JPH1112169A - 鎮痛組成物 - Google Patents

鎮痛組成物

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JPH1112169A
JPH1112169A JP18301797A JP18301797A JPH1112169A JP H1112169 A JPH1112169 A JP H1112169A JP 18301797 A JP18301797 A JP 18301797A JP 18301797 A JP18301797 A JP 18301797A JP H1112169 A JPH1112169 A JP H1112169A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 局所的かつ長時間持続性の鎮痛作用を有し、
安全に使用できるオキセサゼインの外用薬を提供する。 【解決手段】 強力なアミド型局所麻酔薬であるオキセ
サゼインを、これと相溶しない軟膏基剤中に遊離塩基型
として分散させ、軟膏を調製する。使用するオキセサゼ
インは、市販の顆粒製剤の微粉砕物または純物質の結晶
粉末とする。この軟膏を粘膜、あるいは負傷や手術によ
る皮膚の欠損部位に施用すると、患部組織細胞に到達し
たオキセサゼイン微粒子が細胞膜と順次相溶して細胞内
に取り込まれる。オキセサゼインが基剤中に溶解してい
ないので、細胞によるオキセサゼインの取込みのタイミ
ングが一律でなくなり、上記軟膏は本質的に徐放性を備
えたものとなる。したがって、血中オキセサゼイン濃度
は常に中毒量未満に保たれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、疼痛を伴う創部や
粘膜部に直接かつ局所的に外用薬として投与可能であ
り、長時間持続的な鎮痛効果を発揮し、しかも副作用を
ほとんど起こさない安全な鎮痛組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の医療現場では、患者のQOL(ク
オリティ・オブ・ライフ)向上の観点から、ペイン・コ
ントロール(痛みの抑制)が重要な概念として定着しつ
つある。これまでに、創傷や手術後の疼痛を抑えるため
の鎮痛薬として様々な薬剤が臨床的に用いられている
が、これらの多くは中枢神経系作用薬である。すなわ
ち、投与の形態は内服、注射、肛門内挿入など様々であ
るものの、いずれの場合も薬剤がまず投与部位から血液
中に吸収され、続いて全身を循環する。このときの血中
薬剤濃度の上昇により大脳皮質における痛みの認識が阻
害され、痛みが一時的に除去または緩和されるのであ
る。
【0003】これ対し、疼痛の発生部位または発生予測
部位の末梢神経に対して局所的な麻酔効果を示す薬剤と
して、局所麻酔薬が知られている。局所麻酔薬について
はその用途に応じて様々な剤型が開発されており、例示
すれば浸潤麻酔,伝達麻酔,静脈内局所麻酔に使用され
る注射液、上気道粘膜に噴霧して用いるスプレー剤、胃
カメラ等の消化器系の内視鏡検査時に口に含ませたり飲
み込ませて粘膜を麻酔するためのビスカス、痛みのある
創部や粘膜部位への注射針刺入時の除痛や歯科の表面麻
酔を行うための軟膏、泌尿器科的操作時に尿道へ注入し
たり、内視鏡挿入や気管内挿管時に器具側に塗布される
ゼリー等がある。目下の臨床現場で最も多く用いられて
いる局所麻酔薬は、アミド型局所麻酔薬に属するリドカ
インである。ただし、リドカインは即効性には優れては
いるものの、その投与目的が診療・検査時の疼痛の一時
的な除去または緩和にあり、薬効が長時間持続するもの
ではない。
【0004】また、他のアミド型局所麻酔薬として、オ
キセサゼインが知られている。この薬剤は、化学名を
2,2′−[(2−ヒドロキシメチル)アミノ]ビス
[N−(1,1−ジメチル−2−フェニルエチル)−N
−メチルアセトアミド]と称し、日本薬局方解説書(廣
川書店)によると、エステル型局所麻酔薬であるコカイ
ンの500倍、同じくエステル型局所麻酔薬であるプロ
カインの4000倍の強い麻酔作用を持つとされ、現状
で入手できる局所麻酔薬の中では最も強力である。
【0005】オキセサゼインには、強酸性下での活性維
持という、他の局所麻酔薬にみられないユニークな特性
がある。塩基性局所麻酔薬には、酸性下で薬効の低下ま
たは消失を来たすものが多い。これは、個々の薬剤のp
Ka(酸解離定数Kaの−log)に起因して周囲環境
のpHが下がるとイオン化する分子の割合が高まり細胞
膜透過性が低下するからであり、多くの局所麻酔薬はp
H4〜8の範囲でしか薬効を現さない。これに対してオ
キセサゼインは、元来が弱塩基性であってイオン化しに
くく、pH1.0〜2.0の強酸性下でも遊離塩基型を
維持して活性を示すことが、ペンシルバニア・メディカ
ル・ジャーナル(Pennsylvania Medical Journal)第65
巻,p.1369〜1372(1962年)に記載され
ている。現状でオキセサゼインが食道炎,胃炎,十二指
腸潰瘍,過敏性大腸症等の疾患における疼痛,酸症状,
あい気,悪心,嘔吐,胃部不快感,便意逼迫を改善する
ための内服薬として用いられているのは、上記の特性に
よる。しかし、内服薬以外の剤型によるオキセサゼイン
の実用化は進んでいない。これは、この薬物が水に難溶
であり使いづらいことが一因である。
【0006】ところで、局所麻酔薬は一般に経皮吸収性
に劣るため、局所麻酔薬を外用薬として使用可能とする
ためには、この吸収性を改善することが不可欠である。
オキセサゼインについても、外用薬として用いようとす
る試みがこれまでに幾つかなされている。たとえば特開
平8−259464号公報には、油脂またはそれと混和
しえる親油性基剤に溶解または分散させた塩基性局所麻
酔薬と、溶媒に溶解または分散させた塩基性局所麻酔薬
の塩酸塩とを均一に混和してなる局所麻酔組成物が開示
されている。つまりこの組成物は、局所麻酔薬と局所麻
酔薬の塩酸塩とを所定の配合比率で含むものである。実
施例では、リドカインと塩酸ジブカインを併用し、これ
らを白色ワセリン,中鎖脂肪酸トリグリセリド,その他
を含む基剤に1.3〜3%の濃度に溶解または分散させ
た組成物を調整し、その麻酔作用をモルモット角膜を用
いて確認している。なお、上記公報には使用可能な塩基
性局所麻酔薬としてオキセサゼインが例示されている
が、オキセサゼイン塩酸塩は使用可能な塩基性局所麻酔
薬の塩酸塩としては例示されていない。
【0007】一方、特開平7−145047号公報に
は、使用する局所麻酔薬をオキセサゼインに限定し、こ
れを支持体の片面に形成される粘着基剤の層の内部で完
全に溶解させた局所麻酔用経皮吸収テープが開示されて
いる。この公報によると、粘着基剤中に局所麻酔剤が析
出していると皮膚透過に有効な溶解した局所麻酔剤濃度
が下がり、麻酔の即効性に欠け、また析出した局所麻酔
剤は経皮吸収製剤の皮膚への粘着力を下げることが問題
とされている。上記公報ではこの問題を解決するため
に、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤に可塑剤としてミ
リスチン酸イソプロピルを添加し、粘着基剤中における
オキセサゼインの溶解性を高めている。実施例に記載さ
れる経皮吸収テープの粘着剤層中のオキセサゼインの含
有率は、0.12〜0.38%である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、局所麻酔薬
は末梢神経の伝導を遮断して疼痛を除去する目的に用い
られるものであり、非中毒量であれば中枢神経への影響
は極めて少ないため、その全身作用については忘れられ
がちである。しかしながら、局部麻酔薬の投与量が増加
して血中濃度が中毒量に近づいてくると、局部麻酔薬は
血液から脳関門を通過して脳実質や脳脊髄液中に移行
し、中枢神経の刺激症状や痙攣を起こす。さらに量が多
ければ意識喪失や呼吸停止を引き起し、死を招くことも
ある。
【0009】このような局所麻酔薬中毒の見地からする
と、麻酔作用が元々極めて強いオキセサゼインの吸収効
率を故意に上昇させた状態で外用薬として用いることに
は、大きな危険が伴う。前述の特開平8−259464
号公報ではオキセサゼインの塩酸塩については言及され
ていないが、これは、オキセサゼインの塩を容易に形成
できないことと関連しているものと推測される。しか
し、仮にオキセサゼインの塩酸塩を用いたとしたら、前
述のペンシルバニア・メディカル・ジャーナルにも記載
されているように、これは他の多くの局所麻酔薬の塩と
異なり、有機溶媒に易溶である。動物の細胞膜はリン脂
質や糖タンパクから構成される一種の有機溶媒と考えら
れるので、上記の事実はオキセサゼインの塩酸塩が容易
に経皮吸収され得ることを意味している。
【0010】しかも、オキセサゼインはたとえばリドカ
インのような他の局所麻酔剤と異なり血中濃度半減時間
が極めて長いことが知られており、このような薬物が細
胞膜を通過して次々と体内に取り込まれることは、血中
薬物濃度を蓄積的に増大させ、容易に中毒量に達する可
能性につながる。特に、創傷や手術による傷口等のよう
な皮膚の欠損部、あるいは粘膜のようにもともと角質化
層が存在しない部位は外用薬の吸収性が高いので、皮膚
への塗布時に誤って上述のような部位に経皮吸収性を高
めたオキセサゼインを含む外用薬が付着することは、人
体にとって非常に危険である。
【0011】従来から提案されているようなリドカイン
等の局所麻酔薬の塩酸塩を溶解または分散させた組成物
については、このような危険性を強く認識する必要はな
かった。なぜなら、健康状態の人体の体液が弱アルカリ
性であるのに対して炎症巣や傷口では組織のpHが弱酸
性側に傾いているため、酸性下でイオン化率の高まる局
所麻酔薬では吸収率が大幅に低下する上、血中薬物濃度
の半減期も比較的短かったからである。しかしこれで
は、上述のような皮膚の欠損や負傷、あるいは痔疾患に
代表される粘膜の病変あるいは炎症に伴う激しい疼痛の
緩和に局所麻酔薬が役立たないことになり、患者のQO
Lも向上しない。実際、本発明者は、痔疾患の鎮痛用に
市販されているリドカイン含有の座剤が臨床的にほとん
ど効き目を現さないことを確認している。
【0012】一方、前述の特開平7−145047号公
報に記載されるオキセサゼイン含有の局所麻酔用経皮吸
収テープには、創傷部や粘膜に直接貼付することができ
ないという問題がある。また、このテープの粘着剤層に
はミリスチン酸イソプロピルに相溶性を有する粘着剤と
してアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、あるいはシリコ
ン系重合体が使用され、しかも粘着凝集力の低下を補っ
たり局所麻酔薬の経皮吸収性を向上させるために充填
剤,有機酸,界面活性剤をはじめとする様々な添加剤が
併用される。しかし、国民的なアレルギー増加傾向が問
題となる中で、このように多くの添加物を複雑に組み合
わせた製剤を使用するためには、その成分すべてについ
てアレルギー・テストを行う必要があり、実用的な製剤
とは言い難い。
【0013】このように、オキセサゼインを外用薬とし
て用いれば、強力かつ長時間持続する鎮痛効果が得られ
るという発想と期待は以前からあったものの、いずれも
安全性に大きな問題があることに加えて人体への施用箇
所にも制限があり、実用に供し得るものではなかった。
そこで本発明は、オキセサゼインを安全な外用薬として
用いることを可能とする鎮痛組成物を提供することを目
的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述の目的
を達成するために鋭意検討を重ねた結果、オキセサゼイ
ンを非溶解状態でこれと相溶しない分散媒中に保持させ
ることにより、外用薬として安全に使用可能な鎮痛組成
物を提供可能であることを見出し、本発明を提案するに
至ったものである。すなわち本発明の鎮痛組成物は、遊
離塩基型のオキセサゼインを、これと相溶しない生体付
着性分散媒中に分散させたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明者は、「オキセサゼインを
基剤に溶解させて経皮吸収性を高める」とする従来の発
想を転換し、「オキセサゼインを基剤に溶解させない形
態で保持する」ことにより、本来的に徐放性を備えた安
全なオキセサゼインの外用薬を提案するものである。基
剤に溶解しないオキセサゼインの形態とは、遊離塩基型
である。本発明の鎮痛組成物によるオキセサゼイン鎮痛
効果の発現機構は、おおよそ次のとおりである。本組成
物が表皮の欠損部位や粘膜へ施用されると、身体の動き
や体温による基剤の流動性の上昇および患部組織内への
浸透に助けられながらオキセサゼインの微粒子が移動
し、患部組織の細胞へ到達した微粒子が細胞膜と順次相
溶して細胞内に取り込まれる。細胞内ではオキセサゼイ
ンがわずかにイオン化し、このイオン化したものが強力
な麻酔作用を現す。つまり、本発明ではオキセサゼイン
が基剤に溶解していないため、患部組織細胞がオキセサ
ゼインを吸収するタイミングが一律ではなく、したがっ
てオキセサゼインの血中濃度が中毒量を超える危険がな
い。つまり、本組成物は本質的に徐放性を備えたもので
あり、鎮痛効果の長時間持続性と安全性、および薬剤の
安定性に優れるものである。
【0016】本発明の鎮痛組成物の有効成分であるオキ
セサゼインとしては、その純物質の結晶粉末を用いるこ
とが特に好適であるが、より簡便には市販の錠剤や顆粒
を用いても良い。いずれを用いるにしても、外用薬とし
ての使用にあたって患者が物理的な違和感を覚えること
のないよう、オキセサゼインを微粉末状態で生体付着性
分散媒中に分散させることが重要である。純物質の結晶
粉末は最初から微粉末状で入手できる場合が多いので、
このような場合には格別の処理を経ることなく用いて良
い。一方、市販のオキセサゼイン含有錠剤やオキセサゼ
イン含有顆粒を使用する場合には、これらを乳鉢で微粉
砕してから使用する。微粉砕物の平均粒径は100μm
以下とすることが好ましい。平均粒径の下限は特に規定
されるものではないが、あまり細かすぎても取扱い性が
劣化するので、通常は1μm未満まで細かくする必要は
ない。
【0017】オキセサゼインは、生体付着性分散媒に対
して0.5〜20重量%の範囲で分散されていることが
好適である。実際の分散量については用途に応じて適宜
決定すれば良いが、上記範囲より少ない場合には十分な
薬効や即効性が期待できず、また上記範囲より多い場合
には外用薬としての使用感が損なわれたり、アレルギー
症状が現れる虞れがある。なお、上記の分散量は一見す
ると、前述の特開平7−145047号公報に記載され
た経皮吸収テープの粘着剤層中のオキセサゼイン含有率
に比べてかなり多いが、先に述べた本発明品の優れた徐
放性のおかげで何ら人体に有害なものではなく、むしろ
鎮痛効果の長時間持続性を実現する上で好ましいもので
ある。
【0018】上記生体付着性分散媒としては、軟膏基剤
が挙げられる。軟膏基剤を使用した場合の本発明の鎮痛
組成物とは、すなわちオキセサゼイン軟膏である。上記
軟膏基剤としては、油脂類,ロウ類,パラフィン等の油
性基剤、水中油形基剤,油中水形基剤,親水ワセリン等
の乳剤性基剤、あるいはマクロゴールなどの水溶性基剤
を用いることができる。また、上記軟膏基剤には、たと
えばリドカインのような他の薬効成分を含有するもので
あっても良い。
【0019】ただし、遊離塩基型のオキセサゼインは前
述のように経皮吸収性の薬物ではないため、たとえばリ
ウマチの痛みのごとく皮膚表面から深い患部で発生して
いる疼痛を緩和するために上記のオキセサゼイン軟膏を
皮膚に塗っても、鎮痛効果は期待できない。したがっ
て、本発明の鎮痛組成物、すなわち外用薬としてのオキ
セサゼインの薬効が期待できる身体部位は、粘膜や歯肉
のごとく上皮細胞層の表面が角化していない部位、ある
いは角化していても負傷や手術による傷口が発生した部
位であり、緩和または除去可能な疼痛もこれらの部位で
発生しているものに限られる。このため、たとえば痔,
擦過傷,褥創(床ずれ),組織壊死に伴う疼痛や術後の
疼痛の緩和には、上記軟膏が極めて有効である。
【0020】なお、上述のようなオキセサゼインの適用
可能部位を考えると、本発明の鎮痛組成物の剤型を座剤
あるいは点眼剤とすることも有効である。座剤を調製す
るための分散媒としては、イソカカオ,ファーマゾール
等の油性基剤、あるいはマクロゴール,グリセロゼラチ
ン等の水溶性基剤を用いることができる。いずれの剤型
においても、生体付着性分散媒1gあたり5〜800m
gのオキセサゼインを用途に応じて分散させれば良い。
【0021】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
する。実施例1〜実施例4 本実施例では、市販のオキセサゼイン顆粒または別途入
手した純オキセサゼイン結晶粉末を用いて軟膏を調製
し、痔,褥創,糖尿病性血行障害、皮膚移植治療のため
の採皮による疼痛を訴える患者に施用した。
【0022】軟膏の調製方法は以下のとおりである。ま
ず、市販のオキセサゼイン顆粒(エーザイ株式会社製;
商品名ストロカイン顆粒,5%散)を乳鉢で粉砕し、平
均粒径を約1〜30μmとした。純オキセサゼイン結晶
粉末を使用する場合には、この粉末の平均粒径が十分に
小さいため、微粉砕は特に行う必要はない。次に、一例
としてワセリンとラノリンとを重量比2:1で混合して
60℃の湯煎にかけ、この混合物にたとえば1重量%の
濃度となるようにバルサムを添加して軟膏基剤を調製し
た。上記バルサムは、軟膏基剤の硬度を調節するために
添加れるもので、取扱い性や使用感を考慮し、また季節
的な気温変動に応じて適宜変化させることができる。一
部の実施例については、この基剤に対してさらに20容
量%の局方オリーブ油を混合した。この基剤に、上記オ
キセサゼイン顆粒の微粉砕物もしくは純オキセサゼイン
結晶粉末を均一に練り込み、その後室温まで冷却した。
【0023】比較例1 比較のために軟膏基剤を使用せず、市販のオキセサゼイ
ン顆粒をそのまま鎮痛組成物として使用した。
【0024】比較例2 ここでは、軟膏基剤として上記のような油性の混合基剤
の代わりにセルロース・ゼリーを用いた。セルロース・
ゼリーを60℃の湯煎にかけて液状とし、微粉砕化され
たオキセサゼイン顆粒を混合した。
【0025】実施例1〜実施例4、および比較例1と比
較例2で調製された軟膏と用例について、表1にまとめ
た。
【0026】
【表1】
【0027】実施例1では、市販の5%散顆粒を軟膏基
剤に分散させて2.5%散軟膏を調製した。この軟膏約
3gを手指にとって痔核患者の患部に直接塗布するか、
またはこの軟膏約3gを塗布したガーゼを丸めて肛門内
に挿入したところ、5〜10分で疼痛の軽減効果が現
れ、しかもこの効果が6〜12時間持続した。患者は、
この軟膏を1日に数回患部に塗布することにより、疼痛
から開放された日常生活を送ることができた。また、外
傷あるいは火傷の皮膚移植治療のために自身の大腿部か
ら10cm×10cmの皮膚を採皮した形成外科の入院
患者9例について、上記軟膏5gを塗布したガーゼをそ
の採皮部位に貼付したところ、9例すべての疼痛を極め
て効果的に軽減させることができた。
【0028】ただし、実施例1の処方では市販の5%散
顆粒と軟膏基剤の混合比が1:1となるため、触感に若
干のザラつきがあった。そこでより快適な使用感を得る
ために、実施例2では軟膏を軟化させる働きのあるオリ
ーブ油を添加した軟膏基剤を用いて3%散軟膏を調製し
た。この軟膏を痔疾患の手術後の傷口に塗布したとこ
ろ、352症例中、88%に相当する310例の症例で
鎮痛効果が認められた。上記3%散軟膏は実施例1の
2.5%散軟膏よりもオキセサゼイン含有量が高いにも
かかわらず、その触感は滑らかであった。
【0029】実施例3では、6%散軟膏を2種類の疾患
の患者に施用した。最初のグループは、褥創による足指
先の疼痛を強く訴える患者20名である。この軟膏を患
部に塗布することにより、17名に鎮痛効果が現れた。
第二のグループは、糖尿病性血行障害による足指の壊死
による疼痛を訴える患者8名である。この軟膏を患部に
塗布することにより、5名に鎮痛効果が現れた。
【0030】実施例4では、純物質の結晶粉末をそのま
ま軟膏基剤に分散させて10%散軟膏を調製した。ここ
では、オキセサゼイン終濃度が10%と高いにもかかわ
らず、触感上のザラつきはほとんど認められなかった。
これは、市販の5%散顆粒の重量の95%が賦形剤,結
合剤,崩壊剤としてのデンプンやマルトースの粉末で占
められているのに対し、純物質の結晶粉末にはこれらの
添加剤が一切含まれておらず、少量を分散させるだけで
容易に終濃度の高い軟膏が調製できるからである。ま
た、前述の実施例1の2.5%散軟膏を施用した皮膚移
植治療患者9例について、この10%散軟膏も施用した
ところ、さらに優れた鎮痛効果が得られた。
【0031】なお、上記いずれの実施例においても軟膏
の使用に伴う副作用は観察されなかった。これは、オキ
セサゼインの血中濃度が中毒量を超えることがなく、ま
た、局所に作用し得る分量のみを使用すれば良いのでオ
キセサゼインの使用量が元来少なくて済み、しかも非溶
解状態で患部に施用される薬物が患部組織に長時間滞在
できるからである。
【0032】一方比較例1では、市販のオキセサゼイン
5%散顆粒をそのまま患部に付着させるだけでも、約1
5分後に鎮痛効果が現れた。しかし、軟膏基剤を使用し
ていないために、肛門部における顆粒の感触が患者に不
快感を与えた。一方、比較例2では、軟膏基剤としてセ
ルロース・ゼリーを用い、実施例と同様に優れた効果が
示された。ただし、セルロース・ゼリーは保水力に劣
り、時間の経過と共に乾燥してしまう。1時間後にはペ
ースト状態を維持しておらず、患部への付着性が劣化し
た。
【0033】以上、本発明の具体的な実施例について述
べたが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるもの
ではない。たとえば、オキセサゼインを分散させる軟膏
基剤やオキセサゼインの終濃度は、用途に応じて適宜変
更、選択することが可能である。また、施用の対象とな
る疾患も上述のものに限られず、怪我による疼痛も本発
明の鎮痛組成物により除去または緩和させることが可能
である。また、軟膏を手指にとって患部に塗布する代わ
りに、この軟膏の1回分使用量を充填した使い捨てチュ
ーブ、あるいは予め軟膏をガーゼ部分に塗布した救急絆
創膏等の供給形態をとれば、用量の遵守や衛生管理の観
点から極めて好ましい。
【0034】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の鎮痛組成物を使用すれば、局所麻酔薬中で最も強力
な麻酔効果を持つオキセサゼインを、安全な外用薬とし
て実用化することが可能となる。この鎮痛組成物は、鎮
痛効果に長時間持続性があり、副作用が少なく、しかも
投与に際して疼痛を伴わないため、多くの患者を疼痛の
苦痛から開放してQOLを向上させることができ、臨床
上極めて大きな意義を有するものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遊離塩基型のオキセサゼインが、これと
    相溶しない生体付着性分散媒中に分散されてなる鎮痛組
    成物。
  2. 【請求項2】 前記オキセサゼインがその純物質の結晶
    粉末として前記生体付着性分散媒中に分散されてなる請
    求項1記載の鎮痛組成物。
  3. 【請求項3】 前記オキセサゼインがオキセサゼイン含
    有製剤の微粉砕物として前記生体付着性分散媒中に分散
    されてなる請求項1記載の鎮痛組成物。
  4. 【請求項4】 前記結晶粉末の平均粒径が100μm以
    下である請求項1または2記載の鎮痛組成物。
  5. 【請求項5】 前記オキセサゼインが前記生体付着性分
    散媒に対して0.5〜20重量%の範囲で分散されてな
    る請求項1記載の鎮痛組成物。
  6. 【請求項6】 前記生体付着性分散媒が軟膏基剤である
    請求項1記載の鎮痛組成物。
JP18301797A 1997-06-24 1997-06-24 鎮痛組成物 Expired - Fee Related JP3782551B2 (ja)

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