JP4182696B2 - 紙製容器及び紙製容器の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙箱等のカートン、紙カップ、トレー容器、紙パック等の容器成形用に使用される紙製容器及び紙製容器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の紙カップ等の紙製容器成形用紙には、通常は、カップ原紙が使用されるが、紙カップの保温性や手触り感等を考慮した場合は、成形用紙として紙層内部に空気を抱き込んだ発泡タイプの発泡紙が使用される。
【0003】
この発泡紙は、抄紙工程でパルプ材に発泡剤を混入させて抄紙するとともに、この抄紙工程の段階で加熱発泡又は化学発泡処理されたものであり、既に発泡処理された既発泡タイプ(低密度タイプ)の発泡紙であるため、紙カップ成形工程において、皺になり易く、また発泡時の紙粉が多く発生したり、発泡されているために紙面が平滑でなく、そのため印刷適性が良好でないし、また、発泡紙は低密度であるため良好な輸送効率や保管効率が得られない等の問題がある。
【0004】
また、従来の発泡紙としては、抄紙工程でパルプ材に発泡剤を混入させて抄紙して、この抄紙工程の段階では発泡剤が発泡しないように乾燥処理し、その後の段階で加熱発泡処理するようにした後発泡タイプ(混抄タイプ)の発泡紙があるが、抄紙工程で発泡剤を混抄して製造するため、製造ロット毎の抄紙量が大きくなり、また発泡紙の抄紙機専用化が必要になって、少量生産が採算的に困難で、発泡紙供給の小回りが効かないなどの問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、既発泡タイプの発泡紙の上記問題を解決するとともに、後発泡タイプの発泡紙の上記問題を解決することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る発明は、コートボール、カップ原紙、ノーコートアイボリー等の容器成形用原紙の片面に、接着性樹脂層を介して、低密度用紙に発泡剤をコートした又は含浸させた発泡処理前状態の後発泡コート紙がラミネートされている容器成形用紙を用いて容器状に成形され、且つ成形後に加熱発泡処理されていることを特徴とする紙製容器である。
【0007】
本発明の請求項2に係る発明は、上記請求項1に係る紙製容器において、前記接着性樹脂層が耐水層であることを特徴とする紙製容器である。
【0008】
本発明の請求項3に係る発明は、上記請求項1又は2に係る紙製容器において、前記低密度用紙が、不織布又はコースター原紙であることを特徴とする紙製容器である。
【0009】
本発明の請求項4に係る発明は、上記請求項1乃至3のいずれか1項に係る紙製容器を製造するための紙製容器の製造方法であって、コートボール、カップ原紙、ノーコートアイボリー等の容器成形用原紙の片面に、接着性樹脂層を介して、発泡処理前状態の後発泡コート紙がラミネートされている容器成形用紙を用いて容器状に成形加工した後、該容器成形用紙の発泡処理前状態の後発泡コート紙を加熱発泡工程にて発泡処理することを特徴とする紙製容器の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の紙製容器及びその製造方法の発明の実施の形態を以下に詳細に説明すれば、図1の側断面図に示すように、コートボール、カップ原紙、ノーコートアイボリー等の容器成形原紙1が使用され、該原紙1の片面に、接着性層又は/及び耐水性層として接着性樹脂層3を介して、後発泡コート紙2がラミネートされている容器成形用紙を使用するものである。
【0011】
コートボール、カップ原紙、ノーコートアイボリー等の容器成形用原紙1には好ましくは坪量100g/m2 〜200g/m2 、又は150g/m2 〜200g/m2 又はそれ以上のものが使用される。
【0012】
後発泡コート紙2は、密度が0.8g/cm3 以下、層間剥離強度が300gf/15mm幅以下の低密度用紙に発泡剤をコートするか又は含浸させたものである。
【0013】
本発明における容器成形用紙の後発泡コート紙2は、図2に示すように、パルプ不織布等の天然繊維不織布、レーヨン不織布等の化学繊維不織布、あるいはコースター原紙などの低密度用紙4に、熱膨張性マイクロカプセル6(又は化学反応膨張性マイクロカプセル)と、低密度用紙4の繊維5とマイクロカプセル6とを結び付けるアクリル樹脂などのバインダーを配合した発泡剤をコートし又は含浸させたものである。
【0014】
本発明における容器成形用紙は、容器成形原紙1側の面を容器外面側に、後発泡コート紙2側の面を容器内面側にして、従来の紙製容器の成形加工に使用する一般的なコートボール、カップ原紙、ノーコートアイボリー等の容器成形用原紙の成形加工と同様の公知の成形加工により、図3(a)に示すように紙箱、紙カップ、トレー容器、紙パック容器等の紙製容器を成形加工する。
【0015】
そして、その後、成形加工された前記紙製容器の後発泡コート紙2を、加熱発泡方式(又は化学反応発泡方式)にて発泡処理することにより、図3(b)に示すように、後発泡コート紙2の紙層内に多数の膨張発泡した発泡部2aを発生させて、後発泡コート紙2の厚さが増加した断熱、保温性、剛性(コシ)のある紙製容器が得られる。
【0016】
以下に本発明の紙製容器の成形及び成形後の加熱に用いる容器成形用紙の具体的実施例を説明する。
【0017】
<実施例1>
(後発泡コート紙の作成)
坪量40g/m2 のレーヨン不織布に、下記加熱発泡剤を、全塗布量40g/m2 wetにて、それを4回に分割して塗布した後、加熱乾燥して、後発泡コート紙を得た。
加熱発泡剤(25重量%固形分)組成:
カプセル材・・・アクリル樹脂
カプセル内ガス・・・イソブタン
バインダー・・・アクリル樹脂
塗布された発泡剤固形分:(10×0.25)×4=10g/m2
乾燥温度:120℃
塗布・乾燥ラインスピード:40m/分
(後発泡タイプの容器成形用紙の作成)
下記の積層構成にて、本発明の後発泡タイプの容器成形用紙を作成した。
(容器外面側)[ノーコートアイボリー(坪量190g/m2 )/ポリエチレン(厚さ30μm)/後発泡コート紙(坪量40g/m2 、発泡剤固形分10g/m2 )/ポリエチレン(厚さ30μm)](容器内面側)
なお、ノーコートアイボリーと後発泡コート紙とのラミネートは、接着性樹脂層(接着性層又は/及び耐水性層)として熱溶融ポリエチレンをサンドラミネートした。
【0018】
<実施例2>
上記実施例1にて作成した後発泡タイプの容器成形用紙を用いて、公知の紙カップ成形加工により、紙製容器として紙カップを成形加工した。
【0019】
<実施例3>
上記実施例2にて得られた紙カップを、150℃にて2分間加熱して、紙カップの後発泡コート紙層を発泡させて、断熱性のある紙カップを得た。
紙カップの厚み:加熱前 0.35mm
加熱後 1.20mm
【0020】
上記実施例1、2、3により得られた本発明品(後発泡タイプの容器成形用紙及びそれ
を用いた紙製容器(紙カップ及び発泡後の紙カップ)]と、従来品(混抄後発泡タイプの容器成形用紙とカップ原紙)との比較評価結果を下記表1に示す。
◎・・・良好
×・・・不良
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】
本発明の紙製容器及びその製造方法は、該容器の成形及び成形後の加熱に使用される容器成形用紙が、断熱性や保温性のある紙製容器の成形加工に使用する後発泡タイプのラミネート発泡紙であり、紙カップなどの紙製容器の成形工程後において発泡させることができるため、紙製容器成形工程においては通常の容器成形用原紙と同様に成形でき、成形加工適性も良好であって発泡による紙粉の発生もなく成形でき、また成形加工における皺の発生を解消できる効果がある。
【0023】
また、本発明の紙製容器及びその製造方法は、その容器成形用紙が、紙製容器成形工程後の発泡処理までは紙面が平滑であるため、それまでは印刷適性が良好であり、また発泡処理までは発泡紙は、従来の既発泡タイプの用紙とは異なり比較的高密度であるため、容器成形用紙による原料又は半製品の良好な輸送効率や保管効率が得られる効果がある。
【0024】
また、本発明の紙製容器及びその製造方法は、その容器成形用紙が、後発泡タイプの発泡紙でありながら、ラミネートタイプの発泡紙であるため、抄紙工程でパルプ材に発泡剤を混入する工程は省略でき、したがって製造ロット毎の抄紙量が大きくならず、小ロット生産に対応でき、採算的に見合う少量生産が可能であり、発泡紙の供給小回りが効くという効果があり、断熱性能や手触り感の良好な紙製容器の製造に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の紙製容器に用いる容器成形用紙の側断面図。
【図2】 本発明の紙製容器に用いる容器成形用紙における後発泡コート紙の層構造を説明する側断面模式図。
【図3】 (a)〜(b)は本発明の紙製容器に用いる容器成形用紙を用いて成形された紙製容器の側断面図。
【符号の説明】
1…容器成形用原紙 2…後発泡コート紙 2a…発泡中空部
3…接着性樹脂層 4…低密度紙 5…パルプ繊維
6…発泡性マイクロカプセル
Claims (4)
- コートボール、カップ原紙、ノーコートアイボリー等の容器成形用原紙の片面に、接着性樹脂層を介して、低密度用紙に発泡剤をコートした又は含浸させた発泡処理前状態の後発泡コート紙がラミネートされている容器成形用紙を用いて容器状に成形され、且つ成形後に加熱発泡処理されていることを特徴とする紙製容器。
- 請求項1記載の紙製容器において、前記接着性樹脂層が耐水層であることを特徴とする紙製容器。
- 請求項1又は2記載の紙製容器において、前記低密度用紙が、不織布又はコースター原紙であることを特徴とする紙製容器。
- 請求項1乃至3のいずれか1項記載の紙製容器を製造するための紙製容器の製造方法であって、コートボール、カップ原紙、ノーコートアイボリー等の容器成形用原紙の片面に、接着性樹脂層を介して、発泡処理前状態の後発泡コート紙がラミネートされている容器成形用紙を用いて容器状に成形加工した後、該容器成形用紙の発泡処理前状態の後発泡コート紙を加熱発泡工程にて発泡処理することを特徴とする紙製容器の製造方法。
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