JPH1112381A - 熱可塑性樹脂系発泡体 - Google Patents

熱可塑性樹脂系発泡体

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JPH1112381A
JPH1112381A JP9171759A JP17175997A JPH1112381A JP H1112381 A JPH1112381 A JP H1112381A JP 9171759 A JP9171759 A JP 9171759A JP 17175997 A JP17175997 A JP 17175997A JP H1112381 A JPH1112381 A JP H1112381A
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JP
Japan
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resin
liquid crystal
crystal resin
foam
temperature
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JP9171759A
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English (en)
Inventor
Yasushi Kawabata
康史 川端
Kenji Miyazaki
健次 宮崎
Kouichi Karikaya
孝一 刈茅
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的強度及び寸法安定性に優れた熱可塑性
樹脂系発泡体及びその製造方法を得る。 【解決手段】 熱可塑性樹脂と液晶樹脂からなる発泡体
であり、表面層の液晶樹脂含有割合が内部層の液晶樹脂
含有割合よりも高くされている熱可塑性樹脂系発泡体、
並びに液晶樹脂と、熱可塑性樹脂と、揮発性発泡剤もし
くは無機ガスとを混合し、液晶樹脂の転移点より6〜5
0℃高い温度に設定された押出機先端より押出発泡させ
る熱可塑性樹脂系発泡体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂系発
泡体に関し、より詳細には、液晶樹脂を複合化させるこ
とにより寸法安定性及び機械的強度が高められた熱可塑
性樹脂系発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱可塑性樹脂系発泡体は、緩
衝材、断熱材、電気絶縁体などに幅広く利用されてい
る。このような熱可塑性樹脂系発泡体は、その用途によ
って、寸法安定性及び機械的強度等が要求される場合が
あり、ガラス繊維等の強化繊維を発泡体中に分散させた
り、あるいは発泡体の表面に異なる基材等を積層し接合
させたりしている。例えば、特開平4−110129号
公報では、発泡体中にグラスファイバー等の補強材を分
散させ成形する方法が開示されている。また、特許第2
503109号公報では、複合繊維及び/または複合糸
からなる布を発泡体の表面に加熱して貼り付けることに
より補強する方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、発泡体
中にグラスファイバー等の補強材を分散させる方法で
は、グラスファイバー等の補強繊維が分散した状態で発
泡体を成形させるので、補強繊維が破泡を引き起こし、
発泡倍率の高い成形品が得られないという問題があっ
た。
【0004】また、複合繊維及び/または複合糸からな
る布を貼り付ける補強方法では、板材の剛性向上や発泡
体の衝撃破壊時の飛び散り防止には効果があるものの、
発泡層自身の強度は向上させることができず、また重量
が増加するという問題があった。
【0005】本発明の目的は、機械的強度及び寸法安定
性に優れ、かつ発泡倍率を高め得る熱可塑性樹脂系発泡
体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、内部層の少なくとも片側に表面層が形成された構造
を有し、熱可塑性樹脂中に液晶樹脂を混合してなる発泡
体であって、表面層の液晶樹脂含有割合が内部層の液晶
樹脂含有割合よりも高いことを特徴とする熱可塑性樹脂
系発泡体である。
【0007】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の熱可塑性樹脂系発泡体の製造方法であり、液晶樹脂
と、該液晶樹脂の転移点よりも低い融点もしくは溶融温
度を有する熱可塑性樹脂と、揮発性発泡剤もしくは無機
ガスとを、液晶樹脂の転移点以上の温度で押出機内で混
合し、液晶樹脂の転移点より6〜50℃高い温度に設定
した押出機より押出発泡させることを特徴とする。
【0008】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の熱可塑性樹脂系発泡体の製造方法であり、液晶樹脂と
該液晶樹脂の転移点よりも低い融点もしくは溶融温度を
有する熱可塑性樹脂を液晶樹脂の転移点以上の温度で溶
融混合する工程と、得られた混合物に熱可塑性樹脂の融
点もしくは溶融温度以上かつ液晶樹脂の転移点以下の分
解温度を有する熱分解性発泡剤を加え、発泡剤の分解開
始温度以下の温度で溶融混合し、発泡性一次混合樹脂成
形体を成形する工程と、得られた一次混合樹脂成形体の
少なくとも表面を、液晶樹脂の転移点より6〜50℃高
い温度に加熱し発泡させる工程とを備えることを特徴と
する。
【0009】以下、本発明の詳細を説明する。本発明に
用いる熱可塑性樹脂としては、発泡可能な熱可塑性樹脂
であれば特に限定されず、例えば、ABS樹脂、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、フッ素樹脂、アセタール樹
脂、アミド樹脂、イミド樹脂、アミドイミド樹脂、アク
リル樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、ポリエス
テル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリフェ
ニレンオキシド、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン
等、及びこれらの変性材あるいはブレンド材(アロイ
材)等の溶融成形可能な樹脂が挙げられる。これらのう
ち、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、及びそれらの
共重合体等が好ましい。
【0010】熱可塑性樹脂は、必要に応じて、架橋され
たものであってもよく、架橋されたものを用いることに
より、発泡倍率が向上し、得られる発泡成形体の軽量化
を図ることができ、また熱安定性も向上するため好適で
ある。
【0011】架橋の方法は特に限定されるものではな
く、例えば、電子線などの電離性放射線を照射する電子
線架橋法、有機過酸化物を用いた化学架橋法、またはシ
ラン変性樹脂を用いたシラン架橋法などを挙げることが
できる。
【0012】また、本発明に用いる液晶樹脂としては、
上記熱可塑性樹脂の融点より高い液晶転移点温度を有す
るものであれば、特に限定されるものではないが、熱可
塑性液晶ポリエステル、熱可塑性ポリエステルアミドが
好ましく、具体的には、前者の商品名として「ベクト
ラ」(ポリプラスチック社製)、「スミカスーパー」
(住友化学工業社製)、「ザイダー」(日本石油化学社
製)、及び「ロッドラン」(ユニチカ社製)などの市販
品を挙げることができる。
【0013】また、本発明においては、熱可塑性樹脂と
液晶樹脂の互いの相溶性を改善するため、成形前もしく
は成形時に相溶化剤を添加してもよい。このような相溶
化剤としては、例えば、熱可塑性樹脂がオレフィン樹脂
の場合、オレフィン成分とスチレン成分または芳香族ポ
リエステル成分を共重合した重合体、マレイン酸成分ま
たはアクリル酸成分を有するオレフィン樹脂、グリシジ
ルメタクリレート成分を有するオレフィン樹脂共重合体
等が挙げられる。相溶化剤の添加部数は、熱可塑性樹脂
及び液晶樹脂の組成や配合割合などにより適宜選択され
る。
【0014】本発明において、熱可塑性樹脂に対する液
晶樹脂の混合割合は、組成物全体として発泡成形可能な
配合割合であればよく、その割合は熱可塑性樹脂の組成
や製品に必要な性能等によって適宜選択されるが、通
常、組成物全体に対し0.1〜60重量%、好ましくは
1〜30重量%、より好ましくは3〜20重量%の液晶
樹脂混合割合が適当である。液晶樹脂の混合割合が少な
すぎると、液晶樹脂を熱可塑性樹脂に混合し発泡体を形
成した場合、機械的強度及び寸法安定性に優れるという
本発明の効果が得られない場合がある。また、液晶樹脂
の混合割合が多すぎると、破泡が随所に見られ、均一な
発泡体が得られない場合がある。
【0015】発泡体の発泡倍率は、組成や製品に必要な
性能、用途に応じて適宜選択されるが、通常2〜50
倍、好ましくは2〜30倍の範囲が適当である。発泡倍
率が高すぎると発泡セルの径及び分布が不均一となり、
均一な発泡成形品が得られない場合がある。
【0016】本発明に係る熱可塑性樹脂系発泡体を得る
にあたって用いられる発泡剤としては、熱分解性発泡
剤、揮発性発泡剤及び/または無機ガス等が用いられ
る。上記熱分解性発泡剤は、用いられる熱可塑性樹脂の
溶融温度より高い分解温度を有するものであれば特に限
定されず、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウ
ム、重炭酸アンモニウム、アジド化合物、ほう水素化ナ
トリウム等の無機系熱分解性発泡剤;アゾジカルボンア
ミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N’−ジニト
ロソペンタメチレンテトラミン,P,P’−ジニトロソ
ペンタメチレンテトラミン,P,P’−オシキビスベン
ゼンスルホニルヒドラジロ、アゾジカルボン酸バリウ
ム、トリヒドラジノトリアジン等が挙げられ、分解温度
や分解速度の調整が容易でガス発生量が多く、衛生上優
れたアゾジカルボンアミドが好ましい。
【0017】上記揮発性発泡剤としては、例えば、ブタ
ン、ペンタン、ヘキセン、ヘキサン、ヘプタンなどの鎖
式炭化水素類;シクロブタン、シクロペンタン、シクロ
ヘキサンなどの環式炭化水素類;トリクロロフルオロメ
タン、ジクロロフルオロメタン、トリクロロトリフルオ
ロエタン等のハロゲン化炭化水素類などを挙げることが
できる。
【0018】また、上記無機ガスとしては、炭酸ガス、
窒素、ネオン、アルゴンなどの単独のガスあるいは混合
ガスが用いられる。特に、炭酸ガスは、ポリオレフィン
樹脂に対する溶解度が高いので、炭酸ガスまたは炭酸ガ
スを含む無機ガスを用いることが望ましい。
【0019】揮発性発泡剤または無機ガスの使用量(圧
入量)は、揮発性発泡剤もしくは無機ガスの種類、樹脂
組成、所望とする発泡倍率により異なるため一義的には
定め得ないが、一般には、1〜100g/分の速度で、
押出機の注入部に取り付けた圧力計の表示を基準として
25〜150kg/cm2 の圧入圧力範囲で圧入するこ
とが好ましい。
【0020】上記揮発性発泡剤もしくは無機ガスの使用
量が少なすぎると、発泡時のガス膨張圧力が小さくな
り、均一かつ微細な気泡を有する発泡体を得られないこ
とがある。逆に、揮発性発泡剤もしくは無機ガスの使用
量が多すぎると、発泡体時のガスの膨張圧力が高くな
り、気泡膜が破裂し、表面性が悪くなることがあり、か
つ高倍率の発泡体が得られ難い。
【0021】請求項1に記載の発泡体に係る熱可塑性樹
脂系発泡体は、表面層の液晶樹脂含有割合が内部層の液
晶樹脂含有割合よりも高いことを特徴とするが、ここ
で、液晶樹脂含有割合が異なる表面層は、発泡体の少な
くとも片面に形成されている。また、この表面層の厚み
2 は、発泡体の全体の厚みをT1 とした場合、0.0
1T1 〜0.3T1 の割合の部分である。この場合、表
面層が内部層両面に設けられている場合には、双方の表
面層の厚みの合計は、0.02T1 〜0.6T1の範囲
となる。
【0022】表面層の厚みT2 が0.01T1 より小さ
いと、表面層の液晶樹脂含有割合を高めて寸法安定性及
び機械的強度を高めるという本発明の効果が得られ難
い。また、表面層の厚みT2 が0.3T1 よりも大きい
と、寸法安定性及び機械的強度の向上は図り得るもの
の、発泡体の重量が増加し、好ましくない。
【0023】また、請求項1に記載の発明において、表
面層の液晶樹脂含有割合は、内部層の液晶樹脂含有割合
よりも高ければ、本発明に従って寸法安定性及び機械的
強度を高めることができる。もっとも、好ましくは、表
面層の液晶樹脂含有割合を10〜30重量%、内部層の
液晶樹脂含有割合を3〜15重量%とすることが望まし
い。表面層の液晶樹脂含有割合が10重量%未満では、
寸法安定性及び機械的強度の向上を多く望めないことが
あり、30重量%を超えると発泡体の重量が増加し、好
ましくない。また、内部層の液晶樹脂含有割合が30重
量%未満では、内部層の機械的強度が低下することがあ
り、15重量%を超えると、発泡体の重量増加し、好ま
しくない。
【0024】(請求項2に記載の発明の製造方法の特
徴)請求項2に記載の発明では、まず、液晶樹脂と、該
液晶樹脂のガラス転移点よりも低い融点もしくは溶融温
度を有する熱可塑性樹脂と、揮発性発泡剤もしくは無機
ガスを液晶樹脂の転移点以上の温度で溶融混合する。こ
の場合、具体的には、液晶樹脂、熱可塑性樹脂、及び揮
発性発泡剤もしくは無機ガスを押出機に供給し、押出機
内で混合する。
【0025】液晶樹脂と熱可塑性樹脂との混合割合につ
いては、前述したとおりであり、かつ揮発性発泡剤もし
くは無機ガスの使用量についても前述したとおりであ
る。押出機内で上記各成分を混合した後、液晶樹脂のガ
ラス転移点よりも6〜50℃高い温度に設定された押出
機から押し出し発泡させる。この場合、押出機において
樹脂を押し出す部分、例えば押出機先端の金型の設定温
度を、上記のように液晶樹脂の転移点よりも6〜50℃
高い温度に設定して押し出す。好ましくは、液晶樹脂の
転移点よりも10〜30℃高い温度に押出機の先端の温
度を設定する。押出機の先端の金型の設定温度が液晶樹
脂の転移点よりも6℃高い温度未満では、液晶樹脂を熱
可塑性樹脂と共に円滑に押し出すことができず、液晶樹
脂の転移点より50℃高い温度を超えた温度では液晶樹
脂と熱可塑性樹脂とが分離してしまい、目的とする発泡
体を得ることができなくなる。
【0026】上記のように温度設定された押出機の先端
の金型から連続的に押し出すことにより発泡し、請求項
1に記載の発明に係る熱可塑性樹脂系発泡体が得られ
る。この場合、押出機の先端の金型の口金の形状を、目
的とする発泡体の形状に一致もしくは類似した形状とす
ることが望ましい。さらに、押し出された発泡体を、目
的とする形状に応じた冷却金型内で賦形し、押出方向に
位置された引取機によって引き取ることにより、目的と
する形状の発泡体を得ることができる。
【0027】この場合、熱可塑性樹脂中に存在する液晶
樹脂は、発泡体の強度及び寸法安定性を高めるには、フ
ィブリル化されていることが望ましい。フィブリル状の
液晶樹脂は、発泡体を補強する効果を有すると考えられ
る。ここで、フィブリル状とは、熱可塑性樹脂中に分散
している液晶樹脂のアスペクト比(分散長/分散径)が
少なくとも1.5以上の状態のものをいう。
【0028】液晶樹脂のフィブリルのアスペクト比とし
ては、10以上が好ましい。またフィブリル径として
は、100μm以下が好ましく、より好ましくは10μ
m以下である。また、含まれる液晶樹脂の少なくとも1
0重量%以上、より好ましくは30重量%以上がフィブ
リル状として存在していることが望ましい。発泡体中に
含まれる液晶樹脂のフィブリル化の度合いは、顕微鏡観
察もしくは軟X線観察により測定することができる。
【0029】(請求項3に記載の発明の特徴)請求項3
に記載の発明では、まず、液晶樹脂と、液晶樹脂のガラ
ス転移点よりも低い融点もしくは溶融温度を有する熱可
塑性樹脂と液晶樹脂の転移点以上の温度で溶融混合す
る。この溶融混合については、従来より公知の混合方
法、例えば、押出機で押し出したり、ニーダー中で溶融
混練する方法が用いられる。得られる混合物について
は、次の工程を考慮し、ペレット状もしくは粒子状とす
ることが望ましい。
【0030】なお、熱可塑性樹脂と液晶樹脂との混合割
合については前述したとおりである。次に、熱可塑性樹
脂と液晶樹脂との混合物と熱分解性発泡剤と混合し、発
泡性一次混合樹脂成形体とする。発泡性一次混合樹脂成
形体を得るには、公知の方法を用い得るが、好ましく
は、押出成形法が用いられ、熱可塑性樹脂と液晶樹脂と
を熱分解性発泡剤と同時にもしくは逐次に押出機に投入
し、熱分解性発泡剤の分解温度未満の温度で溶融混合
し、押し出す方法を用いることができる。
【0031】次に、発泡性一次混合樹脂成形体に、必要
であれば架橋を施す。次に、発泡性一次混合樹脂成形体
を発泡する。この発泡工程についても従来より公知の成
形方法を採用することができ、例えば、シート状発泡体
を得る方法としては、発泡性一次混合樹脂成形体を2枚
のベルト間に挟持し、加熱し、連続的に発泡させる方法
などを挙げることができる。
【0032】発泡性一次樹脂成形体の少なくとも表面層
を、液晶樹脂の転移点よりも6〜50℃、好ましくは1
0〜30℃高い温度に加熱し、発泡させる。この場合、
ダクトの表面の温度が液晶樹脂の転移点の温度よりも6
℃高い温度未満の温度では、液晶樹脂の流動性が十分で
なく、表面層の液晶樹脂含有割合を高めることができ
ず、転移点より50℃高い温度を超えた温度では、逆に
流動性が高くなりすぎ、液晶樹脂と熱可塑性樹脂とが分
離してしまうことになる。
【0033】発泡に際し、熱可塑性樹脂中に存在する液
晶樹脂は、発泡体の強度及び寸法安定性を高めるため
に、フィブリル化されていることが望ましい。また、フ
ィブリルのアスペクト及びフィブリル化の度合いについ
ては、請求項2に記載の発明の場合と同様であるため、
請求項2に記載の発明についての説明を援用することに
する。
【0034】(その他)なお、請求項1〜3に記載の発
明において、本発明の効果が損なわれない範囲で、必要
に応じて、難燃剤、充填剤、抗酸化剤、造核剤、顔料等
の添加剤を配合してもよい。例えば、軟燃剤としては、
ヘキサブロモビフェノールエーテル、デカブロモジフェ
ニルエーテル等の臭素系難燃剤、ポリ燐酸アンモニウ
ム、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート
等の含燐系難燃剤、メラミン誘導体、無機系難燃剤等が
挙げられる。
【0035】(作用)請求項1に記載の発明では、表面
層の液晶樹脂含有割合が、内部層の液晶樹脂含有割合よ
りも高くされているため、表面層が内部層に比べて液晶
樹脂により効率よく補強されているので、熱可塑性樹脂
系発泡体の機械的強度及び寸法安定請求項が高められ
る。
【0036】請求項2に記載の発明では、液晶樹脂と、
熱可塑性樹脂と、揮発性発泡剤もしくは無機ガスとを、
混合した後、液晶樹脂の転移点より6〜50℃高い温度
に設定した押出機より押出発泡するため、請求項1に記
載の発明のように、表面層の液晶樹脂含有割合が内部層
に比べて高い熱可塑性樹脂系発泡体が得られる。これ
は、液晶樹脂が、熱可塑性樹脂に比べて流動性が高いた
め、表面層側に液晶樹脂が移動することによるものと思
われる。
【0037】同様に、請求項3に記載の発明において
も、液晶樹脂と熱可塑性樹脂とを液晶樹脂の転移点以上
の温度で溶融混合した後、熱分解性発泡剤を加えて溶融
混合し、発泡性一次混合樹脂成形体を成形し、さらに一
次混合樹脂成形体の少なくとも表面を、液晶樹脂の転移
点より6〜50℃高い温度に加熱し発泡させるので、液
晶樹脂が表面層側に移動し、内部層に比べて液晶樹脂含
有割合が高い表面層を有する熱可塑性樹脂系発泡体が得
られる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、実施例を
挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
【0039】(実施例1)液晶樹脂として、ユニチカ社
製ロッドランLC5000(転移温度285℃)10重
量%、熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン樹脂(融点
165℃、MI=0.3)90重量%からなる配合物を
ベントタイプの押出機のホッパーに供給し、ベント部よ
り炭酸ガスを流量30g/分及び圧力50kg/cm2
で圧入し、500g/分の吐出量で、310℃に設定さ
れた縦5mm×横10mmの口金より押出発泡し、次に
縦10mm×横40mmの断面を有する冷却金型で賦形
し、引取機にて引き取り、熱可塑性樹脂系発泡体を得
た。
【0040】得られた発泡体の表面層(表面から2mm
の厚みの層)の液晶樹脂含有割合は15重量%、内部層
の液晶樹脂含有割合は7重量%であった。この時、液晶
樹脂の形態を電子顕微鏡(倍率500倍)で観察したと
ころ、ほとんどの液晶樹脂がフィブリル化していた。
【0041】(実施例2)液晶樹脂として、ユニチカ社
製ロッドランLC5000(転移温度285℃)10重
量%、熱可塑性樹脂として、無架橋ポリプロピレン樹脂
(融点165℃、MI=0.3)70重量%とシラン架
橋性ホモポリプロピレン(三菱化学社製XPM800
H)30重量%よりなるオレフィン樹脂90重量部から
なる配合物をシリンダー温度290℃に設定された二軸
押出機にて溶融混練し、ストランド状に押し出した後カ
ッティングし、混合ペレットを得た。
【0042】得られたペレット100重量部に対し、1
1重量部のアゾジカルボンアミド(分解開始温度200
℃)をシリンダー温度185℃に設定された二軸押出機
にて溶融混練し、シート状ダイ(出口寸法、幅100m
m×厚さ1mm)より押し出し、成形体を得た。
【0043】得られた成形体を100℃の熱湯に浸漬
し、架橋処理を行った。次に、架橋処理後に、成形体を
オーブンで300℃に加熱し、発泡させ、熱可塑性樹脂
系発泡体を得た。この時、液晶樹脂の形態を電子顕微鏡
(倍率500倍)で観察したところ、ほとんどの液晶樹
脂がフィブリル化していた。また、得られた発泡体の表
面層及び内部層の液晶樹脂含有割合を実施例1と同様に
して測定したところ、表面層の液晶樹脂含有割合は13
重量%、内部層の液晶樹脂含有割合は8重量%であっ
た。
【0044】(比較例1)実施例1において、押出機の
金型の口金の設定温度を290℃としたことを除いて
は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂系発泡体を得
た。この時、液晶樹脂の形態を電子顕微鏡(倍率500
倍)で観察したところ、ほとんどの液晶樹脂がフィブリ
ル化していた。得られた発泡体の表面部分(表面から厚
み2mmの部分)と、内部の液晶樹脂含有割合を測定し
たところ均一な発泡体であることが認められ、本発明に
いう表面層が設けられていないことがわかった。
【0045】(比較例2)実施例2において、オーブン
の温度を290℃に設定したことを除いては、実施例2
と同様にして熱可塑性樹脂系発泡体を得た。この時、液
晶樹脂の形態を電子顕微鏡(倍率500倍)で観察した
ところ、ほとんどの液晶樹脂がフィブリル化していた。
また、得られた発泡体の表面部分(表面から厚み2mm
の部分)の液晶樹脂含有割合及び内部の液晶樹脂含有割
合を測定したところ10重量%であった。
【0046】(熱可塑性樹脂系発泡体の評価)上記のよ
うにして実施例1,2及び比較例1,2で得た各発泡体
を恒温槽に入れ、雰囲気温度を30℃(T1 )から60
℃(T2 )に昇温し、30℃の状態の長さ:L1 と60
℃の状態の長さ:L2 の長さ寸法変化を測定し、その長
さの変化率を温度差で割り、熱膨張係数を求めた。 熱膨張係数(α)=((L2 −L1 )/L1 )/(T2
−T1
【0047】また、各発泡体より、幅40mm、長さ1
00mmのシートを切り出し、スパン間50mm、クロ
スヘッド下降速度25mm/分の条件で常温下、オート
グラフを用いて3点曲げ試験を行い、そのS−Sカーブ
の初期勾配より、曲げ弾性率を求めた。
【0048】以上の結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】表1から明らかなように、実施例1,2で
は、比較例1,2で得た発泡体に比べて、熱膨張係数が
小さく、寸法安定性に優れていることがわかる。また、
曲げ弾性率についても実施例1,2の発泡体が比較例
1,2で得られた発泡体に比べて高く、従って機械的強
度においても優れていることがわかる。
【0051】
【発明の効果】請求項1に記載の発明に係る熱可塑性樹
脂系発泡体では、液晶樹脂が熱可塑性樹脂に混合されて
いるため、液晶樹脂による全体的な補強効果に加えて、
表面層の液晶樹脂含有割合が内部層の液晶樹脂含有割合
よりも高くされているので、表面層が内部層に比べてよ
り効果的に補強されている。従って、熱可塑性樹脂系発
泡体の寸法安定性及び機械的強度を効果的に高め得る。
【0052】請求項2に記載の発明では、液晶樹脂と、
熱可塑性樹脂と、揮発性発泡剤もしくは無機ガスとを押
出機内で混合した後、液晶樹脂の転移点より6〜50℃
高い温度に設定された押出機先端より押出発泡させるの
で、表面側に液晶樹脂が流動し、表面層の液晶樹脂割合
が内部層の液晶樹脂割合より高くされた請求項1に記載
の発明に係る熱可塑性樹脂系発明を確実に得ることがで
きる。
【0053】同様に、請求項3に記載の発明によれば、
液晶樹脂と熱可塑性樹脂を溶融混合し、さらに熱分解性
発泡剤を加えて溶融混合して発泡性一次混合樹脂成形体
を得た後に、該一次混合樹脂成形体の少なくとも表面
を、液晶樹脂の転移点よりも6〜50℃高い温度に加熱
して発泡させるので、発泡に際し、表面側に液晶樹脂が
無理なく移動し、表面層の液晶樹脂含有割合が内部層の
液晶樹脂含有割合よりも高い請求項1に記載の発泡体に
係る熱可塑性樹脂系発泡体を確実に得ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部層の少なくとも片側に表面層が形成
    された構造を有し、熱可塑性樹脂中に液晶樹脂を混合し
    てなる発泡体であって、 表面層の液晶樹脂含有割合が内部層の液晶樹脂含有割合
    よりも高いことを特徴とする熱可塑性樹脂系発泡体。
  2. 【請求項2】 液晶樹脂と、該液晶樹脂の転移点よりも
    低い融点もしくは溶融温度を有する熱可塑性樹脂と、揮
    発性発泡剤もしくは無機ガスとを、液晶樹脂の転移点以
    上の温度で押出機内で混合し、液晶樹脂の転移点より6
    〜50℃高い温度に設定した押出機より押出発泡させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂系発泡
    体の製造方法。
  3. 【請求項3】 液晶樹脂と該液晶樹脂の転移点よりも低
    い融点もしくは溶融温度を有する熱可塑性樹脂を液晶樹
    脂の転移点以上の温度で溶融混合する工程と、 得られた混合物に熱可塑性樹脂の融点もしくは溶融温度
    以上かつ液晶樹脂の転移点以下の分解温度を有する熱分
    解性発泡剤を加え、発泡剤の分解開始温度以下の温度で
    溶融混合し、発泡性一次混合樹脂成形体を成形する工程
    と、 得られた一次混合樹脂成形体の少なくとも表面を、液晶
    樹脂の転移点より6〜50℃高い温度に加熱し発泡させ
    る工程とを備えることを特徴とする請求項1に記載の熱
    可塑性樹脂系発泡体の製造方法。
JP9171759A 1997-06-27 1997-06-27 熱可塑性樹脂系発泡体 Pending JPH1112381A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011162721A (ja) * 2010-02-12 2011-08-25 Hitachi Cable Ltd 発泡樹脂組成物及びこれを用いた発泡樹脂体並びに発泡絶縁電線
WO2023062664A1 (ja) * 2021-10-11 2023-04-20 マクセル株式会社 樹脂シート

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