JPH11140239A - 機械的強度に優れたブロー成形体 - Google Patents

機械的強度に優れたブロー成形体

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JPH11140239A
JPH11140239A JP31776997A JP31776997A JPH11140239A JP H11140239 A JPH11140239 A JP H11140239A JP 31776997 A JP31776997 A JP 31776997A JP 31776997 A JP31776997 A JP 31776997A JP H11140239 A JPH11140239 A JP H11140239A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 幾何拘束型のシングルサイト触媒を用い
てスラリー重合法により得られるポリエチレン(A)と
低密度ポリエチレン(B)からなるポリエチレンであっ
て、(B)の混合比率が1wt%以上12wt%以下で
あることを特徴とするポリエチレン組成物からなるブロ
ー成形体。 【効果】 優れたブロー成形性並びに、優れたESCR
と耐衝撃性を有するポリエチレン組成物からなるブロー
成形体を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐環境応力亀裂性
(ESCR)や耐衝撃性等の機械的強度が従来のものに
比べて飛躍的に向上し、かつブロー成形に対して高い成
形性を併せ持つ新規なポリエチレン組成物からなるブロ
ー成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンからなるブロー成形体は成
形性や機械的特性や耐薬品性や衛生性に優れており、し
かも安価であるため、多岐にわたって使用されている。
ブロー容器用材料として使用されるポリエチレンは、M
gCl2 担持型Ti系触媒に代表されるチーグラー・ナ
ッタ型触媒とCr系フィリップス型触媒の2つに大別さ
れる触媒系により製造されている。
【0003】チーグラー・ナッタ型触媒により製造され
たポリエチレンはその構造中に長鎖分岐構造がほとんど
含まれないために、剛性、耐衝撃性、ESCRのバラン
スに優れるが、ブロー成形用材料としては、Cr系フィ
リップス型触媒により製造されたポリエチレンに比べ
て、スエル比が小さく、成形体のピンチオフ形状が悪
く、また肉厚分布が広いという欠点、すなわち成形性が
悪いという欠点を有する。そのために複雑な形状のブロ
ー成形体や大型のブロー成形体が容易に成形することが
できない。
【0004】一方、Cr系フィリップス型触媒により製
造されたポリエチレンはメルトテンション及びスエル比
が高くブロー成形性に優れるが、チーグラー・ナッタ型
触媒により製造されたポリエチレンに比べて耐衝撃性や
耐環境応力亀裂特性(ESCR)が劣る。このため高い
機械的強度が要求される用途、例えば大型のブロー成形
用途においては力学的強度の不足によりその使用が制限
されることがある。上記のようにそれぞれの触媒系によ
り製造されるポリエチレンにより得られるブロー成形体
はそれぞれ長所と短所がある。
【0005】このような現状のもと、より優れた機械的
特性と成形性を併せ持つブロー成形用のポリエチレンを
得る試みがなされてきた。例えば、特開昭55−127
35号公報、特公昭58−46212号公報には、チー
グラー・ナッタ型触媒により製造されたポリエチレンに
高圧法により重合されたポリエチレンをブレンドしてブ
ロー成形性が改良されたポリエチレン組成物が開示され
ている。しかしながら、これらのポリエチレン組成物は
成形性が向上するものの、同時に組成物中の長鎖分岐の
割合が増えるために、チーグラー・ナッタ型触媒により
製造されたポリエチレンが本来有している剛性、耐衝撃
性、ESCR等の性能も低下するため、ブロー成形体と
した場合に必ずしも満足できる性能のものではなかっ
た。近年、特にブロー成形体容器重量のダウンゲージを
目的として、高剛性で高い機械的性能を有するブロー成
形体に対するニーズは益々高まってきており、このニー
ズの高まりを満足するポリエチレンとしては必ずしも充
分なものが得られていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れたブロ
ー成形性と機械的特性(特に剛性とESCRと耐衝撃
性)を有する高性能なポリエチレン組成物からなるブロ
ー成形体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のブロー成形体
は、革新的な機械的特性を有するポリエチレン(A)
と、優れたブロー成形特性を付与する成形性改良材とし
ての低密度ポリエチレン(B)の組み合わせにより設計
されている。エチレン系重合体(A)は適度に分子量分
布が狭い低分子量ポリエチレン成分(a1)と特異なコ
モノマー分布を有する高分子量ポリエチレン成分(a
2)との組み合わせからなり、これらのポリエチレン
(a1)及び(a2)はいずれもある特定の触媒と重合
方法により得ることができ、該ポリエチレンは従来では
得られなかった優れた耐衝撃性やESCR特性などの機
械的性質を有している。
【0008】しかしながら、ポリエチレン(A)単独で
は、後の比較例で示すがごとくブロー成形性が不十分で
あり、ブロー成形用のポリエチレンとしてはその使用が
困難である。一方、低密度ポリエチレン(B)は、高圧
法で得られたポリエチレンであり、膨張因子が3.3以
上であることを特徴とし、ブロー成形性を大きく改良で
きる特徴を有している。
【0009】本発明はこのような特徴的な性質を有する
ポリエチレン(A)と(B)の組み合わせによりはじめ
てなされたものであり、本発明のブロー成形体は優れた
ブロー成形性を維持しつつ、機械的性質、特に剛性とE
SCRと耐衝撃性のバランスが従来のブロー成形体に比
べて各段に向上している。すなわち本発明は、下記のポ
リエチレン(A)と低密度ポリエチレン(B)からなる
ポリエチレンであって、低密度ポリエチレン(B)の混
合比率が1wt%以上12wt%以下であるポリエチレ
ン組成物からなることを特徴とするブロー成形体であ
る。
【0010】[ポリエチレン(A)]下記のポリエチレ
ン(a1)が30〜70重量部と、ポリエチレン(a
2)が70〜30重量部から構成されるポリエチレン。ポリエチレン(a1) (1)密度が0.950g/cm3 以上0.985g/
cm3 以下であり、(2)GPC測定によって求められ
る重量平均分子量(Mw)が5,000以上100,0
00以下であり、(3)GPC測定によって求められる
Mw/Mn値が以下の一般式(式1)の関係を満たすこ
とを特徴とするエチレン単独重合体またはエチレンと炭
素原子数が3〜20のα−オレフィンとの共重合体。 1.25×log(Mw)−2.5≦Mw/Mn≦3.0×log(Mw)− 8.0 (式1) (ただし、(式1)においてMwは重量平均分子量を表
し、Mnは数平均分子量を表す。)
【0011】ポリエチレン(a2) (1)密度が0.910g/cm3 以上0.950g/
cm3 以下であり、(2)GPC測定によって求められ
る重量平均分子量(Mw)が110,000以上1,5
00,000以下であり、(3)GPC測定によって求
められるMw/Mn値が上記一般式(式1)を満たし、
かつ、ポリエチレン(a2)のMw/Mn値がポリエチ
レン(a1)のMw/Mn値以上であり、(4)昇温溶
出分別とゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー
とのクロス分別によって求められる分子量−溶出温度−
溶出量の相関において、下記一般式(式2)で表現され
る溶出温度(Ti/℃)と該溶出温度における溶出成分
のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー測定か
ら求められる極大分子量(Mmax( Ti))の最小二
乗法近似直線関係式において、定数Aが以下の関係式
(式3)を満たすことを特徴とするエチレンと炭素原子
数が3〜20のα−オレフィンとの共重合体。 log(Mmax(Ti))=A×Ti+C (式2) (ただし、(式2)においてA及びCは定数である。) −0.5≦A≦0 (式3)
【0012】[低密度ポリエチレン(B)] (1)密度が0.910g/cm3 以上0.930g/
cm3 以下であり、(2)デカリン中135℃の固有粘
度[η]が0.70dl/g以上、膨張因子が3.3以
上である、高圧法で製造された低密度ポリエチレン。
【0013】以下に、本発明を詳細に説明する。 [ポリエチレン(A)]本発明のブロー成形体を構成す
るポリエチレン(A)はその構成成分であるポリエチレ
ン(a1)及び(a2)の分子量分布と、主にポリエチ
レン(a2)におけるコモノマー成分の分布状態を制御
することにより、剛性とESCRと耐衝撃性が従来のポ
リエチレンに比べて各段に高いレベルでバランスしたポ
リエチレンである。本発明で使用されるポリエチレン
(A)がいかに優れた機械的物性を有するかについては
後記の実施例・比較例で示す通りである。
【0014】本発明にかかわるポリエチレン組成物はこ
のように優れた機械的物性を有するポリエチレン(A)
が使用されることにより、ブロー成形用のポリエチレン
としてはこれまで到達が極めて困難であった高剛性と高
ESCRのバランスを達成することが可能である。例え
ば、従来のブロー用ポリエチレンでは、密度が0.95
8〜0.963g/cm3 、MFR値(荷重2.16k
g、温度190℃条件)が0.2〜0.7g/10mi
nのポリマーデザインにおいて、後記の実施例で示す測
定方法で求められるESCRの値は高々300時間程度
であるが、本発明にかかわるポリエチレン組成物では優
れたブロー成形性が維持された上で、同測定法によるE
SCRは2,000時間を超える結果を得ることができ
る。このため該ポリエチレン組成物を使用して得られる
本発明のブロー成形体は従来のポリエチレンによるブロ
ー成形体では使用が困難なより過酷な環境下での使用が
可能となる。また、これとは逆に、従来レベルの機械的
特性を維持するだけで良い場合には、ポリエチレンの流
動性をあげることができるのでブロー成形の生産性の改
良をはかることも可能となる。
【0015】本発明を構成するポリエチレン(A)は、
下記のポリエチレン(a1)が30〜70重量部と、ポ
リエチレン(a2)が70〜30重量部から構成され
る。ポリエチレン(a1) ポリエチレン(A)にかかわるポリエチレン( a1)
は、エチレンの単独重合体またはエチレンと炭素原子数
が3〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体であ
る。ここで、炭素数が3〜20のα−オレフィンとして
は、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキ
セン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−
デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサ
デセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げら
れ、これらの内の1種あるいは2種以上の組み合わせと
して使用される。これらのうち、好ましいのは1−ブテ
ン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンであ
り、特に好ましいのは1−ペンテン、1−ヘキセン、1
−オクテンである。
【0016】また、ポリエチレン(a1)の密度は、
0.950g/cm3 以上であることが必要である。密
度が0.950g/cm3 未満である場合は本発明の目
的とする高剛性のブロー成形体を達成することが困難で
ある。ポリエチレン(a1)の密度は0.960g/c
3 以上0.985g/cm3 以下が好ましく、さらに
好ましくは0.965g/cm3 以上0.983g/c
3 以下、特に好ましくは0.970g/cm3 以上
0.980g/cm3 以下の範囲である。尚、本明細書
中で示す密度はすべてポリエチレンを窒素下で120℃
で1時間処理し、1時間かけて室温(約23℃)まで徐
冷した後に、密度勾配管により測定される。
【0017】ポリエチレン(A)にかかわるポリエチレ
ン(a1)の重量平均分子量(Mw)は5,000以上
100,000以下である。Mwが5,000未満の場
合は組成物の溶融時の均一性が悪くなるため未溶融ゲル
が発生したり、成形加工時に発煙しやすくなったり、ま
た耐衝撃性が低下するなどして好ましくなく、一方、1
00,000を越える場合は最終的なポリエチレン組成
物としての流動性が悪くなり、成形加工性が低下する。
【0018】ポリエチレン(a1)のMwは、ポリエチ
レン組成物の均一性、流動性、耐衝撃性、ESCR特性
等のバランスより考慮して、7,000以上90,00
0以下が好ましく、さらに好ましくは10,000以上
80,000以下であり、特に好ましくは15,000
以上70,000以下の範囲である。さらに、ポリエチ
レン(a1)はゲル・パーミエーション・クロマトグラ
フィー(GPC)測定によって求められるMw/Mn値
が下記一般式(式1)の関係を満足する。 1.25×log(Mw)−2.5≦Mw/Mn≦3.0×log(Mw)− 8.0 (式1)
【0019】本発明にかかわるポリエチレン(A)を構
成するポリエチレン(a1)はMw/Mn値がより小さ
いほど優れた耐衝撃性が発現する。しかしながら、Mw
/Mn値が(式1)の下限を超えると、該ポリエチレン
の到達密度が低くなるために、高剛性(高密度)のポリ
エチレンを得るのに不利になる。一方、Mw/Mn値が
(式1)の上限を超える場合は耐衝撃性が不十分であ
る。ポリエチレン(a1)のMw/Mn値の好ましい範
囲は2.5以上6以下であり、さらに好ましくは2.8
以上5以下、特に好ましくは3以上4.5以下の範囲で
ある。
【0020】また、本発明にかかわるポリエチレン(a
1)のMw/Mn値は、ポリエチレン(a2)のMw/
Mn値よりも小さいことが望ましい。このようなポリエ
チレン(a1)とポリエチレン(a2)の組み合わせに
より、優れた剛性とESCRと耐衝撃性のバランスを有
するポリエチレン(A)を得ることができ、これを用い
ることにより本発明のブロー成形体を得ることができ
る。本明細書中ではポリエチレンの分子量、並びに分子
量分布(Mw/Mn値)はGPCを用いて測定される
が、本発明におけるGPC測定はすべて以下の条件で行
われる。
【0021】[装置] Waters社製 ALC/GPC 150−C型 [測定条件] カラム;昭和電工(株)製 AT−807S(1本)と
東ソー(株)製 GMH−HT6(2本)を直列に接続 移動相;トリクロロベンゼン(TCB) カラム温度;140℃ 流量;1.0ml/分 試料濃度;20〜30mg(PE)/20ml(TC
B) 溶解温度;140℃ 流入量;500〜1,000ml検出器;示差屈折計
【0022】[測定試料]1,000ppmの酸化防止
剤(BHT等)を含む溶融混練物もしくはMFR測定で
得られたストランド ポリエチレン(a1)は後に述べる担持型の幾何拘束型
シングルサイト触媒を用いてベッセル型のスラリー重合
法により製造することができる。該重合方法によりポリ
エチレン(a1)を得る場合、通常Mw/Mn値は上記
一般式(式1)の範囲にあり、また興味有ることに、M
w/Mn値に分子量依存性があり、分子量の増大に伴っ
てMw/Mn値が増大する特徴を有する。
【0023】また、該重合方法で得られるポリエチレン
のMw/Mn値は反応器内部における重合スラリーの平
均滞留時間と重合圧力により変化し、平均滞留時間の増
大と共にMw/Mn値は若干増大し、また、重合圧力の
低下と共にMw/Mn値は増大する。ここで、重合スラ
リーの反応器内部における平均滞留時間とは反応器内部
の総スラリー液量を単位時間に反応器内を通過するスラ
リー液量で除した値で定義される。また、重合圧力とは
反応器内部の総圧力(kg/ cm2 、ゲージ圧)であ
る。
【0024】担持型の幾何拘束型シングルサイト触媒を
用いてスラリー重合法によりポリエチレン(a1)を製
造する場合において、好ましい分子量分布を有する重合
体を得るためには反応器内部における重合スラリーの平
均滞留時間をできるだけ短時間にするのが良く、平均滞
留時間は0.5時間以上5時間以下、好ましくは0.8
時間以上4時間以下、更に好ましくは1時間以上3時間
以下の範囲内にあることが好ましい。平均滞留時間が
0.5時間未満では得られるポリエチレンの分子量分布
が狭いために密度が低下し、一方、平均滞留時間が5時
間を超える場合は分子量分布が広くなりすぎて、最終的
なポリエチレン組成物の耐衝撃性が低下するので好まし
くない。
【0025】さらに、担持型の幾何拘束型シングルサイ
ト触媒を用いてスラリー重合法によりポリエチレン(a
1)を製造する場合において、好ましい分子量分布を有
する重合体を得るためには反応器内部における重合圧力
をできるだけ高く設定するが良く、重合圧力は2kg/
cm2 以上30kg/cm2 以下、好ましくは3kg/
cm2 以上30kg/cm2 以下、更に好ましくは5k
g/cm2 以上30kg/cm2 以下の範囲内にあるこ
とが好ましい。重合圧力が2kg/cm2 未満では得ら
れるポリエチレン(a1)の分子量分布が広くなりすぎ
て、最終的なポリエチレン組成物の耐衝撃性が低下する
ので好ましくない。
【0026】一方、担持型の幾何拘束型シングルサイト
触媒に対して、一般によく使用されているビス(シクロ
ペンタジエニル)ジルコニウム型のメタロセン化合物と
有機アルミニウムオキシ化合物(アルモキサン)との組
み合わせからなるシングルサイト触媒を用いてスラリー
重合法により得られたポリエチレンでは、Mw/Mn値
は通常3前後、もしくはそれ以下となり本発明にかかわ
るポリエチレン(a1)が得られ難い。また、担持型チ
ーグラー・ナッタ系触媒によるポリエチレンではMw/
Mn値が(式1)の範囲を越える場合が多く、同様に本
発明にかかわるポリエチレン(a1)が得られ難い。
【0027】ポリエチレン(a2) 本発明に係るポリエチレン(A)を構成するポリエチレ
ン(a2)は、エチレンと炭素原子数が3〜20のα−
オレフィンとのランダム共重合体である。ここで、炭素
数が3〜20のα−オレフィンとしては、既にポリエチ
レン(a1)で説明したように、プロピレン、1−ブテ
ン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペ
ンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1
−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセ
ン、1−エイコセン等が挙げられ、これらの内の1種あ
るいは2種以上の組み合わせとして使用される。これら
のうち、好ましいのは1−ブテン、1−ペンテン、1−
ヘキセン、1−オクテンであり、特に高分子量側の成分
により多くのコモノマーが導入された特異的な分子構造
を有するポリエチレン(a2)を得るためには、1−ペ
ンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが更に好ましい。
【0028】ポリエチレン(a2)におけるα−オレフ
ィン含量は0.05〜2.0mol%であり、好ましく
は0.1〜1.5mol%である。ここで、α−オレフ
ィン含量とはエチレン以外のα−オレフィンの総含量の
ことである。α−オレフィンが2.0mol%を越える
場合は得られる組成物はゲルの発生により機械的物性が
低下する。α−オレフィン含量(単位:mol%)は、
日本電子データム(株)社製、商品名α−400型を用
いて通常10mmφの試料管中で約30mgの共重合体
を0.5mlのオルトジクロロベンゼン/d6−ベンゼ
ン=1/4〜1/5の混合溶媒に均一に溶解させた試料
の13C−NMRスペクトルを、測定温度135℃で測
定される。
【0029】また、ポリエチレン(a2)の密度は、
0.910g/cm3 以上0.950g/cm3 以下で
ある。密度が0.910g/cm3 未満の場合は、本発
明の目的とする高剛性のブロー成形体を得るのが困難に
なるばかりか、最終的なポリエチレン組成物において相
分離構造が顕著になるために、機械的性能のばらつきが
大きくなって材料としての信頼性が低下したり、未溶融
ゲルが発生するなどして好ましくない。一方、密度が
0.950g/cm3 以上の場合はESCRが不十分と
なる。ポリエチレン(a2)の密度は0.915g/c
3 以上0.947g/cm3 以下が好ましく、さらに
好ましくは0.920g/cm3 以上0.945g/c
3 以下、特に好ましくは0.925g/cm3 以上
0.943g/cm3 以下の範囲である。
【0030】また、ポリエチレン(a2)の重量平均分
子量(Mw)は110,000以上1,500,000
以下である。Mwが110,000未満の場合には最終
的なポリエチレン組成物のESCRが不十分であり、一
方、1,500,000を越える場合には最終的なポリ
エチレン組成物の流動性が悪くなり、成形加工性が低下
する。ポリエチレン(a2)のMwは、最終的なポリエ
チレン組成物の均一性、流動性、耐衝撃性、ESCR特
性等のバランスより考慮して、150,000以上1,
000,000以下が好ましく、さらに好ましくは18
0,000以上800,000以下であり、特に好まし
くは200,000以上700,000以下の範囲であ
る。
【0031】さらに、本発明にかかわるポリエチレン
(a2)はGPC測定によって求められるMw/Mn値
が前記一般式(式1)の関係を満足することが必要であ
る。Mw/Mnが(式1)の下限を超える場合は、ES
CRが一般に低下する。これはMw/Mn値が小さなポ
リエチレンはMw/Mnが大きなものに比べて、重量平
均分子量(Mw)が相対的に低下するためであり、高分
子量であることが本質的に有利な性能は一般に低下す
る。一方、Mw/Mn値が(式1)の上限を超える場合
は最終的なポリエチレン組成物の耐衝撃性が低下する。
【0032】すなわち、本発明にかかわるポリエチレン
(a2)の分子量分布は適度に広いことが重要であり、
本発明で使用される高剛性、高ESCR、高耐衝撃性の
バランスに優れたポリエチレン(A)を得るためには、
ポリエチレン(a2)のMw/Mn値は4以上8以下が
好ましく、さらに好ましくは4.2以上7.5以下、特
に好ましくは4.5以上7以下の範囲である。また、本
発明にかかわるポリエチレン(A)では、ポリエチレン
(a2)のMw/Mn値は、ポリエチレン(a1)のM
w/Mn値よりも大きい場合において、優れた剛性とE
SCRと耐衝撃性のバランスが発現する。
【0033】本発明にかかわるポリエチレン(a2)は
担持型の幾何拘束型シングルサイト触媒を用いてベッセ
ル型のスラリー重合法により製造することができる。前
述したように、担持型の幾何拘束型シングルサイト触媒
を用いてスラリー法により重合されたポリエチレンは、
Mw/Mn値が分子量依存性を持っており、分子量の増
大に伴ってMw/Mn値が増大する特徴を有する。従っ
て、同一触媒を用いて、低分子量領域ではMw/Mnが
小さなポリエチレンを、一方、高分子量域ではMw/M
nが比較的広いポリエチレンを得ることができるので、
本発明にかかわるポリエチレン(a1)及び(a2)を
同一の触媒系により製造することができる。
【0034】担持型の幾何拘束型シングルサイト触媒を
用いてスラリー重合法によりポリエチレン(a2)を製
造する場合において、好ましい適度に広い分子量分布を
有する重合体を得るためには反応器内部における重合ス
ラリーの平均滞留時間をできるだけ長時間にするのが良
く、平均滞留時間は0.5時間以上8時間以下、好まし
くは0.8時間以上7時間以下、更に好ましくは1時間
以上6時間以下の範囲内にあることが好ましい。平均滞
留時間が0.5時間未満では得られるポリエチレンの分
子量分布が狭いためにESCR性能が十分でなく、一
方、平均滞留時間が8時間を超える場合はグレード切り
替え時のロスが多く生産性の面で不都合がある。
【0035】さらに、担持型の幾何拘束型シングルサイ
ト触媒を用いてスラリー重合法によりポリエチレン(a
2)を製造する場合において、好ましい分子量分布を有
する重合体を得るためには反応器内部における重合圧力
をできるだけ低く設定するのが良く、重合圧力は1kg
/cm2 以上30kg/cm2 以下、好ましく2kg/
cm2 以上20kg/cm2 以下、更に好ましくは3k
g/cm2 以上15kg/cm2 以下の範囲内にあるこ
とが好ましい。重合圧力が1kg/cm2 未満では重合
活性が充分でなく生産性に劣り、一方、重合圧力が30
kg/cm2 を超える場合はポリエチレンの分子量分布
が狭くなり、ESCR性能や成形加工性が低下する。
【0036】一方、担持型の幾何拘束型シングルサイト
触媒に対して、一般によく使用されているビス(シクロ
ペンタジエニル)ジルコニウム型のメタロセン化合物と
有機アルミニウムオキシ化合物(アルモキサン)との組
み合わせからなるシングルサイト触媒を用いてスラリー
重合法により得られたポリエチレンでは、Mw/Mn値
は通常3前後、もしくはそれ以下となり、本発明にかか
わるポリエチレン(a2)が得られ難い。かかるMw/
Mnが小さなポリエチレンでは分子量(重量平均分子
量)が相対的に低くなるために、ESCR性能が不十分
となる。
【0037】また、担持型チーグラー・ナッタ系触媒に
よるポリエチレンではMw/Mn値が大きいので、分子
量的にはESCR特性の向上に有利であるが、一般に共
重合されたコモノマーの組成分布が不均一で特に低分子
量成分にコモノマーが選択的に導入される傾向が強く、
この理由によりESCRが不十分となり、また、耐衝撃
性も十分でない場合が多い。さらに本発明にかかわるポ
リエチレン(a2)は、昇温溶出分別とゲル・パーミエ
ーション・クロマトグラフィーとのクロス分別によって
求められる分子量−溶出温度−溶出量の相関において、
(式2)で表現される溶出温度(Ti/℃)と該溶出温
度における溶出成分のゲル・パーミエーション・クロマ
トグラフィー測定から求められる極大分子量(Mmax
(Ti))の最小二乗法近似直線関係式において、定数
Aが以下の関係式(式3)を満たすことが必要である。
【0038】 log(Mmax(Ti))=A×Ti+C (式2) (ただし、(式2)においてA及びCは定数) −0.5≦A≦0 (式3) (式2)において定数Aが負(マイナス)の場合は、ポ
リエチレンの高分子量成分にコモノマーがより多く導入
されていることを表す。このようなコモノマー分布を有
するポリエチレンはタイ分子密度が向上するために、耐
衝撃性やESCR特性が向上する。これに対して定数A
が正(プラス)の場合は、ポリエチレンの高分子量成分
にコモノマーが十分に導入されておらず、このためにE
SCR特性や耐衝撃性が不十分である。従来のチーグラ
ーナッタ型触媒を用いて得られるポリエチレンの場合
は、通常、低分子量成分側にコモノマーが多く導入され
るために定数Aは正(プラス)となる。
【0039】また、定数Aが−0.5より小さい(負に
大きな)ポリエチレンを単一の触媒系で重合することは
実質的に困難である。本発明にかかわるポリエチレン
(a2)の好ましい定数Aの範囲は、−0.4≦A≦−
0.001であり、更に好ましくは、−0.3≦A≦−
0.002であり、より好ましくは、−0.35≦A≦
−0.003であり、特に好ましくは、−0.2≦A≦
−0.005である。尚、上記の定数Aは、溶出温度
(Ti/℃)に於ける対数極大分子量(log(Mma
x(Ti)))とTiのプロットから求められるが、溶
出温度Tiにおける溶出成分量が1wt%以下の場合の
Mmax値と、最低溶出温度と最高溶出温度における溶
出成分におけるMmax値は除外して求められる。
【0040】担持型幾何拘束型シングルサイト触媒を用
いてスラリー重合により得られるポリエチレンは、上記
(式3)の関係を満足する場合が多いが、同触媒と重合
方法を用いれば必ず(式3)の関係を満足するポリエチ
レンが得られるとは限らず、以下に列挙する(1)〜
(5)に示す重合条件で製造される場合において、(式
2)の定数Aがより負に大きな、すなわち機械的性能が
改良されたポリエチレンを得ることができる。 (1)重量平均分子量が150,000以上のポリエチ
レンを得る場合。 (2)コモノマーであるα−オレフィンが、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オ
クテン等のいわゆるハイヤーオレフィンである場合。 (3)コモノマーであるα−オレフィンの導入量がより
少ない場合(但し、コモノマー濃度は2モル%以下でゼ
ロではない)。 (4)重合温度がより低い場合(40〜90℃)。 (5)重合圧力がより低い場合(1〜20kg/cm
2 )。
【0041】尚、本発明において実施される昇温溶出分
別とゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーとの
クロス分別測定は以下の条件で行われる。 [装置] ダイヤインストルメンツ(株)社製 CFC T−15
0A型 [測定条件] GPCカラム;昭和電工(株)製 AD806MSを3
本直列に接続して使用 移動相;ジクロロベンゼン(DCB) カラム温度;140℃ 流量;1.0ml/分 試料濃度;20〜30mg(PE)/20ml(DC
B) 溶解温度;140℃ TREFカラム充填剤;ガラスビーズ 試料溶液注入量;5ml TREFカラム冷却速度;1℃/min(140℃より
0℃に冷却) TREFカラム昇温速度;1℃/min(0℃より14
0℃に昇温) 検出器;Nicolt(株)社製 マグナIRスペクト
ロメーター 550型 [測定試料]1,000ppmの酸化防止剤(BHT
等)を含む溶融混練物もしくはMFR測定で得られたス
トランド
【0042】ポリエチレン(A)の製造方法 次に本発明のブロー成形体に用いられるポリエチレン
(A)を得るための触媒系並びに製造方法について説明
する。本発明にかかわるポリエチレン(A)を構成する
ポリエチレン(a1)、及び(a2)は、少なくとも
(ア)担体物質、(イ)有機アルミニウム化合物、
(ウ)活性水素を有するボレート化合物、及び(エ)シ
クロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニル基
とη結合したチタン化合物、から調製された担持型幾何
拘束型シングルサイト触媒を使用してベッセル型スラリ
ー重合法により製造することができる。
【0043】担体物質(ア)としては、有機担体、無機
担体のいずれであってもよい。有機担体としては、
(1)炭素数2〜10のαーオレフィン重合体、例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、
エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン−1
共重合体、エチレン・ヘキセン−1共重合体、プロピレ
ン・ブテン−1共重合体、プロピレン・ジビニルベンゼ
ン共重合体、(2)芳香族不飽和炭化水素重合体、例え
ば、ポリスチレン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合
体、あるいは(3)極性基含有重合体、例えば、ポリア
クリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリア
クリルニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカ
ーボネート等、を列挙することができる。
【0044】無機担体としては、(4)多孔質酸化物、
例えば、SiO2 、Al23 、MgO、TiO2 、B
23 、CaO、ZnO、BaO、ThO2 、SiO2
−MgO、SiO2 −Al23 、SiO2 −MgO、
SiO2 −V25 等、(5)無機ハロゲン化合物、例
えば、MgCl2 、AlCl3 、MnCl2 等、(6)
無機の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、例えば、Na2 CO
3 、K2 CO3 、CaCO3 、MgCO3 、Al2 (S
43 、BaSO4 、KNO3 、Mg(NO32
等、(7)水酸化物、例えば、Mg(OH)2 、Al
(OH)3 、Ca(OH)2 等、を例示することができ
る。上記に列挙した単体物質の内、最も好ましい担体物
質はシリカ(SiO2 )である。担体物質の粒子径は便
宜選ぶことができるが、一般的には1〜3,000μ
m、好ましくは5〜2,000μm、さらに好ましくは
10〜1,000μmの範囲である。
【0045】上記担体物質は使用前に有機アルミニウム
化合物(イ)で処理される。好ましい有機アルミニウム
化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチル
アルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプ
ロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ト
リヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、
トリデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノク
ロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、エチ
ルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロ
リド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチ
ルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウ
ムハイドライド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジ
メチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウム
フェノキシド、等のアルミニウムアルコキシド、メチル
アルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルアルモ
キサン、メチルイソブチルアルモキサンなどの有機アル
ミニウムオキシ化合物(アルモキサン)などが挙げられ
る。これらのうちでトリアルキルアルミニウム、アルミ
ニウムアルコキシドなどが好ましく使用される。最も好
ましくはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニ
ウム、トリイソブチルアルミニウムである。
【0046】さらに本発明にかかわるポリエチレン(a
1)及び(a2)の製造において使用される担持触媒に
おいては、活性水素を有するボレート化合物(ウ)を用
いる。このボレート化合物は(ウ)は、主触媒であるシ
クロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニル基
とη結合したチタン化合物(エ)と反応して、(エ)を
カチオンに変換する活性化剤であり、かつこのボレート
化合物中の活性水素を有するグループ(T−H)は、担
体物質(ア)にこれらボレート化合物(ウ)を担持する
際に、担体と化学結合または物理結合を形成することが
できる。
【0047】活性水素を有するボレート化合物(ウ)と
シクロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニル
基とη結合したチタン化合物(エ)により、以下の一般
式(式8)で表されるコンプレックスを形成させる。 [BQn(Gq(T−H)r)z]A+ (式8)
【0048】(式8)中、Bはホウ素を表し、Gは多結
合性ハイドロカーボンラジカルを表す。好ましい多結合
性ハイドロカーボン(G)としては、炭素数1〜20を
含むアルキレン、アリレン、エチレン、アルカリレンラ
ジカルを挙げることができ、Gの好ましい例としては、
フェニレン、ビスフェニレン、ナフタレン、メチレン、
エチレン、1、3−プロピレン、1,4−ブタジエン、
pフェニレンメチレンを挙げることができる。多結合性
ラジカルGはr+1の結合、すなわち一つの結合はボレ
ートアニオンと結合し、Gのその他の結合は(T−H)
基と結合する。TはO、S、NR、またはPRを表し、
Rはハイドロカルベニルラジカル、トリハイドロイカル
ベニルシリルラジカル、トリハイドロカルベニルゲルマ
ニウムラジカル、またはハイドライドを表す。qは1以
上であり好ましくは1である。上記T−Hグループとし
ては、−OH、−SH、−NRH、または−PRHであ
り、ここでRは炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜
10のハイドロカルベニルラジカルまたは水素である。
好ましいRグループとしては、アルキル、シクロアルキ
ル、アリル、アリルアルキルまたは1〜18の炭素数を
有するアルキルアリルを挙げることができる。−OH、
−SH、−NRHまたは−PRHは、例えば、−C
(O)、−OH、−C(S)、−SH、−C(O)−N
RH、及び−C(O)−PRHでもかまわない。最も好
ましい活性水素を有する基は−OH基である。Qはハイ
ドライド、ジハイドロカルビルアミド、このましくはジ
アルキルアミド、ハライド、ハイドロカルビルオキシ
ド、アルコキシド、アリルオキシド、ハイドロカルビ
ル、置換ハイドロカルビルラジカル等である。ここでn
+zは4である。
【0049】上記一般式(式8)の[BQn(Gq
(T−H)r)z]としては、例えば、トリフェニル
(ヒドロキシフェニル)ボレート、ジフェニル−ジ(ヒ
ドロキシフェニル)ボレート、トリフェニル(2,4−
ジヒドロキシフェニル)ボレートトリ(p−トリル)
(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス−(ペンタフ
ルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、ト
リス−(2,4−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェ
ニル)ボレート、トリス−(3,5−ジメチルフェニ
ル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス−(3,
5−ジ−トリフルオロメチルフェニル)(ヒドロキシフ
ェニル)ボレート、トリス−(ペンタフルオロフェニ
ル)(2ーヒドロキシエチル)ボレート、トリス−(ペ
ンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシブチル)ボレ
ート、トリス−(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒド
ロキシ−シクロヘキシル)ボレート、トリス−(ペンタ
フルオロフェニル)(4−(4’−ヒドロキシフェニ
ル)フェニル)ボレート、トリス−(ペンタフルオロフ
ェニル)(6−ヒドロキシ−2ナフチル)ボレートが等
が挙げられ、最も好ましくはトリス(ペンタフルオロフ
ェニル)(4−ヒドキシフェニル)ボレートである。さ
らに上記ボレート化合物の−OH基を−NHR(ここで
Rはメチル、エチル、tーブチル)で置換したものも好
ましく使用できる。
【0050】ボレート化合物の対カチオンとしては、カ
ルボニウムカチオン、トロピルリウムカチオン、アンモ
ニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニムカ
チオン、ホスホニウムカチオンがあげられる。またそれ
自身が還元されやすい金属の陽イオンや有機金属の陽イ
オンも挙げられる。これらカチオンの具体例としては、
トリフェニルカルボニウムイオン、ジフェニルカルボニ
ウムイオン、シクロヘプタトリニウム、インデニウム、
トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、
トリブチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジプ
ロピルアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、
トリオクチルアンモニウム、N,N−ジメチルアンモニ
ウム、ジエチルアンモニウム、2,4,6−ペンタメチ
ルアンモニウム、N,N−ジメチルベンジルアンモニウ
ム、ジ−(i−プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキ
シルアンモニウム、トリフェニルホスホニウム、トリホ
スホニウム、トリジメチルフェニルホスホニウム、トリ
(メチルフェニル)ホスホニウム、トリフェニルホスホ
ニウムイオン、トリフェニルオキソニウムイオン、トリ
エチルオキソニウムイオン、ピリジニウム、銀イオン、
金イオン、白金イオン、銅イオン、パラジウムイオン、
水銀イオン、フェロセニウムイオン等が挙げられる。な
かでも特にアンモニウムイオンが好ましい。
【0051】さらに、本発明にかかわるポリエチレン
(a1)、及び(a2)の製造において使用される担持
触媒においては、下記一般式(式9)で表されるシクロ
ペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニル基とη
結合したチタン化合物(エ)が使用される。
【化1】
【0052】(式9)中、Tiは+2、+3、+4の酸
化状態であるチタン原子、Cpはチタンにη結合するシ
クロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニル基
であり、X1はアニオン性リガンドであり、X2は中性
共役ジエン化合物である。n+mは1または2であり、
Yは、−O−、−S−、−NR−、または−PR−であ
り、Zは、SiR2 、CR2 、SiR2 −SiR2 、C
2 CR2 、CR=CR、CR2 SiR2 、GeR2
BR2 であり、Rは水素、ハイドロカルビル、シリル、
ゲルミウム、シアノ、ハロまたはこれらの組み合わせも
の及び20個までの非水素原子をもつそれらの組み合わ
せから選ばれる。置換シクロペンタジエニル基として
は、1種またはそれ以上の炭素数1〜20のハイドロカ
ルビル、炭素数1〜20のハロハイドロカルビル、ハロ
ゲンまたは炭素数1〜20のハイドロカルビル置換第1
4族メタロイド基で置換されたシクロペンタジエニル、
インデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニルも
しくはオクタフルオレニルがあげられ、好ましくは炭素
数1〜6のアルキル基で置換されたシクロペンタジエニ
ル基である。
【0053】X1、X2としては、例えば上記一般式
(式9)において nが2、mが0で、チタンの酸化数
が+4であれば、X1はメチル、ベンジルから選ばれ、
nが1、mが0でチタンの酸化数は+3であればX1
は、2−(N,N−ジメチル)アミノベンジル、さらに
チタンの酸化数が+4であれば、X1は2−ブテン−
1,4−ジイル、さらにnが0で、mが1でチタンの酸
化数が+2であればX2は1,4−ジフェニル−1,3
−ブタジエン、または1,3−ペンタジエンが選ばれ
る。
【0054】ポリエチレン(a1)及び(a2)を得る
ために使用される担持型幾何拘束型シングルサイト触媒
は、成分(ア)に成分(イ)、成分(ウ)及び成分
(エ)を担持させることにより得られるが、成分(イ)
から成分(エ)を担持させる方法は任意であるが、一般
的には成分(イ)、成分(ウ)及び成分(エ)をそれぞ
れが溶解可能な不活性溶媒中に溶解させ、成分(ア)と
混合した後、溶媒を留去する方法、また、成分(イ)、
成分(ウ)及び成分(エ)を不活性溶媒に溶解後、固体
が析出しない範囲で、これを濃縮して、次の濃縮液の全
量を粒子内に保持できる量の成分(ア)を加える方法、
成分(ア)に成分(イ)および成分(ウ)をまず担持さ
せ、ついで成分(エ)を担持させる方法、成分(ア)に
成分(イ)及び成分(エ)および成分(ウ)を逐次に担
持させる方法、成分(ア)、成分(イ)、成分(ウ)お
よび成分(エ)を共粉砕により、担持させる方法等が例
示される。
【0055】担持型幾何拘束型シングルサイト触媒の調
製で使用される成分(ウ)および成分(エ)は一般的に
は固体であり、また成分(イ)は自然発火性を有するた
め、これらの成分は、担持の際、不活性溶媒に希釈して
使用する場合がある。この目的に使用する不活性溶媒と
しては、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の
脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メ
チルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;及びエチルクロ
ライド、クロルベンゼン、ジクロルメタン等のハロゲン
化炭化水素、或いはこれらの混合物等を挙げることがで
きる。かかる不活性炭化水素溶媒は、乾燥剤、吸着剤な
どを用いて、水、酸素、硫黄分等の不純物を除去して用
いることが望ましい。
【0056】上記触媒の調製においては、成分(ア)1
グラムに対し、(イ)はAl原子換算で1×10ー5から
1×10ー1モル、好ましくは1×10ー4モルから5×1
ー2モル、(ウ)は1×10ー7モルから1×10ー3
ル、好ましくは5×10ー7モルから5×10ー4モル、
(エ)は1×10ー7モルから1×10ー3モル、好ましく
は5×10ー7モルから5×10-4モルの範囲で使用され
る。各成分の使用量、及び担持方法は活性、経済性、パ
ウダー特性、および反応器内のスケール等により決定さ
れる。得られた担持触媒は、担体に担持されていない有
機アルミニウム化合物、ボレート化合物、チタン化合物
を除去することを目的に、不活性炭化水素溶媒を用いで
デカンテーション或いは濾過等の方法により洗浄するこ
ともできる。上記の触媒調製で行われる一連の溶解、接
触、洗浄等の操作は、その単位操作毎に選択される−3
0℃以上150℃以下範囲の温度で行うことが推奨され
る。そのような温度のより好ましい範囲は、0℃以上1
90℃以下である。また、該触媒の調製においては、固
体触媒を得る一連の操作は、乾燥した不活性雰囲気下で
行うことが好ましい。
【0057】上記の担持型幾何拘束型シングルサイト触
媒は、不活性炭化水素溶媒中に分散したスラリー状態で
保存することも、或いは乾燥して固体状態で保存するこ
ともできる。ポリエチレン(A)を構成するポリエチレ
ン(a1)及び(a2)は、ベッセル型スラリー重合法
により製造することができる。ポリエチレン(a1)を
得るための製造条件としては、2kg/cm2 以上30
kg/cm2 以下、好ましくは3kg/cm2 以上30
kg/cm2 以下、更に好ましくは5kg/cm2 以上
30kg/cm2 以下の重合圧力、40〜100℃、好
ましくは60〜90℃の重合温度、0.5時間以上5時
間以下、好ましくは0.8時間以上4時間以下、更に好
ましくは1時間以上3時間以下の反応器内部における重
合スラリーの平均滞留時間で行うのがよい。
【0058】また、ポリエチレン(a2)を得るための
製造条件としては、1kg/cm2以上30kg/cm2
以下、好ましくは2kg/cm2 以上20kg/cm2
以下、更に好ましくは3kg/cm2 以上15kg/
cm2 以下の重合圧力、40〜100℃、好ましくは6
0〜90℃の重合温度、0.5時間以上8時間以下、好
ましくは0.8時間以上7時間以下、更に好ましくは1
時間以上6時間以下の反応器内部における重合スラリー
の平均滞留時間で行うのがよい。
【0059】また、ポリエチレン(a1)、(a2)の
重合に際しては重合溶媒、エチレン、コモノマーである
α−オレフィン、水素、及び担持型触媒を系を連続的に
反応器に供給することにより、エチレン系重合体が製造
される。溶媒、エチレン、コモノマー、及び水素の供給
速度は目的とするエチレン系重合体の分子量や密度に応
じて便宜調整される。スラリー法に用いる溶媒として
は、不活性炭化水素溶媒が好適であり、特に、イソブタ
ン、イソペンタン、ヘプタン、ヘキサン、オクタン等を
使用することができ、中でもヘキサン、イソブタンが好
適である。
【0060】また重合に際しては、担持型触媒のみの使
用でも本発明にかかわるポリエチレン(A)の製造が可
能であるが、溶媒や反応系の被毒の防止のため、付加成
分として有機アルミニウム化合物を共存させて使用する
ことも可能である。使用される有機アルミニウム化合物
としては、前述の有機アルミニウム化合物を好ましく使
用することができ、最も好ましくはトリメチルアルミニ
ウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミ
ニウムである。
【0061】また、本発明にかかわるポリエチレン
(A)は、多段式スラリー重合法により製造するのが、
最終的なポリエチレン組成物の物性の向上、物性の安定
化、組成物中のゲル成分の低減化をはかれるため、特に
好ましい。多段式スラリー重合法によりポリエチレン
(A)を得るための製造方法の例を図1を参照しながら
説明する。
【0062】重合器1ではライン2より、エチレン、ヘ
キサン、水素、コモノマーとしてのα−オレフィン、触
媒成分等が供給される。ここで、α−オレフィンは目的
に応じて供給しない場合もある。重合器1において、ポ
リエチレン(a1)が重合される。重合圧力は2〜30
kg/cm2 、好ましくは、3〜25kg/cm2 で重
合温度は60〜100℃、好ましくは70〜90℃であ
る。重合器1内のスラリーはフラッシュドラム3に導か
れ、未反応のエチレン、水素が除去される。除去された
エチレン、水素はコンプレッサー4により昇圧されて重
合器1に戻される。一方、フラッシュドラム3内のスラ
リーは、ポンプ5により、二段目の重合器6に移送され
る。また、場合によっては重合器1から取り出されたス
ラリーをフラッシュドラム3を経由させずに直接に二段
目の重合器6に移送することもできる。重合器6ではラ
イン7よりエチレン、α−オレフィンコモノマー、ヘキ
サン、水素、触媒成分などが供給されることにより、α
−オレフィンが共重合され、高分子量のポリエチレン
(a2)が重合される。重合圧力は0.5〜30kg/
cm2 、好ましくは、0.5〜20kg/cm2 で重合
温度は40〜110℃、好ましくは60〜90℃であ
る。重合器6内のポリマーがポリエチレン(A)とな
り、後処理行程を経て取り出される。
【0063】ポリエチレン(A)の構成 上記で示すポリエチレン(A)は、(1)密度が0.9
30g/cm3 以上0.970g/cm3 以下、(2)
メルトフローレート値(MFR、荷重2.16kg、温
度190℃条件)が0.001g/10min以上50
g/10min以下、(3)Mw/Mnの値が5以上5
0以下、の範囲にあるのが好ましい。本発明にかかわる
ポリエチレン(A)は、剛性とESCR特性と耐衝撃性
が高レベルでバランスしている。
【0064】本発明のブロー成形体で使用されるポリエ
チレン組成物を構成するポリエチレン(A)の密度が
0.930g/cm3 未満である場合は本発明の目的と
する高剛性のブロー成形体を達成するのが困難である。
一方、ポリエチレン(A)の密度が0.970g/cm
3 越える場合は、ESCR及び耐衝撃性や伸び特性が不
十分となる。ポリエチレン(A)の密度の好ましい範囲
は0.935g/cm3以上0.968g/cm3 以下
であり、更に好ましくは0.940g/cm3 以上0.
965g/cm3 以下であり、特に好ましくは0.94
5g/cm3 以上0.963g/cm3 以下の範囲であ
る。
【0065】また、ポリエチレン(A)のメルトフロー
レート(MFR)値が0.001g/10min未満の
場合は通常の押出機や成形機による加工が極めて困難と
なり不都合が生じる。一方、ポリエチレン(A)のMF
R値が50g/10minを越える場合はESCR及や
耐衝撃性や伸び特性が不十分となる。ポリエチレン
(A)のMFR値の好ましい範囲は、成形加工性を考慮
すると、0.002g/10min以上40g/10m
in以下、更に好ましくは0.005g/10min以
上30g/10min以下、特に好ましくは0.008
g/10min以上10g/10min以下の範囲であ
る。尚、MFRは1,000ppmの酸化防止剤を配合
したポリエチレンを使用して、ASTM−D1238に
準じて測定された値である。
【0066】また、本発明にかかわるポリエチレン
(A)のMw/Mn値が5未満の場合はポリエチレン組
成物のESCRが低下し、一方、50を越える場合はE
SCRは向上するが耐衝撃性が著しく低下し、更に最終
的に得られるポリエチレン組成物に未溶融ゲルが発生し
やすくなり、好ましくない。ポリエチレン(A)のMw
/Mn値は、組成物の物性のバランスを考慮すると、好
ましい範囲は5.5以上48以下、更に好ましくは6以
上45以下、特に好ましくは8以上40以下の範囲であ
る。
【0067】ポリエチレン(A)におけるポリエチレン
( a1)とポリエチレン(a2)の配合比はポリエチレ
ン(a1)が70〜30重量部に対してポリエチレン
(a2)が30〜70重量部である。ポリエチレン(a
1)が70重量部を超える場合(ポリエチレン(a2)
が30重量部未満の場合)は得られるポリエチレン
(A)の機械的強度が不足し、また未溶融ゲルが多く混
在するため好ましくない。一方、ポリエチレン(a1)
が30重量部未満の場合(ポリエチレン(a2)が70
重量部を超える場合)は得られるポリエチレン(A)の
流動性が悪くなり、成形性が劣る。
【0068】ポリエチレン(A)におけるポリエチレン
(a1)とポリエチレン(a2)の配合比の好ましい範
囲は、ポリエチレン(a1)が65〜35重量部に対し
てポリエチレン(a2)が35〜65重量部であり、更
に好ましくはポリエチレン(a1)が60〜40重量部
に対してポリエチレン(a2)が40〜60重量部であ
り、特に好ましくはポリエチレン(a1)が55〜45
重量部に対してポリエチレン(a2)が45〜55重量
部である。
【0069】本発明にかかわるポリエチレン(A)を得
る方法については、複数の重合器を用いて、該複数の重
合器の内の一つ以上の重合器において、ポリエチレン
(a1)を重合し、他の重合器でポリエチレン(a2)
を重合して、得られたポリエチレン(a1)及び(a
2)の混合物を一軸あるいは多軸の押出機、バンバリー
ミキサー、ニーダー、ロールなどの公知の混練装置を用
いて溶融混練することにより得ることができるが、これ
以外の方法として、既に説明した複数の重合器を直列に
つないで重合を行う多段重合法を用いて、前段で前記ポ
リエチレン(a1)を重合し、後段で前記ポリエチレン
(a2)を重合する方法や、あるいはこれとは逆に、前
段で前記ポリエチレン(a2)を重合し、後段で前記ポ
リエチレン(a1)を重合する方法により得ることもで
きる。
【0070】[低密度ポリエチレン(B)]次に本発明
のブロー成形体に使用されるポリエチレン組成物にかか
わる低密度ポリエチレン(B)について説明する。本発
明にかかわるポリエチレン組成物の構成成分である低密
度ポリエチレン(B)は密度が0.90〜0.93のい
わゆる高圧法ポリエチレンである。このポリマーはデカ
リン中135℃の固有粘度[η]が0.70dl/g以
上、好ましくは0.85dl/g以上であり、膨張因子
が3.3以上、好ましくは3.4以上である。[η]が
0.70未満では、ダイスエルを高くする効果、溶融張
力を高くして成形性をよくする効果が得られにくい。
【0071】また、膨張因子が3.3未満の低い値の場
合には、ダイスエルを高くする効果、溶融張力を高くす
る効果が極めて小さい。尚、膨張因子の上限は4であ
る。通常、膨張因子が4を超える低密度ポリエチレンは
無い。ここで、膨張因子とは、デカリン中135℃で求
めた[η]([η]デカリンとする)と、ジオクチルア
ジペート中145℃で求めた[η]([η]DOAとす
る)との比であり、次の式で表したものである。 膨張因子=[η]デカリン/[η]DOA
【0072】低密度ポリエチレンの種類としては、エチ
レンの単独重合体、プロピレン、ブテン等の他のα−オ
レフィン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、塩化ビニ
ル等のビニルモノマーとの共重合体であってもよい。低
密度ポリエチレンは、いわゆる高圧法で製造される。プ
ロセスにはチューブラー法とオートクレーブ法の2つが
あるが、本発明で用いられる低密度ポリエチレンは、オ
ートクレーブ法により製造されるものであり、かつ上記
特性を満足する特定のものである。上記の特徴を示し、
本発明の効果を発揮するものであれば、もちろんどのよ
うな方法で製造したものでもよい。
【0073】[ポリエチレン組成物の混合方法]次にポ
リエチレン(A)と(B)の混合比率と混合方法につい
て説明する。本発明にかかわるポリエチレン組成物中の
(B)成分の混合比率は1wt%以上12wt重量%以
下、好ましくは3〜10wt%である。この範囲で混合
することにより、ポリエチレン(A)の有する優れた物
性を損なうことなくダイスエル溶融張力の改良を行うこ
とができる。低密度ポリエチレン(B)の混合量が少な
いと成形性の改良効果が得られず、また混合量が13w
t%以上、特に15wt%以上となると、流動性が低下
し溶融伸長性が低下して成形品の表面が悪くなるなど成
形性が悪くなり、さらに、剛性、ESCR等の物性が低
下する。
【0074】低密度ポリエチレン(B)のダイスエル,
溶融張力等の成形性改良効果は、本発明で使用される低
分子量のポリエチレン(a1)と高分子量のポリエチレ
ン(a2)の組み合わせからなるポリエチレン(A)の
場合において顕著であり、通常の一段重合によって得ら
れるポリエチレンに対しては効果がほとんどないか、効
果があってもそれは非常に小さい。
【0075】ポリエチレン(A)と低密度ポリエチレン
(B)の混合方法はポリエチレン(A)の構成成分であ
るポリエチレン(a1)とポリエチレン(a2)と低密
度ポリエチレン(B)を同時に混合混練する方法、ポリ
エチレン(a1)とポリエチレン(a2)をあらかじめ
混合し、続いて低密度ポリエチレン(B)を混合混練す
る方法、重合器内で多段重合法により得られたポリエチ
レン(A)と低密度ポリエチレン(B)を混合混練する
方法等のいずれを用いても構わない。ポリエチレン
(A)とポリエチレン(B)の混合方法は、パウダー状
態、スラリー状態、ペレット状態、あるいはこれらの組
み合わせ等通常の方法が用いられる。
【0076】混練する場合はポリエチレン(A)及び
(B)の混合物を一軸あるいは多軸の押出機、バンバリ
ーミキサー、ニーダー、ロールなどの公知の混練装置を
用いて150〜300℃の温度で行われる。このように
して得られる上記のポリエチレン組成物のうち、密度が
0.940g/cm3 以上0.970g/cm3 以下で
あり、メルトフローフローレート値(荷重2.16k
g、温度190℃条件)が0.01g/10min以上
10g/10min以下であるものが、本発明のブロー
成形体に使用されるポリエチレン組成物として好ましく
使用することができる。
【0077】また、本発明のブロー成形体に使用される
ポリエチレン組成物は、必要に応じて各種添加剤成分、
例えば、フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止
剤、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛等の金
属石鹸類、そのほかに滑剤、安定剤、紫外線吸収剤、難
燃剤、離型剤、結晶核剤、顔料、帯電防止剤、充填剤、
他のポリオレフィン、熱可塑性樹脂、エラストマー等を
含むこともできる。また、上記のポリエチレン組成物は
ブロー成形体用以外に、押し出し成形や、発泡剤を混入
させて発泡成形することも可能であり、これらの成形方
法により得られた各種成形体も従来のエチレン系樹脂に
よる成形体に比べて各段に秀でた性能を発現する。押し
出し成形体や発泡成形体を得る場合にはMFR値は0.
01g/10min以上1g/10min以下が好まし
い。
【0078】以上に詳述したように、本発明にかかわる
ポリエチレン組成物は下記に列挙する特徴を有する。 (1)溶融時の流動特性、粘弾性特性のバランスがよ
く、成形加工性に優れている。特に、中空成形、パイ
プ、シート等の押し出し成形、インジェクションブロー
成形などの成形加工性がよく成形品の厚み斑が小さい。 (2)成形品の剛性、耐衝撃性、及びESCRが高く、
これらの全ての特性が実用的によくバランスしている。 (3)物性、加工性に優れているために薄肉成形品が作
り易い。 (4)外観の良い成形品が得られる。 (5)射出、フィルム、延伸、回転及び発泡などの各種
の成形用途にも適用できる。 このようなポリエチレン組成物を使用して本発明のブロ
ー成形体を得ることができるが、本発明のブロー成形体
は公知のあらゆるブロー成形法、例えばダイレクトブロ
ー成形法、インジェクションブロー成形法、延伸ブロー
成形法、多層ブロー成形法等により各種多彩の製品とす
ることができる。
【0079】
【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例により本
発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に
よってなんら限定されるものではない。実施例及び比較
例で用いられる各物性値は以下に示す方法によって測定
される。なお、以下(3)〜(5)の各物性の測定は1
90℃の圧縮成形により調製した試験片を用いて、以下
に示す方法に従って行われる。
【0080】(1)MFR(単位:g・10min) ASTM−D1238に準じ2.16kg荷重、190
℃条件で測定した。 (2)MIR 荷重21.6kgで測定したMFR値をI20、荷重2.
16kgで測定したMFR値をI2 としたときに、MI
RはI20/I2 で定義される。 (3)密度(d、単位:g/cm3 ) ASTM−D1505に準拠し、密度勾配管法(23
℃)で測定した。 (4)シャルピー衝撃試験(単位:kgf・cm/cm
2 ) JIS−K7111に準拠し試験片形状は1号EA型で
23℃で測定した。 (5)ESCR(単位:hr) JIS−K6760に準拠し、恒温水槽の水温は50℃
で測定した。試験液としては、ライオン(株)製、商品
名アンタロックスCO630の10wt%水溶液を使用
した。
【0081】(6)ボトルESCR(単位:hr) 50mm径スクリュー付中空成形機を使用し、シリンダ
ー温度190℃、金型温度40℃にて成形される500
ml丸瓶ボトル(重量42g)に、ライオン(株)製、
商品名:アンタロックスCO630の10wt%水溶液
を50mlを入れ、65℃のオーブンに入れ、ボトルに
クラックが発生するまでの時間を測定した。 (7)膨張因子 デカリン中135℃で求めた[η]([η]デカリンと
する)と、ジオクチルアジペート中145℃で求めた
[η]([η]DOAとする)とからその比を求め、こ
れを膨張因子とする。 膨張因子=[η]デカリン/[η]DOA
【0082】(8)ダイ・スエル(単位:g/20c
m) 50mm径スクリュー付中空成形機を使用し、外径15
mm、内径10mmの中空成形用ダイを用いて、シリン
ダー温度190℃、スクリュー回転数46rpmで押出
したときの20cmのパリソンの重量で表される。本明
細書でいうダイスエルは全てこのようにして測定され
る。 (9)ボトルの肉厚斑 50mm径スクリュー付中空成形機を使用し、シリンダ
ー温度190℃、金型温度40℃にて成形される2,0
00ml容量の把手付きボトル(重量95g)を作製
し、特に厚みが薄くなりやすい把手部のピンチオフ溶着
部の肉厚状態を肉眼で観察し、非常に良好なものを◎、
良好な状態を○、少し悪い状態を△、及び非常に悪い場
合を×で表す。
【0083】(実施例1) (1)担持型幾何拘束型シングルサイト触媒の調製例1 6.2g(8.8mmol)のトリエチルアンモニウム
トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフ
ェニル)ボレートを4リットルのトルエンに90℃で3
0分かけて溶解させる。この溶液に1Mのトリヘキシル
アルミニウムのトルエン溶液を攪拌しながら徐々に加え
る。その後混合物を90℃で1分間攪拌する。一方、窒
素気流中で500℃で3時間熱処理した100gのシリ
カ粉末(商品名 P−10、富士シリシア(株)製)を
1.7リットルの90℃の乾燥トルエン中に攪拌させ、
スラリー溶液を作製する。このシリカスラリー溶液に先
に調製したトリエチルアンモニウムトリス(ペンタフル
オロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレートと
トリヘキシルアルミニウムの混合溶液を静かに加え、9
0℃で3時間攪拌する。そしてさらに、206mlの1
Mトリヘキシルアルミニウムトルエン溶液を加える、1
時間攪拌する。その後、トルエンを用いて、デカンテー
ション法により90℃で5回洗浄して過剰なトリヘキシ
ルアルミニウムを除去する。この後、0.218Mのチ
タニウム(N−1,1−ジメチルエチル)ジメチル[1
−(1,2,3,4,5,−eta)−2,3,4,5
−テトラメチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イ
ル)シラナミネート[(2−)N]−(η4 −1,3−
ペンタジエン)のISOPARTME(エクソンケミカル
社製)溶液(深スミレ色)20mlを加え、さらに3時
間攪拌する。上記の操作により、緑色の固体触媒系を得
る。
【0084】(2)ポリエチレン(A1)の製造例 (ポリエチレン(a1−1)の重合例)ヘキサン、エチ
レン、水素、及び上記の触媒調製例1の方法で得た担持
型触媒を連続的に攪拌装置が付いたベッセル型反応器
(200l容積)に供給し、ポリエチレン(a1−1)
を製造した。反応器の温度は70℃であり、重合スラリ
ーの平均滞留時間は1.8時間であり、反応器内の全圧
力は10kg/cm2 とした。スラリー状の重合生成物
は反応器から連続的に遠心分離器に導き、スラリーを濃
縮した後、さらに乾燥工程を経てポリエチレン(a1−
1)を得た。得られたポリエチレン(a1−1)は、低
分子量のエチレン単独重合体であり、MFRが180g
/10min、密度が0.9772g/cm3 、重量平
均分子量(Mw)が22,300、Mw/Mnが3.6
であった。
【0085】(ポリエチレン(a2−1)の重合例)ヘ
キサン、エチレン、1−ヘキセン、水素、及び上記の触
媒調製例1の方法で得た担持型触媒をポリエチレン(a
1−1)の製造で使用したものと同じベッセル型反応器
に供給し、ポリエチレン(a2−1)を製造した。反応
器の温度は70℃であり、重合スラリーの平均滞留時間
は2.1時間であり、反応器内の全圧力は10kg/c
2 とした。スラリー状の重合生成物は反応器から連続
的に遠心分離器に導き、スラリーを濃縮した後、さらに
乾燥工程を経てポリエチレン(a2−1)を得た。
【0086】得られたポリエチレン(a2−1)は、M
FRが0.05g/10min、密度が0.9312g
/cm3 、重量平均分子量(Mw)が295,000、
Mw/Mnが5.2、
【式2】における定数Aの値が−0.083であった。
ポリエチレン(a1−1)とポリエチレン(a2−1)
を45/55、50/50、及び55/45(w/w)
で計量し、それぞれに1,000ppmのイルガノック
R 1076(チバガイギー社製)、300ppmのス
テアリン酸カルシウム、及び1,000ppmのP−E
PQ(サンド社製)を配合し、ヘンシェルミキサーで2
分間予備混合し、2軸押出機(JSW TEX−44C
MT、日本製鋼(株)製)を用いて、スクリュー回転数
200rpm、バレル設定温度190℃の条件で溶融混
練を行い、ペレタイズを行ってポリエチレン(A1)〜
(A3)のペレットを得た。
【0087】上記の方法で得たポリエチレン(A1)〜
(A3)に低密度ポリエチレン(B1)(商品名 サン
テックLD M1804 旭化成工業(株)製、MF
R;0.40g/10min(2.16kg荷重、19
0℃条件)、密度;0.9185g/cm3 、[η]デ
カリン;1.17、膨張因子;3.5)を6wt%の配
合比で混合し、2軸押出機によりスクリュー回転数20
0rpm、バレル設定温度190℃の条件で行った。得
られたポリエチレン組成物の物性並びにボトルとした場
合の性能を表1の実施例1−1〜1−3に示す。得られ
た組成物は表1に示す通り、物性及び成形加工性ともに
非常に優れた性能を示し、また該組成物から得られるボ
トルは極めて秀でた性能を示す。本組成物は特にESC
R性能が抜群に優れており、表1中に示すがごとく、試
験温度を80℃に変更しても1,000時間を超えるE
SCR性能が得られている。
【0088】(比較例1)塩化マグネシウム固体表面上
に2wt%のチタンが担持されたチーグラー・ナッタ型
固体触媒を用いてスラリー重合法により、低分子量エチ
レン単独重合体(a1−2)(MFR;280g/10
min、密度;0.9796g/cm3 、重量平均分子
量(Mw)が64,000、Mw/Mnが16.7)
と、高分子量エチレン・1−ヘキセン共重合体(a2−
2)(MFR;0.04g/10min、密度;0.9
388g/cm3 、重量平均分子量(Mw)が312,
000、Mw/Mnが7.8、(式2)における定数A
の値が0.066)を得た。
【0089】これらの低分子量エチレン単独重合体(a
1−2)と高分子量エチレン・1−ヘキセン共重合体
(a2−2)を50/50(w/w)で計量し、実施例
1と同様に手法により溶融混練を行い、ペレタイズを行
ってポリエチレン(A4)のペレットを得た。ポリエチ
レン(A4)に実施例1で用いた低密度ポリエチレン
(B1)を6wt%の配合比で混合し、2軸押出機によ
り実施例1と同様にポリエチレン組成物を調製した。
【0090】得られたポリエチレン組成物の物性並びに
ボトルとした場合の物性を表1の比較例1−1に示す。
また、実施例1−1〜1−3で使用したポリエチレン
(A1)〜(A3)の各種物性の測定結果を表1の比較
例1−2〜1−4に示す。ポリエチレン(A1)〜(A
3)は極めて優れたESCR性能と耐衝撃性能を示すが
ブロー成形性に劣る。さらに、比較例1−1で使用した
ポリエチレン(A4)の各種物性の測定結果を表1の比
較例1−5に示す。
【0091】
【表1】
【0092】(実施例2) (1)担持型幾何拘束型シングルサイト触媒の調製例2 窒素気流中で500℃で3時間熱処理した200gのシ
リカ粉末(商品名 P−10、富士シリシア(株)製)
を5リットルのヘキサン中に攪拌させる。このシリカス
ラリー溶液に1Mのトリエチルアルミニウムのヘキサン
溶液400mlを加え、室温で30分間攪拌する。その
後、296mlのトルエンに溶解させた20.1g(1
7.6mmol)のビス(ハイドロジェーネーテッドタ
ロアルキル)メチルアンモニウムトリス(ペンタフルオ
ロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレートを加
える。混合物は室温で30分攪拌する。その後、0.2
18Mのチタニウム(N−1,1−ジメチルエチル)ジ
メチル[1−(1,2,3,4,5,−eta)−2,
3,4,5−テトラメチル−2,4−シクロペンタジエ
ン−1−イル)シラナミネート[(2−)N]−(η4
−1,3−ペンタジエン)のISOPARTME(エクソ
ンケミカル社製)溶液(深スミレ色)60mlを加え、
さらに3時間攪拌する。上記の操作により、緑色の固体
触媒系を得る。 (2)ポリエチレン(A5)の製造例 触媒の調製例2で記載した担持型幾何拘束型シングルサ
イト触媒を用いてスラリー二段重合法によりポリエチレ
ン(A5)を得た。
【0093】図1に示す前段の重合器1で、エチレン、
ヘキサン、水素、触媒成分を供給し、重合圧力4.2k
g/cm2 、重合温度70℃、平均滞留時間1.6時間
の条件で低分子量のエチレン単独重合体を得た。この重
合器1で得られたエチレン単独重合体のMFRは200
g/10minであり、Mw/Mn値は3.8であっ
た。前段重合器で得られたエチレン単独重合体はそのま
まフラッシュドラムに導かれ、1kg/cm2 の減圧下
で未反応のエチレン、水素が除去され、さらにポンプに
より、二段目の後段の重合器に移送され、後段重合器で
はエチレン、1−ブテン、ヘキサン、水素を供給して、
さらに重合を行う。後段重合器における重合圧力は4.
7kg/cm2 、重合温度は70℃、平均滞留時間は
2.1時間とした。後段重合器を経たスラリーを後処理
して得られたポリエチレン(A5)のMFRは0.25
g/10minであり、密度は0.9610g/10m
in、Mw/Mn値は22.5であった。
【0094】上記の方法で得たポリエチレン(A5)に
低密度ポリエチレン(B1)を5wt%の配合比で混合
し、さらに1,000ppmのイルガノックス1076
R 、300ppmのステアリン酸カルシウム、及び1,
000ppmのP−EPQを配合し、ヘンシェルミキサ
ーで2分間予備混合し、2軸押出機に投入し、溶融混練
し、ペレタイズを行ってポリエチレン組成物のペレット
を得た。使用した押出機は、2軸押出機とその運転条件
は実施例1と同様である。得られたポリエチレン組成物
の物性並びにボトルとした場合の物性を表2の実施2−
1に示す。得られた組成物は表2に示す通りであり、物
性及び成形加工性ともに非常に優れた性能を示し、該組
成物からなるボトルは極めて秀でた性能を示す。
【0095】(比較例2)塩化マグネシウム固体表面上
に2wt%のチタンが担持されたチーグラー・ナッタ型
固体触媒を用いてスラリー重合法により、実施例2と同
様に2段重合法によりポリエチレン(A6)を得た。前
段の重合器1では、エチレン、ヘキサン、水素、触媒成
分を供給し、重合圧力11.5kg/cm2 、重合温度
80℃、平均滞留時間2.1時間の条件で低分子量のエ
チレン単独重合体を得た。この重合器1で得られたエチ
レン単独重合体のMFRは160g/10minであ
り、Mw/Mn値は14.5であった。前段重合器で得
られたエチレン単独重合体はそのままフラッシュドラム
に導かれ、1kg/cm2 の減圧下で未反応のエチレ
ン、水素が除去され、さらにポンプにより、二段目の後
段の重合器に移送され、後段重合器ではエチレン、1−
ブテン、ヘキサン、水素を供給して、さらに重合を行
う。後段重合器における重合圧力は8.2kg/cm
2 、重合温度は70℃、平均滞留時間は2.1時間とし
た。後段重合器を経たスラリーを後処理して得られたポ
リエチレン(A4)のMFRは0.28g/10min
であり、密度は0.9613g/10min、Mw/M
n値は33.8であった。
【0096】上記の方法で得たポリエチレン(A6)に
実施例2と同様に低密度ポリエチレン(B1)を5wt
%配合し、溶融混練行ってポリエチレン組成物のペレッ
トを得た。得られたポリエチレン組成物の物性並びにボ
トルとした場合の物性を表2の比較例2−1に示す。ま
た、実施例2に対して、低密度ポリエチレン(B1)の
代わりに、チューブラー法によって得られた低密度ポリ
エチレン(B2)(商品名 サンテックLDM1703
旭化成工業(株)製、MFR;0.31g/10mi
n(2.16kg荷重、190℃条件)、密度;0.9
172g/cm3 、[η]デカリン;1.17、膨張因
子;3.2)を用いて溶融混練を行うことによりポリエ
チレン組成物を得た。得られたポリエチレン組成物の物
性及びボトルとした場合の物性を表2の比較例2−2に
示すが、該組成物は優れた機械的物性を示すものの、成
形加工性が不十分であり、2,000mlの把手付きボ
トルの把手部のピンチオフ溶着部の肉厚状態が著しく悪
かった。
【0097】また、比較例2−2と同様な手法により、
実施例1−3で使用したポリエチレン(A3)に対して
低密度ポリエチレン(B2)を5wt%配合した結果を
表2の比較例2−3に示すが、比較例2−2と同様に成
形加工性が不十分であり、2,000mlの把手付きボ
トルの把手部のピンチオフ溶着部の肉厚状態が著しく悪
かった。実施例2−1及び比較例2−1で使用したポリ
エチレン(A5)とポリエチレン(A6)の各種物性の
測定結果を表2の比較例2−4及び2−5に示す。
【0098】
【表2】
【0099】以上、実施例、比較例に示すように、本発
明のブロー成形体はブロー成形加工性を維持しつつ、従
来のポリエチレンからなるブロー成形体では得られない
極めて秀でた機械的特性を発揮する。本発明のブロー成
形体は特定の触媒及びプロセスによって得られたポリエ
チレンからなる組成物の特性を活かすことによってなさ
れたのもである。
【0100】
【発明の効果】本発明のブロー成形体は剛性、ESC
R、耐衝撃性が極めて高いレベルでバランスしている
上、ブロー成形加工性も極めて優れているため、ブロー
成形体として極めて優れている。本発明のブロー成形体
はそのESCR性能において従来のポリエチレンの成形
体では得られなかった抜群の特性を示す。
【0101】本発明のブロー成形体は、高剛性でESC
R特性に優れているため、ブロー成形体の肉薄軽量化
や、より過酷な環境下での使用が可能となり、その工業
的価値は大きい。本発明のブロー成形体は、例えば、食
品ボトル、食用油ボトル、飲料水ボトル、ミルクボト
ル、灯油缶、オイル缶、医薬品用ボトル、シャンプー用
ボトル、リンス用ボトル、液体洗剤用ボトル、化粧品用
ボトル、その他各種のトイレタリー用ボトル、等の各種
ブローボトル、玩具、レジャー、建材、容器等に使用さ
れる各種のブロー成形体、その他の各種の工業用、家庭
用のブロー成形体として好ましく使用することができ
る。
【0102】また、本発明のブロー成形体は構成材料で
あるポリエチレン組成物に含まれる低分子量成分(ワッ
クス成分)の含有量が従来のエチレン系樹脂に比べて少
ないので、ボトルとして使用する場合において溶出成分
(微小粒子の溶出)を低減することが可能であり、半導
体産業用や医療用途用のクリーンボトルとしても好適で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】多段式スラリー重合法の模式図である。
【符号の説明】
1 重合器 2 ライン 3 フラッシュドラム 4 コンプレッサー 5 ポンプ 6 二段目の重合器 7 ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08J 5/00 CES C08J 5/00 CES B29K 23:00 B29L 22:00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記のポリエチレン(A)と低密度ポリ
    エチレン(B)からなるポリエチレンであって、低密度
    ポリエチレン(B)の混合比率が1wt%以上12wt
    %以下であるポリエチレン組成物からなることを特徴と
    するブロー成形体。 [ポリエチレン(A)]下記のポリエチレン(a1)が
    30〜70重量部と、ポリエチレン(a2)が70〜3
    0重量部から構成されるポリエチレン。ポリエチレン(a1) (1)密度が0.950g/cm3 以上0.985g/
    cm3 以下であり、(2)GPC測定によって求められ
    る重量平均分子量(Mw)が5,000以上100,0
    00以下であり、(3)GPC測定によって求められる
    Mw/Mn値が以下の一般式(式1)の関係を満たすこ
    とを特徴とするエチレン単独重合体またはエチレンと炭
    素原子数が3〜20のα−オレフィンとの共重合体。 1.25×log(Mw)−2.5≦Mw/Mn≦3.0×log(Mw)− 8.0 (式1) (ただし、(式1)においてMwは重量平均分子量を表
    し、Mnは数平均分子量を表す。) (1)密度が0.910g/cm3 以上0.950g/
    cm3 以下であり、(2)GPC測定によって求められ
    る重量平均分子量(Mw)が110,000以上1,5
    00,000以下であり、(3)GPC測定によって求
    められるMw/Mn値が上記一般式(式1)を満たし、
    かつ、ポリエチレン(a2)のMw/Mn値がポリエチ
    レン(a1)のMw/Mn値以上であり、(4)昇温溶
    出分別とゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー
    とのクロス分別によって求められる分子量−溶出温度−
    溶出量の相関において、下記一般式(式2)で表現され
    る溶出温度(Ti/℃)と該溶出温度における溶出成分
    のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー測定か
    ら求められる極大分子量(Mmax( Ti))の最小二
    乗法近似直線関係式において、定数Aが以下の関係式
    (式3)を満たすことを特徴とするエチレンと炭素原子
    数が3〜20のα−オレフィンとの共重合体。 log(Mmax(Ti))=A×Ti+C (式2) (ただし、(式2)においてA及びCは定数) −0.5≦A≦0 (式3) [低密度ポリエチレン(B)] (1)密度が0.910g/cm3 以上0.930g/
    cm3 以下であり、(2)デカリン中135℃の固有粘
    度[η]が0.70dl/g以上、膨張因子が3.3以
    上である、高圧法で製造された低密度ポリエチレン。
  2. 【請求項2】 ポリエチレン組成物の密度が0.940
    g/cm3 以上0.970g/cm3 以下であり、メル
    トフローフローレート(MFR)値(荷重2.16k
    g、温度190℃条件)が0.01g/10min以上
    10g/10min以下であることを特徴とする請求項
    1記載のブロー成形体。
  3. 【請求項3】 ポリエチレン(A)に使用されるコモノ
    マーが、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1
    −オクテンの少なくとも1種であることを特徴とする請
    求項1又は2記載のブロー成形体。
  4. 【請求項4】 ポリエチレン(A)が担持型幾何拘束型
    シングルサイト触媒によるスラリー重合法により重合さ
    れたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載のブロー成形体。
  5. 【請求項5】 ポリエチレン(A)が複数の重合器を用
    いてスラリー重合法により、該複数の重合器の内の一つ
    以上の重合器においてポリエチレン(a1)を重合し、
    他の重合器でポリエチレン(a2)を重合して得られた
    ものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載のブロー成形体。
  6. 【請求項6】 ポリエチレン(A)が複数の重合器を直
    列につないで重合を行う多段式スラリー重合法を用い
    て、前段で前記ポリエチレン(a1)を重合し、後段で
    前記ポリエチレン(a2)を重合して得られたものであ
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のブ
    ロー成形体。
  7. 【請求項7】 ポリエチレン(A)が複数の重合器を直
    列につないで重合を行う多段式スラリー重合法を用い
    て、前段で前記ポリエチレン(a2)を重合し、後段で
    前記ポリエチレン(a1)を重合して得られたものでる
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のブロ
    ー成形体。
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