JPH1112993A - 印刷適性の優れた低密度紙の製造方法 - Google Patents

印刷適性の優れた低密度紙の製造方法

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JPH1112993A
JPH1112993A JP9172984A JP17298497A JPH1112993A JP H1112993 A JPH1112993 A JP H1112993A JP 9172984 A JP9172984 A JP 9172984A JP 17298497 A JP17298497 A JP 17298497A JP H1112993 A JPH1112993 A JP H1112993A
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Yuji Matsuda
裕司 松田
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Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紙に発泡性マイクロカプセル
を内添して得られる低密度紙の製造方法において通常の
抄紙条件で、効率的に発泡性マイクロカプセルを発泡さ
せることにより低密度な紙を得、更に印刷適性を向上す
ることを課題とする。 【解決手段】 紙に発泡性マイクロカプセル
を内添して抄紙し、乾燥の途中(湿紙の含有水分率が2
0〜45重量%の状態)でサイズプレスを行い、湿紙中
の含有水分を45〜60重量%に調整することにより発
泡性マイクロカプセルを効率的に発泡させ、サイズプレ
スを行わない場合と比較して10〜15重量%の低密度
化を進めさせ、あわせて表面サイズ効果によって印刷適
性の向上を図る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙に発泡性マイク
ロカプセルを内添して得られる低密度紙の製造方法に関
する。詳しくは、湿紙の含有水分が20〜45重量%の
条件でサイズプレスし、サイズプレス後の湿紙の含有水
分が45〜60重量%となるように調整することで、サ
イズプレスを行わない場合と比較して印刷適性を向上
し、更に10〜15重量%低密度化することを特徴とす
る印刷適性の優れた低密度紙の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】発泡性マイクロカプセルを内添して、加
熱発泡させることにより低密度な紙を製造させる方法は
広く知られている。例えば、特開平5−339898号
には、加熱発泡前の紙の水分を65〜72重量%にする
ことで低密度な紙を得る製造方法が提案されている。し
かしこの方法は乾燥前の湿紙含有水分が通常の抄紙時の
湿紙含有水分よりも大幅に多く、このため乾燥工程で特
別の配慮が必要となる。特に発泡により紙が低密度にな
るにつれて断熱性が発現するので、乾燥効率は大幅に低
下するという問題点がある。
【0003】また、特開平5−230798号には、パ
ルプを主体とした製紙原料に発泡性マイクロカプセルを
内添して湿紙を抄造し、湿紙を発泡性マイクロカプセル
の発泡開始温度よりも低い温度で乾燥してから、これを
90℃以上の高温水と接触させてマイクロカプセルを発
泡させて低密度紙を製造することが提案されている。し
かし、この提案は発泡性マイクロカプセルを効率よく発
泡させる効果はあるが、原紙を製造する際の湿紙の乾燥
を加圧蒸気を熱源とする一般の抄紙機のドライヤーでは
コントロールし難い100℃以下で行わなければなら
ず、さらに一度乾燥した紙を再度高温水に浸漬して再乾
燥する必要があり、紙の乾燥エネルギー効率は著しく悪
くなるという問題点がある。
【0004】また、紙の製造において、サイズプレスを
使用することは広く知られている。これはサイズ剤など
の薬品を紙の表面に塗布し、繊維を紙の本体に接着さ
せ、紙の表面に連続的なフィルムを形成させる効果によ
り紙の表面強度が向上し、その結果紙ムケの防止、紙の
表面のけば立ちの抑制効果が期待でき、さらには紙の表
面の細孔を塞ぐことから耐油性が増加することで印刷イ
ンキのしみ込みをコントロールすることで印刷適性の向
上を目的として使用されるものであり、澱粉、ポリビニ
ルアルコール(PVA)、動物性の膠、メチルセルロー
ス、カルボキシルメチルセルロース、ワックスエマルジ
ョン、樹脂ポリマーなどが用いられる。しかしながら、
一般的な紙の製造工程においては、サイズプレスを行う
ことにより紙全体が締まる傾向があり、その結果サイズ
プレスを行わない場合と比較して密度が上昇する傾向が
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したよ
うな問題点を解決することを課題とする。具体的には紙
に発泡性マイクロカプセルを内添して得られる低密度紙
の製造方法において、通常の印刷用紙と同等の印刷適性
をもった低密度紙を得る製造方法を提供することを課題
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意検討を進
めた結果、紙に発泡性マイクロカプセルを内添して得ら
れる低密度紙の製造方法において、湿紙の乾燥の途中に
おいて、湿紙の含有水分が20〜45重量%の条件でサ
イズプレスを行い、サイズプレス後の湿紙の含有水分を
45〜60重量%となるように調整することで印刷適性
が向上し、サイズプレスを行わない場合と比較して10
〜15重量%低密度化することを見い出した。
【0007】ここで述べる低密度紙とは、密度が0.2
〜0.4g/cm3の紙を意味している。また、少なく
とも片面に塗工層を設けた紙では、密度が0.4〜0.
6g/cm3の紙を意味している。
【0008】上述したような条件で、サイズプレスを行
わない場合と比較して10〜15重量%低密度化できる
理由は以下のように考える。
【0009】紙に発泡性マイクロカプセルを内添して得
られる低密度紙の製造方法において抄紙行程から乾燥工
程に進む中で乾燥ドライヤーの熱によって発泡性マイク
ロカプセルが発泡して紙の低密度化が達成される。この
際、乾燥工程の初期段階における湿紙では含有水分が非
常に多く、セルロース繊維の水素結合力がほとんど無い
状態であるが、乾燥ドライヤーによる乾燥工程が進むに
つれて湿紙中の含有水分が低下するとセルロース繊維間
の水素結合が発現してくる。水素結合は湿紙の含有水分
が45重量%以下まで減少するとその効果が発現し始
め、含有水分が20重量%でほぼ終了するといわれてお
り、乾燥工程における湿紙の含有水分がセルロース繊維
間の水素結合に大きな影響を及ぼすことがわかる。
【0010】また、内添された発泡性マイクロカプセル
は、乾燥ドライヤーの熱によって発泡性マイクロカプセ
ル中に内包されているガスが膨張し、その結果として発
泡性マイクロカプセルの体積が膨張することで紙層間の
空隙が多くなって低密度化が進むと考える。
【0011】湿紙の乾燥が進むにつれて湿紙中の含有水
分が低下すると、上述のように紙層間でセルロース繊維
が水素結合を開始し、紙層間強度が増加してくる。この
ために発泡性マイクロカプセルの膨張による紙の低密度
化は紙層間でセルロース繊維間の水素結合が発現される
前もしくは不完全な段階で行う必要がある。これは発泡
性マイクロカプセルの外殻は熱可塑性樹脂で構成されて
おり、加熱による熱膨張時には非常に柔らかいためにセ
ルロース繊維間の水素結合を破壊して膨張を続けるよう
な力がないからである。
【0012】このためには湿紙の含有水分は45重量%
以上であることが望ましい。しかし発泡性マイクロカプ
セルの加熱発泡の為の熱源として湿紙を乾燥させるため
の乾燥ドライヤーを利用するために発泡性マイクロカプ
セルの膨張と平行して湿紙の含有水分が低下してくる。
さらには発泡性マイクロカプセルの膨張によって紙層間
の空隙が増加するために熱伝導性が低下してくる。この
ようなことが原因となって発泡性マイクロカプセルを内
添させた低密度紙の製造において低密度化には限界がで
てくる。特に一般的な印刷用紙に用いられる100g/
2以下の紙では乾燥の初期段階における含有水分の低
下が大きく、発泡性マイクロカプセルの膨張による低密
度化には悪い条件である。
【0013】以上で述べたように、セルロース繊維間の
水素結合は、湿紙中の含有水分が45重量%以下で発現
しはじめ、20重量%以下で完全に発現する。従って乾
燥工程で湿紙中の含有水分率が水素結合を発現しない状
態、すなわち20重量%以下にならない状態で45重量
%以下の状態の時に水分を補給して、含有水分率を45
重量%以上に戻してやれば再び水素結合の発現しない状
態になり、効率的に発泡性マイクロカプセルの膨張を促
進できることを本発明者はつきとめた。
【0014】ここでサイズプレスによる湿紙中の含有水
分の再補給は45〜60重量%であることが重要であ
る。45重量%以下では水素結合が発現し始め、60重
量%以上では湿紙プレスによって湿紙中の水分を絞り取
り、乾燥工程へ入る以前の含有水分となり、熱効率的に
も著しく悪くなってしまうからである。
【0015】このように乾燥途中で水素結合が完全に発
現しない含有水分率の状態で、サイズプレスによって再
び水素結合が発現しない状態の含有水分率の状態に戻す
ことで、セルロース繊維間の水素結合の発現から完了ま
での時間を延ばすことができるので、内添された発泡性
マイクロカプセルの熱膨張している時間を大幅に延ばす
ことが可能となる。従って、このような操作をしない場
合と比較して10〜15重量%の低密度化を図ることが
できる。
【0016】また発泡性マイクロカプセルを内添しない
通常の紙においては、サイズプレスを行うことで紙が締
まって密度が上昇することがよく知られている。これは
表面サイズ効果を出すためのサイズプレス液中の薬品に
よって、セルロース繊維を紙の表面に接着させたり、紙
表面の細孔を塞ぐなどの作用がなされるからで、低密度
化を進めた紙を製造するにはサイズプレスは悪い影響を
及ぼした。
【0017】しかし、本発明者が提案した方法によれ
ば、発泡性マイクロカプセルを内添させて得られる低密
度紙の製造方法において、サイズプレスによって水分の
再補給を行うことで発泡性マイクロカプセルを効率よく
発泡させるとともに、表面サイズ効果による印刷適性の
向上効果が得られ、サイズプレスの悪影響から脱却する
ことが可能となって、印刷適性に優れた低密度紙を得る
ことが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる製紙用パルプ
は特に制限はなく、通常の製紙で使用されるものはどれ
でも使用することができる。例えば針葉樹未晒クラフト
パルプ(NUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBK
P)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒
サルファイトパルプ(NBSP)、等の木材パルプを主
材とし、麻、木綿、藁パルプ、ケナフ等の非木材パルプ
や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニト
リル等を原料とした合成パルプなどを併用することが出
来る。上記パルプのほかにもアクリル繊維、レーヨン繊
維、ポリエステル繊維などの有機合成繊維やガラス繊
維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナシリケ
ート繊維、ロックウール等の無機繊維など、各種の繊維
を併用することも可能である。
【0019】本発明で使用する発泡性マイクロカプセル
は、樹脂微粒子中に低沸点溶剤を内包したもので、70
〜150℃の比較的低温度で直径が3〜5倍、体積で1
0〜120倍に膨張する平均粒径が5〜30μmの粒子
である。
【0020】樹脂としては、通常塩化ビニリデン、アク
リロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エス
テルなどの共重合体からなる熱可塑性樹脂が使用され、
低沸点溶剤としては通常イソブタン、ペンタン、石油エ
ーテル、ヘキサン、低沸点ハロゲン化炭化水素などの低
沸点溶剤を使用する。発泡性マイクロカプセルの製法
は、従来の公知の方法がいずれも使用できる。
【0021】発泡性マイクロカプセルは、外殻を形成す
る樹脂の軟化点以上に加熱されると樹脂が軟化し始め、
同時に封入されてある低沸点溶剤が気化して蒸気圧が上
昇し、その結果樹脂が押し広げられて膨張し、独立気泡
を形成する。
【0022】これら発泡性マイクロカプセルとしては、
松本油脂製薬株式会社製造の「マツモトマイクロスフェ
ア F−30D」、「同、F−20D」、「同、F−5
0D」や日本フィライト株式会社販売の「エクスパンセ
ルWU」、「同、DU」等が知られているが、本発明に
使用する発泡性マイクロカプセルはこれらに限定される
ものではない。
【0023】発泡性マイクロカプセルの配合量は製紙用
原料に対して3〜20重量%である。3重量%以下では
十分な発泡効果が得られず、20重量%以上になると効
果が頭打ちとなり、経済性の面から適当とはいえず、さ
らに発泡性マイクロカプセルの発泡による紙表面の凹凸
が大きくなるために厚さ、密度のコントロールが困難と
なる。
【0024】本発明に使用するサイズプレスは、傾斜
型、ゲートロール型など通常の抄紙に用いるものを使用
することができる。
【0025】サイズプレスに使用する薬品は澱粉、ポリ
ビニルアルコール(PVA)などの紙力増強剤を主剤と
して表面サイズ剤、湿潤剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤な
ど通常使用するものを必要に応じて単独で、または組み
合わせて使用することができる。
【0026】本発明では、製紙材料としてパルプ以外の
副材料、例えば内添用サイズ剤、乾燥紙力増強剤、湿潤
紙力増強剤、染料、顔料、歩留まり向上剤、填料、pH
調整剤、スライムコントロール剤、粘剤、防腐剤、防黴
剤、難燃剤などの公知の材料を必要に応じて単独で、ま
たは組み合わせて使用する事ができる。
【0027】また、本発明で製造した低密度紙にはオン
マシンまたはオフマシンで、現在知られているブレード
コーター、エアドクターコーター、ロールコーター、バ
ーコーターなどを用いて、少なくとも片面に表面塗工す
ることでさらに印刷適性を向上することが出来る。使用
する塗料はカオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、
水酸化アルミニウムなどの顔料と澱粉、カゼイン、ラテ
ックス、ポリビニルアルコール(PVA)などの接着剤
を基本に、増粘剤、粘度低下剤、分散剤、表面可塑剤、
防腐剤、防黴剤、抗菌剤、染色用顔料、染料、pH調整
剤などを必要に応じて単独で、または組み合わせて使用
することが出来る。
【0028】
【実施例】実施例1 針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)80重量部と
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)20重量部とをカ
ナダ標準濾水度(C.S.F.)450mlに叩解して
製紙用原料とした。この製紙用原料に発泡性マイクロカ
プセル(商品名「マツモトマイクロスフェア F−30
D」、松本油脂製薬株式会社製造、粒子径10〜20μ
m、カプセルの軟化温度80℃)5重量部を分散させた
後、乾燥紙力増強剤(商品名「ポリアクロン、SF−1
3」、荒川化学工業株式会社製造)0.5重量部、ロジ
ン系エマルジョンサイズ剤(商品名「サイズパイン、N
−771」、荒川化学工業株式会社製造)0.7重量
部、硫酸バンド4重量部を加え、0.5重量%の紙料と
した。この紙料を長網抄紙機を用いて、乾燥坪量が80
g/m2になるように調整して湿紙を抄紙し、この湿紙
を多筒式ドライヤーで乾燥する途中で、湿紙の含有水分
率が30重量%の段階でポリビニルアルコール(PV
A)を主剤とするサイズプレスを行い、湿紙中の含有水
分率を55重量%として、その後再び多筒式ドライヤー
で乾燥し低密度紙を得た。
【0029】実施例2 実施例1で得た低密度紙に、軽質炭酸カルシウム(商品
名「Brilliant−15」、白石工業株式会社製
造)70重量部、カオリンクレー(商品名「HT」、エ
ンゲルハード株式会社社(米国)製造)30重量部を分
散して得た填料スラリーに、バインダーとしてスチレン
・ブタジエン・ラテックス(商品名「JSR−061
9」、日本合成ゴム株式会社製造)を対固形分比で10
重量部、酸化澱粉(商品名「エースA」、王子コーンス
ターチ株式会社製造)5重量部を加えて得た塗料を、エ
アドクターコーターを使用して片面に15g/m2づつ
両面に塗工して低密度紙を得た。
【0030】比較例1 実施例1からサイズプレスを除いて低密度紙を得た。
【0031】比較例2 実施例1から発泡性マイクロカプセルを無添加とした他
は実施例1と同様して抄紙した。
【0032】比較例3 比較例2から、サイズプレスを行わずに抄紙した。
【0033】比較例4 発泡性マイクロカプセルの添加率を2重量%とした他は
実施例1と同様にして抄紙した。
【0034】比較例5 比較例2で得た紙の両面に、実施例2と同様に片面15
g/m2づつ両面に塗工した。
【0035】実施例及び比較例の評価結果を表1に示
す。なお、評価は以下に述べる方法で行った。 (1)坪量:JIS P 8124 (2)厚さ:JIS P 8118 (3)密度:JIS P 8118 (4)引張強さ:JIS P 8113 (5)表面強度:JIS P 8129 (6)印刷適性(強度):万能印刷適性試験機(熊谷理
機工業株式会社製造)を用いて、オフセット印刷を想定
した印刷条件で紙粉の発生、紙ムケについて評価した。
結果は以下のように判定し、○を合格とした。 ○:オフセット印刷を行うに問題なし ×:紙ムケ、紙粉の発生があり、オフセット印刷用紙と
しては不適当 (7)印刷適性(発色濃度):万能印刷適性試験機(熊
谷理機工業株式会社製造)を用いて印刷を行い、2日後
にMacbeth Color Checker TM
SPIを用いてインキの発色濃度を測定し、1.20
以上を合格と判定した。
【0036】
【表1】
【0037】表1の結果から明らかなように、実施例1
では発泡性マイクロカプセルを内添して湿紙を抄紙し、
乾燥途中でサイズプレスを行うことにより、目標とする
0.4g/cm3以下の密度である0.38g/cm3
低密度紙を得ることが出来た。一方、比較例1ではサイ
ズプレスを行わないために、実施例1と比較して高密度
である0.45g/cm3となり、目標とする0.4g
/cm3以下の密度には達しない。
【0038】一方、比較例4では発泡性マイクロカプセ
ルの添加量が2重量部でも、サイズプレスを行うことに
よって、発泡性マイクロカプセルの添加率が5重量部で
ある比較例1と同等の密度になることからサイズプレス
による湿紙中の含有水分の再補給効果が確認されるが、
発泡性マイクロカプセルの添加率が少ないために目的の
密度には達しない。
【0039】また、比較例2、3のように発泡性マイク
ロカプセルを無添加とした場合、サイズプレスを行うこ
とにより密度が上がることがわかる。
【0040】印刷適性における強度は、表1より実施例
1、比較例2、比較例4のようにサイズプレスを行った
ものは印刷に十分耐えられるものであるが、比較例1、
比較例3のようにサイズプレスを行わなかったものは表
面強度が不足するため、紙ムケ、紙粉の発生があり、印
刷には不向きである。
【0041】印刷適性における発色濃度は、表1よりわ
かるように実施例2、比較例5のように表面に塗工層を
設けることでインキの発色性は向上し、印刷適性の強度
の項目でも向上することがわかる。しかしながら比較例
5においては発泡性マイクロカプセルが無添加であるた
めに、良好な印刷適性は得られるものの目的とする低密
度化はなされていない。これに対して実施例2では通常
の塗工紙と比較して低密度化が進んでいることがわか
る。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、発泡性マイクロカプセ
ルを内添して得られる低密度紙の製造方法において、湿
紙の乾燥途中で湿紙中の含有水分率が20〜45重量%
の段階でサイズプレスを行い、湿紙中の含有水分率を4
5〜60重量%に調整することで、発泡性マイクロカプ
セルが効率よく発泡するため、サイズプレスを行わない
場合と比較して10〜15重量%の低密度化が可能とな
り、さらには表面サイズ効果によって印刷適性が向上す
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紙に発泡性マイクロカプセルを内添して得
    られる低密度紙の製造方法において、湿紙の含有水分が
    20〜45重量%の条件でサイズプレスし、サイズプレ
    ス後の湿紙の含有水分が45〜60重量%となるように
    調整することで、サイズプレスを行わない場合と比較し
    て印刷適性を向上し、更に10〜15重量%低密度化す
    ることを特徴とする印刷適性の優れた低密度紙の製造方
    法。
  2. 【請求項2】発泡性マイクロカプセルの含有量が、製紙
    用原料に対して3〜20重量%であることを特徴とする
    請求項1に記載の印刷適性の優れた低密度紙の製造方
    法。
  3. 【請求項3】密度が0.2〜0.4g/cm3であるこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項
    に記載の印刷適性の優れた低密度紙の製造方法。
  4. 【請求項4】少なくとも片面に塗工層を設けたことを特
    徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載
    の印刷性の優れた低密度紙の製造方法。
  5. 【請求項5】密度が0.4〜0.6g/cm3であるこ
    とを特徴とする請求項4に記載の印刷性の優れた低密度
    紙の製造方法。
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