JPH11129460A - インクジェット記録方法 - Google Patents
インクジェット記録方法Info
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- JPH11129460A JPH11129460A JP22448198A JP22448198A JPH11129460A JP H11129460 A JPH11129460 A JP H11129460A JP 22448198 A JP22448198 A JP 22448198A JP 22448198 A JP22448198 A JP 22448198A JP H11129460 A JPH11129460 A JP H11129460A
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Abstract
明さを保つ。 【解決手段】 普通紙(記録媒体)1に対する浸透性を
持つインクを吐出して第1のインク滴2を形成し、ヒー
タ3により加熱してインクの浸透を制御する。加熱によ
り、本来の浸透性による浸透深さd0に到達する前に、
深さd1の時点で浸透が停止する。普通紙1表面上にイ
ンクは凸状に残留しない。他色の浸透性を持つ第2のイ
ンク滴4を隣接して形成しても、普通紙1表面上にはイ
ンクが凸状に残留せずインク滴間の高低差がないので、
インク滴間の流れ込みによる境界にじみや白もやなどの
ブリードは生じない。加熱により第1のインク滴2の浸
透深さをd1に抑制したので、光が表面から浅い位置で
反射されて鮮明に見え、また色素成分があまり分散せず
鮮明であり、ヒゲ状のにじみ(フェザリング)の発生も
防止できる。
Description
録方法に関する。
として、記録ヘッドのノズルから吐出させたインクを記
録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法
が行われている。このインクジェット記録方法におい
て、印字品位向上のために様々な手法が取り入れられて
いる。その手法の一つとして、インクの調製により記録
に適した浸透性を持たせたインクを使用することが挙げ
られる。すなわち、文字や線画等の記録濃度向上やシャ
ープな画像形成を目的として、記録媒体である記録紙へ
の浸透速度が遅く記録媒体表面に付着する量が多いイン
クを用いる技術や、定着速度を高めるため記録紙に対す
る浸透速度の速いインクを用いる技術が知られている。
面上に乗った状態で残る量が多いため、「上乗せ系イン
ク」と称されている。また、浸透速度が速いインクは
「超浸透性インク」と称されている。
合、図46(a)に示すように、記録媒体上に滴下され
たインク滴51は、記録媒体52の表面上に残留するイ
ンク量が少なく、記録媒体52に付着後直ちに記録媒体
内部に浸透していく。また、その記録紙への浸透速度は
高く、その浸透性や記録媒体52の材質によっては記録
媒体52の裏面近くに至るまで深く浸透する。
を用いた場合、図46(b)に示すように、記録媒体5
2の表面上に凸状に残留した状態でインクの溶剤等の成
分が蒸発しやすいため、記録媒体52上に滴下されたイ
ンク滴53は記録媒体52の厚み方向に浸透する量が少
ない。
る場合、記録紙表面上に着弾したインクが速く浸透し、
記録紙表面で他のインクと混ざることが少ないため、異
色との境界部における滲みが発生しにくいという利点が
ある。しかしながら、インクが記録媒体に深く浸透し広
い範囲に拡散するため、顔料や染料の色素成分が分散し
てしまうとともに、記録媒体に対して入射した光が記録
媒体表面から深い位置で反射するようになるため、記録
された画像の濃度が低くなってしまう。さらに、平面的
に見た場合にも、インク滴51の周囲に広く拡散して記
録ドットのサイズが大きくなり過ぎたり、ドットの外周
にヒゲ上のにじみ(フェザリング)が発生して輪郭が不
鮮明な画像となってしまうという問題がある。
るインクの量が多いため、記録濃度が高く、また単一の
ドットで見ると記録媒体中に拡散するインクの量が超浸
透性インクに比べて非常に少ないため、シャープな画像
を記録することができるという利点がある。しかしなが
ら、記録紙への浸透速度が遅く、記録紙表面上に残った
インクが定着するまでに必要な時間も長くなるため、近
接する位置に他のインク滴が付着した場合、両インク滴
間でインクが流れ出てしまい、異なる色同士においては
その境界部に滲みが発生し、結果として画質を劣化させ
てしまうという問題がある。また、記録紙表面が他の記
録紙やペン等で擦られた場合、記録紙表面に固着したイ
ンクが剥がれたり、ラインマーカーなどのペンを用いて
上書きした際にインクが溶け出して記録紙表面で滲むと
いった問題があり、耐擦過性に劣るという問題もあっ
た。
は浸透性の低いインクを用い、それ以外の色については
浸透性の高いインクを用いることが一般的であった。す
なわち、微細な線や点が明確に視認される必要があって
見易さが要求される文字や線画を記録する場合に黒色が
用いられることが多いため、黒色のインクとして記録濃
度が高く輪郭が鮮明に記録できる上乗せ系インクが用い
られていた。また、文字や微細な線や点を記録されるこ
とが少なく、互いに異なる色のドットが隣接して記録さ
れることが多いカラー画像の記録には、異色の境界に滲
みが発生しにくく、境界を明確に記録することができる
超浸透性インクが用いられていた。
特徴に応じ、黒色と他の色とで浸透性の異なるインクを
用いて記録を行ったとしても、図46(c)に示すよう
に、浸透性の低いインクの黒ドット54と、浸透性の高
いインクのカラードット55とが隣接した場合、隣接し
たドット間にインクが流れ出て記録品質が低下してしま
う問題が発生してしまう。黒インク側では、インク滴が
記録媒体表面上で凸状となって残るインクが境界部56
からカラーインク側に流れ出してしまい、カラーインク
側に流れ出た分だけ黒インク側の境界部56の濃度が低
下し、黒インクのドットの輪郭の濃度が低下して白っぽ
く不鮮明な画像となってしまう現象が発生する。また、
カラーインクのドットにおいても境界部56に黒インク
が混入し、輪郭が不鮮明となってしまう。このように、
浸透性の異なるインク同士が隣接した場合、境界部56
にブリードが発生して記録品質が劣化してしまう問題は
避けられなかった。
とにより、浸透性の低いインクであってもブリードを生
じない程度に記録媒体に定着させることが可能である。
しかし、黒インクの吐出とカラーインクの吐出との間に
長い時間差を設ける必要があり、スループットが低下す
るため、高速の記録に適さないため実用的ではなかっ
た。また、定着速度を高めるため、記録装置に設けたヒ
ータにより記録媒体を加熱する技術が知られている。例
えば、記録媒体の記録面の裏側から、記録ヘッドによる
記録位置に対応する位置にヒータを設け、記録紙の表面
に付着したインク滴の水分を蒸発させることにより、定
着速度を高めることができることが知られている。しか
しながらこの方法では、高温でインクを加熱した場合は
インク中の水分が蒸発するときに水蒸気が発生するた
め、水蒸気が記録装置内部に付着して水滴となって記録
媒体に影響を及ぼしたり、記録装置の制御回路や電源回
路への悪影響を与えるなどの問題点があった。そこで、
水蒸気を装置外部に排出する排気手段を設けることも考
えられるが、特別な装置を付加するため装置のコストが
上がったり、装置の電源容量を増やす必要が生じるた
め、実用的ではない。また、ヒータによって記録媒体を
高温で加熱する場合、使用者の安全性を十分考慮する必
要もある。
めに、特殊な加工を施した専用紙を記録媒体として使用
することも考えられるが、コストや使用者の利便性を考
慮すると、特殊な専用紙よりも普通紙を使用することが
望ましい。
透性インクによると、境界の滲みを低減することが可能
であるが、記録濃度が低下した不鮮明な画像となってし
まう。また、浸透性の低いいわゆる上乗せ系インクを用
いた場合、記録濃度が高くシャープな画像を記録するこ
とが可能であるが、定着に要する時間が長く、インク滴
同士の滲みの問題や耐擦過性が低いといった問題があっ
た。黒色に上乗せ系インクを用いるとともにカラー画像
を超浸透性インクを用いるよう構成した場合でも、黒イ
ンクのドットと他のカラーインクのドットとが隣接した
場合、そのインク滴同士の滲みによるブリードの問題が
発生してしまうという問題があった。
た経緯は次の通りである。
としては前述の非浸透系(上乗せ系)のインクが多く使
用されていた。このインクは文字品位は良いものである
が定着が遅いという問題があった。また、カラー記録に
おいては色間の境界にじみの発生という新たな問題も発
生した。そこで定着性の向上や色間の境界にじみを防止
するためヒーターを用いて加熱する方法が考えられた。
しかしながらヒーターを使用したとしてもインク中に含
まれる水分の蒸発が多量に発生するという問題や高コス
ト化の問題があった。そこでヒーターを使用せずにイン
クの定着性を向上させようとして超浸透系のインクを用
いることとした。これにより定着性の向上と境界にじみ
の低減が実現した。ところが本発明者らがこのような技
術の流れを分析したところ、超浸透系のインクを用いる
と超浸透性を有するが故に濃度が出にくいという抜けが
あることに気付くに至った。そこで本発明者らはさらに
鋭意研究した結果、半浸透性のインクを用い、これに熱
を作用させることで定着性を向上し、境界にじみを低減
させることができるとともに濃度も向上させることがで
きるという新たな知見を得て本発明を完成するに至っ
た。
記録濃度の向上と、異色のインク滴同士の境界のにじみ
の低減という、従来のインクでは得ることができなかっ
た三つの特性を両立して前記問題点を解決するととも
に、耐擦過性に優れた画像の形成が可能なインクジェッ
ト記録方法を提供することにある。
記録方法は、インクを吐出する吐出口を備えた記録ヘッ
ドと、記録媒体の少なくとも一部を加熱する加熱手段と
を有する記録装置におけるインクジェット記録方法であ
って、前記記録ヘッドにより、記録媒体上の所定の領域
に対して、ブリストウ法で求められる普通紙に対するイ
ンク吸収係数Ka(ml・m-2・msec-1/2)が1.
0〜5.0の特性を有し、かつ0<ts≦200mse
c(ts:急速膨潤開始点)の特性を有するインクを吐
出して記録を行う記録工程と、前記記録工程において記
録が行われた記録媒体上の領域に対して前記加熱手段に
より加熱を行う加熱工程を有することを特徴とする。こ
れによって、境界にじみを生じにくく、かつ表示が不鮮
明になることを防げる。
を吐出させる吐出手段として、インクに熱エネルギーを
印加する電気熱変換体を有する場合がある。その場合、
前記記録ヘッドは、前記電気熱変換体によりインクに熱
エネルギーを印加して気泡を生成させ、該気泡の生成圧
力により前記吐出口よりインクを吐出する。
する吐出口を備えた記録ヘッドと、記録媒体の少なくと
も一部を加熱する加熱手段とを有する記録装置における
インクジェット記録方法であって、記録媒体上の所定の
領域に対してインクを吐出して記録を行う第1の記録工
程と、前記第1の記録工程において記録が行われた記録
媒体上の領域に対して前記加熱手段により加熱を行う加
熱工程と、前記加熱工程による所定時間の加熱を行った
後、前記所定の領域に対してインクを吐出して記録を行
う第2の記録工程とからなることにある。
インクは、ブリストウ法で求められる普通紙に対するイ
ンク吸収係数Ka(ml・m-2・msec-1/2)が1.
0〜5.0の特性を有し、0<ts≦200msec
(ts:急速膨潤開始点)の特性を有するインクである
ことが好ましい。
録工程により吐出されたインクが、前記インクの特性に
応じて記録媒体に浸透する深さよりも浅い位置に抑える
ことが好ましい。
程により吐出されたインクが形成する記録ドットと少な
くとも一部が重なり合う位置にインクの吐出を行う。
記録工程は、記録されるべき画像を構成する記録ドット
を、前記第1の記録工程と前記第2の記録工程とにより
相補的となるようにインクを吐出して記録ドットを形成
する。
は、記録されるべき画像を構成する記録ドットを、それ
ぞれ互いに相補的となる千鳥状のパターンで間引いて記
録を行う場合がある。
記録工程は、記録されるべき画像を構成する記録ドット
を、所定方向に沿って所定ドットおきに間引いたパター
ンで記録を行う場合もある。
程により吐出されたインクが記録媒体内部へ浸透してい
る間にインクの吐出を行う。
ャリッジと、前記キャリッジを主走査方向に沿って走査
する走査手段とを有し、前記キャリッジの走査中に前記
記録ヘッドによる記録動作を行うシリアルタイプの記録
装置であって、前記加熱手段は、前記キャリッジの走査
によって前記記録ヘッドが移動して記録を行う領域を、
前記記録媒体の記録面と反対の面から加熱するように設
けられる。
とは、それぞれ異なる主走査時に行われてもよい。
出口を備えた記録ヘッドと、記録媒体の少なくとも一部
を加熱する加熱手段とを有する記録装置におけるインク
ジェット記録方法であって、前記記録ヘッドにより、記
録媒体上の所定の領域に対して、0<ts≦200ms
ec(ts:急速膨潤開始点)の特性を有するインクを
吐出して記録を行う記録工程と、前記記録工程において
記録が行われた記録媒体上の領域に対して前記加熱手段
により加熱を行う加熱工程を有することを特徴とするイ
ンクジェット記録方法が提供される。
録領域に位置する前記記録媒体を支持するプラテン部材
の一部として設けられる場合がある。
もよい。
に搬送する搬送手段を有するとともに、前記記録ヘッド
が前記記録媒体の前記送り方向と異なる方向の全域に対
して記録可能なフルラインヘッドであるフルラインタイ
プの記録装置であってもよい。
体の送り方向に沿って複数配置されてもよい。
前記搬送手段による送り方向に沿って異なる位置であっ
て前記複数の記録ヘッドの間に設けられ、前記記録媒体
の送り方向と直交する幅方向の全域に対して加熱が可能
に構成される。
ってもよい。
る定着器を用いながら、記録濃度の向上と異色のインク
滴同士の境界のにじみの低減、ならびに耐擦過性の向上
を達成するものである。
性を調製したインクを用い、ヒータにより水蒸気の発生
を抑えた温度で加熱した記録媒体に対してインクを吐出
することにより、インクの浸透を記録紙内部の記録面に
近い位置に抑え、さらに浸透を抑えた状態でさらにイン
ク滴を付着させる構成を採用するものである。本発明に
より、浸透性のあるインクの浸透を記録紙内部の記録面
に近い位置で抑えてインクを定着させることにより記録
濃度の向上とインク滴の境界のにじみの低減を達成する
ことができ、またインク滴は記録紙内部に浸透している
ため、耐擦過性に優れた画像を形成することを可能にす
る。
図面を参照して説明する。まず、本発明の技術的思想な
らびに原理について項分けして詳細に説明する。
録紙1上に吐出してドットを形成した場合の、ヒータ3
の有無によるインク滴の浸透状態の違いを説明する図で
ある。ここでは記録媒体として一般に広く用いられる普
通紙を使用した例を説明する。
が吐出された状態を示し、本図において図中の左右に示
した両インク滴は、同じ浸透性で同じ吐出量である。記
録紙1上に吐出されたインク滴2は、記録紙1の表面に
衝突し、所定の大きさに広がって記録紙1の表面に付着
する。図1(b)は、記録紙1の表面上に付着したイン
ク滴2aの状態を模式的に示す図である。記録紙1の表
面上に付着したインク滴2aは直ちに記録紙1への浸透
を開始する。図1(c)はインク滴2が記録紙1に浸透
した状態を示す図であり、2bはヒータ3を用いないで
記録した場合のインク滴2の浸透状態を示し、2cはヒ
ータ3を用いて記録を行った場合のインク滴2の浸透状
態を示している。また、インク滴2cの周囲に示した破
線2b’は、インク滴2bが非加熱で放置された場合に
記録紙1に浸透可能な範囲を示す。
上にインクが凸状に残留することがない程度の高い浸透
性を有するインクからなる。図1(c)に示すように、
ヒータを用いないで記録を行った場合、インク滴2bは
記録紙1の厚さ方向の深さd0まで浸透する。しかしな
がら、ヒータ3により記録紙1を加熱することにより、
インク中の溶剤等の水分を蒸発させることができ、イン
ク滴2cの浸透を記録紙1の厚さ方向の深さd1に抑え
ることができる。図1(c)に示すように、ヒータ3の
加熱によりインク滴の浸透が制御される要因の一つとし
ては、水分の蒸発によるインクの粘度の増加が挙げられ
るが、更に大きい要因として考えられるものに、紙の表
面部でのインクの膨潤が促進されていることが考えられ
る。
とにより、インク滴の浸透を抑え記録紙1の厚さ方向の
深さd1で浸透を停止させることができた。
録を行う場合に画質を向上させた点を特徴とするもので
あるが、以下に半浸透性インクを用いた場合における現
象の詳細なメカニズムについて推論ではあるが図50
(紙の断面方向に見た状態の図)を参照しながら説明す
る。
が飛翔している様子を示す。図50(b)はインク滴が
紙に着弾した状態を示す。このときインクは紙上でイン
ク滴径の約2倍の径の円柱状となる。図50(c)は紙
の表面部でインクが比較的速い浸透性を有しているため
に比較的速い速度で紙の繊維に膨潤していく様子を示し
ている。ここで紙の裏面からヒーターにより付与される
熱の作用により膨潤速度が促進され、かつインクの蒸発
も促進される。図50(d)はインクが紙の内部に浸透
した状態を示す図であるが、インクの主に水分の蒸発に
より次のステップの繊維間の毛管現象であるところの浸
透が起こりにくくなる。よって紙の深さ方向にインクが
浸透しにくくなる。また浸透が抑えられることによって
繊維間の毛管現象で発生するフェザリングは発生しづら
くなる。この結果、紙の表面の20μm以内に多くの色
剤がトラップされるため、上乗せ系のインクと同様にO
D値が高いものとなる。
発生しない程度にヒータ3の加熱温度や加熱時間などの
条件を設定することが望ましい。
浸透性、浸透速度について説明する。本実施形態におい
て使用したインクの成分の一例を以下に示す。 1.Y(イエロー) C.I.ダイレクトイエロー86 3部 グリセリン 5部 チオジグリコール 5部 尿素 5部 アセチレノール EH(川研ケミカル) 1部 水 残部 2.M(マゼンタ) C.I.アシッドレッド289 3部 グリセリン 5部 チオジグリコール 5部 尿素 5部 アセチレノール EH(川研ケミカル) 1部 水 残部 3.C(シアン) C.I.ダイレクトブルー199 3部 グリセリン 5部 チオジグリコール 5部 尿素 5部 アセチレノール EH(川研ケミカル) 1部 水 残部 4.Bk(黒) C.I.ダイレクトブラック 3部 グリセリン 5部 チオジグリコール 5部 尿素 5部 アセチレノール EH(川研ケミカル) 1部 水 残部 上記のインクにおいて、Bkインクについては上記構成
中のアセチレノールの含有割合を調整して実験を行っ
た。また、CMYのインクについては、アセチレノール
EHを1%加えることにより浸透性を向上させている。
たは顔料と、水と、溶剤としてのグリセリン、チオジグ
リコール、尿素などと、非イオン界面活性剤であるアセ
チレノール(アセチレノールは川研ファインケミカル社
の商品名;アセチレングリコールにエチレンオキサイド
を付加したものであり、エチレンオキサイド−2,4,
7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール
(ethylene oxide-2,4,7,9-tetramethyl-5-decyne-4,7-
diol)で表される)とが混合されたものである。以下、
便宜上、上記非イオン界面活性剤をアセチレノールとい
う。
Vで表すと、時間tにおけるV(単位はml/m2=μ
m)は次に示すようなブリストウ式により表されること
が知られている。
記録媒体表面の凹凸部分(記録媒体の表面の粗さの部
分)に吸収されるのがほとんどで記録媒体内部へはほと
んど浸透していない。その間の時間がtw(濡れ時間:
wet time)、その間の凹凸部への吸収量がVrである。
インク滴の滴下後の経過時間がtwを越えると、超えた
時間(t−tw)の2分の1乗に比例して浸透量Vが増
加する。その時の比例係数がKaである。
5%、0.7%、1%の場合について、時間t(mse
c)の2分の1乗に対するインクの浸透量Vとの関係
を、図3(a)に示す。また、時間tとインクの浸透量
Vとの関係を図3(b)に示す。図3(a)および図3
(b)から明らかなように、アセチレノールの含有割合
が多いほど、経過時間に対するインクの浸透量が多く、
浸透性が高いといえる。なお、図4に示す結果を得た実
験は、64g/m2、厚さ約80μm、空隙率約50%
の記録紙を用いて行ったものである。濡れ時間として現
れる屈曲点(左側の黒丸で示す)までの時間はアセチレ
ノールの含有量が多いほど短くなり、また、アセチレノ
ールの含有割合が高いほど浸透性が高いという傾向が図
3のグラフに表れている。アセチレノールが混合されて
いない(含有割合が0%)インクの場合、浸透性が低
く、前述の上乗せ系インクとしての性質を持つ。また、
アセチレノールが1%の含有割合で混合されている場
合、短時間で記録紙1内部に浸透する性質を持ち、前述
の超浸透性インクとしての性質を持つ。
ら説明する。
まず紙にインク滴が着弾すると、最初のごく短かい時間
に紙の繊維にインクが吸着され膨潤が生じる。その後、
繊維間の毛管現象による浸透が始まる。ここで、複写機
等の事務機に使用されるいわゆる普通紙にはにじみを防
止するためにサイズ剤が含有されているため、仲々浸透
が始まらず、いわゆる濡れ時間tw(wet time)が存在
する。図3において同一線上の2つの黒丸のうち左側の
ものをtwとして示す。そして浸透が始まっても上記の
サイズ剤によりインクの紙に対する濡れ性は上がらず、
いわゆる上乗せ系のインクでは比較的ゆっくりと浸透し
ていき、ある時点で今度は紙の繊維自体に急速に膨潤を
開始していく。そのときの時間が上乗せ系のインクでは
約400〜500msec程度である。この時点をts
(swelling time)とする。図3において同一線上の2
つの黒丸のうち右側のものをtsとして示す。ここでア
セチレノールのような界面活性剤をインクに含有させる
とインクの紙に対する濡れ性が向上するため、濡れ時間
が早くなり、かつその膨潤(紙の繊維へのインクの吸
着)速度も速くなる。そして次のステップの浸透速度も
速くなり、その後この浸透とともに急激に紙の繊維に膨
潤していく。そしてアセチレノール量の増加とともにt
w,tsが短かくなっていき、1%ではほぼ零となる。
ここでアセチレノール量が0.2〜0.3%のあたりか
ら、アセチレノール量が増加するにしたがいtwとts
とが接近してくる。これらの関係をアセチレノール量に
対するtw,tsの関係として図48に示す。ところで
前述の浸透速度係数Kaとして表したものは、ts以後
の吸液の傾きをとったものである。このようにtwとt
sとが接近している半浸透系のインクでは、上乗せ系の
インクと比べれば吸液速度が速いのであるがtsまでは
比較的ゆっくりとした吸液速度であり、この期間にイン
ク及び紙に対して熱を作用させることで膨潤速度を促進
させ、毛管現象としての浸透速度を低下させると考えら
れる。このとき、インクの全体量を少なくしておけば、
より浸透を抑制することが可能となり、紙の表面近傍に
色材を確保できることとなる。
量のインクを浸透しにくいレベルまで蒸発させる量であ
ればよいと考えられる。
るインクの浸透速度の比例係数Ka値を示すグラフであ
る。Ka値は、ブリストウ法(bristow method)による
液体の動的浸透性試験装置S(東洋精機製作所製)を用
いて測定した。本実験では、記録紙として、電子写真方
式を用いた複写機やLBP(Laser Beam Printer)と、
インクジェット記録方式を用いたプリンタの双方に使え
る記録紙である、キヤノン株式会社のPB用紙を用い
た。また、キヤノン株式会社の電子写真用記録用紙であ
るPPC用紙に対しても、ほぼ同様の結果を得ることが
できた。
Kaはアセチレノールの含有割合によって変わるので、
インクの浸透速度は実質的にアセチレノールの含有割合
によって決まることになる。
るヒータが有る場合と無い場合とについて、1パスで印
字したときのインクの浸透性の違いに応じた印字結果の
状態を図4に示す。インクの浸透性の調整は、アセチレ
ノールの含有割合を調整することによって行った。
は異色境界にじみに関する良好性、顔料インクにおける
耐擦過性/即時耐水性を示し、横軸がアセチレノールの
含有割合を示している。ここで、異色境界にじみとは、
異なる色のドットを隣接して記録した場合のにじみの状
態を意味し、例えばベタ黒の画像とカラー画像との境界
において目視によって判断してにじみの発生が少ないほ
ど良好であることを示す。また、耐擦過性とは、記録後
の印字結果に他の記録紙等が接触したり擦過したりする
ことに対する良好性を意味し、即時耐水性とは記録直後
の耐水性を意味するものである。
が高くなるほど画像濃度(OD)が低下し、異色境界に
じみに関する良好性、および耐擦過性、即時耐水性のい
ずれもが向上することがわかる。これは、先に示したイ
ンクの浸透性の違いによる性質そのものを表している。
また、ヒータの有無に応じた記録画像品位に着目してみ
ると、ヒータによって画像濃度、異色境界にじみに関す
る良好性のいずれも向上していることがわかる。特に、
画像濃度に着目してみると、アセチレノールの含有割合
が増加するに従ってヒータの有無に応じた画像濃度の差
が大きくなっていることがわかる。また、異色境界にじ
みに関する良好性についてみると、アセチレノールの含
有割合が0.4%前後で、ヒータの有無に伴い良好性に
大きな差が発生していることがわかる。
インクを用いることにより、記録紙に付着したインクは
直ちに記録紙内部へ浸透を開始するものの、ヒータによ
る加熱によって紙の内部でのインクの浸透が抑えられる
ことにより、記録紙内部であっても記録紙表面から浅い
範囲でインクが定着されることによるものである。
では高い浸透速度が得られるとともに、また、画像濃度
の面では、記録紙内部の表面に近い位置でインクを定着
できるため高い画像濃度を得ることができる。また、イ
ンクは記録紙内部へ浸透しているため、記録紙表面上に
インクが凸状になって残る量が極めて少なく、耐擦過性
に優れ、記録直後の耐水性も良好となり、記録画像をマ
ーカーペン等で上書きしたとしても、インクの溶け出し
による記録画像の劣化が発生しにくくなる。
の1回の主走査)で行う場合、アセチレノールの含有割
合を約0.2〜0.7%、好ましくは約0.35%〜
0.50%程度に調整することにより、記録画像濃度と
境界にじみの良好性の双方において記録に適した画像の
形成が可能となることがわかる。なお、上記範囲内にお
いて、記録画像濃度を高めることに重点を置く場合、ア
セチレノールの含有割合の低いインクを用い、境界にじ
みに対する良好性を向上させることに重点を置く場合
は、アセチレノールの含有割合の高いインクを用いるこ
とで、所望の記録画像を記録することができる。例え
ば、高い記録濃度が要求される黒画像を記録する黒イン
クについては、上記範囲内でアセチレノールの含有割合
が比較的低いインクを用い、混色して記録されることの
多いカラーインクについては、上記範囲内でアセチレノ
ールの含有割合が比較的高いインクを用いる構成とする
ことが効果的である。
体に対する浸透性を異ならせたインク系それぞれの成分
および特性の目安を以下の表に示す。
ク」、「高浸透性インク」のそれぞれについて、Ka
値、アセチレノール含有量(%)、表面張力(dyne
/cm)を示している。
リストウ法による液体の動的浸透性試験装置S(東洋精
機製作所製)を用いて測定したものである。実験に用い
た記録紙としては、電子写真方式を用いた複写機やLB
Pと、インクジェット記録方式を用いたプリンタの双方
に使える記録紙である、キヤノン株式会社のPB用紙を
用いた。また、キヤノン株式会社の電子写真用記録用紙
であるPPC用紙に対しても、同様の結果を得ることが
できた。
れる系のインクは、前述の実験例により、ヒータを用い
た構成において良好な結果が得られた範囲(0.2〜
0.7重量%)のアセチレノールを含有するインクであ
る。
合の条件として、その液体における界面活性剤の臨界ミ
セル濃度(c.m.c.)があることが知られている。
上述したインクに含有されるアセチレノールは界面活性
剤の一種であり、同様にアセチレノールにおいても液体
に応じて臨界ミセル濃度(c.m.c.)が存在する。
割合を調整した場合の表面張力を示すグラフであり、こ
のグラフから水に対するアセチレノールの臨界ミセル濃
度(c.m.c.)が約0.7%であることがわかる。
このことと上記表を対応させると、本願発明の実施形態
で説明する「半浸透性インク」は、水におけるアセチレ
ノールの臨界ミセル濃度(c.m.c.)よりも低い割
合でアセチレノールを含有するインクがあることがわか
る。
インクを用い、ヒータによる加熱制御を行って記録動作
を行うことにより、インク滴の浸透を記録紙表面から浅
い位置に抑えることができ、結果として画像濃度を高く
できるとともに異色境界にじみに対する良好性を向上で
きることを見出したことにある。また、本発明は、半浸
透性インクを用い、ヒータによる加熱制御を行って記録
動作を行う場合に、2つのインク滴を所定の時間差を隔
てて重ね記録を行うことにより、より多くのインク滴を
記録紙表面から浅い位置に浸透させた状態で定着するこ
とができ、また、多くのインク滴を吐出して記録を行っ
た場合に問題となる異色境界にじみの問題についても良
好な結果を得られることを見出したことに特徴を有する
ものである。
動作を行う場合の、記録方式に応じた効果について、各
種記録方式を例に挙げて説明する。
御 先の説明では、ヒータを用いて記録紙を加熱することに
よりインクの記録紙への浸透を抑え、記録濃度と境界に
じみの良好性を向上させる構成について説明したが、次
に、ヒータを用いて加熱を行った状態で複数のインク滴
を吐出して記録を行う場合における効果を、様々な記録
方式についてそれぞれ説明する。
吐出することにより所定量のインクを得る記録方式につ
いて説明する。
が約40plのインク滴を吐出した状態、およびインク
滴が記録紙1の表面に衝突して付着した状態を模式的に
示す図である。また、図5(c)、図5(d)は、1滴
の吐出量が約20plのインク滴2’を2個連続して吐
出した状態、およびインク滴が記録紙1の表面に衝突し
て付着した状態を模式的に示す図である。ここで、図5
(c)に示される2つのインク滴はあまり時間差を置く
ことなく吐出した状態を示すものであり、例えば、本図
の例では約50msecの時間差で2つのインク滴2が
吐出された状態を示すものとする。また、インクは、前
述したようにアセチレノールの含有率を約0.2から
0.7%、より好ましくは約0.35%から0.5%程
度に調整したものを用いたものとする。また、いずれの
場合もヒータ3によって記録紙を加熱した状態でインク
滴を吐出し、インク滴の記録紙の厚さ方向に対する浸透
を抑える制御を行った。
が吐出される時間間隔が短くても、先に記録紙表面に付
着したインク滴は2cに示すように浸透を開始してい
る。図5(b)と図5(d)を比較するとわかるよう
に、40plのインク滴を1回で吐出した場合と、20
plの吐出量で2回に分けて吐出した場合とでは、記録
紙表面にインク滴が衝突して付着した状態の高さ(h
1、h2)が異なる。インク滴が記録紙表面に付着した
直後の高さが高いほど、記録紙の厚さ方向への浸透の深
さが深くなる。記録画像の濃度を高めるには記録紙の厚
さ方向に浸透する深さを小さくすることが望ましく、図
5(b)、図5(d)を比較してみると、同量のインク
滴で画像を形成する場合、複数回に分けて記録した方が
記録紙への浸透の深さを少なくすることができることが
わかる。
の表面に付着したインク滴の高さとの関係が生じる理由
について詳細に説明する。
対する記録紙に衝突あるいは付着した後のインク滴の高
さを説明するための表である。図6(b)、図6(c)
は図6(a)の表の各項目を説明する図である。図6
(b)は吐出量Vdのインク滴2が吐出された状態を示
し、そのインク滴がほぼ球形の状態における半径をr
(Vd=4πr3/3)とする。図6(c)はインク滴
が記録紙表面上に付着した直後の状態を示し、Rは付着
した直後のインク滴の半径を示している。ここで、rお
よびRの単位はμmであり、また、吐出されたインク滴
が記録紙に衝突した場合に従来のインクジェット記録方
式においてほぼ成り立つところの約2倍の径となるもの
とし、R=2rとして計算した。また、記録紙に衝突し
て付着した直後のインク滴をドット径として見た場合の
面積をS(S=πR2)、その高さをh(h=Vd/
S)で表している。
ター)は、360dpi(dotsper inche
s)の解像度で記録を行う場合、1ドット位置に対する
インク滴が占める割合を表している。つまり、360d
piで記録する各画素を、1辺が約70.5μmの格子
状とすると、その面積は約4970.25μm2であ
る。AFは、1画素の面積に対するインク滴の面積が占
める割合をパーセントで表している(AF=S×100
/4970.25)。このAFの値が大きくなるほど隣
接する画素のインク滴との距離が小さくなり、この値が
100を越える場合は、記録紙に付着したインク滴が隣
接する画素位置にまで到達することになる。
lとして吐出した場合にインク滴が記録紙に付着した直
後の高さは約7.1μmであり、吐出量が20plの場
合は5.6μmである。インク滴の浸透は記録紙に付着
した直後の高さが影響し、ほぼインク滴の高さが記録紙
内部への浸透の深さとなる。そのため、40plのイン
クを1回の吐出で記録した場合と、20plのインク滴
で2回に分けて記録した場合とでは、そのインク滴の浸
透の深さは後者の方が浅くなる。前述のように、記録紙
表面の浅い位置でインクを定着した方が記録濃度を高く
することができるため、40plのインク滴を吐出して
記録を行うよりも、20plのインク滴により2回に分
けて記録を行った方が記録濃度を高くすることができ
る。
した状態でインク滴を吐出して記録を行う構成におい
て、さらに、同量のインクを少ない吐出量により複数回
に分けて記録を行うことで、記録濃度をより高めること
ができる。
よる効果は、同一位置に複数回インク滴を吐出して記録
を行う構成においても得られるものであり、それについ
て図7および図8を用いて説明する。図7は複数のイン
ク滴を時間差をおくことなく連続して吐出した例を示す
もので、図7(a)は2つのインク滴が吐出された状態
を示し、図7(b)は2つのインク滴が記録紙1の表面
上に付着した状態を模式的に示している。
ば10msで吐出された場合、先に吐出されたインク滴
が記録紙1の内部に浸透するよりも前に、後に吐出され
るインク滴が記録紙1の表面に到達する。その場合、2
つのインク滴が記録紙1の表面に付着した直後は、図7
(b)に示すように、記録紙表面上に2つのインク滴が
重なった状態で付着することになる。従って、付着した
インク滴の高さも高くなり、結果として記録紙内部へ浸
透する深さも深くなる。
間差、例えば約1秒をおいて同じ位置に記録した場合の
例を図8に示す。図8(a)は先に吐出されるインク滴
の状態を示す。吐出されたインク滴は、図8(b)に示
すように、後のインク滴が吐出されるよりも前に記録紙
内部に浸透する。その状態で図8(c)に示すように、
後のインク滴が吐出されると、図8(d)に示すように
記録紙内部への浸透の深さがそれ以上深くなることはな
く、2つのインク滴の浸透を記録紙表面から浅い位置に
抑えることができる。
て記録する場合、複数のインク滴を吐出する時間間隔を
十分におくことで、インク滴の浸透を記録紙表面から浅
い位置に抑えることができ、記録濃度を高めることがで
きる。
ちを行う効果は、ヒータを設けない構成によっても得ら
れるものであるが、ヒータを設けてインク滴の記録紙の
深さ方向への浸透を抑えるようにすることで浸透性の高
いインクを用いても記録濃度を高くすることができるた
め、インク滴が記録紙内部へ浸透する速度を高めること
ができ、重ね打ちを行う時間間隔を短くしても十分な記
録濃度を得ることができる。
滴でエリアファクターが100%以上となる格子上に対
して、吐出量の小さなインク滴を複数吐出することによ
って、さらなる効果が得られることを説明する。
時間差をおいた例であるが、本例においては、吐出量の
小さな液滴をほぼ同時に吐出して記録を行ったとして
も、ヒータを用いることにより効果が得られることを説
明する。
滴を吐出した例を示す図である。101は100plの
インク滴でエリアファクターが100%以上となる画素
の格子を表すものであり、102はそのインク滴で形成
されるドットを表している。また、103、104は同
量のインク滴が記録紙上に付着した直後の状態を、記録
紙の断面方向から見た状態を表している。
lのインク滴を4滴吐出した例を示す図である。101
は図9(a)の格子と同サイズの格子を示し、110は
25plのインク滴によって形成されるドットを表して
いる。また、111、112、113は同量のインク滴
が記録紙上に付着した直後の状態を表している。
100plの場合のドット径w1(R×2)は約11
5.2μm、記録紙に付着した直後の高さは約9.6μ
mとなる。また吐出量が25plの場合は、ドット径w
2は約72.4μm、その高さは約6.1μmとなる。
クターが100%となる画素上に、吐出量の小さなイン
ク滴を複数吐出してエリアファクターを100%以上に
するよう構成することにより、記録紙表面上に付着した
直後のインク滴の高さを低くすることができ、ヒータに
よる加熱の効果も加わって記録紙内部への浸透の深さが
浅くなり、記録濃度を高めるとともに境界にじみに関す
る良好性も向上する。
次に、所定の記録画像を記録する際に、複数回の記録に
分けて記録を行う方式について説明する。
エリアファクターを100%として記録を行う例を説明
する図である。図10(a)は、ヒータ3による加熱を
行い、記録紙1上に複数のインク滴2を吐出する状態を
表している。また、図10(b)は吐出された複数のイ
ンク滴が記録紙の表面上に付着した直後の状態を示して
おり、インク滴は2eに示すようにh5で示す高さまで
盛り上がった状態で付着し、図中の矢印で示すように記
録紙内部へ浸透を開始する。図10(c)は、図10
(b)で示したインク2eが記録紙内部へ浸透した状態
を示し、ヒータによってインクの浸透が抑えられるもの
の、深さd2までインクが浸透した状態(2f)でイン
クが定着する。
記録によって形成する方式を説明する図である。図11
(a)は、図10(a)と比べると、インク滴2のうち
互いに隣接しないインク滴のみを吐出した状態を示す図
である。吐出されたインク滴は、図11(a)中に点線
2gで示すように付着して記録紙1内部へ浸透を開始す
る。インク滴2が記録紙の表面に付着した直後の高さは
h6で表される。図11(b)は、図11(a)で吐出
されたインク滴が、記録紙内部へ浸透した状態(2h)
を示す図であり、ヒータ3によって浸透が抑えられて深
さd3まで浸透した状態を示している。図11(c)
は、図11(a)でインク滴を吐出してから所定時間経
過後に、図11(a)で吐出されなかったインク滴を吐
出した状態を表す図である。本図においても、互いに隣
接した位置に記録されないインク滴のみが吐出されてい
る状態を表している。吐出されたインク滴2は、図11
(a)と同様に、点線2g’に示すように記録紙1の表
面に付着し、記録紙内部へ浸透を開始する。インク滴が
記録紙1に付着した直後の高さは、先の図11(a)と
同様にh6である。
(c)の2回に分けて吐出されたインク滴2が記録紙1
の内部へ浸透した状態(2h’)を示す図であり、ヒー
タ3によって浸透が抑えられて深さd3まで浸透した状
態を示している。ここで、図10で示したように1回の
記録でインク滴を吐出して記録した場合と、図11で示
したように複数回に分けて記録を行った場合とでは、そ
れぞれのインクが浸透する深さ(d2、d3)が異な
る。それは、図10のように隣接した位置に吐出される
インク滴を1回の記録で全て吐出した場合、隣接したイ
ンク滴同士が重複するため、その重複部分によって記録
紙1に付着したインク滴の高さが高くなってしまい、結
果として記録紙の厚さ方向の深い位置までインクが浸透
してしまうためである。これに対して、図11で示した
ように、複数回に分けて全てのインク滴を吐出するよう
構成した場合、隣接する位置に吐出されるインク滴同士
が重複することがなく、インク滴が記録紙の表面に付着
した直後の高さを低くすることができ、結果としてイン
クが記録媒体内部へ浸透する深さを浅くすることがで
き、記録濃度を高くすることができる。
有効に適用可能なものであり、顔料インクを用いた場
合、染料インクを用いた場合とは異なる現象により更な
る効果が得られるものである。そこで、顔料インクを用
いる構成においてヒータで加熱を行うことによる効果を
説明する。
の顔料インクを記録紙1に対して吐出を行った後のイン
クの浸透状態と、紙面上に形成されたドットの状態を表
す図である。
1に示すように記録紙1の内部に深さd4まで浸透した
状態で定着する。インク中の顔料は、インクの溶剤が記
録紙1の内部および記録紙の表面上に浸透することによ
り、溶剤とともに記録紙1の内部および記録紙の表面の
広い範囲に分散する。その結果、記録紙1の内部の深い
位置まで顔料が浸透するため記録濃度が低下してしま
う。また、記録紙1の表面では、ドット132に示すよ
うに、その浸透性のためにフェザリングが発生した状態
となり、単一のドット自体の形状が悪化した状態となっ
て記録されて記録品位が低下したものとなってしまう。
用いて記録紙1を加熱した状態で顔料インクによるイン
ク滴を記録紙1に対して吐出した後のインクの浸透状態
と、紙面上に形成されたドットの状態を表す図である。
ヒータを用いて記録紙を加熱して記録を行う構成におい
て、分散剤の入っていない自己分散型顔料インクを用い
た場合、加熱によって紙に浸透したインクの水分が蒸発
して顔料濃度が上がり、インクの溶媒に対して分散しづ
らくなる。その結果、インクが記録紙内部の厚さ方向に
浸透する深さをd5に抑えることができ、前述の例と同
様に記録品位を向上させることができる。
されたインク滴は、記録紙1の表面上に付着した後、記
録紙1の内部へ浸透を開始する。ここで、ヒータ3によ
り加熱を行うことにより、紙中の水分が蒸発することに
よってインク中の顔料濃度が上がり、インクの溶媒に対
して分散しづらくなり、顔料インクは溶剤とともに記録
紙内部の深い位置135まで浸透しなくなる。また、記
録紙の表面から見ると、顔料粒子は溶剤と共に記録紙内
へ浸透しているため、記録紙の表面上には顔料粒子がほ
ぼ残っていない状態で定着する。その結果、ヒータによ
りインクが記録紙1の内部への浸透する深さをd5に抑
えることができ、記録濃度が高くなる。さらに、インク
滴は記録紙内部へ浸透しているため、耐擦過性、即時耐
水性の面においても高い効果が得られる。
いても、ヒータを用いない構成で形成したドットに比べ
ドットのエッジ部におけるフェザリングの発生を抑える
ことができ、よりシャープなドットを形成することがで
きる。これは、記録紙1の表面に付着したインク滴のう
ち、エッジ部に位置するインクの方がヒータの加熱の影
響を受けやすく、水分の蒸発が多くかつ早く生じるため
によるものと考えられる。
合の時間差による違い 次に、ヒータを用いて記録媒体を加熱してインクの浸透
を制御する構成において、複数のインク滴を重ねて記録
する場合の、重ねて記録する時間間隔の違いに応じた効
果の差異について説明する。
その斜視図を図13に示す。記録媒体である記録紙(普
通紙)1は、給紙部5から挿入されて印字部6を経て排
紙される。本例では記録紙として一般に広く用いられ、
安価な普通紙を用いている。印字部6にはキャリッジ7
に搭載された記録ヘッド8が設けられ、記録ヘッド8は
図示しない駆動手段によりガイドレール9に沿って往復
移動可能に構成される。記録ヘッド8は、黒インクを吐
出する黒吐出部K1、K2と、シアンインクを吐出する
シアン吐出部C,マゼンタインクを吐出するマゼンタ吐
出部M、イエローインクを吐出するイエロー吐出部Yと
を有しており、不図示のインクタンクからインクが供給
され、各吐出部はインク吐出手段に駆動信号が供給され
ることにより、それぞれ対応した色のインクの吐出を行
う。各吐出部に対向する位置の、キャリッジ7の移動範
囲の全域にわたってセラミックヒータ10が設けられて
いる。本例ではインク吐出手段として、インクに熱エネ
ルギーを印加する電気熱変換素子を備えており、熱エネ
ルギーによってインク中に気泡を発生させ、その発泡時
の圧力を利用してインクの吐出を行う、いわゆるバブル
ジェット方式を採用している。記録ヘッド8は360d
piの解像度を持ち、ノズルの駆動周波数は7.2KH
zに設定され、キャリッジ7は約1.5秒で走査範囲を
1往復するよう構成されている。
記録するインク滴の時間間隔が短い場合の記録結果につ
いて、実験結果を例に説明する。
吐出部K1、K2による重ね記録を、キャリッジの同一
走査時に行った。K1、K2による記録の時間間隔は約
50msecと比較的短い時間間隔である。またカラー
インク吐出部C、M、Yによる記録は、黒吐出部K1、
K2による記録走査に続く記録走査時に行った。インク
の浸透性と記録画像濃度の関係を、ヒータ10による加
熱温度を異ならせた場合について、図14、図15に示
す。図14は、加熱手段としてセラミックヒータへの加
熱電圧を28V、20V、0Vとした場合について、そ
れぞれアセチレノールの含有割合を調整した場合の実験
結果を示すグラフである。また、図15は、加熱手段で
あるヒータの電力値(ワッテージ)とOD値との関係
を、インク中のアセチレノールの含有率が0%、0.4
%、1.0%の場合について示している。尚、ヒータへ
の印加電圧を高くした方がヒータによる加熱温度が高く
なり、印加電圧が0Vの場合はヒータによる加熱を行わ
ない場合を示している。
すOD値(反射光学濃度)であり、横軸はアセチレノー
ルの含有率である。また、図15において、縦軸は記録
画像濃度を示すOD値(反射光学濃度)であり、横軸は
加熱手段であるヒータの電力値(ワッテージ)を示して
いる。
場合、OD値が高く鮮明に見えるが、前述のように記録
媒体の表面上に凸状に残留する量が多く、隣接して異な
る色のインク滴が吐出されるとインクの流れ込みを生じ
て境界にじみや白もやなどのブリードが発生しやすくな
る。このような問題点を解決するためには、隣接するイ
ンクを吐出する前に十分な時間放置する必要があり、ス
ループットを低下させてしまう。また、アセチレノール
の含有率を増加させるとインクの浸透性を高めることが
でき、記録紙の表面上に凸状に残留することなくインク
を浸透させることができるが、OD値が低下して不鮮明
な画像となってしまう。本例では、アセチレノールの含
有率を約0.4%程度とすることにより、比較的OD値
が高く、境界にじみに対しても良好な記録画像を形成で
きた。
ータを用いない場合とでODの差がどの程度違うかを説
明する図である。図16は図14に示した結果に基づく
グラフであり、ヒータへの加熱電圧が20Vのときと0
V(ヒータを用いない場合)のときの濃度差と、ヒータ
への加熱電圧が28Vのときと0V(ヒータを用いない
場合)のときの濃度差とを、アセチレノールの含有割合
に対応させてグラフで示している。
り、ヒータの加熱温度を高くした方がOD値をより高く
でき、また、アセチレノールを含有させて浸透性を高め
たインクであっても、ヒータによる加熱温度を高めるこ
とで、浸透性の低いインクとほぼ同等の記録画像濃度ま
で濃度を高めることができることがわかる。
場合の例)次に、重ねて記録するインク滴の時間間隔を
長くした場合の記録結果について、実験結果を例に説明
する。
い、キャリッジ7の最初の記録走査時に黒吐出部K1、
K2のいずれかにより記録を行い、キャリッジ7が走査
範囲を1往復した後のキャリッジの走査において、黒吐
出部K1、K2のいずれかにより重ね記録を行った例を
説明する。
けて行う重ね記録の時間間隔は約1.5秒と比較的長い
時間間隔となる。また、カラーインク吐出部C、M、Y
による記録は、黒の吐出部の2回目の記録走査時に行っ
た。
は、加熱手段としてセラミックヒータへの加熱電圧を2
8V、20V、0Vとした場合について、それぞれアセ
チレノールの含有割合を調整した場合の実験結果を示す
グラフである。また、図18は、加熱手段であるヒータ
の電力値(ワッテージ)とOD値との関係を、インク中
のアセチレノールの含有率が0%、0.4%、1.0%
の場合について示している。本実験例でも、先の実験例
と同様に、アセチレノールの含有率を約0.4%程度と
することにより、比較的OD値が高く、境界にじみに対
しても良好な記録画像を形成できた。
ータを用いない場合とでODの差がどの程度違うかを説
明する図である。図19は図17に示した結果に基づく
グラフであり、ヒータへの加熱電圧が20Vのときと0
V(ヒータを用いない場合)のときの濃度差と、ヒータ
への加熱電圧が28Vのときと0V(ヒータを用いない
場合)のときの濃度差とを、アセチレノールの含有割合
に対応させてグラフで示している。
8Vの場合、アセチレノールの含有割合が0.2〜0.
7%、特に0.3〜0.7%のときに、ヒータを用いな
い場合との濃度差が大きくなり、高濃度の画像を形成で
きることがわかる。
り、ヒータの加熱温度を高くした方がOD値をより高く
でき、また、アセチレノールを含有させて浸透性を高め
たインクであっても、ヒータによる加熱温度を高めるこ
とで、浸透性の低いインクとほぼ同等の記録画像濃度ま
で濃度を高めることができることがわかる。
実験結果と比較した場合、インク中のアセチレノールの
含有率とヒータの加熱温度、ヒータのワッテージなどの
条件を一致させて比較すると、図17、図18に示した
実験結果の方が、より高い記録濃度を達成できることが
わかる。
も、複数のインク滴を重ねて記録する時間間隔をある程
度長く設定することにより、ヒータによる加熱の効果を
より良く得ることができ、記録濃度を高くすることがで
きることがわかる。
に発生するインクのにじみについても、比較的浸透性の
高いインクを用いることと、ヒータによるインクの記録
紙内部への浸透を抑える効果により、にじみの発生を抑
えることができる。
クによる記録との時間間隔に応じた境界のにじみの発生
を検討すると、図14、図15に示した例では黒インク
による記録とカラーインクによる記録との時間間隔が比
較的長いため、境界におけるにじみの発生を抑えること
ができた。また図17、図18に示した例では、ヒータ
を用いた加熱の効果により黒インクによる画像とカラー
インクによる画像の境界のにじみは抑えられるものの、
2回目の記録走査時の黒インクによる記録とカラーイン
クによる記録とが同一走査時に行われるため、図14、
図15に示した例に比べれば若干にじみの発生が確認さ
れた。
像濃度を高めるためには黒の吐出部K1、K2による記
録の時間間隔を長くし、黒インクによる画像とカラーイ
ンクによる画像の境界のにじみをより抑えるためには、
黒インクによる記録とカラーインクによる記録の時間間
隔を長くすることが好ましいことがわかる。
記録することにより記録濃度を高くしようとした場合、
重ねて記録を行う時間間隔をある程度長く設定すること
により、より記録濃度を高くできるといえる。その設定
時間としては、実験例に挙げたようにキャリッジが1往
復する時間とすれば単一の黒吐出部で2回記録する構成
も採用し得るため、図2に示した記録装置のように黒イ
ンクを吐出する黒吐出部を複数設けることなく、一般に
知られるような各インク色に対応した吐出部が一つずつ
設けられる構成においても適用可能である。
さを有する記録ヘッドを用いたフルラインタイプの記録
装置が一般に知られているが、このフルラインタイプの
記録装置においては記録紙の搬送速度が記録速度に対応
する。そのため、複数の記録ヘッドを記録紙の搬送方向
に沿って並置したフルラインタイプの記録装置において
は、重ねて記録を行う時間間隔を調整する構成として、
記録ヘッド間の距離を時間間隔に応じた距離としたり、
記録紙の搬送速度を時間間隔に応じた速度とする構成な
どがある。以下、フルラインタイプの記録装置を例に説
明する。
成を示す概略側面図である。この記録装置は、インクを
吐出して記録を行うインクジェット記録方式を採用する
もので、フルマルチタイプの記録ヘッドを図中矢印Aに
沿った方向に複数並置して多色の記録が可能に構成され
るものである。この図に示す構成では、黒のインクを吐
出する記録ヘッドK1、K2とイエロー、マゼンタ、シ
アンの各色のインクにそれぞれ対応する記録ヘッドC,
M,Yが搬送ベルト181に対向するよう設けられてい
る。各記録ヘッドは、記録領域の全幅にわたって吐出口
が並設されているフルラインタイプの記録ヘッドであ
る。各記録ヘッドには、それぞれ吐出口ごとに不図示の
電気熱変換体を内蔵し、この電気熱変換体を通電するこ
とによって発熱して膜沸騰を生じ、不図示のインク液路
内に気泡を形成し、そしてこの気泡の成長によりインク
液滴を吐出させるものである。各記録ヘッドは、図示紙
面に垂直方向に、すなわち記録媒体の搬送方向に垂直
に、多数の吐出口が一列に並ぶように設けられている。
また、記録紙を搬送する搬送ベルト181はエンドレス
のベルトであり、2個のローラ182,183によって
図示矢印A方向に回転自在に保持されている。なお記録
媒体である記録紙は、一対のレジストローラ184によ
って同期をとって搬送ベルト181に送り込まれ、記録
ヘッドからのインク吐出によって記録され、ストッカ1
85上に排出される。さらに186は記録紙を搬送ベル
ト181に送り込むためのガイドである。
して、記録ヘッドK1とK2との間、および記録ヘッド
K2と記録ヘッドCとの間に、ハロゲンランプヒータ1
87a、187bを設けている。図13に示す構成で
は、加熱手段としてセラミックヒータを用いた構成を説
明したが、本発明に適用可能な加熱手段としては、記録
紙の記録面の裏側から加熱を行うヒータに限られるもの
ではなく、図20に示したハロゲンランプヒータによっ
ても好適に採用し得るものである。特に、フルラインタ
イプの記録装置においては、記録紙が搬送ベルト上に載
置されて搬送されるため、記録紙の裏面にヒータを設け
る構成とすると装置が複雑になるため、図20に示すよ
うな記録面側から加熱を行うタイプのヒータを用いるこ
とが好ましい。本図においては、記録ヘッドK1とK2
の間、および記録ヘッドK2とCの間に設けられるヒー
タの数を1つとしているが、ヒータ自体の発熱量に応じ
て、複数配置する構成であってもよい。
インクを吐出する2つの記録ヘッドK1とK2との距離
をL0としている。この距離を、装置に設定される搬送
速度で記録紙が搬送される時間に基づいて決定すること
により、黒インクを吐出する記録ヘッドK1とK2で記
録する時間間隔が決まる。つまり、前述のように記録ヘ
ッドK1で記録した後、続く記録ヘッドK2で重ねて記
録を行うまでの時間間隔を1.5秒とする場合、記録紙
が1.5秒間で搬送される長さに距離L0を設定すれば
よい。また、図20に示した構成においては、黒インク
を吐出する記録ヘッドK2とシアンインクを吐出する記
録ヘッドCとの距離L1を距離L0とほぼ同じ距離に設
定し、記録ヘッドK2で記録された後、続く記録ヘッド
Cで記録されるまでの時間間隔をおくように構成してい
る。この構成によれば、記録ヘッドK2で吐出されたイ
ンク滴がある程度記録紙内部へ浸透した状態で続く記録
ヘッドCによる記録が行われるため、異色インクによる
画像の境界のにじみを低減し、良好な画像を記録するこ
とができる。
げ、本発明の実施例として、具体的な記録シーケンスに
ついて説明する。
したものである。本構成はいわゆるシリアル方式を採用
するもので、記録ヘッドを図中に示すX方向(主走査方
向)に走査しながら記録を行い、記録媒体であるプリン
ト紙707は図中に示すY方向(副走査方向)に搬送さ
れる。この図において、701はヘッドカートリッジで
ある。これらは、4色のカラーインク、ブラック
(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー
(Y)がそれぞれ詰め込まれたインクタンクと、702
のマルチノズルヘッドより構成されている。
ド702に配列されるマルチノズルの様子をZ方向から
示したものである。図22において、801はマルチヘ
ッド702上に配列されるマルチノズルである。図22
に示す例ではマルチノズル801がY軸に沿って平行に
配列されているが、例えば図のXY平面上に多少の傾き
を持った構成であっても良い。この場合には、ヘッドが
進行方向Xに進んで行くのに対し、各ノズルは傾きに応
じてタイミングをずらしながらプリントを行っていくこ
とになる。
ーラであり、704の補助ローラとともにプリント紙7
07を抑えながら図の矢印の方向に回転し、プリント紙
707をY方向に随時送っていく。また705は給送ロ
ーラであり、プリント紙の給紙を行うとともに、70
3、704と同様、プリント紙707を抑える役割も果
たす。706は4つのインクカートリッジを支持し、プ
リントとともにこれらを移動させるキャリッジである。
これはプリントしていないとき、あるいはマルチヘッド
の回復作業などを行うときには図の点線で示した位置の
ホームポジション(h)に待機するように構成されてい
る。プリント開始前、ホームポジションにあるキャリッ
ジ706は、プリントが開始されると、図21に示すX
方向に移動しながら、マルチノズルヘッド702上のn
個のマルチノズル801により、紙面上に幅Dのプリン
トを行う。一般的なシリアル方式の記録装置では、この
様な主走査方向のプリントと、プリント紙の副走査方向
への搬送とを繰り返すことにより、一紙面上のプリント
を完成させる。
マルチノズルヘッド702に対向する位置に配置され
る。プリント動作時は、マルチノズルヘッド702とヒ
ータ710の間にプリント紙707が搬送され、ヒータ
710はプリント紙707をプリント面の反対側から加
熱する。また、ヒータ710は、マルチノズルヘッド7
02の主走査による記録領域に対応する範囲のプリント
紙を加熱できるよう配置されている。
を模式的に示したものである。図23(b)は1回目の
主走査による記録を示すもので、ヘッドカートリッジ7
01はX方向に走査し、ブラックのヘッドカートリッジ
Kのみを使用して、主走査方向に沿った記録領域290
に対してプリントを行う。図23(c)は、2回目の主
走査による記録を示すもので、図23(b)でプリント
した後、プリント紙707の搬送は行わず、イエロー
(Y),マゼンタ(M)、シアン(C)のヘッドカート
リッジを用いて、主走査方向に沿った記録領域291に
対してプリントを行う。
(c)に示した領域291とは同一の領域であり、本例
では同一の領域に対して、ブラックによる記録と、ブラ
ックを除く他の色による記録とを、それぞれ別の主走査
により行う。
ッジがリターンして次の主走査が開始されるまでの間、
ブラックで記録された領域はヒータ710によって定着
が進行する。この間の定着のプロセスは先に説明した通
りであり、インクの浸透が抑えられ、続く他の色による
記録走査が行われても、ブラックによる画像と他の色に
よる画像とが影響し合うことなく、高画質化が達成され
る。
た記録装置を模式的に示したものである。図24(b)
は1回目の主走査による記録を示すもので、ヘッドカー
トリッジ701をX方向に走査し、ブラックのヘッドカ
ートリッジKのみを使用して、主走査方向に沿った記録
領域301に対してプリントを行う。図24(c)は2
回目の主走査による記録を示すもので、1回目の主走査
の後プリント紙707の搬送は行わず、1回目の主走査
と同様にヘッドカートリッジ701をX方向に走査し、
ブラックのヘッドカートリッジKのみを使用して、主走
査方向に沿った記録領域302に対してプリントを行
う。
録を示すもので、図24(b)、(c)に示す2回の主
走査でプリントした後、プリント紙707の搬送は行わ
ず、イエロー(Y),マゼンタ(M)、シアン(C)の
ヘッドカートリッジを用いて、主走査方向に沿った記録
領域291に対してプリントを行う。図24に示した効
果に加え、ブラックの濃度を高くすることができるとい
う効果がある。
したような記録方法の実施例について、さらに詳細に説
明する。まず第1の実施例について説明する。なお、図
面中では、インクの色にかかわらず、インク滴が1滴形
成された状態をハッチングで、2滴のインク滴が重ねて
形成された状態をクロスハッチングで、3滴のインク滴
が重ねて形成された状態を縦横の格子模様でそれぞれ示
している。
を黒吐出部K1、K2から普通紙1に向けて吐出し、第
1のインク滴11a、11b(図25(a)参照)を形
成する。走査完了後、記録ヘッド8からインク吐出を行
うことなくキャリッジ7が逆方向に走査し、元の位置に
復帰する。続いて、キャリッジ7の2回目の走査が行わ
れ、この時に黒インクを黒吐出部K1、K2から再び普
通紙1に向けて第2のインク滴を吐出し、黒色記録用ド
ット14(図25(b)参照)を形成する。走査完了
後、記録ヘッド8からインク吐出を行うことなくキャリ
ッジ7が逆方向に走査し再び元の位置に復帰する。さら
に、キャリッジ7の3回目の走査が行われ、カラーイン
ク(シアン、マゼンタ、イエロー)を各吐出部C、M、
Yから普通紙1に向けて適宜に吐出し、第3のインク滴
を吐出しカラー記録用ドット15(図25(c)参照)
を形成する。走査完了後、記録ヘッド8からインク吐出
を行うことなくキャリッジ7が逆方向に走査し元の位置
に復帰して、1ラインの印字が完了する。なお、この間
セラミックヒータ10は常に作動し、普通紙1を加熱し
続けている。
みると、図26に示すように、まず黒吐出部K1、K2
による吐出が行われ、それからキャリッジ7が往復する
1.5秒の間加熱される。この加熱により第1のインク
滴11a、11bの普通紙1への浸透が制御され、非加
熱時と比べて浸透深さが抑制される。そこへ再び黒吐出
部K1、K2による吐出が行われ、第1のインク滴11
a、11bと重なるように第2のインク滴が形成され
る。それから、再びキャリッジ7が往復する1.5秒の
間加熱される。こうして、図25(b)に示すように、
第1のインク滴と第2のインク滴とにより黒色の記録用
ドット14が構成される。そこで、吐出部C、M、Yか
らカラーインクが吐出され、この黒色の記録用ドット1
4と隣接するカラー記録用ドット15(第3のインク滴
により構成)が形成される。その後、少なくともキャリ
ッジ7が往復する1.5秒の間は加熱される。なお、カ
ラー記録用ドット15の形成に関しては、所望の色を得
るために、吐出部C、M、Yの任意の組合せによるイン
ク吐出が行われ、単数または複数のインク滴によって形
成される。
らカラーインクが吐出するまでに、第1のインク滴11
a、11bは3秒間、第2のインク滴は1.5秒間加熱
される。これにより、各インク滴は浸透深さが抑制さ
れ、普通紙1の厚み方向においては表面近傍にインクが
集中し、色素成分があまり分散しない。そして、普通紙
1に入射した光は比較的表面に近い位置で反射するた
め、鮮明である。また、このインクは浸透性を有するも
のであるため、インクが普通紙1の表面上に凸状に残留
することはなく、隣接するカラー記録用ドット15側に
流れ込んでブリードを生じることはない。加熱してイン
ク中の水分を蒸発させることによりインクの粘度を上げ
境界にじみなどのブリードを起こりにくくし、またイン
ク中の溶媒を蒸発させることによって色素の溶媒に対す
る溶解性を低下させて色素を紙に対して吸着し易くする
という効果も有している。
である普通紙1の表面上に凸状に残らないという浸透性
インク特有の挙動が見られるとともに、インクが表面か
ら浅い位置に密集するという非浸透性インクと同様の挙
動も示し、鮮明な記録が可能であり、かつブリードが防
げるという両タイプのインクの長所を両立できる。
ク吐出が行われる時点では、先に吐出したインク滴の普
通紙1への浸透が継続中であっても、完了していてもい
ずれでも構わない。
の実施例を示す説明図である。これは、キャリッジ7の
2回目の走査時に2回目の黒インク吐出とカラーインク
吐出とを同時に行う方法である。
ると、まず黒吐出部K1、K2による吐出が行われ、そ
れからキャリッジ7が往復する1.5秒の間加熱され
る。この加熱により黒インク滴16a、16bの普通紙
1への浸透が制御され、浸透深さが抑制される。そこ
で、再度のキャリッジ走査が行われ、黒吐出部K1、K
2による2回目の黒インク吐出と、吐出部C、M、Yに
よるカラーインク吐出とが行われ、黒インク滴からなる
黒色の記録用ドット18と、隣接するカラー記録用ドッ
ト19とが形成される。その後、やはりキャリッジ7が
往復する1.5秒の間加熱される。
に黒インク滴が形成されるとともにカラー記録用ドット
19が形成される点のみが第1の実施例と異なってお
り、その他の工程等については第1の実施例と同様であ
る。ここで2回目の黒の記録とカラーの記録が同一スキ
ャンで行われるが、黒インクの浸透性によってカラーが
記録される前に黒インクはほぼ紙中に浸透しているため
ブリードは生じにくい。そして、色の鮮明な記録が可能
で、かつブリードを生じにくいという第1の実施例と同
様の効果を達成できる。
の実施例を示す説明図である。これは、黒インクの重ね
打ちは行わない方法である。
ると、まず黒吐出部K1、K2による吐出が行われ、そ
れからキャリッジ7が往復する1.5秒の間加熱され
る。この加熱により黒インク滴20a、20bの普通紙
1への浸透が制御され、浸透深さが抑制される。そこ
で、吐出部C、M、Yからカラーインクが吐出され、黒
インク滴20a、20bからなる黒色の記録用ドット2
1と隣接するカラー記録用ドット22が形成される。そ
の後、やはりキャリッジ7が往復する1.5秒の間加熱
される。
の2個の黒インク滴20a、20bにより黒色の記録用
ドット21が形成されている点のみが第1の実施例と異
なっており、その他の工程等については第1の実施例と
同様である。そして、色の鮮明な記録が可能で、かつブ
リードを生じにくいという第1の実施例と同様の効果を
達成できる。
の実施例を示す説明図である。これは、単一の黒吐出部
K3を有する記録ヘッド(図示せず)を用いている。
黒吐出部K3からの吐出により黒インク滴23が形成さ
れ、それからキャリッジ7が往復する1.5秒の間加熱
される。そこへ再び黒吐出部K3による黒インク滴の吐
出が行われる。それから、再びキャリッジ7が往復する
1.5秒の間加熱される。こうして、黒インク滴により
1個の黒色の記録用ドット25が構成される。ついで、
吐出部C、M、Yからカラーインクが吐出され、この黒
色の記録用ドット25と隣接するカラー記録用ドット2
6が形成される。その後、やはりキャリッジ7が往復す
る1.5秒の間加熱される。
の実施例を示す説明図である。これは、第4の実施例と
同じ記録ヘッド(図示せず)を用い、2回目の黒インク
吐出と同時にカラーインク吐出を行う方法である。
黒吐出部K3からの吐出により黒インク滴27が形成さ
れ、それからキャリッジ7が往復する1.5秒の間加熱
される。そこで再びキャリッジ7が走査され、黒吐出部
K3により黒インク滴が形成され、黒インク滴により1
個の黒色の記録用ドット29が構成される。それと同時
に、吐出部C、M、Yからカラーインクが吐出され、カ
ラー記録用ドット30が形成される。その後、少なくと
もキャリッジ7が往復する1.5秒の間加熱される。
の実施例を示す説明図である。これは、第4の実施例と
同じ記録ヘッド(図示せず)を用い、黒インク滴の重ね
打ちを行わない方法である。
出部K3による吐出が行われ、キャリッジ7が往復する
1.5秒の間加熱される。それから吐出部C、M、Yか
らカラーインクが吐出され、黒色記録用ドット31と隣
接するカラー記録用ドット32が形成される。その後、
少なくともキャリッジ7が往復する1.5秒の間加熱さ
れる。
の実施例を示す説明図である。これは、第4の実施例と
同じ記録ヘッド(図示せず)を用いる方法であり、普通
紙1のある1点をとってみると、黒吐出部Kによる吐出
が行われ黒色記録用ドット33が形成され、キャリッジ
7が往復する1.5秒の間加熱される。同様に、キャリ
ッジ7を走査して吐出部Cによりカラーインク滴(シア
ン)が形成された後キャリッジ7を元の位置に復帰さ
せ、キャリッジ7が往復する1.5秒間加熱される。続
いて、キャリッジ7を走査して吐出部Mによりカラーイ
ンク滴(マゼンタ)が形成され、キャリッジ7が往復す
る1.5秒の間加熱され、さらに、キャリッジ7を走査
して吐出部Yによりカラーインク滴(イエロー)が形成
され、少なくともキャリッジ7が往復する1.5秒の間
加熱される。このように3回に分けて吐出された各色の
インク滴によりカラー記録用ドット35が形成される。
の実施例を示す説明図である。これは、第7の実施例と
対照的な方法であり、普通紙1のある1点をとってみる
と、キャリッジの1回目の走査時に、黒吐出部K3およ
び吐出部C、M、Yにより、黒色の記録用ドット36と
カラー記録用ドット37とが同時に形成される。そし
て、これらは少なくともキャリッジ7が往復する1.5
秒の間加熱される。
の実施例を示す説明図である。これは、黒インク吐出部
が2つ設けられた記録装置(図13参照)を用いてお
り、普通紙1のある1点をとってみると、キャリッジの
1回目の走査時に、黒吐出部K1、K2および吐出部
C、M、Yにより、黒色の記録用ドット38とカラー記
録用ドット39とが同時に形成される。そして、これら
は少なくともキャリッジ7が往復する1.5秒の間加熱
される。
についてインク滴吐出後に加熱して浸透深さを制御する
ことについて詳細に述べたが、カラーインクについても
同様に、インク滴吐出後に加熱され浸透深さが制御され
ることにより、鮮明さの向上および境界にじみ等のブリ
ードの防止という効果が得られる。
浸透性のインクを用い吐出を1回のみ行っているが、ア
セチレノールが0.4%程度の半浸透性インクをカラー
インクとしても用いるようにすると、より効果的であ
る。また、カラーインクを複数回のインク吐出で重ね打
ちするようにしてもよい。その場合、カラー吐出部C、
M、Yによるインク吐出後に僅かに位置をずらして再度
カラー吐出部C、M、Yによるインク吐出を行うか、図
35に示すように、複数の(本例では2つずつの)カラ
ー吐出部C1、C2、M1、M2、Y1、Y2を備えた
記録ヘッド40を有するインクジェット記録装置を使用
すると、キャリッジの走査回数を増やすことなく行え
る。また、前記実施例にて説明した工程の後に、再度キ
ャリッジ7を走査しつつ吐出部C、M、Yからカラーイ
ンクを吐出し、その後キャリッジ7を元の位置に戻す一
連の工程を追加するようにしてもよい。
リッジの移動方向)について記録用ドット1つを形成す
るのにインク滴吐出を1回行う場合は、1ノズルからの
1回の吐出で約50plのインクを吐出する。インク滴
吐出を2回行う場合には、1ノズルからの1回の吐出で
20〜30plのインクを吐出して、50pl前後の記
録用ドットを形成する。なお、黒インクの吐出ヘッドを
K1、K2の2つ設け、記録用ドット1つに対し4回の
吐出が行われる場合、このとき1個の記録用ドットのイ
ンク量は100pl前後である。
インク吐出は、全く同じ位置に重ね打ちしても、千鳥状
やインターレース状に僅かに位置をずらして行ってもよ
い。後者の場合、例えば360×360dpiの記録用
ドットを得るために、実際には720×360dpiの
インク吐出を行うことになる。複数回のインク吐出のイ
ンク滴の大きさは異なっていても(例えば小インク滴の
上に大インク滴を形成したり、大インク滴の上に小イン
ク滴を形成したりしても)よい。ただし、インク滴の大
きさを変えたり、吐出位置を僅かにずらしたりする場合
も、吐出されたインク滴の少なくとも一部は重なり合う
ようにすることが望ましい。
紙1の搬送方向に対して垂直方向すなわち主走査方向に
1列に横並びに並べて配設してあるが、各色の吐出ヘッ
ドを普通紙1の搬送方向すなわち副走査方向に縦並びと
して2列、または3列など複数列にしてもよい。たとえ
ば、1列目(1パス目)に黒吐出ヘッドを、2列目(2
パス目)にカラー吐出ヘッドをそれぞれ設け、互いに独
立して移動可能に構成してもよい。この場合、2列目
(2パス目)にもう1つの黒吐出ヘッドを設けてもよ
い。
にC、3列目にM、4列目にYという風に配設してもよ
い。その場合、セラミックヒータは、全列に対向するよ
うに設けても、いずれかの列に対向する位置にのみ設け
てもよい。
ャリッジが記録媒体の搬送方向に直角に往復移動するシ
リアルタイプに関するものであるが、記録媒体の全幅に
沿って多数の吐出部(ノズル)が配列されたいわゆるフ
ルラインタイプの記録ヘッドを用いる場合にも、本発明
は適用可能である。
に示す本発明の第10の実施例について以下に説明す
る。これは、第1の黒吐出ヘッド41と、第2の黒吐出
ヘッド42と、カラー吐出ヘッド43a、43b、43
cとが間隔をおいて配置されている。各吐出ヘッド4
1、42、43a、43b、43cは、すべて記録媒体
である普通紙1の全幅に沿って多数のノズルが配列され
ており、普通紙1はこの吐出ヘッドに垂直に(矢印方向
に)搬送される。そして、各吐出ヘッドは間隔をあけて
設けてあり、この間隔に加熱手段であるセラミックヒー
タ44が配設してある。そして、この間隔だけ普通紙が
搬送されるのにかかる時間(例えば1.5秒)が、ある
1点においてインク滴が吐出されてから次のインク滴が
吐出されるまでの時間である。本実施例によると、記録
媒体である普通紙1のある1点について考えると、図2
9に示す第4の実施例と実質的に同様な処理が施され
る。なお、吐出ヘッド41、42の直下(点線部)にも
位置するようにセラミックヒータ44を設けてもよい。
また、カラーインクを吐出した後にも加熱するされるよ
うにセラミックヒータ45を設けると、より効果的であ
る。
第11の実施例は、前記第10の実施例から黒吐出ヘッ
ドを1つ省略した構成である。すなわち、黒吐出ヘッド
46と、カラー吐出ヘッド47a、47b、47cとが
間隔をおいて配置されており、記録媒体である普通紙1
のある1点について考えると、図31に示す第6の実施
例と実質的に同様な処理が施される。黒吐出ヘッド46
の直下(点線部)やカラー吐出ヘッド47a、47b、
47cの後にも位置するようにセラミックヒータ48を
設けることもできる。
ラインヘッドを配設し、インク吐出の所望の時間間隔と
普通紙1の搬送速度にに応じてフルラインヘッド間にス
ペースをあけ、そのスペースに加熱手段を設けることに
より、シリアルタイプの記録ヘッドを用いた実施例にそ
れぞれ対応して実質的に同様な処理を施す記録装置が構
成できる。
のセラミックヒータHは断熱材49に覆われていること
が好ましい。また、セラミックヒータHに代えて、図2
0に示すようなハロゲンランプヒータ187a、187
bや、その他の様々な加熱手段を用いることができる。
なお、セラミックヒータを用いた構成およびハロゲンラ
ンプヒータを用いた構成のいずれも、シリアルタイプ、
フルラインタイプのいずれにも適用可能である。
例えば図25(b)に示す2回の主走査によりブラック
の画像の記録を行う例を示した。先に示した例では、ブ
ラックの画像を2回記録することにより、ブラックの濃
度を高くでき、ブラックの定着性を高め、隣接して記録
されるドット同士のインクの干渉を抑え、ブラックの画
像を2回の主走査で完成されるよう、それぞれの主走査
で間引いて記録を行ってもよい。
回の主走査記録で相補的となるよう記録を行う例を説明
する図である。702はヘッドを模式的に示したもの
で、801はヘッドに配列されるノズルを示している。
説明の簡略化のため、本図ではヘッドに8個のノズルを
配列した構成を示している。
よる記録位置を示す図であり、ヘッドから吐出されるイ
ンク滴により、図39(a)の格子の交点にドットが形
成される。図39(b)、図39(c)は、それぞれ間
引いて記録を行う際のドット位置の例を示すものであ
る。図39(b)、図39(c)は、チェッカーパター
ン状にドットを間引いた例であり、それぞれ間引く位置
が異なっている。図39(b)、図39(c)で間引か
れて記録されたパターンは互いに相補的なパターンであ
るため、それぞれのパターンで間引いて同じ位置に記録
を行うことで、記録画像が完成される。
トをわかりやすくするため、図39(b)では記録され
るドット位置を斜線を記入した円で示しており、また図
39(c)では斜線を施していない円で示している。
い、2回の主走査により画像をプリントする方式を、第
1の実施例のようなブラックの記録(図25(a)、図
25(b)に示すような主走査記録)に適用することに
より、1回の主走査により記録されるドット数を少なく
することができるため、紙面上に吐出されるインク量を
少なくでき、一層定着性に優れ、また、隣接するドット
同士のインク滴による干渉を低減でき、高画質化が達成
される。
を簡略的に示したものであり、実際に紙面上に形成され
るドットのサイズを表すものではない。また、間引かれ
るパターンはこれに限られるものではない。
記録方式に対応した第13の実施例について説明する。
インクジェット記録方式において複数のノズルを配列し
たマルチノズルヘッドを用いる場合、マルチヘッド製作
工程差に生じるわずかなノズル単位のばらつきが原因と
なって、各ノズルのインクの吐出量や吐出方向の向きに
影響を及ぼし、プリント画像に濃度ムラが発生してしま
うことがある。このような濃度ムラを低減させるため、
複数回の主走査(スキャン)により画像を完成させる方
式として、マルチスキャンと呼ばれる記録方式がある。
て説明する。図40(a)において、702はマルチノ
ズルヘッドであり、前述した図35のものと同様であ
り、説明の簡略化のため8個のマルチノズル801によ
って構成されているものとする。また、本図では、各ノ
ズル801から吐出されるインク滴802(以下、「ド
ロップレット」ともいう)の状態をわかりやすくするた
め、マルチノズルヘッド702を側面から確認した状態
を概略的に示している。また、適用される記録装置は、
前述した図21に示したシリアルタイプの記録装置であ
り、その詳細な説明は省略する。ヘッド702より吐出
されたインク滴802は、図40に示すように、各ノズ
ルから吐出されるインク滴が全て揃った吐出量で、揃っ
た方向にインクが吐出されるのが理想である。この様に
吐出が行われれば、図40(b)に示したように紙面上
に揃った大きさのドットが正常な位置に着弾され、図4
0(c)に示すように全体的にも濃度ムラの無い一様な
画像が得られるのである。
ル1つ1つにはそれぞれバラツキがあり、そのまま上記
と同じようにプリントをしてしまうと、図41(a)に
示したようにそれぞれのノズルより吐出されるインクド
ロップの大きさおよび向きにバラツキが生じ、紙面上に
おいては図41(b)に示すように着弾される。この図
によれば、ヘッド主走査方向に対し、周期的にエリアフ
ァクター100%を満たせない白紙の部分が存在した
り、また逆に必要以上にドットが重なり合ったり、ある
いはこの図中央に見られる様な白筋が発生したりしてい
る。このような状態で着弾されたドットの集まりはノズ
ル並び方向に対し、図41(c)に示した濃度分布とな
り、結果的には、通常人間の目でみた限りで、これらの
現象が濃度ムラとして感知される。
されているマルチスキャン方式を、図42および図43
を参照して説明する。
したプリント領域を完成させるのにマルチノズルヘッド
702を3回スキャンしているが、その半分の4画素単
位の領域は2パスで完成している。この場合マルチヘッ
ドの8ノズルは、上4ノズルと、下4ノズルのグループ
に分けられる。1ノズルが1回のスキャンでプリントす
るドットは、規定の画像データを、ある所定の画像デー
タ配列に従い、約半分に間引いたものである。そして2
回目のスキャン時に残りの半分の画像データへドットを
埋め込み、4画素単位領域のプリントを完成させる。以
上のようなプリント法を以下分割プリント法と称す。こ
のような分割プリント法を行えば、図41で用いたプリ
ントヘッドと等しいものを使用しても、各ノズル固有の
プリント画像への影響が半減されるので、プリントされ
た画像は図42(b)、図43(b)に示すようにな
り、図41(b)に見るような黒筋や白筋が余り目立た
なくなる。従って濃度ムラも図42(c)に示すよう
に、図41の場合と比べかなり緩和される。
イズを変更可能なインクジェット記録ヘッドを用いた、
本発明の第14の実施例について説明する。
可能とし、大小のサイズの異なるインク滴を吐出するこ
とにより、階調記録を達成する技術が知られている。そ
の手法としては、例えば、インクに熱エネルギーを印加
して気泡を発生させてインクの吐出を行わせる方式にお
いては、ノズル内に複数のヒータを設け、複数のヒータ
の駆動を制御することにより、大小のサイズの異なるイ
ンク滴を吐出する技術がある。この技術によれば、複数
のヒータのうち所定の一つのヒータのみを駆動して吐出
量の少ないインク滴を吐出して小さなドットを形成で
き、複数のヒータを全部駆動することにより吐出量の大
きいインク滴を吐出して大きなドットを形成できる。
インクを吐出可能な記録ヘッドを用い、2回の主走査記
録で画像を形成する例を図44に示している。702は
ヘッドを模式的に示したもので、801はヘッドに配列
されるノズルを示している。説明の簡略化のため、本図
ではヘッドに8個のノズルを配列した構成を示してい
る。
よる記録位置を示す図であり、ヘッドから吐出されるイ
ンク滴により、図44(a)の格子の交点にドットが形
成される。図44(b)、図44(c)は、それぞれ別
の主走査で記録を行うドットの配置の例を示すものであ
る。図44(b)は、チェッカーパターン状にドットを
間引いた位置にドットサイズの大きいドット360を記
録するとともに、ドット360で記録されない位置にド
ットサイズの小さいドット361を記録した例を示す。
ドット360とドット361は互いに相補的となるパタ
ーンで記録されている。また、図44(c)についても
同様に、ドット360がドットサイズの大きいドットを
示し、ドット361がドットサイズの小さいドットを示
しており、それぞれのドットは図44(b)とは逆のパ
ターンにより間引かれた位置に記録された状態を示して
いる。従って、ドットサイズの大きいドット360に着
目してみると2回の記録走査(図44(b)、図44
(c))によって相補的となるよう記録され、ドットサ
イズの小さいドット361についても2回の記録走査で
相補的となるよう記録される。
ンクの浸透を抑制する技術に対して、上述のような記録
方式を適用すれば、1回の主走査により記録紙面上に吐
出されるインクの量が抑えられ、また、ドットサイズの
大きいドットとドットサイズの小さいドットとが交互に
吐出されるため1回の主走査で記録されるドットのエリ
アファクター低くできるため、一層定着性に優れて濃度
低下の問題を解決した記録画像を形成することができ
る。
は図44に示した例に限らず、例えば図45に示すよう
なパターンで記録する構成であってもよい。図45は、
図44と同様に、上述したドットサイズの異なるインク
滴を吐出可能な記録ヘッドを用い、2回の主走査記録で
画像を形成する例を説明する図である。
別の主走査で記録を行うドットの配置の例を示すもので
ある。図45に示す例は、図44に示した例とはドット
サイズの大きいドットとドットサイズの小さいドットを
配置するパターンが異なるものである。図45に示す例
では、ドットサイズの大きいドット370と、ドットサ
イズの小さいドット371とが、ノズル801の配列方
向にそって交互に記録されるパターンに従って記録され
る。
ても、本発明のヒータを用いて記録紙内部へのインクの
浸透を抑制する技術に適用することにより、1回の主走
査により記録紙面上に吐出されるインクの量が抑えら
れ、一層定着性に優れて濃度低下の問題を解決した記録
画像を形成することができる。
複数のヒータの駆動によってドットサイズの異なるイン
ク滴を吐出する方式を例に挙げたが、各ノズルそれぞれ
に単一の吐出手段を設け、その吐出手段を駆動する信号
を制御することによりドットサイズを変更可能な構成に
おいても、本発明は適用し得るものである。
料等の着色剤の濃度を通常のインクの1/3〜1/6に
薄め、染料濃度としては0.3〜1.2%とした淡イン
クを用いて本発明の記録方法を実行する例について説明
する。本発明によれば浸透性インクの浸透をヒータの熱
により抑制するため、例えば1/3の濃度の淡インクを
使用した場合、重ね打ちを行わずに単ドットの低デュー
ティ(100%以下)で印字した場合、横方向ににじん
で広がる量が少なくなりドット径が小さくなる。この結
果、図49に示すようにハイライト部のOD(optical
density)が低下し、粒状感が低減する。一方、高デュ
ーティ(100%より大で300%以下)の印字では淡
インクの重ね打ちを行うので、約1秒間の重ね打ち間隔
による効果とも相まって図49に示すようにODが高く
なり、普通紙においてもベタ部のODが高くかつ非常に
階調性の高い印字が可能となる。
の主走査により最大3回まで重ね打ちすることができ
る。それはヒータの加熱によりインク中の水分が蒸発す
るため普通紙であってもインクを十分許容することが可
能となるからである。また、インクが半浸透性であるた
め、定着性が良好であるとともにベタ部のODが高くな
る。
るアセチレノールの含有量は0.2〜0.7%が好まし
く、0.3〜0.5%とするのがより好ましい。尚、上
記実施例においては淡インク同士の重ね打ちについて説
明したが、濃インクと淡インクを組合せて記録を行うよ
うにしてもよい。
について以下に説明する。
の装置の記録速度及び画像濃度に応じて浸透の調整を行
えばよく、記録速度を優先させるのであれば次の頁が排
出されたときに裏写りしない程度の定着時間の範囲内に
おさまるように本発明における半浸透性インクの浸透性
の高いインクを使うのが好ましい。逆に画像濃度を優先
するのであれば半浸透性インクの浸透性は低い方が好ま
しい。この技術思想の範囲内でより好ましい効果を出す
為のヒータの条件としては図15や図18に示したよう
に10w・secの電力が画像に作用すれば好ましいも
のである。また、本発明をカラープリンタに応用した場
合、異色境界にじみを重視すれば黒インクは本発明の技
術思想内で半浸透性インクの範囲での浸透性を高くする
のが好ましく、カラーインクは例えばアセチレノール量
を1%として、より浸透性の高いものにしてもよいが、
さらに画像品位を向上させるためにはカラーインクも本
発明の技術思想の範囲内でインクの浸透性を小さくする
のが好ましい。このとき、記録画像をマルチパスにより
分割記録して行う場合にはヒータ条件は電力を小さくす
ることが可能であり、より高濃度で高画質の記録が得ら
れるので好ましい。尚、上述の複数の実施例のうち、少
なくとも2つの実施例の組合せについても本発明の範囲
に含まれるものである。
録媒体表面上にはインクが凸状に残留しないため、複数
のインク滴間の境界にじみや白もやなどのブリードが低
減できる。さらに、加熱することによってインクの浸透
深さを抑制したので、記録媒体に入射した光は表面から
浅い位置で反射されて鮮明に見え、かつ色素成分があま
り分散せず鮮明であり、ヒゲ状のにじみ(フェザリン
グ)の発生も防止できる。さらに、記録用ドットを複数
回のインク吐出によって形成する場合には、浸透時間の
短縮化と印字品質の向上が図れる。
の含有割合と係数Kaの関係図である。
説明図である。
レノールの含有割合)と様々な印字特性との関係図であ
る。
式におけるインク滴形成状態を示す説明図である。
および説明図である。
おけるインク滴形成状態を示す説明図である。
方式におけるインク滴形成状態を示す説明図である。
けるインク滴形成状態を示す説明図である。
式におけるインク滴形成状態を示す説明図である。
印字方式におけるインク滴形成状態を示す説明図であ
る。
形成状態を示す説明図である。
斜視図である。
ノール含有率とOD値との関係図である。
OD値との関係図である。
ノール含有率と、加熱時と被加熱時のOD値の差との関
係図である。
ノール含有率とOD値との関係図である。
OD値との関係図である。
ノール含有率と、加熱時と被加熱時のOD値の差との関
係図である。
の構成を示す概略図である。
構成を示す概略図である。
成を示す概略図である。
状態を示す説明図である。
一つの印字状態を示す説明図である。
施例におけるインク滴形成状態を示す説明図である。
つの例の斜視図である。
ある。
明図である。
る。
ク滴形成状態を示す説明図である。
の関係図である。
w,tsの関係を示した図である。
ズムについての説明図である。
手段) 11a、11b 第1のインク滴 14、18、21、25、29、31、33、36、3
8 黒色記録用ドット 15、19、22、26、30、32、35、37、3
9 カラー記録用ドット 16a、16b、20a、20b、23、27
黒インク滴 41 第1の黒吐出ヘッド 42 第2の黒吐出ヘッド 43a、43b、43c、47a、47b、47c
カラー吐出ヘッド 46 黒吐出ヘッド 101 格子 102、110、132、134 ドット 103、104、111、112、113、131、1
33 インク滴 181 搬送ベルト 182、183 ローラ 184 レジストローラ 185 ストッカ 186 ガイド 187a、187b ハロゲンランプヒータ 290、291、301、302、303 記録領域 360、361、370、371 ドット 701 ヘッドカートリッジ 702 マルチノズルヘッド 703 搬送ローラ 704 補助ローラ 705 給送ローラ 706 キャリッジ 707 プリント紙 710 ヒータ 801 マルチノズル 802 インク滴 K1、K2、K3 黒吐出部 C、C1、C2 シアン吐出部 M、M1、M2 マゼンタ吐出部 Y、Y1、Y2 イエロー吐出部 H セラミックヒータ P 記録ヘッド
Claims (29)
- 【請求項1】 インクを吐出する吐出口を備えた記録ヘ
ッドと、記録媒体の少なくとも一部を加熱する加熱手段
とを有する記録装置におけるインクジェット記録方法で
あって、 前記記録ヘッドにより、記録媒体上の所定の領域に対し
て、ブリストウ法で求められる普通紙に対するインク吸
収係数Ka(ml・m-2・msec-1/2)が1.0〜
5.0の特性を有し、かつ0<ts≦200msec
(ts:急速膨潤開始点)の特性を有するインクを吐出
して記録を行う記録工程と、 前記記録工程において記録が行われた記録媒体上の領域
に対して前記加熱手段により加熱を行う加熱工程を有す
ることを特徴とするインクジェット記録方法。 - 【請求項2】 前記記録ヘッドは、前記吐出口からイン
クを吐出させる吐出手段として、インクに熱エネルギー
を印加する電気熱変換体を有することを特徴とする請求
項1に記載のインクジェット記録方法。 - 【請求項3】 前記記録ヘッドは、前記電気熱変換体に
よりインクに熱エネルギーを印加して気泡を生成させ、
該気泡の生成圧力により前記吐出口よりインクを吐出す
ることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記
録方法。 - 【請求項4】 インクを吐出する吐出口を備えた記録ヘ
ッドと、記録媒体の少なくとも一部を加熱する加熱手段
とを有する記録装置におけるインクジェット記録方法で
あって、 記録媒体上の所定の領域に対してインクを吐出して記録
を行う第1の記録工程と、 前記第1の記録工程において記録が行われた記録媒体上
の領域に対して前記加熱手段により加熱を行う加熱工程
と、 前記加熱工程による所定時間の加熱を行った後、前記所
定の領域に対してインクを吐出して記録を行う第2の記
録工程とからなることを特徴とするインクジェット記録
方法。 - 【請求項5】 前記記録ヘッドから吐出するインクは、
ブリストウ法で求められる普通紙に対するインク吸収係
数Ka(ml・m-2・msec-1/2)が1.0〜5.0
の特性を有し、0<ts≦200msec(ts:急速
膨潤開始点)の特性を有するインクであることを特徴と
する請求項4に記載のインクジェット記録方法。 - 【請求項6】 前記加熱工程により、前記第1の記録工
程により吐出されたインクが、前記インクの特性に応じ
て記録媒体に浸透する深さよりも浅い位置に抑えること
を特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録方
法。 - 【請求項7】 前記第2の記録工程は、前記第1の記録
工程により吐出されたインクが形成する記録ドットと少
なくとも一部が重なり合う位置にインクの吐出を行うこ
とを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録方
法。 - 【請求項8】 前記第1の記録工程と前記第2の記録工
程は、記録されるべき画像を構成する記録ドットを、前
記第1の記録工程と前記第2の記録工程とにより相補的
となるようにインクを吐出して記録ドットを形成するこ
とを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録方
法。 - 【請求項9】 前記第1の記録工程と前記第2の記録工
程は、記録されるべき画像を構成する記録ドットを、そ
れぞれ互いに相補的となる千鳥状のパターンで間引いて
記録を行うことを特徴とする請求項8に記載のインクジ
ェット記録方法。 - 【請求項10】 前記第1の記録工程と前記第2の記録
工程は、記録されるべき画像を構成する記録ドットを、
所定方向に沿って所定ドットおきに間引いたパターンで
記録を行うことを特徴とする請求項8に記載のインクジ
ェット記録方法。 - 【請求項11】 前記第2の記録工程は、前記第1の記
録工程により吐出されたインクが記録媒体内部へ浸透し
ている間にインクの吐出を行うことを特徴とする請求項
4に記載のインクジェット記録方法。 - 【請求項12】 前記記録装置は、記録ヘッドを搭載す
るキャリッジと、前記キャリッジを主走査方向に沿って
走査する走査手段とを有し、前記キャリッジの走査中に
前記記録ヘッドによる記録動作を行うシリアルタイプの
記録装置であって、前記加熱手段は、前記キャリッジの
走査によって前記記録ヘッドが移動して記録を行う領域
を、前記記録媒体の記録面と反対の面から加熱するよう
設けられることを特徴とする請求項4乃至11のいずれ
かに記載のインクジェット記録方法。 - 【請求項13】 前記第1の記録工程と前記第2の記録
工程とは、それぞれ異なる主走査時に行われることを特
徴とする請求項12に記載のインクジェット記録方法。 - 【請求項14】 前記加熱手段は、前記記録ヘッドによ
る記録領域に位置する前記記録媒体を支持するプラテン
部材の一部として設けられることを特徴とする請求項1
2または13に記載のインクジェット記録方法。 - 【請求項15】 前記加熱手段はセラミックヒータであ
ることを特徴とする請求項15に記載のインクジェット
記録方法。 - 【請求項16】 前記記録装置は、前記記録媒体を送り
方向に搬送する搬送手段を有するとともに、前記記録ヘ
ッドが前記記録媒体の前記送り方向と異なる方向の全域
に対して記録可能なフルラインヘッドであるフルライン
タイプの記録装置であることを特徴とする請求項4乃至
11のいずれかに記載のインクジェット記録方法。 - 【請求項17】 前記記録ヘッドは、前記記録媒体の送
り方向に沿って複数配置されることを特徴とする請求項
16に記載のインクジェット記録方法。 - 【請求項18】 前記加熱手段は、前記記録ヘッドに対
して前記搬送手段による送り方向に沿って異なる位置で
あって前記複数の記録ヘッドの間に設けられ、前記記録
媒体の送り方向と直交する幅方向の全域に対して加熱が
可能に構成されることを特徴とする請求項17に記載の
インクジェット記録方法。 - 【請求項19】 前記加熱手段はハロゲンランプヒータ
であることを特徴とする請求項18に記載のインクジェ
ット記録方法。 - 【請求項20】 前記記録ヘッドは、前記吐出口からイ
ンクを吐出させる吐出手段として、インクに熱エネルギ
ーを印加する電気熱変換体を有することを特徴とする請
求項4乃至19のいずれかに記載のインクジェット記録
方法。 - 【請求項21】 前記記録ヘッドは、前記電気熱変換体
によりインクに熱エネルギーを印加して気泡を生成さ
せ、該気泡の生成圧力により前記吐出口よりインクを吐
出することを特徴とする請求項20に記載のインクジェ
ット記録方法。 - 【請求項22】 前記インクは分散剤を含まない自己分
散型顔料である請求項1又は4記載のインクジェット記
録方法。 - 【請求項23】 前記記録工程は、複数回の記録に分割
して行うことを特徴とする請求項1又は4記載のインク
ジェット記録方法。 - 【請求項24】 前記インクは通常のインクの1/3〜
1/6の着色剤濃度を有する淡インクであって、前記淡
インクを複数回の記録により同一画素に重ねて付与する
ことを特徴とする請求項1又は4記載のインクジェット
記録方法。 - 【請求項25】 前記記録工程は2つのインク滴を約1
秒の時間差で同一画素に付与することで行うことを特徴
とする請求項1記載のインクジェット記録方法。 - 【請求項26】 前記急速膨潤開始点は、インク滴を記
録媒体に付与した後、インクの浸透量の増加が急増する
屈曲点であることを特徴とする請求項1又は5記載のイ
ンクジェット記録方法。 - 【請求項27】 インクが記録媒体上に着弾してからt
sまでの間に少なくとも前記加熱工程を行うことによ
り、前記記録工程において吐出されたインクの記録媒体
に対する浸透を、前記加熱工程がない場合に前記インク
の特性に応じて前記インクが記録媒体に浸透する深さよ
りも浅い位置に抑えることを特徴とする請求項1記載の
インクジェット記録方法。 - 【請求項28】 前記インクは、水におけるエチレンオ
キサイド−2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン
−4,7−ジオールの臨界ミセル濃度(c.m.c.)
よりも低い割合でエチレンオキサイド−2,4,7,9
−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールを含有
するインクである請求項1又は4記載のインクジェット
記録方法。 - 【請求項29】 インクを吐出する吐出口を備えた記録
ヘッドと、記録媒体の少なくとも一部を加熱する加熱手
段とを有する記録装置におけるインクジェット記録方法
であって、 前記記録ヘッドにより、記録媒体上の所定の領域に対し
て、0<ts≦200msec(ts:急速膨潤開始
点)の特性を有するインクを吐出して記録を行う記録工
程と、 前記記録工程において記録が行われた記録媒体上の領域
に対して前記加熱手段により加熱を行う加熱工程を有す
ることを特徴とするインクジェット記録方法。
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