JP4227267B2 - インクジェットプリント方法およびインクジェットプリント装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリント方法およびインクジェットプリント装置に関し、詳しくは、インク中の色材を不溶化する処理液を用いてプリントを行うインクジェットプリント方法およびインクジェットプリント装置に関するものである。本発明のインクジェットプリント方法およびインクジェットプリント装置は、プリンタ,複写機,ファクシミリ等、紙などの記録媒体に対して文字,画像等をプリントする機器に適用でき、また、これら機器においてプリント機構として用いられるものである。
【0002】
〔背景技術〕
インク中の染料あるいは顔料等の色材を不溶化する処理液は、一般にはプリントされた画像等の耐水性を向上させるために用いられている。しかしながら、本出願人は、処理液がこのような耐水性の向上だけでなく、プリント画像の濃度(例えばOD)、プリント画像エッジ部のシャープネス、定着性などのプリント性に大きな影響を及ぼすことに着目し、種々の提案を行なっている。
【0003】
例えば、OD値の向上の観点から、色材として顔料を用いたインクと上記処理液を用い、記録紙上で上述のインクと処理液とを混合させることにより、インクドットを形成するものが提案されている。
【0004】
また、上記顔料を色材とするインクと処理液との組合せは、上述のODの向上に加え、形成されるドットににじみ状の輪郭部をほとんど生じない、いわゆるシャープな境界を有したドットを形成する上でも好ましいものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上の通り、顔料を色材として用いたインクと処理液との組合せによるプリントは、高いODや画像エッジ部の高いシャープネスを実現でき、従来にない高品位プリントを可能とするものである。しかしながら、インクジェットプリント方式にあっては、プリント性を向上させる上で定着性についてさらに改善の余地がある。
【0006】
例えば連続的に何枚ものプリント紙にプリントを行う場合には、プリント後排紙されたプリント紙が順次積層されることになる。この場合、インクのプリント紙に対する定着、すなわち、インクのプリント紙に対する浸透が不十分でプリント紙表面にインクが残留していると、他のプリント紙にその残留インクが転写されプリント紙を汚すことになる。このように、プリントヘッドやプリント紙の搬送系の能力にかかわらず、インク定着が遅い場合にはそれによるプリント紙の汚れを防止するなどのために、排紙自体の速度を遅くする必要がある。従って、インクジェットプリント方式における定着性は、単位時間当りに出力できるプリント紙の数を制限する、比較的大きな要因となる。
【0007】
一方、このような定着性を向上させる試みとして、処理液を用いるか否かにかかわらず、インク自体を浸透性の高いものとするものが知られている。しかし、このようなインクによるプリント結果は、ODが低く、また、プリントされる画像のシャープネスもそれ程良好なものとはならない。
【0008】
また、浸透性が高い処理液と染料を色材として用いたインクとを用い、先ず上記処理液をプリント用紙に付与し、これにインクを重ねて付与することにより、インク中の染料を不溶化するプリント方法も知られている。しかし、浸透性が高い処理液を用いることによって定着性は向上するものの、ODは低く、また、画像エッジのシャープネスについても劣るものである。このような傾向は、インクジェットプリントにおいて多く用いられる、いわゆる普通紙にプリントを行った場合、特に顕著である。
【0009】
以上のように、高いODやシャープネスの良好な画像をプリントするため処理液をインクと併用したとしても、これらのプリント性と定着性とが両立し難しいという問題があった。さらに、この定着性、すなわち浸透性を考慮するとき、単純に浸透性を高める場合には、プリント用紙の裏側からプリント画像を観察できる程色材が深く浸透してしまうという、いわゆる裏抜け性の問題を派生することとなるため、上記OD等と定着性との両立は、それ程容易な技術課題ではない。
【0010】
本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ODや画像エッジ部のシャープネスについて高いレベルを維持しつつ従来にない高い定着性のプリントを行うことができ、さらに裏抜けの問題も有効に抑えることのできるインクジェットプリント方法およびインクジェットプリント装置を提供することにある。
【0011】
特に、種々の普通紙に対して常に一定以上の高レベルの定着性を示すことが可能なインクジェットプリント方法およびインクジェットプリント装置を提供することを目的とする。なおここで、「普通紙」とは、プリンターや電子写真方式等で一般に用いられているプリント用紙をいう。
【0012】
また、本発明の他の目的は、以下の明細書の記載からも明らかとなるところのものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明では、インク中に含まれる顔料に対して化学的に反応する成分を含む処理液をプリント媒体の表面層に浸透せしめた後、前記顔料を含むインク滴を前記プリント媒体の表面のうち前記処理液が与えられている部分に着弾させる工程を含むインクジェットプリント方法であって、前記処理液に付与される前記顔料の浸透深さは、前記プリント媒体に対する前記インクのみを付与した場合に形成される着色部における顔料の浸透深さよりも深く、かつ前記処理液の浸透深さよりも浅いことを特徴とする。
【0014】
また、プリント媒体の表面にインク受容部を形成し、前記インク受容部に対して接触するようにインクを付着させることによりプリントを行なうインクジェットプリント方法であって、前記インク受容部は、浸透剤及びインク中の色材の不溶化剤を含有した処理液をプリント媒体表面に付着させることで形成され、前記インクは、色材として顔料を含有し、前記プリント媒体への着弾時における、前記インク受容部を形成する処理液の1画素当りの平均液厚が10μm以下であり、1画素当りのインクの体積に対する処理液の体積比が1/8以上であり、さらに前記プリント媒体への着弾時における前記インクの1画素当りの平均液厚が8μm以上20μm以下であることを特徴とする。
【0015】
さらに、プリント媒体の表面にインク受容部を形成し、前記インク受容部に対して接触するようにインクを付着させることによりプリントを行なうインクジェットプリント装置であって、前記インク受容部は、浸透剤及び前記インク中の色材の不溶化剤を含有した処理液をプリント媒体表面に付着させることで形成され、前記インクは、色材として顔料を含有し、前記インク受容部を形成する処理液のプリント媒体への着弾時における1画素当りの平均液厚を10μm以下とし、1画素当りのインクの体積に対する処理液の体積比を1/8以上とし、さらに前記インクのプリント媒体への着弾時における1画素当りの平均液厚を8μm以上20μm以下とすることを特徴とする。
【0018】
以上の構成によれば、処理液によってプリント紙表面層でインク受容部が形成される。詳細には、プリント媒体に付着させる処理液が紙の表面層をなじみ処理する。すなわち、この形成により、次にこの部分に接触して付着させるインクのプリント媒体への浸透を促進させる。
【0019】
また、処理液には、インク中に含まれる顔料と化学的に反応する成分(インク不溶化剤)が含有されており、インク受容部形成部におけるプリント媒体の繊維の表面、およびまたは繊維間に吸着しており、インク中の色材を吸着させる。この色材は所定量以上顔料を有しており、顔料粒子がインク受容部を含む紙表層部に吸着される。
【0020】
その結果、紙表層部に形成される着色部における顔料のプリント媒体内部への浸透深さは、該プリント媒体に該インクのみを付与した場合に形成される着色部における顔料の浸透深さよりも深くなるため、定着性が改善されることになる。一方、処理液中の顔料と化学的に反応する成分との反応により顔料のモビリティーが低下するので、該顔料の浸透深さを、処理液中の溶媒のプリント媒体における浸透先端よりも浅くすることができる。その結果、プリント媒体の表層部に顔料を留めることができるようになり、顔料インクの定着性の改善を図ると同時に、充分な光学濃度を有する着色部を得ることができる。
【0021】
インク受容部を形成するための処理液は液滴として紙に着弾するが、液滴の紙への着弾時の厚みは好ましくは5〜10μmになるようにする。これは、プリント紙の空隙率が約50%であることから、浸透性の処理液が瞬時に少なくとも10μm〜20μmの深さまで浸透するからである。この厚みは、次に付着するインクの定着性、OD、裏抜け性等に影響を与える。
【0022】
すなわち、インク受容部の厚みはインク受容許容量に相関するためその分のインクは瞬時にプリント紙中のインク受容層へ浸透していく。
【0023】
また、このインク受容部は、必ずしもプリント媒体面上に対して均一である必要はなく、まだらであっても構わないが、最低限、画素に対応するインク滴と紙面上で接触させるようにする必要がある。すなわち、インク滴が、インク受容部と接触することでインクの浸透、顔料を含む色材の反応、インク滴のプリント媒体面上での拡散を生じることが可能となる。
【0024】
インクがインク受容部中を浸透していく過程で色材中の顔料がインク不溶化剤が付着した繊維にトラップされるが、受容許容量以上のインクが付着されると、浸透スピードが低下するため、定着性は悪くなっていく。一方、インク受容部の厚みが大きすぎるとインク中の色材中の細かい粒子は、より深く浸透していくため、定着性は良くなるが、裏抜け性が悪くなる。
【0025】
ODについては、プリント媒体の表面から約20μm程度までの反射光により決定されることがわかっており、このため、ODを向上させるためにはインク中の色材がプリント紙の表層の約20μmまでに密にトラップされるようにすればよく、その分のインクが高速に浸透する分だけのインク受容部が形成される。
【0026】
また、インク受容部の濡れ性は高くなっているため、その部分に接してインクが付着すると、瞬時にインクは水平方向に拡散するため、少ないインク量で高いエリアファクターを確保できる。その結果として裏抜けも少なくなる。
【0027】
また、付着したインク滴がプリント紙表面で瞬時に拡がる一方、紙中の不溶化剤により顔料粒子を含んだ色材がトラップされるため、いわゆるフェザリング等のインクのにじみは非常に軽減され、シャープな画像エッジとなる。
【0028】
このように、高い定着性、高OD、シャープなエッジ、良好な裏抜け性が達成できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態に係るインクジェットプリント方法およびインクジェットプリント装置は、次のようなプリント実験およびその結果の考察に基づくものである。
【0030】
すなわち、600dpiの密度でインク吐出口を配設した記録ヘッドをブラック(Bk)インクと処理液それぞれについて用いる。そして、これらヘッドの間隔を1/2インチ〜2インチの範囲で設定して処理液を先に吐出しその後Bkインクを吐出し、また、この際の各ヘッドの駆動周波数を変化させることにより、結果として、処理液がプリント紙(以下、単に「紙」ともいう)上に着弾しその後Bkインクが着弾するまでの時間を、0.05秒〜0.8秒の範囲で変化させた。
【0031】
実験に用いた処理液は、浸透剤としてのエチレンオキシド−2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール(etylene oxide −2,4,7,9−、tetramethyl −5−decyne−4,7diol、以下、「アセチレノール」という;商品名、川研ファインケミカル)、カチオン高分子成分であるポリアリルアミンの酢酸塩(以下、「PAA」という)およびカチオン界面活性剤である塩化ベンザルコニウムを、それぞれの含有率が(0%,0.7%,2.0%),(0%,2%,4%)および(0%,0.5%,4%)の各々について組合わせたものである。
【0032】
一方、インクは、色材として分散剤(例えばスチレン−アクリル共重合体)で分散した顔料であるカーボンブラックとアニオン性染料(例えばフードブラック2)を混合したブラック(Bk)インク、あるいは自己分散型の顔料であるカーボンブラックと上記アニオン性染料を混合したものを用いたBkインクである。プリント実験では、それぞれのインクについて、顔料と染料の比率(顔料と染料の全体色材量に対する顔料の量の割合、以下では「顔/染比」ともいう)を変える一方で、全体におけるこれら色材の量は、インクの3%〜5%の範囲内の量とした。また、インクの浸透性は、アセチレノール量がインク全体の0%〜0.3%として比較的小さく設定した。
【0033】
処理液の吐出量は12pl〜30pl、また、インクの吐出量は15pl〜40plの範囲内で実験を行なった。また、このときの印字デューティーは、処理液およびインクの双方とも、原則として、600dpiの密度の1画素に対して1滴を吐出するものとした。但し、処理液については、間引きの場合も含めた。すなわち、上述のように1画素に1滴(印字デューティー1、以下同様)の外、間引きを行ない、2画素に対して1滴(1/2)、4画素に対して1滴(1/4)、8画素に対して1滴(1/8)及び印字しない(0)の5種類の印字デューティーについて実験を行なった。
【0034】
以上説明した種々の条件もしくはパラメータを組合せたものとして、以下に示す実験例1及びその他の実験例を実施し、それらの実験結果から、プリント性に関する評価項目である、定着性、OD値、シャープネスおよび裏抜けについて、より好しいプリントパラメータの範囲を、次の表1に示すように得ることができた。
【0035】
【表1】
【0036】
以下、実験例1およびその他の実験例について説明する。
【0037】
(実験例1)
本実験では、色材として、顔料である自己分散型のカーボンブラックとアニオン性染料であるフードブラック2を用いたインクとし、それらの顔料および染料による色材の含有量は、インク全体の約4〜5%とした。一方、処理液は、PAAが約4%、EBKが0.5%のものである。
【0038】
定着性
本実験例で、プリント性の評価項目の1つである定着性について評価したところ、処理液中の界面活性剤であるアセチレノールの濃度が、水中におけるアセチレノールの臨界ミセル濃度(以下、「CMC」ともいう)以上(本実施形態では、0.7%以上)であれば、ほとんど全ての普通紙で高い定着性を示した。
【0039】
なお、この定着時間は、印字後の紙表面での液滴による反射光、いわゆる「てかり」が目視にて観察できなくなるまでの時間を測定したもので、複数枚の普通紙に対し連続的なプリントおよび排紙を行ない、排紙した紙の裏面がその前に排紙された紙のインクによって、汚れを生じないような排紙時間間隔として確認した。
【0040】
この場合のプリント条件は、処理液の吐出量が15plであり、印字デューティーは25%以上である。一方、Bkインクの吐出量は30pl以下である。なお、処理液に関して、その吐出量を例えば30plとする場合は、印字デューティーが上述した25%より低いデューティーでも20%以上であれば、高い定着性を示す。これは、後述されるように、プリント画像において、処理液によって形成されるインク受容層がエリアファクター(以下、単に「AF」ともいう)で約50%以上あればよく、印字デューティーが比較的低い場合でもその分吐出量を多くすることにより上記AFの範囲を満たすことができるからである。
【0041】
図1は、Bkインクの吐出量が30plで、アセチレノールを2%含有した処理液の吐出量が15plのときの、処理液の印字デューティーに対する定着時間の関係を示す線図である。
【0042】
図1に示すように、処理液の印字デューティーが25%以上であれば、ほとんどの普通紙に対して定着時間は2秒以下であり、定着性の悪い普通紙でも6秒以内に紙表面のインクは紙中に吸収される。これにより、1分間に10枚(10ppm)の比較的高速のプリントが可能となる。なお、以上の図1に示した関係は、処理液のアセチレノール含有率が2%の場合であるが、本願発明者の実験によれば、アセチレノール含有率が0.7%以上あれば、定量的にも図1に示す関係とほぼ同様の関係があることが確認されている。
【0043】
次に、インクの色材の種類が定着性に与える影響を検討するため、色材として染料のみを用いたインクについてプリント実験を行なった。すなわち、アセチレノール含有率が0.7%以上である浸透性の高い処理液を上記染料インクに先立って普通紙に吐出し、その部分に接触するように染料インクを吐出した。この場合、高い定着性は得られるものの、OD値は低く、文字や画像のエッジ部に滲みを生じ、高品位の画像を得ることはできなかった。
【0044】
このように、高速の定着性を得てしかも文字、画像品位が高いプリントを行うには、インクの色材として、顔料が含まれる必要があることがわかった。
【0045】
定着性に関し、次にインク吐出量の影響を調べるプリント実験を行なった。図2は、その実験結果を示し、Bkインクの吐出量に対する定着時間の関係を示す図である。同図に示す実験の条件は、処理液の印字デューティーを、図1に示す関係において最低の条件の25%とした場合である。
【0046】
図2に示すように、Bkインクの吐出量が30pl以下であれば、定着性の劣る普通紙でも、定着時間は約10秒以内であり、それ以外の普通紙は、約3秒以内に定着する。また、以上の関係は、処理液のアセチレノール含有率が、水中におけるアセチレノールのCMC以上である、0.7%以上では、ほぼ維持されることが、実験により確認されている。このような定着性についての結果は、Bkインクに先立って吐出される処理液が、次に吐出されるインクの紙に対する濡れ性を良くしていることが原因として考えられる。
【0047】
一方、Bkインクの吐出量を30plより多くして行くと、図2にも示されるように、36plを境に定着性は急激に低下する傾向にある。しかも、形成されるインクドットは、その輪郭においてプリントヘッドの走査方向下流側にはき寄せ状の、輪郭がぼやけた部分が発生する。これは、本願発明者の検討によれば、処理液によって形成された、後述のインク受容層の許容量、すなわちインク受容の許容量を越えた量のインクが打ち込まれた結果、定着速度が遅くなったと考えられ、また、溢れたインクがヘッドの走査方向下流側へ徐々にはき寄せられてインクドットの輪郭を不鮮明にしていると考えられる。
【0048】
このBkインクの吐出量に関する臨界値について、ドット単位でなく、プリント画像等の全体としてマクロ的に考察すれば、この臨界値における処理液とインクの体積比は約1:8である。すなわち、処理液の印字デューティーが25%のときのAF(エリアファクター)が約50%であることを考慮すると、ある程度のインクは処理液の非印字領域にも浸透するが、かなりの部分は処理液の印字領域に流れ込むと考えられるため、処理液はインクの量の約1/8程度とすることができる。
【0049】
なお、本実施形態の本実験例1では、Bkインクは分散剤を含まない顔料と染料の双方を色材として用いているが、これら顔料と染料の比率は、後述のように、定着時間に対してわずかな影響を与えるものの実際のプリントにおける定着性に支障のない程度のものであることを確認している。
【0050】
また、本実験例では、高い定着性を目的として処理液におけるアセチレノール含有率を少なくとも0.7%としている。例えばこの含有率を0.5%程度とすると、この処理液でインク受容層を形成したときの紙表面におけるインクのなじみは良いが、紙中に対する浸透力が低下するため、定着時間は長くなる。
【0051】
OD
プリント性の評価項目の一つである光学反射濃度(以下、「OD」という)に関する本実験例1について、次に説明する。なお、本実験では、ODはマクベス光学濃度測定器を用いて測定した。また、用いた処理液におけるアセチレノール含有率は、本実施形態が、特に高速定着を目的とすることから、上述の「定着性」の項で説明したように0.7%以上とし、具体的には2%とした。
【0052】
本実験では、図3〜図5および図6〜図8に示す変数もしくはパラメータについてプリントを行ないODの測定を行なった。図3〜図5は、それぞれBkインクの吐出量が18pl,30plおよび36plの場合について、本実験例のBkインクの色材(分散剤無し顔料+染料)における顔料(カーボンブラック)の重量比(以下では、単に「顔料比率」という)とODとの関係を、処理液の印字デューティーをパラメータとして示す図である。一方、図6〜図8は、同様に、Bkインクの吐出量がそれぞれ18pl,30plおよび36plの場合について、処理液の印字デューティーとODとの関係を、顔料比率をパラメータとして示す図である。
【0053】
これらの図のうちで、例えば図7に示すBkインク吐出量が30plの場合において明らかなように、顔料比率が30%(3:7)のときは、処理液の印字デューティーにかかわらず、ほぼ一定のODを示す。これは、図4に示す関係で、顔料比率とODの関係を示す各印字デューティー毎の曲線が顔料比率が約30%の点で交わることを意味している。処理液の印字デューティーにかかわらず、このODが一定となる顔料比率は、Bkインクの吐出量によって若干変化し、図3および図5にそれぞれ示すように吐出量が18plの場合はこの顔料比率の値は30〜35%であり、36plの場合は、約25%となる。
【0054】
また、例えば図4および図7に示す関係から明らかなように、上述の交点に係る顔料比率が30%を下回る場合、処理液の印字比率が高くなるほどODは低下する。これは、本実施形態では、処理液の浸透性を高く設定しているため、処理液の高分子成分であるPAAと色材の大部分(70%以上)を占める染料が反応してこの高分子成分を絡めるという作用が働きにくくなり、その結果、染料及び顔料が大きな分子になりにくく紙の厚さ方向に浸透してしまうからであると考えられる。このように、処理液によって高い定着性は得られるものの、顔料比率が比較的少ない30%以下の場合はODは低くなる。また、この場合、紙の表面に沿った方向でも処理液とインクの混合したものは浸透し易くなり、これによって、細かなフェザリングも発生する。
【0055】
上述した処理液の高分子成分が絡まりにくいという現象は、さらに次の2つの推定される原因によっていると考えられる。すなわち、1つには、処理液の浸透速度が大きく、処理液が紙の表面に残っていない状態では高分子成分であるPAAの量が少ないため、紙の繊維に付着したPAAに染料は少量付着するにとどまり、ほとんどは紙の厚さ方向にさらに浸透してしまうからである。2つには、紙の表面に処理液が多少水たまり状で残っていたとしても、染料は処理液との反応速度が比較的遅いため、処理液と反応して大きな分子になる前に紙の厚さ方向に浸透してしまうからである。
【0056】
一方、顔料比率を約30%以上(Bkインク吐出量30plの場合)とすると、図4および図7から理解されるように、処理液の印字デューティーが約25%以上であれば、ODはほぼ印字デューティーの増加につれて高くなる傾向にある。これは、色材としての顔料の割合が多くなり、この顔料と処理液の反応物が紙の繊維に付着して比較的多くが紙の表面もしくはその近傍に残る等の理由からであると考えられる。
【0057】
ところで、顔料比率が90%以上の場合、処理液の印字デューティーが13%程度の低い場合は、図7に示すように、ODが極端に低くなる(Bkインクの吐出量が30plの場合)。この原因は次のように考えられる。
【0058】
すなわち、まず処理液が印字された部分(吐出された処理液が紙に拡がった部分)における、その後その部分に吐出されるインクの浸透性が比較的高くなり、一方、処理液が印字されていない部分におけるインクの浸透性は低くなる。この状態で、処理液が印字されていない部分のインクは、処理液が印字されている部分(ここでは、便宜上「穴」と称する)に流れ込んで行くことで、処理液が印字されていない部分はODが低くなり、穴の部分はODが高くなるという、ODの局在化が発生する。そして、この局在化が生じている場合のエリアファクターを考えると、処理液の印字デューティーが13%(約1/8)であることは、実質的に処理液が存在しない部分、すなわち印字されていない部分(低OD部分)はプリント画像全体の半分以上となるため、全体として極端なODの低下として現われるものと考えられる。
【0059】
これに対し、顔料比率が30〜70%の範囲では、処理液の印字デューティーが13%程度の低い値でもそれ程極端なODの低下は生じない。これは上述の“穴”という概念を用いると次のように考えることができる。すなわち、顔料比率が30%〜70%程度の場合は、染料とPAAとの反応が顔料粒子に対して一種の粘着剤として作用して顔料の粒子が比較的大きくなり、紙の繊維に付着し易くなっていると考えられる。このため、穴における色材の浸透速度が上述の場合よりわずかに遅くなり、その分、穴以外の部分におけるインクの浸透および膨潤が進み全体としてODが低下しないものと考えられる。
【0060】
本実験における定着時間で上述の現象を見てみると、例えば顔料比率が50%の場合、顔料比率が30%〜70%以外の場合に比べて約30%程度定着時間が長くなること、つまり浸透速度が遅くなることが確認されている。なお、顔料比率がこのように30%〜70%程度の場合、プリントされた紙の裏側から測定したプリント画像のOD(このODは低い方が良い、以下、この場合、「裏抜け性が良い」という)も低くなり、また、画像エッジ部のシャープネスも良好になる。このことは、顔料比率が30%〜70%の場合、この範囲外の場合と比べて処理液とインクを混合した混合液の粘度が高くなるということからも矛盾なく説明することができる。
【0061】
ODについて以上説明した通り、顔料比率が約30%以上では(インク吐出量によってこの値は変化する)、基本的には、処理液の印字デューティーが高い程、ODは高くなる。これは、前述のように、顔料比率が上記の値以上では処理液の印字部分のODが高くなり、従って、その印字デューティーが高くなるにつれて全体としてODが高くなると考えられる。
【0062】
そして、この場合に、処理液の印字デューティーが50%以上の場合は、図6〜図8に示す例では、ODはほぼ飽和する。これは、印字デューティーが例えば50%のとき処理液のAFは100%に満たないもののBkインクの吐出量が15pl以上あれば、ODは十分な値となりほぼ印字デューティーが100%のときの値に近づくことを意味している。このようにODが十分に発現されるのは、紙表面の処理液によって濡れた部分に沿ってインクが拡がって行き、しかも紙の浅い層で顔料を主とした色材が定着するためと考えられる。
【0063】
さらに、以上のように顔料比率が約30%以上の場合でかつBkインク吐出量が30pl以下の場合は、処理液の印字デューティーが約25%より高ければ、図3および図4に示したように、処理液を印字しない場合(これらの図中、破線で示すケース)よりODは高くなる。
【0064】
次に、ODに対しBkインクの吐出量が与える影響としては、この吐出量が多くなるほどODは高くなるが、顔料比率が90%以上であれば、図3〜図5に示したように、上述の処理液印字デューティーの好しい範囲で、Bkインクの吐出量による大きな差はない。換言すれば、Bkインクの吐出量が15pl以上であれば、高いODを実現することが可能となる。
【0065】
シャープネス
シャープネスに関して、本実験例1では、前述したように、文字およびいわゆるベタ画像を印字し、これを顕微鏡を介した目視によって上記文字等のエッジ部のシャープさを観察した。このプリント実験によれば、顔料比率が30%〜100%、好しくは50%〜90%で、Bkインク吐出量は30pl以下、好しくは25pl以下、さらに処理液の印字デューティーは25%以上、好しくは50%以上のときに良好なシャープネスを得られた。
【0066】
Bkインクの吐出量が25pl以下であれば、顔料比率が高くてもシャープネスの劣化は少ないが、吐出量が25pl以上になると、顔料比率が高い場合には画像エッジの周辺で若干もや状の境界の不鮮明な部分を生じる。これは、顔料の割合が多くなることによって、その粒径の小さな顔料粒子の流れ出しが多くなるためと考えられる。なお、この場合、色材として混在する染料は、処理液のPAAとの反応による接着効果で顔料粒子の流れ出しを防ぐものとして好しいものである。
【0067】
また、Bkインクの吐出量が30plより多くなると、紙によって吸収されずに溢れる量が比較的多くなり、このため前述したはき寄せ現象を生じ、結果としてエッジを不鮮明なものとする。なお、この場合でも、顔料比率が30%〜70%程度で適度に染料が混在している場合には、上述したように、処理液との反応による高粘度化によって、はき寄せの発生を防止し、シャープネスに関して比較的良い結果となる。
【0068】
裏抜け性
裏抜け性については、ベタ画像について紙の裏面側からODを測定し、これを裏抜け性の指標とした。すなわち、前述したように、この測定されるODが低い程、裏抜け性が良いものとした。具体的には、実験に用いた普通紙は、紙の厚さが約80μmで、比較的裏抜けし易い紙なので、裏側から測定したODが約0.3以下であれば、裏抜け性は良好であると判断した。
【0069】
図9〜図11は、Bkインクの吐出量がそれぞれ18pl,30plおよび36plについて、顔料比率と裏抜けODとの関係を、処理液の印字デューティーをパラメータとして示す図である。
【0070】
これらの図に示すプリント実験から次のことがいえる。
【0071】
第1に、Bkインクの吐出量が約15pl〜約40plの範囲では、処理液を印字しないと(図9〜図11において、印字デューティーが0%の場合)、ほぼODは0.2である。これは、本実施形態の浸透性が高い処理液を用いないことから、インクはそのほとんどが紙の表層部分に吸収(膨潤)されたためと考えられる。また、このことからこの吸収に要する定着時間も20秒以上となる。
【0072】
一方、処理液を印字した場合でも、Bkインクの吐出量が少なく18pl以下であれば、ほぼ全ての場合にODは0.3以下となり、裏抜け性は良好となる。また、処理液の印字デューティーが低い程、インクの色材は浸透し難くなるため裏抜け性は良くなる。
【0073】
以上のように、処理液の印字デューティーは裏抜け性に対し低い程良いが、Bkインクの吐出量との関係で、この量が18pl〜36plの範囲では、図9〜図11に示すように、処理液の印字デューティーが50%以下であればODはほぼ0.3以下となり、裏抜け性は良好となる。
【0074】
さらに、Bkインクの吐出量が18pl〜30plの範囲では、図9および図10に示すように、処理液の印字比率を例えば100%として浸透性を増しても、顔料比率が30%〜70%であれば処理液と反応した色材が浸透し難くなり、裏抜け性が良好となる。
【0075】
以上説明した裏抜け性に関する実験結果は、処理液の印字デューティーが高い程、良好な結果となる上述の評価項目、すなわち定着性、OD、シャープネスの場合と相反するものである。しかし、Bkインクの吐出量については、この吐出量が少ない程、OD以外の評価結果が良好となる他の評価項目と同様の傾向にある。このように、ODと裏抜け性に関して、いかに最適な量のインク色材を紙の表層に集中して吸着させ、しかも高い定着性でこれを行うかが重要となる。この点から、本願発明者らは、後に詳述されるように処理液によるインク受容部なる概念を用い、これを適切に形成すること、あるいはこのインク受容部の形成を制御するインクジェットプリント方法を見い出した。
【0076】
また、本実施形態では、このように良好な裏抜け性を実現することにより、いわゆる両面印字も可能となり、本実施形態プリントシステムをより柔軟性のあるシステムとすることができる。
【0077】
なお、以上説明した実験例1の諸結果は、処理液の高分子成分であるPAAの含有率が約3%〜4%の場合に成立つものである。このPAAの含有率を低下させてゆくと、特にODの低下が著しくなるため、色材の量に対して1/2〜1倍程度の量のPAAが含まれていることが好しい。
【0078】
さらに、上記実験例1と異なり、例えば360dpi×720dpiのプリント解像度で同様の実験および検討を行った結果、1画素当りのインク吐出量が同じであれば上述した実験例1とほぼ同様な結果となった。この場合、例えば600dpi×600dpiで20plの吐出量とすると、1画素は約42.3μm×42.3μmなので、単位面積当りの吐出量は、約0.011pl/μm2となる。
【0079】
(実験例2)
上述の実験例1では、分散剤を含まない自己分散型のカーボンブラックを顔料の色材として用いたが、本実験例では分散剤(例えばスチレンアクリル共重合体)で分散したカーボンブラックを顔料として含有したBkインクを用いて実験例1と同様な実験を行なった。その結果、実験例1とは、同じような結果と異なる結果が得られた。
【0080】
同じような結果としては、処理液の印字デューティーを変えた場合のODに関し、約13%の処理液の印字デューティーでは、ODが低下するという現象である。
【0081】
一方、異なる点としては、顔料比率に関するものであり、この顔料比率が50%では、ODの低下、またベタ部エッジのシャープネスの劣化、さらには裏抜け性の劣化が観察される。
【0082】
顔料比率が100%では、上述の劣化はみられないが、所定のODを得るには比較的吐出量を大きく設定する必要があり、しかも、定着性は自己分散型の顔料を用いた場合と同じ条件で、2倍以上の定着時間を要することが確認されている。
【0083】
以上の結果となる理由を、図12および図13を参照して以下のように説明することができる。
【0084】
図12(a)および図13(a)は、本実施例のように分散剤を含む顔料を用いた場合のドット形成を説明する図であり、図12(a)は顔料比率100%、すなわち色材として顔料のみを用いる場合、図13(a)は、色材として顔料と染料を含む場合を示している。一方、図12(b)および図13(b)は、上述の実施例1のように分散剤を含まない自己分散型の顔料を用いた場合であり、図12(b)は色材として顔料のみを用いる場合、図13(b)は色材として顔料と染料とを用いる場合をそれぞれ示している。
【0085】
図13(a)および(b)に示したものを推察すると、染料が混合されている場合、その染料の割合が大きいと処理液中のPAAと、多くは染料が反応すると仮定する。その場合、アニオン性の分散剤は、処理液におけるカチオン性のPAAと反応しにくくなると考えられる。カーボンブラックは、分散剤によって分散されているため、このように、PAAと分散剤との反応が少ない場合には、処理液の浸透性が高いことからカーボンブラックは分散剤と共に紙に浸透してしまう。あるいは、逆に、分散剤の多くのPAAが反応すると仮定すると、染料がPAAと反応できずに紙の中に浸透する。この結果、いずれの場合を仮定してもODは低下し、また、紙の厚さ方向においてより深く浸透するため裏抜け性は劣化し、さらにエッジのシャープネスも劣化してしまうと考えられる。また、形成されるドット径についても、図13(a)および(b)からも明らかなように、顔料と染料を色材とするインク単体の場合のドット径W1′,W3′と比較して、浸透性の処理液SSを用いた場合のドット径W2′,W4′を同等かそれ以上とすることができる。これにより、少ないインク量でも比較的大きなドットを形成できるため、エリアファクタを少ないインク量で大きな値とすることが可能となる。その結果、第1には吐出インク量を少なくできることから全体的な浸透時間を短縮でき、定着性も向上する。また、第2に、例えば、カラーヘッドと同じ吐出量とすることも可能となり、ブラックとカラーそれぞれのヘッドを同一の設計としコストダウンを図ることができる。
【0086】
一方、分散剤の存在しない図13(b)の場合には、処理剤の浸透力によって、インクの顔料の浸透深さは、処理剤を用いない場合のインクの顔料深さよりも深くなる(L3’<L4’)。しかし、顔料および染料は処理液中の反応性成分と確実に反応し、該顔料および染料は、処理剤SSの浸透先端までは浸透しない。その結果として早い定着性を達成しつつ、モヤのない優れた画質を獲得できる。
【0087】
染料が含まれていない顔料比率が100%の場合は、図12(a)に示すように、分散剤とPAAが反応し、しかも、双方とも高分子であるため、結合力が強く、瞬時に顔料が固定化され、着弾したインク滴が横方向に拡がりにくい傾向があり、インク単体のときのドット径W1に比べて処理液を用いた場合のドット径W2の方が小さくなることがある。従ってドットを大きくするためインクの吐出量を比較的多くすると、高分子の皮膜形成による浸透速度の低下と相まって、定着時間が比較的長くなると考えられる。
【0088】
また、特に図12(b)に示す分散材を含まない顔料を用いる顔料を用いる場合は、分散剤を含む顔料に比べ処理液を用いていない場合もドット径は大きいが(W1<W3)、処理液を用いることによって、ドット径を拡大することができる(W3<(≒)W4)。また、自己分散型顔料のみを色材として含むインクと処理液とを用いることで、顔料の浸透深さを深くすることができる(L3<L4)。さらに、処理液中の反応性成分によって、顔料が処理液SSの浸透先端にまで浸透することはほとんど無い。また、処理液を用いた場合における分散剤入り顔料100%のインクを用いる場合においては、ドット径を拡大する目的でインク中にアセチレノールを0.2〜0.5%程度添加してもよく、これにより、反応速度に対して浸透速度を上げることができ、ドット径も拡がり、定着性も向上する。
【0089】
(インク受容部)
本発明の一実施形態として、以上説明した実験例1および2とその検討結果に基づく、「インク受容部」なる概念を用いたインクジェットプリント方法により定着性を始めとして良好なプリント性を得ることを、図14(a)〜(d)を参照して以下に詳細に説明する。
【0090】
本発明の実施形態では、特に高いインクの定着性、すなわち、大きな浸透速度を得るため、処理液をインクと併用し、この処理液中の非イオン性界面活性剤であるアセチレノールの含有率を、水中におけるアセチレノールのCMCである0.7%以上とする。
【0091】
インク吐出量
上述してきたODは、紙の表面から約20μm程の深さまでの光の反射によって決定されることが検討により分かっている。すなわち、図14(d)に示すように最終的に定着したインクの浸透深さLが20μm以内であることが好ましい。一方、普通紙の平均的な空隙率は約50%(0.5)であり、紙に着弾したインク滴の厚みに対してこのインク滴は少なくとも1/0.5=2倍の厚みまで浸透する。従って、吐出したインクを全てを例えば紙の表層部分の深さ20μmに充填しこれをODに反映させるには、着弾時に紙表面に存在するインク滴の厚みは約10μmであることが必要となる。この結果、例えば600dpiの1画素に1滴のインクを印字する場合、42.3μm×42.3μm×10μm=17900μm3すなわち、1滴が約18plのインク滴が必要となる。
【0092】
前述のように、実験例に基づく検討では、15pl以上あれば、ほぼ必要なODが実現される。従って、インク厚みとしては、1画素当り約8.4μmとなり、これは、上述の10μmとほぼ一致している。
【0093】
処理液吐出量
上述のように規定されるインク吐出量のインクが吐出された場合、この吐出インクを速やかに約17μm(8.4μm×2)の深さに導く必要がある。このため、本実施形態では、図14(a)および(b)に示すように処理液SSをインクに先立ってプリント紙に付与し、同図(c)に示すように適切な厚さHのインク受容部を形成するため、以下に示す処理液吐出量が必要となる。
【0094】
換言すれば、処理液SSによるインク受容部の深さをHに制御することにより、その後に付与されるインクINKと処理液SSとの反応物Rが存在する深さLが所望の上述した20μm以内となるようにする。
【0095】
まず、前提として処理液の印字パターンは、基本的には1画素に対して少なくとも1滴の処理液が印字されるのが好ましい。なぜなら、このパターンは画素に対してより均一なインク受容部を形成できるからである。そして、紙の厚さ方向に対して、所定量の厚さを形成するため、処理液SSの吐出量は一例として以下のように定められる。
【0096】
1画素に対する平均のインク液滴の紙面上での厚さは、上述したように、約8.4μmであるから、この場合、そのインクを受容する紙の層の深さは約2倍の17μmとなる。
【0097】
一方、前述の実験に基づく検討結果より、インク量の約1/8の量の高浸透処理液が印字されていれば、ほぼ数秒以内にインクが定着できることがわかっている。このためインク吐出量が上述のように約15pl以上では、約2pl以上の処理液が最低1画素に1滴必要となる。このとき、図14(b)に示す、紙面上での着弾時の処理液SSの厚さhは1μm以上となる。一方、1画素に対する処理液の厚さが10μm以上になると、インクの裏抜けが顕著となり好ましくない。
【0098】
以上から、処理液の紙面上における着弾時の平均厚さhが1μm〜10μmとなるように処理液の吐出量を定めることが好しい。
【0099】
処理液の印字パターン(印字デューティー)
以上の点から、処理液の印字パターンとして、画像データに基づき複数画素に1ドット印字するような、いわゆる間引き印字を行う場合も、その印字の結果として液滴の重なりを考慮した着弾時の紙面上における処理液の平均厚さとして1〜10μmとなるようにするのが好ましい。
【0100】
しかし、それだけでなく、インク滴が処理液に接触するようなパターンとなっていることが好ましい。そのためには、紙面上で平均して、少なくとも1/9画素以上の印字デューティーで処理液を印字するのが好ましい。これは処理液のドット径を実際のプリントヘッドにより可能な最大径としたときに、紙面上に吐出されるインクの全てと接触を可能とする印字デューティーが1/9であることを意味する。
【0101】
上述した処理液の着弾時における平均厚さを、エリアファクター(AF)との関係で説明すると次のようになる。前述の実験結果に基づく検討によればインク受容層の紙面上における平均カバーレッジすなちAFが50%以上あることが高いODを得る上で好しく、これは、600dpiの場合、処理液の吐出量が約15plであれば1/4(25%)の印字デューティー(図1参照)、約30plであれば1/8の印字デューティーが必要となる。
【0102】
すなわち、吐出量が5pl〜100plで、吐出速度が5m/s〜15m/sの液滴が紙に着弾すると、吐出された液滴の直径の約2倍の直径の円柱状に変形することがわかっている。この場合、液滴の浸透性が小さい場合は、ほぼこの直径と同じ直径のドットが得られる。一方、浸透性の高い本実施形態の処理液のような場合、その後、紙の表面方向に対しても浸透し液滴直径の約2.6倍のドット径が得られる。以下では、この2.6をにじみ率Nと称する。
【0103】
ここで、処理液の吐出量をVd[103μm3=1pl]とすると、
【0104】
【数1】
【0105】
が得られ、印字解像度DPI(dpi)で、処理液印字比率Hsで印字するとき、ドットの重なりがないとすると,AF(エリアファクター)は、
【0106】
【数2】
【0107】
となる。
【0108】
今、DPI=600dpiとし、にじみ率N=2.6とすると、15plの処理液をHs=1/4の印字デューティーで印字した場合はAFは約70%となる。また、処理液吐出量30plでHs=1/8とすると、AFは約50%である。なお、15plでHs=1/4の場合は実際には液滴の重なりが生ずるためAFは上述のように約70%となるが、AFを50%にするにはおおよそ印字デューティーHsを20%とすればよい。
【0109】
このように、実験結果に基づく検討から、好しいAFを得ることができる処理液吐出量とその印字デューティーの関係は、処理液吐出量が15plの着弾時の厚さは約5μm、30plのときの厚さは約6.2μmとなり、上述した1μm〜10μmの範囲内にあることがわかる。
【0110】
なお、以上のように説明した印字デューティーに関して、プリントする画像のエッジ部では、印字デューティーが1/2以上であることが好ましい。これは、エッジ部で印字デューティーが低い場合にはエッジ部に沿ったドット空度が低くなり良好なエッジが形成されないからである。
【0111】
以上の通り、本発明の一実施形態では、前述した実験例1におけるプリント結果およびその検討結果に基づき、定着性、OD、シャープネス、および裏抜け性を向上させる上で好しいインク受容層を形成するため、インクに先立って吐出される処理液の吐出量をその印字デューティーとの関連で適切な値に定め、また、その後に吐出されるインクの吐出量を適切な値に定めるものである。これにより、特に処理液によって形成されるインク受容層にインクが浸透することによるインク色材が存在する、紙の厚さ方向の範囲を制御し、特に、ODおよび裏抜け性に関して良好な結果を得るものである。
【0112】
また、用いられるインクの吐出量およびその顔料比率についても、前述した実験例1の結果である表1が示す好しい範囲とすることで、上述のインク受容層の形成と相まって、プリント性の向上を図ることができる。
【0113】
【実施例】
以下、上述の実施形態の具体的実施例について図面を参照して説明する。
【0114】
図15は本発明の実施例に係るフルラインタイプのプリント装置の概略構成を示す概略図である。
【0115】
このプリント装置1は、プリント媒体としての記録媒体の搬送方向(同図中矢印A方向)に沿って所定位置に配置された複数のフルラインタイプのプリントヘッドよりインクまたは処理液を吐出してプリントを行うインクジェットプリント方式を採用するものであり、不図示の制御回路に制御されて動作する。
【0116】
ヘッド群101gの各プリントヘッド101S,101Bk,101C,101Mおよび101Yのそれぞれは、図中A方向に搬送される記録紙の幅方向(図の紙面に垂直な方向)に約7200個のインク吐出口を配列し、最大A3サイズの記録紙に対しプリントを行うことができる。
【0117】
記録紙103は、搬送用モータにより駆動される一対のレジストローラ114の回転によってA方向に搬送され、一対のガイド板115により案内されてその先端のレジ合わせが行われた後、搬送ベルト111によって搬送される。エンドレスベルトである搬送ベルト111は2個のローラ112,113により保持されており、その上側部分の上下方向の偏位はプラテン104によって規制されている。ローラ113が回転駆動されることで、記録紙103が搬送される。なお、搬送ベルト111に対する記録紙113の吸着は静電吸着によって行われる。ローラ113は不図示のモータ等の駆動源により記録紙103を矢印A方向に搬送する方向に回転駆動される。搬送ベルト111上を搬送されこの間に記録ヘッド群101gによって記録が行われた記録紙103は、ストッカ116上へ排出される。
【0118】
記録ヘッド群101gの各プリントヘッドは、熱エネルギーを利用して液中に気泡を生じさせ、この気泡の圧力によって液を吐出するものであり、上記実施形態で説明した処理液を吐出する処理液用ヘッド101Sおよびブラック(Bk)のインクを吐出するヘッド101Bkを有し、さらにカラーインク用各ヘッド(シアンヘッド101C,マゼンタヘッド101M,イエローヘッド101Y)が、記録紙103の搬送方向Aに沿って図示の通りに配置されている。そして、各プリントヘッドにより各色のインクと処理液を吐出することでブラックの文字やカラー画像のプリントが可能になる。
【0119】
本実施例では、ヘッド101Bkから吐出されるブラックのインクについては、浸透速度の遅いインク(以下、本実施例では「上乗せ系インク」という)を用い、ヘッド101S,101C,101M,101Yからそれぞれ吐出される処理液およびシアン,マゼンタ,イエローの各インクは浸透速度の速いそれぞれ処理液又はインク(以下、本実施例では「高浸透性インク」という)を用いる。
【0120】
ここで、浸透速度について簡単に説明する。
【0121】
処理液又はインク(以下、単に「液」ともいう)の浸透性を、例えば1m2当たりの液量Vで表すと、液滴を吐出してからの時間tにおける液浸透量V(単位はミリリットル/m2=μm)は、次に示すようなブリストウ式により表されることが知られている。
【0122】
【数3】
V=Vr+Ka(t−tw)1/2
ただしLt>tw
液滴が記録紙表面に滴下した直後は、液滴は表面の凹凸部分(記録紙の表面の粗さの部分)において吸収されるのが殆どで、記録紙内部へは殆ど浸透していない。その間の時間がtw(ウェットタイム)、その間の凹凸部への吸収量がVrである。液滴の滴下後の経過時間がtwを超えると、超えた時間(t−tw)の2分の1乗に比例した分だけ浸透量Vが増加する。Kaはこの増加分の比例係数であり、浸透速度に応じた値を示す。
【0123】
図16は実験により求めた液中のアセチレノールの含有割合に対する比例係数Kaの値を示す図である。
【0124】
Ka値は、ブリストウ法による液体の動的浸透性試験装置S(東洋精機製作所製)を用いて測定した。本実験では、本願人であるキヤノン株式会社のPB用紙を記録紙として用いた。このPB用紙は、電子写真方式を用いた複写機やLBPと、インクジェット記録方式を用いたプリンタの双方に使用できる記録紙である。
【0125】
また、キヤノン株式会社の電子写真用紙であるPPC用紙に対しても、同様の結果を得ることができた。
【0126】
図16に示す曲線はアセチレノール含有割合(横軸)の増加にしたがってKa値(横軸)が増加する曲線となっており、比例係数Kaはアセチレノールの含有割合によって決まる。このため、インクの浸透速度は実質的にアセチレノールの含有割合によって決まることになる。なお、曲線と交わる縦軸に平行な線分は、測定結果のばらつきの範囲を示している。
【0127】
図17はインクの浸透量と経過時間との関係を示す特性図であり、64g/m2、厚さ約80μm、空隙率約50%の上記記録紙(PB用紙)を用いて行った実験結果を示すものである。
【0128】
図17(a)において、横軸は経過時間tの2分の1乗(msec1/2)であり、図17(b)において、横軸は経過時間t(msec)である。また、両図において縦軸は浸透量V(μm)であり、アセチレノール含有割合が0%,0.35%,1%の場合の曲線をそれぞれ示している。
【0129】
両図から明らかなように、アセチレノールの含有割合が多いほど、経過時間に対するインクの浸透量が多く、浸透性が高いといえる。図17に示すグラフには、ウェットタイムtwはアセチレノールの含有量が多いほど短くなり、また、twに達しない時間においてもアセチレノールの含有割合が多いほど浸透性が高いという傾向が表われている。
【0130】
また、アセチレノールが混合されていない(含有割合が0%)液の場合は浸透性が低く、後に規定する上乗せ系インクとしての性質を持つ。また、アセチレノールが1%の含有割合で混合されている場合は短時間で記録紙103内部に浸透する性質を持ち、後に規定する高浸透性インクとしての性質を持つ。そして、アセチレノールが0.35%の含有割合で混合されているインクは、両者の中間の半浸透性インクとしての性質を持つ。
【0131】
上述した「上乗せ系インク」および「高浸透性インク」と、これらの中間に位置する「半浸透性インク」それぞれの特性を表2に示す。
【0132】
【表2】
【0133】
上記の表2は、「上乗せ系インク」、「半浸透性インク」、「高浸透性インク」のそれぞれについて、Ka値、アセチレノール含有量(%)、表面張力(mN/m)を示している。プリント媒体である記録紙に対する各インクの浸透性は、Ka値が大きいものほど高くなる。つまり、表面張力が小さいものほど高くなる。
【0134】
表2におけるKa値は、前述のブリストウ法による液体の動的浸透性試験装置S(東洋精機製作所製)を用いて測定したものである。実験には、本出願人であるキヤノン株式会社のPB用紙を記録紙として用いた。また、同キヤノン株式会社のPPC用紙に対しても、同様の結果を得ることができた。
【0135】
ここで、界面活性剤をある液体に含有させる場合の条件として、その液体における界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)があることが知られている。この臨界ミセル濃度とは、界面活性剤の溶液の濃度が上昇して行き急激に数十分子が会合してミセルを形成するようになるときの濃度である。上述した液に浸透性調製のため含有されるアセチレノールは界面活性剤の一種であり、このアセチレノールにおいても同様に液体に応じて臨界ミセル濃度が存在する。
【0136】
アセチレノールの含有割合を調製した場合の表面張力との関係として、ミセルを形成するようになると表面張力が低下しなくなる関係を有しており、このことから、水に対するアセチレノールの臨界ミセル濃度(CMC)は約0.7%であることが確認されている。
【0137】
同図が示す臨界ミセル濃度と前述の表2を対応させると、例えば表2に規定される「高浸透性インク」は、水におけるアセチレノールの臨界ミセル濃度(CMC)よりも大きい濃度でアセチレノールを含有するインクであることがわかる。
【0138】
本実施例で使用する処理液および各インクの組成は次の通りである。なお、各成分の割合は重量部で示したものであり、合計で100部となる。
【0139】
[処理液]
グリセリン 7部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノール EH 0.7〜2.0部
(川研ファインケミカル製)
ポリアリルアミン(分子量:1500以下、平均約1000)4部
酢酸 4部
塩化ベンザルコニウム 0.5部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3部
水 残部
[イエロー(Y)インク]
C.I.ダイレクトイエロー86 3部
グリセリン 5部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノール EH 1部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
[マゼンタ(M)インク]
C.I.アシッドレッド289 3部
グリセリン 5部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノール EH 1部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
[シアン(C)インク]
C.I.ダイレクトブルー199 3部
グリセリン 5部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノール EH 1部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
[ブラック(Bk)インク]
10質量%顔料分散液 25部
フードブラック2 2部
顔料比率50%の場合
顔料比率100%の場合は、10質量%の顔料分散液が50部、顔料比率0%(染料が100%)のときはフードブラック2が4部
グリセリン 6部
トリエチレングリコール 5部
アセチレノール EH 0.1部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
上記顔料分散液は次のものである。
【0140】
[顔料分散液]
水5.3gに濃塩酸5gを溶かした溶液に、5℃においてアントラニル酸1.58gを加えた。この溶液を、アイスバスで攪拌することにより常に10℃以下に保ち、5℃の水8.7gに亜硝酸ナトリウム1.78gを加えた溶液を加えた。さらに、15分攪拌した後、表面積が320m2/gでDBP吸油量が120ml/100gのカーボンブラック20gを混合した状態のまま加えた。その後、さらに15分攪拌した。得られたスラリーを東洋濾紙No.2(アドバンティス社製)で濾過し、顔料粒子を充分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた後、この顔料に水をたして顔料濃度10質量%の顔料水溶液を作製した。以上の方法により、下記式で表したように、表面に、フェニル基を介して親水性基が結合したアニオン性に帯電した自己分散型カーボンブラックが分散した顔料分散液3を得た。
【0141】
【化1】
【0142】
以上の各組成からも明らかなように、アセチレノールの含有量により、ブラックインクは上乗せ系インクに、処理液およびC,M,Yの各インクは高浸透性インクにそれぞれ設定されている。
【0143】
また、ブラックインクについては、前述の実施形態で説明したように、分散剤を用いていない、いわゆる分散剤無し顔料を用いる。このインクでは、アニオン性のカーボンブラック分散体として、少なくとも一種の親水性基がカーボンブラックの表面に直接もしくは他の原子団を介して結合している自己分散型のカーボンブラック分散体が好適に使用される。また、この自己分散型カーボンブラックとしては、イオン性を有するものが好ましく、アニオン性に帯電したものが好適である。
【0144】
アニオン性に帯電したカーボンブラックの場合、表面に結合されている親水性基が、例えば、−COOM,−SO3M,−PO3HM,−PO3M2等(ただし、式中のMは水素原子、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムを表わす。)である場合が挙げられる。本実施例においては、これらの中で、特に、−COOM,−SO3Mがカーボンブラック表面に結合してアニオン性に帯電しているものを用いることが好ましい。
【0145】
また、上記親水性基中の「M」は、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、有機アンモニウムとしては、モノないしトリメチルアンモニウム、モノないしトリエチルアンモニウム、モノないしトリ(ヒドロキシメチル)アンモニウムが挙げられる。アニオン性に帯電したカーボンブラックを得る方法としては、カーボンブラック表面に−COONaを導入する方法として、例えば、カーボンブラックを次亜酸素酸ソーダで酸化処理する方法が挙げられるが、勿論、本発明はこれらに限定されるわけではない。
【0146】
本実施例においては、親水性基が他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合したものを用いることが好ましい。他の原子団としては、例えば、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基または置換基を有してもよいナフチル基が挙げられる。他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合した親水性基の具体例としては、上記に挙げたものの他、例えば、−C2H4COOM,−PhSO3M,−PhCOOM等(ただし、Phはフェニル基を表わす)が挙げられるが、勿論、本発明はこれらに限定されない。
【0147】
この分散剤無し顔料のカーボンブラックは、それ自体、従来のカーボンブラックに比べ水分散性に優れるため顔料分散樹脂や界面活性剤などを添加しなくてもよく、このため、従来の顔料と比較して、固着性が良い、濡れ性が良い、等の利点を有し、プリントヘッドに用いる場合の信頼性に優れている。
【0148】
以上示した本実施例によるブラックインクを用いることにより、同極性を帯びたカーボン粒子とブラック染料が混合され、かつ分散している液体が、異極性の高分子を含んだ浸透性の処理液によって形成されたインク受容層に付着しドットが形成される。
【0149】
本実施例では、各プリントヘッドのインク吐出口は600dpiの密度で配列され、また、記録紙の搬送方向において600dpiのドット密度でプリントを行う。これにより、本実施例でプリントされる画像等のドット密度はロー方向およびカラム方向のいずれも600dpiとなる。また、各ヘッドの吐出周波数は4KHzであり、従って、記録紙の搬送速度は約170mm/secとなる。さらに、Bkインクのヘッド101Bkと処理液のヘッド101Sとの間の距離D(図15参照)は、40mmであり、従って、処理液が吐出されてから、Bkインクが吐出されるまでの時間は約0.24secとなる。なお、各プリントヘッドの吐出量は、以下の実施例1では、1吐出当り15plである。
【0150】
図18は、本実施例で用いる自己分散型顔料の粒径分布を示すものである。同図に示すように、ほとんどの顔料は、粒径が0.04μm〜0.4μmの範囲にあり、平均的には0.1μm〜0.15μmの範囲にある。
【0151】
なお、顔料の粒径分布は、レーザー散乱法によって測定した。
【0152】
以上説明した実施例のプリンタにおけるいくつかの実施例について、次に説明する。
【0153】
(実施例1)
本実施例は、Bkインクについて顔料比率を100%、吐出量を15plとした。これにより、着弾時のBkインク滴の厚さは約8.4μmとなる。一方、処理液の印字デューティーは50%、吐出量は15plとした。これにより、処理液滴の着弾時の厚さは約5μmとなる。
【0154】
本実施例の構成は、Bkインク(他の色のインクも同様)と処理液の吐出量が等しいため、これらのヘッドを製造する上で同一のものを製造でき、生産性,コスト等の面で利点がある。
【0155】
本実施例によるプリント結果は、Bkインクを印字したときの定着時間は1秒以内、ODは約1.5、プリント画像エッジ部のシャープネスは良好であり、裏抜け性もそのODが所定値(例えば0.3)以下であり良好な結果を得た。
【0156】
なお、本実施例の上記のようなプリント結果を得る条件として、Bkインクの顔料比率は100%に限られず、90%以上であれば同様の結果を得ることができ、また、処理液の印字デューティーも50%に限られず、25%〜50%の範囲であれば上記所定のプリント性に関する効果を得ることができる。
【0157】
(実施例2)
本実施例では、Bkインクの顔料比率を50%とし、吐出量を22plとした。これにより着弾時のインク厚さは12.3μmとなる。一方、処理液は印字デューティー100%で、吐出量を15plとした。この場合、処理液の着弾時の厚さは8.4μmとなる。
【0158】
以上の実施例のプリント結果は、定着性に劣る普通紙の場合でも定着は約1秒で済み、また、ODは1.5以上となる。さらに、シャープネスおよび裏抜け性についても良好な結果を得た。なお、上記所定の結果を得るのに、処理液の印字デューティーは100%である必要はなく、25%〜100%の範囲の値であればよいが、印字デューティーが100%のときに特に良好な結果を得ることができる。
【0159】
(実施例3)
本実施例では、Bkインクの吐出量を12plとして、1画素に2滴を印字する。これに対し、処理液は吐出量を12plとして、印字デューティーを100%、すなわち、1画素に1滴印字するようにした。この場合、着弾時の処理液滴の厚さは6.7μmとなる。
【0160】
以上により、Bkインクの吐出量を処理液吐出量の2倍の24plとしつつ、ヘッドの構造をBkインク用と処理液用とで同一のものとすることができる。
【0161】
(実施例4)
本実施例は、Bkインクの顔料比率を75%、吐出量を27plとした。この場合、着弾時のインク滴の厚さは15μmとなる。一方、処理液は、印字デューティー50%で吐出量を15plとした。
【0162】
なお、本例の場合、処理液の印字デューティーについて、25%〜50%の範囲でも、所望のプリント性を得ることができるが、印字デューティーが50%の場合特に良好な結果を得ることができた。
【0163】
(実施例5)
本例は、上記実施例4において、処理液の吐出量を27plとしたものである。この場合、処理液の印字デューティーは25%であることが好しい。この場合、処理液滴の着弾時の厚さは約3.7μmとなる。
【0164】
(実施例6)
本実施例では、Bkインクの顔料比率を90%とし、吐出量を33plとした。この場合、インク滴の着弾時の厚さは約18.4μmとなる。これに対し、処理液は、吐出量15plで印字デューティーを50%とした。
【0165】
(実施例7)
本実施例は、上記実施例6において、処理液の吐出量を33plとし、印字デューティーを12.5%としたものである。この場合、処理液の着弾時の厚さは6.6μmとなり、またAFは約59%となる。
【0166】
図19は本発明の他の実施例に係るシリアルタイプのプリント装置5の構成を示す概略斜視図である。すなわち、処理液をプリント媒体に付与した後、Bkインクを吐出して反応させるプリント装置は、上述のフルラインタイプのものに限らず、シリアルタイプの装置にも適用できることは明らかである。なお、図12に示した要素と同様の要素には同一の符号を付しその説明の詳細は省略する。
【0167】
プリント媒体である記録紙103は、給紙部105から挿入されプリント部126を経て排紙される。本実施例では、一般に広く用いられる安価な普通紙を記録紙103として用いている。プリント部126において、キャリッジ107は、プリントヘッド101Bk,101S,101C,101Mおよび101Yを搭載し、不図示のモータの駆動力によってガイドレール109に沿って往復移動可能に構成されている。プリントヘッド101Sは、前述の実施形態で説明した処理液を吐出することができるものである。また、プリントヘッド101Bk,101C,101M,101Yはそれぞれブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクをそれぞれ吐出するものであり、この順序で記録紙103にインクを吐出するよう駆動される。
【0168】
各ヘッドにはそれぞれ対応するインクタンク108S,108Bk,108C,108M,108Yから処理液又はインクが供給され、インク吐出時には各ヘッドの吐出口毎に設けられている電気熱変換体(ヒータ)に駆動信号が供給され、これにより、インク又は処理液に熱エネルギを作用させて気泡を発生させ、この発泡時の圧力を利用してインク又は処理液の吐出が行われる。各ヘッドには、それぞれ360dpiの密度で64個の吐出口が設けられ、これらは、記録紙103の搬送方向Yとほぼ同方向、つまり、各ヘッドによる走査方向とほぼ垂直方向に配列されている。そして、各吐出口毎の吐出量は上述した各実施例のいずれかのものを実現できるものである。
【0169】
以上の構成において、各ヘッド間距離は1インチであり、従って、ヘッド101Sと101Bkとの距離は1インチとなり、また、走査方向のプリント密度が720dpi、各ヘッドの吐出周波数は7.2kHzであることから、ヘッド101Sの処理液が吐出されてから、ヘッド101BkのBkインクが吐出されるまでの時間は0.05secとなる。
【0170】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、インクジェットプリントにおいて、ODや画像エッジ部のシャープネス、さらには裏抜け性について高いレベルを維持しつつ、高い定着性のプリントを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のプリント実験における処理液、印字デューティーと定着時間との関係を示す線図である。
【図2】本発明の一実施形態のプリント実験におけるBkインク吐出量と定着時間との関係を示す線図である。
【図3】本発明の一実施形態のプリント実験における顔料比率とODとの関係を処理液の印字デューティーをパラメータとして示す線図である。
【図4】本発明の一実施形態のプリント実験における顔料比率とODとの関係を処理液の印字デューティーをパラメータとして示す線図である。
【図5】本発明の一実施形態のプリント実験における顔料比率とODとの関係を処理液の印字デューティーをパラメータとして示す線図である。
【図6】本発明の一実施形態のプリント実験における処理液印字デューティーとODとの関係を顔料比率をパラメータとして示す線図である。
【図7】本発明の一実施形態のプリント実験における処理液印字デューティーとODとの関係を顔料比率をパラメータとして示す線図である。
【図8】本発明の一実施形態のプリント実験における処理液印字デューティーとODとの関係を顔料比率をパラメータとして示す線図である。
【図9】本発明の一実施形態のプリント実験における顔料比率を裏抜けODとの関係を処理液の印字デューティーをパラメータとして示す線図である。
【図10】本発明の一実施形態のプリント実験における顔料比率を裏抜けODとの関係を処理液の印字デューティーをパラメータとして示す線図である。
【図11】本発明の一実施形態のプリント実験における顔料比率を裏抜けODとの関係を処理液の印字デューティーをパラメータとして示す線図である。
【図12】(a)および(b)は、色材として顔料のみ含むインクと処理液によるドット形成を説明する図である。
【図13】(a)および(b)は、色材として顔料と染料を含むインクと処理液によるドット形成を説明する図である。
【図14】(a)〜(d)は、本発明の一実施形態におけるドット形成過程における、特にインク受容部の形成を説明する図である。
【図15】本発明の一実施例に係るプリンタの概略構成を示す側面図である。
【図16】上記実施例におけるアセチレノール含有割合と浸透性に関するKa値との関係を示す線図である。
【図17】(a)および(b)は、浸透性に係るアセチレノール含有割合をパラメータとして示す、着弾後経過時間と浸透量との関係を示す線図である。
【図18】上記実施例で用いる顔料の粒径分布を示す線図である。
【図19】本発明の他の実施例に係るシリアルプリンタの斜視図である。
【符号の説明】
101Bk,101S,101C,101C1,101C2,101M,101M1,101M2,101Y,101Y1,101Y2 プリントヘッド(吐出部)
103,P 記録紙(プリント媒体)
107 キャリッジ
108Bk,108S,108C,108M,108Y インクタンク(処理液タンク)
Claims (22)
- インク中に含まれる顔料に対して化学的に反応する成分を含む処理液をプリント媒体の表面層に浸透せしめた後、前記顔料を含むインク滴を前記プリント媒体の表面のうち前記処理液が与えられている部分に着弾させる工程を含むインクジェットプリント方法であって、
前記処理液に付与される前記顔料の浸透深さは、前記プリント媒体に対する前記インクのみを付与した場合に形成される着色部における顔料の浸透深さよりも深く、かつ前記処理液の浸透深さよりも浅いことを特徴とするインクジェットプリント方法。 - 前記処理液に付与される前記顔料の浸透深さは、15μm以上30μm以内に規制されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリント方法。
- プリント媒体の表面にインク受容部を形成し、前記インク受容部に対して接触するようにインクを付着させることによりプリントを行なうインクジェットプリント方法であって、
前記インク受容部は、浸透剤及びインク中の色材の不溶化剤を含有した処理液をプリント媒体表面に付着させることで形成され、
前記インクは、色材として顔料を含有し、
前記プリント媒体への着弾時における、前記インク受容部を形成する処理液の1画素当りの平均液厚が10μm以下であり、
1画素当りのインクの体積に対する処理液の体積比が1/8以上であり、さらに、
前記プリント媒体への着弾時における前記インクの1画素当りの平均液厚が8μm以上20μm以下である
ことを特徴とするインクジェットプリント方法。 - 前記色材中の顔料は、カーボンブラックであることを特徴とする請求項3に記載のインクジェットプリント方法。
- 前記カーボンブラックは、自己分散型顔料であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットプリント方法。
- 前記インク中の全色材に対する前記カーボンブラックの比率は、30質量%以上であることを特徴とする請求項4または5に記載のインクジェットプリント方法。
- 前記色材は、カーボンブラックと染料とを含むことを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載のインクジェットプリント方法。
- 前記浸透剤は、非イオン性界面活性剤を有することを特徴とする請求項3から7のいずれかに記載のインクジェットプリント方法。
- 前記非イオン性界面活性剤は、水に対する臨界ミセル濃度以上含有されていることを特徴とする請求項8に記載のインクジェットプリント方法。
- 前記不溶化剤は、顔料に対して、異極性の高分子成分を有することを特徴とする請求項3から9のいずれかに記載のインクジェットプリント方法。
- 前記高分子成分は、ポリアリルアミンを有することを特徴とする請求項10に記載のインクジェットプリント方法。
- 前記インク受容部を形成する処理液によるエリアファクターは、50%以上であることを特徴とする請求項3から11のいずれかに記載のインクジェットプリント方法。
- プリント媒体の表面にインク受容部を形成し、前記インク受容部に対して接触するようにインクを付着させることによりプリントを行なうインクジェットプリント装置であって、
前記インク受容部は、浸透剤及び前記インク中の色材の不溶化剤を含有した処理液をプリント媒体表面に付着させることで形成され、
前記インクは、色材として顔料を含有し、
前記インク受容部を形成する処理液のプリント媒体への着弾時における1画素当りの平均液厚を10μm以下とし、
1画素当りのインクの体積に対する処理液の体積比を1/8以上とし、さらに、
前記インクのプリント媒体への着弾時における1画素当りの平均液厚を8μm以上20μm以下とする
ことを特徴とするインクジェットプリント装置。 - 前記色材中の顔料は、カーボンブラックであることを特徴とする請求項13に記載のインクジェットプリント装置。
- 前記カーボンブラックは、自己分散型顔料であることを特徴とする請求項14に記載のインクジェットプリント装置。
- 前記カーボンブラックの全色材中の比率は、30質量%以上であることを特徴とする請求項14または15に記載のインクジェットプリント装置。
- 前記色材は、カーボンブラックと染料とを含むことを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載のインクジェットプリント装置。
- 前記浸透剤は、非イオン性界面活性剤を有することを特徴とする請求項13から17のいずれかに記載のインクジェットプリント装置。
- 前記非イオン性界面活性剤は、水に対する臨界ミセル濃度以上含有されていることを特徴とする請求項18に記載のインクジェットプリント装置。
- 前記不溶化剤は、顔料に対して、異極性の高分子成分を有することを特徴とする請求項13から19のいずれかに記載のインクジェットプリント装置。
- 前記高分子成分は、ポリアリルアミンを有することを特徴とする請求項20に記載のインクジェットプリント装置。
- 前記インク受容部を形成する処理液によるエリアファクターは、50%以上であることを特徴とする請求項13から21のいずれかに記載のインクジェットプリント装置。
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