JP4171662B2 - クローラ走行装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、芯金レスの弾性クローラが装着されたクローラ走行体を備えたクローラ走行装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車輪の代わりにクローラ走行装置を装着した、フルトラック、ハーフトラック及びRV車等の高速履帯車両においては、不整地と公道の双方で走行可能であり、しかも、軟弱地でも高速性能を実現する高トラクションのクローラ走行装置を採用する必要がある。かかる高速履帯車両用のクローラ走行装置においては、建設機械や農業機械に装着する場合に比べて走行速度が比較的大きくなるため、高速回転が可能な柔軟性を有する弾性クローラを採用する必要がある。
【0003】
そして、かかるクローラ走行装置として、前後の端部転輪及び駆動スプロケットに対して弾性クローラが側面視ほぼ三角形状に巻き掛けられた左右一対のクローラ走行体を備えたものが市販されており、この走行体は、トラックフレームの前後に配置された非駆動の端部転輪と、トラックフレームの上部に配置された駆動スプロケットと、前後の端部転輪間に配置された非駆動の中間転輪と、前後の端部転輪及び駆動スプロケットに対して側面視ほぼ三角形状に巻き掛けられた弾性クローラと、を有している(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−2344号公報(図1及び図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記高速履帯車両のクローラ走行装置に対して、鉄製の芯金入りの弾性クローラを採用すると、芯金の重量で大きな駆動ロスと走行抵抗が発生し、高速性能が阻害されるという欠点がある。
また、芯金入りの弾性クローラでは、駆動スプロケットの係合孔周囲のゴムボリュームが比較的小さくなっているので、岩石や凸物に対する耐カット性や荷重の吸収力(応力緩和)に劣り破損しやすく、しかも、その係合孔回りの損傷がイニシャルとなってラグや芯金上のゴム部への破損が進行し、最終的には錆などの進行とともに、芯金が錆によって接着劣化のために脱輪したり、スチールコードの錆や切断に繋がることもある。
【0006】
そこで、高速履帯車両のクローラ走行装置に対して、芯金レスでかつ孔無しのゴム様弾性体により構成された弾性クローラを採用することが考えられる。しかし、かかる芯金レスでかつ孔無しの弾性クローラの場合には、芯金がない分だけ特に幅方向での剛性が脆弱であるため、弾性クローラが小石に乗り上げたり急旋回や急発進動作を行った場合に脱輪しやすく、特に、フルトラックの場合にスピンターンやピボットターンで旋回すると脱輪する可能性が極めて高くなる。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑み、耐脱輪性を損なわずに芯金レスでかつ孔無しの弾性クローラを採用できるようにして、旋回や発進等の動作が俊敏でかつ耐久性の高いクローラ走行装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明は次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明は、前後の端部転輪及び駆動スプロケットに対して側面視ほぼ三角形状に巻き掛けられた弾性クローラを有する左右一対のクローラ走行体を備えたクローラ走行装置において、前記弾性クローラは前記駆動スプロケットが係合する駆動突起が内周面に一体に突設された芯金レスでかつ孔無しのゴム様弾性体により構成され、前記端部転輪及び中間転輪のうちの少なくとも一つが前記駆動突起を跨いで前記弾性クローラの内周面に当接する跨ぎ転輪により構成され、この跨ぎ転輪は前記弾性クローラに対する左右の接地部分が互いに独立して回転可能となっており、前記弾性クローラの外周側であって当該弾性クローラにおける各ラグの間に対応する部分に、当該弾性クローラの曲げ変形を抑制するための肉盛り部が形成され、前記肉盛り部は、前記跨ぎ転輪の接地部分の幅方向外端を含む幅方向の範囲に形成され、かつ前記弾性クローラの幅方向外端部よりも幅方向内側に配置されていることを特徴としている。
【0009】
上記の本発明によれば、芯金レスのゴム様弾性体よりなる弾性クローラを採用しているので、芯金入りのものに比べて軽量かつ柔軟性に富み、高速性能が阻害されることがない。また、この弾性クローラは内周面から突設された駆動突起で駆動される孔無しタイプであるため、係合孔回りの損傷を端緒とした破損や錆の進行が発生することがない。
また、本発明においては、端部転輪及び中間転輪のうちの少なくとも一つが跨ぎ転輪よりなり、この跨ぎ転輪における弾性クローラに対する左右の接地部分が互いに独立して回転可能となっているので、一方の接地部分の内面が駆動突起の側面に接触した場合に、他方の接地部分の回転がその一方の接地部分に伝達されることがない。このため、他方の接地部分の回転が一方の接地部分に伝達されることに伴って、一方の接地部分の駆動突起に対する乗り上げ動作が助長されることがなくなり、弾性クローラの耐脱輪性が向上する。
また、弾性クローラにおける各ラグの間に対応する部分に、当該弾性クローラの曲げ変形を抑制するための肉盛り部を形成しているので、転輪が各ラグ間を通過する際の下方への落ち込みが抑制され、走行時の振動が少なくなって乗り心地が向上する。
【0010】
以下、従属請求項の記載に基づいて、本発明のより好ましい具体的態様を説明する。
まず、本発明に係るクローラ走行装置において、弾性クローラの内部には、周方向に延設された張力コードを並設してなる抗張体と、この抗張体の外周側に配置されかつ周方向に対して傾斜した方向に延設された抗張力コードを並設してなるバイアスコードを埋設することが好ましい。その理由は、抗張体の他にバイアスコードを重ねることで、弾性クローラの横剛性及びねじり剛性が向上し、耐脱輪性が向上するからである。
【0011】
そして、上記抗張体とバイアスコードを設ける場合において、その間の間隔を2mm以上に設定しておけば、弾性クローラの外周側の損傷がバイアスコードに至って同コードに錆が発生しても、ゴム層によって錆が更に内周面側に侵入するのが防止されるので、抗張体が損傷され難くなり、弾性クローラの耐久性が向上する。
また、跨ぎ転輪の軸方向長さは弾性クローラの左右方向幅の1/3〜4/5に設定されていることが好ましい。その理由は、前記抗張体のテンションを均一化するためには跨ぎ転輪を出来るだけ幅広にすることが好ましいが、跨ぎ転輪の軸方向長さが弾性クローラの左右方向幅の1/3未満になると、その抗張体のテンションを均一化するのが困難になるからである。
一方、跨ぎ転輪が弾性クローラの幅方向端まで到達していると、側方から衝撃を受けた場合にゴムの逃げ場がなくなり、弾性クローラのエッジ側面がカットを受けて亀裂が生じやすくなるが、跨ぎ転輪の端部位置を弾性クローラの左右方向幅の4/5以下の範囲に収めておくことで、そのような亀裂が防止できることになる。また、跨ぎ転輪の端部位置をその範囲に収めておけば、左右の転輪が独立回転することで弾性クローラの中心保持力が増すという効果も期待できる。
【0012】
本発明において、端部転輪及び中間転輪のうちの少なくとも一つの外周部をゴム様弾性体よりなる弾性リングで被覆するようにすれば、転輪のエッジ部によって弾性クローラの転輪通過面や駆動突起が損傷するのが回避されるとともに、弾性クローラと転輪の間に異物が混入したときのテンション緩和にも寄与することができる。
また、弾性クローラの内周面に対する端部転輪の接地幅と抗張体との幅方向でのラップ長さを、当該端部転輪の接地幅の1/3以上に設定することが好ましい。その理由は、かかるラップ長さが端部転輪の接地幅の1/3未満であると、端部転輪と抗張体との重なりが小さ過ぎて、抗張体に対するテンションを均一化するのが困難になるからである。
【0013】
更に、弾性クローラの内周面に対する端部転輪の接地幅と駆動スプロケットの幅方向でのラップ長さを、当該端部転輪の接地幅の1/3以上に設定することが好ましい。その理由は、各転輪と駆動突起の間には摩擦抵抗が発生しないように幅方向の隙間が生じているが、この隙間が端部転輪の接地幅の1/4前後であることから、上記ラップ長さを端部転輪の接地幅の1/3以上に設定しておけば、端部転輪と駆動スプロケットの間で確実にテンションがかかり、その反力によってクローラが脱輪しにくくなるからである。
本発明において、クローラ走行体を地面に接地させた状態において、弾性クローラにおける端部転輪の直下に位置する部分がやや地面から浮上するように、当該端部転輪の取付高さを設定しておけば、弾性クローラが端部転輪の下に巻き込まれる際にラグが地面に強打されることに伴う損傷が防止され、この点で弾性クローラの耐久性が向上するとともに、ラグの先端が地面に突入する際の衝突に伴う振動が低減される。また、中間転輪としてボギータイプの転輪ユニットを採用すれば、弾性クローラが比較的大きな石に乗り上げたときにボギータイプの転輪ユニットのブラケットが揺動して衝撃を緩和するので、クローラ走行装置の安定性が向上するとともに、クローラ走行装置がその前後で大きく上下動することがなくなってオペレータの安全性が向上する。
【0014】
本発明において、弾性クローラにおける端部転輪又は中間転輪の外側エッジ部に対応する部分に、当該弾性クローラの曲げ変形を抑制するための補強層を設けておけば、転輪の外側エッジ部から受ける大きな荷重によって弾性クローラが折れ曲がるのが抑制されるとともに、突起物に対する耐カット性が得られて寿命が大幅に増大する。
本発明において、端部転輪を前後方向に移動自在に支持するテンション調整機構をクローラ走行体に設けておけば、弾性クローラの弛みに伴って駆動スプロケットが歯飛びして走行不能になったり、弾性クローラが脱輪するのを有効に防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図5は、本発明の第一実施形態に係るクローラ走行装置とこれに用いる各種の弾性クローラを示している。
本実施形態のクローラ走行装置1は、不整地と公道の双方で走行可能となるように、フルトラック、ハーフトラック及びRV車等の車輪の代わりに装着されるものであり、図1(a)に示すように、前後の端部転輪4,5及び駆動スプロケット6に対して弾性クローラ8が側面視ほぼ三角形状に巻き掛けられた左右一対のクローラ走行体2を備えている。
【0016】
この三角形状のクローラ走行体2は、トラックフレーム3の前後に配置された非駆動の端部転輪4,5と、トラックフレーム3の上部に配置された駆動スプロケット6と、前後の端部転輪4,5間に配置された非駆動の複数の中間転輪7と、前後の端部転輪4,5及び駆動スプロケット6に対して側面視ほぼ三角形状に巻き掛けられた弾性クローラ8とを有している。なお、本実施形態のクローラ走行装置1では、駆動スプロケット6は前後の端部転輪4,5間における後部よりに偏った位置に配置されている。
【0017】
前後の端部転輪4,5のうち、前側の端部転輪4はテンション調整機構10に連結されている。この調整機構10は、端部転輪4を回転自在に支持する前後方向に移動自在なヨーク11と、このヨーク11に連結された手動油圧式の調整ピストン12とから構成され、この調整ピストン12で端部転輪4の前後方向位置を変更して弾性クローラ8のテンションを適正に調整することにより、弾性クローラ8の弛みに伴う歯飛びや脱輪を防止することができる。
【0018】
本実施形態では、駆動スプロケット6は、左右一対の円形の駆動プレート13同士を周方向に等間隔に並ぶ複数の駆動ピン14で連結することによって構成されていて、この各駆動ピン14が弾性クローラ8の駆動突起15に引っ掛かった状態で正逆回転することで、弾性クローラ8を前後にフィードする機能を有する。なお、この駆動スプロケット6としては、ピン駆動タイプのものだけでなく、駆動プレートの外周縁にフランジを形成した幅広タイプのものや、駆動プレートの外周縁から側面視台形状の係合爪を一体に突設した爪タイプのものを採用することもできる。
【0019】
図1(b)に示すように、本実施形態の弾性クローラ8は、周方向で一定間隔おきに並ぶ複数の駆動突起15が内周面に形成された芯金レスでかつ係合孔を有しないゴム様弾性体よりなるクローラ本体16と、このクローラ本体16の外周面に所定のラグパターンで形成されたラグ群17と、同クローラ本体16の内部に周方向に沿って埋設された抗張体18と、クローラ本体16の内部における抗張体18の外周側に埋設されたバイアスコード19とを備えている。
【0020】
このうち、クローラ本体16は、ゴム様弾性体によってほぼ一定厚さの無端帯状に形成されており、このクローラ本体16の内周面における幅方向(図1(b)の左右方向)中央部に、当該クローラ本体16と同じ材質のゴム様弾性体からなる前記駆動突起15が一体に突設されている。この駆動突起15は周方向に一定間隔をおいてクローラ本体16の全周に渡って設けられており、この各駆動突起15に前記駆動ピン14に係合させることにより、弾性クローラ8を周方向に沿って駆動できるようになっている。
【0021】
クローラ走行装置1の端部転輪4,5及び中間転輪7は、いずれも、駆動突起15を跨いで弾性クローラ8の内周面に当接する跨ぎ転輪20よりなる。この跨ぎ転輪20は、クローラ幅方向に一定間隔をおいて同軸心状に配置された左右一対の円形車輪部20L,20Rを有しており、この両車輪部20L,20Rはその間で駆動突起15を跨いだ状態でクローラ本体16の内周面に当接する(図1(b)参照)。また、弾性クローラ8に対する跨ぎ転輪20の左右の接地部分を構成する両車輪部20L,20Rは互いに独立して回転可能となっている。
【0022】
図1(b)に示すように、抗張体18は、周方向に沿って延設されたスチールコード等よりなる抗張力コードを並設することによって構成されている。他方、バイアスコード19は、周方向に対して傾斜した方向にスチールコード等よりなる抗張力コードを並設することによって構成されている。このバイアスコード19は抗張体18の内周側や、その内周側及び外周側の双方に設けることにしてもよい。
【0023】
本実施形態では、上記抗張体18とバイアスコード19の間の間隔dを2mm以上に設定しており、これにより、弾性クローラ8の外周側の損傷がバイアスコード19に至って同コード19に錆が発生しても、錆が更に内周面側に侵入するのをゴム層によって防止するようにしている。駆動突起15の表面部は、帆布等よりなる補強クロス21で被覆されている。なお、この駆動突起15の内部に硬質樹脂製又は金属製の補強部材を埋設することにしてもよい。
【0024】
ラグ群17は、クローラ本体16の幅方向にほぼ横一文字に延びた多数のラグ22よりなり、このラグ22は、周方向において各駆動突起15の間に位置するように一定間隔おきに設けられている。
また、図1(b)に示すように、本実施形態の弾性クローラ8では、跨ぎ転輪20の軸方向長さbを弾性クローラ8の左右方向幅aの1/3〜4/5の範囲に設定することにより、跨ぎ転輪20の抗張体18に対する接触幅を出来るだけ大きくし、同抗張体18に発生するテンションを均一化するようにしている。なお、その長さ比を4/5以下に設定するのは、前記したように、弾性クローラ8が側方から衝撃を受けた場合の亀裂の発生を防止するとともに、かつ、弾性クローラ8の中心保持力の向上を図るためである。
【0025】
また、本実施形態では、クローラ走行体2を地面に接地させた状態において、弾性クローラ8における前側の端部転輪4の直下に位置する部分が僅かの隙間s(図1(a)参照)をもって地面から浮上するように、当該端部転輪4の取付高さが設定されており、これにより、弾性クローラ8が前側の端部転輪4の下に巻き込まれる際にラグ22が地面に強打されることに伴う損傷を防止している。
【0026】
上記構成に係る本実施形態のクローラ走行装置1によれば、芯金レスのゴム様弾性体よりなる弾性クローラ8を採用していることから、芯金入りのものに比べて軽量かつ柔軟性に富み、高速性能が阻害されることがないし、弾性クローラ8は内周面から突設された駆動突起15で駆動される孔無しタイプであるため、係合孔回りの損傷を端緒とした破損や錆の進行が発生することがなく、芯金入りの弾性クローラの場合に比べて耐久性がより向上する。
【0027】
一方、例えば図2に示すように、弾性クローラ8が小石23に乗り上げて左上向きに傾斜すると、跨ぎ転輪20が弾性クローラ8に対して偏心し、左側の円形車輪部20Lの内面が駆動突起15の側面に接触する。
この場合、仮に両車輪部20L,20Rが一体に回転するとすれば、クローラ本体16の内周面を転動している右側の円形車輪部20Rの回転が駆動突起15の側面に接触している左側の円形車輪部20Rに伝達され、その右側の円形車輪部20Rの回転によって左側の円形車輪部20Lの駆動突起15に対する乗り上げ動作が助長されてしまい、弾性クローラ8が脱輪しやすくなる。
【0028】
この点、本実施形態のクローラ走行装置1では、端部転輪4,5及び中間転輪7が左右で独立して回転する円形車輪部20L,20Rを有する跨ぎ転輪20よりなるので、一方の円形車輪部20Lの駆動突起15に対する乗り上げ動作が他方の円形車輪部20Rによって助長されることがなく、このため、弾性クローラ8の耐脱輪性を向上することができる。
このように、本実施形態では、耐脱輪性を損なわずに芯金レスでかつ孔無しの弾性クローラ8を採用することが可能になったので、芯金入りの弾性クローラを装着した場合に比べて、旋回や発進等の動作がより俊敏でかつより耐久性の高いクローラ走行装置1を得ることができる。
【0029】
なお、上記実施形態では、端部転輪4,5及び中間転輪7のすべてについて、左右で独立して回転する円形車輪部20L,20Rを有する跨ぎ転輪20を採用しているが、そのうちの少なくとも一つに当該跨ぎ転輪20を採用することにしてもよい。
図3〜図5は、本発明のクローラ走行装置1に使用できる弾性クローラ8や跨ぎ転輪20の変形例を示している。
【0030】
このうち、図3に示す変形例では、弾性クローラ8における各ラグ22の間に対応する部分に、断面三角形状の外肉盛り部26と、駆動突起15に連なる平板状の内肉盛り部27がクローラ本体16に対して一体に形成されている。このため、これらの肉盛り部26,27によってクローラ本体16の周方向における曲げ変形が抑制され、転輪4,5,7が各ラグ22間を通過する際の下方への落ち込みが抑制されるので、走行時の振動が少なくなって乗り心地が向上する。なお、内外の肉盛り部26,27のうちのいずれか一方だけをクローラ本体16に形成することにしてもよい。
【0031】
また、図3の変形例では、前後の端部転輪4,5(中間転輪7であってもよい。)のうちの少なくとも一つの外周部がゴム様弾性体よりなる弾性リング28で被覆されている。このため、転輪4,5のエッジ部によってクローラ本体16の転輪通過面や駆動突起15が損傷するのが回避されるとともに、クローラ本体16の内周面と転輪4,5の間に異物が混入したときに、クローラ本体16のテンションが過大になるのを防止することができる。
【0032】
一方、図4に示す変形例では、クローラ本体16における端部転輪4,5又は中間転輪7の外側エッジ部に対応する部分に、抗張力コードよりなる補強層29が埋設されている。このため、転輪4,5,7の外側エッジ部から受ける大きな荷重によってクローラ本体16が幅方向で折れ曲がるのが抑制されるので、弾性クローラ8の耐脱輪性が向上することになる。
更に、図5に示す変形例では、弾性クローラ8の内周面に対する端部転輪4,5の接地幅(円形車輪部20Lの幅)eと抗張体18との幅方向でのラップ長さfが、当該端部転輪の接地幅eの1/3以上に設定されていて、これにより、端部転輪4,5と抗張体18との重なりが小さくなり過ぎて、抗張体18に対するテンションが不均一になるのを防止している。なお、図5に示すように、駆動突起15は、クローラ幅方向中央部に切り欠き溝30を有する裾野幅の大きいものであってもよい。
【0033】
図6は、本発明の第二実施形態に係るクローラ走行装置とこれに用いる弾性クローラを示している。
本実施形態のクローラ走行装置1が第一実施形態のそれと異なるところは、駆動スプロケット6が後側の端部転輪5のほぼ直上に配置された爪タイプのものよりなる点と、中間転輪7の一部がボギータイプの転輪ユニット31よりなる点にある。
【0034】
この転輪ユニット31は、上端部がトラックフレーム3に揺動自在に枢着された揺動ブラケット32と、このブラケット32の前後端部にそれぞれ取り付けられた前後転輪33,33とからなり、弾性クローラ8が比較的大きな石に乗り上げたときに揺動ブラケット32が揺動して衝撃を緩和することで、クローラ走行装置1の安定性を維持する機能を有する。
また、図6(b)に示すように、本実施形態の弾性クローラ8では、当該弾性クローラ8の内周面に対する端部転輪4,5の接地幅eと駆動スプロケット6の幅方向でのラップ長さgが、当該端部転輪4,5の接地幅の1/3以上に設定されている。その理由は、前記したように、かかるラップ長さgを端部転輪4,5の接地幅の1/3以上に設定しておけば、端部転輪4,5と駆動スプロケット6の間で確実にテンションがかかり、その反力によってクローラが脱輪しにくくなるからである。
【0035】
更に、本実施形態の弾性クローラ8では、駆動スプロケット6の軸方向長さiが抗張体18の左右方向幅hの1/3以上となるように設定されている。その理由は、駆動スプロケット6の軸方向長さiが抗張体幅hの1/3未満であると、弾性クローラ8の捻れ変形に対して或いは左右に位置ずれした場合に、テンションによる反力が得られずに脱輪が発生する恐れがあるからである。
【0036】
なお、上記した実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明に含まれる。
例えば、図7に示すように、駆動突起15はクローラ本体16の内周面に左右一対離間して配置されていてもよい。また、この場合の跨ぎ転輪20は、互いに独立して回転可能な軸方向に並ぶ三つの円形車輪部20L,20C,20Rより構成され、この三つの円形車輪部20L,20C,20Rの相互間に二つの駆動突起15,15が挟まれている。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、耐脱輪性を損なわずに芯金レスでかつ孔無しの弾性クローラを採用することができるので、旋回や発進等の動作が俊敏でかつ耐久性の高いクローラ走行装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は第一実施形態に係るクローラ走行装置の側面図であり、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図2】弾性クローラが傾斜した状態の一例を示す断面図である。
【図3】弾性クローラと跨ぎ転輪の変形例を示す断面図である。
【図4】弾性クローラの変形例を示す断面図である。
【図5】弾性クローラの変形例を示す断面図である。
【図6】(a)は第二実施形態に係るクローラ走行装置の側面図であり、(b)は跨ぎ転輪、駆動スプロケット及び弾性クローラの寸法関係を示す断面図である。
【図7】弾性クローラと跨ぎ転輪の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 クローラ走行装置
2 クローラ走行体
3 トラックフレーム
4 端部転輪(前側)
5 端部転輪(後側)
6 駆動スプロケット
7 中間転輪
8 弾性クローラ
10 テンション調整機構
18 抗張体
19 バイアスコード
20 跨ぎ転輪
20L 円形車輪部(左側)
20R 円形車輪部(右側)
26 外肉盛り部
27 内肉盛り部
28 弾性リング
29 補強層
31 転輪ユニット
a 左右方向幅
b 軸方向長さ
d 間隔
e 接地幅
f ラップ長さ
g ラップ長さ
Claims (11)
- トラックフレーム(3)の前後に配置された非駆動の端部転輪(4,5)と、前記トラックフレーム(3)の上部に配置された駆動スプロケット(6)と、前記前後の端部転輪(4,5)間に配置された非駆動の中間転輪(7)と、前記前後の端部転輪(4,5)及び駆動スプロケット(6)に対して側面視ほぼ三角形状に巻き掛けられた弾性クローラ(8)とを有する左右一対のクローラ走行体(2)を備えており、この走行体(2)が前記トラックフレーム(3)の左右両側にそれぞれ配置されているクローラ走行装置において、
前記弾性クローラ(8)は前記駆動スプロケット(6)が係合する駆動突起(15)が内周面に一体に突設された芯金レスでかつ孔無しのゴム様弾性体により構成され、前記端部転輪(4,5)及び中間転輪(7)のうちの少なくとも一つが前記駆動突起(15)を跨いで前記弾性クローラ(8)の内周面に当接する跨ぎ転輪(20)により構成され、この跨ぎ転輪(20)は前記弾性クローラ(8)に対する左右の接地部分(20L,20R)が互いに独立して回転可能となっており、
前記弾性クローラ(8)の外周側であって当該弾性クローラ(8)における各ラグ(22)の間に対応する部分に、当該弾性クローラ(8)の曲げ変形を抑制するための肉盛り部(26)が形成され、
前記肉盛り部(26)は、前記跨ぎ転輪(20)の接地部分の幅方向外端を含む幅方向の範囲に形成され、かつ前記弾性クローラ(8)の幅方向外端部よりも幅方向内側に配置されていることを特徴とするクローラ走行装置。 - 弾性クローラ(8)の内部に、周方向に延設された抗張力コードを並設してなる抗張体(18)と、この抗張体(18)の外周側に配置されかつ周方向に対して傾斜した方向に延設された抗張力コードを並設してなるバイアスコード(19)が埋設されている請求項1に記載のクローラ走行装置。
- 抗張体(18)とバイアスコード(19)の間の間隔(d)が2mm以上に設定されている請求項2に記載のクローラ走行装置。
- 跨ぎ転輪(20)の軸方向長さ(b)が弾性クローラ(8)の左右方向幅(a)の1/3〜4/5に設定されている請求項1〜3のいずれかに記載のクローラ走行装置。
- 端部転輪(4,5)及び中間転輪(7)のうちの少なくとも一つの外周部がゴム様弾性体よりなる弾性リング(28)で被覆されている請求項1〜4のいずれかに記載のクローラ走行装置。
- 弾性クローラ(8)の内周面に対する端部転輪(4,5)の接地幅(e)と抗張体(18)との幅方向でのラップ長さ(f)が当該端部転輪(4,5)の接地幅(e)の1/3以上に設定されている請求項1〜5に記載のクローラ走行装置。
- 弾性クローラ(8)の内周面に対する端部転輪(4,5)の接地幅(e)と駆動スプロケット(6)との幅方向でのラップ長さ(g)が当該端部転輪(4,5)の接地幅(e)の1/3以上に設定されている請求項1〜6のいずれかに記載のクローラ走行装置。
- クローラ走行体(2)を地面に接地させた状態において、弾性クローラ(8)における端部転輪(4,5)の直下に位置する部分がやや地面から浮上するように、当該端部転輪(4,5)の取付高さが設定されている請求項1〜7のいずれかに記載のクローラ走行装置。
- 中間転輪(7)はボギータイプの転輪ユニット(31)よりなる請求項8に記載のクローラ走行装置。
- 弾性クローラ(8)における端部転輪(4,5)の外側エッジ部に対応する部分に、当該弾性クローラ(8)の曲げ変形を抑制するための補強層(29)が設けられている請求項1〜9のいずれかに記載のクローラ走行装置。
- 端部転輪(4)を前後方向に移動自在に支持するテンション調整機構(10)がクローラ走行体(2)に設けられている請求項1〜10のいずれかに記載のクローラ走行装置。
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