JP3803162B2 - 直流高粘度油浸電力ケーブル - Google Patents

直流高粘度油浸電力ケーブル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、主に長尺海底電力ケーブル等に好適に用いられ、高粘度の絶縁油を含浸した非加圧タイプの直流高粘度油浸電力ケーブルに関し、特に絶縁破壊強度に優れ、かつ製造性の良好な直流高粘度油浸電力ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、海底ケーブルなどに適用される超高圧直流送電用のケーブルとしては、導体上に絶縁紙を巻回しこれに高粘度の絶縁油を含浸した非油加圧タイプの油浸絶縁ケーブル、いわゆるMIND(Mass Impregnated NonDraining)ケーブルが多く用いられている。これは、直流送電ケーブルを海底ケーブルなどの条長が長いものとして用いる場合、低粘度の絶縁油を含浸した油加圧タイプの油浸絶縁ケーブルでは油圧の伝播が不十分となり油圧が不足し、ケーブルの特性が低下するためである。
【0003】
このような油浸絶縁ケーブルでは、直流絶縁特性を向上させるために、絶縁紙としてポリプロピレンなどの無極性プラスチックフィルムにクラフト紙を貼り合わせたプラスチックラミネート紙(以下、単にラミネート紙ということがある)を用いることが多い。これは、ラミネート紙においてプラスチックフィルム層の絶縁抵抗がクラフト紙層の絶縁抵抗よりかなり大きいことから、絶縁破壊の弱点となる油隙(オイルギャップ)、即ち油浸絶縁体を構成する絶縁紙同士の隙間と接するクラフト紙層の電圧分担を低減し、ケーブルの絶縁特性を向上させることができるためである。
【0004】
しかしながら、上記油浸絶縁ケーブルは、非油加圧タイプであるため、絶縁油が完全に含浸されている状態において良好な直流破壊特性を示すものの、ヒートサイクルが加わると、温度上昇時に絶縁層に含浸されている絶縁油が熱膨張により外側に押し出され、温度下降時には押し出された絶縁油が完全に元に戻りきらず、冷却収縮に基づく脱油ボイド(気泡)が油浸絶縁体中に生成し、その結果、部分放電が発生しやすくなり、直流破壊特性が低下してしまうことがある。
【0005】
この問題を解決するための構造を有する直流高粘度油浸電力ケーブルとしては、本出願人によってすでに特許出願された特願平8−250686に開示された直流高粘度油浸電力ケーブルがある。このケーブルは、ラミネート紙を多数回巻回し、これに高粘度絶縁油を含浸した油浸絶縁体を有し、上記ラミネート紙の一部または全部に厚さ40〜100μmのものを用いたものである。
このケーブルにあっては、ラミネート紙として厚さが40〜100μmと薄いものを用いたので、油浸絶縁体中の油隙の体積が小さいものとなり、ヒートサイクルが加わってもこの油隙に脱油ボイドが形成されにくくなり、仮に形成されたとしても極めて微少なものとなる。このため、脱油ボイドに起因する絶縁破壊特性の低下は極めて微かなものとなり、ヒートサイクルが加わっても、高い絶縁耐力を有するものとなる。
このようなケーブルを製造する際には、ラミネート紙を導体上に直接または遮蔽層を介して多数回巻回し、真空乾燥した後、これに絶縁油を含浸するようにする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のケーブルにあっては、次のような問題があった。上記ケーブルに用いられるラミネート紙は厚さが40〜100μmと薄いものであるため、所定の厚さの油浸絶縁体を形成するのに必要な紙巻きの枚数が多くなり、ケーブル製造時において紙巻き工程に長時間を要し、絶縁油含浸の際の絶縁油の通路となる油隙が長いものとなるためラミネート紙に絶縁油を含浸する工程や真空乾燥に要する時間も長くなり、生産性が低い問題があった。
【0007】
ところで、上記ケーブルに通電すると、油浸絶縁体の内側部分の電位傾度が高くなり、この部分の電圧分担ストレスが増大する。
また、長時間の通電によって導体が発熱すると、油浸絶縁体に、内側部分がより高温になる温度勾配が生じ、高温となった内側部分の体積抵抗率が低下し、その結果、油浸絶縁体の内側部分では絶縁抵抗が小さく、外側部分では絶縁抵抗が大きくなることがある。直流ケーブルにおいて絶縁体の電圧分担は体積抵抗率で分担されるため、油浸絶縁体中に温度勾配が生じた場合には、絶縁抵抗の大きい絶縁体外側部分における電圧分担ストレスが増大する。
【0008】
このように、油浸絶縁体の内側および/または外側部分における電位傾度が高まる電位分布の変歪が生じた場合には、上記部分の電圧分担ストレスが過大となり、ケーブルの直流破壊特性が低下する不都合があった。
このことは、DDB(ドデシルベンゼン)などの低粘度油を用いたケーブルにおいても生じる問題であるが、特に、高粘度油を含浸した非加圧タイプのケーブルにおいて大きな問題となる。これは、高粘度油を用いたケーブルでは高粘度油がケーブル内で移動しにくいため、ヒートサイクルが加わったときに油浸絶縁体内で温度勾配が生じやすいためである。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、絶縁破壊強度に優れ、かつ製造性の良好な直流高粘度油浸電力ケーブルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる課題は、プラスチックフィルムにクラフト紙を貼り合わせてなる厚みが異なる複数種のプラスチックラミネート紙を巻回し、これに高粘度絶縁油を含浸した高粘度油浸絶縁体を有する非加圧タイプの直流高粘度油浸電力ケーブルであって、前記高粘度油浸絶縁体の最内側および/または最外側部分に、厚み40〜100μmのプラスチックラミネート紙からなる層を設け、該層以外の部分のうち少なくとも一部を厚み100μm以上のプラスチックラミネート紙からなるものとした直流高粘度油浸電力ケーブルによって解決される。上記高粘度油浸絶縁体は、低プラスチック分率、好ましくは30〜50%のプラスチックラミネート紙からなる第1の層と、該第1の層より外側に設けられ、高プラスチック分率、好ましくは50〜70%のプラスチックラミネート紙からなる第2の層とを有する2層以上の構造を有するものとするのが好ましい。また、第2の層より外側に、該第2の層を成すプラスチックラミネート紙より低いプラスチック分率、好ましくは30〜50%のプラスチックラミネート紙からなる第3の層を設けるのがさらに好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
図1および図2は、本発明の直流高粘度油浸電力ケーブル(以下、単にケーブルということがある)の一例を示すものである。ここに示すケーブルは、導体1上に、カーボン紙巻回層2、クラフト紙巻回層3を設け、この上に、プラスチックラミネート紙4を多数回巻回し、これに高粘度絶縁油を含浸した高粘度油浸絶縁体(以下、単に油浸絶縁体または絶縁体ということがある)5を設け、さらに、カーボン紙巻回層6、銅テープなどからなる金属遮蔽層7、およびポリエチレン、ポリプロピレンなどからなるシース8を順次形成したものである。
【0011】
油浸絶縁体5を構成するラミネート紙4としては、プラスチックフィルムの両面もしくは片面にクラフト紙を貼り合わせたものが用いられる。プラスチックフィルムとしては、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1、ポリエチレンなどの無極性ポリオレフィンやテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などのフッ素ポリマーからなるものが用いられ、これらの中でも、メルトフローレイト(MFR)が5〜50g/分のポリプロピレンホモポリマーからなるフィルムが絶縁特性、接着性の点で好ましい。なお、ポリプロピレンの誘電率は、約2.2であることが知られている。
以下、プラスチックラミネート紙4として、ポリプロピレンフィルムを有するポリプロピレンラミネート紙を用いた場合を例として説明する。
【0012】
ポリプロピレンラミネート紙4を構成するクラフト紙としては、厚みが10〜30μm程度のものが用いられ、誘電特性が良好な脱イオン水洗低損失紙が望ましく、水浸液導電率(JIS−C−2111による)が15μS/cm以下の程度の低導電性のものが特に好ましい。
また、プラスチックフィルムとの接着性を高めるために、高密度でかつ高気密度の層と、低密度でかつ低気密度の層とからなる二重クラフト紙を用い、低密度でかつ低気密度の層をプラスチックフィルムに貼り合わせることが望ましい。
さらに、高粘度絶縁油の含浸速度を高めるために、クラフト紙の表面に多数の溝やエンボスを形成したものを用いるのが好ましい。また、クラフト紙の誘電率は、上記ポリプロピレンの誘電率より高く、約3.5であることが知られている。
【0013】
このポリプロピレンラミネート紙4は、幅方向に隣接するポリプロピレンラミネート紙4の間にわずかの隙間、即ち巻回間隔4aをおいた突き合わせ巻きにより巻回されており、この巻回間隔4a,4a,・・・は、ラミネート紙に絶縁油が含浸する際の通路となる油隙となっている。
ラミネート紙4は、完全に突き合わせて間隔を0mmとして巻回してもよく、さらにはラップ巻きとしてもよいが、巻回間隔4aが小さすぎると絶縁油の含浸に時間がかかることを考慮し、この間隔4aは0.3〜3mm程度とするのが実用的である。
【0014】
この例の直流高粘度油浸電力ケーブルの油浸絶縁体には、次に示すようにε−グレーディングが施されている。即ち、油浸絶縁体5が3つの層9、10、11からなるものとされ、互いに隣接する層をなすラミネート紙同士のポリプロピレン分率(以下、PP分率という)が互いに異なるようにされている。このPP分率とは、ラミネート紙全体の厚みに対するポリプロピレンフィルムの厚みの割合をこれらの重量から換算して求めた値である。
【0015】
これら3つの層のうち第1の層である内層9をなすラミネート紙のPP分率は、導体に流れる電流や油浸絶縁体5の外径などに合わせて適宜設定されるが、比較的低い値、例えば30〜50%とするのが好ましい。
第2の層である中間層10をなすラミネート紙のPP分率は、内層9を構成するラミネート紙のPP分率より高く設定され、好ましくは50〜70%とされる。
第3の層である外層11をなすラミネート紙のPP分率は、中間層10を構成するラミネート紙のPP分率より低く設定され、好ましくは30〜50%とされる。上記層9、10、11をなすラミネート紙のPP分率が上記範囲外である場合には、油浸絶縁体5内の電位分布の変歪が形成され易くなり、絶縁破壊が起きやすくなる。
上記3つの層からなる油浸絶縁体3の厚みは、1〜25mmとするのが好ましく、上記各層9、10、11の厚みは、それぞれ、0.3〜15mmとするのが好適である。
【0016】
内層9の最内側部分、および外層11の最外側部分は、厚みが40〜100μmの薄いラミネート紙4からなる最内層9a、最外層11aとされている。最内層9a、最外層11aは、電圧分担ストレスが高くなりやすい油浸絶縁体5の最内側および最外側部分における油隙の体積を小さくし、この部分に脱油ボイドが形成されにくくなるようにし、油浸絶縁体の絶縁耐力を高めるためのものである。これら層9a、11aの厚みは、0.2〜10mmとするのが好ましい。上記最内層9a、最外層11aの全厚みが0.2mm未満であると、油浸絶縁体5内に脱油ボイドが形成され易くなりケーブルの絶縁特性が低下し、10mmを越えると、上述のようなケーブルの製造上の問題が生じる。
なお、最内層9a、最外層11aは、厚み40〜100μmのクラフト紙からなるものとしてもよい。
【0017】
また、ケーブル製造時における紙巻き工程に必要な時間を短縮し、ケーブルの製造性を高めるために、最内層9a、最外層11a以外の部分の油浸絶縁体5のうち少なくとも一部には、厚みが100μm以上、好ましくは100〜250μmのラミネート紙が用いられる。
【0018】
カーボン紙巻回層2、6としては、カーボン紙を1〜10枚程度巻回したものとしてよい。クラフト紙巻回層3としては、クラフト紙を厚み0.3〜2mmとなるよう巻回し、高粘度絶縁油を含浸してなるものとしてよい。ここで用いられるクラフト紙としては、厚み40〜100μmのものを用いると、電圧分担ストレスが高くなりやすい最内側部分に脱油ボイドが形成されにくくすることができるため好ましい。
なお、本発明の直流高粘度油浸電力ケーブルでは、油浸絶縁体5の外周側にも、高粘度絶縁油が含浸された厚さ0.3〜2mm程度のクラフト紙巻回層を設けてよい。この層に用いられるクラフト紙としても、厚み40〜100μmのものを用いると、電圧分担ストレスが高くなりやすい最外側部分に脱油ボイドが形成されにくくすることができるため好ましい。
【0019】
本発明で使用される高粘度絶縁油としては、その動粘度が30℃で500センチストークス以上、100℃で20センチストークス以上のものを用いるのが好適であり、ポリブテンやナフテン系鉱油などの重質鉱油、あるいは低粘度鉱油にワックス、レジン、ゴムなどを溶解したものが使用可能である。
【0020】
上記ケーブルを製造する際には、ラミネート紙4を、カーボン紙巻回層2、クラフト紙巻回層3を介して導体1上に多数回巻回し、真空乾燥した後、これに高粘度絶縁油を含浸する。高粘度絶縁油を油浸絶縁体に含浸する際には、これを100〜130℃に加温して低粘度化して行うことが望ましい。
【0021】
上記構成の直流高粘度油浸電力ケーブルに通電すると、油浸絶縁体の最内側部分が高電界となり、この部分の電圧分担ストレスが増すが、この最内側部分には、厚さ40〜100μmの薄いラミネート紙4からなる最内層9aが形成されているため、この層9aにおける油隙の体積が小さくなり、ヒートサイクルが加わっても油隙に脱油ボイドが形成されにくくなる。
【0022】
また、通電による導体1の発熱によって、油浸絶縁体5の内側部分が高温となり、その体積抵抗率が低下すると、外側部分の体積抵抗率が相対的に高くなり、この部分の電圧分担ストレスが増すことがあるが、この場合においても、最外側部分に厚さ40〜100μmの薄いラミネート紙4からなる最外層11aが形成されているため、この部分に脱油ボイドが形成されにくくなる。
【0023】
上記構成の直流高粘度油浸電力ケーブルにあっては、油浸絶縁体5の最内層9a、最外層11a以外の部分のうち少なくとも一部を厚み100μm以上のラミネート紙からなるものとしたので、所定厚さの油浸絶縁体5を構成するために必要なラミネート紙4の紙巻枚数を少なくし、ケーブル製造時に紙巻き工程に要する時間を短縮することができる。また同時に、油隙長を短くし、ケーブル製造時における真空乾燥、絶縁油含浸を速やかに行わせ、これらの工程に要する時間を短縮することができる。従って、効率的なケーブル製造が可能となる。
【0024】
さらには、油浸絶縁体5の最内層9aおよび最外層11aを厚さ40〜100μmの薄いラミネート紙4で形成したので、高い電圧分担ストレスが加わりやすい絶縁体の内側および外側部分における油隙4aの体積を小さいものとし、ヒートサイクルが加わっても油隙4aに脱油ボイドが形成されにくくし、仮に形成されたとしてもきわめて微少なものとすることができる。このため、脱油ボイドに起因する絶縁破壊特性の低下を極めて微かなものとし、ヒートサイクルが加わった場合でも優れた絶縁特性を有するものとすることができる。
【0025】
また、上記構成のケーブルでは、油浸絶縁体5が、比較的低いPP分率のラミネート紙からなる内層9と、比較的高いPP分率のラミネート紙からなる中間層10とを有するものとされている。ポリプロピレンの誘電率はクラフト紙の誘電率に比べて低いため、上記ケーブルにあっては、低PP分率の内層9の誘電率が比較的高くなる。このため、導体1に通電した状態においても内層9における電位傾度を低く保ち、油浸絶縁体5内の電位分布をケーブル径方向に均一化することができる。従って、油浸絶縁体5内の電圧分担ストレスの偏りを抑え、ケーブルの直流破壊特性をさらに高めることができる。
【0026】
また、中間層10の外側に、中間層10のラミネート紙のPP分率より低いPP分率のラミネート紙からなる外層11を設けることによって、通電によって導体1が発熱し、油浸絶縁体5に温度勾配が生じた場合においても油浸絶縁体5の外側部分の電位傾度を低く保ち、油浸絶縁体5内の電圧分担ストレスの偏りを抑え、ケーブルの直流破壊特性をより一層向上させることができる。
【0027】
なお、上記構成のケーブルでは、油浸絶縁体を3つの層からなるものとしたが、本発明の直流高粘度油浸電力ケーブルはこれに限らず、4つ以上の層からなるものとしてもよい。
また、本発明の直流高粘度油浸電力ケーブルは、油浸絶縁体を、内側から外側にかけて漸次PP分率が高くなるような複数の層からなるものとしてもよい。この場合には、最も内側の層をPP分率が30〜50%のラミネート紙からなるものとし、最も外側の層をPP分率が50〜70%のラミネート紙からなるものとするのが望ましい。
【0028】
【実施例】
セグメンタル導体(断面積2000mm2)上に、2枚のカーボン紙、および3枚のクラフト紙を巻き付け、この上に、厚みまたはPP分率が異なる複数種のポリプロピレンラミネート紙(PPラミネート紙)を巻回間隔が2mmとなるように巻回し、さらに、3枚のクラフト紙を巻き付けて全厚み21mmの絶縁体とし、この上に2枚のカーボン紙を巻回し、これを温度120℃の条件下で真空乾燥した後、120℃に加温したナフテン系鉱油T2015(商品名、ダセックキャンベル社製)を含浸し油浸絶縁体として、ケーブルを製造した(実施例1〜3)。また、PP分率が一定のポリプロピレンラミネート紙からなる絶縁体を有するケーブルを製造した(比較例1〜5)。
【0029】
次いで、これら実施例および比較例のケーブルに、油浸絶縁体内に脱油ボイドが形成されやすくなるように室温〜60℃のヒートサイクルを3回加えた後、これらケーブルの負極性直流破壊電圧を測定した。また、各ケーブル製造時の真空乾燥に要した時間、および絶縁油を含浸するのに要した時間を測定した。これら乾燥時間、含浸時間を測定する際には、吸収電流、および静電容量の測定値が飽和に達したときを乾燥、含浸の完了と見なした。
このケーブルに用いたポリプロピレンラミネート紙の厚み、PP分率、巻回厚み、および上記ケーブルの負極性直流破壊電圧の測定結果、製造時の真空乾燥に要した時間、および絶縁油含浸に要した時間を表1に示す。
【0030】
【表1】
Figure 0003803162
【0031】
表1に示すように、ε−グレーディングが施された油浸絶縁体を有する実施例1〜3の電力ケーブルは、比較例1〜4のものに比べ、直流破壊電圧が優れていることがわかる。また、油浸絶縁体を構成するラミネート紙のうち最も厚いものの厚みが120μmまたは125μmである実施例1〜3のケーブルは、厚み100μm以下のラミネート紙のみからなる油浸絶縁体を有する比較例4、5のものに比べ、ケーブル製造時の真空乾燥工程、含浸工程に要した時間が短く、短時間での製造が可能となったことがわかる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の直流高粘度油浸電力ケーブルにあっては、油浸絶縁体の最内側および/または最外側部分に、厚み40〜100μmのプラスチックラミネート紙からなる層を設け、該層以外の部分のうち少なくとも一部を厚み100μm以上のプラスチックラミネート紙からなるものとしたので、ケーブル製造時の紙巻き工程、絶縁油含浸工程、および真空乾燥工程に要する時間を短縮し、効率的なケーブル製造を可能とすることができる。
また、高い電圧分担ストレスが加わりやすい絶縁体の内側および/または外側部分において脱油ボイドが形成されにくくし、ヒートサイクルが加わった場合でも優れた絶縁特性を有するものとすることができる。
【0033】
また、油浸絶縁体を、低プラスチック分率のプラスチックラミネート紙からなる第1の層と、第1の層より外側に設けられた高プラスチック分率のプラスチックラミネート紙からなる第2の層とを有する2層以上の構造を有するものとすることによって、油浸絶縁体内の電位分布を均一化し、ケーブルの直流破壊特性の一層の向上を図ることができる。
【0034】
また、第2の層より外側に、該第2の層をなすプラスチックラミネート紙より低いプラスチック分率のプラスチックラミネート紙からなる第3の層を設けることによって、油浸絶縁体に温度勾配が生じた場合においても油浸絶縁体内の電圧分担ストレスの偏りを抑え、ケーブルの直流破壊特性をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の直流高粘度油浸電力ケーブルの一例を示す概略構成図である。
【図2】 図1に示す直流高粘度油浸電力ケーブルの要部拡大図である。
【符号の説明】
1・・・導体、4・・・プラスチックラミネート紙、5・・・油浸絶縁体、
9・・・内層(第1の層)、10・・・中間層(第2の層)、
11・・・外層(第3の層)9a・・・最内層、11a・・・最外層

Claims (5)

  1. プラスチックフィルムにクラフト紙を貼り合わせてなる厚みが異なる複数種のプラスチックラミネート紙を巻回し、これに高粘度絶縁油を含浸した高粘度油浸絶縁体を有する非加圧タイプの直流高粘度油浸電力ケーブルであって、
    前記高粘度油浸絶縁体の最内側および/または最外側部分に、厚み40〜100μmのプラスチックラミネート紙からなる層を設け、該層以外の部分のうち少なくとも一部を厚み100μm以上のプラスチックラミネート紙からなるものとしたことを特徴とする直流高粘度油浸電力ケーブル。
  2. 請求項1記載の直流高粘度油浸電力ケーブルにおいて、高粘度油浸絶縁体を、低プラスチック分率のプラスチックラミネート紙からなる第1の層と、該第1の層より外側に設けられ、高プラスチック分率のプラスチックラミネート紙からなる第2の層とを有する2層以上の構造を有するものとしたことを特徴とする直流高粘度油浸電力ケーブル。
  3. 請求項2記載の直流高粘度油浸電力ケーブルにおいて、第2の層より外側に、該第2の層をなすプラスチックラミネート紙より低いプラスチック分率のプラスチックラミネート紙からなる第3の層を設けたことを特徴とする直流高粘度油浸電力ケーブル。
  4. 請求項2または3記載の直流高粘度油浸電力ケーブルにおいて、第1の層をなすプラスチックラミネート紙のプラスチック分率を30〜50%とし、第2の層をなすプラスチックラミネート紙のプラスチック分率を50〜70%としたことを特徴とする直流高粘度油浸電力ケーブル。
  5. 請求項3または4記載の直流高粘度油浸電力ケーブルにおいて、第3の層をなすプラスチックラミネート紙のプラスチック分率を30〜50%としたことを特徴とする直流高粘度油浸電力ケーブル。
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