JPH11138004A - ニトリル水和用の銅触媒及びその調製方法 - Google Patents

ニトリル水和用の銅触媒及びその調製方法

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JPH11138004A
JPH11138004A JP9304689A JP30468997A JPH11138004A JP H11138004 A JPH11138004 A JP H11138004A JP 9304689 A JP9304689 A JP 9304689A JP 30468997 A JP30468997 A JP 30468997A JP H11138004 A JPH11138004 A JP H11138004A
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aluminum
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Kazuo Takamura
一夫 高村
Masami Murakami
雅美 村上
Fujito Ebara
不二人 江原
Hiroshi Oe
浩 大江
Satoshi Miyazoe
智 宮添
Shinichiro Ichikawa
真一郎 市川
Hisaharu Kuboyama
久春 久保山
Sadaaki Yamamoto
貞明 山本
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高活性、高選択性でニトリルの水和によりア
ミド類を製造できる銅触媒を濾過抵抗の小さいように調
製する方法を提供する。 【解決手段】 銅およびアルミニウムを含有し、マラカ
イトおよび水酸化アルミニウムを実質的に含まない前駆
体を還元して銅触媒を調製するにあたり、銅イオンおよ
びアルミニウムイオンを含有する金属塩水溶液とアルカ
リ水溶液を混合して得られる金属沈殿物のスラリー液
を、気体を通気しつつ30〜120℃に加温した熟成装置に
添加し、且つ熟成装置内から母液を抜液することにより
ハイドロタルサイト様相を得て、該ハイドロタルサイト
様相を還元することを特徴とするニトリル水和用の銅触
媒の調製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニトリルを水和し
てアミドを製造するために用いる触媒と、その調製方法
および触媒の存在下、ニトリル類と水を反応させて、ア
ミド類を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】触媒の存在下、ニトリル類と水を反応さ
せて、アミド類を製造する方法は公知であり、一般的に
触媒存在下、液相懸濁床で行われる。例えば、特公昭5
5−2691、特開昭61−76447、特開平5−2
55214などにラネー銅触媒を用いたニトリルの水和
反応、特公昭53−39409には銅−クロム酸化物を
還元した触媒、特公昭53−43927には、銅化合物
を硼水素化物で還元して得られる還元銅触媒、特開昭5
2−41241には、Cu以外に、Si、W、Hg、L
a、Zr、Cd、Al、Pb、Mg、Fe、Mn、C
o、Ni、Yを含有する共沈物を前駆体とした還元銅触
媒が開示されている。また、ジャーナル オブ キャタ
リシス(J.of Catal.)誌の69巻、44頁には、シリカ−
マグネシア担体に担持した銅を触媒として用いる、ニト
リル類と水との反応によるアミド類の製造方法が開示さ
れている。また、特開昭59−31742には、銅塩を
保護コロイド作用を有する高分子の存在下、アルカリ金
属またはアルカリ土類金属のヒドロホウ酸塩で処理して
得られる銅コロイドを触媒として用いるアクリロニトリ
ルまたはメタクリロニトリルの水和によるアクリルアミ
ドまたはメタクリルアミドを製造する方法が開示されて
いる。これらの銅触媒は比較的高い活性を示すものの、
さらに高活性、高選択性の触媒が望まれていた。特開平
8−99037によれば、ハイドロタルサイト様相を前
駆体とした還元銅触媒が開示されている。この銅触媒は
高活性であるが、我々が実施した結果、実用触媒として
は10μm以下の微粒子を多く含有し沈降性が不良で触媒
の濾過抵抗が悪いことがわかった。この結果、この触媒
はニトリルの水和反応において反応生成物と触媒の分離
が悪く反応を連続で行えないことがわかった。このよう
に高活性、高選択性を発現し且つ粒子径が揃い濾過抵抗
の少ない触媒が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ニト
リル類と水との反応において、高活性でありしかも高選
択性に目的とするアミド類を製造できる触媒を濾過抵抗
の少ないように、粒子径を大きく且つ粒度分布の幅を狭
くして提供することであり、また、ニトリル類と水とを
反応させて、目的とするアミド類を効率よくしかも高い
選択性で製造する方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、濾過抵抗
の少ないハイドロタルサイト様相を得るために鋭意努力
した結果、気体を通気しながら熟成することにより、粒
子径が大きく粒度分布の狭いハイドロタルサイト様相を
得られることを見出し、本発明を完成した。
【0005】即ち、本発明は、 (1) 銅およびアルミニウムを含有し、マラカイトお
よび水酸化アルミニウムを実質的に含まない前駆体を還
元して銅触媒を調製するにあたり、銅イオンおよびアル
ミニウムイオンを含有する金属塩水溶液とアルカリ水溶
液を混合して得られる金属沈殿物のスラリー液を、気体
を通気しつつ30〜120℃に加温した熟成装置に添加し、
且つ熟成装置内から母液を抜液することによりハイドロ
タルサイト様相を得て、該ハイドロタルサイト様相を還
元することを特徴とするニトリル水和用の銅触媒の調製
方法。 (2) 銅およびアルミニウムを含有し、マラカイトお
よび水酸化アルミニウムを実質的に含まない前駆体を還
元して銅触媒を調製するにあたり、銅イオンおよびアル
ミニウムイオンを含有する金属塩水溶液とアルカリ水溶
液を混合して得られる金属沈殿物のスラリー液を、あら
かじめハイドロタルサイト様相を種晶として添加し、か
つ気体を通気しつつ30〜120℃に加温した熟成装置に添
加し、且つ熟成装置内から母液を抜液することにより種
晶上に新たにハイドロタルサイト様相を結晶成長させ、
該ハイドロタルサイト様相を還元することを特徴とする
ニトリル水和用の銅触媒の調製方法。 (3) 銅イオンが2価のイオンであり、且つアルミニ
ウムイオンが3価のイオンであり、且つ銅イオンとアル
ミニウムイオンの原子比が50/50から80/20の範囲である
(1)または(2)記載の方法。 (4) アルカリが、リチウム、ナトリウム、カリウ
ム、ルビジウムおよびセシウムからなる群から選ばれた
少なくとも一種のアルカリ金属の炭酸塩もしくは炭酸水
素塩、炭酸アンモニウムまたは炭酸水素アンモニウムで
ある(1)または(2)記載の方法。 (5) 気体が、空気または窒素である(1)または
(2)記載の方法。 (6) 通気される気体が、沈澱物の添加量1gに対して
100mL〜100Lの範囲である(1)、(2)または(5)
記載の方法。 (7) 金属沈殿物のスラリー濃度が0.01〜20重量%の
範囲にある(1)または(2)記載の方法。 (8) (1)ないし(7)のいずれかに記載の方法に
より得られるニトリル水和用の銅触媒。 (9) (8)に記載の銅触媒を用いるニトリルの水和
方法。である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
銅およびアルミニウムを含有し、マラカイトおよび水酸
化アルミニウムを実質的に含まない、粒子径が大きく粒
度分布の幅が狭いハイドロタルサイト様相は、一般式
(1)
【0007】
【化1】 [AX10ーX(OH)20(10-X)+[Cn- (10-X)/n]・mH2O (1) (式中のAは2価の金属イオン、Bは3価の金属イオン
を表す。Cはn価のアニオンを表す。Xは5〜8の実数であ
る。mは0〜10の実数である。)で表され、Aとして銅、
Bとしてアルミニウムを含有するものである。
【0008】マラカイトを実質的に含まないハイドロタ
ルサイト様相とは、X線粉末回折法により測定し、マラ
カイトが2重量%以下のハイドロタルサイト様相のことで
ある。また、水酸化アルミニウムを実質的に含まないハ
イドロタルサイト様相とは、赤外吸収スペクトル法によ
り測定し、図2(b)に示したような沈殿法で調製した
水酸化アルミニウムの赤外吸収スペクトルに見られる13
87cm-1の鋭いピークと、1525cm-1に見られるややブロー
ドなピークが認められないハイドロタルサイト様相のこ
とである。ハイドロタルサイト様相の平均粒子径は、光
回折式粒度分布測定装置により測定する。
【0009】一般式(1)で表されるハイドロタルサイ
ト様相は、銅塩およびアルミニウム塩を含有する金属塩
水溶液とアルカリを混合して調製することができる。金
属塩は通常硝酸塩を用いるが、塩化物、硫酸塩、酢酸塩
も用いることができる。
【0010】一般式(1)で表されるハイドロタルサイ
ト様相の2価の金属イオンとして、銅をBe、Mg、Ni、C
o、Zn、Fe、Mn、Cdおよび/またはCaなどの2価の金属
イオンに任意の割合で置換して使用できる。3価の金属
イオンとしては、Al、Ga、Ni、Co、Zn、Fe、Mn、Cr、
V、Ti、Inおよび/またはLaなどの3価の金属を任意の
割合で使用できる。3価の金属としては、好ましくは、
Alである。2価の金属イオンと3価の金属イオンの原子
比を50/50から80/20の範囲にする必要がある。好ましく
は、65/35から75/25の範囲である。
【0011】アルカリは、リチウム、ナトリウム、カリ
ウム、ルビジウムおよびセシウムからなる群から選ばれ
た少なくとも一種のアルカリ金属の炭酸塩もしくは炭酸
水素塩、炭酸アンモニウムまたは炭酸水素アンモニウム
が使用できる。銅アンミン錯体の生成を防ぐために、リ
チウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシ
ウムからなる群から選ばれた少なくとも一種のアルカリ
金属の炭酸塩もしくは炭酸水素塩が好ましい。
【0012】使用するアルカリは、金属塩に対して当量
以上必要である。当量以上2倍以下が好ましい。必要以
上のアルカリは、熟成時のハイドロタルサイト様相の結
晶化を阻害するため望ましくない。アルカリは、固体の
状態で使用してもよいが、アルカリ水溶液の状態で使用
するのが好ましい。金属塩水溶液とアルカリの混合方法
は、金属塩水溶液にアルカリ水溶液を加えても、アルカ
リ水溶液に金属塩水溶液を加えても、あるいは、金属塩
水溶液とアルカリ水溶液を同時に加えてもかまわない。
【0013】沈澱調製時のスラリー濃度は特に制限はな
いが通常1〜5重量%の範囲が用いられる。金属塩水溶液
とアルカリ水溶液を混合して得られた金属沈澱物スラリ
ーは、ハイドロタルサイト様相を生成するために必要な
炭酸根量に対して過剰に炭酸根を含んでいるので、高温
ではマラカイトを生成しやすい。そのため、沈澱調製時
の温度は、低温であることが望ましい。通常5〜40℃、
好ましくは10〜30℃で行う。また、マラカイトおよび/
または水酸化アルミニウムを実質的に含まない金属沈澱
物を得るためには、金属塩水溶液とアルカリ水溶液を混
合して得られた金属沈澱物を濾過、洗浄して過剰に含ま
れる炭酸根または/およびアルカリを除去することが必
要である。
【0014】熟成は、例えば、あらかじめ下部から気体
を通気しつつ30〜120℃で加温した熟成装置に金属沈澱
物スラリーの添加と母液の抜液を同時に行うことで、金
属沈殿物を洗浄してもなおハイドロタルサイト様相の生
成に必要以上含まれる炭酸根を除去せしめマラカイトの
生成を抑制し、ハイドロタルサイト様相の結晶成長の促
進および新たなハイドロタルサイト様相の核生成の抑制
を行い、同時にアルカリを除去して水酸化アルミニウム
の生成を抑制し、粒子径が大きく粒度分布の幅が狭いハ
イドロタルサイト様相を得ることができる。
【0015】熟成装置に添加される金属沈殿物スラリー
濃度は0.01〜20重量%の範囲、好ましくは0.2〜5重量%の
範囲で調製する。金属沈殿物のスラリー濃度が0.01重量
%未満であっても添加速度を高めると熟成を行うことが
できるが、同時に母液の抜液速度も大きくする必要があ
るため熱量の損失が大きい。その結果、所定の熟成温度
を維持するための熱量を多く必要とし経済的に好ましく
ない。金属沈殿物のスラリー濃度が20%を越えても添加
速度を小さくすることにより熟成を行うことができるが
スラリー中に過剰に存在する炭酸根によって金属沈殿物
の一部からマラカイトが生成してしまうので好ましくな
い。金属沈殿物スラリーの添加速度はスラリー濃度およ
び気体の通気量によって異なり、金属沈殿物スラリーが
高濃度である場合あるいは気体の通気量が少ない場合で
は、炭酸根の除去効率を高めるため金属沈殿物スラリー
の添加速度を小さくする必要があるが、通常全量を0.1
〜20時間、好ましくは1〜10時間で熟成装置内に添加す
ることができる。
【0016】使用する気体としては、空気、窒素、ヘリ
ウム、アルゴン、水素などであるが、通常空気または窒
素の使用が経済的であり好ましい。気体の通気量は炭酸
根を速やかに除去するために、沈澱物の添加量に対して
十分になければならない。通常沈澱物の添加量1gに対し
て100mL〜100Lの範囲、好ましくは1〜30Lの範囲で実施
する。気体の通気量が沈殿物の添加量1gに対して100mL
未満ではマラカイトが生成してしまい好ましくない。ま
た、気体の通気量が沈殿物の添加量1gに対して100Lを越
えると酸化銅が生成してしまい好ましくない。さらに、
ガス導入による炭酸根除去効果を高めるため、通常はガ
ス導入口にフィルターを取り付けガスの接触効率を高め
て行う。フィルターの細孔径は、特に規定されないが、
通常1〜1000μmの範囲のものが使用できる。
【0017】熟成温度は、30〜120℃の範囲、好ましく
は60〜100℃の範囲、より好ましくは、80〜100℃の範囲
で実施する。抜液は金属沈澱スラリーの添加量と同量行
う。抜液操作は、炭酸根除去に伴うpHの上昇を熟成装置
内からアルカリを積極的に除去することにより中性に保
ち水酸化アルミニウムの生成を防止するため重要であ
る。抜液口は、母液のみ抜き出すため、1〜20μmの細
孔径のフィルターを取り付ける必要がある。
【0018】本発明によれば、別途調製したハイドロタ
ルサイト様相を種晶として添加して熟成を行っても良
く、種晶上に新たにハイドロタルサイト様相を結晶成長
させることにより、さらに大きな粒子径にすることが可
能である。種晶のスラリー濃度は、0.05〜20重量%の範
囲、好ましくは0.5〜5重量%の範囲で行う。種晶のスラ
リー濃度がこの範囲以下であれば、新たなハイドロタル
サイト様相の核生成が生じ、ハイドロタルサイト様相の
粒度分布が広がるので好ましくない。種晶のスラリー濃
度がこの範囲以上であれば、粒子径は大きくならず種晶
を添加する効果がなくなる。
【0019】熟成の終了点は、沈澱スラリーの添加終了
時とし、冷却後、濾過、洗浄して乾燥する。乾燥は、10
0〜150℃の範囲の温度で、乾燥時間は1〜30時間で実施
する。 本発明では、ハイドロタルサイト様相を還元し
て触媒とするが、還元は液相あるいは気相のいずれでも
実施できる。還元剤には通常水素が用いられるが、一酸
化炭素、アンモニア、メタノ−ル、エチレングリコー
ル、ヒドラジン、次亜リン酸塩、硼水素化物、水素化リ
チウムアルミニウムなどを用いることができる。還元温
度は、100〜500℃の範囲、好ましくは150〜300℃の範囲
で行う。還元時間は、1分〜30時間であり、特に10分〜1
5時間が好ましい。還元時の圧力は、特に制限はなく、
減圧、常圧あるいは加圧下で実施できる。 本発明によ
り得られる銅触媒を用いたニトリルの水和反応は、液相
でバッチ反応でも流通反応でも実施できる。
【0020】本発明による水和反応に用いられるニトリ
ル類には特に制限はないが、例えば、アセトニトリル、
プロピオニトリル等の飽和脂肪族ニトリル類、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和脂肪族ニトリ
ル類、ベンゾニトリル、ニコチノニトリル等の芳香族ニ
トリル類等が対象となる。本発明で製造できる化合物
は、ニトリル類に水が付加した、ニトリル類に対応する
アミド類である。
【0021】本発明によるニトリル類の水和反応は室温
または室温以下の温度でも進行するが、反応温度を高め
ることにより反応速度を大きくすることができる。好ま
しい温度範囲は50〜300℃であり、特に50〜150℃の範囲
が好ましい。バッチ反応での反応時間は10分〜20時間、
好ましくは30分〜10時間で行う。流通反応での滞留時間
は、10分〜20時間、好ましくは30〜10時間で行う。本発
明による水和反応で用いる水の量には特に制限はない
が、ニトリル類1モルに対して通常数倍ないし数十倍モ
ルの範囲が好ましい。本発明による水和反応は大気圧下
でも容易に進行するが、加圧下で行うことも可能であ
る。本発明により、粒子径が大きく粒度分布の幅が狭い
ハイドロタルサイト様相を還元することにより得られる
銅触媒は、ニトリルの水和反応において反応生成物と触
媒の分離が良好である。
【0022】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。 I.触媒の調製 触媒1 0.28molのCu(NO3)2・3H2Oと0.12molのAl(NO3)3・9H2O
を水に溶解して、全容を600mLにした。0.69molの炭酸ナ
トリウムを水に溶解して、全容を600mLとした。金属塩
水溶液とアルカリ水溶液を、それぞれ定量ポンプを用い
同量づつ攪拌容器に送液して沈殿を調製した。添加完了
後、沈殿物を濾過し、水で洗浄した。引き続き沈殿物を
リパルプして水を加え、スラリー濃度2重量%にした。ス
ラリー添加口、気体通気管および抜液口を装備した熟成
装置内に水を2L加え90℃まで加温後、空気を900mL/分で
熟成装置内に通気した。金属沈殿物スラリーを熟成装置
内に3時間で全量添加し、添加した金属沈澱物スラリー
と同量の母液を同時に抜液した。このときの空気通気量
は沈殿物の添加量1gに対して4.5Lであった。沈殿物スラ
リーを全て添加したと同時に、空気の通気および母液の
抜液を止めて冷却した。冷却後、濾過し水で洗浄した
後、110℃で5時間乾燥した。得られた粉体の組成は、X
線粉末回折測定の結果、図1に示したようにハイドロタ
ルサイト様相であった。赤外吸収スペクトル測定の結
果、図2(a)に示したように水酸化アルミニウムは存
在していなかった。粒度分布測定の結果、図3(a)に
示したようにに粒度分布の幅が狭く、平均粒子径が21.4
μmで、且つ10μm以下の粒子量は0.78%であるハイド
ロタルサイト様相であった。80mLオートクレイブに乾燥
したハイドロタルサイト様相を5gおよびメタノール50mL
を入れ、水素を導入し水素圧50kg/cm2G.にした。攪拌
しながら200℃、5時間還元を行った。還元後、メタノー
ルを除去し水でデカント洗浄して触媒を得た。
【0023】触媒2 0.28molのCu(NO3)2・3H2Oと0.12molのAl(NO3)3・9H2O
を水に溶解して、全容を600mLにした。0.69molの炭酸ナ
トリウムを水に溶解して、全容を600mLとした。金属塩
水溶液とアルカリ水溶液を、それぞれ定量ポンプを用い
同量づつ攪拌容器に送液して沈殿を調製した。添加完了
後、沈殿物を濾過し、水で洗浄した。引き続き沈殿物を
リパルプして水を加え、スラリー濃度2重量%にした。ス
ラリー添加口、空気通気管および抜液口を装備した熟成
装置内に水を2L加え90℃まで加温し、前記触媒1の製造
法で調製したハイドロタルサイト様相を種晶として添加
しスラリー濃度1重量%にした。次に、空気を900mL/分で
熟成装置内に通気した。金属沈殿物スラリーを熟成装置
内に3時間で全量添加し、添加した金属沈澱物スラリー
と同量の母液を同時に抜液した。沈殿物スラリーを全て
添加したと同時に、空気の通気および母液の抜液を止め
て冷却した。このときの空気通気量は沈殿物の添加量1g
に対して4.5Lであった。冷却後、濾過し水で洗浄した
後、110℃で5時間乾燥した。粒度分布測定の結果、図3
(b)に示したように粒度分布の幅が狭く、平均粒子径
が28.8μmで、且つ10μm以下の粒子量が0.05%である
ハイドロタルサイト様相であった。80mLオートクレイブ
に乾燥したハイドロタルサイト様相を5gおよびメタノー
ル50mLを入れ、水素を導入し水素圧50kg/cm2G.にし
た。攪拌しながら200℃、5時間還元を行った。還元後、
メタノールを除去し水でデカント洗浄して触媒を得た。
【0024】触媒3 前記触媒1の製造法で空気の通気量を900mL/分から1800
mL/分に代えて、空気通気量を沈殿物の添加量1gに対し
て9Lにすること以外は同様にして触媒を調製した。平均
粒子径が22.6μmで、且つ10μm以下の粒子量が0.62%
であるハイドロタルサイト様相であった。
【0025】触媒4 前記触媒2の製造法で空気の通気量を900mL/分から1800
mL/分に代えて、空気通気量を沈殿物の添加量1gに対し
て9Lにすること以外は同様にして触媒を調製した。平均
粒子径が27.1μmで、且つ10μm以下の粒子量が0.11%
であるハイドロタルサイト様相であった。
【0026】触媒5 前記触媒1の製造法で金属沈殿物スラリー濃度を2重量%
から1重量%に代えること以外は同様にして触媒を調製し
た。平均粒子径が20.5μmで、且つ10μm以下の粒子量
が0.52%であるハイドロタルサイト様相であった。
【0027】触媒6 前記触媒2の製造法で金属沈殿物スラリー濃度を2重量%
から1重量%に代えること以外は同様にして触媒を調製し
た。平均粒子径が28.7μmで、且つ10μm以下の粒子量
が0.04%であるハイドロタルサイト様相であった。
【0028】触媒7 前記触媒1の製造法で空気の通気量を900mL/分から1800
mL/分に代えて、金属沈殿物スラリー濃度を2重量%から1
重量%に代えて空気通気量を沈殿物の添加量1gに対して1
8Lにすること以外は同様にして触媒を調製した。平均粒
子径が21.1μmで、且つ10μm以下の粒子量が0.46%で
あるハイドロタルサイト様相であった。
【0029】触媒8 前記触媒2の製造法で空気の通気量を900mL/分から1800
mL/分に代えて、金属沈殿物スラリー濃度を2重量%から1
重量%に代えて空気通気量を沈殿物の添加量1gに対して1
8Lにすること以外は同様にして触媒を調製した。平均粒
子径が27.5μmで、且つ10μm以下の粒子量が0.09%で
あるハイドロタルサイト様相であった。
【0030】触媒9 前記触媒1の製造法で0.28molのCu(NO3)2・3H2Oと0.12
molのAl(NO3)3・9H2Oをそれぞれ0.32molのCu(NO3)2
3H2Oと0.08molのAl(NO3)3・9H2Oに代えること以外は
同様にして触媒を調製した。平均粒子径が19.7μmで、
且つ10μm以下の粒子量が0.88%であるハイドロタルサ
イト様相であった。
【0031】触媒10 前記触媒2の製造法で0.28molのCu(NO3)2・3H2Oと0.12
molのAl(NO3)3・9H2Oをそれぞれ0.32molのCu(NO3)2
3H2Oと0.08molのAl(NO3)3・9H2Oに代えること以外は
同様にして触媒を調製した。平均粒子径が25.9μmで、
且つ10μm以下の粒子量が0.21%であるハイドロタルサ
イト様相であった。
【0032】触媒11 0.28molのCu(NO3)2・3H2Oと0.12molのAl(NO3)3・9H2O
を水に溶解して、全容を600mLにした。0.69molの炭酸ナ
トリウムを水に溶解して、全容を600mLとした。金属塩
水溶液とアルカリ水溶液を、それぞれ定量ポンプを用い
同量づつ攪拌容器に送液して沈殿を調製した。添加完了
後、沈殿物を濾過し、水で洗浄した。引き続き沈殿物を
リパルプして水を加え、スラリー濃度2重量%にした。熟
成容器内に沈殿物スラリーを全て投入し100℃で2時間熟
成した。冷却後、濾過し水で洗浄した後、110℃で5時間
乾燥した。粒度分布測定の結果、図3(c)に示したよ
うに粒度分布の幅が広く、平均粒子径が9.2μmで、且
つ10μm以下の粒子量が71.9%のハイドロタルサイト様
相であった。
【0033】触媒12 前記触媒11の製造法で0.28molのCu(NO3)2・3H2Oと0.
12molのAl(NO3)3・9H2Oをそれぞれ0.32molのCu(NO3)2
・3H2Oと0.08molのAl(NO3)3・9H2Oに代えること以外
は同様にして触媒を調製した。平均粒子径が8.7μm
で、且つ10μm以下の粒子量が76.5%であるハイドロタ
ルサイト様相であった。
【0034】II.ニトリルの水和反応 実施例1〜10 ガラス製100ml反応器に触媒1、2、3、4、5、6、
7、8、9または10を3gおよび15.4%のアクリロニト
リル水溶液65mlを入れ恒温槽中で攪拌しながら70℃で2
時間反応を行った。反応後、反応生成物と触媒の濾過時
間を測定した。その結果を表1に示した。
【0035】比較例1および比較例2 ガラス製100ml反応器に触媒11または12を3gおよび1
5.4%のアクリロニトリル水溶液65mlを入れ恒温槽中で攪
拌しながら70℃で2時間反応を行った。反応後、反応生
成物と触媒の濾過時間を測定した。その結果を表1に示
した。
【0036】
【表1】 注 a) アクリロニトリルの転化率(%) b) アクリルアミドの選択率(%) c) ハイドロタルサイト様相の平均粒子径(μm) d) ハイドロタルサイト様相の相対粒子量(%) e) 反応生成物と触媒の濾過分離時間(sec)
【0037】
【発明の効果】銅およびアルミニウムを含有し、マラカ
イトおよび水酸化アルミニウムを実質的に含まない、粒
子径が大きく粒度分布の幅が狭いハイドロタルサイト様
相であり、該ハイドロタルサイト様相を還元することに
より得られる銅触媒を用いることにより、触媒の濾過抵
抗が小さく、高活性しかも高選択的に目的とするアミド
類を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】触媒1前駆体のX線粉末回折図である。
【図2】(a)は、触媒1前駆体の赤外吸収スペクトル
である。(b)は、水酸化アルミニウムの赤外吸収スペ
クトルである。
【図3】(a)は、触媒1前駆体の粒度分布図である。
(b)は、触媒2前駆体の粒度分布図である。(c)
は、触媒11前駆体の粒度分布図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 大江 浩 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 宮添 智 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 市川 真一郎 千葉県茂原市東郷1900番地 三井化学株式 会社内 (72)発明者 久保山 久春 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 山本 貞明 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅およびアルミニウムを含有し、マラカ
    イトおよび水酸化アルミニウムを実質的に含まない前駆
    体を還元して銅触媒を調製するにあたり、銅イオンおよ
    びアルミニウムイオンを含有する金属塩水溶液とアルカ
    リ水溶液を混合して得られる金属沈殿物のスラリー液
    を、気体を通気しつつ30〜120℃に加温した熟成装置に
    添加し、且つ熟成装置内から母液を抜液することにより
    ハイドロタルサイト様相を得て、該ハイドロタルサイト
    様相を還元することを特徴とするニトリル水和用の銅触
    媒の調製方法。
  2. 【請求項2】 銅およびアルミニウムを含有し、マラカ
    イトおよび水酸化アルミニウムを実質的に含まない前駆
    体を還元して銅触媒を調製するにあたり、銅イオンおよ
    びアルミニウムイオンを含有する金属塩水溶液とアルカ
    リ水溶液を混合して得られる金属沈殿物のスラリー液
    を、あらかじめハイドロタルサイト様相を種晶として添
    加し、かつ気体を通気しつつ30〜120℃に加温した熟成
    装置に添加し、且つ熟成装置内から母液を抜液すること
    により種晶上に新たにハイドロタルサイト様相を結晶成
    長させ、該ハイドロタルサイト様相を還元することを特
    徴とするニトリル水和用の銅触媒の調製方法。
  3. 【請求項3】 銅イオンが2価のイオンであり、且つア
    ルミニウムイオンが3価のイオンであり、且つ銅イオン
    とアルミニウムイオンの原子比が50/50から80/20の範囲
    である請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 アルカリが、リチウム、ナトリウム、カ
    リウム、ルビジウムおよびセシウムからなる群から選ば
    れた少なくとも一種のアルカリ金属の炭酸塩もしくは炭
    酸水素塩、炭酸アンモニウムまたは炭酸水素アンモニウ
    ムである請求項1または2記載の方法。
  5. 【請求項5】 気体が、空気または窒素である請求項1
    または2記載の方法。
  6. 【請求項6】 通気される気体が、沈澱物の添加量1gに
    対して100mL〜100Lの範囲である請求項1、2または5
    記載の方法。
  7. 【請求項7】 金属沈殿物のスラリー濃度が0.01〜20重
    量%の範囲にある請求項1または2記載の方法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかに記載の方
    法により得られるニトリル水和用の銅触媒。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の銅触媒を用いるニトリ
    ルの水和方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011032205A (ja) * 2009-07-31 2011-02-17 Dowa Holdings Co Ltd アミド化合物の製造法
JP2014162794A (ja) * 2013-02-21 2014-09-08 Pfizer Inc 選択的cdk4/6阻害剤の固体形態
CN112495391A (zh) * 2020-12-21 2021-03-16 中国科学院山西煤炭化学研究所 一种适用于乙腈水合反应制备乙酰胺的负载型复合金属催化剂及其制备方法和应用

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