JPH11124592A - 冷間圧延方法 - Google Patents

冷間圧延方法

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JPH11124592A
JPH11124592A JP29078097A JP29078097A JPH11124592A JP H11124592 A JPH11124592 A JP H11124592A JP 29078097 A JP29078097 A JP 29078097A JP 29078097 A JP29078097 A JP 29078097A JP H11124592 A JPH11124592 A JP H11124592A
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正法 北浜
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亮伸 石渡
Natsuki Namura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】普通鋼、ステンレス、および電磁鋼板などを冷
間圧延する方法に関し、圧延油エマルションおよびその
使用方法を適正化することによりチャタリングなどの異
常現象を防止する圧延方法の提供。 【解決手段】(a)動植物油脂、鉱油およびエステルか
らなる群から選ばれる少なくとも1種の基油、(b)α
−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体に、N,N
−ジアルキルアミノアルキルアミンを付加させて得たカ
チオン性乳化剤、(c)ポリエチレングリコールを親水
性基とし、これに変性ポリエステル、またはポリオレフ
ィンを親油性基として、櫛型にグラフト化させて得たノ
ニオン性高分子化合物、及び(d)高級脂肪族アルコー
ルを含有することを特徴とする冷間圧延油組成物、およ
び該組成物を用いる冷間圧延方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、普通鋼、ステンレ
ス、および電磁鋼板などを冷間圧延する方法に関し、圧
延油エマルションおよびその使用方法を適正化すること
によりチャタリングなどの異常現象を防止する圧延方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】冷間圧延においては、荷重(摩擦係数)
低減、ロール冷却、ロール摩擦の低減などを目的として
冷間圧延油が用いられる。冷間圧延油の給油システム
は、直接給油と循環給油とに大別できる。
【0003】直接給油システムでは、被圧延板あるいは
ロールに噴射された圧延油(通常圧延油エマルション)
は、圧延機下部に設けられたピットから系外に排出され
るため、圧延油は常に新しい状態で供給される。
【0004】これに対して、本願発明が対象とする循環
給油システムでは、圧延油エマルションのタンクから吸
引され、被圧延板あるいはロールに噴射された圧延油
は、圧延機下部に設けられたピットから再びタンクに戻
され、循環使用される。なお、圧延時に発生する鉄粉等
の異物を除去するためにフィルターシステムを有するの
が一般的である。循環給油システムの場合、エマルショ
ン中の油滴の粒径(以下、エマルシュン粒径と呼ぶ)、
乳化安定性、鉄粉等の異物の混入量、酸価、鹸化価等の
圧延油エマルションの性状を一定の適正値に保つ必要が
ある。特に、エマルション粒径と乳化安定性は圧延特性
に大きな影響を与える。
【0005】エマルション粒径が小さすぎる場合、ノズ
ルから噴射されたエマルション中の油滴が被圧延材の表
面へプレートアウトする量が減少し、有効な潤滑特性が
得られない。その結果、圧延荷重が増大し、極端な場合
はヒートストリークと呼ばれる焼き付き現象やチャタリ
ングと呼ばれる張力変動や板厚変動を伴う振動現象が発
生する場合がある。また、エマルション粒径が大きすぎ
る場合には、プレートアウト量が増大し、潤滑過多とな
る場合がある。その際には、被圧延材とロール間でスリ
ップが発生し、圧延不能となる場合がある。被圧延材と
ロール間でスリップが発生する様な圧延状態では、張力
や板厚が不安定となり、圧延機廻りの固有振動数と共振
してチャタリングが発生する場合がある。このように、
エマルション粒径は小さすぎても大きすぎてもチャタリ
ングの原因となるために、エマルション粒径を適正な範
囲に保つことが安定圧延のために重要である。適正なエ
マルション粒径は、被圧延材の変形抵抗や圧下率等の圧
延条件、圧延油の組成、および給油条件(スプレー圧な
ど)によって変化するが、一般に平均粒径が2〜15μ
m程度とされている。
【0006】乳化安定性は、エマルションの均一性に影
響する。エマルションは圧延油原液と水とを所定の濃度
になるような割合でタンク内に投入し、タンク内で攪拌
・均一化することにより得られ、得られたエマルション
はタンクから吸引され、ポンプにより昇圧された後にス
プレーノズルより噴射される。タンクではエマルション
の液面の変動も考慮して中層以下から吸引されるのが一
般的である。この際、エマルションの乳化安定性が悪い
と、タンク内の攪拌のみでは均一化せず、油分が上層に
浮上する場合がある。必然的に中層および下層のエマル
ション濃度は所定の値よりも低くなり、スプレーより実
際に噴射されるエマルションの濃度が低下し、潤滑性が
悪化する。潤滑性の悪化により荷重が増大し、極端な場
合はチャタリングが発生することがある。また、乳化安
定性が悪い場合は、一般的にエマルション粒径の分布が
広くなり、たとえ平均粒径が同じであっても、異常に大
きな油滴が混在する場合がある。エマルション粒径がそ
ろっていない場合、大きな油滴が付着した部分と通常の
油滴が付着した部分のプレートアウト量が異なり、被圧
延材の粗度・光沢ムラや、スリップおよびチャタリング
が発生する場合がある。
【0007】このような圧延油エマルションの性状によ
る異常圧延現象を防止するために、例えば特開昭60−
1292号公報に開示されるように、「圧延油に、乳化
分散材としてカチオン性高分子化合物と特定の非イオン
性界面活性剤とを添加してなる、潤滑性、潤滑安定性、
新油補給性に優れた標記圧延油」や、特開昭60−20
3699号公報に開示される、「圧延油に、両性高分子
化合物等及びHLB価の異なる二種の非イオン界面活性
剤からなる乳化分散剤を配合してなる、潤滑性、潤滑安
定性、新油補給性及び浮上油の再乳化分散性良好な圧延
油」等が従来技術としてある。しかしながら、いずれの
技術においても、圧延油の乳化機構が十分に把握されて
いないために圧延油の経時劣化に伴う乳化状態の変化お
よび乳化状態の変化に伴う圧延潤滑性の変化に十分な配
慮がなされておらず、時に潤滑の過不足によるチャタリ
ングや焼き付き現象が発生し、その効果は満足のいくも
のではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、圧延油の乳
化安定性に優れ、鋼板上へのプレートアウト量を好適な
範囲に保持することが可能となり、潤滑の過不足による
異常圧延現象を防止できる冷間圧延方法を提供しようと
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、動植物油脂
・鉱油・およびエステルから選ばれる一種以上の基油に
カチオン性乳化剤・ノニオン性高分子化合物・およびア
ルコールを含有する冷間圧延油を用いると、混入物によ
る劣化の少ない優れた乳化安定性を有する圧延油とな
り、この圧延油を用いてタンク内の温度およびスプレー
圧力を所定の値に制御すれば異常圧延現象を防止できる
ことを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明
は(a)動植物油脂、鉱油およびエステルからなる群か
ら選ばれる少なくとも1種の基油、(b)α−オレフィ
ンと無水マレイン酸との共重合体に、N,N−ジアルキ
ルアミノアルキルアミンを付加させて得たカチオン性乳
化剤、(c)ポリエチレングリコールを親水性基とし、
これに変性ポリエステル、またはポリオレフィンを親油
性基として、櫛型にグラフト化させて得たノニオン性高
分子化合物、及び、(d)高級脂肪族アルコールを含有
することを特徴とする冷間圧延油組成物、ならびに循環
給油システムを用いた薄鋼板の冷間圧延において、前記
冷間圧延油組成物を1〜10vol%の濃度のエマルシ
ョンとし、タンク内のエマルション温度を30〜70℃
とし、エマルション給油時のスプレー圧力を4〜12気
圧として薄鋼板の冷間圧延を行なうことを特徴とする冷
間圧延方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明においては、基油として動
植物油脂、鉱油、およびエステルからなる群から選ばれ
る少なくとも1種を使用する。動植物油脂としては牛
脂、豚脂、羊脂、魚油、鯨油、パーム油、ヤシ油、なた
ね油、オリーブ油、ひまし油、大豆油等が挙げられる。
エステルとしては炭素数8〜18の高級脂肪酸と、炭素
数1〜8の脂肪族アルコールまたはグリコールとのエス
テルが挙げられ、具体的には、メチルラウレート、ブチ
ルラウレート、ブチルステアレート、ペンチルオレエー
ト、オクチルミリスチレート、ソルビタンモノラウレー
ト、ソルビタンモノパルミテート、オレイン酸モノグリ
セライド、オレイン酸ジグリセライド等が例示される。
これらの基油は単独でも数種組み合わせて使用してもよ
い。
【0011】本発明では、乳化剤としてカチオン性乳化
剤と、ノニオン性高分子化合物を併用する。
【0012】圧延油と水を混合して攪拌した場合、機械
的攪拌によって圧延油は微小な油滴となる。圧延油中に
含まれる乳化剤は、油滴の表面に、親油基が油滴側で親
水基が水側となるように配向する。その結果水中に分散
した油滴はある程度の時間に亘って再度合一することな
く、エマルションとして保たれる。このような圧延油エ
マルションを循環給油形式で用いて冷間圧延を施した場
合、圧延中に被圧延材の表面から発生する微細な鉄粉
や、また電磁鋼板の場合は酸化珪素粉がエマルション中
に混入する。一般的な圧延油エマルションは弱酸性であ
り、アニオン系とノニオン系の乳化剤を併用した場合
は、油滴表面は負に帯電し、一方鉄粉などの混入物は正
に帯電する。このため、電気的な凝集力により油滴中に
鉄粉などの混入物が取り込まれ、油滴中に取り込まれた
混入物の作用で圧延油の劣化が促進され、乳化が不安定
となる。
【0013】本発明においては、乳化剤として、ノニオ
ン系とカチオン系の混合系を用いることにより、上記の
ような鉄粉などの油滴中への混入を防止することができ
る。すなわち、油滴表面に配向したノニオン系とカチオ
ン系の乳化剤の作用で、油滴の表面を鉄粉などの混入物
と同じ正に帯電させることができ、このため電気的な排
斥力のために油滴と混入物が合一することなく、乳化安
定性が保たれるのである。
【0014】本発明で使用するカチオン性乳化剤は、α
−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体に、N,N
−ジアルキルアミノアルキルアミンを付加させて得られ
るものである。そのような付加物の例としては、例え
ば、α−オレフィン/無水マレイン酸共重合体のジメチ
ルアミノプロピルアミン付加物、α−オレフィン/無水
マレイン酸共重合体のジエチルアミノヘキシルアミン付
加物を挙げることができる。そのようなカチオン性乳化
剤は分子量が好ましくは500〜5万であり、特に好ま
しくは1000〜2万である。また、そのようなカチオ
ン性乳化剤の添加量は圧延油組成物総重量に対して好ま
しくは0.1〜10重量%であり、特に好ましくは0.
5〜5.0重量%である。添加量が0.1重量%未満の
場合には、乳化が不十分であり、また、10重量%を越
えて添加しても、乳化性及びその効果の向上は認めらず
経済的に不利となる。
【0015】本発明で使用するノニオン性高分子化合物
はポリエチレングリコールを親水性基とし、これに変性
ポリエステル、又はポリオレフィンを親油性基として、
櫛型にグラフト化させて得た高分子化合物である。その
ようなノニオン性高分子化合物の例としては、具体的に
は、インペリアルケミカル社製造のハイパーマーB−2
46、B−261、A−60を挙げることができる。そ
のような高分子化合物の添加量は圧延油組成物総重量に
対して好ましくは0.01〜10.0重量%であり、特
に好ましくは0.1〜5.0重量%である。添加量が
0.01重量%未満の場合には、所望の性能が不十分と
なり、また、10重量%を越えて添加しても、その効果
の増大は認められず経済的に不利となる。
【0016】本発明ではアルコールを用いる。ロールバ
イトにおいては、エマルション中の油滴が優先的に導入
されるためにエマルションの実質的な濃度が増大し、通
常のO/W型エマルションからW/O型エマルションへ
の転相が起こり、その際エマルションの粘度が急激に上
昇し、被圧延材表面のオイルピットマークによる表面品
質の劣化や極端な場合は潤滑過多によるスリップやチャ
タリングが発生する場合があるが、アルコールを併用す
るとこれらの問題を解決できるからである。
【0017】本発明で使用するアルコールとは、高級脂
肪族アルコールであり、好ましくは炭素数が8〜20の
脂肪族アルコールであり、特に好ましくは炭素数が10
〜18の脂肪族アルコールである。高級脂肪族アルコー
ルの例としては、具体的には、デシルアルコール、ラウ
リルアルコール、パルミチルアルコール、オレイルアル
コール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコ
ールを挙げることができる。高級脂肪族アルコールの添
加量は圧延油組成物総重量に対して好ましくは0.5〜
15重量%であり、特に好ましくは1.0〜10重量%
である。添加量が0.5重量%未満の場合には、冷間圧
延後の被圧延材表面粗度の向上の効果が不十分であり、
また、15重量%を越えて添加しても、その効果の増大
は期待できない。
【0018】本発明の冷間圧延油組成物は、上記した成
分の他に、従来公知の油性向上剤、リン系極圧添加剤、
酸化防止剤、防錆添加剤等を含有していてもよい。油性
向上剤としては、例えばラウリン酸、パルミチン酸、ミ
リスチン酸、オレイン酸等を例示することができる。リ
ン系極圧添加剤としては、ジンクジチオホスファイト、
炭素数10〜18のジアルキルハイドロジェンホスファ
イト、トリアルキルホスファイト等を例示することがで
きる。
【0019】酸化防止剤としては、4−ヒドロキシメチ
ル−2,4−ジ−t−ブチルフェノール、ブチル化ヒド
ロキシアニソール等のフェノール系化合物を例示するこ
とができる。防錆添加剤としては、アルケニル無水コハ
ク酸、脂肪酸のアミン塩等を例示することができる。
【0020】本発明におけるエマルション濃度は1〜1
0vol%であり、好ましくは1〜5vol%で、特に
好ましくは1〜3vol%である。エマルション中の圧
延油濃度についても、鋼板のプレートアウト量に影響を
与えるため、好適な範囲を求めるための実験を行なっ
た。結果を第6図に示すが、エマルション濃度が1vo
l%未満では、油滴の存在確立が低いために、プレート
アウト量が著しく減少し、良好な潤滑性が得られない。
また、10vol%を超える高濃度にしても前述の油膜
への油滴の衝突時の再乳化と同様の機構でプレートアウ
ト量自体はさほど変化せず、経済的でない。
【0021】また、本発明は圧延油成分とその濃度、タ
ンク内の温度を規定し、及びスプレー圧力を4〜12気
圧とすることにより、エマルションの平均粒径を10μ
m以下、好ましくは8μ以下で安定して被圧延板に供給
することができる。
【0022】本発明による冷間圧延方法の概要を図1に
示す。本発明に好ましく用いられる装置の例を用いて説
明するが、本発明方法はこれらの装置に限定されない。
タンク1内には1〜10vol%濃度の所定の構成を持
つ圧延油成分と水の混合物が入れられ、温度30〜70
℃で攪拌し、25〜10μmの平均粒径の油滴からなる
エマルションにする。タンク1内のエマルションは供給
管3を介してポンプ5内へ送られ、ポンプ5内でさらに
攪拌され、15〜7μm程度の平均粒径になる。圧延油
エマルションは、ポンプ5から配管6を介してノズル1
5からスプレー圧力4〜12気圧で平均粒径10〜4μ
mで放出される。冷間圧延ロールは、圧延ロール9、1
1の間にストリップ10が通板されて圧延される。ノズ
ルから放出された圧延油は、圧延機下部に設けられたピ
ット17で受けられ回収管19によりタンクに戻され、
フィルター21で不純物を除去してから再び圧延油とし
て循環使用される。
【0023】本発明ではエマルションの給油時のスプレ
ー圧力を4〜12気圧とし、好ましくは5〜8気圧とす
る。スプレー圧力が4気圧以上の場合、プレートアウト
量はほぼ一定値となり、バラツキも減少するからであ
る。また、12気圧を超えるような圧力としてもプレー
トアウト量は変化せず、いたずらにポンプおよび配管の
耐圧を増加させる必要があるのみなので、経済的ではな
い。前述のように、被圧延材表面へのプレートアウト量
を適正に保ち、安定圧延を達成するためには、エマルシ
ョン粒径を適正な範囲に保つことが必要とされる。この
ため、エマルション粒径がタンク−ポンプ−スプレーノ
ズル等からなる循環給油システム中でどのように変化す
るかについて調査した。まず、タンク内では水と油を適
正な割合で混合し、攪拌装置により攪拌し、板を圧延し
ない状態でエマルションを循環し、循環給油システムの
各場所でエマルション粒径の経時変化を従来用いられて
いた圧延油と本発明に用いる圧延油を比較して調査した
結果を第2図に示す。エマルション粒径は循環開始後約
5時間で定常状態に達し、粒径はスプレーノズル<ポン
プ出側<タンク内の順となることが判明した。タンク内
では攪拌機による混合効果のみであり、それにスプレー
ポンプによる機械的攪拌が付加されるとエマルション粒
径は小さくなり、その後ノズルスプレーから噴射される
ときの機械的攪拌効果によってエマルション粒径がさら
に小さくなるものと考えられる。従来用いられていた圧
延油と本発明に用いる圧延油を比較すると、タンク内で
のエマルション粒径はさほど変わらないものの、ポンプ
およびスプレーで強力な機械的攪拌を受けた後には、従
来油と比較して本発明に用いる圧延油の粒径が小さくな
ることが判った。本発明に用いる圧延油は、タンク内で
の粒径が多少変動しても、ポンプおよびスプレーでの機
械的攪拌によりエマルション粒径の変動が抑えられる点
で有利である。
【0024】この機械的攪拌効果を良好に得るために
は、ある程度以上のスプレー圧力が必要とされると考
え、スプレー圧力を様々に変化させてエマルション粒径
および鋼板表面へのプレートアウト量を測定した。エマ
ルション粒径の測定結果を第3図に、プレートアウト量
の測定結果を第4図に示す。これにより、スプレー圧力
が3気圧以上でエマルション粒径はほぼ一定値となり、
さらにプレートアウト量はスプレー圧力が4気圧以上で
ほぼ一定値となり、バラツキも減少することが判明し
た。なお、プレートアウトの機構について考察すると、
前述のように本発明に用いる圧延油エマルションはその
油滴表面が正に帯電しており、鋼板表面と同電位である
ため、電気的な作用によるプレートアウト効果はさほど
期待できない。このため、スプレー圧力をある程度以上
増加して、油滴の鋼板表面への衝突エネルギーを増大さ
せる必要があるためと考えられる。また、ある程度以上
のスプレー圧力では、鋼板表面にプレートアウトした油
膜上にさらに油滴が衝突し、油膜の一部が再乳化するた
めに、プレートアウト量がほぼ一定になるものと考えら
れる。
【0025】本発明においてタンク内におけるエマルシ
ョンの温度は30〜70℃であり、好ましくは40〜6
0℃である。圧延油の温度も乳化安定性に大きな影響を
与えることが知られており、圧延油温度と乳化安定性の
指標であるESIの関係を調査した結果を第5図に示
す。エマルションの温度が30℃未満と低い場合は、エ
マルション中に微生物が繁殖し、エマルションが腐敗劣
化する。また、エマルション温度が70℃を超えて高い
場合は、乳化剤の効果が不安定となり、時にタンク内で
O/W型からW/O型エマルションへの転相が発生し、
ESIが著しく劣化する場合がある。
【0026】本発明の方法を適用する薄鋼板としては、
普通鋼、ステンレス、および電磁鋼板などが例示され
る。
【0027】以上をまとめると、本発明の方法は、循環
給油システムを用いた薄鋼板の冷間圧延において、動植
物油脂、鉱油、およびエステルからなる群から選ばれる
少なくとも一種の基油と、カチオン性乳化剤、ノニオン
性高分子化合物、およびアルコールを含有する冷間圧延
油組成物を1〜10vol%の濃度のエマルションと
し、タンク内のエマルション温度を30〜70℃とし、
エマルション給油時のスプレー圧力を4〜12気圧とす
ることにより、圧延油の乳化安定性に優れ、鋼板上への
プレートアウト量も好適な範囲に保つことができるため
に、潤滑の過不足による異常圧延現象を防止できる。
【0028】
【実施例】本発明による冷間圧延方法の効果を確認する
ために、5スタンドタンデムミルにおける実機実験を行
なった。圧延材として、酸洗後の板厚が2.3mmの低
炭素鋼を母板として30コイル用意し、仕上げ厚が0.
2mmとなる条件で圧延を行なった。比較の為に、従来
の方法による圧延も事前に行なった。従来法と本特許に
よる方法を比較して第1表に示す。
【0029】
【0030】表1に記載の物質は以下のとおりである。 鉱油:マシンG−9(出光興産社製) ノニオン乳化剤:ノイゲンET−109(第一工業社
製) アニオン乳化剤:ラピゾールB−80(日本油脂社製) カチオン乳化剤:PAN124B(大同化学工業社製) 脂肪酸:牛脂脂肪酸(日本油脂社製) ジエステル:ユニスターE−281(日本油脂社製) P系極圧剤:ケレックスH−180D(堺化学社製) アルコール:OX−1415(日産化学社製) 酸化防止剤:BHT(住友化学社製) 重合防止剤:NOC224(大内新興社製)
【0031】圧延結果を第7図に示す。従来油では、圧
延開始後速度を1200mpm程度まで上げると潤滑の
過不足によりチャタリングが発生し、圧延速度を600
mpm程度に抑えて圧延する必要があった。これに対し
て、本特許を適用した場合には、チャタリングが発生す
ることなく、本圧延機の最高速度である1600mpm
での安定した圧延が可能であった。
【0032】また、従来法と本発明による長期圧延試験
結果の比較を第8図(a)〜(d)に示す。従来法、本
発明とも、作動油等の混入の影響で、時たまタンク内の
ESIが下がり、乳化安定性が悪化する場合がある。こ
の影響で、タンク内からサンプリングしたエマルション
粒径はESIが低下した場合に多少大きくなった。一
方、スプレーノズルからサンプリングしたエマルション
の粒径は、従来法ではタンク内の粒径変化の影響を大き
く受けているのに対し、本発明によれば、タンク内の粒
径の変動にもかかわらずスプレー部での粒径はほぼ一定
値を保っている。その結果、従来法では最高到達圧延速
度が1500mpm程度、エマルションの乳化安定性が
劣化した場合は600mpm程度であったのに対し、本
発明によれば最高速度である1600mpmでの安定圧
延が可能となった。
【0033】また、従来法では、乳化状態が不安定にな
った場合はエマルションの一部を系外にダンプアウトし
て新油を大量に補強する必要があったのに対し、本発明
ではタンク内の乳化安定性が多少劣化しても圧延そのも
のにはさほど影響を与えないので新油の補給量が少な
く、結果として第9図に示すように圧延油の原単位が向
上するという効果も得られた。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、圧延油の乳化安定性に
優れ、鋼板上へのプレートアウト量も好適な範囲に保つ
ことができるために、潤滑の過不足によるスリップ、ヒ
ートストリーク、チャタリング等の異常圧延現象を防止
できる。なお、圧延油の乳化安定性が優れており、タン
ク内での油分の分離・浮上も少ないために、圧延油の原
単位が向上するという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の概要を示す図である。
【図2】 エマルション粒径の推移を示す図である。
【図3】 エマルション粒径とスプレー圧の関係を示す
図である。
【図4】 プレートアウト量とスプレー圧の関係を示す
図である。
【図5】 エマルション温度と乳化安定性の関係を示す
図である。
【図6】 プレートアウト量と圧延油濃度の関係を示す
図である。
【図7】 本発明の効果(短期試験結果)を表す図であ
る。
【図8】 (a)〜(d)は、それぞれ本発明の効果
(長期圧延試験)を表す図である。
【図9】 本発明と従来法の圧延油原単位を比較した図
である。
【符号の説明】
1 タンク 3 供給管 5 ポンプ 6 配管 7、13 バックアップロール 9、11 圧延ロール 10 ストリップ 15 ノズル 17 ピット 19 回収管 21 フィルター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 149/06 C10M 149/06 // C08L 23/26 C08L 23/26 51/08 51/08 C10N 30:00 40:24

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)動植物油脂、鉱油およびエステルか
    らなる群から選ばれる少なくとも1種の基油、 (b)α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体
    に、N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンを付加さ
    せて得たカチオン性乳化剤、 (c)ポリエチレングリコールを親水性基とし、これに
    変性ポリエステル、またはポリオレフィンを親油性基と
    して、櫛型にグラフト化させて得たノニオン性高分子化
    合物、及び (d)高級脂肪族アルコール を含有することを特徴とする冷間圧延油組成物。
  2. 【請求項2】循環給油システムを用いた薄鋼板の冷間圧
    延において、請求項1に記載の冷間圧延油組成物を1〜
    10vol%の濃度のエマルションとし、タンク内のエ
    マルション温度を30〜70℃とし、エマルション給油
    時のスプレー圧力を4〜12気圧として薄鋼板の冷間圧
    延を行なうことを特徴とする冷間圧延方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011132427A (ja) * 2009-12-25 2011-07-07 Kyodo Yushi Co Ltd 電磁鋼板用冷間圧延油組成物及び圧延方法

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