JP4445274B2 - 樹脂組成物、フィルム状接着剤及び半導体パッケージ - Google Patents
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Description
本発明の樹脂組成物は、ポリイミド樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)および
一分子中にアルコキシ基で置換されたシラン基と、イミダゾール基を少なくとも一つ有するイミダゾールシラン(C)を含有する。
イミダゾールシラン(C)中の、イミダゾール基は、接着剤として使用した場合硬化剤としての機能を有し、またアルコキシ基を置換基として有するシラン基はシランカップリング剤としての機能を有するので、高温においても十分な接着強度を発現する。
イミダゾールシラン(C)としては、一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
一般式(1)中、Zの2価の連結基としては、炭素数1〜10のアルキレン、水酸基を有する炭素数1〜10のアルキレンが挙げられ、アルキレン中のメチレンの一部が酸素原子等の他の原子で置換していても構わない。好ましくは、−CH2−CH(OH)CH2OCH2CH2CH2−である。
ポリイミド樹脂(A)としては、特に限定なく使用できるが、一般式(2)で表される繰り返し構造単位を含有するポリイミドは、低温接着性を付与できるので好ましい。
(式(2)中、nは1〜50の整数を表し、Xはそれぞれ独立に炭素数2〜10のアルキレンを表し、Yは4価の有機基を表す。)
上記ポリイミド樹脂は、一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と一般式(4)で表されるジアミン化合物を必須成分として反応させ得られるポリアミド酸を熱的あるいは化学的にイミド化することにより得られる。
一般式(3)中のYは4価の有機基を表し、具体的には、炭素数2〜27の、脂肪族基、脂環族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、さらに芳香族基が直接または架橋員によって相互に連結された非縮合環式芳香族基を挙げることができる。
また、一般式(4)で表されるジアミンの具体例としては、例えばポリテトラメチレンオキシド−ジ−o−アミノベンゾエート、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−m−アミノベンゾエート、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリトリメチレンオキシド−ジ−o−アミノベンゾエート、ポリトリメチレンオキシド−ジ−m−アミノベンゾエート、ポリトリメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエートである。
このジアミンの全ジアミン成分に含まれる量は10モル%以上、好ましくは20モル%以上である。10モル%未満であると接着温度が高くなり好ましくない場合がある。
本発明において、ポリイミドという表現は、100%イミド化したポリイミド以外に、その前駆体であるポリアミド酸が一部共存した樹脂も含んでいる。
また、上記反応で得られたポリイミド溶液はそのまま用いても良いが、該ポリイミド溶液を貧溶媒中に投入してポリイミドを再沈析出させても良い。
エポキシ樹脂の配合量は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、1〜200重量部、好ましくは1〜100重量部である。1重量部未満では高温で十分な接着強度が得られず、200重量部を超えるともろくなり、フィルム状接着剤とした際、もろくなる可能性がある。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFのグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ化合物等が挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、イミダゾールシラン(C)の他にその他の硬化剤を含有しても良い。その他の硬化剤としては、例えば、イミダゾール系硬化剤、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。樹脂組成物の保存安定性という観点から、好ましくは、熱潜在性及び長い可使時間を有するものが良い。
上記の本発明の樹脂組成物を用いてフィルム状接着剤を製造する方法は特に制限はなく、例えば、該樹脂組成物を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液を、樹脂フィルムや耐熱性フィルムの片面または両面に塗布した後、加熱して溶媒を揮発させフィルム化する方法が挙げられる。
フィルム状接着剤の厚さは、1μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましい。1μm未満であると、半導体パッケージ内で用いる際、フィルム状接着剤と支持部材とを確実に接着するのが困難であり、また、50μmを超えても、支持部材に対する埋め込み性等が向上するわけでない。
支持部材としては、リジッド基板、フレキシブル基板、リードフレーム等を、または、チップを数層に積層する場合はチップ、スペーサー等を挙げることができる。
対数粘度:ポリイミド樹脂(固形分換算)をN−メチル−2−ピロリドンに0.5g/dlの濃度で溶液にした後、35℃において、ウベローデ粘度計を用いて測定した。
ガラス転移温度:窒素雰囲気下、RSA−II(レオメトリクス社製)により5℃/分昇温で固体粘弾性を測定し、検出されるtanδのピークを示す温度をガラス転移温度とした。
攪拌機、窒素導入管、温度計、メシチレンを満たしたディーンスターク管を備えた300mlの五つ口のセパラブルフラスコに、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン11.00g、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート(イハラケミカル工業株式会社製、商品名:エラスマー650P、平均分子量836)47.19g、N−メチル−2−ピロリドン92g、メシチレン40gを計り取り、窒素雰囲気下で50℃に加熱し溶解させ、そこにオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物29.48gを少量ずつ添加した。その後、窒素導入管を溶液内に挿入し(バブリング状態にし)、系内の温度を170℃〜180℃に加熱し、水を共沸除去しながら10時間保持した。冷却後、メシチレン73gを加え希釈し、ポリイミド(P−1)の樹脂溶液を得た。このポリイミド樹脂の対数粘度は0.44dl/gであった。
攪拌機、窒素導入管、温度計、メシチレンを満たしたディーンスターク管を備えた300mlの五つ口のセパラブルフラスコに、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、BY16−871EG、分子量248.5)23.00g、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート(イハラケミカル工業株式会社製、商品名:エラスマー650P、平均分子量836)19.34g、N−メチル−2−ピロリドン83g、メシチレン36gを計り取り、窒素雰囲気下で50℃に加熱し溶解させ、そこにオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物36.97gを少量ずつ添加した。その後、窒素導入管を溶液内に挿入し(バブリング状態にし)、系内の温度を170℃〜180℃に加熱し、水を共沸除去しながら10時間保持し、ポリイミド(P−2)の樹脂溶液を得た。このポリイミド樹脂の対数粘度は0.25dl/gであった。
合成例1で得られたポリイミド樹脂100重量部(固形分換算)に対して、エポキシ樹脂(三井化学株式会社製、VG3101L)20重量部、一般式(1)においてZが、−CH2−CH(OH)CH2OCH2CH2CH2−である化合物を主成分として含有するイミダゾールシラン(株式会社日鉱マテリアルズ製、SP−1000)1重量部、シリカ系フィラー(株式会社龍森製、1−FX)39重量部を配合し、攪拌機にて十分に混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を表面処理PETフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、A54、厚さ38μm)上にキャストし、110℃で30分間加熱後、PETフィルムを剥離し、厚さ25μmのフィルム状接着剤を得た。このフィルム状接着剤を30枚重ねてプレス成形し、600μm厚とし、固体粘弾性測定を行った結果、ガラス転移温度は70℃であった。
接着性を評価するために、25μmのフィルム状接着剤をシリコンチップと樹脂基板との間に挟み、120℃、4MPa、60秒間加熱圧着した後、180℃、無荷重、3時間加熱硬化した。得られた試験片の剪断強度を、シェアテスターを用いて、260℃、30秒間加熱時に測定した結果、3MPaであった。
合成例2で得られたポリイミド樹脂を使用した以外は実施例1と同様に樹脂配合して樹脂組成物を得、それを用いてフィルム状接着剤を得た。得られたフィルム状接着剤の接着性評価を行った。結果を表1に記載する。
実施例1におけるイミダゾールシランの代わりにイミダゾール化合物(2PHZ−PW、四国化成株式会社製)を使用した以外は実施例1と同様に樹脂配合して樹脂組成物を得、それを用いてフィルム状接着剤を得た。得られたフィルム状接着剤の接着性評価を行った。結果を表1に記載する。
実施例1及び2で得られたフィルム状接着剤は、一般的な硬化剤を用いた比較例1のフィルム状接着剤に比べて、高温においても優れた接着強度を発現する。
Claims (5)
- 式(2)中、Yはピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、エチレングリコールビストリメリート二無水物、及び2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物からなる群から選択される少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物から誘導される4価の有機基を表す、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記の一分子中にアルコキシ基で置換されたシラン基と、イミダゾール基を少なくとも一つ有する化合物(C)が、一般式(1)で表される構造を有するイミダゾールシランであり、ポリイミド樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部の割合で含有することを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
R1は水素原子、ビニル基または炭素数1〜5のアルキル基を表し、
R2は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、
R3およびR4は炭素数1〜3のアルキル基を表し、
Zは炭素数1〜10のアルキレン基、もしくは炭素数1〜10のアルキレン基における少なくとも一つのメチレン基が酸素原子で置換された基、または水酸基を有する炭素数1〜10のアルキレン基、もしくは水酸基を有する炭素数1〜10のアルキレン基における少なくとも一つのメチレン基が酸素原子で置換された基を表し、
mは1〜3の整数を表す。) - 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物からなるフィルム状接着剤。
- 支持部材と半導体素子とからなる半導体パッケージにおいて、支持部材と半導体素子とが請求項4に記載のフィルム状接着剤で接着されていることを特徴とする半導体パッケージ。
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