JP6775172B2 - 沈殿触媒の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、沈殿触媒の製造方法に関し、特に、比表面積が大きい沈殿触媒を得ることができる製造方法に関する。
沈殿触媒は、酸性の金属塩水溶液を中和して、沈殿させることによって得られる触媒である。
沈殿触媒の1つである沈殿鉄触媒は、例えば、硝酸鉄や塩化鉄などの鉄塩の水溶液を中和し、沈殿した水酸化鉄をろ過、洗浄、乾燥、焼成して製造することができる(非特許文献1)。前記鉄塩の水溶液は酸性であるため、アンモニア水、水酸化カリウム等が中和剤として用いられる。Fischer-Tropsch反応に用いられる鉄触媒の場合、銅やカリウムが助触媒として混合される。銅は鉄と同様に硝酸塩や炭酸塩の形で鉄塩水溶液に混合され、鉄と共に沈殿物を形成する(非特許文献2)。
また、鉄塩水溶液と中和剤を混合して沈殿を生じさせる中和槽中に、シリカやアルミナなどの担体を混在させ、発生した沈殿を、前記担体の細孔中に沈着させる方法も提案されている(特許文献1)。
一方、銅−亜鉛触媒は、例えば、硝酸銅と硝酸亜鉛の混合水溶液を炭酸ナトリウム等で中和し、沈殿をろ過、洗浄、乾燥、焼成して製造することができる(非特許文献1、3)。また、銅−亜鉛触媒の製造の際に、担体としてアルミニウムが混合されることもある。アルミニウムは、原料水溶液中に硝酸アルミニウムとして混合されるか(特許文献2)、中和槽に酸化アルミニウムの形で添加される。
さらに、沈殿触媒とは異なるが、複合酸化物を製造する方法として、アンモニアガスを充満させたチャンバー内に金属塩水溶液を噴霧する方法が提案されている(特許文献3)。
特許第4747339号公報 特許第5619598号公報 特開2004−231434号公報
尾崎 萃編、「触媒調製化学」、講談社、1980年、p.226、244 功刀 泰碩ら、「工業化学雑誌」、1966年、第69巻、第12号、p.12 岩本 正和編、「触媒調製ハンドブック」NTS社、2011年、p.56
このように沈殿触媒は、製造法が広く知られているが、担持金属触媒のように担体を大量に用いない場合が多く、活性金属成分が分散されず、触媒としての基本的要素である比表面積が小さく抑えられてしまうという問題があった。
また、特許文献3で提案されている方法では、金属塩水溶液の液滴とアンモニアガスとの界面でのみ反応が進行するため、当該方法は微小な微細な金属酸化物を製造するのに優れていると考えられる。しかし、前記方法では、チャンバー内のアンモニア量が金属塩との反応により徐々に減少するため、金属塩の反応率の制御が難しい。また、共沈触媒の製造においては、触媒活性を決定する上でpHの制御が極めて重要であるが、特許文献3で提案されている方法では、pHの制御が全くなりゆきにならざるを得ない。さらに前記方法では、生成した金属水酸化物が水と共にチャンバー内に落下するため、その回収は、チャンバーを解放して行う必要がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、比表面積が大きく、より高活性な沈殿触媒を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、次の知見を得た。
(1)塩基性化合物を酸性の金属塩水溶液中に気泡として分散させることにより、前記気泡の界面(気液界面)で局所的に中和反応を進行させることができる。
(2)上記(1)の方法によれば、微細な不溶性金属水酸化物を合成し、従来の沈殿法に比べて大きな比表面積を有する触媒を得ることができる。
本発明は上記知見に基づくものであり、その要旨構成は以下のとおりである。
1.酸性の金属塩水溶液に塩基性化合物を添加して沈殿触媒を製造する沈殿触媒の製造方法であって、
ガス状の前記塩基性化合物を前記金属塩水溶液中に気泡として分散させる、沈殿触媒の製造方法。
2.前記ガス状の塩基性化合物が、該塩基性化合物の液体または溶液を減圧することによって供給される、上記1に記載の沈殿触媒の製造方法。
3.前記金属塩が、鉄塩である、上記1または2に記載の沈殿触媒の製造方法。
4.前記金属塩が、銅塩および/または亜鉛塩である、上記1または2に記載の沈殿触媒の製造方法。
5.前記塩基性化合物が、アンモニアである、上記1〜4のいずれか一項に記載の沈殿触媒の製造方法。
本発明によれば、従来の沈殿法に比べて大きい比表面積を有する沈殿触媒を製造することができる。本発明の方法で得られる沈殿触媒は、その高比表面積のため、高い触媒活性を備える。
実施例1における沈殿触媒の製造に用いた装置の模式図である。 比較例1における沈殿触媒の製造に用いた装置の模式図である。 実施例2における沈殿触媒の製造に用いた装置の模式図である。 比較例2における沈殿触媒の製造に用いた装置の模式図である。 実施例3における沈殿触媒の製造に用いた装置の模式図である。 比較例2で得られた沈殿触媒の走査型電子顕微鏡画像である。 比較例3で得られた沈殿触媒の走査型電子顕微鏡画像である。
次に、本発明を実施する方法について具体的に説明する。なお、以下の説明は、本発明の好適な実施態様を示すものであり、本発明は以下の説明によって何ら限定されるものではない。
本発明の沈殿触媒の製造方法においては、酸性の金属塩水溶液に塩基性化合物を添加して沈殿触媒を製造する際に、ガス状の前記塩基性化合物を前記金属塩水溶液中に気泡として分散させることを特徴とする。これにより、前記酸性の金属塩水溶液と前記気泡との界面(気液界面)で局所的に中和反応が進行し、その結果、従来の沈殿法に比べて大きな比表面積を有する触媒を得ることができる。以下、この点についてさらに詳細に説明する。
従来の沈殿触媒の製造方法では、酸性の金属塩水溶液を中和する中和剤として塩基性化合物の水溶液が用いられている。したがって、沈殿の形成は溶液中で進行する。そして、従来法によって合成される沈殿触媒は、活性成分である金属成分は多く含むものの、比表面積は小さい。そのため、本来持ちうる高い触媒活性が低く抑えられている。
中和剤の添加により沈殿が生成する際、溶質が溶解度以上の濃度になっても沈殿が生成しない準安定な濃度領域があり、ある過飽和以上に達しないと自発的沈殿は生じない。溶質分子のいくつかが集合して沈殿の核となるが、この核発生にはある程度の過飽和度が必要である。核が発生すると、近傍の過飽和状態の溶質分子が拡散して吸着し、核が成長して沈殿となる。核の発生に関しては、相対過飽和度(Weimarn比)が大きい時は多数の核が発生する。Weimarn比は下記(1)式で定義される。
Weimarn比=(Q−S)/S…(1)
ここでQは沈殿前の沈殿物質の濃度、Sは溶解度である。核の発生が多ければ、一つの核当たりの過飽和な溶質分子が少なくなり、生成する沈殿の結晶は小さくなる。一方、核の発生が少なければ、一つの核当たりの過飽和な溶質分子が多くなり、生成する沈殿の結晶は大きくなる。比表面積を高めるためには核の発生が多くし、小さな結晶を生成することが望ましい。ところが大量の核が発生してしまうと、核の成長が不均一となりやすく制御が困難となる。
本発明では、中和剤としての塩基性化合物を、酸性の金属塩水溶液中に気泡として導入することにより、上記核発生および沈殿の成長を、前記気泡と前記金属塩水溶液との界面(気液界面)という微小領域でのみ行わせることができる。そしてその結果、核の成長時に供給される過飽和な溶質分子の量を制限し、微細な沈殿を得ることができる。
[酸性の金属塩水溶液]
上記酸性の金属塩水溶液としては、1または2以上の金属塩を含む酸性の水溶液であれば任意のものを用いることができる。また、製造する触媒の種類に応じて、前記金属塩以外に任意の成分を前記水溶液に添加することもできる。例えば、触媒を構成する金属の供給源である金属塩以外の金属塩(例えば、塩化カリウムなどのカリウム塩)を添加することもできる。また、担体(シリカ、アルミナなど)を添加してもよい。
沈殿触媒を製造する際の前記金属塩の水溶液の温度は特に限定されず、常温(室温)であってもよいが、製造する沈殿触媒の種類によっては加熱しても良い。例えば、銅−亜鉛共沈触媒を製造する際には、前記金属塩の水溶液を50〜90℃に加熱することもできる。
[金属塩]
前記金属塩としては、沈殿触媒を構成する金属元素を供給できるものであれば、任意のものを用いることができる。前記金属塩としては、硝酸鉄、硝酸銅、硝酸亜鉛、塩化鉄、塩化銅、塩化亜鉛、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸亜鉛などが例示される。例えば、沈殿鉄触媒を製造するためには、鉄塩を用いればよい。また、銅−酸化亜鉛系触媒を製造するためには、銅塩と亜鉛塩とを用いればよい。ただし、硫酸塩を用いる場合は、沈殿形成後に硫酸イオンを十二分に取り除かないと、反応中に硫化物イオンとなって触媒の活性を著しく低下させる可能性があるので注意を要する。前記金属塩は、水溶液の状態で使用され、これら金属塩の水溶液は酸性を呈する。
なお、銅−酸化亜鉛系触媒を製造する場合、通常、銅、亜鉛、アルミニウムの金属塩水溶液を混合して製造に供するが、その混合比は銅/亜鉛のモル比で1〜2とすることが好ましい。そのため、金属塩水溶液中の各金属の重量比率は、銅:40〜70%、亜鉛:25〜50%、アルミニウム:1〜5%となるように混合することが好ましい。ここで、前記重量比率は、該金属塩水溶液に含まれるCu、Zn、およびAlの合計質量を100%としたときの、各元素の質量の割合を指すものとする。
[塩基性化合物]
上記塩基性化合物としては、前記金属塩水溶液中に気泡として導入することができ、該酸性の金属塩水溶液を中和して沈殿させることができるものであれば任意のものを用いることができる。前記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、モノエタノールアミン等の有機アミン;ヒドラジンなどが挙げられる。
前記塩基性化合物は、酸性の金属塩水溶液中に気泡として導入される。そのため、ガス状の塩基性化合物を供給する必要がある。ガス状の塩基性化合物の供給源としては、予めガス化された塩基性化合物や、常温常圧下でガス状である塩基性化合物を使用することもできるが、安全性や取り扱いの容易さの観点からは、塩基性化合物の液体または溶液を用いることが好ましい。塩基性化合物の液体または溶液を供給源として用いる場合、前記液体または溶液を、減圧および/または加熱することによって塩基性化合物を揮発させ、ガス状の塩基性化合物を得ることができる。前記供給源としては、アンモニア水を用いることが好ましい。例えば、アンモニア水を容器に入れておき、前記容器の内部を減圧することにより、アンモニアガスを安全かつ容易に発生させることができる。前記容器としては、耐真空容器を用いることが好ましい。また、減圧を行うためには、任意の減圧手段を用いることができるが、減圧手段が後述する気泡の発生手段を兼ねていることが好ましい。なお、揮発により前記液体または溶液の温度が低下し、揮発量が低下する。このため、容器を保温または加温することが好ましい。例えば、前記容器を常温(室温)の水と接触させることによって保温することができる。
なお、前記塩基性化合物を加圧したガスとして供給することも可能であるが、この場合、未反応の塩基性化合物が大気中に放散される可能性があり、塩基性化合物の毒性や、コストなどの面から望ましくない。
上述したように、沈殿触媒の製造においては、得られる触媒の活性を決定する上でpHが極めて重要な因子と言える。そのため、塩基性化合物の供給量を、pHを指標として制御することが好ましい。例えば、金属塩水溶液のpHを測定し、該pHが予め定めた目標値となるように塩基性化合物の供給量を制御することができる。目標とするpHは製造する触媒によって異なり、鉄触媒ではpH7程度、銅−酸化亜鉛−アルミナ触媒ではpH8程度を目標として制御する。上記のpHを得るための塩基性化合物の総供給量は、使用する金属塩のモル等量に対し1.0〜1.2倍となる。
[気泡]
前記塩基性化合物を前記金属塩水溶液中に気泡として分散させる方法は、特に限定されることなく任意の方法を用いることができる。気泡を発生させるための装置(気泡発生装置)としては、例えば、微細気泡発生装置を用いることができる。前記微細気泡発生装置としては、例えば、特許第3235142号公報、特許第3993722号公報、特許第4002439号公報、特許第4019154号公報、特許第4999996号公報、特開2012-176335号公報に記載された微細気泡発生装置を用いることができる。また、気泡発生装置としては、アスピレーターを用いることができる。前記アスピレーターとしては、市販のものなどを用いることができる。これらの気泡発生装置は、円錐台形の拡大管に液体を流通させたり液体を旋回させたりすることにより発生する負圧を利用して、気体を微細な気泡として液中に分散させる機構を有する。また、液体を気体との界面近傍をモーター等により撹拌し、気体を微細な気泡として液体中に分散させる機構を有する微細気泡発生装置も適用できる。
ガス状の塩基性化合物は、気−液界面を通じて水溶液中に拡散し、金属塩と反応する。塩基性化合物の気−液界面通過速度は、気相中の塩基性化合物の分圧と液相中の塩基性化合物の濃度と平衡となる塩基性化合物の分圧との差に比例する。したがって、気相中の塩基性化合物の分圧が高いと、液相に拡散する塩基性化合物の量が多くなり、その結果、金属水酸化物が大量に生成する。また、生成する金属水酸化物の粒径は大きくなり、比表面積は小さくなる。そのため、沈殿触媒の比表面積を一層向上させるという観点からは、ガス状塩基性化合物の分圧を、絶対圧で1500 torr以下とすることが好ましく、絶対圧で50〜700 torrとすることがより好ましい。
次に、本発明の効果を確認するために以下の実験を行った。
(実施例1)
図1に示した沈殿触媒製造装置1を用いて沈殿鉄触媒を製造した。酸性の金属塩水溶液としては、硝酸鉄九水和物505gを20Lの純水に溶解させた硝酸鉄水溶液10を使用し、硝酸鉄水溶液10をビーカー11に投入した。一方、塩基性化合物の供給源としては、28%アンモニア水265gを純水で希釈して500mlとしたアンモニア水20を使用し、アンモニア水20を耐真空容器21に投入した。
次いで、ポンプ12を用いて、硝酸鉄水溶液10を市販のアスピレーター13を経由して循環させた。アスピレーター13の減圧側にアンモニア水20を入れた耐真空容器21の気相部を接続した。ポンプ12を稼働させると、アンモニア水20より気泡が生じ、アンモニアが揮発していることが確認できた。また、硝酸鉄水溶液10に微細な沈殿物が生じていることも同時に確認された。反応中、pHメーター14を用いて硝酸鉄水溶液10のpHをモニターし、pHが7になった所でポンプ12を停止した。
その後、ビーカー11の内容物をろ過し、洗浄、乾燥後に所定の温度で5時間焼成し、沈殿鉄触媒を得た。得られた沈殿鉄触媒の比表面積を以下の方法で測定した。
(比表面積の測定方法)
日本ベル(現・マイクロトラック・ベル)製触媒分析装置BEL−CATを用いて、液体窒素中、流通式BET法(一点法)により、比表面積を測定した。アルゴン気流中300℃にて2時間保持して前処理とし、キャリアーガス中の窒素濃度は30%とした。
(比較例1)
比較のために、図2に示した沈殿触媒製造装置100を使用して、塩基性化合物の溶液を用いる従来の方法で沈殿鉄触媒を製造した。酸性の金属塩水溶液としては、硝酸鉄九水和物101gを500mLの純水に溶解させた硝酸鉄水溶液10を使用し、硝酸鉄水溶液10をビーカー11に投入した。一方、塩基性化合物の溶液としては、28%アンモニア水53gを純水で希釈して100mlとしたアンモニア水20を使用し、アンモニア水20を分液ロート22に入れた。
撹拌棒15を介して撹拌モーター16に接続された攪拌翼17を用いて硝酸鉄水溶液10を撹拌しながら、硝酸鉄水溶液10中へアンモニア水20を滴下した。pHが7となった所で滴下を停止し、生成した沈殿をろ過、洗浄、乾燥後、所定の温度にて5時間焼成し、沈殿鉄触媒を得た。得られた沈殿鉄触媒の比表面積を、実施例1と同様の方法で測定した。
上記実施例1および比較例1における、焼成温度と比表面積を表1に示す。この結果より、本発明の方法で得られた沈殿触媒は、従来法で得られた沈殿触媒に比べて、約25〜60%高い比表面積を有していることが分かる。
(実施例2)
図3に示した沈殿触媒製造装置2を使用した点以外は実施例1と同様の条件で、沈殿鉄触媒を製造した。沈殿触媒製造装置2では、硝酸鉄水溶液10がビーカーに代えて槽30に収容される。槽30は、堰31によって内部が3つに区切られており、ポンプ12によって循環された硝酸鉄水溶液10は、堰31を越えて槽30の左側から右側へと移動する。その際、生成した沈殿は、主に槽30の中央部において沈殿するため、ポンプ12によって循環される硝酸鉄水溶液10に含まれる沈殿を減少させることができる。
pHが7になった所でポンプを停止した。槽30の内容物をろ過し、洗浄、乾燥後に350℃で5時間焼成し、沈殿鉄触媒を得た。実施例1と同様の方法で得られた沈殿鉄触媒の比表面積を測定したところ、61.0m2/gであり、比較例の350℃焼成品(表1)に比べて約40%比表面積が増加していた。
(比較例2)
図4に示した沈殿触媒製造装置101を使用して、塩基性化合物の溶液を用いる従来の方法で銅−亜鉛−アルミナ共沈触媒を製造した。酸性の金属塩水溶液としては、硝酸銅三水和物7.5g、硝酸亜鉛六水和物9.2g、および硝酸アルミニウム九水和物2.0gを500mlの純水に溶解させた混合金属塩水溶液40を使用し、混合金属塩水溶液40を第1の分液ロート61に入れた。一方、塩基性化合物の溶液としては、炭酸ナトリウム14gを300mlの純水に溶解した炭酸ナトリウム水溶液50を使用し、前記炭酸ナトリウム水溶液50のうち、100mlをビーカー11に、残りの200mlを第2の分液ロート62に入れた。
ビーカー11を80℃に加熱した状態で、撹拌棒15を介して撹拌モーター16に接続された攪拌翼17を用いて硝酸鉄水溶液10を撹拌しながら、第1の分液ロート61に入れた混合金属塩水溶液40および第2の分液ロート62に入れた炭酸ナトリウム水溶液50を1時間かけて滴下し、pHを8に調整した。その後、さらに1時間保持した後、生成した沈殿をろ過、洗浄、乾燥後、350℃にて1時間焼成し、銅−亜鉛−アルミナ共沈触媒を合成した。得られた触媒の比表面積を実施例1と同様の方法で測定した結果、66.9m2/gであった。
得られた触媒の外観を、走査型電子顕微鏡にて観察し、走査型電子顕微鏡画像を得た(図6)。図6に示したように、上記比較例2で得られた触媒には大きさが不均一な不定形形状の粒子が多く含まれており、粒子同士が付着していた。
次に、得られた触媒を反応管に充填し、220℃、常圧にてメタノールの分解反応を行った。メタノールは等モル量の窒素と共に触媒層に供給し、滞留時間(W/F)は5g-cat/hr/molとした。その結果、メタノールの分解率は2.8モル%であり、主生成物の一酸化炭素以外に、二酸化炭素およびメタンが少量認められた。これら生成物中の一酸化炭素の選択率は96.9モル%であった。
(実施例3)
図5に示した沈殿触媒製造装置3を用いて銅−亜鉛−アルミナ共沈触媒を製造した。酸性の金属塩水溶液としては、硝酸銅三水和物45g、硝酸亜鉛六水和物55g、および硝酸アルミニウム九水和物12gを3Lの純水に溶解した混合金属塩水溶液40を使用し、混合金属塩水溶液40を使用し、ビーカー11に投入した。一方、塩基性化合物の供給源としては、28%アンモニア水56gを純水で希釈して200mlとしたアンモニア水20を使用し、アンモニア水20を耐真空容器21に投入した。
バブリング装置70を用いて炭酸ガスを毎分170mlでビーカー11内にバブリングした状態で、ポンプ12を用いて、混合金属塩水溶液40を市販のアスピレーター13を経由して循環させた。アスピレーター13の減圧側にアンモニア水20を入れた耐真空容器21の気相部を接続した。ポンプ12を稼働させると、アンモニア水20より気泡が生じ、アンモニアが揮発していることが確認できた。また、混合金属塩水溶液40に微細な沈殿物が生じていることも同時に確認された。反応中、pHメーター14を用いて混合金属塩水溶液40のpHをモニターし、pHが8になった所でポンプ12を停止した。
その後、ビーカー11の内容物をろ過し、洗浄、乾燥後に350℃で1時間焼成し、銅−亜鉛−アルミナ共沈触媒を得た。得られた触媒の比表面積を実施例1と同様の方法で測定した結果、145m2/gであり、従来法で製造した比較例2の触媒に比べて約2.2倍に比表面積が増加した。
得られた触媒の外観を、走査型電子顕微鏡にて観察し、走査型電子顕微鏡画像を得た(図7)。図7に示したように、いずれの粒子も粒径が3μm程度と、大きさはほぼ揃っていた。また、粒子の形状は、比較例2で得られた粒子に比べ、球形に近かった。
次に、得られた触媒を反応管に充填し、220℃、常圧にてメタノールの分解反応を行った。メタノールは等モル量の窒素と共に触媒層に供給し、滞留時間(W/F)は5g-cat/hr/molとした。その結果、メタノールの分解率は10.9モル%であり、主生成物の一酸化炭素以外に、二酸化炭素のみが少量認められた。これら生成物中の一酸化炭素の選択率は97.9モル%であった。比較例2の触媒に比べて、メタノールの分解率は3.9倍であり、一酸化炭素の選択率も増加していた。この結果より、本発明の方法で得られた触媒が、高い活性と選択性を備えていることが明らかとなった。
1 沈殿触媒製造装置(実施例1)
2 沈殿触媒製造装置(実施例2)
3 沈殿触媒製造装置(実施例3)
10 硝酸鉄水溶液
11 ビーカー
12 ポンプ
13 アスピレーター
14 pHメーター
15 撹拌棒
16 撹拌モーター
17 撹拌翼
20 アンモニア水
21 耐真空容器
22 分液ロート
30 槽
31 堰
40 混合金属塩水溶液
50 炭酸ナトリウム水溶液
61 第1の分液ロート
62 第2の分液ロート
70 バブリング装置
100 沈殿触媒製造装置(比較例1)
101 沈殿触媒製造装置(比較例2)

Claims (3)

  1. 酸性の金属塩水溶液に塩基性化合物を添加することにより金属水酸化物を沈殿させて沈殿触媒を製造する沈殿触媒の製造方法であって、
    前記金属塩が、銅塩および/または亜鉛塩であり、
    ガス状の前記塩基性化合物を前記金属塩水溶液中に気泡として分散させ、
    その際、前記ガス状の塩基性化合物の分圧を絶対圧で50〜700 torrとする、沈殿触媒の製造方法。
  2. 前記ガス状の塩基性化合物が、該塩基性化合物の液体または溶液を減圧することによって供給される、請求項1に記載の沈殿触媒の製造方法。
  3. 前記塩基性化合物が、アンモニアである、請求項1または2に記載の沈殿触媒の製造方法。
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