JP3061345B2 - 低密度紙 - Google Patents

低密度紙

Info

Publication number
JP3061345B2
JP3061345B2 JP6058155A JP5815594A JP3061345B2 JP 3061345 B2 JP3061345 B2 JP 3061345B2 JP 6058155 A JP6058155 A JP 6058155A JP 5815594 A JP5815594 A JP 5815594A JP 3061345 B2 JP3061345 B2 JP 3061345B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paper
impregnation
microcapsules
weight
pulp
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP6058155A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07243196A (ja
Inventor
欣哉 日吉
光男 阪野
功 大竹
裕司 松田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd filed Critical Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
Priority to JP6058155A priority Critical patent/JP3061345B2/ja
Publication of JPH07243196A publication Critical patent/JPH07243196A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3061345B2 publication Critical patent/JP3061345B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paper (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、環境を汚染することが
少なく、断熱材やクッション材、鞄等の芯材等に好適に
使用できる、主として製紙用パルプからなる低密度紙に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチ
レン、発泡ウレタン等の低密度の素材は、断熱性や保温
性に優れ、また成形加工性も良く、安価であること等を
理由に断熱材やクッション材等の用途として広く使用さ
れてきた。しかしこれらの素材は、自然分解性に劣り、
また燃焼時に汚染物質や黒煙を排出する等の問題があ
り、一旦廃棄された場合にその処理に苦慮しているのが
実状である。そのため、より環境にやさしい素材への要
望が強くなっている。
【0003】これらを背景に、環境にやさしい素材とし
て紙を応用し、低密度で断熱性やクッション性を大幅に
改良して、上記素材に置き換えようとする考え方がいく
つか提案されている。例えば特開昭59−36800号
では、ポリエステル繊維を混抄して低密度の紙を製造す
る方法が提案されているが、この方法では密度の低下は
少なく、さらに化学繊維を多く抄き込まないと効果が出
にくいことから、得られた紙は合成繊維紙に近いものと
なり、紙本来の性質や環境にやさしい性質が損なわれる
ことが問題である。
【0004】また、中空なカプセルを混抄して低密度紙
を得る方法として、特公昭52−39924号には、シ
ラスバルーンを抄紙時に内添する製造方法が提案されて
いる。しかし、この方法ではシラスバルーンと製紙用パ
ルプの密度差が大きく、シラスバルーンが水に浮いてし
まうために抄紙しにくい欠点がある。また、同公報の実
施例からもわかるように、抄紙された原紙の密度は0.
37〜0.67g/cm3であり、発泡性ポリスチレン
並の低密度(密度0.1g/cm3前後)にはならな
い。
【0005】一方熱により発泡する発泡性マイクロカプ
セルは、米国特許第2797201号、特公昭42−2
6524号、特公昭44−7344号等に開示されてい
るように、メタクリル酸とスチレンの共重合体、アクリ
ロニトリルとスチレンの共重合体、塩化ビニリデン等の
マイクロカプセル中にブタンガス等の発泡剤を内包した
ものであり、加熱によりブタンガス等が膨張して、中空
の樹脂球を形成する。
【0006】これらの発泡性マイクロカプセルを混入さ
せた塗料またはインキを紙に塗工、印刷、捺印して、こ
れを加熱することで発泡させて低密度な素材を製造する
方法も提案されている。例えば特公昭53−31784
号、特開昭54−31500号、特開昭62−2614
36号、特開平3−241099号等には、壁紙用の材
料に使用する目的の提案がなされている。これらはいず
れも通気性や凹凸の付与を目的として発泡性マイクロカ
プセルを使用したものであり、紙全体の低密度化を目的
にしたものではない。
【0007】また、特開昭55−18116号には、紙
に発泡性マイクロカプセルを内添させて、加熱発泡させ
ることにより低密度な紙を製造する方法が提案されてい
るが、これは振動板の製造を目的としたものであり、密
度も0.5g/cm3程度しか下がらない。
【0008】また、特開平5−339898号には、加
熱発泡前の紙の水分量を65〜72重量%にすることで
低密度な紙を得る製造方法が提案されている。しかしこ
の方法は乾燥前の湿紙含有水分が、通常の抄紙時の湿紙
含有水分よりも大幅に多く、このため乾燥工程で特別の
配慮が必要となる。特に発泡により紙が低密度になるに
つれて断熱性が発現するので、乾燥効率は大幅に低下す
る。
【0009】発泡性マイクロカプセルを紙に内添して抄
紙し、これを加熱発泡させる場合には、発泡の方法が非
常に重要である。すなわち、発泡性マイクロカプセルは
前述したように、発泡させるための液体を芯物質とした
マイクロカプセルであり、これを発泡させるには適度な
温度に加熱処理する必要がある。本発明者らが長網多筒
式抄紙機で実験した観察結果では、発泡性マイクロカプ
セルを製紙用パルプと混合抄紙して通常の抄紙方法で脱
水乾燥した場合は、発泡倍率の大きい部分と少ない部分
ができ、紙面に凹凸のムラが発生して、均一な発泡状態
の紙が得にくいことがわかった。この不均一な発泡状態
は、抄紙機のドライヤーシリンダーの入口側の2〜3本
目という乾燥のきわめて初期の段階で、すでに発生する
ことが確認された。
【0010】本発明者らは、この原因として、先行して
発泡した部分に対し、その周辺部分では熱源(ドライヤ
ー面)との接触が阻害されて発泡が遅れる結果、やがて
パルプ繊維が乾燥することにより強固な繊維間結合が形
成されてしまい、その後に発泡が始まっても、もはやパ
ルプ繊維間を拡大して紙を低密度にする効果が働かない
からであると推定した。さらに、紙の抄造時には地合ム
ラ(繊維フロックの形成)の発生は避け難いものであ
り、その結果、パルプ繊維の多い部分には発泡性マイク
ロカプセルが多く存在し、逆にパルプ繊維が少なく地合
の薄い部分には発泡性マイクロカプセルの存在も少なく
なるために、発泡性マイクロカプセルの分布が不均一状
態になり、先に述べた乾燥過程での原因と相まって不均
一な発泡状態になると推定した。
【0011】また特開平5−230798号には、パル
プを主体とした繊維材料に発泡性マイクロカプセルを添
加して湿紙を抄造し(いわゆる内添法)、湿紙を発泡性
マイクロカプセルの発泡開始温度よりも低い温度で乾燥
してから、これを90℃以上の高温水と接触させてマイ
クロカプセルを発泡させて蒿高紙を製造することが開示
されている。しかし、この提案は発泡性マイクロカプセ
ルを効率よく発泡させる効果はあるが、原紙を製造する
際の湿紙の乾燥を、加圧蒸気を熱源とする一般の抄紙機
のドライヤーではコントロールしにくい100℃以下で
行わなければならず、さらに一度乾燥した紙を再度高温
水に浸漬して再乾燥する必要があり、紙の乾燥エネルギ
ー効率は著しく悪くなる問題点がある。また、発泡性マ
イクロカプセルを内添させる方法は、高価な発泡性マイ
クロカプセルの歩留りが悪いという別の問題点がある。
また、良好なクッション性を得るためには発泡性マイク
ロカプセルを発泡させて低密度な紙を得るだけでは不十
分である。発泡の度合を高め、低密度化を進めるほど発
泡性マイクロカプセルの膜厚は薄くなり、低密度ではあ
っても潰れやすい紙になってしまうからである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記したよう
な問題点を解決することを課題とする。具体的には発泡
性マイクロカプセルを利用し、好ましくは密度が0.1
〜0.3g/cm3であり、発泡状態が均一で、強度も
優れた低密度紙を効率よく得ることを課題とする。
【0013】発泡性マイクロカプセルを紙に均一に混入
する手段として、紙の含浸加工法を応用する方法が考え
られる。本発明者らは、先ず乾式含浸加工法(乾燥した
原紙を抄造してから、含浸加工する方法)の常法に従
い、含浸しやすい無サイズで、水に濡れても加工に必要
な強度を保つように湿潤強化剤を添加した含浸用原紙を
用い、発泡性マイクロカプセルの分散液の含浸加工を試
みた。図1は乾式含浸加工装置の一例であってその概念
図を示す。乾燥状態の加工用原紙6は含浸バットで含浸
液3を含浸され、必要に応じて熱風乾燥炉7で予備乾燥
を行った後にシリンダードライヤーで乾燥されて含浸紙
が製造される。本発明者らが、この乾式含浸法を使用し
て検討した結果では、発泡性マイクロカプセルの紙層内
部への侵入は不十分であり、発泡性マイクロカプセルが
紙の表面に多く分布してしまう結果、紙の厚さ方向への
均一性に欠ける不満足なものであることが判った。
【0014】本発明者らはこの原因は、一度乾燥した紙
はパルプ繊維間に強い結合が生じているために、発泡性
マイクロカプセルの発泡によって、パルプ繊維間の空隙
を拡大することが不十分となることによると推定した。
また、発泡マイクロカプセルは通常の含浸用の合成ゴム
ラテックス等と比較するとその粒径が著しく大きい為
に、パルプ繊維間のゆるみが少ない状態で含浸しても、
フィルター効果が働いて、紙の表面に発泡性マイクロカ
プセルがケーキング現象を起こして残留する傾向が強く
なり、紙層間へ発泡性マイクロカプセルが入り難くなる
ことももう一つの原因と推定した。従って低密度を得る
ためには添加する発泡性マイクロカプセルの量を多くす
る必要があり、それがさらに紙表面に発泡性マイクロカ
プセルを多く残留させることとなって、上述のように紙
の厚さ方向での発泡性マイクロカプセル分布の不均一性
が拡大してしまうことになる。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、さらに検
討を進め、湿式含浸法によれば、本発明の目的とする課
題が解決できることを見い出した。即ち本発明の要旨と
するところは、製紙用パルプを主材として抄紙した水分
50〜60重量%の、乾燥前の坪量が40〜1000g
/m2(絶乾坪量換算)の紙匹に、主として発泡性マイ
クロカプセルからなる含浸液を湿式含浸法により製紙用
パルプに対し2〜30重量%含浸し、次いで加熱するこ
とによって発泡性マイクロカプセルを発泡させたことを
特徴とする低密度紙である。
【0016】次に本発明に至った経緯について詳細に説
明する。本発明者らは、前述した乾式含浸加工法で発泡
性マイクロカプセルを含浸加工した紙は、発泡性マイク
ロカプセルが紙層内部には入りにくいために発泡の不均
一性を生ずるが、発泡性マイクロカプセルを内添した場
合のような凹凸ムラが発生しないことに着目した。その
理由は明確ではないが、次のように推定した。すなわ
ち、含浸原紙にも地合ムラはあり、発泡性マイクロカプ
セルの含浸量も地合に対応してムラが生じている筈であ
るが、含浸後の絞りによって地合の厚い部分にはより強
く絞り圧が加わる為に含浸液もよく絞り出される。逆に
地合の薄い部分は、絞り圧が小さい為に含浸液はより多
く存在することになる。発泡性マイクロカプセルは含浸
加工用の合成ゴムラテックス等と比較して粒子径が大き
く、乾燥中に紙層内部に移動することは考え難い。従っ
て、乾燥後の紙の厚さとしては地合ムラと発泡性マイク
ロカプセルの分布ムラが相殺されて、凹凸の少ない状態
になると推定した。
【0017】本発明者らは上記の事実に着目し、湿式含
浸加工法を応用することを考えだした。湿式含浸加工法
とは、抄造された乾燥前の紙匹を含浸液に浸漬して含浸
加工する方法である。湿式含浸加工法の例としては米国
特許第2049469号に提案されているように、湿紙
をワイアー上に保持して紙層の破壊を防止しながら含浸
液への浸漬と絞りを行う方法(ノバック法と呼ばれてい
る)がある。図2はこの湿式含浸加工装置の一例であっ
てその概念図を示す。ワイヤパート1から供給された湿
紙2は含浸バットで含浸液4を含浸されワイヤ4でシリ
ンダードライヤー5に導かれ乾燥される。
【0018】本発明が、発泡性マイクロカプセルをこの
湿式含浸加工法により含浸加工できた理由は以下のよう
に説明できる。乾式含浸加工法(乾燥した原紙に含浸加
工する方法)で用いられる加工原紙は、含浸液の浸透が
容易に行われるように無サイズであり、さらに含浸液に
浸漬されて濡れた状態になっても紙切れが生じないよう
に適切な湿順強度を有するように湿潤紙力増強剤で補強
されている。これに対して、湿式含浸加工法では抄紙し
た紙匹はプレス脱水した後、乾燥されることなく含浸工
程に入る。すなわち、湿式含浸加工法で用いられる紙
は、含浸工程では未だパルプ繊維間の結合が生じていな
いために、含浸液に浸漬された時に乾式含浸加工法と比
較してパルプ繊維間の空隙がはるかに拡大しやすいこと
が容易に理解できる。その結果、発泡性マイクロカプセ
ルの紙層内部への浸透は乾式含浸加工法に比較して均一
かつ完全に行われるようになる。
【0019】含浸する材料が、本発明に用いられた発泡
性マイクロカプセルのように、粒径が5〜30μmと通
常の含浸加工に用いられる材料と比較して極めて大きい
場合、紙層内部への均一な含浸を行う上で湿式含浸加工
法は非常に有効であることは以下のように説明できる。
【0020】発泡性マイクロカプセルを紙層内部に含浸
し、これを発泡させる場合、発泡性マイクロカプセルは
パルプ繊維間の空隙を埋めるように発泡するが、既に形
成されているパルプ繊維間結合を破壊してまでもパルプ
繊維間の空隙を拡大する力はない。これが既にパルプ繊
維間結合が生じている乾燥した原紙に含浸する乾式含浸
加工法に比較して、加熱発泡段階に入る迄はパルプ繊維
間結合が生じていない湿式含浸加工法の方が容易に低密
度紙が得られる理由である。
【0021】本発明で用いられる製紙用パルプは特に制
限はなく、通常の製紙で使用されるものはどれでも使用
することができる。例えば針葉樹未晒クラフトパルプ
(NUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルフ
ァイトパルプ(NBSP)等の木材パルプを主材とし、
麻、木綿、藁パルプ、ケナフ等の非木材パルプや、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル等を
原料とした合成パルプ等を併用することができる。上記
パルプの他にもアクリル繊維、レーヨン繊維、ポリエス
テル繊維、ポリアミド繊維等の有機合成繊維やガラス繊
維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナシリケ
ート繊維、ロックウール等の無機繊維等、各種の繊維を
併用することも可能である。木材パルプについては、均
一な含浸性を得る点で広葉樹パルプよりも針葉樹パルプ
を使用する方が有利である。
【0022】本発明に使用する発泡性マイクロカプセル
は、前述のように樹脂微粒子中に低沸点溶剤を内包した
もので、70〜150℃の比較的低温度で直径が3〜5
倍、体積で30〜120倍に膨張する平均粒径が5〜3
0μmの粒子である。樹脂としては、通常塩化ビニリデ
ン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリ
ル酸エステル等の共重合体から成る熱可塑性樹脂が使用
され、低沸点溶剤としては通常イソブタン、ペンタン、
石油エーテル、ヘキサン、低沸点ハロゲン化炭化水素等
の低沸点溶剤を使用する。発泡性マイクロカプセルの製
法は、従来の公知の方法がいずれも使用できる。
【0023】発泡性マイクロカプセルは外殻を形成する
樹脂の軟化点以上に加熱されると樹脂が軟化し始め、同
時に封入されてある低沸点溶剤が気化して蒸気圧が上昇
し、その結果樹脂が押し広げられて膨張し、独立気泡を
形成する。これにより優れた断熱性とクッション性を得
ることができる。これら発泡性マイクロカプセルとして
は、松本油脂製薬株式会社製造の「マツモトマイクロス
フェアF−30D」、「同F−30GS」、「同F−2
0D」、「同F−50D」や、日本フィライト株式会社
販売の「エクスパンセルWU」、「同DU」等が知られ
ているが、本発明に使用する発泡性マイクロカプセルは
これらに限定されるものではない。
【0024】発泡性マイクロカプセルの含浸量は製紙用
パルプに対して2〜30重量%、好ましくは4〜15重
量%である。2重量%以下では充分な低密度が得られ
ず、30重量%を越えると効果が頭打ちになって経済性
の面から適当とはいえず、さらに発泡性マイクロカプセ
ルが紙の表面に残留しやすくなって、紙表面における紙
粉の脱落傾向が強くなるという欠点がでる。
【0025】本発明では、製紙材料としてパルプ以外の
副材料、例えばサイズ剤、紙力増強剤、染料、顔料、歩
留り向上剤、填料、PH調整剤、スライムコントロール
剤、粘剤、防腐剤、防カビ剤、難燃剤等の公知の材料を
必要に応じて単独でまたは組み合わせて使用することが
できる。乾式含浸加工法の場合には、例えばサイズ剤を
加えると、含浸液の浸透が抑制されて含浸加工が不可能
となる。また、紙力増強剤の添加も含浸性の低下や発泡
性の抑制作用が働き、その使用が制限される。しかし湿
式含浸加工法の場合には、これらの添加薬品の効果が発
現される前に含浸を行うので、特別な制約を受けないと
いう有利さがある。
【0026】本発明の代表的な製造方法を挙げる。製紙
用パルプを主材として長網、円網、短網等の抄紙マシン
で紙匹を形成し、プレスパート等で水分含有率を50〜
60重量%に脱水した後、紙匹をワイアに乗せ、発泡性
マイクロカプセルを含む含浸液に浸漬し、その後絞りを
行ってから、ドライヤシリンダーを通し、発泡性マイク
ロカプセルを発泡させながら乾燥することによって、紙
層中に発泡性マイクロカプセルが発泡した独立気泡が多
数存在する低密度紙が得られる。
【0027】本発明に於て、含浸液に発泡性マイクロカ
プセルの他に天然ゴムラテックス、スチレン・ブタジエ
ン共重合ラテックス、メチルメタアクリレート・ブタジ
エン共重合ラテックス等のゴムラテックス及び/または
ポリアクリル酸エステルエマルション、ポリ酢酸ビニル
エマルション、ポリ塩化ビニルエマルション等の合成樹
脂エマルションのバインダーを併用することができる。
これらの含浸割合は製紙用パルプに対して5〜40重量
%、好ましくは10〜25重量%である。こうすること
で、発泡性マイクロカプセルの分布がより均一に分散す
るようになる。さらに、パルプ繊維や発泡性マイクロカ
プセルの脱落が防止でき、強度も改善できる。また、バ
インダーの種類と共に添加率を選択することで、紙質を
硬くしたり柔らかくしたりする等、目的に合わせて自由
に設計することができるので、紙粉の脱落を防止した
り、低密度であり且つフレキシブルで丈夫な素材にする
等、本発明の低密度紙の用途を拡大することができる。
含浸割合が5重量%未満であるとこれら効果が出難くな
り、30重量%を越えると経済的に不利になり、また効
果がそれ以上期待でき難くなる。
【0028】また、上記バインダーの他にも色々な材料
を配合することで特徴のある用途が展開できる。例え
ば、防カビ剤を添加することで防カビ性を有する低密度
紙が得られ、また、難燃剤を配合すれば難燃性の低密度
紙を得ることができる。
【0029】
【実施例】実施例1 針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)100重量部
(乾燥重量換算、以下同じ)を離解し、パルプ濃度0.
5重量%の紙料とした。この紙料を用いて、図1に示す
湿式含浸加工装置を有する長網抄紙機で、含浸前の紙匹
坪量が200g/m2(乾燥重量換算、以下同じ)にな
るように抄紙し、次いで発泡性マイクロカプセル(商品
名「マツモトマイクロスフェアF−30D」、松本油脂
製薬株式会社製造、粒子径10〜20μm、セルの軟化
温度80℃)の4重量%の含浸液に湿紙を浸漬し、次い
で絞り条件の調整によって発泡性マイクロカプセルの含
浸率が約3.5重量%(乾燥換算、以下同じ)になるよ
うに含浸し、前群ドライヤシリンダー10本(表面温
度、110℃)、後群ドライヤシリンダー10本(表面
温度、125℃)からなる多筒式ドライヤパートで乾燥
し、坪量が207g/m2の低密度紙を得た。JISに
従って坪量、厚さ、密度、引張強さ、耐折強さを測定
し、発泡の均一さや紙粉の脱落程度に関しては目視と触
感で評価した。評価結果は表1に示す。
【0030】実施例2 含浸液中の発泡性マイクロカプセルの濃度を8重量%と
して、発泡性マイクロカプセルの含浸率が約9.0重量
%になるように絞り条件を調整した他は実施例1と同様
の手順で含浸前坪量が200g/m2、含浸後坪量が2
18g/m2の低密度紙を得た。
【0031】実施例3 含浸液中の発泡性マイクロカプセルの濃度を15重量%
として、発泡性マイクロカプセルの含浸率が約15.0
重量%になるように絞り条件を調整した他は実施例1と
同様の手順で含浸前坪量が200g/m2、含浸後坪量
が230g/m2の低密度紙を得た。
【0032】実施例4 含浸液中の発泡性マイクロカプセルの濃度を8重量%と
して、発泡性マイクロカプセルの含浸率が約8.5重量
%になるように絞り条件を調整した他は実施例1と同様
の手順で含浸前坪量が80g/m2、含浸後坪量が87
g/m2の低密度紙を得た。
【0033】実施例5 含浸液中の発泡性マイクロカプセルの濃度を8重量%と
して、発泡性マイクロカプセルの含浸率が約8.0重量
%になるように絞り条件を調整した他は実施例1と同様
の手順で含浸前坪量が500g/m2、含浸後坪量が5
40g/m2の低密度紙を得た。
【0034】実施例6 含浸液として、発泡性マイクロカプセル(実施例1と同
じ)の濃度を6重量%、スチレン・ブタジエン共重合ラ
テックス(商品名「ラックスターDS−614」、大日
本インキ化学工業株式会社製造)の濃度が14重量%に
なるように水に分散して調整したものを使用し、含浸液
の含浸率が20重量%になるように絞り条件を調整した
他は、実施例1と同様の手順で含浸前坪量が200g/
m2、含浸後坪量が240g/m2の成紙を得た。
【0035】比較例1 実施例1で用いたパルプを離解し、これに湿潤紙力増強
剤(商品名「WS−500」、日本PMC株式会社製
造)を対パルプで0.5重量%加えた紙料を用い、実施
例1で使用した長網抄紙機を用い、抄紙機の含浸装置で
の含浸は行わないで坪量が200g/m2の乾式含浸加
工用の原紙を得た。次に図2に示した乾式含浸加工装置
を用い乾式含浸加工を行った。この時に使用した含浸液
は実施例1で使用した含浸液と同様の組成で、含浸液の
含浸率も同様に約3.5重量%になるように絞り条件を
調整して含浸前坪量が200g/m2、含浸後坪量が2
07g/m2の紙を得た。
【0036】比較例2 含浸液の組成と含浸液の含浸率を実施例6と同様にした
他は比較例1と同様の手順で含浸前坪量が200g/m
2、含浸後坪量が240g/m2の紙を得た。
【0037】比較例3 含浸液中の発泡性マイクロカプセルの濃度を1重量%と
して、発泡性マイクロカプセルの含浸率が約1.0重量
%になるように絞り条件を調整した他は実施例1と同様
の手順で含浸前坪量が200g/m2、含浸後坪量が2
02g/m2の紙を得た。
【0038】比較例4 含浸液中の発泡性マイクロカプセルの濃度を35重量%
として、発泡性マイクロカプセルの含浸率が約35.0
重量%になるように絞り条件を調整した他は実施例1と
同様の手順で含浸前坪量が200g/m2、含浸後坪量
が270g/m2の紙を得た。
【0039】評価は以下に述べる方法で行った。 1)坪量:JIS P−8124 2)厚さ:JIS P−8118 3)引っ張り強さ:JIS P−8113 4)耐折強さ:JIS P−8115 5)発泡の均一性:◎は表面の凹凸がなく、厚さ方向の
均一性も良好な状態、○は表面の凹凸がなく、厚さ方向
の均一性は概ね良好な状態、△は表面の凹凸はないが、
厚さ方向の均一性に難点がみられる状態、×は表面状
態、発泡性状態共に難点がみられる状態を示す。 6)紙粉の脱落:◎は通常の取扱では問題が生じなレベ
ル、○は表面を強く擦ると紙粉が脱落する傾向がみられ
るレベル、△は表面を擦ると紙粉が脱落する傾向があ
り、用途によっては問題を生じるレベル、×は表面を軽
く擦っても容易に紙粉が脱落するレベルを示す。発泡の
均一性と紙粉の脱落は、評価結果で○以上が実用的に満
足できる状態である。
【0040】実施例及び比較例の評価結果を表1に示
す。
【0041】
【表1】
【0042】表1の結果から明かのように、湿式含浸加
工を行った場合には、密度が0.1〜0.2g/cm3
の低密度紙が得られ、しかも発泡の均一性も良好である
ことがわかる。さらに、発泡性マイクロカプセルの含浸
率が製紙用パルプに対し4〜15重量%にあると均一な
発泡性が維持され、30重量%を越えるように増量した
場合ではその効果は頭打ちになってくることがわかる。
また、ゴムラテックスや合成樹脂エマルションを併用す
ると紙粉の脱落も少なく、フレキシブルな低密度紙が得
られることがわかる。また、乾式含浸加工法を使用した
場合には、発泡性マイクロカプセルの含浸率を同じにし
ても発泡の均一性は得にくく、発泡性マイクロカプセル
が紙の表面に多く分布する傾向が強いために紙粉の脱落
が大きいものとなる。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、発泡性マイクロカプセ
ルを湿式含浸加工法を用いることで紙層中に均一に含浸
することができ、且つパルプの繊維間結合が生じていな
い段階から発泡性マイクロカプセルの発泡を開始させる
ことができ、良好な断熱性、保温性、クッション性を有
する極めて低密度な紙を容易に、しかも経済的に製造す
ることが可能となる。さらに含浸液の組成中に、用途に
応じてゴムラテックス及び/または合成樹脂エマルショ
ン等のバインダーを添加することで、紙粉落ちが少な
く、フレキシブルで強度に優れた極めて低密度な紙を容
易に、しかも経済的に製造することが可能になり、断熱
材やクッション材として好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 乾式含浸加工装置の一例である。
【図2】 湿式含浸加工装置の一例である。
【符号の説明】
1 ワイヤパート 2 湿紙 3 含浸液 4 ワイヤ 5 シリンダードライヤー 6 加工用原紙 7 熱風乾燥炉
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−189172(JP,A) 特開 昭49−25207(JP,A) 特開 昭49−36909(JP,A) 特開 昭49−32966(JP,A) 実開 昭54−14001(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 11/00 - 27/42

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 製紙用パルプを主材として抄紙した水分
    50〜60重量%の、乾燥前の坪量が40〜1000g
    /m2(絶乾坪量換算)の紙匹に、主として発泡性マイ
    クロカプセルからなる含浸液を湿式含浸法により製紙用
    パルプに対し2〜30重量%含浸し、次いで加熱するこ
    とによって発泡性マイクロカプセルを発泡させたことを
    特徴とする低密度紙。
  2. 【請求項2】 含浸液に発泡性マイクロカプセルと共
    に、ゴムラテックス及び/または合成樹脂エマルション
    を製紙用パルプに対して5〜40重量%併用した請求項
    1記載の低密度紙。
  3. 【請求項3】 密度が0.1〜0.3g/cm3である
    請求項1又は2記載の低密度紙。
  4. 【請求項4】 発泡性マイクロカプセルの含浸率が製紙
    用パルプに対し4〜15重量%である請求項1又は2記
    載の低密度紙。
JP6058155A 1994-03-02 1994-03-02 低密度紙 Expired - Fee Related JP3061345B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6058155A JP3061345B2 (ja) 1994-03-02 1994-03-02 低密度紙

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6058155A JP3061345B2 (ja) 1994-03-02 1994-03-02 低密度紙

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07243196A JPH07243196A (ja) 1995-09-19
JP3061345B2 true JP3061345B2 (ja) 2000-07-10

Family

ID=13076111

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6058155A Expired - Fee Related JP3061345B2 (ja) 1994-03-02 1994-03-02 低密度紙

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3061345B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3026196U (ja) * 1995-12-21 1996-07-02 正昌 高橋 保温保冷段ボール箱
JP5615013B2 (ja) * 2010-03-30 2014-10-29 大王製紙株式会社 成形用シート及びこれを用いたシート状成形体
CN114438817A (zh) * 2022-01-18 2022-05-06 山东凯丽特种纸股份有限公司 一种双面防滑纸的生产方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07243196A (ja) 1995-09-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2611612B2 (ja) クッション性紙管
US6133170A (en) Low density body
JP3826772B2 (ja) 熱膨張性積層体およびその積層体を用いた発泡紙容器
KR100903932B1 (ko) 화학적 조성물 및 공정
JPS5953800A (ja) 繊維のウエブの製造方法
JP4268980B2 (ja) 多層抄き板紙及びこの多層抄き板紙を用いた包装容器
JP2001098494A (ja) 発泡紙の製造方法および発泡紙用の原紙の製造方法
JP3061345B2 (ja) 低密度紙
JP3351916B2 (ja) 低密度複合材料
JP3166763B2 (ja) 発泡体粒子混抄紙
JPH10245792A (ja) 低密度体
JPH05230798A (ja) 嵩高紙の製造方法
JP3176539B2 (ja) 調湿性低密度紙及びその製造方法
JPH05339898A (ja) 発泡体粒子を含有する紙の製造方法
JP2001527173A (ja) 寸法安定紙及び厚紙製品
JP4268995B1 (ja) 多層抄き板紙
JP4025444B2 (ja) 低密度発泡紙ならびにその製造方法
JPH11200282A (ja) 低密度紙
JP2002069898A (ja) ファイル・ホルダー用紙及びその製造方法
JPH08226097A (ja) 低密度紙の製造方法
US20010041223A1 (en) Steam-assisted paper impregnation
JP3024591B2 (ja) 発泡体粒子混抄紙
JP2506737Y2 (ja) 化粧材用素材
JP2003003398A (ja) 低密度紙
US20010041222A1 (en) Steam-assisted paper impregnation

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080428

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090428

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees