JPH11138810A - インクジェット式記録ヘッド - Google Patents

インクジェット式記録ヘッド

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JPH11138810A
JPH11138810A JP31212597A JP31212597A JPH11138810A JP H11138810 A JPH11138810 A JP H11138810A JP 31212597 A JP31212597 A JP 31212597A JP 31212597 A JP31212597 A JP 31212597A JP H11138810 A JPH11138810 A JP H11138810A
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JP
Japan
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lower electrode
piezoelectric
pressure generating
ink
film
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP31212597A
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English (en)
Inventor
Tsutomu Hashizume
勉 橋爪
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電振動子の単位電圧当たりの変位量を大き
くしたインクジェット式記録ヘッドを提供する。 【解決手段】 ノズル開口に連通する圧力発生室12の
一部を構成する振動板上に、該振動板の表面に形成され
た下電極60と、該下電極上60に形成された圧電体層
70と、該圧電体層70の表面に形成された上電極80
とからなる圧電体能動部320を設けた圧電振動子を備
えるインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記下電極
60は前記圧力発生室12に対向する領域内にパターニ
ングされ、この下電極60の少なくとも一部を覆うと共
に当該下電極60の一部を露出するコンタクトホール9
2を有する絶縁体層90と、該絶縁体層90の前記コン
タクトホール92を介して前記下電極60と接続される
リード電極105とを有することにより、圧電振動子の
変位量を大きくとることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴を吐出す
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構
成し、この振動板の表面に圧電体層を形成して、圧電体
層の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】インク滴を吐出するノズル開口と連通す
る圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧
電振動子により変形させて圧力発生室のインクを加圧し
てノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット
式記録ヘッドには、圧電振動子が軸方向に伸長、収縮す
る縦振動モードの圧電振動子を使用したものと、たわみ
振動モードの圧電振動子を使用したものの2種類が実用
化されている。
【0003】前者は圧電振動子の端面を弾性板に当接さ
せることにより圧力発生室の容積を変化させることがで
きて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電振動子をノズル開口の配列ピッチに一致させて
櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられ
た圧電振動子を圧力発生室に位置決めして固定する作業
が必要となり、製造工程が複雑であるという問題があ
る。
【0004】これに対して後者は、圧電材料のグリーン
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電振動子を
作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する
関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困
難であるという問題がある。
【0005】一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消す
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電振動子を形成したものが提案
されている。
【0006】これによれば圧電振動子を弾性板に貼付け
る作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、
かつ簡便な手法で圧電振動子を作り付けることができる
ばかりでなく、圧電振動子の厚みを薄くできて高速駆動
が可能になるという利点がある。
【0007】また、この場合、圧電材料層は弾性板の表
面全体に設けたままで少なくとも上電極のみを各圧力発
生室毎に設けることにより、各圧力発生室に対応する圧
電振動子を駆動することができるが、単位駆動電圧当た
りの変位量および圧力発生室に対向する部分とその外部
とを跨ぐ部分で圧電体層へかかる応力の問題から、圧電
体層および上電極からなる圧電体能動部を、少なくとも
一端部以外は圧力発生室外に出ないように形成するのが
望ましい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うなインクジェット式記録ヘッドにおいては、圧電振動
子の駆動による振動板の変位効率を向上するために、圧
電振動子の両側に対応する部分の振動板を薄くする構造
が提案されている。
【0009】このような構造では、各圧電振動子と外部
電源との電気的接続を図るのが問題となるが、電気的接
続が可能であれば、必要最低限の振動板のみを残して他
の層を除去するのが、変位量を大きくするためには好ま
しい。
【0010】本発明はこのような事情に鑑み、圧電振動
子の単位電圧当たりの変位量を大きくしたインクジェッ
ト式記録ヘッドを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明の第1の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室の
一部を構成する振動板上に、該振動板の表面に形成され
た下電極と、該下電極上に形成された圧電体層と、該圧
電体層の表面に形成された上電極とからなる圧電体能動
部を設けた圧電振動子を備えるインクジェット式記録ヘ
ッドにおいて、前記下電極は前記圧力発生室に対向する
領域内にパターニングされ、この下電極の少なくとも一
部を覆うと共に当該下電極の一部を露出するコンタクト
ホールを有する絶縁体層と、該絶縁体層の前記コンタク
トホールを介して前記下電極と接続されるリード電極と
を有することを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
にある。
【0012】かかる第1の態様では、下電極が圧力発生
室に対向する領域にパターニングされ、したがって、圧
電振動子の駆動による変位量を大きくすることができ
る。
【0013】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記コンタクトホールが、前記圧力発生室の長手方
向の一端部に設けられていることを特徴とするインクジ
ェット式記録ヘッドにある。
【0014】かかる第2の態様では、圧力発生室に対向
する領域にパターニングされた下電極の端部からコンタ
クトホールを介してリード電極を引き出すことができ
る。
【0015】本発明の第3の態様は、第1又は2の態様
において、前記圧力発生室がシリコン単結晶基板に異方
性エッチングにより形成され、前記圧電振動子の各層が
成膜及びリソグラフィ法により形成されたものであるこ
とを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0016】かかる第3の態様では、高密度のノズル開
口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ比
較的容易に製造することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施形態に基づい
て詳細に説明する。
【0018】(実施形態1)図1は、本発明の実施形態
1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す組立斜視図
であり、図2は、平面図及びその1つの圧力発生室の長
手方向における断面構造を示す図である。
【0019】図示するように、流路形成基板10は、本
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなる。流路形成基板10としては、通常、150〜3
00μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは18
0〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の
厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室
間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるから
である。
【0020】流路形成基板10の一方の面は開口面とな
り、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリ
コンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成され
ている。
【0021】一方、流路形成基板10の開口面には、シ
リコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、
ノズル開口11、圧力発生室12が形成されている。
【0022】ここで、異方性エッチングは、シリコン単
結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々
に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面
と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且
つ上記(110)と約35度の角度をなす第2の(11
1)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと
比較して(111)面のエッチングレートが約1/18
0であるという性質を利用して行われるものである。か
かる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)
面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平
行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うこと
ができ、圧力発生室12を高密度に配列することができ
る。
【0023】本実施形態では、各圧力発生室12の長辺
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。なお、弾性膜50は、シ
リコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵さ
れる量がきわめて小さい。
【0024】一方、各圧力発生室12の一端に連通する
各ノズル開口11は、圧力発生室12より幅狭で且つ浅
く形成されている。すなわち、ノズル開口11は、シリ
コン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハー
フエッチング)することにより形成されている。なお、
ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行わ
れる。
【0025】ここで、インク滴吐出圧力をインクに与え
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口11の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口11は数十μmの溝幅で精度よく形成する必要
がある。
【0026】また、各圧力発生室12と後述する共通イ
ンク室31とは、後述する封止板20の各圧力発生室1
2の一端部に対応する位置にそれぞれ形成されたインク
供給連通口21を介して連通されており、インクはこの
インク供給連通口21を介して共通インク室31から供
給され、各圧力発生室12に分配される。
【0027】封止板20は、前述の各圧力発生室12に
対応したインク供給連通口21が穿設された、厚さが例
えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下
で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラ
スセラミックスからなる。なお、インク供給連通口21
は、図3(a),(b)に示すように、各圧力発生室1
2のインク供給側端部の近傍を横断する一つのスリット
孔21Aでも、あるいは複数のスリット孔21Bであっ
てもよい。封止板20は、一方の面で流路形成基板10
の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外
力から保護する補強板の役目も果たす。また、封止板2
0は、他面で共通インク室31の一壁面を構成する。
【0028】共通インク室形成基板30は、共通インク
室31の周壁を形成するものであり、ノズル開口数、イ
ンク滴吐出周波数に応じた適正な厚みのステンレス板を
打ち抜いて作製されたものである。本実施形態では、共
通インク室形成基板30の厚さは、0.2mmとしてい
る。
【0029】インク室側板40は、ステンレス基板から
なり、一方の面で共通インク室31の一壁面を構成する
ものである。また、インク室側板40には、他方の面の
一部にハーフエッチングにより凹部40aを形成するこ
とにより薄肉壁41が形成され、さらに、外部からのイ
ンク供給を受けるインク導入口42が打抜き形成されて
いる。なお、薄肉壁41は、インク滴吐出の際に発生す
るノズル開口11と反対側へ向かう圧力を吸収するため
のもので、他の圧力発生室12に、共通インク室31を
経由して不要な正又は負の圧力が加わるのを防止する。
本実施形態では、インク導入口42と外部のインク供給
手段との接続時等に必要な剛性を考慮して、インク室側
板40を0.2mmとし、その一部を厚さ0.02mm
の薄肉壁41としているが、ハーフエッチングによる薄
肉壁41の形成を省略するために、インク室側板40の
厚さを初めから0.02mmとしてもよい。
【0030】一方、流路形成基板10の開口面とは反対
側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.5μm
の下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜
70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80と
が、後述するプロセスで積層形成されて、圧電振動子
(圧電素子)を構成している。このように、弾性膜50
の各圧力発生室12に対向する領域には、各圧力発生室
12毎に独立して圧電振動子が設けられており、下電極
膜60と上電極膜80とに電圧を印加することにより圧
電歪みが生じる圧電体能動部が、各圧力発生室12毎に
形成されていることになる。
【0031】そして、かかる各上電極膜80の上面の少
なくとも周縁、及び圧電体膜70の側面を覆うように電
気絶縁性を備えた絶縁体層90が形成されている。絶縁
体層90は、成膜法による形成やエッチングによる整形
が可能な材料、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、有
機材料、好ましくは剛性が低く、且つ電気絶縁性に優れ
た感光性ポリイミドで形成するのが好ましい。
【0032】絶縁体層90の各上電極膜80の一端部に
対応する部分の上面を覆う部分の一部には後述するリー
ド電極100と接続するために上電極膜80の一部を露
出させるコンタクトホール91が形成されている。そし
て、このコンタクトホール91を介して各上電極膜80
に一端が接続され、また他端が接続端子部に延びるリー
ド電極100が形成されている。
【0033】さらに、各圧力発生室12に対向する領域
にパターニングされた各下電極膜60を覆う絶縁体層9
0の部分には、コンタクトホール92が形成されてい
る。そして、このコンタクトホール92を介して各下電
極膜60に一端が接続され、また他端が接続端子に延び
るリード電極105が形成されている。
【0034】これにより、圧電体能動部は、単位電圧あ
たりの変位量を大きくとることができる。
【0035】ここで、リード電極100及び105は、
Cr−Auなどの金属導電体膜で形成してもよいが、有
機導電体の材質で形成された有機導電性膜で形成しても
よい。有機導電体の材料としては、ポリアセチレン、ポ
リフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリフェニレン
スルフィド、ポリチオフェン等の共役系導電性高分子、
又はグラファイトなどを挙げることができる。このよう
な有機導電性膜は金属層などと比較してヤング率が極め
て小さいので、これを用いた場合には、圧電振動子の駆
動の際に異常な応力が発生する虞がないので、初期の圧
電特性を長期に亘って維持することができるという効果
を奏する。
【0036】ここで、シリコン単結晶基板からなる流路
形成基板10上に、圧電体膜70等を形成するプロセス
を図4を参照しながら説明する。
【0037】図4(a)に示すように、まず、流路形成
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性
膜50を形成する。
【0038】次に、図4(b)に示すように、スパッタ
リングで下電極膜60を形成する。下電極膜60の材料
としては、Pt等が好適である。これは、スパッタリン
グやゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜70は、成
膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜100
0℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるから
である。すなわち、下電極膜70の材料は、このような
高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければなら
ず、殊に、圧電体膜70としてPZTを用いた場合に
は、PbOの拡散による導電性の変化が少ないことが望
ましく、これらの理由からPtが好適である。
【0039】次に、図4(c)に示すように、圧電体膜
70を成膜する。この圧電体膜70の成膜にはスパッタ
リングを用いることもできるが、本実施形態では、金属
有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥
してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物
からなる圧電体膜70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を
用いている。圧電体膜70の材料としては、チタン酸ジ
ルコン酸鉛(PZT)系の材料がインクジェット式記録
ヘッドに使用する場合には好適である。
【0040】次に、図4(d)に示すように、上電極膜
80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料で
あればよく、Al、Au、Ni、Pt等の多くの金属
や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態では、P
tをスパッタリングにより成膜している。
【0041】次に、図5に示すように、下電極膜60、
圧電体膜70及び上電極膜80をパターニングする。
【0042】まず、図5(a)に示すように、下電極膜
60、圧電体膜70及び上電極膜80を一緒にエッチン
グして下電極膜60の全体パターンをパターニングす
る。次いで、図5(b)に示すように、圧電体膜70及
び上電極膜80のみをエッチングして圧電体能動部32
0のパターニングを行う。このとき同時に、図7(a)
に示すように、圧力発生室12の一端部に対向する部分
の下電極膜60を露出させ、下電極露出部360を形成
する。
【0043】次に、図5(c)に示すように、各圧力発
生室12(図5では圧力発生室12は形成前であるが、
破線で示す)の幅方向両側に対向した領域である圧電体
能動部320の両側及び両端部の振動板の腕に相当する
部分の下電極膜60を除去することにより、下電極膜除
去部350を形成する。このように下電極膜除去部35
0を設けることにより、圧電体能動部320への電圧印
加による変位量の向上を図るものである。
【0044】以上のように、下電極膜60等をパターニ
ングした後には、好ましくは、各上電極膜80の上面の
少なくとも周縁、及び圧電体膜70および下電極膜60
の側面を覆うように電気絶縁性を備えた絶縁体層90を
形成する(図1参照)。
【0045】次に、絶縁体層の形成プロセスを図6に示
す。
【0046】まず、図6(a)に示すように、上電極膜
80の周縁部、圧電体膜70及び下電極膜60の側面を
覆うように絶縁体層90を形成する。このとき、図7
(b)に示すように、下電極膜露出部360も絶縁体層
90で覆われる。この絶縁体層90の好適な材料は上述
した通りであるが、本実施形態ではネガ型の感光性ポリ
イミドを用いている。
【0047】次に、図6(b)に示すように、絶縁体層
90をパターニングすることにより、各圧力発生室12
のインク供給側の端部近傍に対応する部分にコンタクト
ホール91を形成する。また、同時に、図7(c)に示
すように、下電極膜露出部360に対応する位置にコン
タクトホール92を形成する。
【0048】このコンタクトホール91は、後述するリ
ード電極100と上電極膜80との接続をするためのも
のである。また、コンタクトホール92は、後述するリ
ード電極105と下電極膜60との接続をするためのも
のである。なお、コンタクトホール91は、圧力発生室
12の圧電体能動部320に対応する部分に設ければよ
く、例えば、中央部やノズル側端部に設けてもよい。ま
た、コンタクトホール92は、端部に設けるのが好まし
いが、何れの端部でもよい。さらに、本実施形態では、
絶縁体層90は、圧電体能動部320の全体を覆うよう
に形成しているが、不必要な部分は除去してもよいこと
はいうまでもない。
【0049】次に、Cr−Auを全面にスパッタ形成
し、または、例えば、ポリアセチレンなどの有機導電体
を、例えば、スピンコーティングすることにより、全面
に有機導電性膜を成膜した後、パターニングすることに
より、リード電極100及び105を形成する(図7
(d))。なお、リード電極100及び105の形成方
法は特に限定されず、材料に応じて、CVDなど他の方
法を採用してもよい。
【0050】以上が膜形成プロセスである。このように
して膜形成を行った後、図6(c)に示すように、前述
したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エ
ッチングを行い、圧力発生室12等を形成する。なお、
以上説明した一連の膜形成及び異方性エッチングは、一
枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセス
終了後、図1に示すような一つのチップサイズの各流路
形成基板10に分割する。また、分割した流路形成基板
10を、封止板20、共通インク室形成基板30、及び
インク室側板40と順次接着して一体化し、インクジェ
ット式記録ヘッドとする。
【0051】このように構成したインクジェットヘッド
は、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導
入口42からインクを取り込み、共通インク室31から
ノズル開口11に至るまで内部をインクで満たした後、
図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従い、リー
ド電極100及び105を介して下電極膜60と上電極
膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜6
0及び圧電体膜70をたわみ変形させることにより、圧
力発生室12内の圧力が高まりノズル開口11からイン
ク滴が吐出する。
【0052】(他の実施形態)以上、本発明の各実施形
態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的
構成は上述したものに限定されるものではない。
【0053】例えば、上述した封止板20の他、共通イ
ンク室形成板30をガラスセラミックス製としてもよ
く、さらには、薄肉膜41を別部材としてガラスセラミ
ックス製としてもよく、材料、構造等の変更は自由であ
る。
【0054】また、上述した実施形態では、ノズル開口
を流路形成基板10の端面に形成しているが、面に垂直
な方向に突出するノズル開口を形成してもよい。
【0055】このように構成した実施形態の分解斜視図
を図8、その流路の断面を図9にぞれぞれ示す。この実
施形態では、ノズル開口11が圧電振動子とは反対側の
ノズル基板120に穿設され、これらノズル開口11と
圧力発生室12とを連通するノズル連通口22が、封止
板20,共通インク室形成板30及び薄肉板41A及び
インク室側板40Aを貫通するように配されている。
【0056】なお、本実施形態は、その他、薄肉板41
Aとインク室側板40Aとを別部材とし、インク室側板
40に開口40bを形成した以外は、基本的に上述した
実施形態と同様であり、同一部材には同一符号を付して
重複する説明は省略する。
【0057】ここで、この実施形態においても、上述し
た各実施形態と同様に、下電極膜60が圧力発生室12
に対向する領域にパターニングされているので、圧電体
能動部の駆動による変位量を大きくとることができる。
また、リード電極100及び105を有機導電体からな
る材料で形成することにより、駆動時に圧電体膜に異常
な応力がかかることがないので、特性劣化が生じること
がない。
【0058】また、以上説明した各実施形態は、成膜及
びリソグラフィプロセスを応用することにより製造でき
る薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、
勿論これに限定されるものではなく、例えば、基板を積
層して圧力発生室を形成するもの、あるいはグリーンシ
ートを貼付もしくはスクリーン印刷等により圧電体膜を
形成するもの、又は結晶成長により圧電体膜を形成する
もの等、各種の構造のインクジェット式記録ヘッドに本
発明を採用することができる。
【0059】また、圧電振動子とリード電極との間に絶
縁体層を設けた例を説明したが、これに限定されず、例
えば、絶縁体層を設けないで、各上電極に異方性導電膜
を熱溶着し、この異方性導電膜をリード電極と接続した
り、その他、ワイヤボンディング等の各種ボンディング
技術を用いて接続したりする構成としてもよい。
【0060】このように、本発明は、その趣旨に反しな
い限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応
用することができる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように本発明においては、
下電極膜が圧力発生室に対向する領域にパターニングさ
れ、下電極膜を覆う絶縁体層に形成されたコンタクトホ
ールを介してリード電極と接続されているので、圧電体
能動部の単位電圧当たりの変位量を大きくとることがで
きる。また、リード電極を有機導電体からなる材料で形
成したため、駆動時に圧電体膜に異常な応力がかかるこ
とがなく、特性劣化が生じることがないという効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドを示す図であり、図1の平面図及び断面図であ
る。
【図3】図1の封止板の変形例を示す図である。
【図4】本発明の薄膜製造工程を示す図である。
【図5】本発明の薄膜製造工程を示す図である。
【図6】本発明の薄膜製造工程を示す図である。
【図7】本発明の薄膜製造工程を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式
記録ヘッドの分解斜視図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式
記録ヘッドを示す断面図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板 11 ノズル開口 12 圧力発生室 50 弾性膜 60 下電極膜 70 圧電体膜 80 上電極膜 90 絶縁体層 91,91 コンタクトホール 100,105 リード電極(有機導電体) 320 圧電体能動部 350 下電極膜除去部 360 下電極膜露出部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズル開口に連通する圧力発生室の一部
    を構成する振動板上に、該振動板の表面に形成された下
    電極と、該下電極上に形成された圧電体層と、該圧電体
    層の表面に形成された上電極とからなる圧電体能動部を
    設けた圧電振動子を備えるインクジェット式記録ヘッド
    において、 前記下電極は前記圧力発生室に対向する領域内にパター
    ニングされ、この下電極の少なくとも一部を覆うと共に
    当該下電極の一部を露出するコンタクトホールを有する
    絶縁体層と、該絶縁体層の前記コンタクトホールを介し
    て前記下電極と接続されるリード電極とを有することを
    特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記コンタクトホー
    ルが、前記圧力発生室の長手方向の一端部に設けられて
    いることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、前記圧力発生
    室がシリコン単結晶基板に異方性エッチングにより形成
    され、前記圧電振動子の各層が成膜及びリソグラフィ法
    により形成されたものであることを特徴とするインクジ
    ェット式記録ヘッド。
JP31212597A 1997-11-13 1997-11-13 インクジェット式記録ヘッド Withdrawn JPH11138810A (ja)

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