JPH11130864A - 無機・有機ハイブリッドと無機粒子の複合体の製造方法 - Google Patents

無機・有機ハイブリッドと無機粒子の複合体の製造方法

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JPH11130864A
JPH11130864A JP29533097A JP29533097A JPH11130864A JP H11130864 A JPH11130864 A JP H11130864A JP 29533097 A JP29533097 A JP 29533097A JP 29533097 A JP29533097 A JP 29533097A JP H11130864 A JPH11130864 A JP H11130864A
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真吾 片山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、無機・有機ハイブリッドと無機粒
子の界面において、効率よく化学結合を形成し、無機粒
子を分散する複合化効果を十分発揮できる製造方法を提
供することを目的とする。 【解決手段】 酸化物、水酸化物、窒化物の粒子または
金属粒子の如き無機粒子を分散した有機溶媒に金属アル
コキシドを添加し、室温あるいは還流下で攪拌した後、
溶媒を除去して粒子Aを製造する工程と、ポリシロキサ
ンとオルガノアルコキシシランの1種あるいは2種を有
機溶媒に溶かし、これに金属アルコキシドを混合した
後、水を加えて溶液Bを製造する工程と、粒子Aを溶液
Bに分散させた後、溶液Bの溶媒の沸点以下の温度で保
持し、ゲル化させ、次いでゲルを熱処理する工程によ
り、無機・有機ハイブリッドと無機粒子の複合体を製造
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粒子を分散した無
機・有機ハイブリッドの製造方法に関する。無機・有機
ハイブリッドは、強度、耐熱性、耐候性、耐摩耗性等に
優れた弾性体として、例えば、各種シール材、防振材、
スペーサー等に使用できる。
【0002】
【従来の技術】一般に、セラミックス等の無機材料は耐
熱性が高く、硬い等の特徴を有するが、反面脆い、加工
しにくい等の欠点がある。一方、有機材料は成形・加工
しやすいが、熱に弱く、硬度が低い等の欠点がある。こ
れらに対して、無機質と有機質を分子レベルで化学的に
結合して融合(ハイブリッド)させた材料は、無機と
有機の特性を互いに補う、新しい機能や特殊な機能の
付与が可能、無限に近い組み合わせがある、低温で
合成が可能、などの特徴を有する。このような無機・有
機ハイブリッドの例としては、有機修飾シリケート(A.
Kaiser et al.,J.Membrance Soc.22,257-268(1985))や
セラマー(G.L.Wilkes et al.,Polym.Prep. 26,300-302
(1985),H.-H.Huang et al.,Polymer.Bull.14,557-564(1
985))と呼ばれるものがある。これらは、Si−Oガラ
ス網目の中に有機基を導入した構造であり、アルキルア
ルコキシシラン等の加水分解・重縮合反応によって合成
されている。
【0003】前記無機・有機ハイブリッドは均質体であ
る。さらに無機・有機ハイブリッドに各種の粒子を分散
させた複合構造とすることによって、特性を改善した
り、新規機能を付与することができる。例えば、硬度と
柔軟性の両立(特開平7−278311号公報)、潤滑
性の付与(特開平8−134485号公報)などが行わ
れている。これらの複合化は無機・有機ハイブリッドの
製造過程で粒子を添加して行われている。すなわち、ゾ
ル溶液に粒子を分散させた後、ゲル化して複合体が製造
されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の複合化方法で
は、分散する粒子をそのままゾルと混合するだけであ
り、無機・有機ハイブリッドと粒子との界面には何も施
されていなかった。このため、無機・有機ハイブリッド
と粒子の界面で必ずしも効率良く化学結合が形成されて
いなかった。そのために、粒子の分散によって硬度や強
度等の特性をある程度は改善できるものの、より高い強
度や耐久性が要求される条件、例えば燃焼機関等のシー
ルやスペーサー部材での使用には限界があった。
【0005】本発明は、無機・有機ハイブリッドと粒子
の界面において、効率よく化学結合を形成し、粒子を分
散する複合化効果を十分発揮できる製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明では以下のプロセスにより無機・有機ハイブ
リッドと無機粒子の複合体を製造する。すなわち、無機
粒子を分散した有機溶媒に金属アルコキシドを添加し、
室温あるいは還流下で攪拌した後、溶媒を除去して粒子
Aを製造する工程と、ポリシロキサンおよび/またはオ
ルガノアルコキシシランを有機溶媒に溶かし、これに金
属アルコキシドを混合した後、水を加えて溶液Bを製造
する工程と、粒子Aを溶液Bに分散させた後、溶液Bの
溶媒の沸点以下の温度で保持し、ゲル化させ、次いでゲ
ルを熱処理する工程により、無機・有機ハイブリッドと
無機粒子の複合体を製造する方法を要旨とする。また、
上記の方法において、無機粒子が、酸化物、水酸化物、
窒化物の粒子、または金属粒子であることを要旨とす
る。
【0007】
【発明の実施の形態】無機・有機ハイブリッドは、金属
アルコキシドとポリジメチルシロキサンや加水分解した
オルガノアルコキシシランのシラノール基とが反応し
て、M−O−M結合(Mは金属、半金属原子)から成る
無機ポリマーの骨格をSi(R)m (O−)(4-m)/2
や−O−[−Si(R)2 −O−]n −基(ここでRは
有機基、mやnは整数)で置換した構造を形成して製造
される。このような構造では、炭素、水素、酸素、窒素
等からなる有機物に、金属、半金属が化学結合して重合
することにより、原子・分子レベルで無機物と有機物が
融合している。
【0008】本発明では、分散する粒子の表面に予め無
機成分の前駆体である金属アルコキシドをコーティング
しているので、無機・有機ハイブリッドの構成成分の中
で分散粒子と親和性の良い無機成分を分散粒子のまわり
に集めることができる。加えて、コーティングされた金
属アルコキシドのアルコキシ基の一部が分散粒子表面の
水酸基と反応し、残りのアルコキシ基は無機・有機ハイ
ブリッドの骨格と反応するために、分散粒子と無機・有
機ハイブリッドの界面で効率良く化学結合を形成させる
ことができる。したがって、本発明の製造方法で作製し
た複合体は、無機・有機ハイブリッドに単に粒子を分散
させて作製した複合体に比べて、より強度や耐久性に優
れたものとなる。
【0009】本発明において、無機粒子とは、酸化物、
水酸化物、窒化物、塩化物、硫化物などの無機化合物の
粒子、または金属粒子を指す。特に、無機粒子が、酸化
物、水酸化物、窒化物の粒子、または金属粒子のとき、
これらの粒子表面の金属アルコキシドが、効果的に粒子
と無機・有機ハイブリッドとの界面で化学結合を形成す
るので、強度や耐久性を向上させる効果が大きい。酸化
物としては、例えばAl2 3 ,TiO2 ,SiO2
Ta2 3 など、水酸化物としては、Al(OH)3
Si(OH)4 など、窒化物としてはAlN,BN,S
3 4 など、金属としてはSi,Ti,Fe,Niな
どが挙げられる。
【0010】無機ポリマーは、M−O−M結合を骨格と
して鎖状、平面状あるいは3次元状に重合した高分子で
ある。M−O−M結合が無機・有機ハイブリッド中の無
機成分を表すものである。
【0011】Si(R)m (O−)(4-m)/2 基および−
O−Si(R)2 −O−基における有機基(R)とは、
例えば、−CH3 、−C2 5 、−C3 7 、−C4
9 、−CH=CH2 、−C6 5 、−CF3 、−C2
5 、−C3 7 、−C4 9、−CH2 CH2 CF3
−CH2 CH2 6 13、−CH2 CH2 8 17等で
あり、無機・有機ハイブリッド中の有機成分を表すもの
である。
【0012】本発明で使用する金属アルコキシドは特に
限定しないが、例えば、メトキシド、エトキシド、プロ
ポキシド、ブトキシド等が挙げられる。また、金属アル
コキシドは、そのアルコキシ基の一部をβ−ジケトン、
β−ケトエステル、アルカノールアミン、アルキルアル
カノールアミン、有機酸等で置換して使用してもよい。
【0013】本発明における無機成分を構成する金属、
半金属は、アルコキシドを形成することができるものに
限定される。例えば、B,Si,Al,Ti,Zr,T
a,Nb,Y,Coである。これらの金属アルコキシド
は、1種または2種以上使用できる。
【0014】本発明で使用するオルガノアルコキシシラ
ンとは、化学式Si(R)m (OR″)(4-m)/2 で表さ
れ、有機基Rが−CH3 、−C2 5 、−C3 7 、−
49 、−CH=CH2 、−C6 5 、−CF3 、−
2 5 、−C3 7 、−C4 9 、−CH2 CH2
3 、−CH2 CH2 6 13、−CH2 CH2 8
17等であり、アルコキシ基−OR″がメトキシ基、エト
キシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等で構成されるもの
である。オルガノアルコキシシランはアルコキシ基に対
して等モル以下の水で予め加水分解(部分加水分解)し
て使用しても良い。
【0015】本発明で使用するポリシロキサンとは、化
学式HO−[−Si(R)2 −O−]n −Hで表される
直鎖状重合体であり、有機基Rが−CH3 、−C
2 5 、−C3 7 、−C4 9 、−CH=CH2 、−
6 5 等で構成されるものである。例えば、ポリジメ
チルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリジプロ
ピルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリメチ
ルフェニルシロキサン等が挙げられる。ただし、nが5
00を越えると、溶媒に溶解しなかったり、反応点であ
る水酸基の占める割合が少なくなって無機・有機ハイブ
リッドが合成できないため好ましくない。
【0016】本発明の加水分解では、アルコキシ基に対
して0.5〜10モル倍の水を添加する。この際、無機
酸、有機酸あるはそれらの両方を触媒として使用する。
添加する水は、アルコール等の有機溶媒で希釈してもよ
い。
【0017】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を説明するが、
本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではな
い。
【0018】(実施例1)アルミナ粒子を分散したトル
エンにチタンエトキシドを添加し、還流下で攪拌した
後、溶媒をロータリーエバポレーターで除去して粒子を
作製した。一方、末端シラノール型ポリジメチルシロキ
サンとアセト酢酸エチルで化学改質したチタンエトキシ
ドをエタノール溶媒で混合し、水を加えて加水分解し
た。この加水分解溶液を前記粒子に加え、粒子を分散し
た溶液を調製した。分散溶液を70℃でゲル化させた
後、150℃で熱処理して、アルミナ粒子を分散した無
機・有機ハイブリッドを作製した。このハイブリッドに
ついて、その分散複合化の効果を引っ張り試験から求め
た強度で評価した。その結果、60MPa の強度を示し
た。後述の比較例で粒子を分散しない場合の5MPa や、
無処理の粒子を分散した場合の30MPa に比べて、高い
強度を示した。
【0019】(実施例2)窒化珪素粒子を分散したトル
エンにチタンエトキシドを添加し、還流下で攪拌した
後、溶媒をロータリーエバポレーターで除去して粒子を
作製した。一方、部分加水分解したジメチルジエトキシ
シランとアセト酢酸エチルで化学改質したチタンエトキ
シドをエタノール溶媒で混合し、水を加えてさらに加水
分解した。この加水分解溶液を前記粒子に加え、粒子を
分散した溶液を調製した。分散溶液を70℃でゲル化さ
せた後、150℃で熱処理して、窒化珪素粒子を分散し
た無機・有機ハイブリッドを作製した。このハイブリッ
ドについて、その分散複合化を引っ張り試験から求めた
強度で評価した。その結果、55MPa の強度を示した。
後述の比較例で粒子を分散しない場合の2MPa や、無処
理の粒子を分散した場合の25MPa に比べて、高い強度
を示した。
【0020】(実施例3)ニッケル粒子を分散したトル
エンにジルコニウムブトキシドを添加し、還流下で攪拌
した後、溶媒をロータリーエバポレーターで除去して粒
子を作製した。一方、末端シラノール型ポリジメチルシ
ロキサンとアセト酢酸エチルで化学改質したタンタルエ
トキシドをエタノール溶媒で混合し、水を加えてさらに
加水分解した。この加水分解溶液を前記粒子に加え、粒
子を分散した溶液を調製した。分散溶液を70℃でゲル
化させた後、150℃で熱処理して、ニッケル粒子を分
散した無機・有機ハイブリッドを作製した。このハイブ
リッドについて、その分散複合化の効果を引っ張り試験
から求めた強度で評価した。その結果、65MPa の強度
を示した。後述の比較例で粒子を分散しない場合の3MP
a や、無処理の粒子を分散した場合の28MPa に比べ
て、高い強度を示した。
【0021】(比較例1)実施例1、2、3中に記載し
たのと同じ手順でポリジメチルシロキサンあるいはオル
ガノアルコキシシランと金属アルコキシドの加水分解溶
液を調製した。それぞれの加水分解溶液を、粒子を分散
させないで70℃でゲル化させた後、150℃で熱処理
して、粒子分散していない無機・有機ハイブリッドを作
製した。実施例1、2、3に記載したように、これらの
比較試料の引っ張り試験から求めた強度は、それぞれ
5、2、3MPa であった。
【0022】(比較例2)実施例1、2、3の冒頭に記
載した各粒子を無処理でそれぞれ、実施例1、2、3と
同様に調製した溶液に分散した。これらの分散溶液を7
0℃でゲル化させた後、150℃で熱処理して、それぞ
れの粒子を分散した無機・有機ハイブリッドを作製し
た。実施例1、2、3に記載したように、これらの比較
試料の引っ張り試験から求めた強度は、それぞれ30、
25、28MPa であった。
【0023】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載したような効果を奏する。本発
明の無機・有機ハイブリッドへの粒子の分散方法によ
り、無機・有機ハイブリッドの構成成分の中で分散粒子
と親和性の良い無機成分を分散粒子のまわりに集めるこ
とができる。また、分散粒子と無機・有機ハイブリッド
の界面で効率良く化学結合を形成させることができる。
その結果、本発明の製造方法で作製した複合体は強度や
耐久性がより優れたものとなった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機粒子を分散した有機溶媒に金属アル
    コキシドを添加し、室温あるいは還流下で攪拌した後、
    溶媒を除去して粒子Aを製造する工程と、ポリシロキサ
    ンおよび/またはオルガノアルコキシシランを有機溶媒
    に溶かし、これに金属アルコキシドを混合した後、水を
    加えて溶液Bを製造する工程と、粒子Aを溶液Bに分散
    させた後、溶液Bの溶媒の沸点以下の温度で保持し、ゲ
    ル化させ、次いでゲルを熱処理する工程とを具備したこ
    とを特徴とする無機・有機ハイブリッドと無機粒子の複
    合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 無機粒子が、酸化物、水酸化物、窒化物
    の粒子、または金属粒子であることを特徴とする請求項
    1記載の無機・有機ハイブリッドと無機粒子の複合体の
    製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8952100B2 (en) 2008-11-11 2015-02-10 Styron Europe Gmbh Process to remove silanol from the preparation of a modified polymer

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