JPH1113859A - 成形歯車の歯形形状 - Google Patents

成形歯車の歯形形状

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JPH1113859A JP16453397A JP16453397A JPH1113859A JP H1113859 A JPH1113859 A JP H1113859A JP 16453397 A JP16453397 A JP 16453397A JP 16453397 A JP16453397 A JP 16453397A JP H1113859 A JPH1113859 A JP H1113859A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯数、転位係数等により、個々の条件で相手
歯車との干渉がなく、かつ最大の強度が得られる成形歯
車の歯形形状を得る。 【解決手段】 歯底面から任意半径の円弧歯元面が構成
されているインボリュート歯車において、歯元円弧半径
Rは、同一の歯車諸元による日本歯車工業界規格(以下
「JGMA」という)401−01の歯形係数と等しい
ときの歯元円弧半径をRyf、転位係数をXとした場
合、 R=Ryf+f(X) f(X)=(X−A)/10 f(X)≦0 A:定数(>0) の関係式により補正される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂製平歯車、焼
結歯車等の成形平歯車の歯形形状に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、成形加工の平歯車の歯元形状につ
いて、円弧形状で構成されていることは全ての設計者が
知っているとは限らなかったため、許容応力計算も従来
の日本歯車工業界規格(以下「JGMA」という)で行
っており、実際の部品とは適合していない場合があっ
た。さらに、歯元円弧半径を決定するアルゴリズムも存
在せず、また、上記形状を基本とした許容応力計算式も
なかった。従って、経験上から任意歯元円弧半径を決定
していたため、相手歯車との干渉防止から必要以上に小
さな半径を設定することが多く、強度に関して不利な場
合が多かった。
【0003】歯車は歯元形状がトロコロイド曲面として
JGMA401−01に規格されている。ここで、JG
MA401−01とは、一般産業機械用の歯車につい
て、理解が容易で、計算に過度の時間と労力を要せず、
また、計算結果に個人差が生じないことを目標にして統
一した計算方式を確立して、歯車及び歯車変速機の設
計、製作、及び使用の全体にわたって、技術の向上、省
力化、経費の低減、製品の統一化等の利点を得る目的
で、一般に広く使われることを目標に歯車の強さ計算に
関する規格を制定したものである。
【0004】部品の構成上、成形歯車が必要となる場
合、加工条件設定時に歯元部の円弧半径Rを数値入力す
る。その場合、インボリュートの基点から歯車中心への
直線と歯底面を上記半径Rの円弧で接続、若しくはイン
ボリュート面と歯底面を半径Rの円弧で接続している。
このように、モジュール、歯数により一定の値の半径R
を歯元に構成するように暫定案として提示しているため
に、転位係数、歯数により非常に強度が低下する場合が
ある。実際には計算許容応力より低い部品が多く、問題
が発生する可能性がある。また、その点を解消するため
には、大きな安全率を設定する必要があり、非経済とな
っている。しかも、現在は歯元円弧の歯形強度を計算す
るアルゴリズムはないのが実状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
解決するためになされたもので、歯数、転位係数等によ
り、個々の条件で相手歯車との干渉がなく、かつ最大の
強度が得られる成形歯車の歯形形状を設定することがで
きる。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に請求項1記載の発明は、歯底面から任意半径の円弧歯
元面が構成されているインボリュート歯車の歯元円弧半
径Rは、Ryfを同一の歯車諸元によるJGMA401
−01の歯形係数と等しいときの歯元円弧半径、Xを転
位係数とした場合、 R=Ryf+f(X) f(X)=(X−A)/10 f(X)≦0 A定数(>0) の関係式により補正されていることを特徴とする。
【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記歯元円弧半径の上限をRmaxとした
場合、 Rmax=Ryf+f(X) f(X)=(X−A)/10 f(X)≦0 A=0.3〜0.5 の関係式を満たすことを特徴とする。
【0008】請求項3記載の発明は、請求項2記載の発
明において、前記歯元円弧半径の下限をRminとした
場合、 Rmin=Rmax−B B=0.1〜0.2 の関係式を満たすことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら歯元円
弧半径Rを補正するために用いる係数について説明し、
本発明にかかる成形歯車の歯形形状についての実施の形
態を説明する。
【0010】最初にJGMA401−01における歯形
係数(工具で創成される歯形)について説明する。歯形
係数YFは、歯車の歯の幾何学的形状と曲げ強さを関係
づける為の係数で、歯面にかかる荷重全体が歯先にかか
るものとして最弱断面曲げ応力を基準として求められ
る。工具による創成歯形を図1に示す。最弱断面は、ホ
ーファー30゜線、すなわち歯形の中心線1から30゜
傾けた直線2、3が歯元曲面に接する点4、5を結んだ
断面6となる。また、歯先面に直角な加重線7が中心線
1と交わる点を8とすると、最弱断面歯厚Snfは断面6
の長さ、加重高さhfは断面6と点8との距離であらわ
される。また、加重線7と断面6との角度を歯直角歯先
荷重角αnf、歯直角基準圧力角αn(図示せず)、歯直
角モジュールmnとすると、歯形係数YFは次の式であら
わされる。 YF={6(hf/mn)cosαnf}/{(Snf/mn
2cosαn
【0011】次に、成形歯車の歯元円弧構成の歯形の歯
形係数について説明する。成形加工による平歯車は、金
型加工上のアルゴリズムから、歯数、転位係数、及び歯
元円弧の半径により、図2(a)、図2(b)に示され
るような2通りの場合がある。図2(a)に示すよう
に、基礎円9上のインボリュート面の基点10から歯車
中心11への直線12と歯底円13とを任意半径の歯元
円弧14で結んだ歯形形状とした場合と、図2(b)に
示すようにインボリュート面15と歯底円16とを任意
半径の歯元円弧17で結んだ歯形形状の場合である。
【0012】歯元円弧構成歯形の歯形係数YF’は、
(1)と同様に考える。例えば図2(a)において、最
弱断面は(1)と同様にホーファー30゜線18、19
が歯元円弧に接する点20、21を結んだ断面22とな
る。また、加重に関しては(1)と同一となるため、歯
先面に直角な加重線23が中心線24と交わる点25と
すると、歯元円弧構成歯形の最弱断面歯厚Snf’は断面
22の長さ、歯元円弧構成歯形の加重高さhf’は断面
22と点25との距離であらわされる。従って、歯元円
弧構成歯形の歯形係数YF’は次の式で表される。 YF’={6(hf’/mn)cosαnF}/{(Snf
/mn)2cosαn} 上記式は、図2(b)においても同様である。
【0013】次に加重高さhf’、最弱断面歯厚Snf
の求め方について説明する。まず歯元円弧の中心の極座
標(Re、θ)を求める。Reは図2(a)、図2
(b)の双方の場合とも、歯底円13、16の半径をR
sとし、歯元円弧の半径をRzとすると、 Re=Rs+Rz で表される。θは、図2(a)と図2(b)とで求め方
が異なってくる。図2(a)の場合、直線12と歯元円
弧14の歯元円弧中心26との角度θ’は、中心26か
ら直線12への垂線、この交点と歯車中心11、歯車中
心と歯元円弧中心26からなる直角三角形を考えること
で求められる。これに、中心線24とインボリュート面
の基点10とのなす角度θ″を加えることで求められ
る。
【0014】図2(b)の場合、歯元円弧中心27は基
礎円28上のインボリュート面15の基点29から、基
礎円28上での円弧長が歯元円弧半径と等しい点30を
基点とするインボリュート線31上に位置する。従っ
て、歯車中心32から前述のように歯元円弧中心27ま
での距離が求められているため、インボリュート線31
との交点30を求めることで計算できる。これは、一般
的に任意半径でのインボリュート面上での座標を計算す
るのと同じように、歯面座標と同様に求めることができ
る。
【0015】歯元円弧中心の極座標(Re、θ)が求め
られると、歯元円弧構成歯形の最弱断面歯厚Snf’及び
歯元円弧構成歯形の加重高さhf’は次の式で求められ
る。但し、点25と歯車中心11の距離は、JGNA4
01−01を参考とし、歯直角歯先荷重角をαnF、歯直
角基準圧力角をαnとする。 Snf’=2(Re×sinθ−Rz×cos30゜) hf’Rz×cosαn/cosαnF/2−(Re×co
sθ−Rz×sin30゜)
【0016】次に、JGMA401−01の歯形係数と
等しくなる歯元円弧Rの計算及び補正について説明す
る。JGMA401−01においては、歯車の強さ計算
に関する規格が示されているが、歯元円弧半径の計算方
法については記載されていない。そこで、図3におい
て、工具創成歯形の歯形係数が、JGMA401−01
の歯形係数とほぼ同等となる歯元円弧歯形の歯元円弧半
径を求め、さらに補正を行う計算フローの概略を示す。
歯車諸元設定32により、モジュール、歯数、転位係数
を入力する。その他の歯形係数に影響する諸元、歯末の
たけ、歯元のたけ、工具先端半径R等は標準的な数値に
固定、設定されている。
【0017】計算ブロック33でJGMA401−01
に基づき、工具創成歯形での基準となる基準歯形係数Y
Fの計算を行う。
【0018】さらに、計算ブロック34で歯元円弧歯形
の歯形係数YF’の計算を行う。この場合、歯元円弧半
径の計算精度を設定、その範囲で、歯元円弧半径を変化
させ、歯形係数YF’が基準歯形係数YFのより大きく、
かつ誤差が最小の時の、歯元円弧半径Ryfを求める。
F≦YF’とし、歯形係数としては数値が大きい方が許
容応力が小さい。基準歯形係数YFより小さい場合、相
手歯車との干渉が想定される。
【0019】求められた歯元円弧半径Ryfを計算ブロ
ック35で補正を行い、補正後の歯元円弧半径を求め
る。本実施の形態では相手歯車との干渉がない最大歯元
円弧半径Rmaxを求めるため、複数の補正係数での歯
元円弧半径Rを求めている。補正式を次に示す。 R=Ryf+(X−A)/10 A=X:補正無 A=0.2〜0.6 この場合、歯形干渉防止の為、歯形係数同等歯元円弧半
径Ryfより小さいことが前提条件となる為、補正項正
の場合が、補正項=0として計算を行っている。
【0020】相手歯車との干渉を調べる為に、相手歯車
の歯先に相当する位置、歯底から0.25モジュールの
高さの歯形座標を比較している。歯車中心から(歯底円
半径+0.25)の半径での工具創成歯形の歯形座標
と、任意半径の歯元円弧歯形の歯形座標とのX座標での
比較を行い、歯元円弧歯形のX座標数値が大きいと相手
歯車との干渉が考えられる。また、参考として歯車中心
間距離が小さくなった場合も想定し、歯底から0.2モ
ジュールの高さでのX座標の比較を行った。
【0021】比較の為、歯数25と一定とし、転位係数
を変化させた時の、補正無の場合、補正をした時の結果
を図4に示す。数値は[工具創成歯形のX座標]−[歯
元円弧歯形のX座標]で負の場合は全て0で表記してい
る。また、図4の結果を図5にグラフとして示す。さら
に、実際の歯形形状を図6に示す。左側が補正無の形状
であり、右側が本発明での形状である。
【0022】図4、図5で示されるように、補正無にお
いては転位係数−0.5では、上記数値が約0.05と
なり、歯形干渉が発生、補正。では0.01以下となり
バックラッシュ量を考慮した場合、実用上問題がなくな
る。さらに干渉に対し確実にするためには、補正」まで
の範囲で充分となり、これ以上の補正量とすると歯元が
細くなり強度上に問題が発生する。従って、歯元円弧半
径の上限値として、補正項の定数部を0.3〜0.5の
範囲で設定することにより、実用上干渉もない、可能な
強度を得られる歯形を提供できる。
【0023】前述のように、歯元円弧半径の上限値を設
定したが、歯車を実際に用いる場合、加工上の精度(公
差)が問題となる。また、歯形係数同等の歯元円弧半径
の下限値は、転位係数+0.9の時、0.375モジュ
ールとなっているが、原理的に、工具先端半径Rを0.
375モジュールに設定した為、歯元はその値以下で創
成されないため、歯元部に円弧R部を構成する為には、
公差下限値は−0.375モジュール以上とする必要が
ある。公差巾として、加工上と強度上の2面から考える
必要がある。歯元円弧半径が小さくなると、歯元が細く
なり強度が低下してくる。この強度への影響は歯形係数
値の変化、比較により判断できる。工具創成歯形を1と
した時、歯元円弧歯形の強度比を強度係数として考える
と、次の式で表される。 [強度係数]=[工具創成歯形の歯形係数]/[歯元円
弧歯形の歯形係数]
【0024】転位係数を0、補正された歯元円弧半径の
設定を0.05モジュール単位とした時の強度係数と、
設定歯元円弧半径から0.05モジュール、0.1モジ
ュールだけ減じた時の強度係数とを図7に示す。強度係
数としては、鋸歯状の変化を示し、これは、設定歯元円
弧半径を0.05モジュール単位に丸め処理した場合を
示している。設定半径での強度係数は歯数21では約
0.95(工具創成歯形に対し約7%強度低下)となっ
ている。また、−0.1モジュール減じた時の強度係数
は設定半径に対し、さらに約0.06低下(工具創成歯
形に対し約13%強度低下)となっている。
【0025】工具創成歯形に対する強度低下は設計時に
考慮されるとすれば、公差による強度低下が問題となっ
てくる。従って、公差による強度低下を10%程度で押
さえようとすると、概略計算で−0.16モジュール以
上となる。加工上、モジュールが小さい場合、例えば、
モジュール0.2では公差巾0.1モジュールでは実寸
で0.02mmとなる。また、成形上歯元部は肉厚が厚
くなり、ヒゲ等が出やすく精度が不安定となり、この公
差巾では非常に困難となっている。この場合、実寸で
0.04mm程度、0.2モジュール必要とされる。以
上から、モジュールの大きさにより、下限値として−
0.1モジュール〜−0.2モジュールに設定すること
で、加工上、強度上の2面から妥当な歯元円弧半径が設
定できる。例えば、モジュール0.6以上は下限値−
0.1モジュール、あるいはモジュール0.6未満は下
限値−0.2モジュール等のように、必要に応じて細か
く設定しても良い。
【0026】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、歯底面か
ら任意半径の円弧歯元面が構成されているインボリュー
ト歯車の歯元円弧半径Rは、Ryfを同一の歯車諸元に
よるJGMA401−01の歯形係数と等しいときの歯
元円弧半径、Xを転位係数とした場合、 R=Ryf+f(X) f(X)=(X−A)/10 f(X)≦0 A定数(>0) の関係式により補正したため、従来の強度計算(歯形係
数計算)を応用して、歯元円弧歯形まで許容応力の計算
が可能になり、かつ、歯形干渉がなく、強度劣化も小さ
く、歯数、転位係数等によりそれぞれの条件で最適な歯
元円弧半径が設定可能となる。
【0027】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の発明において、前記歯元円弧半径の上限をRmax
とした場合、 Rmax=Ryf+f(X) f(X)=(X−A)/10 f(X)≦0 A=0.3〜0.5 の関係式を満たすようにしたため、相手歯車との干渉が
問題とならないような歯元円弧半径の上限値を設定する
ことができる。
【0028】請求項3記載の発明によれば、請求項2記
載の発明において、前記歯元円弧半径の下限をRmin
とした場合、 Rmin=Rmax−B B=0.1〜0.2 の関係式を満たすようにしたため、上限値を基準として
下限値を設定するため、公差の上限・下限での強度差を
実用上可能な範囲で押さえることができる。また、加工
上の問題から、モジュールの大きさにより巾を持たせた
ため、モジュールが小さく、強度をあまり必要としない
ものは公差巾を大きく設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる成形歯車の歯形形状の一例を示
す正面図である。
【図2】本発明にかかる成形歯車の歯形形状の別の例を
示す正面図である。
【図3】本発明にかかる成形歯車の歯元円弧半径の計算
工程を示すフローチャートである。
【図4】本発明にかかる成形歯車の歯元円弧半径の計算
結果の比較を示す表である。
【図5】本発明にかかる成形歯車の歯元円弧半径の計算
結果の比較を示すグラフである。
【図6】本発明にかかる成形歯車の歯形形状を示す正面
図である。
【図7】本発明にかかる成形歯車の強度係数を示すグラ
フである。
【符号の説明】
Rmax 歯元円弧半径の上限 Rmin 歯元円弧半径の下限 R 歯元円弧半径 Ryf JGMA401−01の歯形係数と等しいと
きの歯元円弧半径 RZ 歯元円弧半径 YF 歯形係数 X 転位係数

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 歯底面から任意半径の円弧歯元面が構成
    されているインボリュート歯車において、歯元円弧半径
    Rは、同一の歯車諸元による日本歯車工業界規格(以下
    「JGMA」という)401−01の歯形係数と等しい
    ときの歯元円弧半径をRyf、転位係数をXとした場
    合、 R=Ryf+f(X) f(X)=(X−A)/10 f(X)≦0 A:定数(>0) の関係式により補正されていることを特徴とする成形歯
    車の歯形形状。
  2. 【請求項2】 前記歯元円弧半径の上限をRmaxとし
    た場合、 Rmax=Ryf+f(X) f(X)=(X−A)/10 f(X)≦0 A=0.3〜0.5 の関係式を満たすことを特徴とする請求項1記載の成形
    歯車の歯形形状。
  3. 【請求項3】 前記歯元円弧半径の下限をRminとし
    た場合、 Rmin=Rmax−B B=0.1〜0.2 の関係式を満たすことを特徴とする請求項2記載の成形
    歯車の歯形形状。
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