JPH11126855A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

半導体装置およびその製造方法

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JPH11126855A
JPH11126855A JP30791097A JP30791097A JPH11126855A JP H11126855 A JPH11126855 A JP H11126855A JP 30791097 A JP30791097 A JP 30791097A JP 30791097 A JP30791097 A JP 30791097A JP H11126855 A JPH11126855 A JP H11126855A
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JP
Japan
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resin
polyimide
resin layer
semiconductor chip
ratio
Prior art date
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Application number
JP30791097A
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English (en)
Inventor
Hiroshige Okinoshima
弘茂 沖之島
Satoshi Toyoda
聡志 豊田
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体チップと封止樹脂層とが強固に接着さ
れた高信頼性の半導体装置を提供する。 【解決手段】 半導体チップ と、この半導体チップの主
面に被覆されたポリイミド樹脂層と、このポリイミド樹
脂層上に被覆されたポリイミドシロキサン樹脂層と、こ
のように被覆された半導体チップ全体を被覆する封止樹
脂層とからなる半導体装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂による封止構
造を改良した半導体装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体装置は、半導体チップと、このチ
ップを外界から保護するための封止樹脂層とを備える。
このような半導体装置において、熱影響を受けると前記
半導体チップと封止樹脂層との熱膨張係数の差により前
記半導体チップや封止樹脂層に応力が加わるため、前記
チップ表面のパッシベーション膜や封止樹脂層にクラッ
クが発生する。
【0003】前記問題を解決するために半導体チップの
パッシベーション膜上にポリイミド樹脂膜を被覆するこ
とが行われている。しかしながら、ポリイミド樹脂膜は
一般に半導体チップの基板であるシリコンウェハに対し
て密着性が劣るという欠点を有する。
【0004】このようなことから、米国特許第3,32
5,450号明細書、米国特許第3,847,867号明細書、
特開昭64−85220号公報および特開昭6−59425号公報に
は骨格中にシロキサン結合を導入したポリイミド樹脂を
用いて半導体チップの基板に対する接着性を改善した
り、半導体チップの基板をアミノシランのような接着助
剤で処理することが行われている。
【0005】一方、半導体装置の端子を印刷配線板(プ
リント基板)に実装する際の半田リフロー工程などの急
激な加熱がなされると、半導体チップと封止樹脂層の界
面での接着力が弱いために、前記界面等に吸着した水分
の蒸発に伴うストレスにより前記封止樹脂層にクラック
が発生する恐れがある。
【0006】
【発明が解決しょうとする課題】本発明は、半導体チッ
プと封止樹脂層とが互いに強固に接着された高信頼性の
半導体装置およびその製造方法を提供しようとするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、かかる
課題を解決する半導体装置として半導体チップと、この
半導体チップの主面に被覆されたポリイミド樹脂層と、
このポリイミド樹脂層上に被覆されたポリイミドシロキ
サン樹脂層と、このように被覆された半導体チップ全体
を被覆する封止樹脂層とを具備してなる半導体装置を提
供するものである。
【0008】また、本発明によれば、かかる半導体装置
の製造方法として、半導体チップの主面にポリアミック
酸溶液を塗布し、硬化させることによりポリイミド樹脂
層で被覆する工程と、このポリイミド樹脂層上にポリイ
ミドシロキサン樹脂の溶液を塗布し、硬化させることに
よりポリイミドシロキサン樹脂層で被覆する工程と、こ
のように樹脂で被覆された半導体チップ全体を樹脂層に
より封止する工程とを具備したことを特徴とする半導体
装置の製造方法が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わる半導体装置
を詳細に説明する。半導体チップは、表面に拡散層を有
する半導体基板上に各種の膜が形成され、かつ最上層に
パッシベーション膜が形成された構造を有する。ポリイ
ミド樹脂層は、前記半導体チップの主面(パッシベーシ
ョン膜)上に被覆されている。ポリイミドシロキサン樹
脂層は、前記ポリイミド樹脂層上に被覆されている。封
止樹脂層は、前記半導体チップ全体を被覆している。
【0010】ポリイミド樹脂:ポリイミド樹脂として
は、一般式(1):
【0011】
【化4】
【0012】〔式中、Xは4価の有機基、Yは芳香族環
を含む2価の有機基、Rはエーテル酸素原子を含んでも
よい、炭素原子数1〜9の2価炭化水素基であり、R1
とR2は同一又は異なり、炭素原子数1〜8の、非置換
又は置換の1価炭化水素基であり、mは1〜40の整数
であり、k及びlは独立に1〜300の整数であって、
しかもk/lの比が99/1〜20/80の範囲にあ
る。〕で表わされる構造を有するものが好ましい。
【0013】一般式(1)において、Xである4価有機
基としては、芳香族環、例えばベンゼン環構造やナフタ
レン環構造を1〜4個含有し、各芳香族環同士が、共有
結合、アルキル基、フッ素置換アルキル基、シロキサン
構造、エーテル酸素等で結合した、4価の炭化水素基が
挙げられ、例えば、
【0014】
【化5】 を挙げることができ、これらの中でも
【0015】
【化6】
【0016】が好ましい。Yで表わされる芳香族環を含
む2価の有機基としては、芳香族環、例えばベンゼン環
構造等を1〜4個含有し、各芳香族環同士が、アルキレ
ン基、フッ素置換アルキレン基、共有結合、エーテル酸
素等で結合した、2価の炭化水素基が挙げられ、例え
ば、
【0017】
【化7】 を挙げることができ、これらの中でも好ましくは、
【0018】
【化8】 である。
【0019】Rで表わされるエーテル酸素原子を含んで
もよい、炭素原子数1〜9の2価の炭化水素基として
は、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン
基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、メチルエチ
レン基等のアルキレン基、フェニレン基、トリレン基等
のアリーレン基、これらを組み合わせたアルキレンアリ
ーレン基、あるいは、
【0020】
【化9】 などのオキシアルキレンアリーレン基等が挙げられ、好
ましくは
【0021】
【化10】 等の炭素原子数3〜7のものである。
【0022】R1及びR2の炭素原子数1〜8の、非置換
又は置換の1価炭化水素基としては、例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、tert-ブチル基、ヘキシル基、シク
ロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、ビニル基、
アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル
基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル
基、フェニルエチル基等のアラルキル基、クロロメチル
基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のフッ素置換アル
キル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、フェニル基
である。
【0023】一般式(1)において基材上に形成された
ポリイミド樹脂皮膜が後の工程で使用される有機溶剤に
不溶性であるという観点から、mは1〜20、好ましく
は1〜10の整数であり、特に好ましくは1である。k
及びlは独立に1〜300の整数,好ましくは10〜2
00の整数であり、同時にk/lの比が99/1〜20
/80、好ましくは95/5〜60/40 の範囲にあ
る。k/lの比が99/1より大きいと、シリコン等の
半導体チップに対するポリイミド樹脂の接着性が劣るも
のであり、20/80未満であると、ポリイミド樹脂の
ガラス転移点が低下し、耐熱性が劣ったものとなる。ポ
リイミド樹脂層の厚さは通常、1〜50μm程度であ
る。
【0024】ポリイミドシロキサン樹脂:ポリイミドシ
ロキサン樹脂としては、一般式(2):
【0025】
【化11】
【0026】[式中、X,Y,R,R1及びR2は一般式
(1)について定義のとおりであり、nは1〜100の
整数であり、p及びqは独立に1〜300の整数であっ
て、しかもp/qの比が99/1〜50/50の範囲に
ある。〕の構造を有するものが好ましい。
【0027】一般式(2)において、X,Y,R,R1
及びR2の例としては、一般式(1)に関して例示した
ものが挙げられ、 R,R1及びR2については好ましい
ものも同様であるが、xについては、前記例示で挙げた
ものの中で、下記で示される4価の有機基から選ばれる
1種又は2種以上を80モル%以上含有することが好ま
しい。
【0028】
【化12】 またYについては、前記例示で挙げたものの中で、下記
で示される2価の有機基から選ばれる1種又は2種以上
を80モル%以上含有することが好ましい。
【0029】
【化13】
【0030】一般式(2)において、有機溶媒に対する
ポリイミドシロキサン樹脂の可溶性の観点からnは1〜
100、好ましくは20〜100、特に好ましくは40
〜100の整数であり、p及びqは1〜300、好まし
くは10〜200の整数であり、同時にp/qの比が9
9/1〜50/50、好ましくは98/2〜70/30
の範囲である。p/qの比が99/1より大きいとエポ
キシ系樹脂等の封止樹脂との接着性が劣るものであり、
50/50未満であるとポリイミドシロキサン樹脂のガ
ラス転移点が低下し、耐熱性が劣ったものとなる。前記
ポリイミドシロキサン樹脂は、1〜50μm程度の厚さ
を有することが好ましい。
【0031】封止樹脂:本発明では封止樹脂として一般
に使用されているエポキシ系樹脂を用いることができ
る。エポキシ系封止樹脂はエポキシ樹脂、硬化剤、充填
剤、各種の添加剤からなり、樹脂の種類によりトランス
ファーモールドやポッティングにより成形することがで
きる。
【0032】トランスファーモールドに用いる封止樹脂
としては、主剤のエポキシ樹脂としてクレゾールノボラ
ックエポキシ樹脂やフェノールノボラックエポキシ樹脂
等のノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エ
ポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビス
フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ
樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹
脂、トリフェノールアルカン型エポキシ樹脂、フェノー
ルアラルキル型エポキシ樹脂、硬化剤としてフェノール
ノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラ
ック型フェノール樹脂、ビスフェノール樹脂、ナフタレ
ン環含有フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹
脂、トリフェノールアルカン型樹脂、フェノールアラル
キル樹脂等のフェノール樹脂、芳香族アミン変成物、酸
無水物、充填剤としてシリカやアルミナの粉末、添加剤
として難燃剤、離型剤、着色剤、 可撓性付与剤を使用
する一般的な樹脂を用いることができるが、これに限定
されない。
【0033】ポッテイングやキャスティングに用いる封
止樹脂としては、エポキシ樹脂としてビスフェノールA
型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂等の
ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ
樹脂、硬化剤として酸無水物、充填剤としてシリカやア
ルミナの粉末、添加剤として難燃剤、離型剤、着色剤、可
撓性付与剤を使用する常温で液状の樹脂を用いることが
できるが、これに限定されない。
【0034】製造方法 次に本発明に係わる半導体装置の製造方法を説明する。
まず、表面に拡散層を有する半導体基板上に各種の膜が
形成され、かつ最上層にパッシベーション膜が形成され
た構造の半導体チップの主面(パシベーション膜)にポ
リイミド前駆体であるポリアミック酸の溶液をスピンコ
ートやポッティング等により塗布し、乾燥機を用いて乾
燥し、さらに電気炉等の中で加熱することにより硬化さ
せてポリイミド樹脂層を形成する。ポリアミック酸とし
ては、一般式(3):
【0035】
【化14】
【0036】〔式中、X,Y,R,R1,R2,m、k及
びlは一般式(1)に関し定義したとおりであり、k/
lの比は、99/1〜20/80、好ましくは95/5
〜60/40の範囲である。〕で表されるものが挙げら
れる。前記ポリアミック酸は、従来より公知の方法によ
り合成される。具体的には、一般式(4):
【0037】
【化15】
【0038】〔式中、Xは一般式(1)について定義の
とおり〕で表わされるテトラカルボン酸無水物と、式
(5): H2N−Y−NH2 (5) 〔式中、Yは一般式(1)について定義のとおり〕で表
わされるジアミン化合物及び式(6)
【0039】
【化16】
【0040】〔式中、R,R1,及びR2は式(1)につ
いて定義のとおりであり、xは式(1)のmあるいは式
(2)のnと同じ意味を示す。〕で表わされるオルガノ
シロキサンジアミンとを、乾燥窒素等の不活性ガス雰囲
気中において、非反応性溶媒、好ましくはN−メチル−
2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホル
ムアミド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラク
トン、ジメチルスルホキシド、アニソール等の非プロト
ン性極性溶媒に可能な限り溶解し、80℃以下、好ましく
は室温付近ないしそれ以下の温度で攪拌下で反応させる
ことにより合成される。
【0041】前記ポリアミック酸合成の反応成分割合は
所要の重合度をrとすれば、(r+1)モルのテトラカ
ルボン酸二無水物に対してrモルのジアミンを反応させ
ればよい。重合度rは、1以上の整数であるが、得られる
硬化ポリイミド樹脂皮膜の物性と作業性の観点から重合
度rは1〜100であることが好ましい。上記合成に用
いられる式(4)のテトラカルボン酸無水物の具体例と
しては、
【0042】
【化17】
【化18】
【0043】等が挙げられ、好ましくはピロメリット酸
二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物、2,3,3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水
物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,3,3,-
テトラメチルジシロキサンアンヒドリド、ビス[4-(3,4-
ジカルボキシフェノキシ)フェニル]-メタン、ビス(3,4-
ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,3,6,7-ナ
フタレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0044】式(5)のジアミン化合物としては、例え
ば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,
4'-ジアミノジフェニルエーテル、2,2'-ビス(4-アミノ
フェニル)プロパン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)
ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、
2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
1,1-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビ
ス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、トリレン
-2,4-ジアミン等が挙げられ、好ましくは、
【0045】
【化19】 が挙げられる。
【0046】式(6)のオルガノシロキサンジアミン
(但しポリイミド樹脂の合成の場合、重合度xはmと同
じ意味を示し、後述するポリイミドシロキサン樹脂の合
成の場合、重合度xはnと同じ意味を示す。)として
は、例えば、
【0047】
【化20】
【0048】等が挙げられるが、分子鎖両末端が−R−
NH2基で封鎖された、重合度(=m)が20以下ある
いは、重合度(=n)が100以下のオルガノシロキサ
ンジアミンであればこれに限定されない。
【0049】上記の合成において使用される式(5)の
ジアミン化合物と式(6)のオルガノシロキサンジアミ
ン(b)とモル比は、一般式(1)における所望のk/
l比とほぼ同じにすればよい。このようにして得られる
一般式(3)の構造を有するポリアミック酸は有機溶媒
可溶性である。
【0050】半導体チップに塗布するポリアミック酸溶
液の調製に用いる溶媒は、前記単量体化合物の全てを溶
解する必要がないが、その樹脂全てを溶解するものであ
ることが好ましい。このような溶媒としては、例えばテ
トラヒドロフラン、1,4−シクロペンタノン、シクロ
ヘキサノン、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピ
ロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメ
チルホルムアミド、ジメイチルスルホキシド等が挙げら
れ、これらの溶媒は1種または2種以上の混合物で用い
られる。
【0051】上記のようにして半導体チップ表面に塗布
したポリアミック酸溶液を乾燥し、200〜500℃に
おいて加熱することにより脱水、閉環させ、所要のポリ
イミド樹脂層を形成する。加熱の時間は1〜20時間程
度でよい。このようにして得られた脱水、閉環後のポリ
イミド樹脂は、有機溶媒に対して不溶性である。
【0052】次に、こうして形成した、一般式(1)の
構造を有するポリイミド層の上に、一般式(2)の構造
を有するポリイミドシロキサン樹脂層を形成する。該層
の形成に用いられる一般式(2)の構造を有するポリイ
ミドシロキサン樹脂は、前駆体であるポリアミック酸を
脱水、閉環してポリイミド構造となった後も有機溶剤可
溶性であるので適当な有機溶剤に溶解して溶液を調製
し、該溶液を前記ポリイミド樹脂層上に塗布後、乾燥
し、150〜300℃で加熱すればよい。加熱の時間は
0.5〜5時間程度でよい。こうして、ポリイミドシロ
キサン樹脂層が形成される。
【0053】ここで使用される一般式(2)の構造を有
するポリイミドシロキサン樹脂は、公知のように、式
(4)のテトラカルボン酸二無水物と、式(5)のジア
ミン及び式(6)のオルガノシロキサンジアミン(この
場合xはnと同じ意味を示す。)とを、前記の一般式
(3)で表わされるポリアミック酸合成と同様の条件下
で反応させることにより、前駆体であるポリアミック酸
を合成し、次いで該ポリアミック酸を脱水、閉環させる
ことにより得られる。脱水、閉環は、N-メチル-2-ピロ
リドン、ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シ
クロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、アニソール等の
溶媒中、100〜200℃で加熱することで進行する。
このとき、トルエン、キシレン等の共沸脱水剤を存在さ
せると脱水、閉環が促進される。
【0054】上記ポリイミドシロキサン樹脂の合成にお
いて重合度は反応に供する式(5)のジアミン+式
(6)のオルガノシロキサンジアミンと式(4)の酸無
水物とのモル数によって調節することができ、一般式
(3)におけるp/qの比は式(5)のジアミン化合物
と式(6)のオルガノシロキサンジアミンとのモル比に
よって調節することができる。次いで、前記半導体チッ
プ゜全体を例えばエポキシ系樹脂を前述したトランスフ
ァーモールド、ポッティングモールドにより封止するこ
とにより封止樹脂層を形成して半導体装置を製造する。
【0055】以上説明した本発明によれば、半導体チッ
プの主面にポリイミド樹脂層を被覆し、このポリイミド
樹脂層上にこの樹脂とエポキシ系樹脂のような封止樹脂
の両者に対して優れた接着性を有するポリイミドシロキ
サン樹脂を形成し、最後に前記チップ全体をエポキシ系
樹脂のような封止樹脂層で被覆することによって、前記
半導体チップに対する封止樹脂層の接着強度を向上され
た半導体装置を得ることができる。このような半導体装
置は、半導体チップと封止樹脂層の界面での接着力が強
いために、前記界面等への水分の吸着を阻止することが
できる。その結果、この半導体装置の端子を印刷配線板
(プリント基板)に実装する際の半田リフロー工程など
において急激に加熱されても、前記界面等への水分吸着
に伴う蒸発、ストレス発生により前記封止樹脂層やパッ
シベーション膜にクラックが発生するのを防止できるた
め、優れた信頼性を有する。
【0056】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、これらの実施例に限定されるものではない。この実
施例で使用する原料化合物を下記の省略記号で示す。 PMDA:ピロメリット酸二無水物 BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物 BPADA:2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキ
シフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物 DPE:4、4’−ジアミノジフェニルエーテル BAPP:2、2−ビス(4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル)プロパン APM:1、3−ビス(3−アミノプロピル)−1、
1、3、3、−テトラメチルジジロサン APDMS:α、ε−ビス(3−アミノプロピル)ポリ
ジメチルシロキサン
【0057】(合成例1)PMDA32.72g(0.
15mol)、APM1.86g(0.0075mol)およ
びDPE28.3g(0.1425mol)をN−メチル
−2−ピロリドン109.5g中、12時間室温で反応
させて粘度2900csのポリアミック酸溶液(1)を
得た。この樹脂の平均分子量は63000(GPC分析
のポリスチレン換算による。以下同様。)であった。
【0058】(合成例2)BPDA14.71g(0.
05mol)、APDMS7.5g(平均分子量600
0,平均重合度約79、0.00125mol)およびB
APP20.01g(0.04875mol)をN−メチル
−2−ピロリドン152.3g中12時間室温で反応さ
せポリアミック酸溶液を得た。これにトルエン30gを
加え、200℃で3時間反応させ、溶液にメタノールを
加えて沈殿させてポリイミドシロキサン樹脂40gを分
離した。この樹脂10gをN−メチル−2−ピロリドン
90gに溶解して粘度340csのポリイミドシロキサ
ン樹脂溶液(イ)を得た。この樹脂の平均分子量は、4
7000であった。
【0059】(合成例3)BPDA20.82g(0.
04mol)、APDMS6.0g(平均分子量600
0,平均重合度約79、0.001mol)およびBAP
P16.11g(0.039mol)をN−メチル−2−ピ
ロリドン154.2g中12時間室温で反応させポリア
ミック酸を得た。これにトルエン30gを加え、200
℃で3時間反応させ、溶液をメタノールで再沈してポリ
イミドシロキサン樹脂40gを合成した。この樹脂10g
をN−メチル−2−ピロリドン90gに溶解して粘度19
0csのポリイミドシロキサン樹脂溶液(ロ)を得た。
この樹脂の平均分子量は29000であった。
【0060】(実施例1)合成例1で得たポリアミック
酸溶液(1)をシリコンチップ上に塗布し、乾燥機で1
50℃で1時間、更に250℃で5時間の条件で硬化
し、膜厚15μmのポリイミド膜を形成した。このポリ
イミド膜上に合成例2で得たポリイミドシロキサン樹脂
溶液(イ)を塗布し、150℃・2時間で硬化し、膜厚
10μmのポリイミドシロキサン樹脂膜を形成した。こ
のポリイミド膜上にエポキシ系封止樹脂(KMC-130:信越
化学(株)製)をトランスファー成形により175℃・
120秒で成形してシリコンチップ全体を封止し、樹脂
封止型半導体装置を得た。
【0061】(実施例2)合成例2で得たポリイミドシ
ロキサン樹脂溶液(イ)の代りに合成例3で得たポリイ
ミドシロキサン樹脂溶液(ロ)を使用した以外は実施例
1と同様にして樹脂封止型半導体装置を得た。
【0062】(実施例3)KMC−130を用いるトラ
ンスファー成形法の代りに液状エポキシ樹脂(セミコー
ト115、信越化学工業(株)製)を用いてポッティン
グし、初めに120℃で30分間、ついで150℃で2
時間の条件でエポキシ樹脂を硬化させてシリコンチップ
全体を封止した以外は、実施例1と同様にして樹脂封止
型半導体装置を得た。
【0063】(実施例4)ポリイミドシロキサン樹脂層
の形成は実施例2と同様に行い、エポキシ樹脂によるシ
リコンチップの封止は実施例3と同様に行った以外は、
実施例1と同様にして樹脂封止型半導体装置を得た。
【0064】(比較例1)ポリイミド層のみ形成 ポリアミック酸(1)のシリコンチップ上での硬化条件
を、初めに150℃で1時間、次に350℃で5時間に
変更し、さらに次段階のポリイミドシロキサン樹脂層の
形成を省略した以外は、実施例1と同様にして樹脂封止
型半導体装置を得た。
【0065】(比較例2)ポリイミドシロキサン樹脂層のみ形成 ポリイミド樹脂層の形成を行わなかった以外は、実施例
1と同様にして樹脂封止型半導体装置を得た。
【0066】(比較例3)ポリイミドシロキサン樹脂のみ形成 ポリイミドシロキサン樹脂層の形成を行わなかった以外
は、実施例2と同様にして樹脂封止型半導体装置を得
た。
【0067】(比較例4)ポリイミドシロキサン樹脂層
の形成を行わなかった以外は、実施例3と同様にして樹
脂封止型半導体装置を得た。
【0068】(比較例5)ポリイミド樹脂層の形成を行
わなかった以外は、実施例4と同様にして樹脂封止型半
導体装置を得た。
【0069】評価 実施例1〜4及び比較例1〜6で得られた樹脂封止型半
導体装置について、下記の方法により定性接着性の試験
を行い、接着強度及び剥離部位を調べた。 定性接着性の試験方法:封止した半導体装置を万力で固
定し、ペンチ又はプライヤーを用いて封止樹脂を強制的
に破壊した際の、ポリイミド樹脂及びポリイミドシロキ
サン樹脂と封止樹脂(エポキシ系樹脂)あるいは半導体
チップとの剥離の有無、並びに剥離の部位を目視にて調
べた。
【0070】接着強度は次の基準で評価した。 ○:剥離なし。 △:一部剥離がある(封止樹脂あるいは半導体チップと
の界面の30〜80%で剥離している。)。 ×:大部分で剥離しほとんど接着していない(封止樹脂
あるいは半導体チップとの界面の80%以上で剥離して
いる。)。 結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】(注)「ポリイミド系樹脂層」とは、本発
明におけるポリイミド樹脂層とポリイミドシロキサン樹
脂層とを区別しないで一体的にとらえたものである。表
1から明らかなように、比較例1〜6ではポリイミド系
樹脂膜と半導体チップまたはポリイミド系樹脂膜と封止
樹脂の界面で剥離を生じたのに対し、実施例1〜4は半
導体チップと封止樹脂とが互いに強固に接着しているこ
とがわかる。
【0073】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、半
導体チップと封止樹脂層とが強固に接着され、熱影響に
よる封止樹脂層およびパッシベーション膜のクラック発
生を防止することが可能な高信頼性の半導体装置および
その製造方法を提供することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体チップと、 この半導体チップの主面に被覆されたポリイミド樹脂層
    と、 このポリイミド樹脂層上に被覆されたポリイミドシロキ
    サン樹脂層と、 このようにして被覆された半導体チップ全体を被覆する
    封止樹脂層とを具備してなる半導体装置。
  2. 【請求項2】前記ポリイミド樹脂が下記式(1): 【化1】 〔式中、Xは4価の有機基、Yは芳香族環を含む2価の
    有機基、Rはエーテル酸素原子を含有してもよい炭素原
    子数1〜9の2価炭化水素基であり、R1とR2は同一又
    は異なり、炭素原子数1〜8の、非置換又は置換の1価
    炭化水素基であり、mは1〜20の整数であり、k及び
    lは独立に1〜300の整数であって、しかもk/lの
    比が99/1〜20/80の範囲にある.〕で表わされ
    る構造を有し、前記ポリイミドシロキサン樹脂が一般式
    (2): 【化2】 〔式中、X,Y,R,R1及びR2は一般式(1)につい
    て定義のとおりであり、nは1〜100の整数であり、
    p及びqは独立に1〜300の整数であって、しかもp
    /qの比が99/1〜50/50の範囲にある。〕で表
    わされる構造を有することを特徴とする請求項1に記載
    の半導体装置。
  3. 【請求項3】半導体チップの主面にポリアミック酸溶液
    を塗布し、硬化させることによりポリイミド樹脂層で被
    覆する工程と、 このポリイミド樹脂層上にポリイミドシロキサン樹脂の
    溶液を塗布し、硬化させることによりポリイミドシロキ
    サン樹脂層で被覆する工程と、 このように樹脂で被覆された半導体チップ全体を樹脂層
    により封止する工程とを具備したことを特徴とする半導
    体装置の製造方法。
  4. 【請求項4】前記のポリアミック酸が一般式(3): 【化3】 〔式中、X,Y,R,R1,R2、m,k及びlは一般式
    (1)に関し定義したとおりである。〕で表わされる構
    造を有し、硬化により前記一般式(1)で表わされる構
    造を有するポリイミド樹脂を形成するものであり、前記
    ポリイミドシロキサン樹脂は前記一般式(2)で表わさ
    れる構造を有することを特徴とする請求項3の製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004517976A (ja) * 2000-09-28 2004-06-17 住友ベークライト株式会社 低沸騰溶剤中のポリイミドの製造方法
WO2015129682A1 (ja) * 2014-02-26 2015-09-03 東レ株式会社 ポリイミド樹脂、これを用いた樹脂組成物および積層フィルム

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