JPH11117199A - 電気絶縁シート - Google Patents

電気絶縁シート

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JPH11117199A
JPH11117199A JP27541297A JP27541297A JPH11117199A JP H11117199 A JPH11117199 A JP H11117199A JP 27541297 A JP27541297 A JP 27541297A JP 27541297 A JP27541297 A JP 27541297A JP H11117199 A JPH11117199 A JP H11117199A
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JP
Japan
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layer
insulating sheet
paper
cellulose paper
cellulose
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JP27541297A
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English (en)
Inventor
Masaaki Nagai
正章 永井
Masaki Kawahigashi
正記 川東
Hiroshi Kato
寛 加藤
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ケーブル導体上への巻回性に優れ、しかも電
気絶縁破壊強度が高い電気絶縁シートを提案することを
目的とする。 【解決手段】 シンジオタクチックペンタッド分率が
0.7以上であり且つ230℃におけるMFRが0.1
〜20g/10分のシンジオタクチックポリプロピレン
の層とセルロース紙の層とが互いに積層結合してなるこ
とを特徴とする電気絶縁シート。 【効果】 高電圧や超高電圧の油浸絶縁電力ケーブル用
の電気絶縁シートとして好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気絶縁シートに関
し、特に油浸絶縁電力ケーブルにおけるテープ巻き絶縁
用として好適な電気絶縁シートに関する。
【0002】
【従来の技術】油浸絶縁電力ケーブルの絶縁層は、一般
に導体上に電気絶縁紙などの電気絶縁シートをテープ状
として巻回し、ついで得られた巻回体に電気絶縁油を含
浸して形成されている。従来、電気絶縁シートとしてク
ラフト絶縁紙などのセルロース紙が使用されていたが、
該紙はセルロースの高極性のために誘電損失が大きくて
高電圧や超高電圧の油浸絶縁電力ケーブルの製造に不向
きであることから、近時においてセルロースと低極性の
有機高分子とからなる複合電気絶縁シートが提案されて
いる。セルロースの一部を低極性の有機高分子にて置換
することにより、複合物の平均誘電損失はセルロース1
00%物のそれより小さくなる。
【0003】例えば特公昭61−45329号公報に
は、通常のポリプロピレン、即ちアイソタクチックポリ
プロピレン(以下、i−PP)層とクラフト絶縁紙層と
からなる複合電気絶縁シートが開示されている。この複
合電気絶縁シートは、i−PP層とクラフト絶縁紙層と
がi−PP層の融着により積層結合した構造を有してお
り、積層形成法(ラミネーション)により製造されてい
る。ところで、i−PPなる樹脂は本質的に剛直性が極
めて強い。i−PPのこの高剛直性に起因して上記複合
電気絶縁シートのテープは、クラフト絶縁紙テープと比
較して剛直性が強くてケーブル導体上への巻回性が悪
く、またi−PP層とクラフト絶縁紙との剛直性上の大
きな差異に基づいてテープ巻き後に両層の界面で層ズレ
を生じ易い。さらにケーブルを屈曲した場合には、テー
プに部分的な皺や座屈がしばしば生じる問題もある。
【0004】一方、特開平8−7654号公報には、セ
ルロースパルプと特定のシンジオタクチックポリプロピ
レン繊維との混合物を漉いてなる所謂混抄紙が提案され
ている。しかし、該混抄紙は電気絶縁破壊強度が低いの
で、高電圧や超高電圧の油浸絶縁電力ケーブル用の電気
絶縁シートとしては不適当である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来技術の現
状に鑑みて、本発明はケーブル導体上への巻回性に優
れ、しかも電気絶縁破壊強度が高い電気絶縁シートを提
案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、つぎの特徴を
有する。 (1) シンジオタクチックペンタッド分率が0.7以上で
あり且つ230℃におけるMFRが0.1〜20g/1
0分のシンジオタクチックポリプロピレンの層とセルロ
ース紙の層とが互いに積層結合してなることを特徴とす
る電気絶縁シート。 (2) シンジオタクチックポリプロピレンの層の両面にセ
ルロース紙の層を有する上記(1) 記載の電気絶縁シー
ト。 (3) セルロース紙が、少なくとも透気度500秒/10
0ccである上記(1) または(2) 記載の電気絶縁シー
ト。 (4) シンジオタクチックポリプロピレンの層の厚みが2
0〜200μmであり、セルロース紙の層の厚みが10
〜100μmである上記(1) 〜(3) のいずれかに記載の
電気絶縁シート。 (5) セルロース紙がクラフト絶縁紙であり、シンジオタ
クチックポリプロピレンがシンジオタクチックペンタッ
ド分率が0.8〜0.95であり且つ230℃における
MFRが0.3〜15g/10分のものである上記(1)
〜(4) のいずれかに記載の電気絶縁シート。
【0007】
【作用】本発明においては各種のポリプロピレンのう
ち、シンジオタクチックポリプロピレン(以下、s−P
P)、就中、シンジオタクチックペンタッド分率(以
下、rrrr)が0.7以上であり且つ230℃におけ
るMFRが0.1〜20g/10分の特定のs−PPを
用いる。この特定のs−PPは、本発明者らの研究によ
れば、厚さ数〜数百μm程度の薄肉フィルムの状態にお
いて予想外に優れた可撓性並びに電気絶縁破壊強度を有
するのみならず、セルロース紙に対して融着による積層
結合性にも優れている。よって、この特定のs−PPの
層とセルロース紙層とが積層結合した構造からなる本発
明の電気絶縁シートは、可撓性が頗る良好であるのでケ
ーブル導体上への巻回性に優れ、しかも高度の電気絶縁
破壊強度を有する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるs−PPとし
ては、シンジオタクチック構造を有するプロピレンの単
独重合体や該プロピレンと他のオレフィンとの共重合体
などが用いられるが、就中、単独重合体が好ましい。s
−PPの分子量は、3,000〜400,000程度、
特に10,000〜200,000程度が好ましい。
【0009】rrrrの低いs−PPは、一般に融点が
低く、かつ電気絶縁破壊強度や機械特性も低いので、本
発明ではrrrrが少なくとも0.7のs−PPが用い
られるが、電気絶縁破壊強度上からは0.8〜0.9
5、特に0.83〜0.95のs−PPが好ましい。こ
こでrrrrは、被検s−PPの1,2,4−トリクロ
ロベンゼン溶液を測定対象として135℃、67.8M
Hzの条件下で測定した13C−NMRスペクトルにおい
て、テトラメチルシランを基準として20.2ppmに
観測されるピーク強度(シンジオタクチックペンタッド
連鎖に帰属するメチル基のピーク強度)のプロピレン単
位の全メチル基に帰属するピーク強度の割合である。
【0010】本発明の電気絶縁シートは、s−PPの層
とセルロース紙の層とが互いに積層結合してなる構造を
有する。即ちs−PP層とセルロース紙層とは、セルロ
ース紙表面の微細な凹部に入り込んだ一部のs−PPの
アンカー効果により結合している。従って本発明の電気
絶縁シートは、多くの積層成形品の製造方法と同様の方
法、即ちラミネーションにより製造することができる。
例えば、s−PPをT型ダイスからセルロース紙上に溶
融押出し、必要に応じて加圧して溶融状態にあるs−P
Pの一部を該紙表面の微細な凹部に侵入させ、次いで冷
却してs−PP層とセルロース紙層とを結合一体化させ
て得ることができる。あるいは、所定厚みを有する既成
のs−PPフィルムとセルロース紙とを重ね、s−PP
の融点以上の温度で両者を適度に加圧してs−PPの一
部を該紙表面の微細な凹部に侵入させ、次いで冷却し結
合一体化させて得ることができる。
【0011】上記のラミネーションから明らかな通り、
本発明の電気絶縁シートにおいては、s−PPは、その
一部はセルロース紙との融着結合の機能をなし、残部は
s−PP層自体を形成する機能をなす。ところでs−P
Pとして、溶融状態での流動性が過大であるものを用い
ると、ラミネーションの際にその大部分がセルロース紙
層中に侵入して所望厚みのs−PP層の形成が困難とな
り、一方、s−PPとして溶融状態での流動性が過少で
あるものを用いると、セルロース紙表面への侵入量が乏
しくなってs−PP層とセルロース紙層との結合力が不
足して、ケーブル導体上に巻回したときに両層間で剥離
し易くなる。
【0012】かかる理由から本発明では、s−PPとし
ては、溶融状態で適度の流動性を有するもの、即ちMF
R(メルトフローレート)が、0.1〜20g/10分
(ASTM−D−1238に規定する方法にて荷重10
kgf、温度230℃の条件で測定)程度のもの、好ま
しくは0.3〜15g/10分程度のものが用いられ
る。
【0013】上記のs−PPは、対称もしくは非対称分
子構造を有する有機金属錯体系触媒、例えばメタロセン
化合物などの立体特異性重合触媒を用い、塊状重合法、
気相重合法、不活性溶媒を用いる溶液重合法などの各種
の重合方法により製造することができる。
【0014】上記のs−PPには、必要に応じて、ヒン
ダードフェノール系、アミン系、あるいはチオエーテル
系などの酸化防止剤あるいは安定剤、アミド、ヒドラジ
ッド系などの銅害防止剤、ベンゾフェノン系、ベンゾイ
ン系などの紫外線防止剤、高級脂肪酸系あるいはその金
属塩系などの滑剤、加工助剤、有機系や無機系の顔料、
有機系や無機系の難燃剤、およびシリカやクレーなどの
充填剤など、プラスチックに通常用いられる添加剤を通
常量添加しても良い。
【0015】本発明で使用されるセルロース紙として
は、JIS−C2301〜2308に定められているよ
うなセルロースを主成分とする天然繊維紙、例えばクラ
フト絶縁紙が挙げられる。またポリエチレン、i−P
P、s−PPなどのプラスチックのフィブリルとセルロ
ースのような天然繊維との混抄紙も挙げられる。就中、
機械的強度の高いクラフト絶縁紙が好ましい。
【0016】セルロース紙として、透気度(JIS−C
2111に規定する方法で測定)が少なくとも500秒
/100cc、特に少なくとも800秒/100ccの
高気密度紙を使用すると、s−PP層の高電気絶縁破壊
強度と相俟って、インパルス破壊強度やAC破壊強度な
どの電気絶縁破壊強度の高い電気絶縁シートを得ること
ができる。
【0017】本発明の電気絶縁シートは、s−PP層と
セルロース紙層とが各1層づつの2層構造であってもよ
いが、3層以上の多層構造であってもよい。例えば、1
層のs−PP層を2層のセルロース紙層でサンドイッチ
した3層構造、1層のセルロース紙層を2層のs−PP
層でサンドイッチした3層構造、s−PP層とセルロー
ス紙層とを交互に積層した4層構造などである。なお、
s−PP層とセルロース紙層とは互いに熱膨張係数が異
なるので、電気絶縁シートの厚みの中心の両側で両層の
量に差があると電気絶縁シートがカールして取り扱い難
くなることがある。このカール発生を防止するために
は、厚みの中心の両側で両層の量に差が生じ難い上記の
サンドイッチ3層構造などは特に好ましい。なお上記し
た2層あるいは多層構造において、各s−PP層の厚み
は20〜200μm程度、セルロース紙の層の厚み(J
IS−C2111に規定する方法で測定)は10〜10
0μm程度、がそれぞれ適当である。
【0018】本発明の電気絶縁シートを油浸絶縁電力ケ
ーブルに使用する場合、電気絶縁シートの両面が本質的
に不透油性であるs−PP層であると、ケーブル絶縁油
がテープ巻回体の内部に浸透し難いので、少なくとも片
面、好ましくは両面がセルロース紙層である電気絶縁シ
ート、特に1層のs−PP層を2層のセルロース紙層で
サンドイッチした3層構造のものが好ましい。かかる電
気絶縁シートを用いてなるテープ巻回体では、テープ表
面のセルロース紙層がケーブル絶縁油の透過を助長する
ので、その内部までケーブル絶縁油を容易に含浸するこ
とができる。
【0019】しかして本発明における各種の電気絶縁シ
ートのうちでも、1層のs−PP層を2層のクラフト絶
縁紙層でサンドイッチした3層構造の電気絶縁シート
は、機械的強度、耐カール性、更にはケーブル絶縁油の
含浸性にも優れているので、特に好ましい。
【0020】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0021】実施例1〜3、比較例1 厚さ25μm、透気度2000秒/100ccのクラフ
ト絶縁紙の上に各種のs−PPをT型ダイスを装着した
押出機を用いて180℃で連続押出し、s−PPが溶融
状態にある間に上記と厚さ並びに透気度が同じクラフト
絶縁紙をs−PP層上に重ね、冷却後のs−PP層の厚
みが75μm程度となるようにs−PP層の上下のクラ
フト絶縁紙を軽く圧迫し、次いで風冷してサンドイッチ
3層構造の電気絶縁シートを得た。実施例1〜3および
比較例1で用いた各s−PPのrrrr並びにMFR、
および得られた各電気絶縁シートの厚みを表1に示す。
【0022】比較例2 s−PPに代えてi−PPを用いた以外は、比較例1と
同様にして厚さ125μmの電気絶縁シートを得た。
【0023】実施例1〜3、比較例1〜2の各電気絶縁
シートにつき、下記に示す方法により引張強さ、クラフ
ト絶縁紙層とs−PP層との間の剥離強度、剛柔性、誘
電率、誘電正接、インパルス破壊強度(Imp破壊強
度)並びにAC破壊強度をそれぞれ測定し、その結果を
表1に示す。 引張強さ:テンシロン引張試験機を用いて測定。 剥離強度:テンシロン引張試験機を用いて測定。 剛柔性:JIS−L−1096に規定するB法(スライ
ド法)により測定し、15N/cm2 以上であれば×、
10N/cm2 以上で15N/cm2 未満であれば△、
7N/cm2 以上で10N/cm2 未満であれば○、7
N/cm2 未満であれば◎とした。 誘電率および誘電正接:2枚重ねの電気絶縁シートにソ
フト型アルキルベンゼン油を含浸した試料についてシェ
ーリングブリッジにて測定。 インパルス破壊強度:6枚重ねの電気絶縁シートにソフ
ト型アルキルベンゼン油を含浸した試料について、1×
40μ秒の負極性インパルス標準波を予想破壊電圧の7
0%値を初期値として、5kV/3回印加のステップア
ップ昇圧方式で課電した。 AC破壊強度:3枚重ねの電気絶縁シートにソフト型ア
ルキルベンゼン油を含浸した試料について、予想破壊電
圧の70%値を初期値として、1kV/1分印加のステ
ップアップ昇圧方式で課電した。 なおインパルス破壊強度およびAC破壊強度について
は、1試料につき10点のデータを採取し、ワイブル解
析の後、破壊確率63.3%における破壊強度をもって
その試料の破壊強度とした。
【0024】
【表1】
【0025】表1から明らかな通り、i−PPを用いた
比較例2の電気絶縁シートは、剛柔性並びに剥離強度が
乏しくてケーブル導体上への巻回性に問題があることが
明らかであり、一方、rrrrが過少であるs−PPを
用いた比較例1の電気絶縁シートは、引張強さ、インパ
ルス破壊強度、AC破壊強度などが低い。一方、実施例
1〜3は、いずれも剛柔性並びに剥離強度が極めて良好
であるのでケーブル導体上への巻回性が優れていること
が明らかであり、しかもそれらは誘電率および誘電正接
などの誘電特性は勿論、インパルス破壊強度およびAC
破壊強度などの耐電圧特性までも優れていることがわか
る。
【0026】
【発明の効果】特定のs−PPを用いた本発明の電気絶
縁シートは、ケーブル導体上への巻回性、誘電特性、並
びに耐電圧特性に優れているので、高電圧や超高電圧の
油浸絶縁電力ケーブル用の電気絶縁シートとして好適で
ある。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シンジオタクチックペンタッド分率が
    0.7以上であり且つ230℃におけるMFRが0.1
    〜20g/10分のシンジオタクチックポリプロピレン
    の層とセルロース紙の層とが互いに積層結合してなるこ
    とを特徴とする電気絶縁シート。
  2. 【請求項2】 シンジオタクチックポリプロピレンの層
    の両面にセルロース紙の層を有する請求項1記載の電気
    絶縁シート。
  3. 【請求項3】 セルロース紙が、少なくとも透気度50
    0秒/100ccである請求項1または2記載の電気絶
    縁シート。
  4. 【請求項4】 シンジオタクチックポリプロピレンの層
    の厚みが20〜200μmであり、セルロース紙の層の
    厚みが10〜100μmである請求項1〜3のいずれか
    に記載の電気絶縁シート。
  5. 【請求項5】 セルロース紙がクラフト絶縁紙であり、
    シンジオタクチックポリプロピレンがシンジオタクチッ
    クペンタッド分率が0.8〜0.95であり且つ230
    ℃におけるMFRが0.3〜15g/10分のものであ
    る請求項1〜4のいずれかに記載の電気絶縁シート。
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