JP3547563B2 - 直流油浸電力ケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、主に長尺海底電力ケーブル等に好適に用いられ、高粘度の絶縁油を含浸した非加圧タイプの直流油浸電力ケーブルに関する。
【0002】
超高圧直流送電ケーブルとして、現在油浸絶縁ケーブルが用いられている。また、直流送電ケーブルは、長尺の海底ケーブルに適用されることが多い。このため超高圧直流送電用の長尺海底ケーブルとしては、条長が極めて長くなることから、低粘度の絶縁油を含浸した油加圧タイプの油浸絶縁ケーブルでは油圧の伝播限度があるため、高粘度の絶縁油を含浸した無油加圧タイプの油浸絶縁ケーブル、いわゆるMIND(Mass Impregnated Non Draining)ケーブルが用いられることになる。
【0003】
一方、油浸絶縁ケーブルの直流絶縁特性を向上させるために、絶縁紙として、ポリプロピレンなどの無極性プラスチックフィルムの両面にクラフト紙を貼り合わせたプラスチックラミネート紙が使われている。これは、直流では電圧は抵抗で分担されることになり、プラスチックラミネート紙ではプラスチックフィルム層の絶縁抵抗がクラフト紙層の絶縁抵抗よりかなり大きいために、絶縁破壊の弱点となる油隙(オイルギャップ)と接するクラフト紙層の分担電圧が低減されるためである。
【0004】
このようなプラスチックラミネート紙を絶縁層に用いたMINDケーブルにあっては、絶縁油が完全に含浸されている状態では良好な直流破壊特性を示す。
しかしながら、例えばヒートサイクルなどが加わったりすると、温度上昇時に絶縁層に含浸されている絶縁油が熱膨張により外部遮断層側に押し出され、温度降下時には押し出された絶縁油が非加圧のために完全に元に戻りきらず、冷却収縮に基づく脱油ボイド(気泡)が生成することになる。
このような脱油ボイドが生成した油浸絶縁体では、当然のことながら直流破壊特性の低下をまぬがれない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明における課題は、MINDケーブルの油浸絶縁体中に温度変化などにより脱油ボイドが生成しても、直流破壊特性の低下を微かとすることができるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる課題は、油浸絶縁体をなすプラスチックラミネート紙のクラフト紙層の油浸状態での絶縁抵抗を5×1012〜1×1016Ω−cm(50℃、10kv/mm)とすることで解決される。
クラフト紙層の絶縁抵抗を上記範囲とするには、クラフト紙として表面汚損処理紙、導電性微粒子添加紙、非脱イオン水洗紙などを用いることによって可能である。また、含浸される高粘度絶縁油として電解質を微量添加して絶縁抵抗を低くしたものを使用することでも可能である。
【0007】
【作用】
直流では、その電圧は抵抗によって分担されるので、脱油ボイドと接するプラスチックラミネート紙のクラフト紙層の絶縁抵抗をある程度低くしてクラフト紙層の分担電解を低減させることにより、脱油ボイドでの気中放電がクラフト紙層へ進展する際に、クラフト紙層中での破壊ストリーマの進展が抑制され、直流絶縁特性の低下を小さいものにすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、詳しく説明する。
本発明の直流油浸電力ケーブルでは、その油浸絶縁体のプラスチックラミネート紙の油浸状態でのクラフト紙層の絶縁抵抗を5×1012〜1×1016Ω−cmの範囲とする。ここでの絶縁抵抗の値は、温度50℃、印加電圧10kv/mmの測定条件で測定して得られたものを言う。
また、クラフト紙層とは、プラスチックラミネート紙のクラフト紙に高粘度の絶縁油が十分に含浸した油浸状態のものを指称する。
【0009】
クラフト紙層の絶縁抵抗が5×1012Ω−cm未満では、直流電圧下での 熱破壊により直流破壊電圧が低下する。1×1016Ω−cmを越えると、目的とする直流破壊特性の低下の抑制効果が得られない。
【0010】
上述のクラフト紙層の絶縁抵抗値を得るための具体的な方法としては、直流ケーブルでは油浸絶縁体の誘電損失を考慮する必要がないため、例えば▲1▼界面活性剤などの電解質水溶液をプラスチックラミネート紙のクラフト紙表面に噴霧、乾燥してクラフト紙表面層を汚損する表面汚損処理を施す方法、カーボンブラック等の導電性微粒子を少量添加して抄紙したクラフト紙を用いる方法、通常の超高圧ケーブル用の脱イオン水洗紙ではなく、非脱イオン水洗紙を用いる方法などが挙げられる。
【0011】
また、クラフト紙層の絶縁抵抗は、これに含浸される絶縁油の絶縁抵抗によっても左右されるので、高粘度絶縁油に有機金属化合物などの可溶性の電解質を微量添加して絶縁油の絶縁抵抗をわずかに低下させ、この絶縁油を含浸してクラフト紙層の絶縁抵抗を上記範内に収めることもできる。また、絶縁抵抗の異なる2種以上の絶縁油を混合して上記範囲とすることもできる。
【0012】
本発明で使用される高粘度絶縁油としては、温度60℃での動粘度が500センチトークス程度以上の粘度を有するもので、ナフテン系鉱油やポリブテン油などが用いられる。
【0013】
本発明でのプラスチックラミネート紙のプラスチックフィルムとしては、ポリプロピレン、ポリー4ーメチルペンテン−l、ポリブテン−l、ポリエチレンなどの無極性ポリオレフィンやテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロポリプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などのフッ素樹脂からなる厚さ20〜150μmのものが用いられる。これらの中でもポリプロピレンホモポリマーからなるものが好ましい。
【0014】
クラフト紙として通常のもの(1重紙)以外に2層構造(2重紙)を用いることもできる。
【0015】
また、本発明でのプラスチックラミネート紙として、巻回後の真空乾燥および絶縁油含浸を容易とし、その作業時間を短縮するために、ラミネート紙の表面に微細な凹凸を形成するエンボス処理を施したものやプラスチックラミネート紙の表面の幅方向に微少な溝を多数形成したものなどを用いても良い。
【0016】
さらに、本発明の直流油浸ケーブルでは、プラスチックラミネート紙のインパルス破壊特性における極性効果の低減のために、導体直上または外部遮蔽層直下に厚さ0.3〜2mmの油浸状態のクラフト紙巻回層を設けてもよい。
【0017】
以下、具体例を示して作用効果を示す。
【実施例1】
ポリプロピレン分率45%の厚さ125μmのポリプロピレンラミネート紙テープを導体上に10層巻回したのち、真空乾燥し、高粘度絶縁油としてナフテン系鉱油(「T−2015」、商品名、ダセック・キャンベル社製、動粘度;温度60℃で1200センチストークス、温度120℃で120センチストークス)を含浸し、油浸絶縁体とした。
この油浸絶縁体に室温〜60℃のヒートサイクルを与えて絶縁体中に脱油ボイドを形成させた。
【0018】
このものにつき、ポリプロピレンラミネート紙のクラフト紙層の絶縁抵抗を下記の方法で調整した。
・表面汚損処理;アニオン系界面活性剤添加水溶液を表面に噴霧、乾燥した。処理レベルI〜Vの調整は上記水溶液の噴霧回数を多くすることにより行った。
・カーボン入クラフト紙;カーボンブラック1重量%を添加したクラフト紙を使用した。
・非脱イオン水洗によるクラフト紙を使用した。
・上記ナフテン系鉱油(「T−2015」)に有機酸銅を添加し、その絶縁抵抗を5×1013Ω−cm(50℃)とした高粘度絶縁油を含浸した。
【0019】
各々の油浸絶縁体のクラフト紙層の絶縁抵抗とその直流破壊強度を測定し、その結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
表1の結果から、クラフト紙層の絶縁抵抗を5×1012〜1×1016Ω−cmの範囲とすることで、直流破壊電圧が向上しており、脱油ボイドによる直流破壊特性の低下が抑制される効果が得られることがわかる。
【0022】
【実施例2】
導体断面積1000mm2のセグメンタル導体上に導体側から下記構成の遮蔽層および絶縁体を形成し、絶縁厚さ23mmのケーブルコアを製造した。
カーボン紙 2枚巻回
厚さ80μm クラフト紙巻回、1mm厚
厚さ125μmm ポリプロピレンラミネート紙巻回
厚さ155μmm ポリプロピレンラミネート紙巻回
厚さ100μmm クラフト紙巻回、1mm厚
カーボン紙/金属化紙 組合わせ巻回
ポリプロピレンラミネート紙のポリプロピレン分率はいずれも45重量%である。
【0023】
ポリプロピレンラミネート紙は、実施例1と同様の表面汚損処理を施したものと無処理のものとを使用し、高粘度絶縁油として上記「T−2015」を使用した。ポリプロピレンラミネート紙には、また絶縁油の含浸を良くするため、表面に幅方向に多数の微少な溝を形成してあるものを使用した。
油浸絶縁体のクラフト紙層の絶縁抵抗を上記表面汚損処理の有無により、
▲1▼ 1×1017Ω−cm(50℃、10kv/mm)
▲2▼ 1×1014Ω−cm(50℃、10kv/mm)
の2種とした。
【0024】
このケーブルコアに室温〜60℃のヒートサイクルを与え、絶縁体中に脱油ボイドを形成したのち、その直流破壊電圧を測定したところ、絶縁抵抗が1×1017Ω−cmのものでは1200kvであり、1×1014Ω−cmものでは1800kv以上であった。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の直流油浸電力ケーブルは、プラスチックラミネート紙を巻回し、これに高粘度絶縁油を含浸した油浸絶縁体におけるクラフト紙層の絶縁抵抗を5×1012〜1×1016Ω−cmの範囲としたものであるので、油浸絶縁体中に温度変化などにより脱油ボイドが生成しても、これに起因する直流破壊特性の低下を最小限に抑えることができる。
Claims (2)
- プラスチックフィルムの両面にクラフト紙を貼り合せてなるプラスチックラミネート紙を巻回し、これに高粘度絶縁油を含浸した油浸絶縁体を有する直流油浸電力ケーブルであって、
油浸状態のプラスチックラミネート紙のクラフト紙層の絶縁抵抗が5×1012〜1×1016Ω−cm(温度50℃、電界強度10kv/mmの条件下での測定値)であることを特徴とする直流油浸電力ケーブル。 - クラフト紙として、表面汚損処理紙、導電性微粒子添加紙、非脱イオン水洗紙のいずれかを用いたことを特徴とする請求項1記載の直流油浸電力ケーブル。
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1996
- 1996-06-28 JP JP17045596A patent/JP3547563B2/ja not_active Expired - Fee Related
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