JPH10101850A - 急速水膨張性ゴム組成物及びその使用方法 - Google Patents

急速水膨張性ゴム組成物及びその使用方法

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JPH10101850A
JPH10101850A JP25868096A JP25868096A JPH10101850A JP H10101850 A JPH10101850 A JP H10101850A JP 25868096 A JP25868096 A JP 25868096A JP 25868096 A JP25868096 A JP 25868096A JP H10101850 A JPH10101850 A JP H10101850A
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JP
Japan
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water
rubber composition
weight
swellable
rubber
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JP25868096A
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English (en)
Inventor
Shoji Uwano
庄二 宇和野
Yoshiharu Ito
義治 伊藤
Mitsuhiro Sekine
三弘 関根
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SAITAMA GOMME KOGYO KK
Original Assignee
SAITAMA GOMME KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 急速水膨張性ゴム組成物及びその使用方法を
提供することを課題とする。 【解決手段】 ゴム類、ゴム類の架橋剤、架橋促進剤、
老化防止剤および吸水性樹脂を含む水膨張性ゴム組成物
において、 − 当該吸水性樹脂が、水溶性ポリエチレンオキシド樹
脂にイソシアネート化合物を反応させた水不溶性ポリエ
チレンオキシド樹脂からなり、 − 前記老化防止剤を、前記吸水性樹脂100重量部に
対して、1〜10重量部添加し、 − 160℃以上の温度で架橋させた時の、当該水膨張
性ゴム組成物のJISK7209に準拠した、6時間後
の重量膨張率(23℃)/24時間後の重量膨張率(2
3℃)とのパーセント比率が、50%以上であって、か
つ、JISK6301に準拠した伸び率が、400%以
上であることを特徴とする、急速水膨張性ゴム組成物で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、急速に水分を吸収して
膨張するとともに、吸水後も形態保持性(耐クリープ
性)に優れた、急速水膨張性ゴム組成物およびその使用
方法に関する。
【0002】特に、本発明は、シールド工法によりトン
ネルを作る際等に用いられるコンクリートセグメントで
あって、当該コンクリートセグメントどおしを、ボルト
で連結する際の、ボルト用の座金に装着されて有効に防
水可能な、急速水膨張性のパッキン部材として好適であ
り、さらには、当該コンクリートセグメント内に埋設さ
れるコンクリート注入孔パイプの周囲に装着されて、高
圧の地下水であっても、有効に防水可能な、急速水膨張
性のシールパッキン部材に最適である。
【0003】また、本発明のさらに別な用途は、コンク
リートセグメントどおしの接合面における、未架橋の急
速水膨張性ゴム組成物からなるシール材として、適当で
ある。
【0004】
【従来の技術】近年、工期の短縮化、安全性等の観点か
ら、シールド工法により広くトンネルが作られている。
かかるトンネル自体は、複数個の円弧状のコンクリート
セグメントをボルト材でつなぎ合わせたコンクリート管
から構成されており、ボルト材でコンクリートセグメン
トを連結後に、コンクリートセグメントに埋設された注
入孔パイプから、水硬性セメント材料を流し込んで、周
囲から、シールドして固定するものである。
【0005】ここで、当該コンクリートセグメント内に
埋設されるコンクリート注入孔パイプとコンクリートセ
グメントの間隙を通して、高圧の地下水のトンネル内へ
の漏水が問題となっているが、従来、適当な手段が見い
だされていなかった。
【0006】すなわち、コンクリートセグメントと注入
孔パイプとの間隙を、コンクリートセグメント成型後
に、補修用パテやシーリング剤を用いて補修することが
一般に行われていたものの、かかる作業は、費用や手間
がかかり、また、補修用パテやシーリング剤の硬化に時
間がかかったり、さらには、コンクリートセグメントと
注入孔パイプの間隙の大きさが、さらに経時的に変化す
る場合があり、補修用パテやシーリング剤による目止め
補修では十分に地下水の侵入防止を図ることができない
という問題があった。
【0007】そこで、予め、注入孔パイプに、いわゆる
O−リングを挿着しておき、それから内部に、O−リン
グ付き注入孔パイプを埋設した、コンクリートセグメン
トを作ることが試みられている。
【0008】しかしながら、当該O−リングは、コンク
リートセグメントと注入孔パイプにおける間隙の大きさ
が均一でないため、O−リングを均一に圧縮することが
困難であり、また、O−リングは一般に平面的であり、
注入孔パイプに装着された場合に、パイプの長さ方向の
防水距離が短く、地下水の侵入防止効果に乏しいという
問題点が見られた。また、逆に、O−リングを防水材と
して用いると、O−リングの反発弾性により、却って、
コンクリートセグメントと注入孔パイプの間隙が大きく
なりやすいという問題が生じ、結果として、防水効果の
改善が全く見られないという問題もあった。
【0009】さらに、実開昭60−103718号公報
や実開平4−73611号公報に開示されているよう
に、コンクリートセグメントどおしをボルトで連結する
際の、ボルト用の座金に、優れた防水効果を得るため
に、水膨潤性ゴムからなるパッキン部材を用いることが
知られている。
【0010】しかしながら、従来の水膨潤性ゴムは、ゴ
ム類に、吸水性樹脂として、アクリル酸ソーダ等を主成
分として混合添加したものであり、膨潤速度が遅く、特
に、初期防水効果が乏しいという問題がみられた。ま
た、従来の水膨潤性ゴムは、ゴム類のために、老化防止
剤を添加しているものの、吸水性樹脂に対しての老化防
止については考慮されていなかった。
【0011】そこで、膨潤速度が速い吸水性材料とし
て、特開昭62−236854号公報や特開昭61−2
6661号公報に記載されているように、吸水性樹脂と
して、水溶性ポリエチレンオキシドにモノまたはポリイ
ソシアネート化合物を反応させて得られる水不溶性のポ
リエチレンオキシド変性物を、合成樹脂またはゴム中に
溶融、混練せしめてなる組成物が提案されている。
【0012】かかる水不溶性のポリエチレンオキシド変
性物からなる吸水性材料は、吸水率が極めて高く、短時
間、高速での吸水が可能となる点で好適であるが、耐熱
性に乏しく、併用するゴム類を架橋する際に、酸化劣化
しやすいという問題が見られた。すなわち、例えば、プ
レス金型成型すると、できた水膨潤性ゴム製品の伸び率
や吸水率が極端に低下しやすいという問題がみられ、さ
らには、成型品の外観性も劣るという問題がみられた。
【0013】そのため、従来は、水不溶性のポリエチレ
ンオキシド変性物からなる吸水性材料をゴム類と混合使
用する場合には、吸水性材料を劣化させないように、ゴ
ム類の架橋条件として、低温、長時間の条件を用いざる
を得ないというようなプロセス上の制限があった。
【0014】また、特開昭63−22887号公報に記
載されているように、吸水性樹脂として、水溶性ポリエ
チレンオキシドにイソシアネート化合物を反応させて得
られる水不溶性のポリエチレンオキシド変性物と、それ
以外の高吸水性樹脂と熱可塑性樹脂および/またはゴム
からなる基材を含有する、水膨張性止水剤が提案されて
おり、ゴムからなる基材の場合には、さらに必要的に、
加硫剤、加硫促進剤、および老化防止剤を使用すること
を提案している。
【0015】しかしながら、当該老化防止剤は、熱可塑
性樹脂を基材とした場合には必須成分とされず、よっ
て、ゴムの老化防止のために添加されていることは明ら
かであり、すなわち、水不溶性のポリエチレンオキシド
変性物の老化防止については、なんら考慮されておら
ず、ゴム架橋時の、老化が問題となっていた。
【0016】さらに、従来、コンクリートセグメントど
おしの接合面において、漏水防止の観点から、未架橋の
水膨張性ゴム組成物からなるシール材が使用されてきた
が、吸水速度に乏しく、また、施工した場合に、コンク
リートセグメントどおしの接合面に、シール材がなじみ
にくい等の問題が指摘されていた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】よって、本発明は、従
来の問題を解決し、急速な吸水、膨張が可能で、さらに
は、耐熱性、具体的には、160℃以上の温度で架橋可
能な急速水膨張性ゴム組成物の提供を目的とするもので
ある。
【0018】また、本発明は、急速な吸水、膨張が可能
であり、さらには、使用箇所におけるなじみ性の良い、
急速水膨張性ゴム組成物の提供を目的とするものであ
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、吸水性樹脂を
基準として老化防止剤を添加することにより、吸水性樹
脂の老化を効率的に防止すべく、ゴム類、ゴム類の架橋
剤、架橋促進剤、老化防止剤および吸水性樹脂を含む水
膨張性ゴム組成物において、 − 当該吸水性樹脂が、水溶性ポリエチレンオキシド樹
脂にイソシアネート化合物を反応させた水不溶性ポリエ
チレンオキシド樹脂からなり、 − 前記老化防止剤を、前記吸水性樹脂100重量部に
対して、1〜10重量部添加し、 − 160℃以上の温度で架橋させた時の、当該水膨張
性ゴム組成物のJISK7209に準拠した、6時間後
の重量膨張率(23℃)/24時間後の重量膨張率(2
3℃)とのパーセント比率が、50%以上であって、か
つ、JISK6301に準拠した伸び率が、400%以
上であることを特徴とする、急速水膨張性ゴム組成物で
ある。
【0020】また、本発明の別の態様は、使用箇所にお
けるなじみ性の良い、急速水膨張性ゴム組成物を提供す
べく、ゴム類および吸水性樹脂を含む水膨張性ゴム組成
物において、 − 当該吸水性樹脂が、水溶性ポリエチレンオキシド樹
脂にイソシアネート化合物を反応させた水不溶性ポリエ
チレンオキシド樹脂からなり、 − 当該水膨張性ゴム組成物のJIS K7209に準
拠した、6時間後の重量膨張率(23℃)/24時間後
の重量膨張率(23℃)とのパーセント比率が、50%
以上であり、 − JIS K6301に準拠した引張強度が、10〜
30Kgf/cmであり、 − さらに、当該ゴム組成物が未架橋であることを特徴
とする、急速水膨張性ゴム組成物である。
【0021】以下、本発明を構成要件等に分けて、さら
に詳細に説明する。
【0022】(ゴム類)本発明において、主として、弾
性体としての機能を水膨張性シールパッキン等に付与す
るためにゴム類が使用されるものである。すなわち、例
えば、コンクリートセグメントと注入孔パイプとの間隙
において使用された場合に、容易に圧縮変形されて、コ
ンクリートセグメントと注入孔パイプのわずかな間隙に
容易に装着可能なためであり、また、当該ゴム類の弾性
力を利用して、コンクリートセグメントと注入孔パイプ
の間隙の所定の位置に密着固定され、不均一な間隙にも
十分追従して、初期から優れた防水効果を得るためであ
る。
【0023】また、本発明において、ゴム類を使用する
のは、ゴム類の内部で吸水性樹脂が吸水した場合であっ
ても、主にゴム類が一定の形態を保持することにより、
均一かつ効果的に当該吸水に基づく力を外部に発揮さ
せ、吸水後も、水膨張性シールパッキン等をコンクリー
トセグメントと注入孔パイプの間隙に密着固定させ、結
果として優れた防水効果を長期的に得るためである。す
なわち、本発明の急速水膨張性ゴム組成物からなるシー
ルパッキン等は、吸水性樹脂を、いわばゴム弾性体から
なるバンドにより、均一に包囲した構造とみなすことが
できるものである。
【0024】ここで、ゴム類の種類は特に限定されるも
のではないが、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴ
ム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、アクリルゴ
ム、NBR、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン
ゴム、EPDM、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン
−ブタジエン−スチレンブロックポリマー、スチレン−
イソプレン−スチレンブロックポリマー、スチレン−エ
チレン−ブチレン−スチレンブロックポリマー、ウレタ
ンゴム、シリコーンゴム、フッ素系ゴム、クロロスルホ
ン化ポリエチレン等が1種または2種以上組み合わせ
て、本発明に好適に使用可能である。
【0025】特に、加工性が良好で、耐候性が良好な観
点で、クロロプレンゴムが、加工性が良好で、値段が安
い点で天然ゴムが、天然ゴムと特性が類似し、しかも天
然ゴムよりも均一なゴム特性が得られる点でイソプレン
ゴムが、極性物質、例えばアクリル酸ソーダ等の吸水性
樹脂との相溶性が比較的良好な観点から、ニトリルゴ
ム、アクリルゴム及びNBRが、耐水性が良好な観点か
ら、ブチルゴム、水素化ニトリルゴム、EPDM、シリ
コーンゴム及びフッ素系ゴムが、耐クリープ性に優れ、
形態安定性に優れている観点から、スチレン−ブタジエ
ンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックポリ
マー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマ
ー及びスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロッ
クポリマーが好適である。
【0026】なお、天然ゴムとクロロプレンゴムを例え
ば、90:10〜50:50の重量比で配合したゴム
は、耐候性が良好で、極性が高くて接着容易で、さらに
はコストも比較的安い点で、本発明に好適である。
【0027】また、クロロプレンゴムを用いた場合に
は、後述する架橋剤としてのイオウ、架橋促進剤として
の、2−メルカプトイミダゾリン(EU)を用いると、
引張強さ、破断伸びおよび形態保持性等のにおいて、極
めてバランスのとれたゴム組成物が得られる点で本発明
に好適である。
【0028】(ゴム類の架橋剤)本発明の架橋系の急速
水膨張性ゴム組成物において、ゴム類の形態保持性(耐
クリープ性)や機械的強度を向上させるため、架橋剤を
用いて、高分子量化あるいは三次元化させることが必須
要件である。
【0029】ここで、ゴム類の架橋剤の種類は特に限定
されるものではないが、例えば、イオウ系架橋剤として
の、イオウ、塩化イオウ、有機イオウ化合物、あるいは
有機過酸化物、金属酸化物、キノンジオキシム、アルキ
ルフェノール樹脂等に代表されるフェノール−ホルムア
ルデヒド系樹脂、ポリチオール化合物、アゾ化合物等が
使用可能である。
【0030】特に、イオウ系架橋剤は、安価で、反応制
御が比較的容易な観点で、有機過酸化物は、少量の添加
で優れた架橋効果が得られ、また極めて速い架橋反応が
得られる観点で、フェノール−ホルムアルデヒド系樹脂
は、反応制御が比較的容易であり、さらに架橋されたゴ
ム類の耐熱性、耐クリープ性が良好な観点から、それぞ
れ、本発明に好適である。
【0031】次に、ゴム類の架橋剤の添加量について説
明する。すなわち、ゴム組成物において、ゴム類100
重量部に対して、ゴム類の架橋剤を0.5〜5重量部添
加するのが好適である。ゴム類の架橋剤の添加量が、
0.5重量部未満では、架橋効果に乏しく、ゴム類の耐
クリープ性が劣るおそれがあるためであり、一方、ゴム
類の架橋剤の添加量が、5重量部を越えると、反応の制
御が困難となったり、あるいは未反応の架橋剤が残り、
架橋されたゴム類の機械的強度や耐熱性が低下するおそ
れがあるためである。
【0032】よって、ゴム類の架橋効果等と反応性等と
のバランスがより良好な観点から、ゴム類の架橋剤の添
加量としては、ゴム類100重量部に対して、1〜3重
量部の範囲がより好適である。
【0033】(架橋促進剤)本発明の架橋系の急速水膨
張性ゴム組成物において、前述の架橋剤を用いてゴム類
を高分子量化あるいは三次元化させる際の架橋温度をで
きるだけ低温化すべく、架橋反応の調整が可能となるよ
うに、架橋促進剤を用いることが必要である。
【0034】また、架橋促進剤により、ゴム類の架橋性
すなわち凝集性を高め、吸水材料の継時的な膨張に抗し
て、一定時間経過後は、重量膨張率が外見上、ほとんど
変化しないようにするためでもある。
【0035】具体的な架橋促進剤としては、2−メルカ
プトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフ
ィド(TMTD)、テトラメチルチウラムモノスルフィ
ド(TMTM)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MB
TS)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TET
D)、2−メルカプトイミダゾリン(EU)、ジエチル
ジチオカルバミン酸テルル(TeEDC)、ビスモルフ
ォリンジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラ
スルフィド、N,N´−ジエチルチオウレア(DE
U)、トリメチルチウラム(TMU)等が好適である。
【0036】特に、TMTD、MBTS、TeEDC及
びEUは、架橋反応の調整がより容易な観点で、また、
TETDは、極めて速い架橋反応が得られ、かつ当該架
橋剤で架橋されたゴム類の耐候性が良好な観点で、本発
明の架橋促進剤として好適である。
【0037】(吸水性樹脂)本発明においては、架橋
系、非架橋系にかかわらず、周囲の水を急速に吸収する
ために、水溶性ポリエチレンオキシド樹脂にイソシアネ
ート化合物を反応させた水不溶性ポリエチレンオキシド
樹脂からなる吸水性樹脂を使用することを特徴としてい
る。
【0038】すなわち、従来使用されてきた、ポリアク
リル酸中和物の架橋体、自己架橋型ポリアクリル酸中和
物、デンプン−アクリル酸グラフト共重合体架橋物、デ
ンプン−アクリルニトリルグラフト共重合体架橋物の加
水分解物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の
加水分解物、アクリル酸塩−アクリルアミド共重合体架
橋物、アクリル酸−2−アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸塩の架橋物、イソブチレン−無水マレ
イン酸共重合体架橋物、架橋カルボキシルメチルセルロ
ース塩あるいは、ポリビニルアルコール、ポリビニルホ
ルマール、ポリビニルブチラール及びこれらの架橋体等
の吸水性樹脂は、JIS K7209に準拠した、6時
間後の重量膨張率(23℃)/24時間後の重量膨張率
(23℃)とのパーセント比率が、50%未満であり、
防水効果、特に、初期的な防水効果に乏しいためであ
る。
【0039】一方、特開昭60−55041号公報に記
載されたような、未処理のポリエチレンオキサイドは、
水溶性であり、重量膨張率は高いものの、経時で容易に
溶出して、結果的に、防水効果に乏しいためである。
【0040】但し、本発明において、6時間後の重量膨
張率(23℃)/24時間後の重量膨張率(23℃)と
のパーセント比率が、50%未満にならなければ、本発
明の意図する効果が得られることより、水溶性ポリエチ
レンオキシド樹脂にイソシアネート化合物を反応させた
水不溶性ポリエチレンオキシド樹脂に、上述の吸水性樹
脂を、一定量の範囲で添加することは、耐熱性向上や膨
張率の調整が容易に可能となる等の観点から好適であ
る。
【0041】なお、6時間後の重量膨張率(23℃)/
24時間後の重量膨張率(23℃)のパーセント比率を
問題とするのは、一般に、水膨張性ゴム組成物が、コン
クリートセグメント内に埋設される注入孔パイプの周囲
やボルト穴を有する座金の表面に積層されて使用された
場合に、6時間程度で、周囲の水を急速に吸収しやすい
ためであり、当該時間の重量膨張率を測定することによ
り、水膨張性ゴム組成物の水膨張の急速性の判断がより
正確にできるためであり、一方、24時間経過後も、6
時間後の重量膨張率と比較して、大きく変化すると、本
発明の意図する優れた防水効果が、長期的に得られにく
いためである。すなわち、本発明の吸水性樹脂を選択す
るにあたり、実際的な施工条件および長期的な防水効果
等を加味して、6時間後の重量膨張率(23℃)/24
時間後の重量膨張率(23℃)の比率を問題とするもの
である。
【0042】よって、具体的に、本発明の水不溶性ポリ
エチレンオキシド樹脂を吸水性樹脂として含む急速水膨
張性ゴム組成物からなる水膨張性シールパッキンを、例
えばコンクリートセグメントと注入孔パイプとの間隙に
おいて使用した場合に、当該間隙を伝わって侵入してき
た地下水を、急速に吸収して、短時間で膨張することに
より、コンクリートセグメントと注入孔パイプにそれぞ
れ密着し、水の通路を防ぎ、結果としてコンクリート管
内部への水の侵入を、使用直後から防止することが可能
であり、また、経時においても、安定した防水効果が得
られるものである。
【0043】また、例えば、コンクリートセグメントを
作る際に、当該水膨張性シールパッキンを、注入孔パイ
プに予め装着して使用した場合には、水膨張性シールパ
ッキンの位置決めが容易なばかりか、水硬性セメント材
料に含まれる水分を当該吸水性樹脂が吸収し、その水を
利用してコンクリートセグメントと注入孔パイプとの間
隙を十分に塞ぎ、当該コンクリートセグメントがコンク
リート管に用いられた場合であっても、同じく初期から
優れた防水効果が得られる点で好適である。その他、コ
ンクリートセグメントを作る際に、当該水膨張性シール
パッキンを、注入孔パイプに予め装着して使用した場合
は、事前に、コンクリートセグメントと注入孔パイプの
防水効果が検証できる点でも、極めて有利である。
【0044】次に、本発明に用いられる水不溶性ポリエ
チレンオキシド樹脂について、さらに詳細に説明する
が、水溶性ポリエチレンオキシド樹脂にイソシアネート
化合物を反応させた水不溶性のポリエチレンオキシド樹
脂であれば、本発明に好適に使用可能である。
【0045】ここで、原料となる水溶性ポリエチレンオ
キシド樹脂としては、エチレンオキシドモノマーを一定
量重合したものであれば使用可能であり、より好適に
は、平均分子量が1〜100万のポリエチレンオキシド
樹脂である。ポリエチレンオキシド樹脂の平均分子量
が、1万未満となると、当該樹脂の融点が、120℃未
満となり、耐熱性が極端に低下するおそれがあり、一
方、平均分子量が100万を越えると、ゴム類への分散
性が極端に低下するおそれが生じるためである。
【0046】さらに、平均分子量が、1万〜10万のポ
リエチレンオキシド樹脂であれば、よりゴム類との分散
性が良好な観点から本発明に好適であり、平均分子量
が、10万超〜100万のポリエチレンオキシド樹脂で
あれば、耐熱性に優れており、ゴム類の架橋の際にも、
熱損傷を可及的に減少できる点で、本発明に同様に好適
である。
【0047】また、ポリエチレンオキシド樹脂と反応さ
せる、イソシアネート化合物について説明すると、同一
分子内に少なくとも1つのイソシアネート基(−NC
O)を有するものであれば使用可能であるが、例えば、
n−プロピルイソシアネート、n−ブチルイソシアネー
ト、フェニルイソシアネート、2,4−トルイレンジイ
ソシアネート(TDI)等が好適に使用可能である。
【0048】ここで、ポリエチレンオキシド樹脂と反応
させるイソシアネートの使用量は、0.01〜5重量%
が好適であり、最適には、0.05〜2重量%である。
イソシアネートの使用量が、0.01重量%未満では、
ポリエチレンオキシド樹脂の水不溶化が困難となるおそ
れがあり、一方、5重量%を越えると、未反応のイソシ
アネートが残留しやすくなったり、イソシアネートどお
しで反応しやすくなるなどの問題が生じるおそれがある
ためであり、さらに、イソシアネートの使用量が0.0
5〜2重量%の範囲であれば、ポリエチレンオキシド樹
脂の水不溶化とイソシアネート残留物等のバランスがよ
り良好になるためである。
【0049】次に、水不溶性ポリエチレンオキシド樹脂
の添加量について説明する。水不溶性ポリエチレンオキ
シド樹脂の添加量としては、ゴム類100重量部に対し
て、20〜100重量部添加することが好適である。
【0050】水不溶性ポリエチレンオキシド樹脂の添加
量が、20重量部未満では、吸水効果が低下し、結果と
して、防水効果に劣るおそれが生じるためであり、逆
に、100重量部を越えると、重量膨張率は大きくなる
ものの、相対的にゴム類の存在比率が低下し、機械的特
性や耐クリープ性が低下するおそれが生じるためであ
る。
【0051】より具体的に言えば、水不溶性ポリエチレ
ンオキシド樹脂の添加量は、下式で表される、JIS
K7209に準拠した重量膨張率(吸水率とも言う、温
度23℃条件)と密接に関係しており、上述した水不溶
性ポリエチレンオキシド樹脂の添加量であれば、重量膨
張率が100〜400%の範囲の値を示すことが、より
容易となるためである。
【0052】ここで、重量膨張率が、100〜400%
の範囲の値が適当であるとするのは、当該重量膨張率
が、100%未満となると、極端に防水効果が低下する
おそれがあるためであり、一方で、当該重量膨張率が、
400%を越えると、耐クリープ性等が低下し、結果と
して、同様に、極端に防水効果が低下するおそれが生じ
るためである。
【0053】 よって、水不溶性ポリエチレンオキシド樹脂の添加量と
しては、吸水効果等と耐クリープ性等とのバランスがよ
り良好な観点から、添加量として、ゴム類100重量部
に対して、25〜80重量部の範囲が最適である。
【0054】(老化防止剤)本発明において、ゴム類の
架橋時における、水不溶性ポリエチレンオキシド樹脂の
熱損傷(酸化劣化)を可及的に防止し、一定の伸び率お
よび吸水率を得るために、吸水性樹脂に対する老化防止
剤の添加が必須要件である。
【0055】すなわち、従来は、ゴム類の劣化を防止す
るために、老化防止剤が広く使用されてきたが、水不溶
性ポリエチレンオキシド樹脂の熱損傷(酸化劣化)につ
いては、注意が払われておらず、本発明においては、か
かる水不溶性ポリエチレンオキシド樹脂のために、老化
防止剤を添加することを特徴とするものである。
【0056】ここで、老化防止剤の種類については、本
発明の急速水膨張性ゴム組成物の用途等を考慮して定め
られが、具体的に、フェノール系、アミン系、リン系、
イオウ系、キノリン系等の老化防止剤が、1種または2
種以上複合して使用可能であり、例えば、2,2,4−
トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンおよびこれらの
重合物(TMDQ)、6−エトキシ−2,2,4−トリ
メチル−1,2−ジヒドロキノリン、2,5−ジ−(第
三アミル)ヒドロキノン等のキノリン系や2−メルカプ
トベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイ
ミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールとフェ
ノール縮合物の混合品、2−メルカプトベンズイミダゾ
ールの亜鉛塩、4と5−メルカプトメチルベンズイミダ
ゾール、4と5−メルカプトメチルベンズイミダゾール
の亜鉛塩、1,1´−チオビス(2−ナフトール)等の
イオウ系のものが好適であり、特に、2,2,4−トリ
メチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物(TMD
Q)や2−メルカプトベンズイミダゾール(MBI)等
は、選択的に、水不溶性ポリエチレンオキシド樹脂の老
化防止に役立つ点で最適である。
【0057】また、さらにゴム類ではなく、水不溶性ポ
リエチレンオキシド樹脂の熱損傷を、選択的に有効に防
止する観点から、上述した老化防止剤の種類のうち、性
質上、非汚染性、熱老化防止性および耐オゾン劣化防止
性の特性をそれぞれ有することが好適である。非汚染性
の老化防止剤であれば、本発明の急速水膨張性ゴム組成
物と接触する物質を汚染、あるいは変色させることが少
なく、有効に吸水性樹脂の老化防止が図られ、またワッ
シャー等の金属部品に使用しても腐食のおそれが少ない
観点から、熱老化防止性に優れた老化防止剤であれば、
ゴム類の架橋温度を有効に昇温させることが可能となる
観点から、さらには、耐オゾン劣化防止性に優れた老化
防止剤であれば、金型内の酸素の吸水性樹脂内への侵
入、影響を、より有効に防止できる観点から、本発明に
好適である。
【0058】次に、本発明における、老化防止剤の添加
量について説明する。すなわち、本発明において、老化
防止剤を、吸水性樹脂100重量部に対して、1〜10
重量部の範囲で添加することが必要である。老化防止剤
の添加量が、1重量部未満では、吸水性樹脂に対する老
化防止が不十分となり、160℃でのゴム類の架橋が困
難になるおそれがあり、一方、10重量部を越えると、
重量膨張率や耐クリープ性が低下するおそれが生じるた
めである。よって、より吸水性樹脂の老化防止性と重量
膨張率のバランスが良好な観点から、老化防止剤の添加
量としては、吸水性樹脂100重量部に対して、3〜8
重量部の範囲が最適である。
【0059】ここで、当該老化防止剤は、吸水性樹脂1
00重量部に対して、実質的に1〜10重量部の範囲で
添加しなければならない。すなわち、老化防止剤を、吸
水性樹脂やゴム類等を混合した後、あるいは混合中に添
加する場合には、混合部材の全量を基準として、1〜1
0重量部の範囲で添加することが肝要である。なんとな
らば、吸水性樹脂の老化防止を積極的に図り、160℃
以上でのゴム類の架橋を可能とするためである。よっ
て、かかる点において、従来、ゴム組成物等に老化防止
剤を添加する際には、ゴム類のみを基準にしていた仕様
態様と大きく異なるものである。一方、老化防止剤の有
効性を高めるために当該吸水性樹脂に予め老化防止剤を
添加する場合には、他の混合部材の混合量を考慮するこ
となく、吸水性樹脂100重量部に対して、老化防止剤
を1〜10重量部の範囲で添加すればよい。
【0060】また、本発明において、老化防止剤の添加
量は、ゴム類については、架橋されて優れた耐老化性が
得られる点より、基本的に、吸水性樹脂についてのみ考
慮すれば十分であるが、さらに耐老化性に優れたゴム類
の老化防止も意図する場合には、ゴム類用の老化防止剤
及び亀裂防止調整ワックスを、別途添加することも好適
である。
【0061】そして、ゴム類用の老化防止剤としては、
使用するゴム類の種類によるが、前述したもののほか、
2,2´−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチ
ルフェノール)やテトラキス[メチレン−3−(3´,
5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオナート]メタン(チバガイギー社製、イルガノッ
クス1010)等のフェノール系やジラウリルチオジプ
ロピオナート等のイオウ系や、あるいは亜リン酸トリフ
ェニル等のリン系のものが好適である。
【0062】なお、ゴム類用の老化防止剤の種類は、吸
水樹脂用の老化防止剤と同じでも、異なっていてもよ
い。また、ゴム類用の老化防止剤の添加量は、ゴム類1
00重量部に対して、1〜10重量部の範囲が好適であ
る。老化防止剤の添加量が、1重量部未満では、ゴム類
の老化防止効果に乏しいおそれがあり、一方、10重量
部を越えると、ゴム類の架橋が阻害されたり、凝集力が
低下するなどの問題が生じやすいためである。よって、
より好適なゴム類用の老化防止剤の添加量としては、ゴ
ム類100重量部に対して、2〜5重量部の範囲であ
る。
【0063】(その他の配合物)本発明の急速水膨張性
ゴム組成物において、160℃以上の温度で架橋させた
時の、当該水膨張性ゴム組成物のJIS K7209に
準拠した、6時間後の重量膨張率(23℃)/24時間
後の重量膨張率(23℃)とのパーセント比率が、50
%以上であって、かつ、JIS K6301に準拠した
伸び率が、400%以上となるように、さらに他の配合
物を添加することがより好適である。
【0064】すなわち、6時間後の重量膨張率(23
℃)/24時間後の重量膨張率(23℃)とのパーセン
ト比率が、50%未満であると、充分な防水効果を得る
までに長時間を要し、防水効果が安定しずらいという問
題が生じやすいためである。また、JIS K6301
に準拠した伸び率が、400%未満では、ゴム組成物が
脆くなり、結果として、同じく、防水効果が安定しずら
いという問題が生じやすいためである。
【0065】また、本発明の急速水膨張性ゴム組成物で
ある別の態様である、未架橋の急速水膨張性ゴム組成物
において、JIS K7209に準拠した、6時間後の
重量膨張率(23℃)/24時間後の重量膨張率(23
℃)とのパーセント比率が、50%以上であり、かつJ
IS K6301に準拠した引張強度が、10〜30K
gf/cmとなるように、さらに他の配合物を添加す
ることがより好適である。
【0066】6時間後の重量膨張率(23℃)/24時
間後の重量膨張率(23℃)とのパーセント比率が、5
0%以上と規定するのは、上述した理由のとおりである
が、引張強度が、10〜30Kgf/cmと規定する
のは、10Kgf/cm未満では、機械的強度に欠け
たり、あるいは、形態保持性(耐クリープ)に劣るおそ
れがあるためであり、一方、引張強度が、30Kgf/
cmを越えると、極端にコンクリートセグメント等の
接合面とのなじみが悪くなるためである。
【0067】よって、本発明の架橋系、非架橋系のゴム
組成物にかかわらず、引張強度を適当な値に調整するた
めに、カーボンブラックを、ゴム類100重量部に対し
て15〜35重量部、コストを低減させ、引張強度を向
上させるために、炭酸カルシウムを、ゴム類100重量
部に対して50〜100重量部、加工性、成型性を向上
させるための軟化剤を、ゴム類100重量部に対して1
0〜40重量部、ゴム類の架橋助剤として、酸化亜鉛
を、ゴム類100重量部に対して3〜5重量部、ゴム組
成物の加工容易性のためにステアリン酸を、ゴム類10
0重量部に対して0.5〜10重量部添加すること等が
好適である。
【0068】(急速水膨張性ゴム組成物からなる使用方
法等について)本発明の急速水膨張性ゴム組成物の使用
方法およびそれから作成される成型品等について説明す
る。すなわち、防水機能が要求されるいずれの箇所にも
使用することができ、水道蛇口のパッキン、水導管の継
ぎ目用パッキン、側構のコンクリートセグメントを連結
するパッキン、揚水ポンプ用のパッキン等の成型品が好
適な対象となる。
【0069】但し、本発明の優れた急速膨張性、形態保
持性から、水膨張性シールパッキンが適しており、例え
ばコンクリートセグメントと注入孔パイプとの間隙にお
いてパテ材やシール材として使用し、当該間隙を伝わっ
て侵入してきた高圧の地下水を、急速かつ効率的に吸収
して、膨張することにより、コンクリートセグメントと
注入孔パイプにそれぞれ密着して水の通路を防ぎ、結果
としてコンクリートセグメント内部への水の侵入を、初
期から有効に防止することが可能である。
【0070】また、前述したとおり、当該コンクリート
セグメントを作る際に、当該水膨張性シールパッキン
を、注入孔パイプに予め装着して使用し、当該注入孔パ
イプを埋設した状態で、水硬性セメント材料によりコン
クリートセグメントを作成することも好適である。なん
とならば、水硬性セメント材料に含まれる水分を吸収
し、コンクリートセグメントと注入孔パイプとの間隙
を、コンクリートセグメントの成型時から十分に塞ぎ、
コンクリート管として用いられた場合にも、初期から優
れた防水効果を得ることができるためである。
【0071】なお、水膨張性シールパッキンの形態につ
いては、用途に応じて自由に変形したり、加工したりす
ることができ、例えば、図1〜7に示される形態のもの
が、使い勝手が良く、より優れた防水効果が得られる観
点から好適である。
【0072】また、別な使用方法としては、図8に示す
ように、概ね平板状の急速水膨張性ゴム組成物を、特定
形状の金型内等で加圧、加熱することにより、ボルト穴
を有する座金の少なくとも表面の一部に積層するととも
に、当該座金のボルト穴の内周面に沿って、肉厚の円筒
状リブを有するように成型する、当該急速水膨張性ゴム
組成物の使用方法である。
【0073】すなわち、かかる方法により作られた、止
水用パッキン部材が設けられた座金を用いて、ボルトと
ともにコンクリートセグメントを結合すれば、コンクリ
ートセグメントとボルト孔の間隙を伝わって侵入してき
た高圧の地下水を、急速かつ効率的に吸収して、膨張す
ることにより、コンクリートセグメント内部への水の侵
入を、初期から有効に防止することが可能である。
【0074】ここで、座金表面に積層されるゴム組成物
の厚さは、座金の用途やゴム組成物の重量膨張率等を考
慮して定められるが、例えば、0.5〜2.0mmの範
囲が好適である。0.5mm未満となると、防水効果に
劣るおそれが生じ、一方、2.0mmを越えるとゴム組
成物の弾性力のために、締め付けトルクの戻りが大きく
なり、施工上の問題となるおそれが生じるためである。
【0075】また、肉厚の円筒状リブは、ボルト孔に入
り込んで、より優れた防水効果を得るためのものであ
り、当該防水効果および使用勝手の観点から、円筒状リ
ブの高さとしては、座金表面から、2〜10mmの範囲
が好適であり、同様に、円筒状リブの厚さとしては、
1.5〜6mmの範囲が好適である。
【0076】次に、本発明の急速水膨張性ゴム組成物の
架橋条件について説明する。一般に、当該ゴム組成物
は、金型等を用いて、160℃以上の温度架橋成型され
ることになるが、その架橋成型される際の温度として
は、120〜200℃の範囲を好適に使用可能である。
当該温度が、120℃未満では、ゴム類の架橋が不十分
になるおそれがあり、一方、200℃を越えると、老化
防止剤を添加したとしても、吸水性材料の劣化を防止す
ることが困難となりやすいためである。
【0077】また、よりゴム類の架橋と吸水性材料の劣
化防止の観点から、150〜180℃の温度が好適であ
り、最適には、155〜170℃の範囲である。
【0078】なお、金型内を、窒素雰囲気にすることに
より、吸水性材料の劣化を有効に防止できることより、
200℃以上の温度で、架橋成型することも可能であ
る。
【0079】また、さらに本発明の未架橋の急速水膨張
性ゴム組成物の使用方法として、図9に示すように、コ
ンクリートセグメントどおしの接合面において、フィル
ム状棒状あるいは角柱状の水膨張性ゴム組成物を、当該
接合面に設けられた溝に装着して使用することも好適で
ある。
【0080】当該水膨張性ゴム組成物は、JIS K7
209に準拠した、6時間後の重量膨張率(23℃)/
24時間後の重量膨張率(23℃)とのパーセント比率
が、50%以上と急速に一定膨張率にまで達し、かつJ
IS K6301に準拠した引張強度が10〜30Kg
f/cmであり、しかも未架橋であるため、コンクリ
ートセグメントどおしの接合面において、なじみが良
く、一方で、耐クリープ性に優れているため、一定形状
を保持しやすく、優れた防水効果を初期から長期間にわ
たって発揮できるものである。
【0081】(発明の実施の形態)本発明を、実施例に
基づいてさらに詳細に説明する。
【0082】(実施例1) 1.急速水膨潤性ゴム組成物の配合 インターミックスを用いて混練し、表1に示す配合No
1の急速水膨潤性ゴム組成物を作成した。但し、用途や
使用原料の違いにより、ロール、バンバリーミキサー、
ニーダー等の混練機械を用いることも好適である。
【0083】なお、表1に示すゴム組成物中の、吸水性
樹脂は、水溶性ポリエチレンオキシド樹脂にイソシアネ
ート化合物を反応させた水不溶性ポリエチレンオキシド
樹脂である、住友精化株式会社製、アクアコークTQ−
5であり、軟化剤は、富士興産株式会社製、フレックス
1400N(ナフテン系オイル)であり、EXは、老化
防止剤であって、精工化学社製のオゾノンEX(非汚染
性、熱老化防止性および耐オゾン劣化防止性を有する老
化防止剤)である。
【0084】2.架橋成型 配合No1のゴム組成物を、温度165℃の金型を用い
て、厚さ2.0mmの板状物に、時間5分および10分
で架橋成型し、以下の試験に供した。また、防水効果試
験1および防水効果試験2の成型品は、それぞれ、金型
の形状を変えて、同じく、温度165℃、時間5分およ
び10分で架橋成型し、実験に供した。
【0085】3.特性評価 (1)重量膨張率の測定 JIS K7209に準拠して、23℃の水道水に、試
料を浸漬し、1、3、6、24、168時間浸漬後の重
量変化から、重量膨張率(単位%、吸水率)を算出し
た。
【0086】(2)形態保持性の測定 形態保持性を、重量膨張率の測定で使用した、水道水に
24時間浸漬後の試料の外観変化から、目視にて以下の
基準で判断した。 〇:顕著な変化なし △:試料の一部に形崩れが認められる ×:試料全体に形崩れが認められる
【0087】(3)引張強度の測定 JIS K6301に準拠して、東洋精機社製の引っ張
り試験機を用いて、引張強度を測定した。単位は、kg
f/cmである。
【0088】(4)破断伸びの測定 JIS K6301に準拠して、東洋精機社製の引っ張
り試験機を用いて、試料が破断するまでの伸びを測定し
た。単位は、%である。
【0089】(5)硬度の測定 JIS A基準の硬度を、硬度計により測定した。
【0090】(6)防水効果試験1 スチール製の外径70mm、内径58mm、長さ200
mmの注入孔パイプの概ね先端部に、筒状(外径75m
m、内径64mm、長さ10mm)の水膨張性シールパ
ッキンを装着した。それから、コンクリートセグメント
の成型用の概ね平板状の型枠のほぼ中央部に立設した
後、水硬性セメント材料を当該型枠に流し込んだ。そし
て、水硬性セメント材料を養生、硬化させ、型枠を取り
除き、水膨張性シールパッキンが装着されたコンクリー
トセグメントが得られた。そしてさらに、コンプレッサ
ーを用いて、6kgf/cmの加圧水を、注入孔パイ
プとコンクリートセグメントの間隙に適用した。その結
果を以下の基準で判断した。 〇:コンクリートセグメント内部への顕著な水の侵入な
し △:コンクリートセグメント内部へ、わずかな水の侵入
あり ×:コンクリートセグメント内部へ、顕著な水の侵入あ
【0091】(7)防水効果試験2 鉄製の座金(外径56mm、内径33mm、厚さ6m
m)に、厚さ0.5mmのゴム組成物を積層するととも
に、座金のボルト穴の内周面に沿って、肉厚の円筒状リ
ブ(肉厚4.5mm、高さ4.5mm)を設けた。それ
から、2枚のコンクリートセグメントを、当該座金およ
びボルトを用いて接合し、コンプレッサーを用いて、6
kgf/cmの加圧水を、ボルト孔とボルトの間隙に
適用した。その結果を以下の基準で判断した。 〇:コンクリートセグメント内部への顕著な水の侵入な
し △:コンクリートセグメント内部へ、わずかな水の侵入
あり ×:コンクリートセグメント内部へ、顕著な水の侵入あ
【0092】(実施例2〜6)実施例1の配合No1の
ゴム組成物に代えて、表1および2に示す配合No2〜
6のゴム組成物を用いて、実施例1と同様の試験を繰り
返した。それぞれの結果を、表1および2に示す。
【0093】なお、実施例5および6については、ゴム
組成物は架橋剤を含まず未架橋である。
【0094】(比較例1〜5)実施例1の配合No1の
老化防止剤の種類および添加量を変えて、表2に示す配
合No8〜12のゴム組成物を用いて、実施例1と同様
の試験を繰り返した。それぞれの結果を、表2に示す。
なお、配合No10および12については、架橋剤を含
まず、ゴム組成物は未架橋であった。また、配合No1
1および12については、吸水性樹脂として、株式会社
日本触媒製、アクアリックCS−7S(変成ポリアクリ
ル酸中和物の共重合物)を用いた。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【発明の効果】当該発明により、耐熱性に優れた、急速
な水膨張性を有するゴム組成物が得られ、具体的には、
160℃以上の温度で架橋させた時の、当該水膨張性ゴ
ム組成物のJIS K7209に準拠した、6時間後の
重量膨張率(23℃)/24時間後の重量膨張率(23
℃)とのパーセント比率が、50%以上であって、か
つ、JIS K6301に準拠した伸び率が、400%
以上である急速水膨張性ゴム組成物が得られた。
【0098】よって、高温で架橋成型できるとともに、
得られた成型品は、急速に膨張することにより、初期か
ら優れた防水効果が得られ、さらに膨張した後は、膨張
率が変化することなく、長期間優れた防水効果が持続す
るという効果が得られた。
【0099】また、具体的に、本発明の急速水膨張性ゴ
ム組成物を筒状の水膨張性シールパッキンに成型し、ト
ンネル等を作る際に用いられるコンクリートセグメント
内に埋設される注入孔パイプの周囲に装着し、当該注入
孔パイプを埋設した状態で水硬性セメント材料を硬化さ
せて、当該コンクリートセグメントを作成した結果、優
れた防水効果を有するコンクリートセグメントが得られ
た。
【0100】さらに、本発明の急速水膨張性ゴム組成物
を座金に積層し、当該座金を、ボルトとともにコンクリ
ートセグメントの接合に用いたところ、同様に優れた防
水効果が得られた。
【0101】なお、当該発明のゴム組成物を使用するこ
とにより、膨張率が高いことから、同等の防水効果を得
るのに、ワッシャーへ積層する防水パッキン等の用途に
おいて、ゴム組成物の積層厚さを薄くできるという効果
も得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のゴム組成物からなる筒状の水膨張性
シールパッキンを注入孔パイプに装着した図である。
【図2】 本発明のゴム組成物からなる筒状の水膨張性
シールパッキンの外観の一例を示した図である。
【図3】 本発明のゴム組成物からなる水膨張性シール
パッキンを使用して施工したコンクリート管の一例を示
す図である。
【図4】 コンクリートセグメントの一例を表した図で
ある。
【図5】 本発明のゴム組成物からなる好適な凹凸面を
有する水膨張性シールパッキンの断面図である。
【図6】 本発明のゴム組成物からなる別な好適な凹凸
面を有する水膨張性シールパッキンの断面図である。
【図7】 本発明のゴム組成物からなるさらに別な好適
な凹凸面を有する水膨張性シールパッキンの断面図であ
る。
【図8】 本発明のゴム組成物が積層された座金を表し
た図である。
【図9】 本発明のゴム組成物(実施例4)と従来のゴ
ム組成物(比較例4)の重量膨張率の変化を表す曲線で
ある。
【符号の説明】
1:水膨張性シールパッキン 2:注入孔パイプ 3:コンクリートセグメント 4:急速水膨張性ゴム組成物 5:円筒状リブ 6:座金
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09K 3/10 C09K 3/10 H D

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム類、ゴム類の架橋剤、架橋促進剤、
    老化防止剤および吸水性樹脂を含む水膨張性ゴム組成物
    において、 − 当該吸水性樹脂が、水溶性ポリエチレンオキシド樹
    脂にイソシアネート化合物を反応させた水不溶性ポリエ
    チレンオキシド樹脂からなり、 − 前記老化防止剤を、前記吸水性樹脂100重量部に
    対して、1〜10重量部添加し、 − 160℃以上の温度で架橋させた時の、当該水膨張
    性ゴム組成物のJISK7209に準拠した、6時間後
    の重量膨張率(23℃)/24時間後の重量膨張率(2
    3℃)とのパーセント比率が、50%以上であって、か
    つ、JISK6301に準拠した伸び率が、400%以
    上であることを特徴とする、急速水膨張性ゴム組成物。
  2. 【請求項2】 前記老化防止剤が、非汚染性、熱老化防
    止性および耐オゾン劣化防止性を有することを特徴とす
    る、請求項1に記載の急速水膨張性ゴム組成物。
  3. 【請求項3】 前記老化防止剤が、キノリン系またはイ
    オウ系であることを特徴とする、請求項2に記載の急速
    水膨張性ゴム組成物。
  4. 【請求項4】 前記ゴム類が、クロロプレンゴムを主成
    分とし、前記架橋促進剤として2−メルカプトイミダゾ
    リンを添加したことを特徴とする、請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の急速水膨張性ゴム組成物。
  5. 【請求項5】 コンクリートセグメント内に埋設される
    注入孔パイプの周囲に、請求項1〜4のいずれか1項に
    記載の急速水膨張性ゴム組成物を装着し、当該注入孔パ
    イプを埋設した状態で水硬性セメント材料を硬化させ
    て、当該コンクリートセグメントを作成する際に使用す
    ることを特徴とする急速水膨張性ゴム組成物の使用方
    法。
  6. 【請求項6】 概ね平板状の、請求項1〜4のいずれか
    1項に記載の水膨張性ゴム組成物を、加圧、加熱するこ
    とにより、ボルト穴を有する座金の少なくとも表面の一
    部に積層するとともに、当該座金のボルト穴の内周面に
    沿って、肉厚の円筒状リブを有するように成型すべく使
    用することを特徴とする、急速水膨張性ゴム組成物の使
    用方法。
  7. 【請求項7】 ゴム類および吸水性樹脂を含む水膨張性
    ゴム組成物において 、 − 当該吸水性樹脂が、水溶性ポリエチレンオキシ
    ド樹脂にイソシアネート化合物を反応させた水不溶性ポ
    リエチレンオキシド樹脂からなり、 − 当該水膨張性ゴム組成物のJIS K7209に準
    拠した、6時間後の重量膨張率(23℃)/24時間後
    の重量膨張率(23℃)とのパーセント比率が、50%
    以上であり、 − JIS K6301に準拠した引張強度が、10〜
    30Kgf/cmであり、 − さらに、当該ゴム組成物が未架橋であることを特徴
    とする、急速水膨張性ゴム組成物。
  8. 【請求項8】 コンクリートセグメントどおしの接合面
    において、当該接合面に設けられた溝に、フィルム状、
    棒状または角柱状の水膨張性ゴム組成物を装着し、それ
    から当該コンクリートセグメントを接合させることを特
    徴とする請求項7に記載の急速水膨張性ゴム組成物の使
    用方法。
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