JPH111187A - 履帯式走行装置 - Google Patents

履帯式走行装置

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JPH111187A
JPH111187A JP17293397A JP17293397A JPH111187A JP H111187 A JPH111187 A JP H111187A JP 17293397 A JP17293397 A JP 17293397A JP 17293397 A JP17293397 A JP 17293397A JP H111187 A JPH111187 A JP H111187A
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JP
Japan
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crawler belt
idler wheel
crawler
track
tread
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JP17293397A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Nishimori
博幸 西森
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 履帯が遊動輪に衝突するときの衝撃力を複数
箇所に分散でき、走行時等に生じる騒音等を低減できる
ようにする。 【解決手段】 遊動輪15の各踏面15Cには、その全
周に亘って複数の突部16をほぼ等間隔に突設する。ま
た、この各突部16は履帯18のリンクピッチ間毎に、
例えば6〜8個程度の予め決められた個数分だけ各踏面
15Cの全周に沿って配設するようにする。そして、履
帯18が遊動輪15に巻込まれるときには、各突部16
のちの2個の突部16,16が履帯18のトラックリン
ク18Aに当接し、トラックリンク18Aに対する接触
面積を増大させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば油圧ショベ
ル、油圧クレーン等の装軌式車両に好適に用いられる履
帯式走行装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、サイドフレームを有する車両の
トラックフレームと、前記サイドフレームの両端側にそ
れぞれ回転可能に設けられた駆動輪および遊動輪と、こ
の駆動輪と遊動輪との間に巻装された履帯と、前記サイ
ドフレームの下部と履帯との間に設けられた下ローラと
を備え、前記履帯は複数のトラックリンクを無端状とな
るように複数の連結ピンを介して互いに回動可能に連結
してなる履帯式走行装置は知られている。ここで、前記
遊動輪には、その外周に沿って前記トラックリンクに接
触する踏面が設けられ、この踏面はその全周に亘り平滑
な円弧面として形成されるものである。
【0003】この種の従来技術による履帯式走行装置で
は、走行用の油圧モータ等のアクチュエータで駆動輪を
回転駆動させることによって、履帯を駆動輪と遊動輪と
の間で周回動作させ、車両を走行駆動する構成となって
いる。そして、このように履帯が周回動作を行うときに
は、前記下ローラはサイドフレームの下部側で履帯をガ
イドする。
【0004】また、例えば実開平1−176586号公
報等の履帯式走行装置では(以下、他の従来技術とい
う)、遊動輪の外周に沿って弾性リングを配設し、履帯
が遊動輪に巻込まれるときに前記弾性リングを履帯に対
して弾性的に接触させる構成としている。これによっ
て、路上走行時等に履帯を構成する各トラックリンクが
遊動輪の踏面に衝突するときの衝撃力を前記弾性リング
によって緩衝し、遊動輪等から発生する騒音等を低減す
るようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術では、路上走行時等には油圧ショベルに外部から
の振動や衝撃等が頻繁に作用する。そして、このような
振動等が履帯に伝わると、この履帯は遊動輪と駆動輪と
の間でサイドフレームの上側を上下方向に大きく波打ち
ながら振動する(以下、これを「波打ち現象」という)
ようになり、これによって、履帯は遊動輪の踏面に対し
て繰返し強く衝突してしまう。
【0006】そして、前記遊動輪は内部が中空構造をな
すように形成されるから、履帯が「波打ち現象」を伴っ
て遊動輪に衝突する度毎に、このときの衝撃、振動等が
遊動輪内で共振、共鳴して打撃音(太鼓音)等の大きな
騒音や振動等を発生させてしまうという問題がある。ま
た、このときの衝撃等は履帯側でも共鳴、共振してこの
履帯の表面側からも大きな騒音等を発生させるという問
題がある。
【0007】一方、他の従来技術では、履帯の各トラッ
クリンクが遊動輪の踏面に衝突するときの衝撃力を前記
弾性リングにより緩衝でき、履帯の波打ち現象による騒
音や振動を低減することは可能となる。
【0008】しかし、この場合には、例えば粘土質等の
地面が比較的軟弱な路上を走行するときに、履帯の裏面
側に土砂等が溜り易くなり、このような土砂が例えば前
記履帯と弾性リングとの間に堆積すると、トラックリン
クと遊動輪との間に隙間が形成され、両者が非接触の状
態になることがある。
【0009】そして、履帯と弾性リングとの接触面側に
堆積した土砂等は、履帯が地面に接するときに車両の自
重により、トラックリンク側の目詰り防止用穴等から自
動的に外部に排出されるものの、全ての土砂を前記目詰
り防止用穴等から排出させることは難しく、トラックリ
ンクが遊動輪に対して必ずしも接触するようにはならな
い。
【0010】このため、他の従来技術では、履帯を構成
するトラックリンクが下ローラと遊動輪の踏面との間で
振動を繰返すようになり、走行時の振動を大きくし、乗
り心地を悪化させてしまうという問題がある。また、走
行時の振動でフロントに設けた作業装置が振動してしま
うと、作業者にとって前記作業装置の操作が難しくなる
という問題がある。
【0011】さらに、前記弾性リングをゴムまたはプラ
スチック等の樹脂材料で形成すると、この弾性リングが
早期に摩耗し易くなり、耐久性等が低下して弾性リング
の寿命を早めてしまうという問題がある。
【0012】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、本発明は履帯が「波打ち現象」等を起こ
して振動した場合でも、遊動輪に作用する履帯からの衝
撃を複数の箇所に分散させて受けることにより衝撃音等
を小さくできる上に、地面が比較的軟弱な路上を走行す
るときでも、履帯を遊動輪に常に接触させ続けることが
でき、履帯がサイドフレームの下側等で振動してしまう
のを防止でき、走行時の騒音、振動等を低減できるよう
にした履帯式走行装置を提供することを目的としてい
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明は、サイドフレームを有する車両のトラ
ックフレームと、前記サイドフレームの両端側にそれぞ
れ回転可能に設けられた駆動輪および遊動輪と、この駆
動輪と遊動輪との間に巻装された履帯とを備え、この履
帯は複数のトラックリンクを無端状となるように複数の
連結ピンを介して互いに回動可能に連結してなる履帯式
走行装置に適用される。
【0014】そして、請求項1の発明が採用する構成の
特徴は、前記遊動輪は中空構造をなし、軸方向中間部の
外周側に突出形成され前記履帯の脱輪を防止する環状の
係合凸部と、この係合凸部の軸方向両側に位置し前記履
帯のトラックリンクに接触する一対の踏面とを備え、こ
の各踏面には、前記履帯が遊動輪に巻込まれるときに各
トラックリンクに対して少なくとも複数箇所で接触する
多数の突部を全周に亘って設ける構成としたことにあ
る。
【0015】上記構成により、履帯が遊動輪に巻込まれ
るときには、この遊動輪の踏面を各突部により履帯のト
ラックリンクに複数箇所で衝突(接触)させることがで
きるから、例えば前記各踏面を全周に亘り平滑な円弧面
として形成した従来技術のものと比較して、各踏面のト
ラックリンクに対する接触面積を全体として増やすこと
ができる。
【0016】また、請求項2の発明では、前記各突部
を、前記履帯の各連結ピンのうち互いに隣合う2個の連
結ピンと前記遊動輪の中心とがなすリンクピッチ間毎に
予め決められた個数をもって形成したことにある。
【0017】これにより、前記各突部を遊動輪の踏面に
形成するときに、各突部の個数をトラックリンクのリン
クピッチとの関係で決めることができ、これによって、
履帯が遊動輪に巻込まれるときに、各踏面を各突部によ
り全てのトラックリンクに対して確実に複数箇所で接触
させることができる。
【0018】さらに、請求項3の発明では、前記各突部
を、前記踏面の全周に沿って一定の傾き角で斜めに延び
るように形成したことにある。
【0019】これにより、例えば、各突部を踏面に沿っ
て斜めに傾けた分だけ、各突部の長寸法をより大きくす
ることができるから、前記トラックリンクに対する各突
部全体の接触面積を容易に増やすことができる。
【0020】さらにまた、請求項4の発明では、前記遊
動輪の各踏面のうち一方の踏面に設けた各突部と他方の
踏面に設けた各突部とを、前記各踏面の周方向に対して
互いに異なる位置に配設したことにある。
【0021】これにより、履帯が遊動輪に巻込まれると
きに、各踏面のうち一方の踏面側の突部と他方の踏面に
設けた突部とを、トラックリンクに対して交互に接触さ
せることができ、それぞれの衝突が同時(一度)に生じ
るのを防止できる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づき説明する。
【0023】ここで、図1ないし図9は本発明の第1の
実施例による履帯式走行装置を油圧ショベルに適用した
場合を示している。
【0024】図中、1は油圧ショベルの走行装置全体を
構成する下部走行体、2はこの下部走行体1上に旋回可
能に設けられた上部旋回体を示し、この上部旋回体2は
運転室3、機械室4およびカウンタウェイト5等を備
え、上部旋回体2の前部中央には土砂等の掘削作業を行
う作業装置6が設けられている。
【0025】7は下部走行体1を構成するトラックフレ
ームを示し、このトラックフレーム7は、その上側中央
部に上部旋回体2が旋回可能に取付けられたセンタフレ
ーム(図示せず)と、このセンターフレームの左,右両
側に設けられた左,右のサイドフレーム8(一方のみ図
示)とから大略構成されている。そして、サイドフレー
ム8は前後方向に伸長した縦長の筐体として形成され、
その内部には後述する履帯18の張力を調整する張力調
整シリンダ(図示せず)等が前後方向に伸縮可能に設け
られている。
【0026】9はサイドフレーム8の一端側に設けられ
たアイドラブラケットを示し、このアイドラブラケット
9は図2および図4に示す如く、サイドフレーム8の一
端側から前方に延設された左,右の側板9A,9Bと、
この側板9A,9Bから左,右内向きに屈曲して後述の
遊動輪15側へと延びた左,右の上板9C,9Dと、こ
の上板9C,9Dを互いに一体に連結した補強板9Eと
から略コ字状をなした枠体として形成されている。ま
た、前記上板9C,9D間には、一定の幅をもって前後
に延びる切欠部9Fが設けられ、この切欠部9Fは遊動
輪15がサイドフレーム8に対して前後方向に相対変位
するのを許している。
【0027】10,11は遊動輪ブラケット9内に前後
方向に沿って設けられた左,右のガイド部材で、このガ
イド部材10,11は後述の各軸受部13をアイドラブ
ラケット9内で前後方向にガイドするものである。
【0028】そして、ガイド部材10,11のうち左側
のガイド部材10は図4に示す如く、側板9Aの上部側
から内向きに突出し、その突出端側が略L字状に屈曲し
て上板9Cに固着された上側ガイド板10Aと、この上
側ガイド板10Aの下側に位置して側板9Aから内向き
に突出した下側ガイド板10Bとからなっている。ま
た、下側ガイド板10Bの突出端側には、前後方向に沿
って補強板10Cの基端側が固着され、この補強板10
Cの先端側(下端側)は側板9Aの下端側に固着されて
いる。また、ガイド部材11についても、ガイド部材1
0と同様に上側ガイド板11A、下側ガイド板11Bお
よび補強板11Cからなっている。
【0029】12は前記ガイド部材10,11間に位置
してアイドラブラケット9内に移動可能に設けられたヨ
ークを示し、このヨーク12は図6に示す如く、左,右
に分岐して平行に伸長する一対の腕部12A,12A
と、これらの各腕部12Aの基端側に一体形成された連
結部12Bとから略U字状をなす板体として形成されて
いる。また、ヨーク12には、各腕部12Aの先端側に
各軸受部13が一体的に取付けられると共に、この各軸
受部13間には支軸14の両端が廻止めされた状態で取
付けられている。そして、各軸受部13は、ガイド板1
0A,10B間およびガイド板11A,11B間にそれ
ぞれ摺動可能に配設され、前記張力調整シリンダが履帯
18の張力に応じて伸縮したときには、ヨーク12と一
体となって前後方向に変位するようになる。
【0030】15はヨーク12を介してサイドフレーム
8の一端側に回転可能に設けられた遊動輪を示し、この
遊動輪15は図4および図6に示す如く、内部がドーナ
ツ状の中空構造をなし、その中心部には軸筒15Aが一
体に設けられている。そして、遊動輪15は、軸筒15
A内に支軸14が回転可能に挿通されることにより、ヨ
ーク12の各軸受部13間で回転可能に支持されるもの
である。
【0031】また、前記遊動輪15の外周側には、その
軸方向中間部となる部分に履帯18の脱輪を防止する環
状の係合凸部15Bが突出形成され、この係合凸部15
Bの軸方向両側には後述する履帯18の各トラックリン
ク18Aに接触する踏面15C,15Cが段差面として
形成されている。
【0032】ここで、前記各踏面15Cには図3ないし
図7に示す如く、それぞれの全周に亘って略V字状また
はU字状の溝加工を施すことにより突部16,16,…
がほぼ等間隔に形成されている。そして、各突部16は
断面略三角形または台形状をなし、各踏面15Cの幅方
向に向け一定の長さをもって延びている。また、各突部
16は、踏面15Cからの突出寸法が約2〜3mm程度
に設定されるものである。
【0033】そして、前記各突部16は図5に示すよう
に、後述するリンクピッチ間の角度α間毎に、予め決め
られた個数(例えば6〜8個程度)分だけ各踏面15C
の全周に沿って配設されるものである。この結果、履帯
18の各トラックリンク18Aが遊動輪15に巻込まれ
るときには、各踏面15Cの各突部16のうち2個の突
部16,16が各トラックリンク18Aに接触するよう
になる。なお、各踏面の15Cうち一方の踏面15C側
の各突部16と他方の踏面15C側の突部16とは、踏
面15Cの周方向に関して互いにほぼ同じ位置に配置さ
れている。
【0034】また、17はサイドフレーム8の他端側に
回転可能に設けられたスプロケットからなる駆動輪で、
この駆動輪17は外周側に複数の歯部17Aを有し、油
圧モータおよび走行用減速機(図示せず)等によって回
転駆動されることにより、各歯部17Aに噛合した履帯
18を駆動させる。
【0035】18,18は各遊動輪15と各駆動輪17
との間に巻装された一対の履帯(一方のみ図示)を示
し、この各履帯18は図3および図4に示す如く、遊動
輪15の各踏面15Cに対応して左,右に離間した位置
に配設された複数のトラックリンク18A,18A,…
と、これらの各トラックリンク18Aを無端状に連結す
るように各トラックリンク18Aの長手方向両端側を互
いに回動可能に連結した各連結ピン18Bおよび各ブッ
シュ18C等とから構成され、前記左,右の各トラック
リンク18Aには両者を互いに連結するようにそれぞれ
各シュー18Dが一体に取付けられている。
【0036】そして、履帯18は各ブッシュ18Cを駆
動輪17の各歯部17Aに噛合させつつ遊動輪15の各
踏面15Cとの間で巻回され、この状態で駆動輪17を
駆動させることにより遊動輪15と駆動輪17との間で
周回動作を行う。また、この履帯18は、各トラックリ
ンク18Aが係合凸部15Bに係合することにより遊動
輪15からの脱輪が防止されている。
【0037】ここで、履帯18が遊動輪15に巻込まれ
るときには、図3および図5に示すように各トラックリ
ンク18Aは各突部16により順次各踏面15Cと2箇
所で線接触(部分接触)するようになる。また、履帯1
8は、各連結ピン18Bのうち互いに隣合う2個の連結
ピン18B,18Bと遊動輪15の中心Oとがなす中心
角がリンクピッチ間の角度αとなっている。
【0038】19,19はサイドフレーム8の上側に回
転可能に設けられた前,後の上ローラ、20,20,…
はサイドフレーム8の下側に前,後に離間して回転可能
に設けられた複数の下ローラを示している。そして、各
ローラ19,20は、履帯18を遊動輪15と駆動輪1
7との間で案内するものである。
【0039】本実施例による油圧ショベルの履帯式走行
装置は上述の如き構成を有するもので、次にその作動に
ついて説明する。
【0040】路上走行時には、駆動輪17を油圧モータ
等を介して回転駆動させ、履帯18をサイドフレーム8
の上側と下側とでそれぞれ各ローラ19,20等を介し
てガイドすることにより、履帯18を遊動輪15と駆動
輪17との間で周回動作させて下部走行体1を走行駆動
させる。また、上部旋回体2を下部走行体1上で旋回さ
せつつ作業装置6を作動させることにより土砂等の掘削
作業を行う。
【0041】ところで、路上走行時には当該油圧ショベ
ルに外部からの振動や衝撃が頻繁に作用する。そして、
このような振動等が履帯18に伝わると、この履帯18
はサイドフレーム8の上側において遊動輪15と駆動輪
17との間で「波打ち現象」を起こしながら大きく振動
するようになり、これによって、各トラックリンク18
Aが遊動輪15に巻込まれる度毎に、この遊動輪15の
各踏面15Cには各トラックリンク18Aが強く衝突し
てしまう。
【0042】そして、例えば、従来技術のように遊動輪
15の各踏面15Cを全周に亘り凹凸のない平滑な円弧
面として形成した場合には、トラックリンク18Aは前
記踏面に対して一箇所で線接触(部分接触)するように
なるから、トラックリンク18Aと前記踏面との間の接
触面積は著しく小さくなる。
【0043】ここで、図9は上述した従来技術の場合に
ついて、遊動輪に作用する履帯からの衝撃力と時間との
関係を示した特性線図であり、横軸は衝突時の時間を示
し、縦軸は衝撃力の大きさを示している。そして、図9
からも明らかなように、前記踏面には各トラックリンク
18Aが衝突する度毎に、履帯18からの大きな衝撃力
F1 がインパルス的に作用するようになり、このときの
振動、衝撃音は遊動輪15内等で共振、共鳴し、打撃音
(金属音)等となって大きな騒音や振動等を発生させて
しまう。
【0044】ここで、遊動輪15等から発生する前記騒
音、振動は前記衝撃力F1 のピーク値で決まることが分
かっている。即ち、このピーク値を小さくすれば、その
分だけ走行時の騒音、振動等を低減できる。
【0045】そこで本実施例では、遊動輪15の各踏面
15C側に履帯18に対するリンクピッチ間の角度α毎
に予め決められた個数をもって各突部16を形成し、履
帯18が遊動輪15に巻込まれるときに、各突部16の
うち2個の突部16,16をトラックリンク18Aに接
触させる構成としている。
【0046】この結果、履帯18が図3中の矢示A,
A′方向に振動した場合に、トラックリンク18Aは、
例えば図5中に示す各突部16のうち1個の突部16と
衝突するものの、次の瞬間には次なる突部16に衝突す
るようになり、これによって、履帯18のトラックリン
ク18Aは遊動輪15の踏面15Cに対して実質的に2
個の突部16に衝突することになり、このときの衝撃力
F2 ,F3 をそれぞれ2箇所に分散させることができ
る。
【0047】ここで、図8は本実施例の場合について、
遊動輪15に作用する履帯18からの衝撃力と時間との
関係を示した特性線図であり、図9と同様に横軸は衝突
時の時間を示し、縦軸は衝撃力の大きさを示している。
【0048】そして、図8および図9からも明らかなよ
うに、前記衝撃力F2 ,F3 のピーク値を前記従来技術
で述べた衝撃力F1 よりも小さくできると共に、これら
の衝撃力F2 ,F3 が踏面15Cに対して一度(同時)
に作用するのを防止でき、衝撃力F2 ,F3 に起因した
それぞれの衝撃音等を小さくできると共に、これらの衝
撃音を微小な時間をおいて別々に発生させることができ
る。
【0049】従って、本実施例によれば、履帯18に
「波打ち現象」が生じて各トラックリンク18Aが各踏
面15Cに強く衝突した場合でも、走行時に発生する全
体の騒音、振動等を従来技術の場合よりも確実に低減で
きる。また、掘削作業時等に前記振動に起因して上部旋
回体2のフロント側で作業装置6全体が大きく揺れるの
を防止でき、掘削作業を円滑に行うことができる。
【0050】また、他の従来技術で述べた弾性リング等
を遊動輪15に特別に設ける必要がなくなり、遊動輪1
5と履帯18のブッシュ18Cとの間に土砂等を排出す
るためのスペースを十分に確保できるから、粘土質等の
比較的軟弱な路面を走行する場合でも、各踏面15Cを
各トラックリンク18Aに常に接触させ続けることがで
きる。これによって、履帯18が遊動輪15と下ローラ
20との間で大きく振動するのを防止でき、走行時の騒
音等をさらに低減できる。しかも、各突部16間に付着
した土砂等を履帯18の衝突に対する緩衝材として利用
でき、これによっても、遊動輪15に作用する衝撃力F
2,F3 を小さく(吸収)でき、走行時の騒音等を低減で
きる。
【0051】さらに、各踏面15Cの各トラックリンク
18Aに対する接触面積を全体として増やすことができ
る上に、各突部16によって遊動輪15全体の強度を高
めることができ、遊動輪15の耐久性や寿命等を向上で
きる。
【0052】次に、図10は本発明の第2の実施例を示
し、本実施例では、前記第1の実施例と同一の構成要素
に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
しかし、本実施例の特徴は、前記第1の実施例で用いた
遊動輪15に替えて遊動輪31を設け、この遊動輪31
の各踏面31Bにはその全周に沿って各突部32を一定
の傾き角で斜めに延びるように形成したことにある。
【0053】ここで、前記遊動輪31は遊動輪15とほ
ぼ同様に構成され、係合凸部31A、各踏面31Bおよ
び軸筒(図示せず)を有しているものの、この各踏面3
1Bにはその全周に亘って複数の突部32,32,…が
突出形成されている。
【0054】また、前記突部32は前記第1の実施例で
述べた突部16とほぼ同様に形成され、その横断面は略
三角形または台形状をなしている。そして、各突部16
は履帯18のリンクピッチ(角度α)間毎に、例えば6
〜8個程度の予め決められた個数分だけ各踏面31Bの
全周に亘って配設されるものである。
【0055】しかし、前記各突部32は、それぞれの長
手方向を各踏面31Bの幅方向に対しほぼ同一の傾き角
をもって斜めに延びている点で前記第1の実施例のもの
とは異なっている。
【0056】かくして、このように構成される本実施例
でも、履帯18の各トラックリンク18Aが遊動輪31
に巻込まれるときに、トラックリンク18Aを各突部3
2のうち2個の突部32,32に接触させることがで
き、前記第1の実施例とほぼ同様の作用効果を得ること
ができる。
【0057】特に本実施例では、各突部32を各踏面3
1Bの幅方向に対して斜め方向に延ばす構成としたか
ら、この突部32を斜めに傾けた分だけ各突部32の全
長を長くすることができ、これによって、突部32のト
ラックリンク18Aに対する全体の接触面積を前記第1
の実施例の場合に比較して容易に増やすことができ、遊
動輪31の耐摩耗性等を高めて寿命をより一層延ばすこ
とができる。
【0058】次に、図11は本発明の第3の実施例を示
し、本実施例では、前記第2の実施例と同一の構成要素
に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
しかし、本実施例の特徴は、遊動輪41の各踏面41B
のうち一方の踏面41Bには各突部42を設け、他方の
踏面41Bには各突部42に対して逆向きに傾斜するよ
うに各突部43を設けたことにある。
【0059】ここで、前記遊動輪41は遊動輪31とほ
ぼ同様に構成され、係合凸部41A、各踏面41Bおよ
び軸筒(図示せず)を有している。また、この各踏面4
1Bのうち一方の踏面41Bにはその全周に亘って各突
部42が形成され、他方の踏面41Bには逆の傾き角を
もった各突部43が形成されている点で前記第2の実施
例とは異なっている。そして、各突部42,43は各踏
面41Bの全周に亘って互いに「ハ」の字状をなすよう
に配設される。
【0060】かくして、このように構成される本実施例
でも、各突部43の全長を各突部42と同様の長さに設
定することができ、前記第2の実施例とほぼ同様の作用
効果を得ることができる。
【0061】次に、図12は本発明の第4の実施例を示
し、本実施例では、前記第1の実施例と同一の構成要素
に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
しかし、本実施例の特徴は、遊動輪51の各踏面51B
のうち一方の踏面51Bには各突部52を設け、他方の
踏面51Bには各突部53を設けると共に、これらの各
突部52,53を前記各踏面51Bの周方向に対して互
いに異なる位置に所謂「千鳥配設」で設けたことにあ
る。
【0062】ここで、前記遊動輪51は遊動輪31とほ
ぼ同様に構成され、係合凸部51A、各踏面51Bおよ
び軸筒(図示せず)を有している。そして、この各踏面
51Bには前記第1の実施例で述べた各突部16とほぼ
同様にそれぞれ各突部52,53が形成されている。し
かし、これらの各突部52,53は、各踏面51Bの周
方向に対し互いにずれた位置で各踏面51Bの全周に亘
って配設されるものである。
【0063】かくして、このように構成される本実施例
でも、前記第1の実施例とほぼ同様の作用効果を得るこ
とができるが、特に本実施例では、各突部52,53を
各踏面51Bの周方向に対して互いに異なる位置に配設
する構成としたから、履帯18が遊動輪51に巻込まれ
るときに、各突部52と各突部53とを各トラックリン
ク18Aに対して交互に衝突(接触)させることがで
き、これによって、遊動輪15に一度に作用する衝撃力
を前記各突部52,53によりさらに分散させて小さく
でき、走行時の騒音等を一層低減できる。
【0064】なお、前記各実施例では、前記各突部16
(32,42,43,52,53)を履帯18のリンク
ピッチ(角度α)間毎に、例えば6〜8個程度設けるも
のとして述べたが、この突部16(32,42,43,
52,53)の個数は遊動輪15(31,41,51)
の材料強度、加工工数および径寸法等によって適宜に変
更してもよく、例えば前記突部16(32,42,4
3,52,53)を履帯18のリンクピッチ(角度α)
間毎に9個以上設けてもよいし、また4〜7個程度設け
るようにしてもよい。
【0065】さらに、前記各実施例では、履帯18のト
ラックリンク18Aを各突部16(32,42,43,
52,53)を介して遊動輪15(31,41,51)
に対し2箇所で接触させるものとして述べたが、これに
替えて、各突部16(32,42,43,52,53)
の個数を増やすことにより、前記トラックリンク18A
を3箇所以上で接触させるようにしてもよい。
【0066】さらにまた、前記各実施例では、前記各突
部16(32,42,43,52,53)の断面形状を
略三角形または台形状に形成するものとして述べたが、
これを例えば半円形状の他の形状に替えてもよい。
【0067】一方、前記第4の実施例では、各突部5
2,53を踏面51Bの軸方向(幅方向)に沿って平行
に配設するものとして述べたが、これに替えて、例えば
前記第2および第3の実施例と同様に各突部を斜めに傾
斜させてもよい。
【0068】また、前記各実施例では、履帯式走行装置
として油圧ショベルを例に挙げて説明したが、本発明は
これに限らず、例えば油圧クレーン、ブルトーザ等の履
帯式走行装置にも広く適用できるものである。
【0069】
【発明の効果】以上詳述した通り本発明によれば、請求
項1に記載の如く、遊動輪の各踏面にその全周に亘って
多数の突部を設けることにより、履帯が遊動輪に巻込ま
れるときに遊動輪を各トラックリンクに対して少なくと
も複数箇所で接触させる構成としたから、履帯に「波打
ち現象」が生じて各トラックリンクが各踏面に強く衝突
した場合でも、遊動輪に作用する衝撃力を複数の突部で
受けることにより分散させて小さくできる。従って、ト
ラックリンクと各突部との間で生じる衝撃音、振動等を
従来技術の場合に比較して小さく抑えることができ、走
行時の騒音、振動等を低減できる。また、前記各突部に
より遊動輪の各トラックリンクに対する接触面積を増や
すことができ、これによって、遊動輪の摩耗、損傷等を
抑えて寿命等を延ばすことができる。
【0070】また、請求項2の発明では、前記各突部を
履帯のリンクピッチ間毎に予め決められた個数をもって
形成する構成とし、各突部の個数を前記リンクピッチと
の関係で決めるようにしたから、各踏面を各突部により
全てのトラックリンクに対して確実に複数箇所で接触さ
せることができ、これによって、履帯と遊動輪との間で
生じる衝撃音等の低減効果を一層高めることができ、走
行時の騒音等をさらに低減できる。
【0071】さらに、請求項3の発明では、前記各突部
を踏面の全周に沿って一定の傾き角で斜めに延びるよう
に形成したから、各突部のトラックリンクに対する全体
の接触面積を容易に増やすことができ、これによって、
遊動輪の耐摩耗性等を高めて寿命等をより一層延ばすこ
とができる。
【0072】さらにまた、請求項4の発明では、遊動輪
の各踏面のうち一方の踏面に設けた各突部と他方の踏面
に設けた各突部とを、各踏面の周方向に対して互いに異
なる位置に配設する構成としたから、履帯が遊動輪に巻
込まれるときには、各踏面のうち一方の踏面側の突部と
他方の踏面に設けた突部とを、トラックリンクに対して
交互に接触させることができ、これによって、遊動輪に
一度に作用する衝撃力を前記各突部によりさらに分散し
て弱めることができ、走行時の騒音等をさらに一層低減
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による履帯式走行装置が
適用された油圧ショベルの全体図である。
【図2】図1中の下部走行体を拡大して示す正面図であ
る。
【図3】図2中の遊動輪側を拡大して示す部分拡大図で
ある。
【図4】図3中の矢示IV−IV方向からみた拡大断面図で
ある。
【図5】図3中の要部拡大図である。
【図6】図3中の遊動輪をヨークと共に拡大して示す斜
視図である。
【図7】図3中の遊動輪を示す外観図である。
【図8】遊動輪に作用する履帯からの衝撃力と時間との
関係を示す特性線図である。
【図9】遊動輪の踏面に各突部を設けない場合を示す図
8と同様の特性線図である。
【図10】本発明の第2の実施例による履帯式走行装置
の遊動輪を示す外観図である。
【図11】本発明の第3の実施例による履帯式走行装置
の遊動輪を示す外観図である。
【図12】本発明の第4の実施例による履帯式走行装置
の遊動輪を示す外観図である。
【符号の説明】
7 トラックフレーム 8 サイドフレーム 15,31,41,51 遊動輪 15B,31A,41A,51A 係合凸部 15C,31B,41B,51B 踏面 16,32,42,43,52,53 突部 17 駆動輪 18 履帯 18A トラックリンク 18B 連結ピン α リンクピッチ間の角度

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サイドフレームを有する車両のトラック
    フレームと、前記サイドフレームの両端側にそれぞれ回
    転可能に設けられた駆動輪および遊動輪と、この駆動輪
    と遊動輪との間に巻装された履帯とを備え、この履帯は
    複数のトラックリンクを無端状となるように複数の連結
    ピンを介して互いに回動可能に連結してなる履帯式走行
    装置において、 前記遊動輪は中空構造をなし、軸方向中間部の外周側に
    突出形成され前記履帯の脱輪を防止する環状の係合凸部
    と、この係合凸部の軸方向両側に位置し前記履帯のトラ
    ックリンクに接触する一対の踏面とを備え、この各踏面
    には、前記履帯が遊動輪に巻込まれるときに各トラック
    リンクに対して少なくとも複数箇所で接触する多数の突
    部を全周に亘って設ける構成としたことを特徴とする履
    帯式走行装置。
  2. 【請求項2】 前記各突部は、前記履帯の各連結ピンの
    うち互いに隣合う2個の連結ピンと前記遊動輪の中心と
    がなすリンクピッチ間毎に予め決められた個数をもって
    形成してなる請求項1に記載の履帯式走行装置。
  3. 【請求項3】 前記各突部は、前記踏面の全周に沿って
    一定の傾き角で斜めに延びるように形成してなる請求項
    1または2に記載の履帯式走行装置。
  4. 【請求項4】 前記遊動輪の各踏面のうち一方の踏面に
    設けた各突部と他方の踏面に設けた各突部とは、前記各
    踏面の周方向に対して互いに異なる位置に配設してなる
    請求項1,2または3に記載の履帯式走行装置。
JP17293397A 1997-06-13 1997-06-13 履帯式走行装置 Pending JPH111187A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012512786A (ja) * 2008-12-18 2012-06-07 キャタピラー インコーポレイテッド 無限軌道式機械のためのアイドラと車台アセンブリ
JP2019524549A (ja) * 2016-08-31 2019-09-05 キャタピラー インコーポレイテッドCaterpillar Incorporated スカラップ抵抗のためのスプラインアイドラ

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