JPH1112037A - 低温焼成磁器組成物および低温焼成磁器 - Google Patents

低温焼成磁器組成物および低温焼成磁器

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JPH1112037A
JPH1112037A JP9166361A JP16636197A JPH1112037A JP H1112037 A JPH1112037 A JP H1112037A JP 9166361 A JP9166361 A JP 9166361A JP 16636197 A JP16636197 A JP 16636197A JP H1112037 A JPH1112037 A JP H1112037A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】800〜1000℃で焼成可能で、高周波領域
において、低誘電率、低誘電損失で熱膨張係数の制御が
容易な低温焼成磁器組成物と低温焼成磁器を提供する。 【解決手段】SiO2 およびZnOが所定比率からなる
主成分に対して、B2 3 を0.1〜15重量%あるい
はSiO2 およびB2 3 を含有するガラスを0.5〜
20重量%と、Li2 Oを0.1〜10重量%と、K、
Na、CsおよびRbの群のうちの1種以上の酸化物を
0.1〜10重量%の割合で配合した組成物を800〜
1000℃で焼成して、クオーツ型結晶相のみ、または
クオーツ型結晶相とウイレマイト型結晶相とを主体と
し、1GHz〜60GHzでの誘電率が7以下、誘電損
失が30×10-4以下、室温〜400℃の熱膨張係数が
1.5〜17ppm/℃の磁器を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層回路基板にお
ける絶縁基板として有用な低温焼成磁器組成物と、低温
焼成磁器の製造方法に関するものであり、例えば集積回
路(IC)や電子部品を多層に積層し、焼成してなる銅
配線可能な特に高周波用の低誘電率、低誘電損失を備え
た低温焼成磁器組成物および低温焼成磁器の改良に関す
るものである。
【0002】
【従来技術】従来より、セラミック配線基板としては、
絶縁基板がアルミナなどのセラミックスからなるアルミ
ナ質配線基板が多用されているが、近年、高度情報化時
代を迎え、半導体素子はより高速化、高集積化、実装の
より高密度化が進み、誘電率の大きなアルミナ基板(3
GHzでの比誘電率は9〜9.5)は高周波回路基板等
には不適切である。つまり、信号を高速で伝搬させるた
めには絶縁基板材料には、より低い誘電率が要求されて
いる。また、マイクロ波、ミリ波対応として低損失化も
要求されている。
【0003】そこで、上述した低誘電率化に対応し得る
セラミック材料としては、例えば、ガラスと無機質フィ
ラーとの混合物を成形、焼成してなる、いわゆるガラス
セラミックスは、誘電率が3〜7程度と低いことから、
高周波用絶縁基板として注目されている。また、このガ
ラスセラミックスは、800〜1000℃の低温で焼成
することができることから、配線用導体として、銅、
金、銀などの低抵抗金属を使用できるという長所を有す
る。
【0004】一方、多層配線基板に種々の電子部品を実
装したり、入出力端子等を取付けたり、またその多層配
線基板をマザーボードなどのプリント基板に接続する上
で、これら電子部品や入出力端子等、またはプリント基
板との熱膨張率の差により基板に加わる応力から基板が
破壊したり、欠けが生じるのを防止する為に、各材料間
の熱膨張係数が近似していることが望まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ガラスセラミックス材料は、誘電率が低いものの、信号
の周波数が10GHz以上のマイクロ波に対して、その
誘電損失が30×10−4以上と高く、このような高周
波用としては実用化し得るに十分な特性を有していない
ものであった。
【0006】しかも、従来のガラスセラミックスは、誘
電体特性を決定する成分のみでは、その組成を調整して
も、熱膨張係数を種々調整することが難しく、そのため
に、種々の熱膨張調整剤を必要とし、その結果、誘電特
性を損ねてしまうなどの問題があった。
【0007】従って、本発明は、800〜1000℃の
温度で、且つ銅、金、銀等の低抵抗金属と同時焼成が可
能であり、しかも低誘電率および高周波領域で低誘電損
失を有し、直線的な熱膨張挙動を示し、しかも熱膨張係
数を幅広い範囲で調整可能な低温焼成磁器組成物と低温
焼成磁器を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点
を鋭意検討した結果、Zn,Siを特定比率で含有する
複合酸化物に対して、第1の添加成分としてLi2
と、第2添加成分として、B2 3 、またはSiO2
2 3 を含むガラスと、第3添加成分としてK、N
a、CsおよびRbの群から選ばれる少なくとも1種の
アルカリ金属とを添加することにより、複合酸化物中の
ZnOと第2の添加成分中のB2 3 中のB(ホウ素)
成分による液相反応と、さらに第1および第3の添加成
分であるLi成分と他のアルカリ金属成分による液相反
応が加わることにより、僅かな量の添加成分の添加によ
り、800〜1000℃の温度で焼成することができ、
しかも、焼成によって得られた磁器として、磁器を形成
する結晶相が、クオーツ型結晶相単相、またはクオーツ
型結晶相とウイレマイト型結晶相を主体とすることによ
って、低い比誘電率と低い誘電損失、さらには幅広い範
囲で熱膨張係数を任意に調整でき、とりわけ、クオーツ
型結晶相単相からなる場合には、さらなる低誘電率化お
よび高熱膨張化が達成できることを見いだし、本発明に
至った。
【0009】即ち、本発明の低温焼成磁器組成物は、S
iO2 を14.9〜98重量%と、ZnOを1〜84.
9重量%とからなる主成分80〜99.5重量%と、B
2 3 を0.1〜15重量%と、Li2 Oを0.1〜1
0重量%と、K、Na、CsおよびRbの群から選ばれ
る少なくとも1種の酸化物を0.1〜10重量%とから
なることを特徴とするものである。
【0010】また、他の低温焼成磁器組成物としては、
SiO2 を14.9〜98重量%と、ZnOを1〜8
4.4重量%とからなる主成分80〜99.3重量%
と、Li2 Oを0.1〜10重量%と、少なくともSi
2 およびB2 3 を含有するガラスを0.5〜20重
量%と、少なくともK、Na、CsおよびRbの群から
選ばれる少なくとも1種の酸化物を0.1〜10重量%
とからなることを特徴とするものである。
【0011】また、本発明の低温焼成磁器は、金属元素
として、Znと、Siと、Liと、K、Na、Csおよ
びRbの群から選ばれる少なくとも1種とを含む複合酸
化物からなるものであり、該磁器中の結晶相が、クオー
ツ型結晶相のみ、またはクオーツ型結晶相とウイレマイ
ト型結晶相とを主体とすることを特徴とし、かかる磁器
は、1GHz〜60GHzでの誘電率(εr)が7以
下、誘電損失が30×10-4以下、さらに室温から40
0℃における熱膨張係数が1.5〜17ppm/℃の特
性を有すること、さらには、前記磁器中の結晶相がクオ
ーツ型結晶相のみからなる場合には、誘電率が4.5以
下、室温から400℃における熱膨張係数が15〜17
ppm/℃の特性を有することを特徴するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の低温焼成磁器組成物の第
1の態様によれば、全量中、SiO2 を14.9〜98
重量%と、ZnOを1〜84.9重量%の割合で含む主
成分を80〜99.5重量%と、B2 3 を0.1〜1
5重量%およびLi2 Oを0.1〜10重量%と、さら
には、K、Na、CsおよびRbの群から選ばれる少な
くとも1種の酸化物を0.1〜10重量%とからなるも
のである。
【0013】各成分組成を上記の範囲に限定したのは、
SiO2 が14.9重量%よりも少ないとZnOが過剰
に析出してしまい誘電損失が劣化し、SiO2 が98重
量%よりも多くなると焼結性が劣化し1000℃以下の
低温で緻密化しないためである。SiO2 の望ましい量
は25〜95重量%である。
【0014】また、ZnOが1重量%よりも少ないと十
分な液相が生成せず、1000℃以下の低温で緻密化し
ないためであり、84.9重量%よりも多いとZnOが
過剰に析出してしまい誘電損失が劣化してしまうためで
ある。ZnOの望ましい量は10〜60重量%である。
【0015】なお、SiO2 +ZnOの合計量が80重
量%よりも少ないと、液相成分が多くなり、溶出してし
まい、99.5重量%よりも多いと液相成分が少ないた
めに1000℃以下での緻密化ができなくなる。
【0016】また、Li2 Oについて、Li2 Oが0.
1重量%よりも少ないと、SiO2量が多い場合におい
て、主相となるSiO2 相が容易にクリストバライトに
相変態してしまい、200℃付近に変曲点をもつ熱膨張
挙動を示してしまうためであり、10重量%よりも多い
と誘電損失が劣化してしまうためである。Li2 Oの望
ましい範囲は、1〜5重量%である。
【0017】また、B2 3 について、B2 3 量が
0.1重量%より少ないと、800〜1000℃の温度
で磁器が十分に緻密化することができず、15重量%よ
り多いと、過剰な液相が生成し1〜60GHzの高周波
領域における誘電損失が30×10-4を越えるためであ
る。B2 3 の望ましい範囲は1〜5重量%である。
【0018】さらに、K、Na、CsおよびRbの群か
ら選ばれる少なくとも1種の酸化物は、前記Li2 Oと
の相乗効果により、さらに低温焼成化を実現することが
できる。従って、かかるアルカリ金属量が0.1重量%
よりも少ないと、Li2 Oとの相乗効果が発現せず、1
0重量%よりも多いと、800〜850℃でLi、B、
Naなどを含む液相成分が溶出してしまう。かかるアル
カリ金属酸化物の望ましい範囲は、1〜5重量%であ
る。
【0019】また、本発明の第2の態様によれば、Si
2 を14.9〜98重量%と、ZnOを1〜84.4
重量%の割合で含む主成分を80〜99.3重量%と、
Li2 Oを0.1〜10重量%と、少なくともSiO2
およびB2 3 を含有するガラスを0.5〜20重量%
と、K、Na、CsおよびRbの群から選ばれる少なく
とも1種の酸化物を0.1〜10重量%とからなる。
【0020】この組成物において、SiO2 、ZnO、
Li2 OおよびK、Na、CsおよびRbの群から選ば
れる少なくとも1種の酸化物量の上限および下限の限定
理由は第1の態様と同様な理由による。少なくともSi
2 およびB2 3 を含有するガラスについて、上記ガ
ラス量が0.5重量%より少ないと、800〜1000
℃の温度で磁器が十分に緻密化することができず、20
重量%より多いと、過剰な液相が生成し1〜60GHz
の高周波領域における誘電損失が30×10-4を越えて
高くなるためである。少なくともSiO2 とB2 3
含有するガラスの望ましい範囲は、1〜10重量%であ
る。
【0021】なお、上記の少なくともSiO2 、B2
3 を含むガラスとしては、一般にホウケイ酸系ガラス、
ホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウケイ酸鉛系ガラスなどが
好適に用いられるが、特にSiO2 を5〜80重量%、
2 3 を4〜50重量%の割合でそれぞれ含み、他の
成分としてAl2 3 を30重量%以下、アルカリ金属
酸化物を20重量%以下の割合で含むものが好適に使用
され、これらの酸化物成分を所定割合で配合したものを
溶融、冷却してガラス化したものが使用される。
【0022】上記第1および第2の態様の磁器組成物
は、いずれも800〜1000℃の低温での焼成によっ
て相対密度95%以上まで緻密化することができる。
【0023】上記の組成物を上記の温度で焼成して得ら
れる磁器は、クオーツ型結晶相単相からなるもの、ある
いは図1(a)(b)の磁器組織の概略図に示すよう
に、結晶相として、クオーツ型結晶相(Q)と、ZnO
およびSiO2 を含むウイレマイト型結晶相(W)を主
体とするものである。また、第3の結晶相として、少な
くともSiO2 、Li2 OおよびZnOを含む結晶相
(L)を含む場合もあり、図1(a)に示すように、ウ
イレマイト型結晶相(W)を主相とする場合、図1
(b)に示すように、クオーツ型結晶相(Q)を主相と
する場合がある。また、上記以外に、少量のクリストバ
ライト型結晶相、トリジマイト型結晶相などの結晶相が
析出する場合もある。また、これらの結晶相の粒界に、
SiO2 、ZnOあるいはB2 3 等を含む非晶質が存
在する場合もある。
【0024】なお、前記ウイレマイト型結晶相とは、Z
2 SiO4 で表される結晶相であり、また、少なくと
もSiO2 、Li2 OおよびZnOを含む第3の結晶相
は、Zn2 SiO4 型結晶のSiサイトにZnおよびL
iが固溶した、Zn2 (Znx Liy Siz )O4 (x
+y+z=1)の結晶相および/またはLi2 ZnSi
4 型結晶である。
【0025】このように本発明によれば、磁器中に、ク
オーツ型結晶相や、ウイレマイト型結晶相を析出させる
ことにより、比誘電率を7以下の低誘電率を有するとと
もに、マイクロ波、ミリ波などの高周波帯域、具体的に
は1GHz〜60GHzの範囲において、誘電損失が3
0×10-4以下の低損失特性を有するものである。しか
も、この磁器は、組成物の組成を前述の範囲で制御する
ことにより、上記誘電体特性を維持しながら、結晶相の
比率などの変動によって、室温から400℃の温度範囲
の熱膨張係数を1.5〜17ppm/℃の範囲で制御す
ることが可能であり、しかも直線的な熱膨張挙動を示す
ものである。
【0026】また、本発明によれば、SiO2 量が94
重量%以上である場合、磁器を構成する結晶相は、実質
的にクオーツ型結晶相のみからなり、この場合には、誘
電率を4.5以下、室温から400℃における熱膨張係
数を15〜17ppm/℃の範囲で制御することができ
る。
【0027】本発明の低温焼成磁器を磁器を製造するに
は、前記組成物を得るにあたり、原料粉末としては、S
iO2 、ZnO、Li2 O、B2 3 およびK、Na、
CsおよびRbの群から選ばれる少なくとも1種の酸化
物、あるいは焼成により酸化物を形成し得る炭酸塩、硝
酸塩など、あるいは上記酸化物のうち2種以上の複合酸
化物なども使用できる。
【0028】具体的には、ZnO、SiO2 源として
は、単味の酸化物の他に、Zn2 SiO4 で表されるウ
イレマイト化合物を用いることができる。
【0029】また、B2 3 源としては、B2 3 や焼
結過程でB2 3 を形成し得るB23 、H2 BO
3 や、ZnO・2B2 3 、4ZnO・3B2 3 など
のほう酸亜鉛などの化合物の群から選ばれる少なくとも
1種が用いられる。
【0030】さらに、Li2 O源として、Li2 O、焼
結過程でL 2 Oを形成し得るLi2 CO3 、LiOH
・H2 O、Li2 S等、あるいはLi2 SiO3 、Li
4 SiO4 、Li2 Si2 5 、Li2 Si3 7 、L
6 Si2 7 、Li8 SiO6 などのSiO2 とLi
2 Oとの化合物、Li2 ZnSiO4 、Zn2 (Znx
LiySiz)O4 (x+y+z=1)などのSiO2
とLi2 OとZnOとの複合酸化物の群から選ばれる少
なくとも1種が用いられる。
【0031】また、K、Na、CsおよびRbの群から
選ばれる少なくとも1種の酸化物源としては、各金属元
素の酸化物や、焼成によって酸化物を形成し得る炭酸
塩、硝酸塩などが使用される。
【0032】またさらに、少なくともSiO2 およびB
2 3 を含有するガラスとしては、前述したような、ホ
ウケイ酸系ガラス、ホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウケイ
酸鉛系ガラスなどが好適に用いられる。
【0033】これらの原料を用いて、前記第1の態様ま
たは第2の態様の組成物に調合し、混合する。そして、
その混合粉末に適宜バインダ−を添加した後、例えば、
金型プレス、冷間静水圧プレス、押し出し成形、ドクタ
ーブレード法、圧延法等により任意の形状に成形後、酸
化雰囲気中または、N2 ,Ar等の非酸化性雰囲気中に
おいて800℃〜1000℃、特に850〜950℃の
温度で0.1〜5時間焼成することにより相対密度95
%以上に緻密化することができる。
【0034】この時の焼成温度が800℃より低いと、
磁器が十分に緻密化せず、1000℃を越えると緻密化
は可能であるが、銅、銀などの導体と同時焼成ができな
くなる。因みに、同時焼成時に、導体として銅を用いる
場合には非酸化性雰囲気とし、銀を用いる場合には非酸
化性または酸化性雰囲気で焼成することが必要である。
銅導体を用いることが出来なくなるためである。
【0035】上記の製造方法によれば、ZnおよびSi
からなる複合酸化物と、B2 3 、またはSiO2 、B
2 3 を含むガラスに、さらにLi2 Oと、K、Na、
CsおよびRbの群から選ばれる少なくとも1種の酸化
物とを組み合わせて添加することにより、複合酸化物か
ら生成するZnを主とする液相とB2 3 中またはガラ
ス中のB(ホウ素)成分のより活性な液相反応が生じ
る。さらにLiとK、Na、CsおよびRbの群から選
ばれる少なくとも1種の酸化物とを組み合わせることに
より、アルカリ混合効果により、さらに低温で液相が生
成されることにより、アルカリ金属元素が一種の場合に
比較して、低温で液相が生成される結果、僅かな添加物
の添加により、800〜1000℃以下の温度で焼成で
き、磁器を緻密化することができる。そのために、誘電
損失を増大させる要因となる粒界の非晶質相の量を最小
限に押さえることができる。このため高周波帯域におい
てより低い誘電損失を得ることができるのである。
【0036】また、本発明における磁器組成物は、80
0〜1000℃で焼成可能であることから、特に銅、
金、銀などを配線する配線基板の絶縁基板として用いる
ことができる。かかる磁器組成物を用いて配線基板を作
製する場合には、例えば、上記のようにして調合した混
合粉末を公知のテープ成形法、例えばドクターブレード
法、圧延法等に従い、絶縁層形成用のグリーンシートを
作製した後、そのシートの表面に配線回路層用として、
銅、金および銀のうちの少なくとも1種の金属、特に、
銅粉末を含む導体ペーストを用いて、グリーンシート表
面に配線パターンにスクリーン印刷法、グラビア印刷法
等によって回路パターン状に印刷し、場合によってはシ
ートにスルーホールやビアホール形成後、上記導体ペー
ストを充填する。その後、複数のグリーンシートを積層
圧着した後、上述した条件で焼成することにより、配線
層と絶縁層とを同時に焼成することができる。
【0037】
【実施例】 実施例1 平均粒径が1μm以下のZn2 SiO4 粉末、ZnO・
2B2 3 粉末または4ZnO・3B2 3 粉末で示さ
れる化合物、溶融SiO2 (アモルファス)、各種アル
カリ金属の炭酸塩の粉末を原料として用い、各金属元素
の酸化物量が表1、2の組成に従い混合した。そして、
この混合物に有機バインダー、可塑剤、トルエンを添加
し、ドクターブレード法により厚さ300μmのグリー
ンシートを作製した。そして、このグリーンシートを5
枚積層し、50℃の温度で100kg/cm2 の圧力を
加えて熱圧着した。得られた積層体を水蒸気含有窒素雰
囲気中で、700℃で脱バインダーした後、乾燥窒素中
で表1、2の条件において焼成して多層基板用磁器を得
た。
【0038】得られた焼結体について誘電率、誘電損失
を以下の方法で評価した。測定は、形状直径1〜5m
m、厚み2〜3mmの試料を切り出し、60GHzにて
ネットワークアナライザー、シンセサイズドスイーパー
を用いて誘電体円柱共振器法により行った。測定では、
NRDガイド(非放射性誘電体線路)で、誘電体共振器
の励起を行い、TE021,TE031モードの共振特
性より誘電率、誘電損失を算出した。測定の結果は表
1、2に示した。また、X線回折測定から、磁器の構成
相を同定し、試料No.4、8についてX線回折チャート
を図2、図3に示した。さらに、各磁器について、室温
から400℃の温度範囲における熱膨張係数を測定し
た。
【0039】また、比較例として、MgSiO3 、Ca
SiO3 を主成分とし、これに、B2 3 含有化合物や
アルカリ金属酸化物を添加して、同様に焼結体を作製し
評価した(試料No.30、31)。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】表1、2の結果から明らかなように、結晶
相として、ウイレマイト型結晶相(Zn2 SiO4
(W)あるいはクオーツ型結晶相(Q)が主として析出
した本発明の磁器は、いずれも誘電率が7以下、60G
Hzでの誘電損失が30×10-4以下の優れた値を示し
た。なお、本発明品の磁器の液相に対して、ICP発光
分光分析によって分析した結果、いずれも液相中からZ
nと、その他に極微量のB、Si、Li、Na等が検出
された。
【0043】これに対して、SiO2 量が98重量%を
越える試料No.1では1400℃まで高めないと緻密化
できず、14.9重量%よりも少ない試料No.25で
は、誘電特性が大きく劣化し測定できなかった。B2
3 量が0.1重量%未満である試料No.15では、焼成
温度を1200℃まで高めないと緻密化することができ
ず、本発明の目的に適さないものであった。一方、B2
3 量が15重量%を越える試料No.18は、液相が溶
出してした。Li2 O量が0.1重量%よりも少ない試
料No.11では、クリストバライトが多量に析出し、熱
膨張係数が17ppm/℃を越え、本発明の目的に適さ
ず、しかも、熱膨張曲線に変曲点が生じた。
【0044】また、ZnO量が84.9重量%を越える
試料No.26では過剰なZnO相が析出し、このため誘
電損失が増大し60GHzにおいて誘電特性が評価でき
なかった。一方、ZnO量が1重量%未満の試料No.5
では過剰なSiO2 によりクリストバライト相が析出
し、またZn量が不十分であるため、B2 3 中のB成
分と液相を形成することが困難となり、1300℃まで
高めないと緻密化できなかった。
【0045】さらに、Na2 O無添加の試料No.3で
は、1000℃以下の温度で焼成できなかったが、試料
No.2に示すように、Li2 Oの一部をNa2 Oに代え
ると、950℃で緻密化することができた。また、Na
2 O量が0.1重量%よりも少ない試料No.7でも10
00℃以下の緻密化ができなかった。さらに、Na2
量が10重量%を越える試料No.9では、液相成分が溶
出した。
【0046】また、比較例として、MgSiO3 やCa
SiO3 を用いた試料No.30、31では、B2 3
を15重量%以上添加しないと緻密化しないため十分な
誘電特性が得られず、本発明の目的に適さないものであ
った。SiO2 およびZnO以外の成分量が20重量%
を越える試料No.14では液相が溶出した。
【0047】実施例2 平均粒径が1μm以下のZn2 SiO4 に対して、表3
の組成からなるガラス粉末と、さらに各種アルカリ金属
の炭酸塩、場合により溶融SiO2 を添加して、添加し
たガラス以外のSiO2 、ZnOおよびアルカリ金属酸
化物量が表3の組成になるように混合した。そして、こ
の混合物に有機バインダー、可塑剤、トルエンを添加
し、ドクターブレード法により厚さ300μmのグリー
ンシートを作製した。そして、このグリーンシートを5
枚積層し、50℃の温度で100kg/cm2 の圧力を
加えて熱圧着した。得られた積層体を水蒸気含有/窒素
雰囲気中で、700℃で脱バインダーした後、乾燥窒素
中で表3の条件において焼成して多層基板用磁器を得
た。
【0048】得られた焼結体について実施例1と同様に
して誘電率、誘電損失および結晶相の同定、熱膨張係数
を実施例1と同様な方法で測定評価した。測定の結果は
表4、5に示した。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】表4、表5の結果から明らかなように、本
発明の成分組成に制御した試料は、実施例1と同様に、
いずれも1000℃以下で緻密化できるとともに、結晶
相として、ウイレマイト結晶相やSiO2 系結晶が主と
して析出し、いずれも誘電率が7以下、60GHzでの
誘電損失が30×10-4以下の優れた値を示した。しか
も、熱膨張係数が1.5〜17ppm/℃の範囲で制御
可能であり、変曲点も存在しなかった。
【0053】実施例3 上記実施例1中のNo.4および8の磁器を用いて、直径
1〜30mm、厚み2〜15mmの円柱サンプル)を作
製した。また比較として汎用品のコージェライト系ガラ
スセラミックス(硼珪酸ガラス75重量%、Al2 3
25重量%)、汎用の低純度アルミナ(Al2 3 95
重量%、CaO、MgO5重量%)を用い同様にしてサ
ンプルを作製した。作製したサンプルを1GHz、10
GHz、20GHz、30GHz、60GHzの高周
波、マイクロ波、ミリ波領域において、誘電体円柱共振
器法により誘電損失を測定した。結果を図4に示した。
【0054】汎用品のガラスセラミックスは低周波領域
において誘電損失は7×10-4と低いが、高周波領域に
なるに従い特性が劣化してしまい20GHz以上では2
0×10-4程度になってしまう。また、汎用の低純度ア
ルミナは60GHzで40×10-4程度まで高くなっ
た。一方、本発明品は、60GHzでの高周波領域にお
いても誘電損失は30×10-4以下と低いものであっ
た。なお、誘電率は汎用品ガラスセラミックスは5、低
純度アルミナは9であった。
【0055】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の低温焼成磁
器組成物は、誘電率が低く、30GHz以上の高周波に
おいても誘電損失が小さいので、高周波用途のマイクロ
波用回路素子等において最適である。さらに、熱膨張係
数を誘電特性を損なうことなく、直線的な熱膨張挙動で
幅広く制御できることから、かかる磁器を用いた配線基
板をマザーボードなどのプリント基板に実装したり、電
子部品や入出力端子を取り付ける際において、熱膨張差
を小さくできることから、信頼性の高い基板を作製する
ことができる。しかも、800〜1000℃で焼成され
るため、Cu、Au、Ag等による配線を同時焼成によ
り形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電体磁器の組織の概略図である。
【図2】本発明の誘電体磁器(試料No.4)のX線回折
チャート図である。
【図3】本発明の誘電体磁器(試料No.8)のX線回折
チャート図である。
【図4】本発明品および従来品の誘電損失の測定周波数
との関係を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H05K 3/46 H01L 23/14 C

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】SiO2 を14.9〜98重量%と、Zn
    Oを1〜84.9重量%とからなる主成分80〜99.
    5重量%と、B2 3 を0.1〜15重量%と、Li2
    Oを0.1〜10重量%と、K、Na、CsおよびRb
    の群から選ばれる少なくとも1種の酸化物を0.1〜1
    0重量%の割合で添加してなることを特徴とする低温焼
    成磁器組成物。
  2. 【請求項2】SiO2 を14.9〜98重量%と、Zn
    Oを1〜84.4重量%とからなる主成分80〜99.
    3重量%に対して、少なくともSiO2 およびB2 3
    を含有するガラスを0.5〜20重量%と、Li2 Oを
    0.1〜10重量%と、少なくともK、Na、Csおよ
    びRbの群から選ばれる少なくとも1種の酸化物を0.
    1〜10重量%の割合で添加してなることを特徴とする
    低温焼成磁器組成物。
  3. 【請求項3】金属元素として、Znと、Siと、Li
    と、K、Na、CsおよびRbの群から選ばれる少なく
    とも1種とを含む複合酸化物からなる低温焼成磁器であ
    り、該磁器中の結晶相が、クオーツ型結晶相のみ、また
    はクオーツ型結晶相とウイレマイト型結晶相とを主体と
    することを特徴とする低温焼成磁器。
  4. 【請求項4】1GHz〜60GHzでの誘電率(εr)
    が7以下、誘電損失が30×10-4以下、さらに室温か
    ら400℃における熱膨張係数が1.5〜17ppm/
    ℃の特性を有することを特徴とする請求項3記載の低温
    焼成磁器。
  5. 【請求項5】前記磁器中の結晶相がクオーツ型結晶相の
    みからなり、誘電率が4.5以下、室温から400℃に
    おける熱膨張係数が15〜17ppm/℃であることを
    特徴とする請求項4記載の低温焼成磁器。
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CN117550875A (zh) * 2023-11-26 2024-02-13 景德镇陶瓷大学 一种掺入钼矿渣和铷尾矿低温制备高强度陶瓷坯体的方法及其产品
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