JPH11130555A - セラミックス−銅接合用ろう材 - Google Patents

セラミックス−銅接合用ろう材

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JPH11130555A
JPH11130555A JP29580097A JP29580097A JPH11130555A JP H11130555 A JPH11130555 A JP H11130555A JP 29580097 A JP29580097 A JP 29580097A JP 29580097 A JP29580097 A JP 29580097A JP H11130555 A JPH11130555 A JP H11130555A
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copper
active metal
ceramic
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Tetsuo Hirakawa
哲生 平川
Toshihiko Maeda
敏彦 前田
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セラミックス部材と活性金属との反応層の形
成が不均一なため、良好な接合強度が得ることが困難で
あった。 【解決手段】 共晶組成比のAgとCuに対し、Ti、
ZrまたはHfの少なくとも1種を2〜4重量%含有さ
せた金属100 重量部に対し、Snおよび/またはIn1
〜5重量部を添加して成るセラミックス−銅接合用ろう
材である。低融点金属成分を好適量添加したことによ
り、活性金属の分散性が高まるとともに反応層が均一か
つ十分に形成され、高い接合強度と接合信頼性が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセラミックス部材と
銅部材とを接合するためのセラミックス−銅接合用ろう
材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の排気ガスから大気中に放
出される二酸化炭素による温室効果あるいは同様に放出
される窒素酸化物や硫黄酸化物等による地球環境の破壊
が強く問題視されるようになっている。これに対し、例
えば米国カリフォルニア州での法律制定等に関連して、
地球環境に優しい自動車として電気自動車が注目され始
めている。この電気自動車においては、電気によってモ
ーターを作動させて駆動力を得るためにそのモーターへ
はバッテリーから大電流が供給されることから、その大
電流の制御部に使用される回路基板には高絶縁性・高信
頼性が要求されるとともに、回路基板のうち大電流が流
れる導体部分には低抵抗の金属を用いることが要求され
る。
【0003】また、いわゆるパワーエレクトロニクス
(強電)の分野で用いられる、パワーFET(電界効果
トランジスタ)やIGBT(Insulated Gate Bipolar T
ransistor )等の半導体素子により制御されるインバー
タ回路等で使用される回路基板においても、上記と同様
に高絶縁性・高信頼性とともに大電流を流せる低抵抗の
導体部分が要求される。
【0004】そこで、そのような大電流を制御する回路
基板として、絶縁性および信頼性に優れ、熱放散性も良
いアルミナや窒化アルミ等から成るセラミックス基板に
低抵抗金属の導体部分として厚み0.2 mm程度の銅(C
u)板を接合した回路基板が用いられている。そして、
銅板をセラミックス基板に接合する方法としては、セラ
ミックス基板にタングステン(W)やモリブデン(M
o)等の高融点金属から成るメタライズ金属層を形成
し、それにニッケル(Ni)メッキを施した後、銀(A
g)ろう等のろう材を用いて銅板を接合する方法や、セ
ラミックス基板と銅板とを酸化銅を介して直接に接合す
るDBC(Direct Bonding Copper )法、あるいは銀ろ
う等に活性金属成分を添加してセラミックス基板に銅板
を直接ろう付けする活性金属ろう法がある。
【0005】これらのうち、特に活性金属ろう法による
接合が一般的な接合方法としてよく用いられている。こ
の活性金属ろう法としては、Ag−Cu共晶ろう材に周
期律表第4A族の元素であるチタン(Ti)・ジルコニ
ウム(Zr)・ハフニウム(Hf)を活性金属成分とし
て添加したろう材を用い、真空中においてそのろう材の
融点以上の温度でセラミックス基板と銅板とを直接にろ
う付け接合する方法が一般的である。これにより、Ag
−Cu共晶ろう材の共晶温度(780 ℃)でろう材が一気
に溶融し、この溶融したろう材に活性金属が分散し、分
散した活性金属がセラミックスと反応して反応層を形成
し、その後、冷却されることによりセラミックス基板と
銅板とが反応層およびAg−Cu共晶ろう材を介して接
合される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
活性金属ろう法で使用されるろう材は、ろう材が溶融し
てから再び固まるまでの時間が通常は5分〜30分程度で
あって、活性金属がろう材中で十分に分散されて均一な
反応層を生成するには短いものであったため、接合の強
度ばらつきが発生してしまい、その結果、信頼性が十分
に確保できないという問題点があった。
【0007】すなわち、ろう材として通常はAg−Cu
共晶ろう材粉末に活性金属の例えばTi粉末を混練した
ペースト状のものを用いているため、Ti粉末とセラミ
ックス基板材料との反応は400 ℃位から始まるが、この
時点ではセラミックス基板上に存在するごくわずかなT
i粉末とセラミックス基板材料との反応があるだけで、
Ag−Cu共晶ろう材の共晶温度になって初めてTi粉
末がAg−Cu共晶ろう材中に完全に分散溶融してセラ
ミックス基板とTi粉末との反応層が形成されることと
なる。ここで、ろう材が溶融している時間内で形成され
たセラミックス基板とTi粉末との反応層がセラミック
ス基板と銅板との接合強度を決めることとなるが、この
溶融時間が10分〜1時間程度と短いと、反応層の形成が
不均一となるために接合の強度ばらつきが発生してしま
い、その結果、接合信頼性が不十分になるという問題点
があった。
【0008】そのため、セラミックス基板と銅板との活
性金属ろう法による接合に対して、十分な溶融時間を確
保して均一な反応層を形成することができ、それにより
良好な接合信頼性を確保できるろう材が要求されてい
る。
【0009】本発明は上記事情に鑑みて案出されたもの
であり、その目的は、セラミックス部材と銅部材とを活
性金属ろう法により接合するためのセラミックス−銅接
合用ろう材として、セラミックスと活性金属との反応層
を均一に形成することができ、それにより高い接合強度
と接合信頼性を確保できるセラミックス−銅接合用ろう
材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のセラミックス−
銅接合用ろう材は、共晶組成比のAgとCuに対し、T
i、ZrまたはHfの少なくとも1種を2〜4重量%含
有させた金属100 重量部に対し、Sn(錫)および/ま
たはIn(インジウム)1〜5重量部を添加して成るこ
とを特徴とするものである。
【0011】本発明のセラミックス−銅接合用ろう材に
よれば、Ti・Zr・Hfの活性金属2〜4重量%を含
有するAg−Cu共晶ろう材100 重量部に対し、共晶A
g−Cuの共晶温度(780 ℃)より融点の低いSn(融
点157 ℃)および/またはIn(融点232 ℃)を1〜5
重量部添加したことから、加熱によりろう材が前記共晶
温度にまで昇温される前にSn・Inが溶融し始め、そ
の溶融したSn・In中に活性金属が均一に分散するた
め、セラミックス部材と活性金属との反応層が形成され
る約400 ℃以上の温度に保持されている時間が長くなる
とともに、その間に反応層の形成が均一かつ十分に進行
するため、従来のろう材に比較して十分に長い反応層形
成時間を確保することができ、それにより均一な反応層
が十分に形成されてセラミックス部材と銅部材との接合
強度を高めることができ、接合信頼性を高めることがで
きる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のセラミックス−銅接合用
ろう材は、セラミックスとろう材の活性金属との反応層
を均一に形成してセラミックス部材と銅部材とを強固に
接合するために、Ti・Zr・Hfの少なくとも1種を
2〜4重量%含有するAg−Cu共晶ろう材100 重量部
に対し、低融点金属成分としてSnおよび/またはIn
を1〜5重量部添加することによって、ろう材の溶融開
始温度を下げて活性金属の分散性を促進させるものであ
る。
【0013】Ag−Cu共晶ろう材は、Ag:Cuの比
率が約72重量%:約28重量%の共晶ろう材であり、その
共晶温度は約780 ℃である。
【0014】このAg−Cu共晶ろう材に含有させる活
性金属、すなわちTi・Zr・Hfの少なくとも1種
は、本発明のろう材により接合するセラミックス部材の
種類に応じてその種類や含有量や組み合わせを適宜設定
するものであるが、この活性金属の含有量が2重量%未
満であると、セラミックスと活性金属との反応層が十分
に形成できなくなり、接合面にボイド(空孔)の発生が
起こって接合強度が低下する傾向がある。
【0015】他方、活性金属の含有量が4重量%を超え
ると、セラミックスと活性金属との反応層、例えばTi
を用いた場合でセラミックスがアルミナ・ジルコニア・
ベリリア等の酸化物であればTiO2 、セラミックスが
窒化アルミ・窒化珪素・窒化ホウ素等の窒化物であれば
TiNからなる反応層が厚くなりすぎる傾向があり、こ
れらの反応層がセラミックスに比べて熱膨張係数が大き
いためにセラミックス部材との熱膨張差に起因する歪み
が発生し、その結果、接合部にクラックが発生したり剥
離を生じたりして接合強度の劣化を招来する傾向があ
る。
【0016】従って、Ag−Cu共晶ろう材に含有させ
る活性金属であるTi・Zr・Hfの少なくとも1種の
含有量は、2〜4重量%の範囲とすることが好ましい。
【0017】また、活性金属であるTi・Zr・Hfを
Ag−Cu共晶ろう材に含有させる場合、金属粉末や水
素化金属粉末の状態でAg−Cu共晶ろう材の粉末と混
合して含有させるときには、その粉末の平均粒径は1〜
10μm程度とすることが好ましい。活性金属の粉末が平
均粒径1μm未満となって微粉の状態となると、酸化さ
れやすくなって活性が失われやすくなり、その結果、接
合強度が低下しやすくなる傾向がある。他方、活性金属
の粉末が平均粒径10μmを超えて粗粉の状態となると、
分散性が悪くなって反応層の均一性が低下しやすくな
り、その結果、接合強度が低下しやすくなる傾向があ
る。
【0018】Snおよび/またはInは、上記の活性金
属を含有するAg−Cu共晶ろう材に添加することによ
りろう材の溶融開始温度を下げて活性金属の分散性を促
進させるものであるが、その添加量が活性金属を2〜4
重量%含有するAg−Cu共晶ろう材100 重量部に対し
て1重量部未満であると、Snおよび/またはInの量
が十分でないために溶融したSnおよび/またはIn中
を活性金属が均一に分散することが困難となり、セラミ
ックス部材と活性金属との反応層が均一かつ十分に形成
されなくなる傾向がある。
【0019】他方、その添加量が5重量部を超えると、
Ag−CuとSnおよび/またはInとの合金化が進ん
でろう材が脆弱化してしまい、さらに添加量を増すとろ
う材が合金化せずにいわゆる溶け分かれが発生してしま
って、セラミックス部材と銅部材との接合強度が低下し
てしまう傾向がある。
【0020】従って、上記の活性金属を2〜4重量%含
有するAg−Cu共晶ろう材100 重量部に対するSnお
よび/またはInの添加量は、1〜5重量部の範囲内と
することが好ましい。
【0021】
【実施例】次に、本発明のセラミックス−銅接合用ろう
材を用いて活性金属ろう法によりセラミックス部材と銅
部材とをろう付け接合し、その接合強度を評価した結果
を示す。
【0022】まず、Ag・Cu・TiH2 (水素化チタ
ン)・In・Snの平均粒径1〜10μmの各粉末を表1
に示す各比率で混合し、さらに有機系バインダおよび有
機溶剤を加えて混練し、ペースト状に仕上げた。
【0023】次いで、これらの各ペーストを用いてアル
ミナセラミックス基板上にスクリーン印刷によって所定
パターンに印刷し、乾燥後に同様のパターンに成形した
長さ20mm×幅2mm×厚み0.3mmの銅板を載置し
て治具で固定した。
【0024】次いで、これを真空度が10-3〜10-5Tor
rの真空中にて約850 ℃の温度で20分間保持して、セラ
ミックス基板と銅板とをろう付け接合した。
【0025】このようにして得た接合試料に対し、接合
部分の外観を目視検査で評価するとともに、反応層の均
一性およびセラミックス板と銅板との接合強度(ピール
強度)を評価した。
【0026】反応層の均一性は、接合された銅板をエッ
チングによりすべて除去し、残った反応層が印刷したパ
ターンに対してどの程度均一に形成されているかを数値
化して評価し、80%以上のものを良好とした。
【0027】ピール強度は、接合した銅板をオートグラ
フによりセラミックス基板から引き剥がしたときの強度
を測定して求めた。
【0028】これらの評価結果を、ろう材の組成比率と
ともに表1に示す。なお、表1中の試料番号1・2・8
・11・12は比較例の試料である。
【0029】
【表1】
【0030】表1の結果より、本発明のセラミックス−
銅接合用ろう材を用いた試料番号3〜7・9・10・13〜
17によれば、いずれも接合部分の外観が良好であり、反
応層均一性が80%以上とであり、ピール強度が1kgf
以上と高く、優れた接合信頼性を有することが確認でき
た。
【0031】これに対し、試料番号1・2のように低融
点金属であるSn・InがAg−銅共晶ろう材100 重量
部に対して1重量部より少ないと反応層均一性に対して
効果が見られなかった。また、試料番号8・10・11のよ
うにSn・InがAg−銅共晶ろう材100 重量部に対し
て5重量部より多いと、接合部分の外観においてろう材
内のボイドが発生するようになるとともに、ろう材が脆
弱化し、銅板の引き剥がしに対してろう材内部より破壊
が生じてしまうために、ピール強度が低下する傾向にあ
った。
【0032】なお、本発明の試料番号3〜7・9・10・
13〜17につき、活性金属の種類をZrおよびHf、ある
いはこれらとTiとを適宜混合したものに変えた場合
も、ほぼ同様に良好な結果が得られた。
【0033】以上の結果より、本発明のセラミックス−
銅接合用ろう材によれば、接合部分の外観が良好で、反
応層均一性に優れ、セラミックス部材と銅部材との接合
強度が高く、接合信頼性の高いろう材となることが確認
できた。
【0034】なお、本発明は上述の例に限定されるもの
ではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々
の変更は可能である。例えば、ろう材としてペースト状
のものに代えて箔状のものを用いてもよいことは言うま
でもない。
【0035】
【発明の効果】本発明のセラミックス−銅接合用ろう材
によれば、活性金属としてTi、ZrまたはHfの少な
くとも1種を2〜4重量%含有するAg−Cu共晶ろう
材100重量部に対し、低融点金属成分としてSnおよび
/またはInを1〜5重量部添加したことから、共晶温
度にまで昇温される前にSn・Inが溶融し始め、その
溶融したSn・In中に活性金属が均一に分散するた
め、セラミックス部材と活性金属との反応層が形成され
る温度に保持されている時間が長くなるとともに反応層
の形成が均一かつ十分に進行するため、均一な反応層が
十分に形成されてセラミックス部材と銅部材との接合強
度を高めることができ、接合信頼性を高めることができ
る。
【0036】従って、本発明によれば、セラミックス部
材と銅部材とを活性金属ろう法により接合するためのセ
ラミックス−銅接合用ろう材として、セラミックスと活
性金属との反応層を均一に形成することができ、それに
より高い接合強度と接合信頼性を確保できるセラミック
ス−銅接合用ろう材を提供することができた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共晶組成比のAgとCuに対し、Ti、
    ZrまたはHfの少なくとも1種を2〜4重量%含有さ
    せた金属100重量部に対し、Snおよび/またはIn
    1〜5重量部を添加して成ることを特徴とするセラミッ
    クス−銅接合用ろう材。
JP29580097A 1997-10-28 1997-10-28 セラミックス−銅接合用ろう材 Pending JPH11130555A (ja)

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