JP2004307605A - ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法 - Google Patents
ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004307605A JP2004307605A JP2003101193A JP2003101193A JP2004307605A JP 2004307605 A JP2004307605 A JP 2004307605A JP 2003101193 A JP2003101193 A JP 2003101193A JP 2003101193 A JP2003101193 A JP 2003101193A JP 2004307605 A JP2004307605 A JP 2004307605A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polypropylene resin
- sheet
- foamed
- producing
- cooling
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
Abstract
【課題】外観美麗かつ、剛性に優れるポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法を提供する。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂と揮発型発泡剤からなる混合物を押出機内で溶融混練し低圧領域に吐出させて製造される、密度0.10〜0.30g/cm3、厚さ方向平均セル数7個以上のポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法であって、ダイから吐出されたポリプロピレン系樹脂発泡シートを、該発泡シート表面温度が70℃以下まで冷却(1)した後に、該発泡シートの片面もしくは両面を非接触で再加熱し、直後に、圧縮・冷却(2)することを特徴とするポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂と揮発型発泡剤からなる混合物を押出機内で溶融混練し低圧領域に吐出させて製造される、密度0.10〜0.30g/cm3、厚さ方向平均セル数7個以上のポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法であって、ダイから吐出されたポリプロピレン系樹脂発泡シートを、該発泡シート表面温度が70℃以下まで冷却(1)した後に、該発泡シートの片面もしくは両面を非接触で再加熱し、直後に、圧縮・冷却(2)することを特徴とするポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法に関する。更に詳しくは、断熱性、耐熱性、剛性に優れることから、緩衝材や食品容器、断熱材、自動車用部材などの用途で幅広く好適に利用可能なポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂からなる発泡シートは、一般に軽量で、断熱性や緩衝性が良好であり、加熱成形により成形体を得ることが可能であることから、ポリスチレン系樹脂やポリエチレン系樹脂を中心に、緩衝材や食品容器、断熱材、自動車用部材などの用途で幅広く利用されている。また、近年では、耐熱性や、耐溶剤性に優れるポリプロピレン系樹脂も利用されるようになってきた。
しかし、軽量化・高剛性が求めらる食品容器や、自動車部材において使用する場合は、一般にポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形性や剛性など、さらには、外観や印刷性に大きく影響する表面平滑性については満足なものを安価に得ることができていないのが現状である。
成形性や剛性、表面平滑性を改善する方法として非発泡樹脂シートとポリプロピレン系樹脂発泡シートを多層構造とすることが一般的であるが、製造工程が増え煩雑さが増すことでコストアップとなり、軽量さが損なわれる。発泡シート単層構造で成形性や、表面平滑性を満足できれば、上記課題もクリアされると同時に、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの表面平滑性が高いことで、外部応力に対する発泡シートの弱点となり易い部分が少なくなり、高剛性化効果も得られるが、表面平滑性と剛性の両者を満足するには至っていない。
これらの問題に対し、発泡シートを製造する上で原料となるポリプロピレン系樹脂を特定する方法や(特許文献1参照)、特殊な熱分解型発泡剤を用いて電離性放射線または有機過酸化物による架橋させ加熱発泡する方法(特許文献2参照)などが提案されているが、多様な形態の外観美麗なポリプロピレン系樹脂発泡シートを安価に製造する方法としては未だ満足なものは得られていない。また、化学発泡剤による無架橋ポリプロピレン発泡シートを結晶化終了温度以下まで冷却後、融点±20℃まで加熱し、加圧すると同時に冷却する手法が提案されているが、0.20g/cm3以下程度の低密度発泡体に対し、上記条件で製造した発泡シートは、セル膜が非常に薄かったり、厚さ方向のセル数が少ない場合、断熱性が低く、加熱による発泡シート内での破泡が発生しやすく、満足な外観や発泡シート剛性を得られない。(特許文献3参照)
【0003】
【特許文献1】
特開平06−15751号公報(2頁〜3頁)
【0004】
【特許文献2】
特開平07−102101号公報(2頁〜4頁)
【0005】
【特許文献3】
特開2000−43074号公報(2頁〜4頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、外観が美麗であり、表面平滑性に優れ、高剛性のポリプロピレン系樹脂押出発泡シートを容易に得る方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
1.ポリプロピレン系樹脂と揮発型発泡剤からなる混合物を押出機内で溶融混練し低圧領域に吐出させて製造される、密度0.10〜0.30g/cm3、厚さ方向平均セル数7個以上のポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法であって、ダイから吐出されたポリプロピレン系樹脂発泡シートを、該発泡シート表面温度が70℃以下まで冷却(1)した後に、該発泡シートの片面もしくは両面を非接触で再加熱し、直後に、圧縮・冷却(2)することを特徴とするポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法(請求項1)、
2.独立気泡率が50%以上であることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法(請求項2)、
3.ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートを圧縮する前に、該発泡シート表面温度が、再加熱によって90℃〜170℃となることを特徴とする請求項1または2記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法(請求項3)、
4.ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの再加熱の直後の圧縮が0.01〜5MPaの面圧で圧縮することを特徴とする請求項1〜3何れかに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法(請求項3)、
5.冷却(1)と再加熱の工程が、発泡シートを切断することなく連続して行われることを特徴とする請求項1〜4何れかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法(請求項5)、および
6.冷却(1)と再加熱の工程が、冷却の後、発泡シートを一旦切断し、不連続な別工程にて再加熱が実施されることを特徴とする請求項1〜5何れかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法(請求項6)
に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明における、ポリプロピレン系樹脂と揮発型発泡剤からなる混合物を押出機内で溶融混練し低圧領域に吐出させて製造される、密度0.10〜0.30g/cm3、厚さ方向の平均セル数7個以上のポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法は、ダイから吐出されたポリプロピレン系樹脂発泡シートを、該発泡シート表面温度が70℃以下まで冷却(1)した後に、該発泡シートの片面もしくは両面を非接触で再加熱し、直後に、連続式に、もしくバッチ式に圧縮・冷却(2)することにより容易に得られる。
【0009】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂としては、特に制限はないが、プロピレンの単独重合体、またはエチレン、炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる1または2以上の共重合成分とプロピレンのランダム共重合体またはブロック共重合体であるが、所望の形態の発泡シートの製造を容易にする目的で、イソプレンなどのモノマー及びラジカル重合開始剤との反応、または放射線照射などにより変性した樹脂でもよい。ポリプロピレン系樹脂が前記ランダム共重合体またはブロック共重合体である場合、共重合体中にしめるプロピレン成分の割合は75%以上であることが、ポリプロピレン系樹脂の特徴である耐熱性や剛性が損なわれないことから好ましい。
【0010】
また本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂の230℃におけるメルトフローレートは、10g/10分以下、さらには8g/10分以下であることが、押出発泡においてダイでの圧力保持が容易であることから好ましい。
【0011】
さらに、本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂としては、特に制限はないが、230℃で測定したメルトテンションが5g以上であることが、発泡倍率やセル径、独立気泡径の制御を容易に製造しやすいことから好ましい。230℃で測定したメルトテンションが5g未満である場合、発泡時のセル形成において十分な溶融張力がないため、セル膜を形成することが容易でなく、セルが破泡しやすくなる。なお、メルトテンションの測定には東洋精機製メルトテンションテスターを用い、230℃に加熱したポリプロピレン系樹脂を、口径1mm、長さ10mm、流入角45°のオリフィスから1m/minの速度で押出し、該押出物を張力検出用プーリーを通過させて1m/minの速度から加速させながら巻き取り、該押出物が切断される際のテンション値を測定した。
【0012】
また、本発明のポリプロピレン系樹脂として、上記ポリプロピレン系樹脂に、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどのポリエステル系樹脂、エチレン・α−オレフィン共重合体などのゴムなどの1種または2種以上を混合して用いても良く、その場合、添加量を50重量部未満となるように混合することが好ましい。添加量が50重量部以上となると、耐熱性や、耐溶剤性などポリプロピレン系樹脂の特長が損なわれる場合がある。またポリプロピレン系樹脂と他の樹脂を混合して用いる場合、相溶化剤を併用しても良い。相溶化剤を併用する場合、10重量部を越えると押出発泡の長所である経済性が損なわれるほか、耐熱性や耐溶剤性が損なわれる場合がある。
【0013】
次に、本発明においてポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法としては、例えば前記ポリプロピレン系樹脂などの基材樹脂と必要に応じて添加される各種添加剤をブレンダーで混合した後、押出機に供給し、樹脂が溶融したのち発泡剤を高温、高圧下に圧入して混合し、適性発泡温度まで冷却し、押出機先端に設置されるダイスより押出発泡させる方法が挙げられる。
【0014】
本発明において好ましい発泡剤としては、例えばプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、クロロジフルオロメタン、ジクロロメタン、ジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、トリクロロテトラフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、二酸化炭素、窒素、空気などの無機ガス、水などの1種または2種以上の揮発型発泡剤が好ましい。
【0015】
さらに、微細な発泡セルを持つ発泡シートを容易に製造でき、断熱性、剛性に優れた発泡シートを製造しやすいことから、二酸化炭素を単独で用いることが好ましく、また二酸化炭素に上記揮発型発泡剤を併用して用いても良い。二酸化炭素は、気体状、液状の何れでもよいが、液状で使用する方が取り扱いが容易で、安定的に製造できることから好ましい。
【0016】
発泡剤の添加量は発泡剤の種類および目標発泡倍率によって選択されるが、一般に基材樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
【0017】
また、発泡核剤、剛性改良添加剤として、無機充填材を添加してもよい。該無機充填材としては、特に制限はないが、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、軽石粉等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム等の水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等のケイ酸塩、アルミニウム、鉄、亜鉛などの金属の粉末のうち1種または2種以上の無機充填材が好ましい。さらに、微細な発泡セルを持つ発泡シートを容易に製造でき、断熱性、剛性に優れた発泡シートを製造しやすいことから、平均粒径10μm以下のタルクが、より好ましい。平均粒径が10μmより大きいと、独立気泡率が低下および剛性が低下しやすくなる。また、ポリプロピレン系樹脂との混合方法としては、無機充填材は樹脂と無機粉末のドライブレンドによって混合してもよいが、無機充填材がポリプロピレン系樹脂に均一に分散される必要があることから、無機充填材を樹脂中に均一に分散させる目的であらかじめポリプロピレン系樹脂全量と無機充填材をコンパウンド化する方法や、ポリプロピレン系樹脂に高濃度で溶融混合してマスターバッチ化したものを残量のポリプロピレン系樹脂と混合する方法等が挙げられ、これらの内、簡便性・経済性からポリプロピレン系樹脂に高濃度で溶融混合してマスターバッチ化したものを残量のポリプロピレン系樹脂と混合する方法がより好ましい。また、無機充填材の添加量は剛性改良効果と所望の発泡シートを得るための条件を鑑みると1〜50重量部が好ましく1〜30重量部がより好ましい。添加量が1重量部より小さいと剛性改良効果が現れにくく、50重量部より大きいと、発泡シートの重量が大きくなり、軽量性に欠けたり、外観美麗な発泡シートを得られないことがある。
【0018】
さらに発泡シートのセル密度や、厚み方向平均セル数を適宜の大きさに調整するために、必要に応じて、重炭酸ソーダとクエン酸の混合物、タルク、マイカなどの発泡核剤を併用してもよい。必要に応じて用いられる該発泡核剤の添加量は、一般に、樹脂組成物100重量部に対して0.01〜3重量部であることが好ましい。
【0019】
他に、断熱性や剛性、耐熱性、耐溶剤性などの物性を損なわない範囲で、発泡助剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、銅害防止剤、滑剤、顔料などの添加剤を適宜含有していても良い。
【0020】
また、前記押出機先端に設置されるダイスの形状に特に制限はなく、発泡シートの製造に使用されるものとして、例えば、円筒状ダイ、Tダイなどが上げられる。発泡シートの幅や、発泡倍率、独立気泡率等の物性を容易に調整しやすいことから円筒状ダイが好ましい。
次に発泡シートの所望の幅を得る目的、または、所望の気泡構造を得る目的で、発泡シートを冷却するが、冷却方法に、特に制限はなく、冷却ロールにより挟み込んだり、発泡シートへ直接空気を吹きつけたり、水冷または空冷されたマンドレルを使用するなどの方法がある。これらの内、より好ましくは、押出発泡した後にマンドレルへの引取による延伸・冷却が簡便である。
以上の様な冷却方法により発泡シートの表面温度を70℃以下、さらに好ましくは50℃以下とした後に再加熱することが好ましい。ここで、発泡シートの表面温度の測定については、非接触赤外線式温度計で行い、測定を行った。接触式温度計では、応答遅れや、誤差が大きくなる上に連続的に観測しにくいことから、非接触赤外線式温度計で行うことが好ましい。発泡シート表面温度が70℃より高い場合、発泡シート内部の発泡セル構造が固化しておらず、後に続く再加熱・圧縮・冷却工程で破泡・独立気泡率の低下を招くことがある。
冷却に続く工程で、もしくは、一旦巻き取り、別工程で、発泡シートの片面もしくは両面の再加熱を実施する。経済性、簡便性から冷却工程に続いて(インラインで)再加熱することが好ましい。再加熱の方法としては、特に制限はないが、加熱ロール、加熱プレス、熱風ヒーターおよび赤外線ヒーター等が挙げられる。これらの加熱方法の内、非接触で加熱可能な、たとえば、赤外線ヒーター、熱風ヒーターなどが好ましい。発泡シートに高温物を接触して加熱する加熱ローラーなどの場合、発泡シートのわずかな凹凸やヒーターの温度ムラなどにより、加熱ムラが生じたり、接触加熱状態から剥離する際に表面平滑性を悪化させる場合がある。さらに、再加熱により発泡シート温度を80℃〜170℃、より好ましくは90℃〜150℃とした直後に、発泡シート厚み方向に圧縮・冷却する。再加熱時の、発泡シート表面温度が80℃以下の場合、後に続く圧縮・冷却の効果が小さくなることがある。発泡シート表面温度が170℃以上の場合、後に続く圧縮により独立気泡率の低下、シワの発生など、外観や剛性を著しく悪化させる場合がある。
さらに、再加熱はできるだけ短時間であることが好ましく、発泡シート表面昇温速度10℃/s以上であることが好ましい。発泡シート表面昇温速度が10℃/s未満で再加熱する場合、発泡シート全体が加熱されやすく、後に続く圧縮により発泡シート全体の独立気泡率の低下、シワの発生など、外観や剛性を著しく悪化させる場合がある。
続く圧縮・冷却の方法として特に制限はないが、生産性や簡便性を考慮すると、空冷、水冷、もしくは放冷にてロール表面温度が50℃以下に温調された冷却ロールや間欠作動プレスなどでもよく、水冷された金属製冷却ロールが連続的かつ安定的に使用可能で簡便であることからより好ましい。さらに、冷却ロール等による圧縮が、0.01MPa以下の面圧の場合、満足な表面平滑性が得られにくく、5MPa以上の面圧である場合、独立気泡率の低下を招いたり、発泡シートの所望の厚みが得られにくい。発泡シートの両面に対し前記再加熱・圧縮成形する場合、同時に上下面とも再加熱しても良いし、上下面の内一方を再加熱・圧縮成形した後、必要に応じて一旦冷却し、続いて他方を再加熱・圧縮成形しても良い。
本発明の製造方法により得られるポリプロピレン系樹脂発泡シートの密度は0.10〜0.30g/cm3が好ましく、さらに0.12〜0.25g/cm3がより好ましい。密度が、0.30g/cm3より大きくなると発泡シートの単位面積あたりの樹脂量が多く必要となり、発泡シートの非発泡シートに対する優位点である軽量性、経済性が損なわれる傾向が生ずる。また、密度が0.10g/cm3より小さくなると、発泡シートの剛性が損なわれやすい傾向を持つ。
本発明の製造方法により得られるポリプロピレン系樹脂発泡シートの厚さ方向平均セル数は7個以上が好ましく、8個以上がよりが好ましい。厚さ方向平均セル数が7個より小さい場合、発泡シートの断熱性が低く、再加熱により発泡シート全体に熱が伝達し易いため、加熱条件範囲が狭くなり、困難となり易い。厚さ方向平均セル数の上限は特にないが、剛性の高い発泡シートを安定して製造しやすいことから、現実的には50個以下が好ましい。
本発明の製造方法により得られるポリプロピレン系樹脂発泡シートの独立気泡率は50%以上が好ましく、さらに60%以上がより好ましい。独立気泡率はより高いことが好ましいが、高すぎると表面性に影響することもあり得るので、一概にはいえないが、一般的には98%程度までが好ましい。独立気泡率が50%より小さい場合、発泡シートおよび該発泡シートを加熱成形した成形体の剛性の低下を招きやすい。製造の容易さと剛性を考慮すると60〜90%がより好ましい。
【0021】
本発明の製造方法により得られるポリプロピレン系樹脂発泡シートの厚み、および幅は、特に制限はないが、厚さ0.2〜10mm、幅300〜1500mmであることが、経済性、加工性の点で好ましい。
【0022】
本発明の製造方法により得られるポリプロピレン系樹脂発泡シート厚さは、再加熱・冷却・圧縮成形を実施することにより、該発泡シート表層部のセルが扁平配向し、該加工を実施しないものと比較して、発泡シート密度が高くなったり、厚さが薄くなる傾向があるため、所望の発泡シートを得るためには、注意する必要がある。
【0023】
また、本発明の製造方法により得られるポリプロピレン系樹脂発泡シートは他の意匠性を持つ表面性や、加熱成形性などの改良や、さらなる剛性を得る目的のために、前記発泡シート表面に、熱可塑性樹脂からなる非発泡層を片面または両面に形成してもよい。前記熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルスルホン酸系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などを単独または2種以上組み合わせて用いることができるが、発泡シートとの接着性の点からポリプロピレン系樹脂が好ましい。前記非発泡層を成型する方法は特に限定されるものではなく、発泡シートを作成した後に、別途作成した非発泡フィルムを加熱または接着剤を用いてラミネートして成形してもよいし、発泡シート上に別途押出してラミネートしてもよい。
【0024】
【実施例】
つぎに実施例および比較例に基づいて本発明に関する発泡シートについて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
(発泡シートの密度測定)
JIS−K6767に準じて、各発泡シートの比重を測定した。
(発泡シートの独立気泡率の測定)
ASTM D−2856に記載の方法に準じ、エアピクノメータにより測定した。
(厚さ方向セル数測定)
得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの幅方向50mm間隔の部位において、幅方向に平行に切り出した断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて25〜100倍に拡大して観察し、発泡シート厚さ方向のセル数を観察し、平均した値を厚さ方向セル数とした。
(発泡シートの外観・剛性評価)
得られた発泡シート表面において、厚みムラや凹凸が無く、表面平滑性に優れ、手で各方向へ撓ませたときの剛性感が優れた場合、外観・剛性に優れた発泡シート(◎)であると判断し、で各方向へ撓ませたときの剛性感は良好であるが、表面平滑性手のみが不満足な場合、剛性に優れた発泡シート(○)であると判断し、厚みムラや凹凸などが発生し、表面平滑性が不満足な上、剛性感も不満足な場合、外観・剛性共に不満足な発泡シート(×)と判断した。
実施例および比較例には次のポリプロピレン系樹脂を使用した。
【0025】
ポリプロピレン単独重合体(グランドポリマー社製J103WB、メルトインデックス3g/10分)100重量部に対して、ラジカル発生剤としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(1分間半減期温度159℃)0.325重量部を配合し、リボンブレンダーを用いて5分間撹拌した。 この混合物を2軸押出機((株)日本製鋼所製、TEX44)のホッパーから50kg/hの供給速度で供給し、途中に設けた導入部よりイソプレンモノマーを定量ポンプを用いて0.25kg/hの速度で供給し、ストランドを水冷、裁断することにより得た改質ポリプロピレン系樹脂。
実施例および比較例で無機充填材として、次のタルクマスターバッチを使用した。
【0026】
無機充填材マスターバッチ:平均粒径4μm、勝光山鉱業所製 タルク分70重量%マスターバッチ(ベース樹脂:ポリプロピレン)商品名SKZ−T778。
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂を100重量部に重曹−クエン酸混合物を0.1重量部添加し、リボンブレンダーで撹拌混合した配合物(無機充填材9重量%)をφ65−90mmタンデム押出機に供給し、200℃に設定した第1段押出機(φ65mm)中にて溶融させた後、発泡剤として液体二酸化炭素を樹脂に対し、1.1重量部圧入混合し、165℃に設定した第2段押出機(φ90mm)中で冷却し、サーキュラーダイ(φ75mm)より大気圧下に50kg/hにて吐出し、外形200mm、本体長さ200mmの冷却筒にて成形しながら、4.1m/minで引取りつつ内部に空気を吹き付けて延伸・冷却し円筒型発泡体を得た。これをカッターで切り開くことにより635mm幅の発泡シート形状とし、引取機で引取ながら発泡シート表面温度が45℃となるまで放冷した後、熱風ヒーターにて上面を7秒間加熱し、発泡シート表面温度を140℃とし、冷却ロールにて0.1MPaにて圧縮し、表面平滑性、剛性に優れた発泡シートを得た。
(実施例2)
実施例1で重曹−クエン酸混合物を0.1重量部添加する代わりに、無機充填材マスターバッチを10重量部添加し、発泡剤として液体二酸化炭素を樹脂に対し0.9重量部圧入し、引取機で引取ながら発泡シート表面温度が30℃となるまで放冷した後、セラミックパネルヒーターにて上面を6秒間加熱し、発泡シート表面温度を120℃とし、冷却ロールにて0.5MPaにて圧縮した以外は同様の操作によって表面平滑性、剛性に優れた発泡シートを得た。
(実施例3)
実施例1で、押し出された発泡シートを、再加熱することなく引取機で引取・巻取った。該発泡シート(表面温度20℃)を24時間後、セラミックパネルヒーターにて上面を10秒間加熱し、発泡シート表面温度を110℃とし、冷却ロールにて1.5MPaにて圧縮し、再び引取機で引取・巻取った以外は同様の操作によって表面平滑性、剛性に優れた発泡シートを得た。得られた発泡シートの物性を表1に示す。
(実施例4)
実施例1で発泡剤として液体二酸化炭素を樹脂に対し1.1重量部圧入混合する代わりにイソリッチブタン(イソブタン比率85%)を1.8部圧入混合し、引取機で引取ながら発泡シート表面温度が25℃となるまで放冷した後、熱風ヒーターにて上面を10秒間加熱し、発泡シート表面温度を160℃とし、冷却ロールにて0.2MPaにて圧縮した以外は同様の操作によって表面平滑性、剛性に優れた発泡シートを得た。
(実施例5)
実施例1で液体二酸化炭素を樹脂に対し1.1重量部圧入混合する代わりに1.5重量部圧入混合し、引取機で引取ながら発泡シート表面温度が45℃となるまで放冷した後、熱風ヒーターにて上面を10秒間加熱し、発泡シート表面温度を155℃とし、冷却ロールにて0.2MPaにて圧縮した以外は同様の操作によって表面平滑性、剛性に優れた発泡シートを得た。
(実施例6)
実施例1で引取機で引取ながら、発泡シート上面を再加熱・冷却ロールによる圧縮を行った後、冷風を発泡シート表面に吹き付け、下面も上面と同様な工程によって再加熱・冷却ロールによる圧縮を行った以外は同様の操作によって表面平滑性、剛性に優れた発泡シートを得た。
(実施例7)
実施例1で引取機で引取ながら発泡シート表面温度が10℃となるまで放冷した後、熱風ヒーターにて上面を5秒間加熱し、発泡シート表面温度を75℃とし、冷却ロールにて2.0MPaにて圧縮した以外は同様の操作によって剛性に優れた発泡シートを得た。
(実施例8)
実施例3で、セラミックパネルヒーターにて上面を12秒間加熱し、発泡シート表面温度を140℃とし、冷却ロールにて6.0MPaにて圧縮した以外は同様の操作によって剛性に優れた発泡シート発泡シートを得た。
(実施例9)
実施例4で、熱風ヒーターにて上面を10秒間加熱し、発泡シート表面温度を155℃とし、冷却ロールにて0.005MPaにて圧縮した以外は同様の操作によって、剛性に優れた発泡シートを得た。
(比較例1)
実施例1で、実施例1で重曹−クエン酸混合物を0.1重量部添加する代わりに、0.02重量部添加した以外は同様の操作によって外観・剛性共に不満足な発泡シートを得た。
(比較例2)
実施例1で、引取機で引取ながら発泡シート表面温度が75℃となるまで放冷して冷却ロールにて圧縮した以外は同様の操作によって外観・剛性共に不満足な発泡シートを得た。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートが本来有する耐熱性、耐溶剤性、断熱性を全く阻害することなく、特に外観が美麗であり、表面平滑性に優れ、高剛性なるポリプロピレン系樹脂押出発泡シートを工業的に簡便かつ有利に得られることから、緩衝材や食品容器、断熱材、自動車用部材などの用途で幅広く好適に利用可能なポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法および、該製造方法により得られる発泡シートを提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明はポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法に関する。更に詳しくは、断熱性、耐熱性、剛性に優れることから、緩衝材や食品容器、断熱材、自動車用部材などの用途で幅広く好適に利用可能なポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂からなる発泡シートは、一般に軽量で、断熱性や緩衝性が良好であり、加熱成形により成形体を得ることが可能であることから、ポリスチレン系樹脂やポリエチレン系樹脂を中心に、緩衝材や食品容器、断熱材、自動車用部材などの用途で幅広く利用されている。また、近年では、耐熱性や、耐溶剤性に優れるポリプロピレン系樹脂も利用されるようになってきた。
しかし、軽量化・高剛性が求めらる食品容器や、自動車部材において使用する場合は、一般にポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形性や剛性など、さらには、外観や印刷性に大きく影響する表面平滑性については満足なものを安価に得ることができていないのが現状である。
成形性や剛性、表面平滑性を改善する方法として非発泡樹脂シートとポリプロピレン系樹脂発泡シートを多層構造とすることが一般的であるが、製造工程が増え煩雑さが増すことでコストアップとなり、軽量さが損なわれる。発泡シート単層構造で成形性や、表面平滑性を満足できれば、上記課題もクリアされると同時に、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの表面平滑性が高いことで、外部応力に対する発泡シートの弱点となり易い部分が少なくなり、高剛性化効果も得られるが、表面平滑性と剛性の両者を満足するには至っていない。
これらの問題に対し、発泡シートを製造する上で原料となるポリプロピレン系樹脂を特定する方法や(特許文献1参照)、特殊な熱分解型発泡剤を用いて電離性放射線または有機過酸化物による架橋させ加熱発泡する方法(特許文献2参照)などが提案されているが、多様な形態の外観美麗なポリプロピレン系樹脂発泡シートを安価に製造する方法としては未だ満足なものは得られていない。また、化学発泡剤による無架橋ポリプロピレン発泡シートを結晶化終了温度以下まで冷却後、融点±20℃まで加熱し、加圧すると同時に冷却する手法が提案されているが、0.20g/cm3以下程度の低密度発泡体に対し、上記条件で製造した発泡シートは、セル膜が非常に薄かったり、厚さ方向のセル数が少ない場合、断熱性が低く、加熱による発泡シート内での破泡が発生しやすく、満足な外観や発泡シート剛性を得られない。(特許文献3参照)
【0003】
【特許文献1】
特開平06−15751号公報(2頁〜3頁)
【0004】
【特許文献2】
特開平07−102101号公報(2頁〜4頁)
【0005】
【特許文献3】
特開2000−43074号公報(2頁〜4頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、外観が美麗であり、表面平滑性に優れ、高剛性のポリプロピレン系樹脂押出発泡シートを容易に得る方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
1.ポリプロピレン系樹脂と揮発型発泡剤からなる混合物を押出機内で溶融混練し低圧領域に吐出させて製造される、密度0.10〜0.30g/cm3、厚さ方向平均セル数7個以上のポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法であって、ダイから吐出されたポリプロピレン系樹脂発泡シートを、該発泡シート表面温度が70℃以下まで冷却(1)した後に、該発泡シートの片面もしくは両面を非接触で再加熱し、直後に、圧縮・冷却(2)することを特徴とするポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法(請求項1)、
2.独立気泡率が50%以上であることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法(請求項2)、
3.ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートを圧縮する前に、該発泡シート表面温度が、再加熱によって90℃〜170℃となることを特徴とする請求項1または2記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法(請求項3)、
4.ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの再加熱の直後の圧縮が0.01〜5MPaの面圧で圧縮することを特徴とする請求項1〜3何れかに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法(請求項3)、
5.冷却(1)と再加熱の工程が、発泡シートを切断することなく連続して行われることを特徴とする請求項1〜4何れかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法(請求項5)、および
6.冷却(1)と再加熱の工程が、冷却の後、発泡シートを一旦切断し、不連続な別工程にて再加熱が実施されることを特徴とする請求項1〜5何れかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法(請求項6)
に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明における、ポリプロピレン系樹脂と揮発型発泡剤からなる混合物を押出機内で溶融混練し低圧領域に吐出させて製造される、密度0.10〜0.30g/cm3、厚さ方向の平均セル数7個以上のポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法は、ダイから吐出されたポリプロピレン系樹脂発泡シートを、該発泡シート表面温度が70℃以下まで冷却(1)した後に、該発泡シートの片面もしくは両面を非接触で再加熱し、直後に、連続式に、もしくバッチ式に圧縮・冷却(2)することにより容易に得られる。
【0009】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂としては、特に制限はないが、プロピレンの単独重合体、またはエチレン、炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる1または2以上の共重合成分とプロピレンのランダム共重合体またはブロック共重合体であるが、所望の形態の発泡シートの製造を容易にする目的で、イソプレンなどのモノマー及びラジカル重合開始剤との反応、または放射線照射などにより変性した樹脂でもよい。ポリプロピレン系樹脂が前記ランダム共重合体またはブロック共重合体である場合、共重合体中にしめるプロピレン成分の割合は75%以上であることが、ポリプロピレン系樹脂の特徴である耐熱性や剛性が損なわれないことから好ましい。
【0010】
また本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂の230℃におけるメルトフローレートは、10g/10分以下、さらには8g/10分以下であることが、押出発泡においてダイでの圧力保持が容易であることから好ましい。
【0011】
さらに、本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂としては、特に制限はないが、230℃で測定したメルトテンションが5g以上であることが、発泡倍率やセル径、独立気泡径の制御を容易に製造しやすいことから好ましい。230℃で測定したメルトテンションが5g未満である場合、発泡時のセル形成において十分な溶融張力がないため、セル膜を形成することが容易でなく、セルが破泡しやすくなる。なお、メルトテンションの測定には東洋精機製メルトテンションテスターを用い、230℃に加熱したポリプロピレン系樹脂を、口径1mm、長さ10mm、流入角45°のオリフィスから1m/minの速度で押出し、該押出物を張力検出用プーリーを通過させて1m/minの速度から加速させながら巻き取り、該押出物が切断される際のテンション値を測定した。
【0012】
また、本発明のポリプロピレン系樹脂として、上記ポリプロピレン系樹脂に、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどのポリエステル系樹脂、エチレン・α−オレフィン共重合体などのゴムなどの1種または2種以上を混合して用いても良く、その場合、添加量を50重量部未満となるように混合することが好ましい。添加量が50重量部以上となると、耐熱性や、耐溶剤性などポリプロピレン系樹脂の特長が損なわれる場合がある。またポリプロピレン系樹脂と他の樹脂を混合して用いる場合、相溶化剤を併用しても良い。相溶化剤を併用する場合、10重量部を越えると押出発泡の長所である経済性が損なわれるほか、耐熱性や耐溶剤性が損なわれる場合がある。
【0013】
次に、本発明においてポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法としては、例えば前記ポリプロピレン系樹脂などの基材樹脂と必要に応じて添加される各種添加剤をブレンダーで混合した後、押出機に供給し、樹脂が溶融したのち発泡剤を高温、高圧下に圧入して混合し、適性発泡温度まで冷却し、押出機先端に設置されるダイスより押出発泡させる方法が挙げられる。
【0014】
本発明において好ましい発泡剤としては、例えばプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、クロロジフルオロメタン、ジクロロメタン、ジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、トリクロロテトラフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、二酸化炭素、窒素、空気などの無機ガス、水などの1種または2種以上の揮発型発泡剤が好ましい。
【0015】
さらに、微細な発泡セルを持つ発泡シートを容易に製造でき、断熱性、剛性に優れた発泡シートを製造しやすいことから、二酸化炭素を単独で用いることが好ましく、また二酸化炭素に上記揮発型発泡剤を併用して用いても良い。二酸化炭素は、気体状、液状の何れでもよいが、液状で使用する方が取り扱いが容易で、安定的に製造できることから好ましい。
【0016】
発泡剤の添加量は発泡剤の種類および目標発泡倍率によって選択されるが、一般に基材樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
【0017】
また、発泡核剤、剛性改良添加剤として、無機充填材を添加してもよい。該無機充填材としては、特に制限はないが、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、軽石粉等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム等の水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等のケイ酸塩、アルミニウム、鉄、亜鉛などの金属の粉末のうち1種または2種以上の無機充填材が好ましい。さらに、微細な発泡セルを持つ発泡シートを容易に製造でき、断熱性、剛性に優れた発泡シートを製造しやすいことから、平均粒径10μm以下のタルクが、より好ましい。平均粒径が10μmより大きいと、独立気泡率が低下および剛性が低下しやすくなる。また、ポリプロピレン系樹脂との混合方法としては、無機充填材は樹脂と無機粉末のドライブレンドによって混合してもよいが、無機充填材がポリプロピレン系樹脂に均一に分散される必要があることから、無機充填材を樹脂中に均一に分散させる目的であらかじめポリプロピレン系樹脂全量と無機充填材をコンパウンド化する方法や、ポリプロピレン系樹脂に高濃度で溶融混合してマスターバッチ化したものを残量のポリプロピレン系樹脂と混合する方法等が挙げられ、これらの内、簡便性・経済性からポリプロピレン系樹脂に高濃度で溶融混合してマスターバッチ化したものを残量のポリプロピレン系樹脂と混合する方法がより好ましい。また、無機充填材の添加量は剛性改良効果と所望の発泡シートを得るための条件を鑑みると1〜50重量部が好ましく1〜30重量部がより好ましい。添加量が1重量部より小さいと剛性改良効果が現れにくく、50重量部より大きいと、発泡シートの重量が大きくなり、軽量性に欠けたり、外観美麗な発泡シートを得られないことがある。
【0018】
さらに発泡シートのセル密度や、厚み方向平均セル数を適宜の大きさに調整するために、必要に応じて、重炭酸ソーダとクエン酸の混合物、タルク、マイカなどの発泡核剤を併用してもよい。必要に応じて用いられる該発泡核剤の添加量は、一般に、樹脂組成物100重量部に対して0.01〜3重量部であることが好ましい。
【0019】
他に、断熱性や剛性、耐熱性、耐溶剤性などの物性を損なわない範囲で、発泡助剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、銅害防止剤、滑剤、顔料などの添加剤を適宜含有していても良い。
【0020】
また、前記押出機先端に設置されるダイスの形状に特に制限はなく、発泡シートの製造に使用されるものとして、例えば、円筒状ダイ、Tダイなどが上げられる。発泡シートの幅や、発泡倍率、独立気泡率等の物性を容易に調整しやすいことから円筒状ダイが好ましい。
次に発泡シートの所望の幅を得る目的、または、所望の気泡構造を得る目的で、発泡シートを冷却するが、冷却方法に、特に制限はなく、冷却ロールにより挟み込んだり、発泡シートへ直接空気を吹きつけたり、水冷または空冷されたマンドレルを使用するなどの方法がある。これらの内、より好ましくは、押出発泡した後にマンドレルへの引取による延伸・冷却が簡便である。
以上の様な冷却方法により発泡シートの表面温度を70℃以下、さらに好ましくは50℃以下とした後に再加熱することが好ましい。ここで、発泡シートの表面温度の測定については、非接触赤外線式温度計で行い、測定を行った。接触式温度計では、応答遅れや、誤差が大きくなる上に連続的に観測しにくいことから、非接触赤外線式温度計で行うことが好ましい。発泡シート表面温度が70℃より高い場合、発泡シート内部の発泡セル構造が固化しておらず、後に続く再加熱・圧縮・冷却工程で破泡・独立気泡率の低下を招くことがある。
冷却に続く工程で、もしくは、一旦巻き取り、別工程で、発泡シートの片面もしくは両面の再加熱を実施する。経済性、簡便性から冷却工程に続いて(インラインで)再加熱することが好ましい。再加熱の方法としては、特に制限はないが、加熱ロール、加熱プレス、熱風ヒーターおよび赤外線ヒーター等が挙げられる。これらの加熱方法の内、非接触で加熱可能な、たとえば、赤外線ヒーター、熱風ヒーターなどが好ましい。発泡シートに高温物を接触して加熱する加熱ローラーなどの場合、発泡シートのわずかな凹凸やヒーターの温度ムラなどにより、加熱ムラが生じたり、接触加熱状態から剥離する際に表面平滑性を悪化させる場合がある。さらに、再加熱により発泡シート温度を80℃〜170℃、より好ましくは90℃〜150℃とした直後に、発泡シート厚み方向に圧縮・冷却する。再加熱時の、発泡シート表面温度が80℃以下の場合、後に続く圧縮・冷却の効果が小さくなることがある。発泡シート表面温度が170℃以上の場合、後に続く圧縮により独立気泡率の低下、シワの発生など、外観や剛性を著しく悪化させる場合がある。
さらに、再加熱はできるだけ短時間であることが好ましく、発泡シート表面昇温速度10℃/s以上であることが好ましい。発泡シート表面昇温速度が10℃/s未満で再加熱する場合、発泡シート全体が加熱されやすく、後に続く圧縮により発泡シート全体の独立気泡率の低下、シワの発生など、外観や剛性を著しく悪化させる場合がある。
続く圧縮・冷却の方法として特に制限はないが、生産性や簡便性を考慮すると、空冷、水冷、もしくは放冷にてロール表面温度が50℃以下に温調された冷却ロールや間欠作動プレスなどでもよく、水冷された金属製冷却ロールが連続的かつ安定的に使用可能で簡便であることからより好ましい。さらに、冷却ロール等による圧縮が、0.01MPa以下の面圧の場合、満足な表面平滑性が得られにくく、5MPa以上の面圧である場合、独立気泡率の低下を招いたり、発泡シートの所望の厚みが得られにくい。発泡シートの両面に対し前記再加熱・圧縮成形する場合、同時に上下面とも再加熱しても良いし、上下面の内一方を再加熱・圧縮成形した後、必要に応じて一旦冷却し、続いて他方を再加熱・圧縮成形しても良い。
本発明の製造方法により得られるポリプロピレン系樹脂発泡シートの密度は0.10〜0.30g/cm3が好ましく、さらに0.12〜0.25g/cm3がより好ましい。密度が、0.30g/cm3より大きくなると発泡シートの単位面積あたりの樹脂量が多く必要となり、発泡シートの非発泡シートに対する優位点である軽量性、経済性が損なわれる傾向が生ずる。また、密度が0.10g/cm3より小さくなると、発泡シートの剛性が損なわれやすい傾向を持つ。
本発明の製造方法により得られるポリプロピレン系樹脂発泡シートの厚さ方向平均セル数は7個以上が好ましく、8個以上がよりが好ましい。厚さ方向平均セル数が7個より小さい場合、発泡シートの断熱性が低く、再加熱により発泡シート全体に熱が伝達し易いため、加熱条件範囲が狭くなり、困難となり易い。厚さ方向平均セル数の上限は特にないが、剛性の高い発泡シートを安定して製造しやすいことから、現実的には50個以下が好ましい。
本発明の製造方法により得られるポリプロピレン系樹脂発泡シートの独立気泡率は50%以上が好ましく、さらに60%以上がより好ましい。独立気泡率はより高いことが好ましいが、高すぎると表面性に影響することもあり得るので、一概にはいえないが、一般的には98%程度までが好ましい。独立気泡率が50%より小さい場合、発泡シートおよび該発泡シートを加熱成形した成形体の剛性の低下を招きやすい。製造の容易さと剛性を考慮すると60〜90%がより好ましい。
【0021】
本発明の製造方法により得られるポリプロピレン系樹脂発泡シートの厚み、および幅は、特に制限はないが、厚さ0.2〜10mm、幅300〜1500mmであることが、経済性、加工性の点で好ましい。
【0022】
本発明の製造方法により得られるポリプロピレン系樹脂発泡シート厚さは、再加熱・冷却・圧縮成形を実施することにより、該発泡シート表層部のセルが扁平配向し、該加工を実施しないものと比較して、発泡シート密度が高くなったり、厚さが薄くなる傾向があるため、所望の発泡シートを得るためには、注意する必要がある。
【0023】
また、本発明の製造方法により得られるポリプロピレン系樹脂発泡シートは他の意匠性を持つ表面性や、加熱成形性などの改良や、さらなる剛性を得る目的のために、前記発泡シート表面に、熱可塑性樹脂からなる非発泡層を片面または両面に形成してもよい。前記熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルスルホン酸系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などを単独または2種以上組み合わせて用いることができるが、発泡シートとの接着性の点からポリプロピレン系樹脂が好ましい。前記非発泡層を成型する方法は特に限定されるものではなく、発泡シートを作成した後に、別途作成した非発泡フィルムを加熱または接着剤を用いてラミネートして成形してもよいし、発泡シート上に別途押出してラミネートしてもよい。
【0024】
【実施例】
つぎに実施例および比較例に基づいて本発明に関する発泡シートについて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
(発泡シートの密度測定)
JIS−K6767に準じて、各発泡シートの比重を測定した。
(発泡シートの独立気泡率の測定)
ASTM D−2856に記載の方法に準じ、エアピクノメータにより測定した。
(厚さ方向セル数測定)
得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの幅方向50mm間隔の部位において、幅方向に平行に切り出した断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて25〜100倍に拡大して観察し、発泡シート厚さ方向のセル数を観察し、平均した値を厚さ方向セル数とした。
(発泡シートの外観・剛性評価)
得られた発泡シート表面において、厚みムラや凹凸が無く、表面平滑性に優れ、手で各方向へ撓ませたときの剛性感が優れた場合、外観・剛性に優れた発泡シート(◎)であると判断し、で各方向へ撓ませたときの剛性感は良好であるが、表面平滑性手のみが不満足な場合、剛性に優れた発泡シート(○)であると判断し、厚みムラや凹凸などが発生し、表面平滑性が不満足な上、剛性感も不満足な場合、外観・剛性共に不満足な発泡シート(×)と判断した。
実施例および比較例には次のポリプロピレン系樹脂を使用した。
【0025】
ポリプロピレン単独重合体(グランドポリマー社製J103WB、メルトインデックス3g/10分)100重量部に対して、ラジカル発生剤としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(1分間半減期温度159℃)0.325重量部を配合し、リボンブレンダーを用いて5分間撹拌した。 この混合物を2軸押出機((株)日本製鋼所製、TEX44)のホッパーから50kg/hの供給速度で供給し、途中に設けた導入部よりイソプレンモノマーを定量ポンプを用いて0.25kg/hの速度で供給し、ストランドを水冷、裁断することにより得た改質ポリプロピレン系樹脂。
実施例および比較例で無機充填材として、次のタルクマスターバッチを使用した。
【0026】
無機充填材マスターバッチ:平均粒径4μm、勝光山鉱業所製 タルク分70重量%マスターバッチ(ベース樹脂:ポリプロピレン)商品名SKZ−T778。
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂を100重量部に重曹−クエン酸混合物を0.1重量部添加し、リボンブレンダーで撹拌混合した配合物(無機充填材9重量%)をφ65−90mmタンデム押出機に供給し、200℃に設定した第1段押出機(φ65mm)中にて溶融させた後、発泡剤として液体二酸化炭素を樹脂に対し、1.1重量部圧入混合し、165℃に設定した第2段押出機(φ90mm)中で冷却し、サーキュラーダイ(φ75mm)より大気圧下に50kg/hにて吐出し、外形200mm、本体長さ200mmの冷却筒にて成形しながら、4.1m/minで引取りつつ内部に空気を吹き付けて延伸・冷却し円筒型発泡体を得た。これをカッターで切り開くことにより635mm幅の発泡シート形状とし、引取機で引取ながら発泡シート表面温度が45℃となるまで放冷した後、熱風ヒーターにて上面を7秒間加熱し、発泡シート表面温度を140℃とし、冷却ロールにて0.1MPaにて圧縮し、表面平滑性、剛性に優れた発泡シートを得た。
(実施例2)
実施例1で重曹−クエン酸混合物を0.1重量部添加する代わりに、無機充填材マスターバッチを10重量部添加し、発泡剤として液体二酸化炭素を樹脂に対し0.9重量部圧入し、引取機で引取ながら発泡シート表面温度が30℃となるまで放冷した後、セラミックパネルヒーターにて上面を6秒間加熱し、発泡シート表面温度を120℃とし、冷却ロールにて0.5MPaにて圧縮した以外は同様の操作によって表面平滑性、剛性に優れた発泡シートを得た。
(実施例3)
実施例1で、押し出された発泡シートを、再加熱することなく引取機で引取・巻取った。該発泡シート(表面温度20℃)を24時間後、セラミックパネルヒーターにて上面を10秒間加熱し、発泡シート表面温度を110℃とし、冷却ロールにて1.5MPaにて圧縮し、再び引取機で引取・巻取った以外は同様の操作によって表面平滑性、剛性に優れた発泡シートを得た。得られた発泡シートの物性を表1に示す。
(実施例4)
実施例1で発泡剤として液体二酸化炭素を樹脂に対し1.1重量部圧入混合する代わりにイソリッチブタン(イソブタン比率85%)を1.8部圧入混合し、引取機で引取ながら発泡シート表面温度が25℃となるまで放冷した後、熱風ヒーターにて上面を10秒間加熱し、発泡シート表面温度を160℃とし、冷却ロールにて0.2MPaにて圧縮した以外は同様の操作によって表面平滑性、剛性に優れた発泡シートを得た。
(実施例5)
実施例1で液体二酸化炭素を樹脂に対し1.1重量部圧入混合する代わりに1.5重量部圧入混合し、引取機で引取ながら発泡シート表面温度が45℃となるまで放冷した後、熱風ヒーターにて上面を10秒間加熱し、発泡シート表面温度を155℃とし、冷却ロールにて0.2MPaにて圧縮した以外は同様の操作によって表面平滑性、剛性に優れた発泡シートを得た。
(実施例6)
実施例1で引取機で引取ながら、発泡シート上面を再加熱・冷却ロールによる圧縮を行った後、冷風を発泡シート表面に吹き付け、下面も上面と同様な工程によって再加熱・冷却ロールによる圧縮を行った以外は同様の操作によって表面平滑性、剛性に優れた発泡シートを得た。
(実施例7)
実施例1で引取機で引取ながら発泡シート表面温度が10℃となるまで放冷した後、熱風ヒーターにて上面を5秒間加熱し、発泡シート表面温度を75℃とし、冷却ロールにて2.0MPaにて圧縮した以外は同様の操作によって剛性に優れた発泡シートを得た。
(実施例8)
実施例3で、セラミックパネルヒーターにて上面を12秒間加熱し、発泡シート表面温度を140℃とし、冷却ロールにて6.0MPaにて圧縮した以外は同様の操作によって剛性に優れた発泡シート発泡シートを得た。
(実施例9)
実施例4で、熱風ヒーターにて上面を10秒間加熱し、発泡シート表面温度を155℃とし、冷却ロールにて0.005MPaにて圧縮した以外は同様の操作によって、剛性に優れた発泡シートを得た。
(比較例1)
実施例1で、実施例1で重曹−クエン酸混合物を0.1重量部添加する代わりに、0.02重量部添加した以外は同様の操作によって外観・剛性共に不満足な発泡シートを得た。
(比較例2)
実施例1で、引取機で引取ながら発泡シート表面温度が75℃となるまで放冷して冷却ロールにて圧縮した以外は同様の操作によって外観・剛性共に不満足な発泡シートを得た。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートが本来有する耐熱性、耐溶剤性、断熱性を全く阻害することなく、特に外観が美麗であり、表面平滑性に優れ、高剛性なるポリプロピレン系樹脂押出発泡シートを工業的に簡便かつ有利に得られることから、緩衝材や食品容器、断熱材、自動車用部材などの用途で幅広く好適に利用可能なポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法および、該製造方法により得られる発泡シートを提供することができる。
Claims (6)
- ポリプロピレン系樹脂と揮発型発泡剤からなる混合物を押出機内で溶融混練し低圧領域に吐出させて製造される、密度0.10〜0.30g/cm3、厚さ方向平均セル数7個以上のポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法であって、ダイから吐出されたポリプロピレン系樹脂発泡シートを、該発泡シート表面温度が70℃以下まで冷却(1)した後に、該発泡シートの片面もしくは両面を非接触で再加熱し、直後に、圧縮・冷却(2)することを特徴とするポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法。
- 独立気泡率が50%以上であることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
- ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートを圧縮する前に、該発泡シート表面温度が、再加熱によって90℃〜170℃となることを特徴とする請求項1または2記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
- ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの再加熱の直後の圧縮が0.01〜5MPaの面圧で圧縮することを特徴とする請求項1〜3何れかに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法。
- 冷却(1)と再加熱の工程が、発泡シートを切断することなく連続して行われることを特徴とする請求項1〜4何れかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
- 冷却(1)と再加熱の工程が、冷却の後、発泡シートを一旦切断し、不連続な別工程にて再加熱が実施されることを特徴とする請求項1〜5何れかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003101193A JP2004307605A (ja) | 2003-04-04 | 2003-04-04 | ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003101193A JP2004307605A (ja) | 2003-04-04 | 2003-04-04 | ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004307605A true JP2004307605A (ja) | 2004-11-04 |
Family
ID=33465070
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003101193A Pending JP2004307605A (ja) | 2003-04-04 | 2003-04-04 | ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004307605A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009095426A3 (en) * | 2008-01-30 | 2010-07-15 | Renolit Gor Spa | Foamed polypropylene sheet |
WO2011013718A1 (ja) * | 2009-07-29 | 2011-02-03 | 積水化成品工業株式会社 | ポリオレフィン系樹脂発泡シートの製造方法及びポリオレフィン系樹脂発泡シート |
JP2014095092A (ja) * | 2014-02-07 | 2014-05-22 | Nitto Denko Corp | 樹脂発泡体及び発泡部材 |
JP2014111778A (ja) * | 2014-01-31 | 2014-06-19 | Nitto Denko Corp | 樹脂発泡体及び発泡部材 |
CN112366033A (zh) * | 2020-11-11 | 2021-02-12 | 湖南华菱线缆股份有限公司 | 一种轻质高压气体阻燃电缆用填充 |
CN117801353A (zh) * | 2023-10-20 | 2024-04-02 | 广东瑞捷新材料股份有限公司 | 一种pei发泡扩散板及其制备方法 |
-
2003
- 2003-04-04 JP JP2003101193A patent/JP2004307605A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009095426A3 (en) * | 2008-01-30 | 2010-07-15 | Renolit Gor Spa | Foamed polypropylene sheet |
WO2011013718A1 (ja) * | 2009-07-29 | 2011-02-03 | 積水化成品工業株式会社 | ポリオレフィン系樹脂発泡シートの製造方法及びポリオレフィン系樹脂発泡シート |
JP5806114B2 (ja) * | 2009-07-29 | 2015-11-10 | 積水化成品工業株式会社 | ポリオレフィン系樹脂発泡シートの製造方法 |
JP2014111778A (ja) * | 2014-01-31 | 2014-06-19 | Nitto Denko Corp | 樹脂発泡体及び発泡部材 |
JP2014095092A (ja) * | 2014-02-07 | 2014-05-22 | Nitto Denko Corp | 樹脂発泡体及び発泡部材 |
CN112366033A (zh) * | 2020-11-11 | 2021-02-12 | 湖南华菱线缆股份有限公司 | 一种轻质高压气体阻燃电缆用填充 |
CN112366033B (zh) * | 2020-11-11 | 2023-02-28 | 湖南华菱线缆股份有限公司 | 一种轻质高压气体阻燃电缆用填充 |
CN117801353A (zh) * | 2023-10-20 | 2024-04-02 | 广东瑞捷新材料股份有限公司 | 一种pei发泡扩散板及其制备方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2246175B1 (en) | Polyethylene-based resin foamed blow molded article | |
JP4084209B2 (ja) | 発泡成形体及びその製造方法 | |
JP2010270228A (ja) | ポリプロピレン系樹脂発泡体の製造方法及びポリプロピレン系樹脂発泡体 | |
JP2003292663A (ja) | ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートおよび成形体 | |
JP2004330464A (ja) | ポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法、発泡シートおよびその成形体 | |
JPS58111834A (ja) | ポリスチレン板状押出発泡体の製造法 | |
JP2005138508A (ja) | ポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法 | |
JP2004307605A (ja) | ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法 | |
JP4055540B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂押出発泡シート、その製造方法、およびその成形体 | |
JP3524006B2 (ja) | ポリアミド系樹脂発泡体の製造方法 | |
JP2000103960A (ja) | ポリアミド系樹脂発泡体及びその製造方法 | |
JP2002059473A (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物からなる発泡シート、およびその成形体 | |
JP2003327732A (ja) | ポリプロピレン系樹脂発泡シート、成形体 | |
JP6551589B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂発泡シート | |
JP2007100016A (ja) | ポリプロピレン系樹脂押出発泡シートの製造方法 | |
JP2000273232A (ja) | ポリプロピレン系樹脂からなる断熱発泡体 | |
JP2002037909A (ja) | ポリエステル系樹脂発泡シート及びその製造方法 | |
JP3706753B2 (ja) | 改質ポリプロピレン系樹脂組成物からなる発泡シートおよび成形体 | |
JP4035233B2 (ja) | 改質ポリプロピレン系樹脂からなる発泡シートおよびその製法 | |
JP3727182B2 (ja) | 改質ポリプロピレン系樹脂組成物からなる発泡シート、その製造方法およびその成形体 | |
JP2004323623A (ja) | ポリプロピレン系樹脂押出発泡シート | |
JP2004339498A (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物発泡シートおよびそれを用いた多層発泡シート | |
JP2006089637A (ja) | ポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法 | |
JP2004323714A (ja) | ポリプロピレン系樹脂発泡シートおよびそれを用いた発泡成形体 | |
JP2004331722A (ja) | ポリプロピレン系樹脂発泡シートおよび成形体 |