(算出)することもできる。このため、同一のセンサ素
子でNOのみ,NO2 のみ,NOとNO2 の和の3モー
ドの検知が可能となり、或いは二つのセンサ素子でNO
及びNO2 を別々に検知し、それから全NOx の検知が
可能となり、種々の用途、例えば自動車などの内燃機関
やボイラーなどの燃焼制御、或いは排気ガス浄化用触媒
の状態監視,劣化検知等に大きな威力を発揮する。更
に、本発明の窒素酸化物センサは熱的及び化学的に安定
な材料から構成されているので、燃焼排気ガス中での安
定性に優れており、同時に、高温、例えば700℃でも
使用できるため、排気管などの高温排気ガス雰囲気に直
接挿入することができる小型且つ軽量なセンサを容易に
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】窒素酸化物センサの概略構成図である。
【図2】比較例の窒素酸化物センサのNOx に対する起
電力応答を示す図である。
【図3】実施例1の窒素酸化物センサの定電流印加時の
電圧変化を示す図である(カソード分極)。
【図4】実施例1の窒素酸化物センサの定電流印加時の
電圧変化を示す図である(アノード分極)。
【図5】実施例1の窒素酸化物センサのI−V特性を示
す図である。
【図6】実施例1の窒素酸化物センサの概略構成図であ
る。
【図7】実施例2の窒素酸化物センサの定電圧印加時の
電流変化を示す図である(アノード分極)。
【図8】実施例2の窒素酸化物センサの定電圧印加時の
電流変化を示す図である(カソード分極)。
【図9】実施例2の窒素酸化物センサのI−V特性のN
2 濃度依存性を示す図である。
【図10】実施例2の窒素酸化物センサのI−V特性の
NO濃度依存性を示す図である。
【図11】実施例2の窒素酸化物センサの概略構成図で
ある。
【符号の説明】
1:固体電解質 2:酸化物電
極 3:貴金属電極 4,5:Pt
メッシュ 6,7:Ptリード線 8:定電流電
源 9:電圧計 10,11,
17:センサ素子 12:定電流電源 13:電圧計 14,15,16:演算装置 18:定電圧
電源 19:電流計 20:印加電
圧切り替え装置

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二つで一対となる電極が表面に形成され
    た酸化物イオン導電性固体電解質からなるセンサ素子
    と、対をなす二つの電極間に電圧又は電流を印加可能な
    電圧源又は電流源とから構成され、 前記二つの電極のうちの少なくとも一方の電極が少なく
    とも周期律表の第VI族,第VII 族,第VIII族(但し、貴
    金属は除く)の何れかに属する金属を含む酸化物であ
    り、 前記電極間に電圧を印加した時に流れる電流又は電流を
    印加した時の電極間の電圧から被検ガス中の窒素酸化物
    のうちの少なくとも一つの成分を検出することを特徴と
    する窒素酸化物センサ。
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