JPH11140316A - 水膨張性シリコーンゴム組成物 - Google Patents

水膨張性シリコーンゴム組成物

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JPH11140316A
JPH11140316A JP30428297A JP30428297A JPH11140316A JP H11140316 A JPH11140316 A JP H11140316A JP 30428297 A JP30428297 A JP 30428297A JP 30428297 A JP30428297 A JP 30428297A JP H11140316 A JPH11140316 A JP H11140316A
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JP
Japan
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water
silicone rubber
swellable
rubber composition
silicone
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JP30428297A
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English (en)
Inventor
Shoji Uwano
庄二 宇和野
Yoshiharu Ito
義治 伊藤
Mitsuhiro Sekine
三弘 関根
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SAITAMA RUBBER KOGYO KK
Original Assignee
SAITAMA RUBBER KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、吸水、膨張が可能で、さらに使用
温度範囲が広く、一般工業分野のみならず、医療、食
品、薬品などの広い分野、及び生体に適用可能な水膨張
性シリコーンゴム組成物の提供を目的とする。 【解決手段】 シリコーンゴムコンパウンドと吸水性樹
脂及びシリコーンオイルを含むことを特徴とする水膨張
性シリコーンゴム組成物、当該水膨張性シリコーンゴム
組成物成形体、当該水膨張性シリコーンゴム組成物成形
体の製造方法

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水分を吸収して膨張
するとともに、吸水後の表面が弾力性に富み、かつ堅固
で平滑であり、かつ生物適合性を有する水膨張性シリコ
ーンゴム組成物及びその成形体、その製造方法及びその
使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水を吸収して膨張する水膨張性ゴム組成
物は、特開昭63−22887号公報に記載されている
ように、水溶性ポリエチレンオキシドにイソシアネート
化合物を反応させて得られる水不溶性のポリエチレンオ
キシド変成物とそれ以外の高吸水性樹脂と熱可塑性樹脂
及び/又はゴムからなる基材を含有し、ゴムからなる基
材の場合は、更に必要的に、加硫剤、加硫促進剤、及び
老化防止剤を使用することが提案されている。
【0003】また、急速水膨張性ゴム組成物の材料とし
て、特願平8−258680号に記載されているよう
に、ゴム類として天然ゴム又はイソプレンゴム、ブチル
ゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、アクリルゴ
ム等の合成ゴムを1種又は2種以上組み合わせて使用
し、その他にゴム類の架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤、
及び吸水性樹脂、及び水膨張性ゴム組成物の加工性を調
整するための軟化剤、充填剤、及びゴム類架橋時におけ
るゴム類、及び吸水性樹脂の老化を防止するための老化
防止剤等が使用されている。
【0004】従来の水膨張性ゴムは、シールド工法によ
りトンネルが作られる際に、コンクリートセグメント内
に埋設されるコンクリート注入孔パイプとコンクリート
セグメントの間隙を通して侵入する地下水を防止するこ
とを目的として、コンクリートセグメントを連結するボ
ルトの座金に装着するパッキン部材として主に使用され
ている。
【0005】かかる水膨張性ゴムは、ゴム類として天然
ゴム、合成ゴムを使用し、さらに老化防止剤などの種々
の添加剤を使用するものであるため、その用途や使用温
度範囲が限定されており、特に耐熱性、耐寒性、難燃
性、耐放射線性等を特に必要とする部分への適用には問
題があった。また、天然ゴム等のもつアレルギー誘発性
と、添加される種々の添加剤等により、医療、食品、薬
品等、生体に直接適用する分野において使用することは
困難であった。
【0006】一方、ゴム類としてシリコーンゴムが知ら
れている。シリコーンゴムは一般の有機系ゴム類に比べ
て、耐熱性、耐寒性に優れて、熱安定性が良く、また、
耐放射線性、耐候性に優れている。さらに他のゴム類に
見られない特異な界面特性を有し、また、生理的に不活
性であるという性質から、その用途範囲は広い。例え
ば、使用温度範囲が広く、優れた電気特性から、エンジ
ン周りの電装部品、建築、電気、電子分野等の一般工業
分野において利用されるのみならず、その優れた生体適
合性から、医療、食品、薬品分野への展開が図られてい
る。
【0007】しかし、シリコーンゴムは、他のゴム類と
比較して物理的な強度が低いため、水膨張性ゴムの材料
として用いると、吸水、膨張後の形態保持性が悪い。さ
らにシリコーンゴムに吸水性樹脂などを添加することは
困難であり、シリコーンゴムを材料とした水膨張性ゴム
は実用化されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来の問題を
解決し、吸水、膨張が可能で、さらに使用温度範囲が広
く、一般工業分野のみならず、医療、食品、薬品等の広
い分野、及び生体に適用可能な水膨張性シリコーンゴム
組成物の提供を目的とするものである。
【0009】また、本発明は、従来実用化されていなか
った吸水、膨張が可能な水膨張性シリコーンゴム組成物
の製造方法の提供を目的とするものである。
【0010】さらに、本発明は、吸水、膨張が可能で、
耐熱性、耐寒性に優れた水膨張性シリコーンゴム組成物
の使用態様として、各種パッキン部材、シール部材の提
供を目的とする。
【0011】またさらに、本発明は、吸水、膨張が可能
であり、生体適合性に優れた水膨張性シリコーンゴム組
成物の使用態様として、医療用、薬用、食品用及び生体
用エラストマー材料の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、シリコーンゴ
ム及び補強剤を含むシリコーンゴムコンパウンドと吸水
性樹脂及びシリコーンオイルを含むことを特徴とする水
膨張性シリコーンゴム組成物を提供する。
【0013】本発明はさらに、当該水膨張性シリコーン
ゴム組成物からなる水膨張性シリコーンゴム成形体を提
供する。
【0014】本発明はまた、シリコーンゴムコンパウン
ドと吸水性樹脂及びシリコーンオイルを混練し、さらに
架橋剤を添加して、100〜220℃で加硫成形する工
程を含む水膨張性シリコーンゴム組成物成形体の製造方
法を提供する。
【0015】特に本発明は、シールド工法によりトンネ
ルを作る際等に用いられるコンクリートセグメントであ
って、当該コンクリートセグメントどおしを、ボルトで
連結する際の、ボルトの座金に装着されて有効に防水可
能な、水膨張性のパッキン部材として好適であり、さら
には、当該コンクリートセグメント内に埋設されるコン
クリート注入孔パイプの周囲に装着されて、高圧の地下
水であっても、有効に防水可能な、水膨張性のシール部
材に最適である。
【0016】さらに、水膨張性シリコーンゴム組成物の
耐熱性、耐寒性、耐候性、耐酸化安定性等を利用して、
寒冷地及び酷暑地における水膨張性パッキン部材及び水
膨張性シール部材として好適である。
【0017】また、さらに、水を吸収して膨張する性質
を利用して、各種漏水センサの材料として用いることが
できる。
【0018】また、本発明のさらに別な用途は、水膨張
性シリコーンゴム組成物の生体適合性を利用して、食
品、医療、薬品などの分野に使用する材料として最適で
ある。特に、医療用カテーテル、人工関節、人工骨、人
工乳房、創傷被覆剤等の整形材料、及び徐放性薬剤のカ
プセル材料等の医療用・薬用エラストマー材料、及び真
珠養殖における合成真珠核等の生体用エラストマー等が
好適な対象となる。
【0019】
【発明の実施の態様】水膨張性シリコーンゴム組成物 本発明の水膨張性シリコーンゴム組成物は、シリコーン
ゴムコンパウンドと吸水性樹脂及びシリコーンオイルを
含むことを特徴とする。本発明の水膨張性シリコーンゴ
ム組成物には用途によってさらに、シリコーンゴムの架
橋剤、老化防止剤、防カビ剤、抗菌剤、架橋助剤、架橋
促進剤などを加えてもよい。各成分につき、以下におい
てさらに詳細に説明する。
【0020】(1)シリコーンゴム組成物 本発明の水膨張性シリコーンゴム組成物に使用するシリ
コーンゴムコンパウンドには、シリコーンゴムと補強剤
を含む。
【0021】シリコーンゴムを用いることにより、本発
明の水膨張性シリコーンゴム組成物に、従来の水膨張性
ゴムの性質に加えて、シリコーンゴムの特性である耐熱
性、耐寒性、耐酸化安定性、耐候性、透明性、ガス透過
性、優れた電気特性などの利点を付与することができ
る。さらに、シリコーンゴムを用いることにより、弾性
体としての機能を水膨張性シリコーンゴム組成物に与え
ることができ、またシリコーンゴムの内部で吸水性樹脂
が吸水した場合であっても、主にシリコーンゴムが一定
の形態を保持することにより、均一かつ効果的に当該吸
水に基づく力を外部に発揮させることができる。すなわ
ち、例えば、コンクリートセグメントと注入孔パイプと
の間隙において使用された場合に、シリコーンゴムが容
易に圧縮変形されて、コンクリートセグメントと注入孔
パイプのわずかな間隙に容易に装着可能なためであり、
また、当該シリコーンゴムの弾性力を利用して、コンク
リートセグメントと注入孔パイプの間隙の所定の位置に
密着固定され、不均一な間隙にも十分追従して、初期か
ら優れた防水効果を得るためである。
【0022】また、さらに、シリコーンゴムを用いるこ
とにより、水膨張性ゴムを特異な界面活性を有するもの
とし、さらに生体適合性を有するものとすることができ
る。
【0023】ここで、シリコーンゴムの種類は、製造し
ようとする水膨張性シリコーンゴム組成物の用途により
適宜選択でき、特に限定されるものではないが、ジメチ
ルシリコーンゴム、メチル−フェニルシリコーンゴム、
メチル−ビニルシリコーンゴム、メチル−フェニル−ビ
ニルシリコーンゴム、及びフッ化シリコーンゴムなどを
1種又は2種以上組み合わせて、本発明に好適に使用可
能である。
【0024】特に、耐熱性、耐寒性、耐候性、耐オゾン
性、電気絶縁性が良好な点でジメチルシリコーンゴム
が、反発弾性、圧縮永久歪み特性及び耐熱性が良好な点
でメチル−ビニルシリコーンゴムが、耐寒性、耐放射線
性、耐炎性、引裂強さ及び伝幡性が良好な点でメチル−
フェニル−ビニルシリコーンゴムが、耐油性、耐熱性が
良好な点でフッ化シリコーンゴムが好適である。
【0025】補強剤は、シリコーンゴムの引っ張り強
さ、硬さ、弾性、耐磨耗性、引き裂き抵抗等の性質を改
良して、ゴムの形態を保持し、取り扱いを便利にするた
めに添加されるものである。シリコーンゴムの補強剤と
して好適な化合物はホワイトカーボン、炭酸カルシウ
ム、ハードクレー、炭酸マグネシウム、カーボンブラッ
ク、ハイスチレン樹脂、クマロン樹脂、環化ゴム、酸化
チタン、アルミナ、酸化亜鉛等である。
【0026】シリコーンゴムコンパウンドは、上記のシ
リコーンゴムと補強剤を混練することにより得られる
が、例えば一般シリコーンゴム、高硬度シリコーンゴ
ム、超耐熱・超低温シリコーンゴム等の市販品を使用す
ることもできる。
【0027】(2)吸水性樹脂 本発明において、周囲の水を吸収するために、吸水性樹
脂を使用する。本発明に使用される吸水性樹脂の種類
は、製造しようとする水膨張性シリコーンゴム組成物の
用途及び所望の重量膨張率により適宜選択でき、特に限
定されるものではないが、例えば、ポリアクリル酸中和
物の架橋体、自己架橋型ポリアクリル酸中和物、デンプ
ン−アクリル酸グラフト共重合体架橋物、デンプン−ア
クリロニトリルグラフト共重合体架橋物の加水分解物、
アクリル酸塩−アクリルアミド共重合体架橋物、アクリ
ル酸−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸塩の架橋物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合
体架橋物、架橋カルボキシメチルセルロース塩、水溶性
ポリエチレンオキシド樹脂にイソシアネート化合物を反
応させた水不溶性ポリエチレンオキシド樹脂あるいはポ
リビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニ
ルブチラール及びこれらの架橋体等の吸水性樹脂が使用
可能である。
【0028】特に、変成ポリアクリル酸中和物の重合物
であれば、耐熱性に優れており、シリコーンゴムの架橋
の際にも、熱損傷を可及的に減少できる点で本発明に好
適である。
【0029】次に、吸水性樹脂の添加量について説明す
る。すなわち、水膨張性シリコーンゴム組成物におい
て、シリコーンゴムコンパウンド100重量部に対し
て、吸水性樹脂を10〜250重量部、好ましくは15
〜200重量部添加するのが適当である。
【0030】吸水性樹脂の添加量が少なすぎると、吸水
効果が低下し、逆に、多すぎると、重量膨張率は大きく
なるものの、相対的にゴム類の存在比率が低下し、機械
的特性や耐クリープ性が低下するおそれが生じるためで
ある。
【0031】より具体的には、吸水性樹脂の添加量は重
量膨張率と密接に関係しており、例えば本発明の水膨張
性シリコーンゴム組成物をコンクリートセグメントと注
入孔パイプとの間隙において使用する場合には、水浸漬
時の2週間後の重量膨張率が50〜100%の範囲の値
を示すように、吸水性樹脂の量を選択できる。
【0032】ここで、水浸漬時の2週間後の重量膨張率
が50〜100%の範囲の値が適当であるとするのは、
当該重量膨張率が小さすぎると、極端に防水効果が低下
するおそれがあるためであり、一方で、当該重量膨張率
が大きすぎると、耐クリープ性等が低下し、結果とし
て、同様に、極端に防水効果が低下するおそれが生じる
ためである。
【0033】ここで、重量膨張率とは、以下の式により
算出される。
【化1】
【0034】(3)シリコーンオイル 本発明の水膨張性シリコーンゴム組成物において、吸水
性樹脂の均一な分散及び高充填組成物の柔軟性を向上さ
せるために、あるいは、水を吸収して膨張する際の膨張
速度を調整するために、シリコーンオイルを使用する。
【0035】本発明に使用されるシリコーンオイルの種
類は、製造しようとする水膨張性シリコーンゴム組成物
の用途及び所望の重量膨張率により、適宜選択でき、特
に限定されるものではないが、ジメチルシリコーンオイ
ル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロ
ジェンシリコーンオイルのストレートシリコーンオイ
ル、あるいは反応性・非反応性シリコーンオイルの変成
シリコーンオイルが使用可能である。
【0036】特に、水膨張性シリコーンゴム組成物の形
態保持性や機械的強度を向上させるために、あるいは水
を吸収して膨張した際の保形性の点で反応性シリコーン
オイルが好適である。
【0037】次に、シリコーンオイルの添加量について
説明する。すなわちシリコーンゴムコンパウンド100
重量部に対して、シリコーンオイルを5〜150重量
部、好ましくは20〜100重量部添加するのが適当で
ある。シリコーンオイルの添加量が少なすぎると吸水性
樹脂の高充填化が難しく、高い重量膨張率を得ることが
できない。逆に、多すぎると可塑度が増し、機械的強度
や形態保持性が低下するおそれがあるためである。
【0038】(4)シリコーンゴムの架橋剤 本発明の水膨張性シリコーンゴム組成物において、ゴム
類の形態保持(耐クリープ性)や機械的強度を向上させ
るために、あるいは水を吸収して膨張した際の形態保持
性のために、架橋剤を用いて、高分子量化あるいは三次
元化(加硫)させることができる。
【0039】ここで、シリコーンゴムの架橋剤の種類は
特に限定されるものではないが、例えば、イオウ系架橋
剤としてのイオウ、塩化イオウ、有機イオウ化合物、あ
るいは有機過酸化物、金属酸化物、ケトオキシム化合
物、シラザン、アミド化合物、脂肪酸アゾ化合物、チタ
ン化合物、アセトキシシラン、アルキルフェノール樹脂
に代表されるフェノール−ホルムアルデヒド系樹脂、ポ
リチオール化合物等が使用可能である。
【0040】特に、架橋時間の短縮、圧縮永久歪みが小
さい、汚染性がない点で、有機過酸化物が、安価で、反
応制御が比較的容易な点でイオウ系架橋剤が、また極め
て速い架橋反応が得られる点でフェノール−ホルムアル
デヒド系樹脂が本発明に好適である。
【0041】次に、シリコーンゴムの架橋剤の添加量に
ついて説明する。すなわち、水膨張性シリコーンゴム組
成物において、シリコーンゴムコンパウンド100重量
部に対して、シリコーンゴムの架橋剤を0.2〜10重
量部、好ましくは0.5〜5重量部添加するのが適当で
ある。架橋剤の添加量が少なすぎると架橋効果に乏し
く、ゴム類の耐クリープ性が劣るおそれがあるためであ
り、一方、架橋剤の添加量が多すぎると、反応の制御が
困難となったり、あるいは未反応の架橋剤が残り、架橋
されたシリコーンゴム類の機械的強度や耐熱性が低下す
るおそれがあるためである。
【0042】(5)その他の成分 (吸水性樹脂の老化防止剤)本発明において、シリコー
ンゴム類の架橋時における、吸水性樹脂の熱損傷(酸化
劣化)を可及的に防止し、一定の伸び率及び吸水率を得
るために、吸水性樹脂に対する老化防止剤を添加するこ
とができる。
【0043】ここで、老化防止剤の種類については、本
発明の水膨張性シリコーンゴム組成物の用途などを考慮
して定められるが、具体的に、フェノール類、アミン
類、リン系、イオウ系、キノリン系などの老化防止剤
が、1種または2種以上複合して使用可能である。例え
ば、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリ
ン及びこれらの重合物、6−エトキシ−2,2,4−ト
リメチル−1,2−ジヒドロキノリン、1,5−ジ−
(第3アミル)ヒドロキノリンなどのキノリン系や2−
メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチル
ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾー
ルとフェノール縮合物の混合品、2−メルカプトベンズ
イミダゾールの亜鉛塩、4−メルカプトベンズイミダゾ
ール、5−メルカプトベンズイミダゾール、4−メルカ
プトメチルベンズイミダゾールの亜鉛塩、5−メルカプ
トメチルベンズイミダゾールの亜鉛塩、1,1’−チオ
ビス(2−ナフトール)等のイオウ系のものが好適であ
る。
【0044】本発明の水膨張性シリコーンゴム組成物の
用途に応じて、性質上、非汚染性、熱老化防止性及び耐
オゾン劣化防止性に優れたものを使用することが好適で
ある。非汚染性の老化防止剤であれば、本発明の水膨張
性シリコーンゴム組成物と接触する物質を汚染、あるい
は変色させることが少なく、有効に老化防止が図られ、
また、ワッシャーなどの金属部品に使用しても腐食のお
それが少ない観点から、また、熱老化防止剤であれば、
シリコーンゴム類の架橋温度を有効に昇温させることが
可能となる観点から、さらに耐オゾン劣化防止性に優れ
た老化防止剤であれば、金型内の酸素の吸水性樹脂内へ
の侵入、影響をより有効に防止できる観点から、本発明
に好適である。
【0045】具体的に、高分子老化防止剤、反応性老化
防止剤、2次老化防止剤などを利用することができる。
【0046】(防カビ剤)本発明の水膨張性シリコーン
ゴム組成物を、常時水にさらされる状態で使い続ける場
合には、カビの成長、繁殖を抑制し、死滅させるための
防カビ剤を使用することができる。本発明の水膨張性シ
リコーンゴム組成物に使用される防カビ剤の種類は特に
限定されるものではないが、例えば、有機水銀類、フェ
ノール類及びその塩素化合物、ナフテン類等の有機金属
塩、第4アンモニウム化合物等の通常防腐剤として使用
される化合物が使用可能である。
【0047】(抗菌剤)本発明の水膨張性シリコーンゴ
ム組成物を生体に直接適用する場合、例えば、当該水膨
張性シリコーンゴム組成物製合成真珠核を貝類の体内に
挿入する際には、微生物の繁殖を抑制するために、抗菌
剤を添加することができる。本発明の水膨張性シリコー
ンゴム組成物に使用される抗菌剤の種類は特に限定され
るものではないが、例えば、アミドグリコシド系抗生物
質、β−ラクタム系抗生物質、マクロライド系抗生物
質、テトラサイクリン系抗生物質、ペプチド系抗生物
質、ポリエン系抗生物質等の抗菌剤が使用可能である。
【0048】防カビ剤及び抗菌剤は、水膨張性シリコー
ンゴム組成物中に混練してもよいし、あるいは成形体を
製造した後、これを防カビ剤又は抗菌剤溶液中に浸漬
し、あるいは該成形体に塗布するなどの方法を用いて水
膨張性シリコーンゴム組成物に導入してもよい。
【0049】水膨張性シリコーンゴム組成物の製造方法 本発明の水膨張性シリコーンゴム組成物の製造方法は特
に限定されるものではないが、シリコーンゴムコンパウ
ンドと吸水性樹脂及び軟化剤等を、例えば、ロール、バ
ンバリーミキサー、ニーダー、インターミックス等にて
混練して水膨張性シリコーンゴム組成物を製造し、さら
に、架橋剤を添加して、熱プレス加硫、室温加硫、熱空
気加硫、放射線加硫等の方法でシリコーンゴムを加硫成
形する工程からなる。
【0050】水膨張性シリコーンゴム組成物の混練に
は、特に、練り時間の短縮の点で、加圧ニーダーが本発
明に好適に使用される。
【0051】また、シリコーンゴムの加硫成形には、特
に、寸法安定性の点で、熱プレスが本発明に好適に使用
される。
【0052】次に、本発明の水膨張性シリコーンゴム組
成物の加硫条件について説明する。一般に当該水膨張性
シリコーンゴム組成物は、金型などを用いて、加硫成形
されることになるが、その加硫成形する際の温度として
は、100〜220℃、好ましくは120〜200℃の
範囲を使用可能である。当該温度が低すぎると、シリコ
ーンゴムの架橋が不十分になるおそれがあり、一方高す
ぎると、吸水性樹脂の劣化を防止することが困難となる
ためである。
【0053】そこで、シリコーンゴムの加硫と吸水性樹
脂の劣化防止の観点から、最適には150〜180℃の
範囲が好ましい。
【0054】また、前記の方法で製造した水膨張性シリ
コーンゴム組成物の内部に残留する未反応物や副生物を
除去するために2次加硫を行ってもよい。2次加硫は該
水膨張性シリコーンゴム組成物を生体に適用する場合
に、必要とされる工程である。2次加硫は180〜25
0℃の範囲で行われる。
【0055】このようにして製造した本発明の水膨張性
シリコーンゴム組成物を用いて各種成形体に成形するこ
とができる。成形には当業界で公知の各種成型方法を用
いることができる。
【0056】水膨張性シリコーンゴム組成物の用途 本発明の水膨張性シリコーンゴム組成物の用途は、特に
限定されるものではないが、例えば、水を吸収して膨張
する性質が要求されるいずれの箇所にも使用することが
できる。例えば、吸水して膨張することにより防水機能
を発揮する特質を利用して、従来の水膨張性ゴム組成物
が好適に使用される箇所、例えば、水道蛇口のパッキ
ン、水導管の継ぎ目用パッキン、側溝のコンクリートセ
グメントを連結するパッキン、揚水ポンプ用のパッキン
等の成型品等が好適な対象となる。また、ガラス間の接
着、ショーケースの目地シーラント、各種電子部品の接
着などにも使用できる。
【0057】また、水を吸収して膨張する性質が利用で
きるいずれの箇所にも使用することができ、例えば漏水
センサ等にも適用できる。
【0058】また、本発明の水膨張性シリコーンゴム組
成物の生体への適合性を利用して、食品、医療、薬品等
の分野に使用することができる。例えば、医療用カテー
テルや人工関節、人工骨、人工乳房、創傷被覆剤などの
整形材料、及び徐放性薬剤のカプセル材料等の医療用・
薬用エラストマー材料、及び真珠養殖における合成真珠
核等の生体用エラストマー等が好適な対象となる。
【0059】
【実施例】本発明を、実施例に基づいてさらに詳細に説
明するが、本発明を種々変更又は修飾して実施すること
が可能であり、従って本発明の範囲は実施例の記載に限
定されない。
【0060】(実施例1) 1.水膨張性シリコーンゴム組成物の配合 シリコーンゴムコンパウンド、吸水性樹脂及びシリコー
ンオイルを加圧ニーダーを用いて混練し、次に、ロール
にてシリコーンゴムの架橋剤を加え、水膨張性シリコー
ンゴム組成物を作成した。
【0061】尚、本実施例で作成した水膨張性シリコー
ンゴム組成物中のシリコーンゴムコンパウンドは、信越
化学工業株式会社製、KE−555U(メチルビニルシ
リコーンゴム及び補強剤等の混合物)であり、吸水性樹
脂は、株式会社日本触媒製、アクアリックCS−7S
(変成ポリアクリル酸中和物の重合物)であり、架橋剤
は、信越化学工業株式会社製のC−8A(有機過酸化物
系架橋剤)である。
【0062】2.加硫成形 前記水膨張性シリコーンゴム組成物を、温度170℃の
金型を用いて、時間10分で熱プレス加硫成形した。さ
らに200℃で4時間オーブンで2次加硫して、厚み2
mmの水膨張性シリコーンゴム組成物成形体を得て、以
下の試験に供した。
【0063】3.特性評価 (1)重量膨張率の測定 JIS K6301に準拠して、23℃の水道水に試料
を浸漬し、1日、3日、5日、2週間、3週間浸漬後の
重量変化から、重量膨張率(単位%、吸水率)を算出し
た。
【0064】(2)形態保持性の測定 形態保持性を重量膨張率の測定で使用した、水道水に3
週間浸漬後の試料の外観変化から、目視にて以下の基準
で判断した。 〇:顕著な変化なし △:試料の一部に形崩れが認められる ×:試料全体に形崩れが認められる 配合例、及び特性評価の結果を、表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】(実施例2〜5)実施例1の配合No.1
の水膨張性シリコーンゴム組成物にかえて、表1に示す
配合No.2〜5の水膨張性シリコーンゴム組成物を用
いて、実施例1と同様の試験を繰り返した。その結果を
表1に示す。
【0067】(比較例1〜3)実施例1の配合No.1
の水膨張性シリコーンゴム組成物にかえて、表1に示す
配合No.6〜8の水膨張性シリコーンゴム組成物を用
いて、実施例1と同様の試験を繰り返した。その結果を
表1に示す。尚、配合No.8については、架橋剤を含
まず、水膨張性シリコーンゴム組成物は未架橋であっ
た。また、表1の「測定不能」とは、膨張により形態が
崩れ、保持できないために測定が不可能であることを示
す。
【0068】
【発明の効果】当該発明により、従来実用化されていな
かった、シリコーンゴムを用いた水膨張性ゴム組成物が
得られ、具体的には、水浸漬時の2週間後の重量膨張率
が50〜1500%の範囲である水膨張性シリコーンゴ
ム組成物が得られた。
【0069】得られた水膨張性シリコーンゴム組成物
は、従来水膨張性ゴム組成物が使用されていたシールド
工法におけるボルト用の座金のパッキン部材等として使
用されるのみならず、その優れた耐熱性、耐寒性から、
寒冷地、酷暑地での使用にも耐えうるものとなった。さ
らに水膨張性シリコーンゴム組成物のもつ生体適合性よ
り、広く、医療、食品、薬品分野での使用が可能となっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例および比較例の配合No.1
〜7の水膨張性シリコーンゴム組成物を、水に浸漬した
時の重量膨張率変化を表したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08J 5/00 CFH C08J 5/00 CFH

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコーンゴム及び補強剤を含むシリコー
    ンゴムコンパウンドと吸水性樹脂を含むことを特徴とす
    る水膨張性シリコーンゴム組成物。
  2. 【請求項2】前記水膨張性シリコーンゴム組成物がさら
    にシリコーンオイルを含むことを特徴とする請求項1に
    記載の水膨張性シリコーンゴム組成物。
  3. 【請求項3】前記水膨張性シリコーンゴム組成物が、シ
    リコーンゴムの架橋剤で加硫されていることを特徴とす
    る請求項1〜2のいずれか1項に記載の水膨張性シリコ
    ーンゴム組成物。
  4. 【請求項4】前記水膨張性シリコーンゴム組成物が、水
    浸漬時の2週間後の重量膨張率が50〜1500%の範
    囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の水膨張性シリコーンゴム組成物。
  5. 【請求項5】シリコーンゴムコンパウンド100重量部
    に対して吸水性樹脂を10〜250重量部、シリコーン
    オイルを5〜150重量部及びシリコーンゴムの架橋剤
    を0.2〜10重量部含むことを特徴とする請求項1〜
    4のいずれか1項に記載の水膨張性シリコーンゴム組成
    物。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項に記載の水膨
    張性シリコーンゴム組成物からなる水膨張性シリコーン
    ゴム組成物の成形体。
  7. 【請求項7】シリコーンゴムコンパウンド、吸水性樹脂
    及びシリコーンオイルを混練し、さらに架橋剤を添加し
    て、100〜220℃で加硫成形する工程を含む請求項
    6に記載の水膨張性シリコーンゴム組成物成形体の製造
    方法。
  8. 【請求項8】さらに180〜250℃で2次加硫する工
    程を含むことを特徴とする請求項6〜7のいずれか1項
    に記載の水膨張性シリコーンゴム組成物成形体の製造方
    法。
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