JPH11106432A - エチレン系重合体 - Google Patents

エチレン系重合体

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JPH11106432A
JPH11106432A JP28922597A JP28922597A JPH11106432A JP H11106432 A JPH11106432 A JP H11106432A JP 28922597 A JP28922597 A JP 28922597A JP 28922597 A JP28922597 A JP 28922597A JP H11106432 A JPH11106432 A JP H11106432A
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JP
Japan
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elution
ethylene
temperature
equation
molecular weight
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JP28922597A
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English (en)
Inventor
Akira Miyamoto
宮本  朗
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 機械的特性と加工性が従来のエチレン系重合
体に比べて更に高レベルでバランスされたエチレン系重
合体を提供する。 【解決手段】 (1)密度、(2)メルトフローレート
値(MFR)、(3)GPCによるMw/Mn比、
(4)メルトフローレート比(MIR)、(5)溶出量
Y、(6)溶出温度(Ti/℃)と該溶出温度における
溶出成分のGPC極大分子量、(7)メルトテンション
(MT/g)が所定条件を満たす、エチレンとC
3〜20α−オレフィンとの共重合体であるエチレン系
重合体、及び、担持型幾何拘束型シングルサイト触媒を
用いてベッセル型スラリー重合法により重合され、かつ
一つの反応器内部における重合スラリー平均滞留時間が
1時間以上8時間以下である重合方法により得られる前
記エチレン系重合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械的特性に優れ
たエチレン系共重合体に関する。更に詳しくは、機械的
特性に優れ、かつ成形加工性にも優れたエチレン系重合
体に関する。
【0002】
【従来の技術】エチレン系重合体は、剛性、耐衝撃性、
ESCR、伸び特性、耐久性等の機械的性質に優れ、ま
た、耐薬品性や電気的特性にも優れているため、射出成
形品、フィルム、パイプ、ブロー容器など多岐な分野で
使用されている。エチレン系重合体の機械的性質や成形
加工特性は分子構造や分子量や分子量分布などのデザイ
ンによってある程度制御が可能であるが、しかしなが
ら、機械的物性と成形加工性は相反する場合が多い。特
公平4−12283号公報等で公知となったいわゆるメ
タロセン系触媒により得られるエチレン・α−オレフィ
ン共重合体は分子量分布及び組成分布(コモノマー分
布)が極めてシャープな特徴を有する。かかるメタロセ
ン触媒系によるエチレン系重合体は、耐衝撃性やフィル
ムとした場合の引き裂き強度などは向上するが、反面、
成形加工性は一般に低下する。このため、メタロセン触
媒系による重合体においては成形加工性の低下を補うた
めに分子構造中に長鎖分岐構造を導入する方法が開示さ
れているが、長鎖分岐構造の導入は機械的性質を低下さ
せてしまう。
【0003】成形加工性を維持、向上する上では分子量
分布が広いエチレン系重合体が有利である。また、分子
量分布が広いエチレン系重合体は分子量分布が狭いそれ
に比べて、同一のMFRを有するエチレン系重合体同士
で比較した場合、高分子量成分を多く含む(すなわち重
量平均分子量が大きい)ので、ESCR等の長期耐久性
に関する性質は一般に優れている。従来のチーグラー・
ナッタ型触媒によるエチレン系重合体は比較的分子量分
布が広いので成形加工性の維持やESCR特性には比較
的好都合である。
【0004】しかしながら、チーグラー・ナッタ型触媒
によるエチレン系重合体は、一般に、低分子量側の成分
に多くのコモノマーが導入されやすい傾向があり、この
ような重合体では耐衝撃性等の機械的性質が十分に向上
せず、また低分子量ベタ成分を多く含む等の問題があ
る。エチレン系重合体の分子構造的観点からみれば高分
子量側の成分により多くのコモノマーを導入することが
耐衝撃性やESCR等の機械的性質を向上させる上で有
利であると考えられる。また、成形加工性を維持する上
では分子量分布は適度に広い方が望ましい。従って、こ
のような分子構造上の特徴を有するエチレン系重合体が
得られれば、機械的特性と成形加工性を高度にバランス
させた材料とすることができ、その工業的価値は極めて
大きい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、機械的特性
と加工性が従来のエチレン系重合体に比べて更に高レベ
ルでバランスされたエチレン系重合体を提供することを
目的とする。このようなエチレン系重合体は単独、また
はブレンド材料として、押し出し成形用材料、ブロー成
形用材料、フィルム成形用材料、射出成形用材料等の幅
広い用途で好ましく利用できる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ある特定の触
媒系及び重合条件により、分子量分布が適度に広く、組
成分布が狭く、さらに高分子量側の成分により多くのコ
モノマーが導入された特異的な分子構造を有するエチレ
ン系重合体が得られることを見い出したことによりなさ
れたものであり、本発明により前述の課題を達成するこ
とが可能となった。
【0007】すなわち本発明は、エチレンと炭素原子数
が3〜20のα−オレフィンとの共重合体であって、
(1)密度が0.910g/cm3 以上0.975g/
cm3 以下であり、(2)メルトフローレート値(MF
R、荷重2.16kg、温度190℃条件)が0.00
01g/10min以上1,000g/10min以下
であり、(3)GPC測定によって求められるMw/M
n値が次の一般式(式1)の関係を満たし、 1.25×log(Mw)−2.5≦Mw/Mn≦3.0×log(Mw)−8 .0 (式1) (4)メルトフローレート比(MIR)が16以上35
以下であり、(5)昇温溶出分別とゲル・パーミエーシ
ョン・クロマトグラフィーとのクロス分別によって求め
られる分子量−溶出温度−溶出量の相関において、溶出
分別成分量が最大(極大)の溶出温度(Tmax/℃)
から10℃低い溶出温度〔(Tmax−10)℃〕未満
までの全積算溶出量に対する溶出量Y(単位;wt%)
とメルトフローレート値(MFR、荷重2.16kg、
温度190℃条件)が次の一般式(式2)の関係を満た
し、 Y<7×log(MFR)+15 (式2) (6)昇温溶出分別とゲル・パーミエーション・クロマ
トグラフィーとのクロス分別によって求められる分子量
−溶出温度−溶出量の相関において、一般式(式3)で
表現される溶出温度(Ti/℃)と該溶出温度における
溶出成分のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ
ー測定から求められる極大分子量(Mmax( Ti))
の最小二乗法近似直線関係式、 log(Mmax(Ti))=A×Ti+C (式3) (ただし、(式3)においてA及びCは定数)におい
て、定数Aが次の関係式(式4)を満たし、 −0.5≦A<0 (式4) (7)メルトテンション(MT/g)とメルトフローレ
ート(MFR)とが次の関係式(式5)を満たす log(MT)>−0.65×log(MFR)+0.301 (式5) ことを特徴とするエチレン系重合体であり、本発明のエ
チレン系重合体は担持型幾何拘束型シングルサイト触媒
を用いたベッセル型スラリー重合法により得ることがで
きる。
【0008】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
のエチレン系重合体は、エチレンと炭素原子数が3〜2
0のα−オレフィンとのランダム共重合体である。ここ
で、炭素数が3〜20のα−オレフィンとしては、プロ
ピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4
−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、
1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、
1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられ、これ
らの内の1種あるいは2種以上の組み合わせとして使用
される。これらのうち、好ましいのは1−ブテン、1−
ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンであり、特に高
分子量側の成分により多くのコモノマーが導入された特
異的な分子構造を有するエチレン系重合体を得るために
は、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが更に
好ましい。
【0009】本発明のエチレン系重合体におけるα−オ
レフィン含量は0.05〜2.0mol%であり、好ま
しくは0.1〜1.5mol%の範囲である。ここで、
α−オレフィン含量とはエチレン以外のα−オレフィン
の総含量のことである。α−オレフィンが2.0mol
%を越える場合は得られる組成物はゲルの発生により機
械的物性が低下する。αオレフィン含量(単位:mol
%)は、日本電子データム(株)社製、商品名α−40
0型を用いて通常10mmφの試料管中で約30mgの
共重合体を0.5mlのオルトジクロロベンゼン/d6
−ベンゼン=1/4〜1/5の混合溶媒に均一に溶解さ
せた試料の13C−NMRスペクトルを測定温度135
℃で測定される。
【0010】本発明のエチレン系重合体の密度は、0.
910g/cm3 以上0.975g/cm3 以下であ
る。密度が0.910g/cm3 未満の場合は、スラリ
ー重合法によりエチレン系重合体を得るのが困難であ
り、一方、密度が0.975g/cm3 以上の場合は実
質的にエチレン単独重合体となりESCRが不十分とな
る。本発明ではエチレン系重合体の密度は0.915g
/cm3 以上0.970g/cm3 以下が好ましく、さ
らに好ましくは0.920g/cm3 以上0.965g
/cm3 以下、特に好ましくは0.925g/cm3
上0.960g/cm3 以下である。尚、本明細書中で
示す密度はすべてエチレン系重合体(または組成物)を
窒素下で120℃で1時間処理し、1時間かけて室温
(約23℃)まで徐冷した後に、密度勾配管により測定
される。
【0011】本発明のエチレン系重合体のMFR値
(2.16kg荷重、190℃)は、0.0001g/
min以上1,000g/10min未満である。MF
Rが1,000g/10minを越える場合は、単独で
は押し出し成形用材料、ブロー成形用材料、フィルム成
形用材料、射出成形用材料等として用いることができ
ず、またブレンド用材料として用いる場合においても分
子量が小さすぎて成形加工時に発煙が生じたり、ブリー
ド成分となったりして好ましくない。一方、0.000
1未満の場合は流動性が悪く成形加工が困難である。本
発明では、エチレン系重合体のMFRは、好ましくは
0.0005g/10min以上800g/min以下
であり、更に好ましくは0.001g/10min以上
600g/min以下であり、特に好ましくは0.00
5g/10min以上400g/min以下である。
尚、MFRは1,000ppmの酸化防止剤を配合した
エチレン系重合体(または組成物)を使用して、AST
M D1238に準じて測定され、以下本明細書で示す
MFR値はすべて同方法により測定された値である。
【0012】さらに、本発明のエチレン系重合体はゲル
・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測
定によって求められるMw/Mn値が次の一般式(式
1)の関係を満足する。 1.25×log(Mw)−2.5≦Mw/Mn≦3.0×log(Mw)−8 .0 (式1) Mw/Mn値が(式1)の範囲より小さいと、成形加工
性とESCR性能が低下するので好ましくなく、一方、
Mw/Mn値が(式1)の範囲を越えて大きくなる場合
は耐衝撃性が低下する。エチレン系重合体のMw/Mn
値の好ましい範囲は3以上8以下であり、さらに好まし
くは3.2以上7以下、特に好ましくは3.5以上6.
5以下である。すなわち、本発明のエチレン系重合体で
は適度に広い分子量分布を有することが重要である。
【0013】このような分子量分布特性を有する本発明
のエチレン系重合体は、後述する担持型の幾何拘束型シ
ングルサイト触媒を用いた(ベッセル型)スラリー重合
法により製造することができる。該方法で得られたエチ
レン系重合体は、通常、Mw/Mn値が上記一般式(式
1)の範囲にあり、興味有ることに、Mw/Mn値に分
子量依存性があり、分子量の増大に伴ってMw/Mn値
が増大する特徴を有する。更に、該触媒系を用いてスラ
リー重合法で得られるエチレン系重合体のMw/Mn値
は反応器内部における重合スラリーの平均滞留時間と重
合圧力によりに変化し、平均滞留時間の増大と共にMw
/Mn値は若干増大し、また、重合圧力の低下と共にM
w/Mn値は増大する。ここで、重合スラリーの反応器
内部における平均滞留時間とは反応器内部の総スラリー
液量を単位時間に反応器内を通過するスラリー液量で除
した値で定義される。また、重合圧力とは反応器内部の
総圧力(単位:kg/cm2 、ゲージ圧)である。
【0014】担持型の幾何拘束型シングルサイト触媒を
用いてスラリー重合法により製造する場合において、好
ましい適度に広い分子量分布を有するエチレン系重合体
を得るためには、反応器内部における重合スラリーの平
均滞留時間が1時間以上8時間以下、好ましくは1.2
時間以上7時間以下、更に好ましくは1.5時間以上6
時間以下の範囲内で製造するのが良い。平均滞留時間が
1時間未満では、得られる重合体の分子量分布が狭く、
ESCR性能や成形加工性が低下し、一方、平均滞留時
間が8時間を超える場合はグレード切り替時のロスがあ
り、生産性の面で不都合なことがある。
【0015】さらに、担持型の幾何拘束型シングルサイ
ト触媒を用いてスラリー重合法により製造する場合にお
いて、好ましい分子量分布を有するエチレン系重合体を
得るためには、反応器内部における重合圧力が1kg/
cm2 以上30kg/cm2以下、好ましくは2kg/
cm2 以上20kg/cm2 以下、更に好ましくは3k
g/cm2 以上10kg/cm2 以下の条件で製造する
のが良く、生産性を損なわない範囲で低圧側で重合する
ことが好ましい。重合圧力が1kg/cm2 未満では重
合活性が充分でないので生産性に問題がある。一方、重
合圧力が30kg/cm2 を超える場合は重合体の分子
量分布が狭く、ESCR性能や成形加工性が低下する。
【0016】一方、担持型の幾何拘束型シングルサイト
触媒に対して、一般によく使用されているビス(シクロ
ペンタジエニル)ジルコニウム型のメタロセン化合物と
有機アルミニウムオキシ化合物(アルモキサン)との組
み合わせからなるシングルサイト触媒を用いてスラリー
重合法により得られたエチレン系重合体では、Mw/M
n値は通常3前後、もしくはそれ以下であり、また、M
w/Mn値は分子量に依存せずに一定値を示すことが多
い。かかるMw/Mnが小さなエチレン系重合体ではM
w/Mnが大きなそれに比べて、同一MFR条件で比較
した場合に、成形加工性が悪いばかりでなく、重量平均
分子量が相対的に低くなるためにESCR性能が不十分
となる。
【0017】一方、担持型チーグラー・ナッタ系触媒を
用いてスラリー重合法により得られるエチレン系重合体
では分子量分布が広いので、成形加工性が良く、重量平
均分子量が大きいのでESCR特性の向上に有利である
が、一般に共重合されたコモノマーの組成分布が不均一
で特に低分子量成分にコモノマーが選択的に導入される
傾向が強く、この理由によりESCRが不十分となり、
また、耐衝撃性も十分でない場合が多い。
【0018】Mw/Mn値はGPCを用いて測定する
が、本発明におけるGPC測定は以下の条件で行われ
る。 [装置] Waters社製 ALC/GPC 150−C型 [測定条件] カラム;昭和電工(株)製 AT−807S(1本)と
東ソー(株)製 GMH−HT6(2本)を直列に接続 移動相;トリクロロベンゼン(TCB) カラム温度;140℃ 流量;1.0ml/分 試料濃度;20〜30mg(PE)/20ml(TC
B) 溶解温度;140℃ 流入量;500〜1,000ml 検出器;示差屈折計 [測定試料]1,000ppmの酸化防止剤(BHT
等)を含む溶融混練物もしくはMFR測定で得られたス
トランド
【0019】さらに、本発明のエチレン系重合体はメル
トフローレート比(MIR)が16以上35以下であ
る。ここで、メルトフローレート比(MIR)とは、1
90℃における21.6kg荷重でのMFRをI20、同
温度で2.16kg荷重のMFRをI2 としたときに、
MIR=I20/I2 で定義され、溶融流動性の尺度であ
る。即ち、MIRが大きいほど成形加工性に優れること
を意味する。また、一般に直鎖状のエチレン系重合体で
はMIR値が大きいほど、分子量分布(Mw/Mn)は
大きくなる。本発明のエチレン系重合体では、MIR値
が16以下では、成形加工性が悪くなるので好ましくな
く、一方、35を超えると耐衝撃性が低下する。エチレ
ン系重合体のMIR値の好ましい範囲は18以上33以
下であり、さらに好ましくは20以上30以下、特に好
ましくは22以上28以下である。
【0020】また、本発明のエチレン系重合体は昇温溶
出分別とゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー
とのクロス分別によって求められる分子量−溶出温度−
溶出量の相関において、溶出分別成分量が最大(極大)
の溶出温度(Tmax/℃)から10℃低い溶出温度
〔(Tmax−10)℃〕未満までの全積算溶出量に対
する溶出量Y(単位;wt%)とメルトフローレート値
(MFR、荷重2.16kg、温度190℃条件)が次
の一般式(式2)の関係を満たす。 Y<7×log(MFR)+15 (式2)
【0021】全積算溶出量に対する(Tmax−10)
℃未満までに溶出する溶出成分量Yが一般式(式2)の
範囲を越える場合は耐衝撃性が十分でなく、また成形体
からベタ成分が発生したり、成形加工時に油煙が発生す
るなどして好ましくない。エチレン系重合体の(Tma
x−10)℃未満までに溶出する溶出成分Yは、一般式
(式6)の範囲にあるのが好ましく、さらに好ましくは
一般式(式7)の範囲である。 Y<5.6×log(MFR)+13 (式6) Y<5.5×log(MFR)+12 (式7)
【0022】また、本発明のエチレン系重合体は昇温溶
出分別とゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー
とのクロス分別によって求められる分子量−溶出温度−
溶出量の相関において、一般式(式3)で表現される溶
出温度(Ti/℃)と該溶出温度における溶出成分のゲ
ル・パーミエーション・クロマトグラフィー測定から求
められる極大分子量(Mmax( Ti))の最小二乗法
近似直線関係式において、 log(Mmax(Ti))=A×Ti+C (式3) (ただし、(式3)においてA及びCは定数) 定数Aが次の関係式(式4)を満たす −0.5≦A<0 (式4) ことを特徴とするエチレン系重合体である。
【0023】(式3)において定数Aが負(マイナス)
の場合は、エチレン系重合体の高分子量成分にコモノマ
ーがより多く導入されていることを表す。このようなコ
モノマー分布を有するエチレン系重合体ではタイ分子密
度が向上するため、耐衝撃性やESCR特性が向上す
る。これに対して、従来のチーグラーナッタ型触媒を用
いてスラリー重合法により得られるエチレン系重合体の
場合は、低分子量成分側にコモノマーが多く導入されて
いるために、通常、(式3)の定数Aは正(プラス)と
なる。
【0024】定数Aが−0.5より小さい(負に大き
な)重合体を既存の単一の触媒系で得ることは実質的に
困難である。本発明のエチレン系重合体の好ましい定数
Aの範囲は、 −0.4≦A≦−0.001 (式8) であり、更に好ましくは、 −0.3≦A≦−0.002 (式9) であり、より好ましくは、 −0.35≦A≦−0.003 (式10) であり、特に好ましくは、 −0.2≦A≦−0.005 (式11) である。
【0025】尚、上記の定数Aは、溶出温度(Ti/
℃)に於ける対数極大分子量(log(Mmax(T
i)))とTiのプロットから求められるが、溶出温度
Tiにおける溶出成分量が1wt%以下の場合のMma
x値と、最低溶出温度と最高溶出温度における溶出成分
におけるMmax値は除外して求められる。
【0026】担持型幾何拘束型シングルサイト触媒を用
いてスラリー重合により得られるエチレン系重合体は、
上記(式4)の関係を満足する場合が多いが、同触媒と
重合方法を用いれば必ず(式4)の関係を満足するエチ
レン系重合体が得られるとは限らず、以下に列挙する
(1)〜(5)に示す重合条件で製造される場合におい
て、(式4)の係数Aがより負に大きな、すなわち機械
的性能が改良されたエチレン系重合体を得ることができ
る。
【0027】(1)重量平均分子量が150,000以
上のエチレン系重合体を得る場合。 (2)コモノマーであるα−オレフィンが、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オ
クテン等のいわゆるハイヤーオレフィンである場合。 (3)コモノマーであるα−オレフィンの導入量がより
少ない場合(但し、コモノマー濃度は2モル%以下でゼ
ロではない)。 (4)重合温度がより低い場合(40〜90℃) (5)重合圧力がより低い場合(1〜20kg/c
2
【0028】尚、本発明において実施される昇温溶出分
別とゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーとの
クロス分別測定は以下の条件で行われる。 [装置] ダイヤインストルメンツ(株)社製 CFC T−15
0A型 [測定条件] GPCカラム;昭和電工(株)製 AD806MSを3
本直列に接続して使用 移動相;ジクロロベンゼン(DCB) カラム温度;140℃ 流量;1.0ml/分 試料濃度;20〜30mg(PE)/20ml(DC
B) 溶解温度;140℃ TREFカラム充填剤;ガラスビーズ 試料溶液注入量;5ml TREFカラム冷却速度;1℃/min(140℃より
0℃に冷却) TREFカラム昇温速度;1℃/min(0℃より14
0℃に昇温) 検出器;Nicolt(株)社製 マグナIRスペクト
ロメーター 550型 [測定試料]1,000ppmの酸化防止剤(BHT
等)を含む溶融混練物もしくはMFR測定で得られたス
トランド
【0029】さらに、本発明のエチレン系重合体はGP
C/FTIR測定で観測される末端メチル基濃度が分子
量の増大に対して一定もしくは増大の関係を満足するこ
とが望ましい。これはエチレン系重合体において機械的
性質の発現に重要な高分子量成分に選択的にコモノマー
成分が導入されていることを意味する。ここで、末端メ
チル基濃度とはエチレン系重合体中の1,000個あた
りの炭素原子中に含まれるメチル炭素原子の個数(個/
1,000(C)) で表され、メチレン基に帰属される
吸光度I(−CH2 −)(吸収波数;2,925c
-1)とメチル基に帰属される吸光度I(−CH3
(吸収波数;2,960cm-1)の比、I(−CH3
/I(−CH2 −)より求めることができる。すなわ
ち、GPC曲線上におけるある分子量M(i)における
末端メチル基濃度をC(M(i))とした場合に、GP
C曲線における極大分子量M(max)に対して(式1
2)で表される分子量範囲 |log(M(max))−log(M(i))|≦0.5 (式12) での、末端メチル基濃度C(M(i))と分子量M
(i)の最小二乗法近似直線関係式(式13) C(M(i))=A×log(M(i))+B (式13) における定数Aが、(式14)の関係を満たすことが望
ましい。 0≦A≦0.05 (式14)
【0030】(式13)における定数Aが0より小さい
(すなわち負である)場合はエチレン系重合体の低分子
量成分に多くのコモノマーが含まれることを表す。ま
た、Aが0.05を超えるエチレン・α−オレフィン共
重合体を単独の触媒系で得ることは実質上困難である。
従来のチーグラー・ナッタ型触媒で重合されるエチレン
系重合体は(式14)に示される範囲外(すなわちA<
0)にあるものが多い。尚、GPC/FTIR測定は以
下の条件で通常行われる。
【0031】[装置] Waters社製 ALC/GPC 150C型 [測定条件] カラム;昭和電工(株)製 AT−807S(1本)と
東ソー(株)製 GMH−HT6(2本)を直列に接続 移動相;トリクロロベンゼン(TCB) カラム温度;140℃ 流量;1.0ml/分 試料濃度;20〜30mg(PE)/20ml(TC
B) 溶解温度;140℃ 流入量;500〜1,000ml 検出器;パーキンエルマー(株)社製 FT−IR 1
760X [測定試料]1,000ppmの酸化防止剤(BHT
等)を含む溶融混練物もしくはMFR測定で得られたス
トランド
【0032】そしてさらに、本発明のエチレン系重合体
はメルトテンション(MT/g)とメルトフローレート
(MFR)とが次の上記関係式(式5)を満たす。 log(MT)>−0.65×log(MFR)+0.301 (式5) このような本発明のエチレン系重合体は溶融張力に優
れ、特にフィルム成形やブロー成形の際の加工性が良好
である。すなわち、本発明のエチレン系重合体はその構
造中に長鎖分岐構造が含まれていないにもかかわらず、
フィルム成形やブロー成形や押し出し成形に対して好ま
しい溶融張力特性を有しているため、成形加工性を維持
して成形体の機械的物性を向上させることが可能であ
る。なお、溶融張力(MT/g)は溶融させたポリマー
を一定速度で延伸したときの応力を測定することによっ
て求めることができる。測定に際してはインストロン社
製レオメーターを用いて、設定温度190℃押し出し速
度15mm/分、巻き取り速度10〜20m/分、ノズ
ル径2.09mmφ、ノズル長さ8mmの条件で行い、
溶融張力測定用の試料はあらかじめ1,000ppmの
酸化防止剤(BHT等)を含む溶融混練物を用いる。
【0033】次に本発明のエチレン系重合体を得るため
の触媒系並びに製造方法について説明する。本発明のエ
チレン系重合体は、少なくとも(ア)担体物質、(イ)
有機アルミニウム化合物、(ウ)活性水素を有するボレ
ート化合物、及び(エ)シクロペンタジエニルまたは置
換シクロペンタジエニル基とη結合したチタン化合物、
から調製された担持型幾何拘束型シングルサイト触媒を
使用してベッセル型スラリー重合法により製造すること
ができる。
【0034】担体物質(ア)としては、有機担体、無機
担体のいずれであってもよい。有機担体としては、
(1)炭素数2〜10のα−オレフィン重合体、例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、
エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン−1
共重合体、エチレン・ヘキセン−1共重合体、プロピレ
ン・ブテン−1共重合体、プロピレン・ジビニルベンゼ
ン共重合体、(2)芳香族不飽和炭化水素重合体、例え
ばポリスチレン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合
体、あるいは(3)極性基含有重合体、例えばポリアク
リル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアク
リルニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカー
ボネート等、を列挙することができる。
【0035】無機担体としては、(4)多孔質酸化物、
例えば、SiO2 、Al2 3 、MgO、TiO2 、B
2 3 、CaO、ZnO、BaO、ThO2 、SiO2
−MgO、SiO2 −Al2 3 、SiO2 −MgO、
SiO2 −V2 5 等、(5)無機ハロゲン化合物、例
えば、MgCl2 、AlCl3 、MnCl2 等、(6)
無機の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、例えば、Na2
3 、K2 CO3 、CaCO3 、MgCO3 、Al
2 (SO4 3 、BaSO4 、KNO3 、Mg(N
32 等、(6)水酸化物、例えば、Mg(O
H)2 、Al(OH)3 、Ca(OH)2 等、を例示す
ることができる。上記に列挙した単体物質の内、最も好
ましい担体物質はシリカ(SiO2 )である。担体物質
の粒子径は便宜選ぶことができるが、一般的には1〜
3,000μm、好ましくは5〜2,000μm、さら
に好ましくは10〜1,000μmである。
【0036】上記担体物質は使用前に有機アルミニウム
化合物(イ)で処理される。好ましい有機アルミニウム
化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチル
アルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプ
ロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ト
リヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、
トリデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノク
ロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、エチ
ルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロ
リド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチ
ルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウ
ムハイドライド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジ
メチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウム
フェノキシド、等のアルミニウムアルコキシド、メチル
アルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルアルモ
キサン、メチルイソブチルアルモキサンなどの有機アル
ミニウムオキシ化合物(アルモキサン)などが挙げられ
る。これらのうちでトリアルキルアルミニウム、アルミ
ニウムアルコキシドなどが好ましく使用される。最も好
ましくはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニ
ウム、トリイソブチルアルミニウムである。
【0037】さらに本発明のエチレン系重合体の製造に
おいて使用される担持触媒においては、活性水素を有す
るボレート化合物(ウ)が使用される。ここで、活性水
素を有するボレート化合物(ウ)は、主触媒であるシク
ロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニル基と
η結合したチタン化合物(エ)と反応して、(エ)をカ
チオンに変換する活性化剤であり、かつ、このボレート
化合物中の活性水素を有するグループ(T−H)は、担
体物質(ア)にこれら活性水素を有するボレート化合物
(ウ)を担持する際に、担体と化学結合または物理結合
を形成することができる。
【0038】活性水素を有するボレート化合物(ウ)と
主触媒であるシクロペンタジエニルまたは置換シクロペ
ンタジエニル基とη結合したチタン化合物(エ)によ
り、以下の一般式(式15】で表されるコンプレックス
を形成させる。 [BQn(Gq(T−H)r)z]A+ (式15) (式15)中、Bはホウ素を表し、Gは多結合性ハイド
ロカーボンラジカルを表す。好ましい多結合性ハイドロ
カーボン(G)としては、炭素数1〜20のアルキレ
ン、アリレン、エチレン、アルカリレンラジカルを挙げ
ることができ、Gの好ましい例としては、フェニレン、
ビスフェニレン、ナフタレン、メチレン、エチレン、
1、3−プロピレン、1,4−ブタジエン、pフェニレ
ンメチレンを挙げることができる。多結合性ラジカルG
はr+1の結合、すなわち一つの結合はボレートアニオ
ンと結合し、Gのその他の結合は(T−H)基と結合す
る。TはO、S、NR、またはPRを表し、Rはハイド
ロカルベニルラジカル、トリハイドロイカルベニルシリ
ルラジカル、トリハイドロカルベニルゲルマニウムラジ
カル、またはハイドライドを表す。qは1以上で好まし
くは1である。上記T−Hグループとしては、−OH、
−SH、−NRH、または−PRHであり、ここでRは
炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10のハイドロ
カルベニルラジカルまたは水素である。好ましいRグル
ープとしては、アルキル、シクロアルキル、アリル、ア
リルアルキルまたは1〜18の炭素数を有するアルキル
アリルを挙げることができる。−OH、−SH、−NR
Hまたは−PRHは、例えば、−C(O)、−OH、−
C(S)、−SH、−C(O)−NRH、及びC(O)
−PRHでもかまわない。最も好ましい活性水素を有す
る基は−OH基である。Qはハイドライド、ジハイドロ
カルビルアミド、このましくはジアルキルアミド、ハラ
イド、ハイドロカルビルオキシド、アルコキシド、アリ
ルオキシド、ハイドロカルビル、置換ハイドロカルビル
ラジカルなどである。ここで、n+zは4である。
【0039】上記一般式(式15)の[BQn(Gq
(T−H)r)z]としては、例えば、トリフェニル
(ヒドロキシフェニル)ボレート、ジフェニル−ジ(ヒ
ドロキシフェニル)ボレート、トリフェニル(2,4−
ジヒドロキシフェニル)ボレートトリ(p−トリル)
(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス−(ペンタフ
ルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、ト
リス−(2,4−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェ
ニル)ボレート、トリス−(3,5−ジメチルフェニ
ル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス−(3,
5−ジ−トリフルオロメチルフェニル)(ヒドロキシフ
ェニル)ボレート、トリス−(ペンタフルオロフェニ
ル)(2ーヒドロキシエチル)ボレート、トリス−(ペ
ンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシブチル)ボレ
ート、トリス−(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒド
ロキシ−シクロヘキシル)ボレート、トリス−(ペンタ
フルオロフェニル)(4−(4’−ヒドロキシフェニ
ル)フェニル)ボレート、トリス−(ペンタフルオロフ
ェニル)(6−ヒドロキシ−2ナフチル)ボレートが等
が挙げられ、最も好ましくはトリス(ペンタフルオロフ
ェニル)(4−ヒドキシフェニル)ボレートである。さ
らに上記ボレート化合物の−OH基を−NHR(ここで
Rはメチル、エチル、tーブチル)で置換したものも好
ましく使用できる。
【0040】ボレート化合物の対カチオンとしては、カ
ルボニウムカチオン、トロピルリウムカチオン、アンモ
ニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニムカ
チオン、ホスホニウムカチオンがあげられる。またそれ
自身が還元されやすい金属の陽イオンや有機金属の陽イ
オンも挙げられる。これらカチオンの具体例としては、
トリフェニルカルボニウムイオン、ジフェニルカルボニ
ウムイオン、シクロヘプタトリニウム、インデニウム、
トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、
トリブチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジプ
ロピルアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、
トリオクチルアンモニウム、N,N−ジメチルアンモニ
ウム、ジエチルアンモニウム、2,4,6−ペンタメチ
ルアンモニウム、N,N−ジメチルベンジルアンモニウ
ム、ジ−(i−プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキ
シルアンモニウム、トリフェニルホスホニウム、トリホ
スホニウム、トリジメチルフェニルホスホニウム、トリ
(メチルフェニル)ホスホニウム、トリフェニルホスホ
ニウムイオン、トリフェニルオキソニウムイオン、トリ
エチルオキソニウムイオン、ピリジニウム、銀イオン、
金イオン、白金イオン、銅イオン、パラジウムイオン、
水銀イオン、フェロセニウムイオン等が挙げられる。な
かでも特にアンモニウムイオンが好ましい。
【0041】さらに本発明のエチレン系重合体の製造に
おいて使用される担持触媒においては下記一般式(式1
6)で表されるシクロペンタジエニルまたは置換シクロ
ペンタジエニル基とη結合したチタン化合物(エ)が使
用される。
【式16】 (式16)中、Tiは+2、+3、+4の酸化状態であ
るチタン原子、Cpはチタンにη結合するシクロペンタ
ジエニルまたは置換シクロペンタジエニル基であり、X
1はアニオン性リガンドであり、X2は中性共役ジエン
化合物である。n+mは1または2であり、Yは、−O
−、−S−、−NR−、または−PR−であり、Zは、
SiR2 、CR2 、SiR2 −SiR2 、CR2
2 、CR=CR、CR2 SiR2 、GeR2 、BR2
であり、Rは水素、ハイドロカルビル、シリル、ゲルミ
ウム、シアノ、ハロまたはこれらの組み合わせもの及び
20個までの非水素原子をもつそれらの組み合わせから
選ばれる。置換シクロペンタジエニル基としては、1種
またはそれ以上の炭素数1〜20のハイドロカルビル、
炭素数1〜20のハロハイドロカルビル、ハロゲンまた
は炭素数1〜20のハイドロカルビル置換第14族メタ
ロイド基で置換されたシクロペンタジエニル、インデニ
ル、テトラヒドロインデニル、フルオレニルもしくはオ
クタフルオレニルがあげられ、好ましくは炭素数1〜6
のアルキル基で置換されたシクロペンタジエニル基であ
る。
【0042】X1、X2としては、例えば上記一般式
(式16)において、nが2、mが0で、チタンの酸化
数が+4であれば、X1はメチル、ベンジルから選ば
れ、nが1、mが0でチタンの酸化数は+3であればX
1は、2−(N,N−ジメチル)アミノベンジル、さら
にチタンの酸化数が+4であれば、X1は2−ブテン−
1,4−ジイル、さらにnが0で、mが1でチタンの酸
化数が+2であればX2は1,4−ジフェニル−1,3
−ブタジエン、または1,3−ペンタジエンが選ばれ
る。
【0043】本発明のエチレン系重合体を得るために使
用される担持型幾何拘束型シングルサイト触媒は成分
(ア)に成分(イ)、成分(ウ)、及び成分(エ)を担
持させることにより得られるが、成分(イ)から成分
(エ)を担持させる方法は任意であるが、一般的には成
分(イ)、成分(ウ)、及び成分(エ)をそれぞれが溶
解可能な不活性溶媒中に溶解させ、成分(ア)と混合し
た後、溶媒を留去する方法、成分(イ)、成分(ウ)及
び成分(エ)を不活性溶媒に溶解後、固体が析出しない
範囲でないで、これを濃縮して、次の濃縮液の全量を粒
子内に保持できる量の成分(ア)を加える方法、成分
(ア)に成分(イ)および成分(ウ)をまず担持させ、
ついで成分(エ)を担持させる方法、成分(ア)に成分
(イ)及び成分(エ)および成分(ウ)を逐次に担持さ
せる方法、または成分(ア)、成分(イ)、成分(ウ)
および成分(エ)を共粉砕により、担持させる方法など
が例示される。
【0044】担持型幾何拘束型シングルサイト触媒の調
製で使用される成分(ウ)および成分(エ)は一般的に
は固体であり、また成分(イ)は自然発火性を有するた
め、これらの成分は、担持の際、不活性溶媒に希釈して
使用する場合がある。この目的に使用する不活性溶媒と
しては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の
脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メ
チルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;及びエチルクロ
ライド、クロルベンゼン、ジクロルメタン等のハロゲン
化炭化水素、或いはこれらの混合物等を挙げることがで
きる。かかる不活性炭化水素溶媒は、乾燥剤、吸着剤な
どを用いて、水、酸素、硫黄分等の不純物を除去して用
いることが望ましい。
【0045】上記触媒の調製においては、成分(ア)1
グラムに対し、成分(イ)はAl原子換算で1×10ー5
〜1×10ー1モル、好ましくは1×10ー4モル〜5×1
ー2モル、成分(ウ)は1×10ー7モル〜1×10ー3
ル、好ましくは5×10ー7モル〜5×10ー4モル、成分
(エ)は1×10ー7モル〜1×10ー3モル、好ましくは
5×10ー7モル〜5×10-4モルの範囲で使用される。
各成分の使用量、及び担持方法は活性、経済性、パウダ
ー特性、および反応器内のスケール等により決定され
る。得られた担持触媒は、担体に担持されていない有機
アルミニウム化合物、ボレート化合物、チタン化合物を
除去することを目的に、不活性炭化水素溶媒を用いでデ
カンテーション或いは濾過等の方法により洗浄すること
もできる。
【0046】上記の触媒調製で行われる一連の溶解、接
触、洗浄等の操作は、その単位操作毎に選択される−3
0℃以上150℃以下の範囲の温度で行うことが推奨さ
れる。そのような温度のより好ましい範囲は、0℃以上
190℃以下である。また、該触媒の調製においては、
固体触媒を得る一連の操作は、乾燥した不活性雰囲気下
で行うことが好ましい。上記の担持型幾何拘束型シング
ルサイト触媒は、不活性炭化水素溶媒中に分散したスラ
リー状態で保存することも、或いは乾燥して固体状態で
保存することもできる。
【0047】本発明のエチレン系重合体は、ベッセル型
スラリー重合法により製造することができるが、その製
造条件としては、1kg/cm2 以上30kg/cm2
以下、好ましくは2kg/cm2 以上20kg/cm2
以下、更に好ましくは3kg/cm2 以上10kg/c
2 以下の重合圧力、40〜100℃、好ましくは60
〜90℃の重合温度、1時間以上8時間以下、好ましく
は1.2時間以上7時間以下、更に好ましくは1.5時
間以上6時間以下の反応器内部における重合スラリーの
平均滞留時間で行うのがよい。また、重合に際しては重
合溶媒、エチレン、コモノマーであるα−オレフィン、
水素、及び担持型触媒を系を連続的に反応器に供給する
ことにより、エチレン系重合体が製造される。溶媒、エ
チレン、コモノマー、及び水素の供給速度は目的とする
エチレン系重合体の分子量や密度に応じて便宜調整され
る。スラリー法に用いる溶媒としては、不活性炭化水素
溶媒が好適であり、特に、イソブタン、イソペンタン、
ヘプタン、ヘキサン、オクタン等を使用することがで
き、中でもヘキサン、イソブタンが好適である。
【0048】また、重合に際しては、担持型触媒のみの
使用でも本発明のエチレン系重合体の製造が可能である
が、溶媒や反応系の被毒の防止のため、付加成分として
有機アルミニウム化合物を共存させて使用することも可
能である。使用される有機アルミニウム化合物として
は、前述の有機アルミニウム化合物を好ましく使用する
ことができ、最も好ましくはトリメチルアルミニウム、
トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム
である。尚、本発明のエチレン系重合体は、多段式スラ
リー重合法により連続重合を行ってエチレン系樹脂組成
物とすることも可能である。多段式スラリー重合法によ
りエチレン系重合体組成物を得るための好ましい製造方
法の例を図1を参照しながら説明する。
【0049】重合器1ではライン2より、エチレン、ヘ
キサン、水素、コモノマーとしてのα−オレフィン、触
媒成分等が供給される。ここで、α−オレフィンは目的
に応じて供給しない場合もある。重合器1において、低
分子量エチレン系単独重合体あるい低分子量エチレン・
α−オレフィン共重合体が重合される。重合圧力は2〜
30kg/cm2 、好ましくは、3〜25kg/cm2
で重合温度は60〜100℃、好ましくは70〜90℃
である。重合器1内のスラリーはフラッシュドラム3に
導かれ、未反応のエチレン、水素が除去される。除去さ
れたエチレン、水素はコンプレッサー4により昇圧され
て重合器1に戻される。一方、フラッシュドラム3内の
スラリーは、ポンプ5により、二段目の重合器6に移送
される。また、場合によっては重合器1から取り出され
たスラリーをフラッシュドラム3を経由させずに直接に
二段目の重合器6に移送することもできる。重合器6で
はライン7よりエチレン、α−オレフィンコモノマー、
ヘキサン、水素、触媒成分などが供給されることによ
り、α−オレフィンが共重合され、高分子量のエチレン
・α−オレフィン共重合体が重合される。重合圧力は
0.5〜30kg/cm2 、好ましくは、0.5〜20
kg/cm2 で重合温度は40〜110℃、好ましくは
60〜90℃である。重合器6内のポリマーが製品とな
り、後処理行程を経て取り出される。
【0050】上記に示す方法により得られる本発明のエ
チレン系重合体は、一般にエチレン系重合体の成形に用
いられている公知の方法、例えば、押出成形、ブロー成
形、射出成形、インフレーション成形、回転成形、真空
成形などの方法によって各種成形体に成形される。この
際、必要に応じて各種添加剤成分、例えば、フェノール
系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤、ステアリン酸カ
ルシウムやステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類、そのほか
に滑剤、安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、離型剤、結晶
核剤などを含有させることもできる。
【0051】さらに、本発明のエチレン系重合体は、本
発明のエチレン系重合体同士のブレンド、または本発明
以外の他のエチレン系重合体、例えば、本発明のエチレ
ン系重合体の製造に用いられる触媒及び製造法によって
得られるエチレン単独重合体、チーグラー・ナッタ型触
媒により得られるエチレン系重合体、フィリップス型ク
ロム系触媒によって得られるエチレン系重合体、高圧ラ
ジカル重合法によって得られるエチレン系重合体等との
ブレンドとしても使用できる。
【0052】
【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例により本
発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に
よってなんら限定されるものではない。なお、各物性の
測定は190℃の圧縮成型により調製した試験片を用い
て、以下に示す方法に従って行った。 (1)密度(d、単位:g/cm3 ) ASTM−D1505に準拠し、密度勾配管法(23
℃)で測定した。 (2)ESCR(単位:Hr) JIS−K6760に準拠して行った。試験液として
は、ライオン(株)製、商品名アンタロックスCO63
0の10wt%水溶液を使用した。 (3)シャルピー衝撃試験(単位:kgf・cm/cm
2 ) JIS−K7111に準拠して行った。試験片形状は1
号EA型を用い、23℃及び−20℃で測定した。
【0053】〈担持型幾何拘束型シングルサイト触媒の
調製例1〉6.2g(8.8mmol)のトリエチルア
ンモニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒ
ドロキシフェニル)ボレートを4リットルのトルエンに
90℃で30分かけて溶解させる。この溶液に1Mのト
リヘキシルアルミニウムのトルエン溶液を攪拌しながら
徐々に加える。その後混合物を90℃で1分間攪拌す
る。一方、窒素気流中で500℃で3時間熱処理した1
00gのシリカ粉末(商品名:P−10、富士シリシア
(株)製)を1.7リットルの90℃の乾燥トルエン中
に攪拌させ、スラリー溶液を作製する。このシリカスラ
リー溶液に先に調製したトリエチルアンモニウムトリス
(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニ
ル)ボレートとトリヘキシルアルミニウムの混合溶液を
静かに加え、90℃で3時間攪拌する。そしてさらに、
206mlの1Mトリヘキシルアルミニウムトルエン溶
液を加える、1時間攪拌する。その後、トルエンを用い
て、デカンテーション法により90℃で5回洗浄して過
剰なトリヘキシルアルミニウムを除去する。この後、
0.218Mのチタニウム(N−1,1−ジメチルエチ
ル)ジメチル[1−(1,2,3,4,5,−eta)
−2,3,4,5−テトラメチル−2,4−シクロペン
タジエン−1−イル)シラナミネート[(2−)N]−
(η4 −1,3−ペンタジエン)のISOPARTM
(エクソンケミカル社製)溶液(深スミレ色)20ml
を加え、さらに3時間攪拌する。上記の操作により、緑
色の固体触媒系を得る。
【0054】〈担持型幾何拘束型シングルサイト触媒の
調製例2〉窒素気流中で500℃で3時間熱処理した2
00gのシリカ粉末(商品名:P−10、富士シリシア
(株)製)を5リットルのヘキサン中に攪拌させる。こ
のシリカスラリー溶液に1Mのトリエチルアルミニウム
のヘキサン溶液400mlを加え、室温で30分間攪拌
する。その後、296mlのトルエンに溶解させた2
0.1g(17.6mmol)のビス(ハイドロジェー
ネーテッドタロアルキル)メチルアンモニウムトリス
(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニ
ル)ボレートを加える。混合物は室温で30分攪拌す
る。その後、0.218Mのチタニウム(N−1,1−
ジメチルエチル)ジメチル[1−(1,2,3,4,
5,−eta)−2,3,4,5−テトラメチル−2,
4−シクロペンタジエン−1−イル)シラナミネート
[(2−)N]−(η4 −1,3−ペンタジエン)のI
SOPARTME(エクソンケミカル社製)溶液(深スミ
レ色)60mlを加え、さらに3時間攪拌する。上記の
操作により、緑色の固体触媒系を得る。
【0055】〈エチレン系重合体の製造例〉ヘキサン、
エチレン、α−オレフィン、水素、及び上記の触媒調製
例1及び2の方法で得た担持型触媒を連続的に攪拌装置
が付いたベッセル型反応器に供給し、エチレン系重合体
が製造する。反応器の温度は60〜80℃であり、ま
た、反応器内の全圧力は5〜10kg/cm2 である。
また、ヘキサン、エチレン、1−ブテン、及び水素の供
給速度は目的とするエチレン系重合体の分子量や密度に
応じて便宜調整される。重合スラリーの反応器内におけ
る平均滞留時間は1.5〜2.0時間である。スラリー
状の重合生成物は反応器から連続的に遠心分離器に導か
れ、スラリーを濃縮した後、さらに乾燥工程を経てエチ
レン系重合体のパウダーを得ることができる。
【0056】(実施例1)触媒の調製例1の方法で得た
担持型幾何拘束型シングルサイト触媒(CGC/Bor
ate)を用いて、重合例に示すスラリー重合法によ
り、エチレン・1−ヘキセン共重合体(密度;0.93
41g/cm3 、MFR;0.94g/10min、M
w;109,000、Mw/Mn;5.8、MIR;2
6.0)を得た。重合時の反応器の温度は70℃であ
り、反応器内の全圧力は10kg/cm2 であり、重合
スラリーの反応器内における平均滞留時間は1.7時間
とした。得られたエチレン系重合体の特性値を表1の実
施例1に示す。表1の実施例1に示すように、本エチレ
ン系重合体は前記(式3)における定数Aの値が負(マ
イナス)であり、エチレン系重合体の高分子量成分にコ
モノマーがより多く導入されている。本エチレン系重合
体は優れた耐衝撃性とESCR特性を有することが明ら
かである。
【0057】(比較例1)塩化マグネシウム固体表面上
に2wt%のチタンが担持されたチーグラー・ナッタ型
固体触媒(ZN)を用いてスラリー重合法により、実施
例1と同じ反応温度、重合圧力、及び平均滞留時間条件
によってエチレン・1−ヘキセン共重合体(密度;0.
9383g/cm3 、MFR;1.00g/10mi
n、Mw;167,000、Mw/Mn;9.3、MI
R;31.0)を得た。得られたエチレン系重合体の特
性値を表1の比較例1に示す。表1の比較例1に示すよ
うに、本エチレン系重合体は(式3)における定数Aの
値が正(プラス)であり、エチレン系重合体の低分子量
成分にコモノマーがより多く導入されている。本エチレ
ン系重合体の耐衝撃性とESCR特性を同表に示す。
【0058】(比較例2)bis−Cp(ジルコノセ
ン)型の担持型シングルサイト触媒(bis−Cp(Z
r)/MAO)を用いてスラリー重合法により、実施例
1と同じ反応温度、重合圧力、及び平均滞留時間条件に
よってエチレン・1−ヘキセン共重合体(密度;0.9
371g/cm3 、MFR;1.15g/10min、
Mw;92,000、Mw/Mn;2.5、MIR;1
5.0)を得た。得られたエチレン系重合体の特性値を
表1の比較例2に示す。表1の比較例2に示すように、
本エチレン系重合体は(式3)における定数Aの値が負
(マイナス)であり、エチレン系重合体の高分子量成分
にコモノマーがより多く導入された構造的特徴を有して
いるが、Mw/Mn値が本発明の範囲外にある。本エチ
レン系重合体は優れた耐衝撃性を有するがESCR特性
が不十分である。
【0059】
【比較例3】ダウ・ケミカル・カンパニーより市販され
ている溶液重合法によるエチレン・1−オクテン共重合
体(商品名:アフィニティーHF1030)の特性値を
表1の比較例3に示す。
【0060】
【比較例4】実施例1で使用した担持型幾何拘束型シン
グルサイト触媒(CGC/Borate)を用いて、実
施例1と同じ反応温度、重合圧力、及び平均滞留時間条
件によってスラリー重合法により、エチレン・1−ブテ
ン共重合体(密度;0.9352g/cm3 、MFR;
0.93g/10min、Mw;139,000、Mw
/Mn;5.2、MIR;25.5)を得た。得られた
エチレン系重合体の特性値を表1の比較例4に示す。本
エチレン系重合体は(式3)における定数Aの値が正
(プラス)である。本比較例で示すように担持型幾何拘
束型シングルサイト触媒(CGC/Borate)を用
いてスラリー重合法により得られたエチレン系重合体に
おいても条件によって(式3)の定数Aが負にならない
場合がある。比較例4は実施例1に比べて耐衝撃性が劣
っている。
【0061】
【表1】
【0062】(実施例2)触媒の調製例2の方法で得た
担持型幾何拘束型シングルサイト触媒(CGC/Bor
ate)を用いて、実施例1と同じ反応温度、重合圧
力、及び平均滞留時間条件によってスラリー重合法によ
り、低分子量のエチレン単独重合体(密度;0.978
5g/cm3 、MFR;280g/10min、Mw;
18,500、Mw/Mn;3.2)と、高分子量のエ
チレン・1−ブテン共重合体(密度;0.9365g/
cm3 、MFR;0.008g/10min、Mw;4
55,000、Mw/Mn;5.7、(式3)の定数A
の値が−0.126)を得た。これらのエチレン系重合
体を50/50(w/w)で計量し、2,000ppm
のイルガノックスR 1076(チバガイギー社製:商品
名)、600ppmのステアリン酸カルシウム、及び
2,000ppmのP−EPQ(サンド社製:商品名)
を配合し、ヘンシェルミキサーで2分間予備混合し、2
軸押出機(PCM−45、池貝鉄鋼(株)製)を用い
て、スクリュー回転数200rpm、バレル設定温度2
20℃の条件で溶融混練を行い、ペレタイズを行ってエ
チレン系樹脂組成物のペレットを得た。得られたエチレ
ン系重合体組成物の各種物性の測定結果を表2に示す。
得られた組成物は優れたESCR性能と耐衝撃性能を示
した。
【0063】(比較例5)実施例2で使用した低分子量
エチレン単独重合体と、bis−Cp(ジルコノセン)
型の担持型シングルサイト触媒(bis−Cp(Zr)
/MAO)を用いてスラリー重合法により得た高分子量
エチレン・1−ブテン共重合体(密度;0.9401g
/cm3 、MFR;0.011g/10min、Mw;
325,000、Mw/Mn;2.8、(式3)の定数
Aの値が−0.041)を50/50(w/w)で計量
し、ポリマー成分を替えた以外は実施例2と全く同じ条
件でエチレン系樹脂組成物のペレットを得た。比較例5
で使用した高分子量エチレン系重合体は(式3)の定数
Aの値が負(マイナス)であり、高分子量エチレン系重
合体の高分子量成分にコモノマーがより多く導入されて
いるが、Mw/Mn値が本発明の範囲外である。得られ
たエチレン系重合体組成物は表2に示すように、耐衝撃
性は優れているもののESCRが不十分である。
【0064】(比較例6)実施例2で使用した低分子量
エチレン単独重合体と、比較例1で使用したものと同じ
チーグラー・ナッタ型固体触媒(ZN)を用いてスラリ
ー重合法により得たエチレン・1−ブテン共重合体(密
度;0.9411g/cm3 、MFR;0.007g/
10min、Mw;443,000、Mw/Mn;7.
2、(式3)の定数Aの値が0.045)を50/50
(w/w)で計量し、ポリマー成分を替えた以外は実施
例2と全く同じ条件でエチレン系樹脂組成物のペレット
を得た。比較例6で使用した高分子量エチレン系重合体
は(式3)の定数Aの値が正であり、本発明の範囲外で
ある。得られたエチレン系重合体組成物の特性値を表2
に示す。
【0065】
【表2】
【0066】実施例2と比較例5及び6の比較から明ら
かなように、シングルサイト触媒によるエチレン系重合
体としては適度にブロードな分子量分布特性(Mw/M
n)と高分子量成分により多くのコモノマーが導入され
た構造を有する本発明のエチレン系重合体を使用した場
合において、ブレンド物はESCR特性と耐衝撃性が同
時に向上することが明らかである。
【0067】
【発明の効果】本発明のエチレン系重合体は、分子量分
布が適度に広く、組成分布が狭く、さらに高分子量側の
成分により多くのコモノマーが導入された特異的な分子
構造を有する。このような分子構造を有する本発明のエ
チレン系重合体は従来のエチレン系重合体に比べて耐衝
撃性とESCRが格段に高いレベルでバランスしている
上、メタロセン系のエチレン系重合体が本来有する透明
性や低溶出成分性や低温ヒートシール性などの特徴も維
持され、さらに成形加工性も維持されているため、その
用途範囲は極めて多様である。本発明のエチレン系重合
体は単独で使用されるのみならず、他のあらゆるエチレ
ン系重合体とのブレンドあるいは変性体として使用する
ことももちろん可能である。
【0068】本発明のエチレン系重合体は幅広い用途、
例えば、水道あるいはガス用のパイプ用材料、工業用あ
るいは家庭用の各種のブロー容器用材料、食品用、農業
用、工業用の各種のフィルム材料、ヤーン材料、発泡材
料、冷蔵庫用部品、洗濯機用部品、加湿機用部品、食器
乾燥機用部品などの各種の家電製品用部品用材料、ある
いは洗面台、トイレ用部品などの各種のサニタリー製品
用材料、その他建材等の構造用材料、車両部品、日用
品、玩具、レジャー用品、雑貨などの幅広い用途の材料
として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】多段式スラリー重合法の模式図である。
【図2】本発明のエチレン系重合体のCFC測定結果で
ある。
【図3】本発明のエチレン系重合体のGPC/FTIR
測定結果である。
【符号の説明】
1 重合器 2 ライン 3 フラッシュドラム 4 コンプレッサー 5 ポンプ 6 二段目の重合器 7 ライン

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンと炭素原子数が3〜20のα−
    オレフィンとの共重合体であって、(1)密度が0.9
    10g/cm3 以上0.975g/cm3 以下であり、
    (2)メルトフローレート値(MFR、荷重2.16k
    g、温度190℃条件)が0.0001g/10min
    以上1,000g/10min以下であり、(3)GP
    C測定によって求められるMw/Mn値が次の一般式
    (式1)の関係を満たし、 1.25×log(Mw)−2.5≦Mw/Mn≦3.0×log(Mw)−8 .0 (式1) (4)メルトフローレート比(MIR)が16以上35
    以下であり、(5)昇温溶出分別とゲル・パーミエーシ
    ョン・クロマトグラフィーとのクロス分別によって求め
    られる分子量−溶出温度−溶出量の相関において、溶出
    分別成分量が最大(極大)の溶出温度(Tmax/℃)
    から10℃低い溶出温度〔(Tmax−10)℃〕未満
    までの全積算溶出量に対する溶出量Y(単位;wt%)
    とメルトフローレート値(MFR、荷重2.16kg、
    温度190℃条件)が次の一般式(式2)の関係を満た
    し、 Y<7×log(MFR)+15 (式2) (6)昇温溶出分別とゲル・パーミエーション・クロマ
    トグラフィーとのクロス分別によって求められる分子量
    −溶出温度−溶出量の相関において、一般式(式3)で
    表現される溶出温度(Ti/℃)と該溶出温度における
    溶出成分のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ
    ー測定から求められる極大分子量(Mmax( Ti))
    の最小二乗法近似直線関係式、 log(Mmax(Ti))=A×Ti+C (式3) 〔ただし、(式3)においてA及びCは定数〕におい
    て、定数Aが次の関係式(式4)を満たし、 −0.5≦A<0 (式4) (7)メルトテンション(MT/g)とメルトフローレ
    ート(MFR)とが次の関係式(式5)を満たす log(MT)>−0.65×log(MFR)+0.301 (式5) ことを特徴とするエチレン系重合体。
  2. 【請求項2】 担持型幾何拘束型シングルサイト触媒を
    用いてベッセル型スラリー重合法により重合され、かつ
    一つの反応器内部における重合スラリー平均滞留時間が
    1時間以上8時間以下である重合方法により得られるこ
    とを特徴とする請求項1記載のエチレン系重合体。
  3. 【請求項3】 α−オレフィンが、1−ブテン、1−ペ
    ンテン、1−ヘキセン、1−オクテンのいずれかである
    ことを特徴とする請求項1、又は2記載のエチレン系重
    合体。
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