JP2003165873A - ポリエチレン樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

ポリエチレン樹脂組成物及び成形体

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JP2003165873A
JP2003165873A JP2001364860A JP2001364860A JP2003165873A JP 2003165873 A JP2003165873 A JP 2003165873A JP 2001364860 A JP2001364860 A JP 2001364860A JP 2001364860 A JP2001364860 A JP 2001364860A JP 2003165873 A JP2003165873 A JP 2003165873A
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polyethylene resin
resin composition
polyethylene
molecular weight
polymerization
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JP2001364860A
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English (en)
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Hidenobu Takeyama
英伸 竹山
Hisatoshi Goto
久寿 後藤
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械特性(ESCR、耐衝撃性)のバランスに優
れ、且つ高速での成形性が可能で有り、表面肌も荒れる
ことなく成形品が得られるポリエチレン樹脂組成物を提
供すること。 【解決手段】 クロム系触媒を用いて得られるエチレン
系重合体であり、MFR 21.6が0.01〜1000g/
10min、密度が0.920〜0.980g/c
3 、分子量分布(Mw/Mn)が8〜25であるエチ
レン系重合体(A)と、チーグラー触媒を用いて多段重
合により得られるMFR21.6が0.01〜1000g/
10min、密度が0.896〜0.970g/c
3 、分子量分布(Mw /Mn )が20〜50であるエ
チレン系重合体(B)とのブレンドからなり、ブレンド
後の臨界せん断速度の指標γ‘が60以上であり、且つ
IR測定により求めた数平均分子量当りの末端ビニル基
の全量が0.29以上0.60以下である樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、高流動性でありながら耐環境応
力亀裂(以下、ESCRと表記する。)−耐衝撃性に優
れ、高速での成形加工性に優れたポリエチレン樹脂組成
物に関するものである。
【0002】
【発明の属する技術分野】従来よりポリエチレンは各種
の成型品の樹脂材料として使われており、その成形方法
と用途により要求される物性が異なる。特に中空成形や
フィルム成形、シート成形、押出し成形などは溶融時の
粘度が適度に高い為、肉厚分布がよく偏肉性が少ない。
また大型の製品を成形する際にもその溶融時の粘度が適
度に高いことからドローダウンなどが起こりにくく、ポ
リエチレン樹脂の易成形加工性の特徴が見られる性質を
もつことが知られている。またこれらの成形方法によっ
て得られた成形品はクリープ特性、衝撃特性、可とう性
に優れており、幅広い用途に使用されている。
【0003】近年、ポリエチレン樹脂を用いた成形品
は、薄肉化の方向の為、益々樹脂の機械物性、特に耐衝
撃性、ESCR性、剛性の向上が要求されてきている。
また生産性を上げる為に成形加工条件としてはますます
高速化が進み、こうした成形加工性と機械物性とのバラ
ンスが高いポリエチレン樹脂を開発することが課題とな
っている。このような材料に求められる要求特性は、中
空、押出し、フィルム、シートなどの大型成形品を高速
で成形することを可能とし、生産性を上げながら、尚且
つ物性のバランスに優れた成形品を提供するものであ
る。
【0004】
【従来の技術】上記に記載された用途に用いられるポリ
エチレンとしては、三酸化クロムを無機酸化物に担持さ
せたいわゆるフィリップス系触媒、あるいクロム化合物
を無機酸化物に担持させた非焼成型クロム系の触媒を用
いて重合されたポリエチレンが使われている。これらの
方法により重合されたポリエチレンは、溶融時の粘度が
適度に高く、また成形品の肉厚分布が均一で、偏肉性が
少ない特徴を有し、大型の製品を成形する際にもドロー
ダウンなどが起こりにくく、易成形加工性の面から現在
も多くの成形に使用されている。しかしながらこのよう
な材料は成形加工性に優れている反面、ESCRなどの
長期特性が大きく劣る性質を持ち、長期寿命を必要とす
る成形品や構造体には使用されることが少ないことが知
られている。
【0005】一方、チーグラー系触媒を用い単段、ある
いは多段重合して得られたポリエチレンは長期特性に優
れるものの溶融時の粘度が低く、ドローダウンが起こり
易い為、中空成形の用途では主に小型の成形品に使われ
ることが多く、大型の成形品では成形上クロム系触媒に
より重合したポリエチレン樹脂に比べ、十分な性能を発
揮することが出来ない。そこでこれらフィリップス系、
チーグラー系の触媒を用い、2種の活性種を用いて多段
重合やブレンドにより各々の特徴を持たせバランス化さ
せようと試みられたが、前者では異なる触媒の共存下で
重合される為、活性が低下したり、分岐制御が困難なた
め、必ずしも十分な物性バランスは取れていない。(参
照:特開昭62−207307号公報、特公平7−10
3177号公報)。又、後者ではブレンドにより個々に
混ぜた系では分子量の大きく異なるポリエチレンなどは
溶融混練が不十分であったり分散性が悪く十分な物性バ
ランスが発現していない。
【0006】チーグラー系、クロム系触媒により得られ
たポリエチレンをブレンドする目的は、チーグラー系触
媒側のポリエチレンに機械物性の改良を持たせ、クロム
系触媒のポリエチレン側に成形加工性を付与させること
であるが、ブレンド方法や個々のデザイン、ブレンド比
率などで諸性質、特性は大きく変る為、従来の方法では
高速成形での成形加工性は十分満足するものではなかっ
た。また、特公平1−12777号公報に記載されてい
るチーグラー系触媒とクロム系触媒により重合したポリ
エチレン重合体のポリエチレン樹脂組成物において、機
械物性と成型加工特性をバランス化させたものがある
が、クロム系触媒により重合したポリエチレン樹脂の分
布が広く、耐衝撃性が十分では無い為、ボトルでの落下
試験などでは薄肉化した部分などから破壊するなど十分
満足するものではなかった。また、特開平11−302
465号公報に記載されているチーグラー系触媒とクロ
ム系触媒により重合したポリエチレン重合体のポリエチ
レン樹脂組成物においては、クロム系樹脂の比率が高
く、中空成形加工性には優れるが、必ずしもESCR−
耐衝撃性のバランスに優れるものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決する為にチーグラー系、クロム系触媒により得られ
たポリエチレンを高度に重合デザインし、特にクロム系
触媒により得られるポリエチレン樹脂の耐衝撃性を高く
することによって、ESCRおよび耐衝撃性などの機械
物性のバランスを更に向上させると共に、高速下での成
形性、即ち高速せん断速度域での成形性に優れたポリエ
チレン樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等はこのような
現状に鑑み、物性バランスに優れ、高速成形可能なポリ
エチレン樹脂組成物を見出すべく鋭意検討し本発明に到
達した。すなわち本発明は、 (1)少なくとも2種類のポリエチレン樹脂(A),
(B)とからなり、ポリエチレン樹脂(A)がクロム系
触媒により重合されるエチレン重合体もしくは炭素数3
−20のαオレフィンとの共重合体で、密度(ρ)が
0.920〜0.980g/cm3 であり、HLMFR
(荷重21.6kg、温度190℃、以下MFR21.6とい
う。)が0.01〜1000g/10分、GPC測定に
よって求められる分子量分布、MwとMnとの比(Mw
/Mn)が8−25で、190℃においてダウンスピー
ド5.0cm/minおける溶融伸びがME(190℃;
5.0cm/min)≧3.79Ln(MFR21.6)−
1.57であり、且つ190℃においてダウンスピード
5.0cm/minおける溶融張力がMT(190℃;
5.0cm/min)≧−24.9Ln(MFR21.6
+88.7であるクロム系ポリエチレン樹脂(A)であ
り、ポリエチレン樹脂(B)がチーグラー系触媒により
重合されるエチレン重合体もしくは炭素数3−20のα
オレフィンとの共重合体で密度(ρ)が0.896〜
0.970g/cm3 、MFR21.6が0.01〜100
0g/10分、GPC測定によって求められる分子量分
布、MwとMnとの比(Mw/Mn)が20−50、で
あるチーグラー系ポリエチレン(B)であり、ポリエチ
レン樹脂(A)と(B)との配合割合が(A):(B)
が(30:70)〜(75:25)の範囲で均一に混合
された組成物で有り、該ポリエチレン樹脂組成物の密度
(ρ)が0.940〜0.970g/cm3 、MFR
21.6が0.1〜100g/10分であり、190℃にお
いてダウンスピード0.6cm/minおける溶融伸び
がME(190℃;0.6cm/min)≧2.05Ln
(MFR21.6) +0.89であるポリエチレン樹脂組成
物。
【0009】(2)ポリエチレン樹脂組成物の次式
(1)で表される臨界せん断速度γ‘が60以上である
事を特徴とする請求項1に記載のポリエチレン樹脂組成
物。
【数5】γ‘=NMF×(Mw/Mn )/η0 (NMF:107dyn/cm2、η0 (Poise )) ・・・・・・・・・・(1) ここで、上記式(1)(臨界せん断速度γ‘式)は、1
90℃において測定した溶融粘度とせん断速度との相関
を次式(2)のBUCHEの式により外挿し得られた零
せん断粘度(η0 )と、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー測定により得られた重量平均分子量(Mw)
と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw
/Mn)との関係式である。
【数6】η(γ)=η0 /(1+(τ0 ×γ)n )(BUCHE の式)・・・(2)
【0010】(3)ポリエチレン樹脂組成物のN(viny
l Number )が0.29以上0.60以下である(1)
又は(2)に記載のポリエチレン樹脂組成物。ここで、
N(vinyl Number)は数平均分子量当りのビニル量で
あり、次式(3)で表されるIR測定による末端ビニル
基の吸収ピーク強度から算出される官能基数n(n/1
000C)を求め、更にゲルパーミエーションクロマト
グラフィーにより求められる数平均分子量(Mn)を基
準単位であるCH2 (=14 )1000個分の重量で除した割合
を掛けた次式(4)の値である。
【数7】 n=ε×A/ρ/t ・・・・・・・・・・・(3) n:末端ビニル量(N/1000C )個 ε:末端ビニル基吸光係数 A:末端ビニル基吸光度(910cm -1) ρ:密度(g/cm3 ) t:厚み(mm)
【数8】 N(vinyl Number )=n×(Mn/14000)・・・・(4)
【0011】(4)ポリエチレン樹脂(A)が酸化クロ
ム触媒と有機アルミニウム化合物を組合わせてなる重合
触媒存下において重合されたものであることを特徴とす
る(1)〜(3)のいずれか1つに記載のポリエチレン
樹脂組成物。 (5)ポリエチレン樹脂(B)がマグネシウム化合物系
チーグラー型触媒を用いて単段或いは多段重合によって
重合されたものであることを特徴とする(1)〜(4)
のいずれか1つに記載のポリエチレン樹脂組成物。
【0012】以下に本発明の詳細について説明する。本
発明者等は上記課題に対して鋭意検討した結果、従来と
異なるクロム系触媒により得られたポリエチレン樹脂
(A)とチーグラー系触媒により得られたポリエチレン
樹脂(B)を特定の割合に配合することによって得られ
るポリエチレン樹脂組成物を開発することにより前記課
題を解決した。本発明において所謂チーグラー系の触
媒、従来と異なるクロム系の触媒を個々に最適化した重
合条件で重合を行い得られた2種のポリエチレンをブレ
ンドしたポリエチレン樹脂組成物は、成形性および物性
のバランスに優れた樹脂であることが確認された。
【0013】これまでのチーグラー系、クロム系触媒に
より重合されたポリエチレンの混合系における樹脂デザ
インでは、クロム系触媒により得られたポリエチレンの
分子量分布が広く、耐衝撃性に劣る為、物性のバランス
を満足するものではなかった。そこで本発明では新たな
クロム系触媒を用いることにより、クロム系側のポリエ
チレンの分布をより狭くすることで耐衝撃性を改良する
ことで機械物性のバランスを向上させることが出来た。
このようなポリエチレン(A)は、例えば、無機酸化物
担体にクロム化合物を担持した固体成分と有機金属化合
物を組合わせてなる重合触媒存在下において製造され
る。
【0014】耐衝撃性は主として低分子量成分が原因と
なり耐衝撃性低下を引き起こすと考えられており、射出
用途などの低分子量ポリエチレンは耐衝撃性が低い。ま
た同等のMFR を有するポリエチレン樹脂を比較した場
合、分子量分布の広いポリエチレン樹脂は、低分子量成
分が含まれる為、耐衝撃性は低いことが知られている。
そこで、本発明に用いる従来と異なるクロム系触媒を用
いて重合したポリエチレン(A)は、従来のクロム系触
媒により重合したポリエチレンよりも分布が狭い為、耐
衝撃性に優れる特徴を有する。
【0015】本発明のクロム系ポリエチレン(A)の分
子量分布の指標としてはゲルパーミエーション測定によ
る重量平均分子量(Mw )と数平均分子量(Mn )との
比、Mw/Mn として表すことが出来、Mw /Mn が8〜
25、好ましくは8〜20、更に好ましくは8〜15で
あることが望ましい。しかしながら、成形性は通常分布
が狭くなる程、所謂メルトフラクチャーやシャークスキ
ンと呼ばれるような不安定流動を示すことが知られてい
る。また、より高せん断速度側ではある速度域を越える
と不安定流動は消え、溶融樹脂とダイス壁面とのスリッ
プ挙動により引き起こされる肌荒れが発生することが知
られている。
【0016】ダイス壁面における臨界せん断速度(以
下、γ‘と表記する。)は次式(1)で表され、γ‘に
おいてγ‘≧60を満たすことにより高速せん断速度域
でのスリップ挙動による肌荒れを解消することが可能と
なる。
【数9】γ‘=NMF×(Mw/Mn )/η0 (NMF:107dyn/cm2、η0 (Poise )) ・・・・・・・・・・(1) γ‘は上記式(1)より零せん断粘度(以下、η0 と表
記する。)と分子量分布のパラメータにより表記するこ
とが可能であり、η0 が小さい程、又分子量分布(Mw/M
n )が広いほどγ’は高い値となり、ダイス壁面におけ
るスリップがより高せん断側になることを表している。
【0017】通常分子量分布を狭くすると高分子量成分
が少なくなる為、絡み合い効果が減少し、低せん断速度
域での粘度が低下する為、η0 は小さくなる。これは上
記式(1)において、γ‘を高くし、より高せん断側で
の成形において良好で有ることを示す。しかしながら、
いっぽうで分布が狭くなる為に同じく上記式(1)はγ
‘が低くなる方向を示す為、η0 と分子量分布をバラン
ス化させ、上記式(1)においてγ‘≧60であること
が望ましい。このようにγ‘の値をγ‘≧60とするこ
とで、高速せん断下における成形に耐え得ることが可能
となることを見出した。分子量分布が狭くなることによ
り高分子量成分比が小さくなり、ドローダウンし易くな
る傾向を示すが、チーグラー系とクロム系ポリエチレン
の比率、及び最終の(MFR )を制御することによりドロ
ーダウン性を落とさずに成形することが可能である。
【0018】また、従来と異なるクロム系触媒により重
合して得られたポリエチレン樹脂(A)は、溶融時に適
度な溶融張力(MT)を持ち、溶融時の伸び(ME)が
高い性質を有する為、ブロー比の大きな大型ブロー製品
などで問題となるコーナー部の偏肉や、融着部形状など
も解消する特徴があることも確認された。MEはME(1
90℃;5.0cm/min)≧3.79Ln(MFR
21.6)−1.57であることが望ましい。右辺式値未満
であると溶融時の伸びが足りず、大型中空製品などにお
けるコーナー部での肉が薄くなる傾向になる。
【0019】また、MTはMT(190℃;5.0cm/
min)≧−24.9Ln(MFR 21.6) +88.7で
あることが望ましい。右辺式値未満であるとドローダウ
ンにより成形が困難になる。これらME,MT の特徴を持つ
クロム系ポリエチレン(A)にチーグラー系ポリエチレ
ン(B)を所定の配合比で均一にブレンドし得たポリエ
チレン組成物のMEが、最終的にME(190℃; 0.6
cm/min)≧2.05Ln(HMI) +0.89と
なることが望ましい。以上のように本発明では従来と異
なるクロム系触媒を用いて得られたポリエチレン樹脂
(A)の分布を制御し、かつチーグラー系触媒を用いて
得られたポリエチレン樹脂(B)との比率や分子量を高
度に制御することで、より高せん断速度域に対応でき、
且つ物性バランス、特に耐衝撃性に優れたポリエチレン
樹脂組成物を提供するに至った。本発明では従来までの
チーグラー系、クロム系触媒により重合されたポリエチ
レン樹脂の混合系における物性よりも耐衝撃性が高く、
高せん断速度域での表面肌が良好であることを特徴とす
る。
【0020】本発明に用いたポリエチレン(A),
(B)の重合に用いた触媒は以下の通りである。 (1)酸化クロム系触媒 本発明に用いる従来と異なるクロム系触媒とは次のよう
にして作られる。すなわち無機酸化物担体にクロム化合
物を担持した固体成分と有機金属化合物を組合わせたも
のである。以下に更に詳しく説明する。本発明に用いら
れるクロム系触媒とは、耐火性化合物上に支持され非還
元雰囲気下で熱処理により活性化された酸化クロム触媒
と、下記一般式(5)で表される有機アルミニウム化合
物とを組み合わせてなる重合触媒であり、
【化1】 R(3-n) −Al−Ln ・・・・・・(5) (式中、Rは炭素数6以上12以下であるアルキル基、
Lは炭素数1以上8以下であるアルコキシ基またはフェ
ノキシ基であり、nは0を越えて1未満の実数)
【0021】上記一般式(5)中の実数nの値を0.5
以上1未満の範囲で変化させることにより、製造される
ポリオレフィンの分子量が制御できることを特徴とし
た、酸化クロム系触媒である。酸化クロム触媒と有機ア
ルミニウム化合物との反応(組み合わせ)を重合反応器
内において行うことが好ましい。本発明に用いるクロム
系触媒は、特定の有機アルミニウム化合物を含むクロム
系触媒を使用した触媒である。このような触媒は特開平
12−86718号公報等、又は後述する実施例(A−
1)〜(A−6)に記載の方法によって製造される。
【0022】次にポリエチレン(B)について説明す
る。ポリエチレン(B)の製造に用いられる触媒はマグ
ネシウム化合物系チーグラー型触媒で有り、有機マグネ
シウム、無機マグネシウムに基づく何れの系でも用いる
ことが出来る。特に本発明において好ましい触媒として
は、例えば、(1)下記一般式(6)で示される有機マ
グネシウム化合物
【化2】MαMgβR1 p R2 q Xr Ys ・・・・・・(6) (式中、αは0又は0より大きい数、p、q、r、sは
0または0より大きい数で、p+q+r+s=mα+2
βの関係を有し、Mは周期律表第I族ないし第III族
に属する金属元素、mはMの原子価、R1 、R2 は同一
または異なった炭素原子数の炭化水素基、X、Yは同一
または異なった基で有り、ハロゲン、OR 3 、OSiR
4 5 6 、NR7 8 、SR9 なる基を表し、R3
4 、R5、R6 、R7 、R8 は水素原子または炭化水
素基、R9 は炭化水素基を表す)と、
【0023】(2)少なくとも1 個のハロゲン原子を含
有するチタンまたはバナジウム化合物と、(3)Al、
B、Si、Ge、Sn、Te、Sbのハライド化合物の
(1)〜(3)のうち(1)と(2)あるいは(1)と
(2)と(3)とを反応させてなる固体触媒成分[ A]
と、有機金属化合物[ B] からなるものである。有機金
属化合物[ B] としては、周期律表第I〜III族の化
合物で、特に有機アルミニウム化合物、および有機マグ
ネシウム化合物をふくむ錯体が好ましい。触媒成分[
A] と有機金属化合物成分[ B] 成分の反応は重合系内
に量成分を添加し、重合条件下に重合の進行と共に行わ
せることも可能で有り、あらかじめ重合に先立って実施
しても良い。
【0024】また触媒成分の反応比率は、[ A] 成分1
gに対し、[ B] 成分1〜3000mmolの範囲で行うこ
とが好ましい。触媒成分[ A] の代わりに無機のMg化
合物にTi化合物を担持したものでも良い。これらの触
媒系の中でも、工業的に脱触媒工程を省略できる為に特
に望ましいも特公昭52−36788、52−3679
0、52−36791、52−35792、52−50
070、52−36794、52−36795、52−
36796、52−36915、52−36917、5
3−6019号公報、特開昭50−21876、50−
31835、50−72044、50−78619、5
3−40696号公報記載のものがある。
【0025】このような触媒を用いるポリエチレン
(B)の製造は、例えば特公平1−12777号公報
等、又は後述する実施例(B−1)〜(B−3)に記載
されている。ポリエチレン(A)、(B)の混合方法
は、パウダー状態、スラリー状態、ペレット状態等通常
の方法が用いられる。混練する場合は150〜300℃
の温度で一軸、二軸の押出し機、混練機等で行われる。
このようにして製造される本発明のポリエチレン組成物
の密度(ρ)は0.940〜0.970g/cm3 にあ
り、MFR21.6が0.1〜100g/10分、好ましく
は1〜50g/10分、更に好ましくは3〜30g/1
0分である。
【0026】また、上記式(2)により求められるη0
とゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求め
られるMw/Mnを用いて上記式(1)より求められる
臨界せん断速度γ‘が60以上、好ましくは80以上、
さらに好ましくは100以上である。60以下では高速
での成形時にスリップ等による肌荒れが発生し好ましく
ない。加えて、IR測定による末端ビニル基の吸収ピー
ク強度から算出される官能基数n(n/1000C)
に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーより求め
られる数平均分子量(Mn)を基準単位(CH2 ;14)1
000で除した値を掛けた数平均分子量当りのビニル基
量、N(vinyl Number )は0.25以上0.60以
下、更に好ましくは0.30以上0.60以下である。
0.60以上であると末端ビニル基が成形中部分的に架
橋等が起こり本来の物性を損ない、また0.25以下で
は成形時の肉周り性、ピンチオフ融着性に劣るので好ま
しくない。
【0027】さらに、本発明のポリエチレン樹脂組成物
は、ESCR性に優れるものである。ESCR性とは、
低ひずみ下における耐環境応力亀裂のことであり、その
測定方法としてはJIS K6760があり、本発明の
ポリエチレン樹脂組成物のESCR値としては50時間
以上、好ましくは100時間以上、さらに好ましくは5
00時間以上である。該ESCR値が50時間未満であ
ると諸成形方法により製品にした時、外部からの応力や
残留応力などにより亀裂が生じ、破壊することがあり好
ましくない。該ポリエチレン樹脂組成物は、熱安定剤、
酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、滑剤、
充填剤、他のポリオレフィン、熱可塑性樹脂、ゴム等通
常ポリオレフィンに添加、ブレンドされ得る物質は、必
要に応じて使用されることは可能である。
【0028】以下に実施例及び比較例を上げて、本発明
をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限
定されるものではない。 [ 測定方法]なお、実施例及び比較例で得たエチレン系
重合体およびポリエチレン樹脂組成物の物性(MFR
21.6、密度、Mw/Mn、零せん断粘度、溶融伸び、溶融張
力、末端ビニル量、耐環境応力亀裂(ESCR)、耐衝
撃性(IZOD)、肌荒れ性)は以下の方法により測定
した。 (1)HLMFR(MFR21.6):メルトインデックス
を表し、JIS K 7210(1996年版)の表
1、条件7に従い、温度190℃、荷重21.6kgf
における測定値をHLMFRとして示した。 (2)密度(ρ、単位:g/cm3 ) ASTMーD1505に準拠し、密度勾配管法(23
℃)で測定した
【0029】(3)分子量分布(Mw/Mn) ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィーの測定によっ
て求められるMwとMnの比である。装置はWater
s社製150−C型を用い、東ソー(株)製TSKーゲ
ルGMH6ーHTの60cmのカラム2本と昭和電工
(株)製ATー807/Sカラム1本を使用し、1、
2、4ートリクロロベンゼンを溶媒として140℃で測
定した。 (4)零せん断粘度;η0 零せん断粘度η0 はレオメトリックス社製ARESを用い
て、190℃における溶融粘度のせん断速度依存性を測
定し、BUCHE の式よりη0 を外挿により求めた。試験片
は190℃におけるプレス成型により厚み2mmtの平
板を作成し、これを25mmφの型で打ち抜き試験に用
いた。溶融粘度測定の条件は、 温度190℃の一定温
度下で、パラレルプレートを持ちい、上記25mmφに
打抜いた成型品を挟み、溶融した後パラレルプレートの
間隔を2mmに設定した後、歪7%を加えせん断速度1
00〜0.1(rad/sec)の範囲で測定を行っ
た。
【0030】(5)溶融伸び:ME、溶融張力:MT 溶融伸びはインストロン社製キャピログラフを用い、樹
脂温度190℃、オリフィス径が2.095mm、オリ
フィス長さ8mmのオリフィスを用い、ポリエチレン
(A)単独の場合には5.0cm/min、ポリエチレ
ン(A)、(B)ブレンドした系は0.6cm/min
の速度(ダウンスピード)で溶融試料を押出し、この押
出されたストランドを巻取り機にて巻き取った。この
時、押出し速度一定下で巻き取り速度を上げてゆき、ス
トランドが破断した時の巻き取り速度を溶融伸びME
(m/min)とした。MTは5.0cm/minのダ
ウンスピードで押出したストランドを2.0cm/mi
nの速度で引取る際の荷重をMTとした。 (6)IR測定:末端ビニル測定 IR測定による末端ビニルの測定は、ポリエチレン樹脂
ペレット或いはパウダー等を溶融させて約0.5mmの
シートとし、910cm-1における吸光度を測定し、測定
に用いたサンプルの密度と厚みより上記式(3)により
計算を行った。
【0031】(7)環境応力亀裂抵抗 ESCR(単
位:hr F50) JIS−K6760に準拠し測定を行った。試験液とし
ては、ライオン(株)製アンタロックスCO−130の
10重量%水溶液を使用し、F50値をESCRの値とし
た。 (8)アイゾット衝撃強度(Izod、単位:kJ/m
2 ) JIS−K7110に準拠し、試験片形状は2号A型で
−25℃にて測定した。 (9)肌荒れ性 成型加工性はプラコー社製 DA65により、直径が外
ダイ62φ、内ダイ61φのダイバージタイプのダイス
を用い樹脂温度190℃において成型を行った。成型は
ダイレクトブロー成型で一旦アキュムレータに溶融樹脂
を溜めてから射出を行う間歇式ブローにより5Lの丸瓶
を成型した。この時、ダイスのクリアランスを一定に保
ち、射出圧力を変える事によりせん断速度を変えること
にした。ダイスクリアランスを0.56mm、射出圧力
13.7MPaで成型したときの成型品の表面肌を確認
した。
【0032】
【実施例】(1)エチレン系重合体Aの製造方法 (A−1)の製造法 図2の単段重合プロセスにおいて、ホモのポリエチレン
をつくるために、反応容積170Lの重合器1で重合し
た。重合温度は88℃、重合圧力は0.98MPaであ
る。この重合器1にシリカ(W.Rグレースアンドカン
パニ製グレード952)に1.0重量%の三酸化クロム
を担持し、800℃で焼成した固体触媒を0.7g/h
rの速度で、メタノールとアルミニウムトリヘキシルと
をモル比0.92:1で反応させることにより得られた
有機アルミニウム化合物が重合器中の濃度が0.08m
mol/lになるよう供給し調整した。精製ヘキサンは6
0L/hrの速度で供給し、またエチレンを12kg/
hrの速度で、分子量調節剤として水素を気相濃度が約
2.9mol%になるように供給し重合を行う。重合器
1内のポリマーは乾燥工程、造粒工程を経た後ペレット
として得られる。得られた高密度ポリエチレン及びその
物性測定結果を表1に示す。
【0033】(A−2)の製造法 図2の単段重合プロセスにおいて、ホモのポリエチレン
をつくるために、反応容積170Lの重合器1で重合し
た。重合温度は79℃、重合圧力は0.98MPaであ
る。この重合器1にシリカ(W.Rグレースアンドカン
パニ製グレード952)に1.0重量%の三酸化クロム
を担持し、800℃で焼成した固体触媒を1.0g/h
rの速度で、メタノールとアルミニウムトリヘキシルと
をモル比0.92:1で反応させることにより得られた
有機アルミニウム化合物が重合器中の濃度が0.08m
mol/lになるよう供給し調整した。精製ヘキサンは6
0L/hrの速度で供給し、またエチレンを12kg/
hrの速度で、分子量調節剤として水素を気相濃度が約
2.9mol%になるように供給し重合を行う。重合器
1内のポリマーは乾燥工程、造粒工程を経た後ペレット
として得られる。得られた高密度ポリエチレン及びその
物性測定結果を表1に示す。
【0034】(A−3)の製造方法 この重合器6にシリカ(W.Rグレースアンドカンパニ
製グレード952)に1.0重量%の三酸化クロムを担
持し、600℃で焼成した固体触媒を1.44g/hr
の速度で、ジエチルアルミニウムエトキシドの重合器中
濃度、0.05mmol/lになるように供給し調整
し、精製ヘキサンを40L/hrの速度で供給し、また
エチレンを12kg/hrの速度で、分子量調節剤とし
て水素を気相濃度が約1.6mol%になるように供給
した以外は(A−1)と同じ重合条件で行った。
【0035】(A−4)の製造方法 図2の単段重合プロセスにおいて、ホモのポリエチレン
をつくるために、反応容積142Lの重合器6で重合し
た。重合温度は76℃、重合圧力は0.98MPaであ
る。この重合器6にシリカ(W.Rグレースアンドカン
パニ製グレード952)に1.0重量%の三酸化クロム
を担持し、600℃で焼成した固体触媒を1.32g/
hrの速度で、ジエチルアルミニウムエトキシドの重合
器中濃度が0.05mmol/lになるように供給し調
整した。精製ヘキサンは40L/hrの速度で供給し、
またエチレンを12kg/hrの速度で、分子量調節剤
として水素を気相濃度が約0.4mol%になるように
供給し重合を行う。重合器6内のポリマーは乾燥工程、
造粒工程を経た後ペレットとして得られる。得られた高
密度ポリエチレン及びその物性測定結果を表1に示す。
【0036】(A−5)の製造法 図2の単段重合プロセスにおいて、ホモのポリエチレン
をつくるために、反応容積170Lの重合器1で重合し
た。重合温度は80℃、重合圧力は0.98MPaであ
る。この重合器1にシリカ(W.Rグレースアンドカン
パニ製グレード952)に1.0重量%の三酸化クロム
を担持し、800℃で焼成した固体触媒を0.66g/
hrの速度で、メタノールとアルミニウムトリヘキシル
とをモル比0.69:1で反応させることにより得られ
た有機アルミニウム化合物が重合器中の濃度が0.08
mmol/lになるよう供給し調整した。精製イソブタン
は60L/hrの速度で供給し、またエチレンを11k
g/hr、6mol/lのヘキセン−1を1l/hrの
速度で、分子量調節剤として水素を気相濃度が約6mo
l%になるように供給し重合を行う。重合器1内のポリ
マーは乾燥工程、造粒工程を経た後ペレットとして得ら
れる。得られた高密度ポリエチレン及びその物性測定結
果を表1に示す。
【0037】(A−6)の製造法 図2の単段重合プロセスにおいて、ホモのポリエチレン
をつくるために、反応容積170Lの重合器1で重合し
た。重合温度は88℃、重合圧力は0.98MPaであ
る。この重合器1にシリカ(W.Rグレースアンドカン
パニ製グレード952)に1.0重量%の三酸化クロム
を担持し、600℃で焼成した固体触媒を0.7g/h
rの速度で、メタノールとアルミニウムトリヘキシルと
をモル比0.92:1で反応させることにより得られた
有機アルミニウム化合物が重合器中の濃度が0.08m
mol/lになるよう供給し調整した。精製ヘキサンは6
0L/hrの速度で供給し、またエチレンを12kg/
hrの速度で、分子量調節剤として水素を気相濃度が約
2.9mol%になるように供給し重合を行う。重合器
1内のポリマーは乾燥工程、造粒工程を経た後ペレット
として得られる。得られた高密度ポリエチレン及びその
物性測定結果を表1に示す。
【0038】(2)エチレン系重合体Bの製造方法 (B−1)の製造方法 図1の二段重合プロセスにおいて、まず、低分子量のポ
リエチレンをつくるために、反応容積170Lの重合器
1で重合した。重合温度は81℃、重合圧力は0.78
MPaである。この重合器1に塩化マグネシウムを基本
成分とする固体担体に四塩化チタンを担持した固体触媒
を0.4mmol(Ti原子基準)/hrの速度で、ト
リイソブチルアルミニウムを10mmol(金属原子基
準)/hrの速度で、精製ヘキサンを40L/hrの速
度で供給し、またエチレンを9.6kg/hrの速度
で、分子量調節剤として水素を気相濃度が約50mol
%になるように供給し重合を行う。このときのブテン−
1濃度は0.6mol%になるように供給し重合を行っ
た。
【0039】重合器1内のポリマースラリーを圧力0.
04MPa、温度70℃のフラッシュドラム3に導き、
未反応のエチレン、水素を分離した後、重合器6にスラ
リーポンプ5で昇圧し導入する。除去されたエチレン、
水素はコンプレッサー4により昇圧された重合器1に戻
される。重合器6ではブテンー1が共重合された高分子
量のポリエチレンをつくるために、温度64℃、圧力
0.20MPaで重合を行う。重合器6は内容積142
Lである。該重合器6にトリイソブチルアルミニウムを
15mmol(金属原子基準)/hrの速度で、精製ヘ
キサンを95L/hr、エチレンを10.3kg/hr
の速度でそれぞれ供給し、かつ、水素とブテンー1を気
相濃度がそれぞれ約0.5mol%、約7mol%にな
るように導入し重合を行った。重合器6内のポリマーは
乾燥工程、造粒工程を経た後ペレットとして得られる。
得られた高密度ポリエチレン及びその物性測定結果を表
1に示す。
【0040】(B−2)の製造方法 図1の二段重合プロセスにおいて、まず、低分子量のポ
リエチレンをつくるために、反応容積170Lの重合器
1で重合した。重合温度は81℃、重合圧力は0.59
MPaである。重合器6中の水素とブテンー1を気相濃
度がそれぞれ約0.5mol%、約4.9mol%にな
るように導入し、重合を行った以外は(B−1)と同様
に重合を行った。
【0041】(B−3)の製造方法 図1の二段重合プロセスにおいて、まず、低分子量のポ
リエチレンをつくるために、反応容積170Lの重合器
1で重合した。重合温度は85℃、重合圧力は0.70
MPaである。この重合器1に塩化マグネシウムを基本
成分とする固体担体に四塩化チタンを担持した固体触媒
を0.5mmol(Ti原子基準)/hrの速度で、ト
リイソブチルアルミニウムを10mmol(金属原子基
準)/hrの速度で、精製ヘキサンを40L/hrの速
度で供給し、またエチレンを10.2kg/hrの速度
で、分子量調節剤として水素を気相濃度が約55mol
%になるように供給し重合を行う。このときのブテン−
1濃度は0.17mol%を供給し重合を行った。
【0042】重合器1内のポリマースラリーを圧力0.
19MPa、温度70℃のフラッシュドラム3に導き、
未反応のエチレン、水素を分離した後、重合器6にスラ
リーポンプ5で昇圧し導入する。除去されたエチレン、
水素はコンプレッサー4により昇圧された重合器1に戻
される。重合器6ではブテンー1が共重合された高分子
量のポリエチレンをつくるために、温度65℃、圧力
0.24MPaで重合を行う。重合器6は内容積142
Lである。該重合器6にトリイソブチルアルミニウムを
15mmol(金属原子基準)/hrの速度で、精製ヘ
キサンを95L/hr、エチレンを10.6kg/hr
の速度でそれぞれ供給し、かつ、水素とブテンー1を気
相濃度がそれぞれ約5mol%、約1.7mol%にな
るように導入し重合を行った。重合器6内のポリマーは
乾燥工程、造粒工程を経た後ペレットとして得られる。
得られた高密度ポリエチレン及びその物性測定結果を表
1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】(実施例1、2)実施例1は上記ポリエチ
レン(A−1)を40重量部と(B−1)を60重量部
混練し、実施例2は上記ポリエチレン(A−2)を40
重量部と(B−1)を60重量部混練し、ポリエチレン
樹脂組成物を得た。 (実施例3)実施例3は上記ポリエチレン(A−6)を
75重量部と(B−3)を25重量部混練し、ポリエチ
レン樹脂組成物を得た。
【0045】(比較例1、2)比較例1は上記ポリエチ
レン(A−3)を40重量部と(B−1)を60重量部
混練し、比較例2は上記ポリエチレン(A−4)を40
重量部と(B−1)を60重量部混練し、ポリエチレン
樹脂組成物を得た。 (比較例3)比較例3は上記ポリエチレン(A−5)を
85重量部と(B−3)を15重量部混練し、ポリエチ
レン樹脂組成物を得た。 (比較例4、5)比較例4は上記ポリエチレン(A−
4)を25重量部と(B−2)を75重量部混練し、比
較例5は上記ポリエチレン(A−4)を80重量部と
(B−2)を20重量部混練し、ポリエチレン樹脂組成
物を得た。物性測定の結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
【発明の効果】本発明は、特に従来と異なるクロム系触
媒を用いることにより得られるポリエチレン樹脂の耐衝
撃性を高くすることによって、ESCRおよび耐衝撃性
などの機械物性のバランスを更に向上させると共に、高
速下での成形性、即ち高速せん断速度域での成形性に優
れたポリエチレン樹脂組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(B−1)〜(B−3)のポリエチレン樹脂
(B)を製造するための二段重合プロセスを説明する図
である。
【図2】(A−1)〜(A−6)のポリエチレン樹脂
(A)を製造するための単段重合プロセスを説明する図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA15 AA15X AA21X AF23Y AF53Y AF57Y BB06 BC01 BC04 4J002 BB03W BB03X BB05W BB05X 4J100 AA02P AA04Q CA01 CA04 DA01 DA04 DA09 DA13 DA14 DA15 DA36 DA42 FA09 FA11

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2種類のポリエチレン樹脂
    (A),(B)とからなり、ポリエチレン樹脂(A)が
    クロム系触媒により重合されるエチレン重合体もしくは
    炭素数3−20のαオレフィンとの共重合体で、密度
    (ρ)が0.920〜0.980g/cm3 であり、H
    LMFR(荷重21.6kg、温度190℃、以下MFR
    21.6という。)が0.01〜1000g/10分、GP
    C測定によって求められる分子量分布、MwとMnとの
    比(Mw/Mn)が8−25で、190℃においてダウ
    ンスピード5.0cm/minおける溶融伸びがME(1
    90℃;5.0cm/min)≧3.79Ln(MFR
    21.6)−1.57であり、且つ190℃においてダウン
    スピード5.0cm/minおける溶融張力がMT(19
    0℃;5.0cm/min)≧−24.9Ln(MFR
    21.6) +88.7であるクロム系ポリエチレン樹脂
    (A)であり、ポリエチレン樹脂(B)がチーグラー系
    触媒により重合されるエチレン重合体もしくは炭素数3
    −20のαオレフィンとの共重合体で密度(ρ)が0.
    896〜0.970g/cm3 、MFR21.6が0.01
    〜1000g/10分、GPC測定によって求められる
    分子量分布、MwとMnとの比(Mw/Mn)が20−
    50、であるチーグラー系ポリエチレン(B)であり、
    ポリエチレン樹脂(A)と(B)との配合割合が
    (A):(B)が(30:70)〜(75:25)の範
    囲で均一に混合された組成物で有り、該ポリエチレン樹
    脂組成物の密度(ρ)が0.940〜0.970g/c
    3 、MFR21.6が0.1〜100g/10分であり、
    190℃においてダウンスピード0.6cm/minお
    ける溶融伸びがME(190℃;0.6cm/min)≧
    2.05Ln(MFR21.6) +0.89であるポリエチ
    レン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリエチレン樹脂組成物の次式(1)で
    表される臨界せん断速度γ‘が60以上である事を特徴
    とする請求項1に記載のポリエチレン樹脂組成物。 【数1】γ‘=NMF×(Mw/Mn )/η0 (NMF:107dyn/cm2、η0 (Poise )) ・・・・・・・・・・(1) ここで、上記式(1)は、190℃において測定した溶
    融粘度とせん断速度との相関を次式(2)のBUCHE
    の式により外挿し得られた零せん断粘度(η0)と、ゲ
    ルパーミエーションクロマトグラフィー測定により得ら
    れた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と
    の比である分子量分布(Mw/Mn)との関係式であ
    る。 【数2】η(γ)=η0 /(1+(τ0 ×γ)n )(BUCHE の式)・・・(2)
  3. 【請求項3】 ポリエチレン樹脂組成物のN(vinyl N
    umber )が0.29以上0.60以下である請求項1又
    は2に記載のポリエチレン樹脂組成物。ここで、N(vi
    nyl Number)は数平均分子量当りのビニル量であり、
    次式(3)で表されるIR測定による末端ビニル基の吸
    収ピーク強度から算出される官能基数n(n/1000
    C)を求め、更にゲルパーミエーションクロマトグラフ
    ィーにより求められる数平均分子量(Mn)を基準単位
    であるCH2 (=14 )1000個分の重量で除した割合を掛け
    た次式(4)の値である。 【数3】 n=ε×A/ρ/t ・・・・・・・・・・・(3) n:末端ビニル量(N/1000C )個 ε:末端ビニル基吸光係数 A:末端ビニル基吸光度(910cm -1) ρ:密度(g/cm3 ) t:厚み(mm) 【数4】 N(vinyl Number )=n×(Mn/14000)・・・・(4)
  4. 【請求項4】 ポリエチレン樹脂(A)が酸化クロム触
    媒と有機アルミニウム化合物を組合わせてなる重合触媒
    存下において重合されたものであることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組
    成物。
  5. 【請求項5】 ポリエチレン樹脂(B)がマグネシウム
    化合物系チーグラー型触媒を用いて単段或いは多段重合
    によって重合されたものであることを特徴とする請求項
    1〜4のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポ
    リエチレン樹脂組成物からなる中空成形体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポ
    リエチレン樹脂組成物からなる押出成形体。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポ
    リエチレン樹脂組成物からなるフィルム成形体。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポ
    リエチレン樹脂組成物からなるシート成形体。
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