JP2001270241A - インクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録方法

Info

Publication number
JP2001270241A
JP2001270241A JP2000083406A JP2000083406A JP2001270241A JP 2001270241 A JP2001270241 A JP 2001270241A JP 2000083406 A JP2000083406 A JP 2000083406A JP 2000083406 A JP2000083406 A JP 2000083406A JP 2001270241 A JP2001270241 A JP 2001270241A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paper
ink
printing
recording
ink jet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000083406A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4310564B2 (ja
Inventor
Tsutomu Maekawa
勉 前川
Akiyoshi Ouchi
明美 大内
Atsushi Tsunoda
角田  敦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Koki Holdings Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Koki Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Koki Co Ltd filed Critical Hitachi Koki Co Ltd
Priority to JP2000083406A priority Critical patent/JP4310564B2/ja
Publication of JP2001270241A publication Critical patent/JP2001270241A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4310564B2 publication Critical patent/JP4310564B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速、普通紙印刷を目的としたピエゾ型オン
デマンドインクジェット記録装置における最適な記録方
法の提供。 【解決手段】 圧電素子を用いたオンデマンド型インク
ジェットプリンタによりインク液滴をベック平滑度80
s以下の非コート紙記録媒体上に噴射させ、記録ドット
を形成するインクジェット記録方法において、記録媒体
に対する初期吸収係数が0.9〜0.3(ml/m2)/
(ms)0.5である顔料を色材としたインク組成物を用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電(ピエゾ)素
子を用いたオンデマンド型インクジェット記録装置、特
に非コート紙に高速度で記録するインクジェット記録装
置の記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェット記録においては、
インク滴の過剰な浸透、にじみを防止して濃度及び彩度
の高い印刷を実現し、更には耐水性、保存特性を向上す
るために、特殊な基体(インクジェット専用紙)が使用
されることが通例であった。これに関しては既に多くの
報告がなされているが、例えばUSP 5,854,649号、USP
5,853,899号、特開平11-192778号、特開平11-129610
号、特開平11-078223号、特開平11-078221号、特開平11
-034485号、特開平11-028861号、特開平11-020300号、
特許2845832号、特表平11-506991号公報等には、特定の
水溶性レジンを塗工することでインク吸着性を向上する
ことが記載されており、例えばUSP 5,516,364号、特開
平11-192775号、特開平11-157207号、特開平11-129606
号、特開平11-048604号、特開平11-034481号、特許2938
917号、特許2887098号、特許2883299号、特許2877740号
公報等には、特定のクレイ、アルミナ等無機材料を含有
することで、同様にインク吸着性を向上し、高品質の印
刷を行うことが記載されている。
【0003】併行して高画質な印刷を実現するためのイ
ンクジェット用インク組成物に関しても多数の報告がな
されている。その一部を例示すると、特許2136873号、
特許2116198号、特許2037450号、特許2037453号、特許2
894568号、特許2710138号、特許2792135号、特許284167
8号、特許1927399号公報等には、にじみの少ない印刷、
あるいは耐水性を可能にするインク等が記載されてい
る。
【0004】用紙及びインクの物理特性の関連性に関し
ても多くの報告があり、特開平10-330666号、特開平10-
316915号、特開平10-272828号、特開平10-237370号、特
開平11-129460号、特許2618361号、特許2801295号、特
許2529154号、特許2516218号、特許2825224号公報等に
は、最適な印刷を得るための用紙のステキヒトサイズ
度、用紙及びインクのブリストー濡れ時間、吸収係数、
インクの蒸発速度に関する報告等が記載されている。
【0005】上記のインク及び用紙(基体)に関する一
般的な解説書としては、例えば「インクジェット記録の
高画質、高速化技術と関連材料の開発」、技術情報協
会、1999年出版、「印刷・情報記録における紙の特
性と印刷適性および分析、評価」、技術情報協会、19
99年出版等がある。
【0006】これに対して、近年インクジェット用に特
別に製造された専用紙ではなく、一般的な用紙(普通
紙)に対しても高品質の印刷を実施したいとの需要が高
まってきた。これは、用紙の価格低減のみならず、従来
他の印刷方法で処理されていた分野(オフセット、フレ
キソ印刷等インキ印刷分野、レーザプリンタ、感熱記録
等ノンインパクトプリンタ分野、インパクトプリンタ分
野等)にもインクジェット記録方法を適用する場合不可
避的に遭遇する課題である。特に、定型文書、伝票、帳
票等の多数の事務書類を高速で印刷する事務用分野に関
しては、普通紙の利用及び高速印刷が不可欠の用件であ
り、従来の専用紙を想定したインクジェット用インク及
び記録方法では実現は極めて困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】水及び水溶性溶剤を溶
媒としたインクにおいては、紙のセルロース繊維への浸
透、吸着に起因するにじみ、裏移り(ブリードスルー)
等の印刷品質を低下させる現象が原理的に阻止できな
い。このため、前述のように基本的な方策として用紙
(基体)を処理することにより印刷品質を維持する方法
が採られてきたが、本発明の意図する普通紙(非コート
紙)印刷には適合しない。また、特に普通紙に対してイ
ンクの乾燥性(セット性)とにじみは通常相反的な性質
であり、にじみを防止すると、乾燥性が低下し高速の印
刷が不可能になった。同様に、インクの印刷濃度とにじ
みは相関があり、適当な高い濃度を実現するインク量に
おいては、にじみが過剰でかつ裏移りを生じ易く、品質
の悪い印刷しか得られなかった。
【0008】本発明は、これら従来同時に達成すること
は不可能とされてきた事項を可能にするインクジェット
用インク組成物及び記録方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の要旨は、オンデマンド型インクジェットプリンタに
よりインク液滴をベック平滑度80s以下の非コート紙
記録媒体上に噴射させ、記録ドットを形成するインクジ
ェット記録方法において、 該記録媒体に対する初期吸
収係数が0.9〜0.3(ml/m2)/(ms)0.5の顔料
を色材とするインク組成物を用いることにある。
【0010】好ましくは、25℃における静的表面張力
が35mN/m以上のインク組成物を用いる。更に好ましく
は、 水、ポリエチレングリコール及び顔料を必須成分
とし、好ましくはグリセリンを含有するインク組成物を
用いること、ノズル及び用紙の間の相対速度が10ip
s以上となる記録速度を使用することにある。
【0011】
【発明の実施の形態】用紙の分類として、通商産業省の
生産統計に使用されている方法がよく使用される。これ
によると、大別して印刷情報用紙、包装用紙、衛生用
紙、雑用紙に区分され、印刷情報用紙には非塗工用紙、
微塗工用紙、塗工用紙、特殊印刷用紙、情報用紙の区分
がある。本発明の目的とする用途の用紙は、非塗工用
紙、特殊印刷用紙及び情報用紙の一部に属する。用紙の
組成は多岐に渡っており、パルプ素材、塗料の種類及び
量、製造方法で多様であり、又紙を評価区分する多数の
方法がある。例えば、紙の密度、厚さ、表裏差、縦目/
横目(漉き方向)、細孔の空隙率、透気性、吸水/吸油
性、サイズ度、表面粗さ、光沢度、pH、表面強度、剥
離強度、剛度、折り強度、帯電性等があり、各々印刷品
質に影響する。
【0012】ここで、本発明者は、本発明の意図する分
野の用紙を一般的に規定する方法として、表面平滑度に
着目した。これらにはベック平滑度、スムースター平滑
度、チャップマン平滑度等がありTAPPI−T47
9、JIS P8119等に規定されている。ベック平
滑度、スムースター平滑度および王研式平滑度試験機に
よる平滑度はいずれも空気流速ないしは圧力変化を測定
するもので互いに変換可能である。
【0013】本発明の意図する用紙はいずれも非コート
紙でかつベック平滑度が80s以下のものである。非コ
ート紙とは実質的な塗料(填料)の量が両面で12g/
2以下(上述の生産統計の定義で微塗工紙以下)の用
紙を意味している。これらに該当しない用紙等に関する
インクジェット印刷は本発明の目的の範囲外である。
【0014】本発明の用紙としては、例えば上級印刷
紙、中級印刷紙、下級印刷紙、薄様印刷紙、微塗工印刷
用紙、色上質紙等特殊印刷用紙、フォーム用紙、PPC
用紙、その他情報用紙等があり、具体的には下記する用
紙及びこれらを用いた各種の変性/加工用紙があるが、
本発明は特にこれらに限定されるものではない。
【0015】OK上質紙、ニューOK上質紙、サンフラ
ワー、フェニックス、OKロイヤルホワイト、輸出上質
紙(NPP、NCP、NWP、ロイヤルホワイト)、O
Kフォーム、OKH、NIP−N、OKエバーライト、
OKエバーライトW、OKスターライト、OKスノーラ
イト、白苫用紙、OKニューライト、OKマガジンペー
パー、OKクリームエバーライト、OKハイパルキー、
OKハイマガジンペーパー、OKスカイライト、OK上
質紙L、エバーライトR、OKブライト、OKロイヤル
ライトS、ロイヤルライトH、ニューライトR、ニュー
ライトRS、ロイヤルライトN、クリーンヒットM、ク
リーヒットD、クリーンヒットS、JJ、OKF、OK
H、NIP、KSフォーム、3800用紙、KIP−N
(以上新王子製紙製)、連続伝票用紙、上質NIP用
紙、金王、東光、輸出上質紙、特需上質紙、ピレーヌ、
ハイランド、アンデス、ロッキー、軽量オフ輪、アルプ
ス、ヒマラヤ、セーヌ、ハイセラスター、イースターD
X、ピレーヌDX、スーパーピレーヌDX、アンデスD
X、スーパーアンデスDX、セーヌDX、スーパーセー
ヌDX、ゴールデンフォーム、シルバーフォーム、エク
セレントフォーム、シルバーリサイクルNIP、KRF
スーパー、SKF、GOLF−NIP、PPC用紙(以
上日本製紙)、パール、金菱、ダイヤフォーム、ルビー
ライトO、ルビーライト、ルビーライトL、三菱NIP
(以上三菱製紙製)、金毬V、金毬SW、白象、高級出
版用紙、HNFセミ上質紙、シロマリ、トクギンマリ、
キンマリL、アルファスーパー、セミ上KL、ハイベー
ター、ベータースーパー、シロマリL、ハイガンマー、
ガンマスーパー、HNK、HNF(以上北越製紙製)、
しらおい、DSK、HAKURO、シャロン、特雪獅
子、白獅子、リビアン、スーパー商伝用紙、AAヘンリ
ー、BBヘンリー、CCヘンリー、DDヘンリー、EE
ヘンリー、EEヘンリーS、DSK、DSK38、DS
K−N(以上大昭和製紙製)、銀環、金環、金陽
(W)、ブリッジ、キャピタル、エクセレントフォー
ム、シルバーフォーム、KRF、FPLB、KCR(以
上日本製紙)、せんだいMP上質紙、錦江、雷鳥上質、
掛紙、色紙原紙、連続伝票用紙、シャトン、エミネ、R
CP、せんだいフォーム、雷鳥フォーム(以上中越パル
プ製)、OP金桜(以上チューエツ)、金砂、参考書用
紙、交換証用紙(白)、フォーム印刷用紙、KRF、白
フォーム、カラーフォーム、(K)NIP、ファインPP
C(以上紀州製紙製)、たいおう、ブライトフォーム、
カント、カントホワイト、ダンテ、CM用紙、ダンテコ
ミック、ハイネ、文庫本用紙、ハイネS、ニューAD用
紙、ユトリロエクセル、エクセルスーパーA、カントエ
クセル、エクセルスーパーB、ダンテエクセル、ハイネ
エクセル、エクセルスーパーC、エクセルスーパーD、
ADエクセル、エクセルスーパーE、ニューブライトフ
ォーム、ニューブライトNIP(以上大王製紙製)、日
輪、月輪、雲嶺、銀河、白雲、ワイス、月輪エース、白
雲エース、雲岑エース(以上日本紙業製)、たいおう、
ブライトフォーム、ブライトニップ(以上名古屋パル
プ)、牡丹A、金鳩、特牡丹、白牡丹A、白牡丹C、銀
鳩、スーパー白牡丹A、淡クリーム白牡丹、特中質紙、
白鳩、スーパー中質紙、青鳩、赤鳩、金鳩Mスノービジ
ョン、スノービジョン、金鳩スノービジョン、白鳩M、
スーパーDX、はまなすO、赤鳩M、HKスーパー印刷
紙(以上本州製紙製)、スターリンデン(A・AW)、
スターエルム、スターメイプル、スターローレル、スタ
ーポプラ、MOP、スターチェリーI、チェリーIスー
パー、チェリーIIスーパー、スターチェリーIII、
スターチェリーIV、チェリーIIIスーパー、チェリ
ーIVスーパー(以上丸住製紙製)、SHF(以上東洋
パルプ製)、TRP(以上東海パルプ製)。
【0016】記録媒体としては、JIS P8122
「紙のステキヒトサイズ度試験方法」によりサイズ度2
以上の用紙が特に制限なく使用可能である。例えば、4
0kg紙、55kg紙、70kg紙、90kg紙、13
5kg紙等の上質紙および色上質紙、Xerox4024、
インクジェット普通紙および専用紙、再生紙および伝票
用紙等があげられる。
【0017】本発明の記録媒体は、また表面粗さ係数に
よっても定義可能である。厳密ではないが、例えば平均
表面粗さRz10μm以上の用紙がほぼこれに該当す
る。
【0018】本発明の記録媒体の膜厚は特に制限はない
が、例えば膜厚80〜200μmの用紙がほぼ該当す
る。通常普通紙として広範に使用される膜厚95〜11
5μmの用紙が本発明の目的に特に好ましい。
【0019】本発明の対象とする記録媒体としては、非
コート紙が望ましく、例えば用紙の元素成分の比率(E
DX測定)で言えば、炭素元素100に対して、アルミ
ニウム、けい素元素数が各々150、200以下である
ことが望ましい。
【0020】本発明の用紙の規定としては、更に例えば
ステキヒトサイズ度55s以下等の定義も可能である。
【0021】本発明の主旨は、ベック平滑度で規定され
る物性とインクジェット記録の関係にあり、記録媒体は
紙に限定されず、同様の特性を有する金属、プラスチッ
ク、その他可能な媒体全てに適用出来る。
【0022】紙に対する液体の浸透は繊維の空隙への毛
細管浸透と繊維自身の膨潤が併行する複雑な現象である
が、円筒形毛細管モデルに基づく下記Lucas−Washburn
の式が解析に広く使用されている。液体の浸透深さH
は、液体の表面張力γ、粘度η、細管の半径r、浸透時
間t及び液体と毛細管の接触角θを用いて、下式で示さ
れる。
【0023】
【数1】
【0024】上記式は縦軸H、横軸t0 . 5でプロットす
ると、原点を通過する直線となるが、実際の系では図1
に示すように、ある程度の浸透時間t0で折れ曲がる挙
動を示すことが多い。
【0025】この切片(図中のKr)を粗さ指数、傾き
(図中のKa)を吸収係数、t0を濡れ時間と称するこ
とがある。この切片の命名は、インクが初期段階では用
紙の表面凹凸に湿潤するのみで基体に浸透を開始するに
は一定時間(t0)を要するとの解釈に基づいている。
本発明の吸収係数は図と同様のプロットにおいて、浸透
深さ(インク吸収量)(縦軸)をml/m2単位、浸透
時間(横軸)を(ms)0 . 5単位とした場合の傾き(K
a)と定義される。
【0026】本発明は、上述の用紙条件において、吸収
速度を1.5(ml/m2)/(ms)0. 5以下、特に好まし
くは0.9〜0.3 (ml/m2)/(ms)0.5とするこ
とである。速度が0.9(ml/m2)/(ms)0.5を超え
ると浸透が過剰となり、インクは不要な裏移り(裏面に
までインクが達する)現象を生じ、本発明の非コート紙
には実質的に使用出来ない。また、0.3(ml/m2)/
(ms)0.5未満ではインクは浸透による乾燥(セット)
に長時間を要し、特別の乾燥後処理工程を具備しない限
り、実質的に高速の印刷は不可能である。
【0027】本発明の記録方法によれば、前述した吸収
係数Kaの値と共に粗さ指数Krについても特定の範
囲、特にKrが20ml/m2以下の領域が目的に合致
している。インクジェット用専用紙を用いる等本発明の
目的としない場合には、Krは20ml/m2を越すこ
とが通例である。本発明の目的とする系においては、濡
れ時間t0は通常極めて短く、50ms以下と実際上ほ
ぼ0に近いことが通例である。
【0028】なお、浸透速度の測定にはブリストー法、
これを自動化した動的走査吸液測定法等がある。本発明
の主旨は吸収係数で規定される物性とインクジェット記
録の関係にあり、記録媒体は紙に限定されず、同様の特
性を有する金属、プラスチック、その他可能な媒体全て
に適用出来る。
【0029】本発明のインク組成物の表面張力は特に限
定する必要はないが、本発明者は、多数のインクに関し
て上述の浸透速度とインク物性の相関性を調べた結果、
特にインクの静的表面張力と浸透速度に顕著な相関性の
あることを見出した。すなわち、25℃の静的表面張力
が35mN/m以上のインクにおいて、特に好ましく浸透性
と乾燥性の両立が図れる。35mN/m未満のインクにおい
ては、浸透性が表面張力の低下と共に顕著に増大し、本
発明の非コート紙に対しては、著しいにじみ、裏移りを
生じて使用出来ない。前述のLucas−Washburnの式にお
ける表面張力γと浸透深さの関係と全く異なる相関であ
る(γ大がH小)が、これはγの小さいインクの場合θ
が更に小さくなる(cosθ小)効果の方が大きいためと
推定される。35mN/mという特別のしきい値が出現する
理由は明確ではないが、本発明の非コート紙の場合には
紙を構成するセルロースの報告されている臨界表面張力
値である45mN/mに近いことと関係している可能性があ
る。本発明は静的表面張力に関してのみ記載したが、同
様の事項が動的な表面張力の場合にも得られることも推
定される。
【0030】本発明のインク組成物としては、限定なく
各種の材料が使用される。一般的に着色剤、溶剤の主材
料に、補助的に結着剤、粘度、表面張力、pH等の物性
調整剤、防カビ剤、その他を添加して構成する。着色剤
は染料又は顔料であり、溶剤は水、水溶性有機溶剤が主
として使用されるが、非水系溶剤も可能である。これら
溶剤は単に溶媒としての機能以外に乾燥防止剤(湿潤
剤)、浸透剤(表面張力低下剤)、粘度、蒸発速度制御
剤等の作用を有する場合もあり、様々な粘度、表面張
力、溶解性、沸点、蒸発速度、引火点等を示す材料が使
用される。
【0031】例えば、ジエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、グリセリン、NMP、乳酸ナトリウ
ム、DMSO、ポリオキシエチレンアルキルフェノー
ル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、エチレングリ
コールアルキルエーテル、ジエチレングリコールアルキ
ルエーテル、エタノール、プロパノール等のアルコール
等がある。物性調整剤としては、KOH等の金属水酸化
物、各種界面活性剤、ジエタノールアミン、トリエタノ
ールアミン等のアルコールアミン類、りん酸、強酸のア
ルコールアミン塩、アンモニウム塩、低級カルボン酸、
グリコール酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸、安息香
酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、チアベンダゾー
ル、ベンズイミダゾール等の防かび剤、キレート化剤、
脱酸素剤、消泡剤、導電性付与剤等各種の添加剤が用途
に応じて使用できる。本発明においては特に水、ポリエ
チレングリコール、グリセリン及び顔料を必須成分とす
るインク組成物が好適に使用出来る。
【0032】ポリエチレングリコール等の(ポリ)アル
キレングリコールやグリセリン等の多価アルコールは蒸
発速度が遅いことから、従来湿潤剤として用いられてき
た。本発明では、粘度調整剤さらには水を主成分とする
水性インクの粘度増加剤として平均分子量600〜70
000のポリエチレングリコールが特に望ましいことを
見出した。
【0033】本発明の目的を達成する成分としては平均
分子量600〜6000のポリエチレングリコールを
7.5〜40重量%含有することが望ましい。平均分子
量600未満では主成分の水の粘度増加が少なく、良好
な粘度範囲になるまで添加すると良好な印刷物が得られ
ない。添加量40重量%を越えると被記録材へのインク
の浸透性が低下して乾燥性が悪くなり印刷品質が低下す
る。特に好ましいのは平均分子量6000である。ま
た、平均分子量20000〜70000のポリエチレン
グリコールを1〜10重量%含有することが望ましい。
平均分子量70000を越えると、インクの粘度が著し
く増加しインクの吐出量が減少して印字濃度の低下が生
じる。
【0034】例えば、ポリエチレングリコール600、
1000、1540、2000、4000、6000、
20000、70000(以上和光純薬製)、PEG#
600、PEG#6000(以上、日本油脂)等が使用
できる。
【0035】ポリエチレングリコールは少なくとも1
種、または2種以上を混合して用いることができる。
【0036】さらに、本発明の目的を達成する成分とし
てはグリコールエーテルが適している。一般にグリコー
ルエーテル類は、低粘度であるために記録液の粘度を上
昇させずにボールペンのペン先やインクジェットのノズ
ルの乾燥を防止する目的で添加された。しかし、水およ
びポリエチレングリコールと混合することにより安定し
た噴射が可能な粘度に調整できることを見出した。
【0037】具体的なグリコールエーテル類としては、
メチルグリコール、メチルジグリコール、メチルトリグ
リコール、メチルポリグリコール、イソプロピルグリコ
ール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、ブチル
トリグリコール、イソブチルグリコール、イソブチルジ
グリコール(以上、日本乳化剤製)等のエチレングリコ
ール系エーテルおよびメチルプロピレングリコール、メ
チルプロピレンジグリコール、メチルプロピレントリグ
リコール、プロピルプロピレングリコール、プロピルプ
ロピレンジグリコール、ブチルプロピレングリコール、
ブチルプロピレンジグリコール、フェニルプロピレング
リコール(以上、日本乳化剤製)等のプロピレングリコ
ール系エーテルから選ばれるエーテルを0〜30重量%
含むことが望ましい。30重量%を超えると表面張力が
低下し、印刷品質が低下する。
【0038】さらに吐出性を良くする目的でグリセリン
0〜20重量%添加しても良い。田だし、20重量%を
越えると印刷物ににじみが生じやすくなる。
【0039】特性向上のために水溶性溶剤を添加しても
良い。例えば、 アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプ
ロパノール等のケトンおよび低級アルコール類やエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリ
コールおよびジプロピレングリコール等のグリコール
類、アセテート類、チオジグリコール、 N−メチル−
2−ピロリドン、1、3−ジメチルイミダゾリジノン、
アミノアルコール等の含窒素化合物類を単独又は混合溶
剤として使用しても良い。
【0040】本発明の目的を達成する成分である色材と
しては、特に有機顔料が望ましい。染料を色材とするイ
ンク組成物は製造は容易で多くの長所を有するものの、
本発明の目的とする普通紙への高速印刷に関しては、画
像の滲み、耐水性の不足等から使用は困難である。本発
明に使用される顔料としては上記ビヒクルに良分散して
耐候性に優れたものが望ましい。本発明に特に使用され
る顔料の発色性(添加濃度当たりの色濃度)は必ずしも
高くなく、加えて均質の微粒子分散体の製造が困難なた
め、高濃度とすると過剰に溶融粘度が増大する現象があ
って、インクジェット用インクとしては従来実用化され
ていなかった。特に限定されるわけではないが、本発明
には例えばカラーインデックスに記載される下記の番号
の有機又は無機顔料が使用できる。顔料の色調はフルカ
ラー印刷、スポット(部分的)カラー印刷、多色(マル
チカラー)印刷等の種類により、適宜選択される。
【0041】赤あるいはマゼンタ顔料としては、Pigmen
t Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:
3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:
4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、10
4、108、112、122、123、144、146、149、166、168、16
9、170、177、178、179、184、185、208、216、226、25
7、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、P
igment Orange 13、16、20、36、青またはシアン顔料と
しては、pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、1
5:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、緑
顔料としては、Pigment Green 7、26、36、50、黄顔料
としては、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、3
4、35、37、55、74、81、83、93、94、95、97、108、10
9、110、137、138、139、153、154、155、157、166、16
7、168、180、185、193、黒顔料としては、Pigment Bla
ck 7、28、26などが目的に応じて使用できる。
【0042】具体的に商品名を示すと、例えば、クロモ
ファインイエロー2080、5900、5930、AF−1300、2700
L、クロモファインオレンジ3700L、6730、クロモファイ
ンスカーレット6750、クロモファインマゼンタ6880、68
86、6891N、6790、6887、クロモファインバイオレット
RE、クロモファインレッド6820、6830、クロモファイン
ブルーHS−3、5187、5108、5197、5085N、SR−5020、50
26、5050、4920、4927、4937、4824、4933GN−EP、494
0、4973、5205、5208、5214、5221、5000P、クロモファ
イングリーン2GN、2GO、2G−550D、5310、5370、6830、
クロモファインブラックA−1103、セイカファストエロ
ー10GH、A−3、2035、2054、2200、2270、2300、2400
(B)、2500、2600、ZAY−260、2700(B)、2770、セイ
カファストレッド8040、C405(F)、CA120、LR−116、1
531B、8060R、1547、ZAW−262、1537B、GY、4R−4016、
3820、3891、ZA−215、セイカファストカーミン6B1476T
−7、1483LT、3840、3870、セイカファストボルドー10B
−430、セイカライトローズR40、セイカライトバイオレ
ットB800、7805、セイカファストマルーン460N、セイカ
ファストオレンジ900、2900、セイカライトブルーC71
8、A612、シアニンブルー4933M、4933GN−EP、4940、49
73(以上大日精化工業製)、KET Yellow 401、402、40
3、404、405、406、416、424、KET Orange 501、KET Re
d 301、302、303、304、305、306、307、308、309、31
0、336、337、338、346、KET Blue 101、102、103、10
4、105、106、111、118、124、KET Green 201(以上大
日本インキ化学製)、Colortex Yellow 301、314、31
5、316、P−624、314、U10GN、U3GN、UNN、UA−414、U2
63、Finecol Yellow T−13、T−05、Pigment Yellow170
5、Colortex Orange 202、Colortex Red101、103、11
5、116、D3B、P−625、102、H−1024、105C、UFN、UC
N、UBN、U3BN、URN、UGN、UG276、U456、U457、105C、U
SN、Colortex Maroon601、Colortex BrownB610N、Color
tex Violet600、PigmentRed 122、Colortex Blue516、5
17、518、519、A818、P−908、510、Colortex Green40
2、403、Colortex Black 702、U905(以上山陽色素
製)、Lionol Yellow1405G、Lionol Blue FG7330、FG73
50、FG7400G、FG7405G、ES、ESP−S(以上東洋インキ
製)、Toner Magenta E02、Permanent RubinF6B、Tone
r Yellow HG、Permanent Yellow GG−02、Hostapeam Bl
ueB2G(以上ヘキストインダストリ製)、カーボンブラ
ック#2600、#2400、#2350、#2200、#1000、#99
0、#980、#970、#960、#950、#850、MCF88、#75
0、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA
77、#52、#50、#47、#45、#45L、#40、#33、#3
2、#30、#25、#20、#10、#5、#44、CF9、(以上
三菱化学製)などが挙げられる。また、顔料を予め水や
溶剤に高濃度分散した分散液を使用することもできる。
例えば、MICROPIGMO WMBK-5、WMBE-5、WMRD-5、WMYW-
5、AMBK-2、AMYW-2、AMBE-4(以上オリエント化学
製)、JA Black 25W、GA Black 2821、GA Yellow 1、GA
Magenta1、GA Cyan 2(以上御国色素製)CAB-O-JET20
0、 CAB-O-JET300(以上キャボットスペシャルティケミ
カルズ)などが挙げられ、顔料濃度が10重量%以上の
高濃度で分散されているものが特に望ましい。
【0043】添加量は顔料濃度1〜10重量%が適量で
ある。1重量%未満では画像品質が低下し、10重量部
より多いとインク粘度特性に悪影響を与える。また色の
調整等で2種類以上の着色剤を適時混合して使用でき
る。本発明のインク組成物に更に機能性を発現するた
め、光安定化剤、表面処理剤、界面活性剤、粘度低下
剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、酸素吸収
剤、可塑剤、防腐剤、防錆剤、蒸発促進剤、pH調整
剤、消泡剤、保湿剤、分散剤、染料等を混合することが
できる。上記した顔料及びその他の成分の混合、分散に
は、スターラー、ビーズミル、ホモジナイザが最適であ
るが周知の各種の撹拌、粉砕又は分散装置が特に制限無
く使用できる。
【0044】本発明のインク組成物の蒸発速度は特に限
定する必要はないが、オンデマンド型インクジェット記
録方法に用いるインク組成物として、適当なインク蒸発
速度を有することが好ましい。本発明者は各種のインク
の蒸発速度(蒸発量)とインクジェット記録の安定性を
比較検討した結果、25℃/60RH%の大気条件下で
の蒸発による重量減少が30分で2〜25重量%である
インク組成物が特に好ましいことを見出した。測定は、
50μlのインク2滴(約100mg)をスライドガラ
ス上に滴下し、ほぼ無風状態で上記環境下に放置し、重
量変化をミクロ天秤にて測定する方法をとった。本発明
の蒸発速度はこの測定条件下で定義した。重量減少が2
重量%未満では、インクジェット記録後のプリントの乾
燥が不良で、例えば用紙重ね時に転写を生じやすく、又
重量減少が25重量%を超える場合にはインクの乾燥が
著しくノズル詰まり、吐出不良を生じやすく記録工程の
信頼性が低下する。
【0045】本発明のインク組成物の粘度は特に限定す
ることはないが、25℃の静的粘度は3〜15mPa・sの
範囲が安定な吐出特性を維持する上で好ましい。3mPa・
s未満の粘度では、インク滴の形状、周波数特性が不良
となりやすく、15mPa・sを超える粘度では吐出が困難
で安定しにくい。本発明のインク組成物は使用する温度
条件でニュートン流体挙動を示すことが望ましいが、通
常測定に使用されるシェア速度(約100rpm前後)
で上記条件に合致すれば、見かけの粘度が多少のシェア
速度依存性が存在しても問題とはならない。
【0046】本発明の目的とする分野のプリンタの印刷
速度は、従来のインクジェット記録より著しく高速であ
ることが特徴である。速度に関して明瞭な限定はない
が、本発明のインク組成物を効果的に使用するには、ノ
ズル及び用紙の間の相対速度が10ips(inch/
s)以上となる記録速度が特に好ましい。高速に記録す
るには、インク滴が記録媒体上に付着後直ちに定着(セ
ット)することが必要であり、不十分の場合には、付着
したインク溜が重ねられた他の用紙の裏面に転写する、
記録装置中の送りロールに付着する、記録ドットが乱れ
る等の致命的な不具合を生じてしまう。記録速度10i
psを実現するには、例えば記録後約1s以内に記録が
定着することが必要である。すなわち、本発明によれ
ば、約1s以内に実質的に記録は取り扱い可能(手が触
ふれる等)となる。
【0047】圧電素子を用いたオンデマンド型インクジ
ェット記録の記録ヘッドあるいは記録方法には、ライン
型記録、シリアル型記録、転写型(シャトル型)記録
等、様々な様式があるが、本発明はこれらに特に限定さ
れることなく使用される。いずれにおいても、ノズル及
び用紙(記録媒体)との相対的な移動速度が10ips
以上となる工程であり、例えばライン型記録の如く、ヘ
ッド部分が固定され用紙のみ移動する場合は紙移動速度
(紙送り速度)が上記相対速度に該当し、シリアル型記
録、すなわちヘッドが紙送り方向に垂直に移動して順次
記録し間欠的に紙送りが行われる場合は、ヘッド移動速
度(キャリジ速度)が上記相対速度に該当する。用紙が
回転するドラム等に設置されこれに記録を行う、あるい
は一旦ドラムに記録し次いでこれを用紙に転写する転写
型の場合は、移動する用紙ないしはドラム面とノズル間
の相対位置の変化する速度と理解する。いずれの場合
も、記録速度はノズル吐出周波数及び記録解像度に直接
関係する。
【0048】例えば、ライン型記録の紙送り速度あるい
はシリアル型のヘッド移動速度(すなわち記録速度)V
は、インク滴の吐出周波数f、記録解像度Rにより、V
=f×Rで示される。従来の5ips以下(通常は1i
ps以下)の記録においては従来報告されている多数の
インク組成物がそのまま適用出来る。本発明は少なくと
も5ips以上、特に好ましくは10ips以上の高速
度記録において、効果的に利用出来る。
【0049】本発明の高速度をより効果的に実施するた
めに、加熱、乾燥工程等を付加することも可能である。
しかしながら、本発明の効果は特にこれら乾燥加熱工程
を用いなくとも十分実用的な印刷特性を実現出来る点に
大きな特長がある。
【0050】本発明のインク組成物は、インクジェット
プリンタに適用するために、周知の幾つかの要件を満足
する。すなわち、このインクは室温で十分な安定性があ
り、印刷前の保管および印刷後の画質に信頼性がある。
記録媒体に付着硬化後は十分な透明性と彩度を有し、か
つ均一な薄膜を形成して良好な画質の印刷物を与える。
印刷物を重ねておいた状態で、オフセットが発生しない
こと、また、環境および人体に配慮した安全性が高い組
成物であることが必要である。
【0051】更に、このインク組成物は、印刷を必要と
するときのみインク小滴を噴射させる、従来公知のイン
クジェットプリンタ例えば、オフィス用プリンタ、工業
用マーキングに使用されているプリンタ、ワイドフォー
マット型プリンタ、刷版及び製版用プリンタ、ラベルプ
リンタおよびこの典型的操作を持つすべてのタイプの高
速プリンタにも使用可能である。高速乾燥が可能である
ため、記録媒体としては、上述した用紙以外にもプラス
チックフィルム、カプセル、ジェル、金属箔、ガラス、
木材、布等が使用できる。非接触印刷が可能なだけに媒
体の形状は広範なものが使用できる。
【0052】次に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、記載例に限定されるものではない。 〔実施例1〜6〕68重量部の精製水と平均分子量7
0、000のポリエチレングリコール(和光純薬製、商
品名:ポリエチレングリコール70、000)を2重量
部、グリセリン(和光純薬製)を20重量部、及び表1
に示す各種アルキレングリコールアルキルエーテル各々
10重量部を混合し、これに対して黒顔料水分散液(オ
リエント化学製Micropigmo、顔料含有量20重量%)を
10重量部混合し、組成物全300gをホモジナイザ
(日立工機製HG30)を用いて、回転数2,000r
pmで均質な混合物が得られるまで分散し、続いてろ過
を行い不純物等を除去し、均質なインク組成物6種を得
た。
【0053】インク組成物の吸収係数は動的走査吸液計
(協和精工製、KM350−D)、粘度は回転粘度計
(トキメック製EDLモデル)、表面張力は自動表面張
力計(協和界面科学社製CVBP-Zモデル)、ベック平滑度
は王研式透気度平滑度試験機(旭精工製KY-5)で測定し
た。いずれも測定温度は25℃である。吸収係数Ka
は、吸収量を縦軸浸透深さ(吸収量)H、横軸(浸透時
間)0.5でプロットした点を直線近似し、粗さ指数Kr
(切片)及び吸収係数Ka(勾配)を算定して求めた。
【0054】評価用に55kg紙(小林記録紙製、NI
P紙)を記録媒体として、ダイレクト刷版作成機(日立
工機製SJ02A)のヘッド部分を摘出して固定した印
刷試験機を使用し、インク吐出速度3kHz、用紙送り
速度を10ipsとして、解像度300(×600)d
piで10ipsの印刷を行った。該記録媒体のベック
平滑度は46.5sである。印刷結果は下記3項にて、
簡易評価した。 (1)裏移り:インクが裏面に滲み出す状態を目視観察
(インク滲み評価) (2)転写:印刷後1s以内に、別の用紙に圧着する工
程により、インクが転写するかどうかを目視観察(セッ
ト性評価) (3)耐水性:印刷後5s以内に、流水に晒してインク
の流出等の変化を目視観察表中、◎は優秀、○は良好、
×は使用不可を意味している。実施例1〜6のインク組
成物はいずれも吸収係数0.9〜0.3(ml/(m2・m
1/2))を示した。
【0055】表面張力は25mN/m以上、粘度は5mPa・s
以上である。印刷評価結果はいずれも優秀〜良好で、普
通紙に対して良好な印刷が可能なことが判った。
【0056】以上の結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】〔実施例7〕50重量部の精製水、ジプロ
ピレングリコール50重量部及び実施例1と同様の黒顔
料水分散液10重量部を混合し、実施例1と同様にイン
ク組成物を製造し、同様の評価を行った。結果は表1に
記載した。
【0059】吸収係数は0.9(ml/(m2・m
1/2))、静的粘度は7.3mPa・s、表面張力は40.3mN
/mである。印刷結果は各評価とも問題無く、普通紙に良
好な印刷が可能であった。 〔比較例1〜3〕表1に示す組成の精製水68重量部、
ポリエチレングリコール70、000を2重量部、グリ
セリン2重量部、ジエチレングリコールモノブチルエー
テル又はエチレングリコールイソブチルエーテル10重
量部を混合し、これに顔料水分散液を10又は20重量
部添加したインク組成物3種を製造し、実施例1と同様
の測定、評価を行った。
【0060】いずれの場合も吸収係数は2(ml/(m2
・ms1/2))を超える値を示し、転写(乾燥性)、耐水
性は優秀であったが、裏移り(インク滲み)は不良で多
量のインクが裏面にドット状にしみ出し、普通紙印刷に
は使用不可能であった。これらのインク組成物の表面張
力はいずれも35mN/m未満であった。 〔実施例8〜18〕表2に示す組成で、精製水、ポリエ
チレングリコール(分子量6,000)、ポリアルキレ
ングリコールモノアルキルエーテル及び顔料分散液(キ
ャボットスペシャルティケミカルズ製CAB−O−JE
T300)を用いて11種の本発明のインク組成物を製
造した。
【0061】そして、実施例1と同様の測定及び評価を
行った結果を表2中に示した。
【0062】
【表2】
【0063】いずれも0.3〜0.9(ml/(m2・ms
1/2))の吸収係数を示し、印刷結果も各項目とも優秀〜
良好であった。本発明のインク組成物が普通紙印刷に好
適なことが判った。 〔実施例19〜20〕及び〔比較例4〜5〕表3に示す
組成で本発明のインク組成物19、20を製造した。更
に比較のために市販のインクA及びBを使用した。
【0064】実施例1と同様の測定及び評価結果を表3
中に示した。
【0065】
【表3】
【0066】本発明のインク組成物の吸収係数は実施例
19及び20の順に0.5及び0.8(ml/(m2・ms
1/2))であり、各項目とも優秀な印刷結果が得られた。
【0067】これら本発明のインク組成物2種及び比較
インク2種を用いて、11種類の市販用紙に印刷を行
い、ドット面積及びドット形状係数(=(周長)2/(2π
・ドット面積))を比較した(図2及び図3参照)。ド
ット形状の測定には倍率20倍の顕微鏡からCCDカメ
ラにより取り込んだ画像を、自動画像品質評価ソフトウ
ェア(Media Cybemetrics製Image Pro Plus)を用いて
解析した。測定ドット数は30〜100個である。
【0068】結果を表4、表5に示す。
【0069】
【表4】
【0070】インクジェット(IJ)専用紙1〜5はい
ずれも表面にインク受容層が積層した構造であり、普通
紙1〜6は非コート紙である。
【0071】表4に記載した通り、インクジェット専用
紙はいずれもベック平滑度は80sを超す値を示し、普
通紙はいずれも80s以下の値を示すものである。表4
にはドット面積の測定結果を示すが、比較例4、5に比
べ、本発明のインク組成物19、20はいずれも顕著に
ドット径が小さいこと(すなわち滲みによるドット拡大
が少ない)ことが判った。
【0072】
【表5】
【0073】表5にはドット形状係数の測定結果を示す
が、本発明のインク組成物は形状係数が小さく(すなわ
ち形状がより真円形に近い)、インクドット形状の乱れ
が少ないことが判った。
【0074】インクジェット専用紙の場合はこれらの差
違があるとは言え、いずれも微少なドット径(例えば1
0、000μm2以下)、ドット形状係数(例えば2以
下)で両者ともにほぼ実用に供し得る。しかしながら、
ベック平滑度80s以下の非コート紙の印刷結果を見る
と、比較例のインクの場合ドット径は滲みにより10、
000μm2を超す過大な拡大を示し、ドット形状係数
も殆ど4を超える著しい乱れ(フェザリング等)を示し
て到底実用に供し得ない。これに反し、本発明のインク
組成物19、20はこれら普通紙に対しても実用に供し
得る特性を示す大きな長所を示した。
【0075】
【発明の効果】本発明のインクジェットプリンタ用イン
ク組成物及び記録方法は、従来のインクジェット用イン
クでは不可能であった、非コート普通紙上に高速度で良
好に印刷可能な方法を提示する。本発明のインク組成物
により、平滑度の低い用紙上にドット滲み及び裏移りの
ない高画質の印刷が可能で、更にこの印刷物は高速度プ
リンタに適用できる程度の短時間で乾燥(セット)が終
了する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 記録媒体に浸透するインク組成物の浸透深さ
の時間経過を示すモデル図である。
【図2】 実施例19、20及び比較例4、5の実験結
果を図示した図である。
【図3】 実施例19、20及び比較例4、5の実験結
果を図示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 FC01 2H086 BA01 BA03 BA53 BA55 BA60 4J039 AE07 BC07 BC09 BE01 BE12 CA06 EA10 EA15 EA16 EA17 EA19 EA42 EA47

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オンデマンド型インクジェットプリンタに
    よりインク液滴をベック平滑度80s以下の非コート紙
    記録媒体上に噴射させ、記録ドットを形成するインクジ
    ェット記録方法において、 該記録媒体に対する吸収係数が0.9 〜0.3(ml/
    2)/(ms)0.5である顔料を色材とするインク組成物
    を用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 【請求項2】25℃における表面張力が35mN/m以上の
    インク組成物を用いることを特徴とする請求項1記載の
    インクジェット記録方法。
  3. 【請求項3】ノズル及び用紙の間の相対速度が10ip
    s以上となる記録速度を使用することを特徴とする請求
    項1または2記載のインクジェット記録方法。
  4. 【請求項4】水、ポリエチレングリコール及び顔料を必
    須成分とし、好ましくはグリセリンを含有するインク組
    成物を用いることを特徴とする請求項1ないし3記載の
    インクジェット記録方法。
JP2000083406A 2000-03-24 2000-03-24 インクジェット記録方法 Expired - Fee Related JP4310564B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000083406A JP4310564B2 (ja) 2000-03-24 2000-03-24 インクジェット記録方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000083406A JP4310564B2 (ja) 2000-03-24 2000-03-24 インクジェット記録方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001270241A true JP2001270241A (ja) 2001-10-02
JP4310564B2 JP4310564B2 (ja) 2009-08-12

Family

ID=18600054

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000083406A Expired - Fee Related JP4310564B2 (ja) 2000-03-24 2000-03-24 インクジェット記録方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4310564B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009184261A (ja) * 2008-02-07 2009-08-20 Mitsubishi Paper Mills Ltd インクジェット記録シート
US7810920B2 (en) 2005-03-29 2010-10-12 Seiko Epson Corporation Ink jet recording apparatus and ink jet recording method
JP2019214802A (ja) * 2018-06-12 2019-12-19 三菱製紙株式会社 非塗工紙

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0747762A (ja) * 1993-08-09 1995-02-21 Fuji Xerox Co Ltd インクジェット記録方法及びその装置
JPH08209048A (ja) * 1994-11-17 1996-08-13 Canon Inc バブルジェット用水系分散インク、これを用いるインクジェット記録方法および記録装置
JPH10228128A (ja) * 1997-02-13 1998-08-25 Fuji Xerox Co Ltd 記録用紙
JPH10237370A (ja) * 1997-02-27 1998-09-08 Fujitsu Ltd インクジェット記録用インクおよびインクジェット記録方法
JPH10292141A (ja) * 1997-04-16 1998-11-04 Seiko Epson Corp インクジェット記録用インクおよびインクジェット記録装置
JPH11100537A (ja) * 1997-08-01 1999-04-13 Hitachi Koki Co Ltd インクジェット用ホットメルト型インク組成物
JPH11129460A (ja) * 1997-08-08 1999-05-18 Canon Inc インクジェット記録方法
JPH11323233A (ja) * 1998-05-20 1999-11-26 Seiko Epson Corp 水系インクジェット記録用インク組成物及びインクジェット記録方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0747762A (ja) * 1993-08-09 1995-02-21 Fuji Xerox Co Ltd インクジェット記録方法及びその装置
JPH08209048A (ja) * 1994-11-17 1996-08-13 Canon Inc バブルジェット用水系分散インク、これを用いるインクジェット記録方法および記録装置
JPH10228128A (ja) * 1997-02-13 1998-08-25 Fuji Xerox Co Ltd 記録用紙
JPH10237370A (ja) * 1997-02-27 1998-09-08 Fujitsu Ltd インクジェット記録用インクおよびインクジェット記録方法
JPH10292141A (ja) * 1997-04-16 1998-11-04 Seiko Epson Corp インクジェット記録用インクおよびインクジェット記録装置
JPH11100537A (ja) * 1997-08-01 1999-04-13 Hitachi Koki Co Ltd インクジェット用ホットメルト型インク組成物
JPH11129460A (ja) * 1997-08-08 1999-05-18 Canon Inc インクジェット記録方法
JPH11323233A (ja) * 1998-05-20 1999-11-26 Seiko Epson Corp 水系インクジェット記録用インク組成物及びインクジェット記録方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7810920B2 (en) 2005-03-29 2010-10-12 Seiko Epson Corporation Ink jet recording apparatus and ink jet recording method
US8613512B2 (en) 2005-03-29 2013-12-24 Seiko Epson Corporation Ink jet recording apparatus and ink jet recording method
JP2009184261A (ja) * 2008-02-07 2009-08-20 Mitsubishi Paper Mills Ltd インクジェット記録シート
JP2019214802A (ja) * 2018-06-12 2019-12-19 三菱製紙株式会社 非塗工紙

Also Published As

Publication number Publication date
JP4310564B2 (ja) 2009-08-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002234243A (ja) インクジェット記録方法
JP4965755B2 (ja) インクジェット用インク組成物
CN101379150B (zh) 记录油墨、油墨介质组、油墨盒、油墨记录物、喷墨记录装置和喷墨记录方法
US5835116A (en) Image forming method employing ink-jet recording system
US20090130313A1 (en) Inkjet media, recording method, recording apparatus, ink-media set, and ink recorded matter
JP4393748B2 (ja) インクジェット用インク
JPH0995044A (ja) 記録紙及びこれを用いたインクジェット記録方法
JP2010173286A (ja) 記録方法、インク、およびメディア
JP2010173287A (ja) 記録方法、クリアインク、インク、およびメディア
JP2003082265A (ja) 記録液
JP2002235022A (ja) インクジェットプリンタ及びそれに用いるインク組成物
JP2002235023A (ja) インクジェットプリンタ及びそれに用いるインク組成物
JP5055653B2 (ja) インクジェット用インク組成物を用いた記録方法
JP6303271B2 (ja) 画像形成方法
JP4056929B2 (ja) インクジェット記録方法および記録物ならびにインクジェット記録装置
JP4310564B2 (ja) インクジェット記録方法
JP2008229965A (ja) インクジェット装置、これを用いた印刷方法、実行させるプログラム、及びインク
JP3580957B2 (ja) 水性インク及びこれを用いたインクジェット記録方法
JP2005075849A (ja) インク、記録方法及びインクジェット記録方法
JPH1046074A (ja) 記録用インク及びこれを用いた記録方法
JP2001171095A (ja) インクジェット・プリントによる記録方法およびその方法で用いられる半透明白色インク組成物
JPH10330666A (ja) 水性インクおよびそれを用いたインクジェット記録方法
JP2002097390A (ja) インクジェット記録液およびインクジェット記録方法
JP2015223837A (ja) 非水系インク用インクジェット記録媒体及びインクジェット印刷方法
JP2006116794A (ja) インクジェット記録方法及びこれに用いるインクジェットプリンタ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070319

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080929

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081010

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20081016

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20081016

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081205

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090120

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090206

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090414

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090427

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120522

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120522

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120522

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120522

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130522

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130522

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130522

Year of fee payment: 4

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140522

Year of fee payment: 5

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees