JP4665310B2 - 紙製容器の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙製容器に用いる、紙の抄造工程でパルプに熱発泡性のマイクロカプセルタイプの発泡剤を添加して抄造した発泡用紙と、該発泡用紙を用いて容器形状に成形後、加熱発泡させて紙厚を増加させた断熱性を有する紙製容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、断熱性の紙製容器の代表である断熱カップとしては、例えば、耐水加工した紙カップ本体の胴部の外側に多数の凹凸模様を形成させたエンボス紙を貼着し、さらにこのエンボス紙の上からコートボール等の板紙を貼着して断熱層を形成させた断熱カップがある。
【0003】
この断熱カップは、接着剤を使用するため糊付け工程が必要になるなど作業工程が複雑で、容器コストが比較的高くなる、また、紙カップに胴紙を巻き付けるため容器重量が増すという問題がある。
【0004】
また、図3に示すように、内層(51)と外層(52)とで融点の異なるポリエチレンを用いた(外層のポリエチレンの融点を低く設定する)両面ポリエチレン加工紙で紙カップを成形し、成形した紙カップを加熱炉等で加熱し、紙(53)に含有される水分(54)を気化させ、その蒸気を外層のポリエチレン(52)に抱かせることによって紙カップの表面に凹凸状の断熱層を作り断熱性を持たせた紙製断熱カップ(50)もある。
【0005】
この方式の断熱カップは、紙の水分率管理が非常に困難であり(水分率が少ないと発泡しないため)、かつ、表面が凹凸状になるので印刷層(55)も含め美粧性に乏しい。また、発泡倍率が低く断熱性が低い、などの問題点がある。
【0006】
その他、抄紙後の乾燥工程におけるオーブンの熱で発泡させる発泡紙が存在しているが、印刷適性が悪い(抄紙と同時に発泡させるため紙端面より紙粉が多く発生したり、発泡したカプセルのかすが印刷表面に付着するなど印刷不良の原因となるため)、また、ある程度の厚みを有するため従来の紙と比較して、半製品である用紙の巻き取り量が減少するなど、輸送効率が悪く輸送コストがかかる。さらに発泡した状態であるためシワが入り易く折り曲げなど製函、成形などの加工が行いにくい等の問題がある。
一方、通常の紙で容器を作る場合、軽量化をはかるためには紙坪量を低くするという方法が考えられるが、容器の腰がなくなるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、紙製の断熱容器に関する以上のような問題点に着目してなされたもので、比較的軽量で、紙の水分率管理が容易若しくは、ほとんど必要がなく、加熱発泡後の断熱効果が高く、かつ、美粧性を有する発泡用紙と、上記性能を有する発泡用紙を用いた紙製容器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の発明は、紙の抄紙工程において、熱発泡性の発泡剤をパルプ重量に対して10〜50%添加して抄造したことを特徴とする発泡用紙である。
【0009】
このように、抄紙工程において、パルプスラリー中に内添用サイズ剤、定着剤、内添用乾燥紙力増強剤、内添用湿潤紙力増強剤などと共に、熱発泡性の発泡剤をパルプ重量に対して10〜50%添加して抄造した発泡用紙であるので、紙製容器に成形したのち加熱することにより、用紙が発泡して紙厚が増加するとともに密度が小さくなり断熱性が向上する。
【0010】
本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記発泡用紙は、少なくとも一層が抄紙工程において、熱発泡性の発泡剤をパルプ重量に対して10〜50%添加され、かつ、前記発泡剤を添加した層の密度が、他の発泡剤を添加していない層の密度よりも低くなるよう設定して抄造したことを特徴とする発泡用紙である。
【0011】
このように発泡用紙の発泡剤を添加した層の密度を発泡剤を添加していない層の密度よりも低く設定することにより加熱発泡時に発泡剤を添加した層の体積は増加し易くなり、また、発泡剤を添加していない層の密度を発泡剤を添加した層の密度よりも高く設定することにより剛度が増す。
【0012】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記熱発泡性の発泡剤は、マイクロカプセルタイプの発泡剤であり、炭酸塩などの化学発泡剤または炭化水素などの物理発泡剤からなる内部発泡薬剤の外表面が、ウレタンなどの熱可塑性樹脂で覆われていることを特徴とする発泡用紙である。
【0013】
このように、熱発泡性の発泡剤は、マイクロカプセルタイプの発泡剤であり、炭酸塩などの化学発泡剤または炭化水素などの物理発泡剤からなる内部発泡薬剤の外表面を、ウレタンなどの熱可塑性樹脂皮膜でシェルとして覆っているため、化学反応により発生したガス若しくは発泡剤そのものの膨張などによりマイクロカプセルが膨張し、それが紙の繊維の隙間を押し広げることによって密度を低くし断熱性を持たせる。
【0014】
なお、マイクロカプセルタイプの発泡剤の内核となる熱発泡性の発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム炭酸塩のほかに、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、アジド化合物、トリアゾール化合物等公知の熱分解型の化学発泡剤を使用することができる。
【0015】
さらに、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、石油エーテルなどの液状炭化水素からなる熱膨張型の物理発泡剤を使用することもできる。
一方、上述のような内核の外表面を覆う熱可塑性樹脂としては、アクリロニトリル、ポリウレタン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどを使用することができる。
また、このマイクロカプセルタイプの発泡剤の発泡開始温度は、抄紙乾燥時のドライヤーの温度よりも高温のものを選定する必要がある。
【0016】
また、第4の発明は、第1、第2または第3の発明において、前記抄造した発泡用紙において、抄造上がりの密度が0.98g/cm3 以上で、加熱発泡後の密度が0.90g/cm3 以下であることを特徴とする発泡用紙である。
【0017】
このように、抄造した発泡用紙を発泡させることで厚みが増すと共に密度が0.90g/cm3 以下となるため、断熱効果はさらに向上する。
【0018】
また、第5の発明は、第1、第2、第3または第4の発明において、前記発泡用紙の表面には、印刷適正を付与するためのクレー塗工層が設けられていることを特徴とする発泡用紙である。
【0019】
このように、発泡用紙の表面にはクレー塗工層が設られているので、表面が平滑になり美粧性に富んだ印刷表現が可能になる。
なお、クレー塗工層の代わりにポリエチレン樹脂の塗布膜としても良い。ポリエチレン塗布膜にすることにより、容器に成形した際の衛生性が向上する。
【0020】
また、第6の発明は、前記発泡用紙を容器形状に成形し、その後加熱炉で加熱発泡させたことを特徴とする紙製容器である。
【0021】
発泡用紙を用いてトレー、カップ等の容器形状に成形し、その後加熱炉で加熱発泡する構成にすることにより、容易に製函・成形することができ、さらには前述のような性能を有しているので、軽量でなおかつ紙厚が増加し、断熱性に優れた紙製容器となる。
【0022】
また、第7の発明は、第6の発明において、前記紙製容器が紙カップであることを特徴とする紙製容器である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
マイクロカプセルタイプなどの熱発泡性の発泡剤をパルプ重量に対して20〜25%添加して発泡用紙を抄造した(実験1)。また、発泡用紙の具体例として、カップ原紙をベースに発泡用紙を抄紙し、さらにその紙を使用して紙カップを成形し、それを加熱発泡させて断熱カップを作製した(実験2)。
すなわち、カップ原紙の抄紙段階で熱発泡性の発泡剤をパルプに混合して抄紙する方法として、パルプに熱発泡性の発泡剤を混合して抄く1層抄きのカップ原紙と、表層、中間層、裏層の多層構成のカップ原紙の中間層にのみ、熱発泡性の発泡剤を混合させて抄紙する多層抄きのカップ原紙の2種類のカップ原紙を使用してそれぞれ紙製容器である断熱カップを作製した。
【0024】
なお、このカップ原紙は、少なくとも胴部を形成する胴部材に使用すれば良く、底部を形成する底部材には使用しなくても構わない。
【0025】
【実施例】
以下に本発明の実施例をさらに具体的に説明する。
《実験1》
パルプの種類、パルプに添加する内添用サイズ剤、定着剤、湿潤紙力増強剤などの添加薬剤の種類、添加量等は従来通りにして、内核が炭酸水素ナトリウムからなるマイクロカプセルタイプの発泡剤の添加量を20%、23%、25%の3条件で作製したパルプスラリーを抄紙、乾燥させて、坪量;390g/m2 、密度;0.92g/cm3 、厚さ;430μmの3種類の発泡用紙を抄造した。
【0026】
この発泡剤添加量を変えた3種類の紙を、110°Cの加熱炉に5分間入れて加熱発泡させ、それぞれ実施例1、2、3の発泡用紙とした。
また、前記炭酸水素ナトリウムを内核とするマイクロカプセルタイプの発泡剤の添加量が23%の紙を110°Cの加熱炉に2.5分間入れて加熱発泡させた紙を実施例4の発泡用紙とした。
【0027】
以上実施例1〜4の発泡用紙の熱伝導率と密度を下記の方法により測定した。
その際、市販されている発泡スチレン(PSP)シート(厚さ;3mm)と従来の発泡紙(厚さ;1.8mm)の熱伝導率と密度も合わせて測定し、それぞれ比較例1、2とした。それらの結果を表1に示す。
熱伝導率の測定方法‥ 昭和電工株式会社製の熱伝導率測定装置(Shortherm QTM)を使用して非定常熱線法で測定。
密度の測定方法 ‥ 実坪量(g/m2 )/厚み(mm)/1000を密度(g/cm3 )とした。
【0028】
【表1】
Figure 0004665310
【0029】
また、実施例2と実施例4の2種類の発泡用紙を所定の大きさに切り取り、坪量270g/m2 のカップ原紙に厚み20μmのポリエチレンをラミネートしたポリエチレン加工紙を用いて作製した紙カップの胴部表面にそれぞれ貼り付け、100°Cの熱湯を入れて3分後の表面温度を接触温度計で測定し、それぞれの断熱効果を確認した。
同時に加熱発泡させる前の発泡用紙を上記紙カップの胴部に貼り付け、実施例2、4と同様に表面温度を測定し、比較例3とした。
なお、同時にそれぞれの紙厚も測定した。それらの結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
Figure 0004665310
【0031】
《実験2》
〈実施例5〉
先ず、パルプの種類、パルプに添加する内添用サイズ剤、定着剤、湿潤紙力増強剤などの添加薬剤の種類、添加量等は従来通りにして、それぞれの割合がパルプ;65%、炭酸水素ナトリウムを内核とするマイクロカプセルタイプの発泡剤(4);30%、アクリル樹脂系バインダー;5%からなるパルプスラリーを抄紙、乾燥させて、坪量;250g/m2 、密度;0.850、厚さ;294μmの実施例5の発泡用紙であるカップ原紙を抄造した。
【0032】
このカップ原紙(3)の表面に厚さ;20μm(外層、2)、裏面に厚さ;30μm(内層、1)の低密度ポリエチレン樹脂を溶融押し出し法により塗布して、紙カップの胴部(11)を形成する胴部材用シートとした。
さらに、この胴部材用シートの表面に印刷層(5)を設け、打ち抜き工程を経て所定寸法の胴部材ブランクとした。
【0033】
別に、発泡剤を含まない従来通りの抄造方法で作製した1層抄きの坪量;200g/m2 、密度;0.88、厚さ;227μmのカップ原紙の片面に厚さ30μmの低密度ポリエチレン樹脂を溶融押し出し法により塗布して、紙カップの底部(12)を形成する底部材用巻き取りを作製した。
この巻き取りを所定寸法にスリットして底部材用ロールにした。
【0034】
こうして作製した胴部材ブランクと底部材用ロールから一般的な紙カップ成形機を使用して、30μmのポリエチレン層を内側にした、高さ;105mm、口径;140mm、底径;100mm、脚部高さ;10mm、口縁部高さ;5mm、口縁部幅;5mm、テーパー角度;7.5°の紙製カップを作製した。この時の胴部の厚さはトータルで340〜350μmであった。
【0035】
この紙製カップを120°Cの加熱炉の中で4分間加熱して、カップ原紙と混抄した発泡剤(4)を発泡させ、実施例5の紙製断熱カップを得た(図1参照)。
この時の胴部の厚さは約1500μm(約4倍)になった。
【0036】
〈実施例6〉
先ず、表層(3a)と裏層(3c)はパルプの種類、パルプに添加する内添用サイズ剤、定着剤、湿潤紙力増強剤などの添加薬剤の種類、添加量等は従来通りにして発泡剤の添加されていない密度0.92のパルプスラリーとし、3層よりなる中間層(3b)は、それぞれの割合がパルプ;50%、炭酸水素ナトリウムを内核とするマイクロカプセルタイプの発泡剤(4);45%、アクリル樹脂系バインダー;5%からなる密度0.85のパルプスラリーとして、5層抄きで抄紙、乾燥させて、坪量;250g/m2 、密度;0.878、厚さ;290μmの5層抄きの実施例6の発泡用紙であるカップ原紙(3)を抄造した。
【0037】
このカップ原紙の表面に実施例5と同様に厚さ;20μm、裏面に厚さ;30μmの低密度ポリエチレン樹脂を溶融押し出し法により塗布して、紙カップの胴部を形成する胴部材用シートとし、さらには、この胴部材用シートの表面に印刷層(5)を設け、打ち抜き工程を経て所定寸法の胴部材ブランクとした。
【0038】
つぎに、実施例5と同じ底部材ロールと前記胴部材ブランクから、実施例5と同様に、同寸法の紙製カップを作製した。詳細な説明は省略する。
この時の胴部の厚さはトータルで320〜330μmであった。
【0039】
この紙製カップを120°Cの加熱炉の中で4分間加熱して、カップ原紙と混抄した発泡剤(4)を発泡させ、実施例6の紙製断熱カップを得た(図2参照)。
この時の胴部の厚さは約1400μm(約4倍)になった。
【0040】
〈実施例7〉
先ず、パルプの種類、パルプに添加する内添用サイズ剤、定着剤、湿潤紙力増強剤などの添加薬剤の種類、添加量等は従来通りにして、それぞれの割合がパルプ;75%、内核が液状炭化水素で、外核がアクリロニトリルからなるマイクロカプセルタイプの発泡剤;20%、アクリル樹脂系バインダー;5%からなるパルプスラリーを抄紙、乾燥させて、坪量;250g/m2 、密度;0.850、厚さ;294μmの実施例7の発泡用紙であるカップ原紙を抄造した。
【0041】
このカップ原紙の表面に実施例5と同様に厚さ;20μm、裏面に厚さ;30μmの低密度ポリエチレン樹脂を溶融押し出し法により塗布して、紙カップの胴部を形成する胴部材用シートとし、さらには、この胴部材用シートの表面に印刷層を設け、打ち抜き工程を経て所定寸法の胴部材ブランクとした。
【0042】
つぎに、実施例5と同じ底部材ロールと前記胴部材ブランクから、実施例5と同様に、同寸法の紙製カップを作製した。詳細な説明は省略する。
この時の胴部の厚さはトータルで350〜450μmであった。
【0043】
この紙製カップを120°Cの加熱炉の中で4分間加熱して、カップ原紙と混抄した発泡剤を発泡させ、実施例7の紙製断熱カップを得た。
この時の胴部の厚さは約1500μm(約4倍)になった。
【0044】
〈比較例4〉
実施例5の加熱工程前の未発泡状態の紙製カップを比較例4の試験カップとした。
【0045】
〈比較例5〉
実施例6の加熱工程前の未発泡状態の紙製カップを比較例5の試験カップとした。
【0046】
〈比較例6〉
先ず、発泡剤を含まない従来通りの抄造方法で作製した5層抄きの坪量;270g/m2 のカップ原紙の片面に厚さ;30μmの低密度ポリエチレン樹脂を溶融押し出し法により塗布し、紙カップの胴部を形成する厚さが310μmの胴部材用シートとし、さらには、この胴部材用シートの表面に印刷層を設け、打ち抜き工程を経て所定寸法の胴部材ブランクを作製した。
別に坪量が210g/m2 の発泡剤を含まない従来通りの抄造方法で作製した5層抄きのカップ原紙の片面に厚さ;30μmの低密度ポリエチレン樹脂を溶融押し出し法により塗布し、紙カップの底部を形成する底部材用巻き取りを作製し、所定寸法にスリットして底部材用ロールにした。
【0047】
つぎに、上記胴部材ブランクと底部材用ロールから、実施例5と同様に、同寸法の紙製カップを作製し、比較例6の紙製カップとした。
【0048】
〈比較例7〉
先ず、発泡剤を含まない従来通りの抄造方法で作製した5層抄きの坪量;250g/m2 のカップ原紙の表面に厚さ;50μm、裏面に厚さ;30μmの低密度ポリエチレン樹脂を溶融押し出し法により塗布し、紙カップの胴部を形成する厚さが胴部材用シートとし、さらには、この胴部材用シートの表面に印刷層を設け、打ち抜き工程を経て所定寸法の胴部材ブランクを作製した。
別に底部材用ロールとして比較例3に用いたと同じロールを準備した。
【0049】
つぎに、上記胴部材ブランクと底部材用ロールから、実施例5と同様に、同寸法の紙製カップを作製した。
【0050】
この紙製カップを120°Cの加熱炉に入れ、カップ原紙中に含まれる水分を気化させ、その蒸気を表面のポリエチレン層に抱かせることにより凹凸状の断熱層を形成させた比較例7の紙製断熱カップとした。
【0051】
このようにして作製した実施例2種類、比較例4種類、合計6種類の試験カップの断熱性、横押し強度、美粧性の3項目を下記する方法により測定、評価した。その結果を表3に示す。
Figure 0004665310
【0052】
【表3】
Figure 0004665310
【0053】
表3から考察すると、本発明の紙製断熱カップは、現状の市販品以上の断熱効果があり、かつ、横押し強度や美粧性に優れていることがわかる(実施例5〜7と比較例4)。
発泡させることにより紙の剛度が上がり横押し強度が向上する。特に多層構成の場合に効果が大きい(実施例5と比較例4、実施例6と比較例5)。
【0054】
なお、横押し強度とは、リップ強度とも呼ばれ、カップ口縁部の横方向の強度であって、即席麺用の断熱カップ等では特に要求される品質項目であり、カップを手で持って食する際、横押し強度が弱いとカップを手で持った際に変形してしまい食べにくく、また、中身がこぼれ易くなり、火傷等の問題が生じる恐れがある。
【0055】
【発明の効果】
上記のように本発明の発泡用紙とそれを用いて作製した紙製容器は、表面に断熱層が配置されていないので、比較的平滑で美粧性に優れている。
成形後に発泡させるため、発泡条件を変更するだけで紙製容器の厚みを容易に変えることができ、断熱効果も用途に応じて設定することができる。
さらに、胴部材作製時の水分率管理も容易、若しくはほとんど必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発泡用紙を用いて作製した紙製容器である紙製断熱カップの一実施例を示す、部分断面説明図である。
【図2】本発明の発泡用紙を用いて作製した紙製容器である紙製断熱カップの別の一実施例を示す、部分断面説明図である。
【図3】従来の紙製容器である紙製断熱カップを示す、部分断面図である。
【符号の説明】
1‥‥内層
2‥‥外層
3‥‥発泡用紙、カップ原紙
3a‥表層
3b‥中間層
3c‥裏層
4‥‥発泡剤
5‥‥印刷層
10‥‥紙製容器、紙製断熱カップ
20‥‥紙製容器、紙製断熱カップ
11‥‥胴部、胴部材シート
12‥‥底部
50‥‥紙製容器、紙製断熱カップ
51‥‥内層
52‥‥外層(ポリエチレン)
53‥‥紙
54‥‥水分、蒸気
55‥‥印刷層

Claims (1)

  1. 少なくとも発泡剤を添加した層と発泡剤を添加していない層を備える発泡用紙を容器形状に成形し、その後加熱炉で加熱発泡させて紙製容器を製造する方法であって、
    発泡用紙の発泡剤を添加した層が、抄紙工程において熱発泡性の発泡剤をパルプ重量に対して10〜50%添加され、かつ、未発泡の状態で、前記発泡剤を添加した層の密度が、他の発泡剤を添加していない層の密度よりも低くなるよう設定して抄造したことを特徴とする紙製容器の製造方法。
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