JPH08197690A - 積層体 - Google Patents

積層体

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JPH08197690A
JPH08197690A JP2587695A JP2587695A JPH08197690A JP H08197690 A JPH08197690 A JP H08197690A JP 2587695 A JP2587695 A JP 2587695A JP 2587695 A JP2587695 A JP 2587695A JP H08197690 A JPH08197690 A JP H08197690A
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JP
Japan
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pps
laminate
fiber sheet
layer
laminated
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Application number
JP2587695A
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English (en)
Inventor
Shinichiro Miyaji
新一郎 宮治
Joichi Yomoda
穰一 四方田
Shuichi Kinoshita
周一 木下
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性、電気特性、耐薬品性および耐衝撃性
等の諸特性がバランスし、かつ成型性を著しく向上させ
た作業性に優れた電気絶縁材料を提供する。 【構成】 未延伸ポリフェニレンスルフィドシート層
(A)およびポリフェニレンスルフィド繊維シート層
(B)からなる積層体であって、かつ、各層が接着剤を
介することなく積層されていることを特徴とする積層
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリフェニレンスルフ
ィド(以下、PPSと略称することがある。)単体から
なる積層体に関するものである。さらに詳しくは、未延
伸PPSフイルムとPPS繊維シートからなる耐衝撃性
および成型加工性に優れた積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気機器の小型軽量化、高機能化、高性
能化、大容量化に伴う絶縁システムの信頼性の向上とと
もに耐熱性、電気特性、機械特性、耐薬品性、作業性な
どの各特性をバランスよく兼ね備えており、さらに成型
加工性に優れた絶縁材料の要求が強くなりつつある。
【0003】従来この分野に適用されていたフイルムと
しては次のものが知られている。 (1)二軸配向ポリフェニレンスルフィドフイルム(以
下、PPSフイルムと略称することがある。)を電気絶
縁材料として用いることは、特開昭55−35459号
公報等で公知である。 (2)未延伸ポリフェニレンスルフィドシート(以下P
PSシートと略称することがある。)も特開昭56−3
4426号公報等で提案されている。 (3)ポリエステルフイルムを同様の用途に用いること
も知られている。
【0004】また、積層フイルムとしては、下記のもの
が知られている。 (4)ポリエステルフイルムの片面また両面にPPSフ
イルムを積層した積層フイルムを電気絶縁材料に用いる
ことが特開昭62−292431号公報で提案されてい
る。 (5)PPSフイルムと未延伸PPSシートの積層フイ
ルムを電気絶縁材料に用いることが特開平3−2276
24号公報等で提案されている。
【0005】また、積層体としては、下記のものが公知
である。 (6)PPSフイルムの片面または両面に芳香族ポリア
ミドや芳香族アミノカルボン酸を縮合して得られる重合
体などの繊維シートを積層したものを電気絶縁材料とし
て用いることが特開昭60−63158号公報において
提案されている。 (7)ポリエステルフイルムの両面に同様の繊維シート
を積層したものも知られている。 (8)また、PPSフイルムとPPSの繊維シートとの
積層体を電気絶縁材料に用いることも特開昭63−23
7949号公報で提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来の
フイルム、積層フイルムおよび積層体は下記の問題点を
有している。(1)のフイルムは、耐衝撃性が乏しく、
例えばスロットライナーやウェッジとしてモータに挿入
する場合、穴があいたり、裂けてしまったり、層剥離を
起こしたりしやすい。また、成型加工性に乏しい。
(2)のシートは、(1)項フイルムに比べて耐衝撃性
や成型加工性は優れるが、耐熱性(特に高温時の耐熱
性)に乏しいと言う問題点があった。(3)のフイルム
は、耐熱性に乏しい。
【0007】(4)の積層フイルムは、ポリエステルフ
イルム層の耐熱性が律則となり、積層フイルム全体の耐
熱性が低い。また成型加工しにくい。(5)の積層フイ
ルムは、耐熱性、耐薬品性、電気特性等の諸特性を満足
し、(1)のPPSフイルムに比べれば耐衝撃性に富む
が、コイルの占積率が高いモータやコイル成形率の大き
いモータでは、穴があいたり、裂けたりし、適用範囲が
制限されていた。
【0008】(6)の積層体は、耐熱性に富むが、該積
層体に用いる繊維シートの吸湿率が大きく、吸湿による
寸法変化が大きい。また、該繊維シートが耐薬品性(特
に耐アルカリ性)に乏しい。また、成型加工性にも乏し
い。(7)の積層体も、(3)の積層フイルムと同様の
問題点を有していた。(8)の積層体は、耐熱性、電気
特性、耐薬品性等の諸特性がバランスしており、モータ
に挿入しても穴があいたり、裂けたりしにくいものであ
った。しかし、成型加工性に問題があり、成型時にPP
Sフイルム層と繊維シート層の界面が容易に剥がれた
り、PPSフイルム層が裂けたりして成型を必要とする
分野での使用が著しく制限されていた。
【0009】本発明は、係る問題点を解決すること、す
なわち、耐熱性、電気特性、耐薬品性および耐衝撃性等
の諸特性がバランスし、かつ成型性を著しく向上させた
作業性に優れた電気絶縁材料を提供することを目的と
し、それに用いて最適なPPS単体からなる積層体を提
供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の
積層体は、未延伸ポリフェニレンスルフィドシート層
(A)、およびポリフェニレンスルフィド繊維シート層
(B)からなる積層体であって、各層が接着剤を介する
ことなく積層されていることを特徴とするものからな
る。
【0011】本発明において、ポリフェニレンスルフィ
ドとは、繰り返し単位の70モル%以上(好ましくは8
5モル%以上)が化1の構成式で示される重合体をい
う。かかる成分が70モル%未満ではポリマの結晶性、
熱転移温度等が低くなりPPSを主成分とする樹脂組成
物からなるフイルムや繊維の特長である耐熱性、寸法安
定性、機械特性等を損なう。
【0012】
【化1】
【0013】繰り返し単位の30モル%未満であれば、
共重合可能なスルフィド結合を含有する単位が含まれて
いても差し支えない。またこの場合の共重合に仕方はラ
ンダム、ブロックを問わない。
【0014】また、上記PPSを主成分とする樹脂組成
物とは、PPSを70重量%以上、好ましくは80重量
%以上含む組成物をいう。PPSの含有量が70重量%
未満では、組成物としての結晶性、熱転移温度等が低く
なり、該組成物からなるフイルムや繊維の特長である耐
熱性、寸法安定性、機械特性および加工性等が低下す
る。
【0015】該組成物中の残りの30重量%未満であれ
ばPPS以外のポリマ、無機または有機のフィラー、滑
剤、着色剤、紫外線防止剤などの添加剤を含むことも、
本発明の目的を阻害しない範囲内なら差し支えない。
【0016】該樹脂組成物の溶融粘度は、温度300
℃、せん断速度200sec-1のもとで100〜200
00ポイズ(より好ましくは300〜15000ポイ
ズ)の範囲がフイルム、繊維の成形性の点で好ましい。
この樹脂組成物の溶融粘度は、最終的に得られるフイル
ム、繊維の溶融粘度に等しい。
【0017】本発明において、未延伸PPSシート層
(A)とは、上記のPPS樹脂組成物を溶融成形してな
る層で、実質的に未延伸、無配向のシート層である。該
未延伸PPSシート層の厚さは500μm以下(より好
ましくは2〜300μm)が好ましい。
【0018】本発明におけるPPS繊維シート層(B)
とは、PPSを主成分とする樹脂組成物を周知の方法で
紡糸した繊維の集合体によって構成される層である。該
繊維シート層は通常、不織布、紙、織布、フェルトなど
と呼ばれるものの総称である。
【0019】該繊維シート層の厚さは、5〜500μm
の範囲が好ましい。また、該シート層の見かけの比重
[目付量(g/m2 )をシートの厚さ(μm)で割った
値(g/cm3 )]は0.1〜1.5g/cm3 (より
好ましくは0.3〜1.2g/cm3 )が好ましい。
【0020】また、該繊維シート層は、繊維を厚さ方向
が交絡するようにニードルパンチ加工や細い針状の高圧
水流で繊維を処理したり、組織を安定化させるウォータ
ージェット処理や繊維同士を結着させる目的でカレンダ
ーローラー加工などの加工が単独または組み合わせて行
なわれていてもよい。また接着剤の含浸や異種ポリマの
含有は、本発明の目的を阻害しない範囲内なら差し支え
ない。
【0021】本発明の積層体は、未延伸PPSシート層
およびPPS繊維シート層からなり、各層が接着剤等P
PS以外の樹脂を介することなく熱融着によって積層さ
れたものである。その積層態様は種々考え得るが、その
代表的なものを列記すると以下のようになる。
【0022】本発明の第一の積層体は、未延伸PPSシ
ート層(A)(該層の厚みをaμmとする。)とPPS
繊維シート(B)(該層の厚みをbμmとする。)の2
層構成の積層体である。該積層体を構成する各層の厚さ
の関係は下式の範囲内が好ましい。 0.2≦a/b≦10 (1)
【0023】上式(1)においてa/bが0.2未満で
あると耐電圧が低く、積層体としての腰が弱くなる。ま
た本発明の目的である成型加工性が低下する。逆にa/
bが10を越えると高温時の耐熱性が低下する傾向にあ
る。該積層体の厚さは、20〜700μmの範囲が好ま
しい。
【0024】本発明の第二の積層体はA/B/A′の3
層構成の積層体である。該積層体のA′層の厚みをa′
とすると、構成する各層の厚さの関係は下式の範囲が好
ましい。 0.2≦a+a′/b≦10 (2)
【0025】上式(2)においてa+a′/bが0.2
未満であると耐電圧が低く積層体としての腰が弱くな
る。また本発明の目的である成型加工性が低下する。逆
にa+a′/bが10を越えると高温時の耐熱性が低下
する傾向にある。該積層体の厚さは、20〜700μm
の範囲が好ましい。さらに該積層構成の積層体において
a/a′が0.5〜2.0の範囲が積層体のそり等加工
性の点で好ましい。
【0026】本発明の第三の積層体は、B/A/B′の
3層構成の積層体である。該積層体を構成する各層の厚
みの関係は下式の範囲が好ましい。 0.2≦a/(b+b′)≦10 (3)
【0027】上式(3)においてa/(b+b′)が
0.2未満であると耐電圧が低く積層体としての腰が弱
くなる。また本発明の目的である成型加工性が低下す
る。逆にa/(b+b′)が10を越えると高温時の耐
熱性が低下する傾向にある。該積層体の厚さは、20〜
700μmの範囲が好ましい。さらに該積層構成の積層
体においてb/b′が0.5〜2.0の範囲が積層体の
そり等加工性の点で好ましい。
【0028】また該積層体の(A)層の一部が(B)層
に入り込む(Aの繊維にBの樹脂が含浸される)場合も
本発明に含まれることは言うまでもない。なお本発明の
積層体の厚み構成は、顕微鏡による断面観察で知ること
ができる。
【0029】本発明の積層体の未延伸PPSシート層の
残留結晶化エネルギーΔHt(A)が該B層を構成する
樹脂の結晶化エネルギーΔHq(A)の20%以上のも
のが耐衝撃性の保持の点で好ましい。該残留結晶化率が
20%未満では衝撃力を受けた時に積層体の(A)層か
ら亀裂が入りやすく、積層体自体の耐衝撃性が低下しや
すい。
【0030】ここで、本発明でいう残存結晶化エネルギ
ーΔHt(A)とは、該積層体(積層後)のA層の結晶
化エネルギーであり、該積層体全体あるいはミクロトー
ム等で顕微鏡観察しながら積層体のA層の一部を取り除
いて示差走査型熱量計(DSC)にて測定した時、昇温
時に現れる結晶化(Tcc)の発熱ピーク面積から求め
ることができる。
【0031】またA層を構成する樹脂の結晶化エネルギ
ーΔHq(A)は該積層体のA層を示差走査型熱量計
(DSC)にて融点以上の温度まで上げ、一旦溶融させ
たものを液体窒素等の冷媒中で急冷したサンプルを、再
びDSCにて昇温した際に表れる結晶化の発熱ピーク面
積から求めることができ、ΔHt(A)/ΔHq(A)
×100が20%以上(より好ましくは40%〜100
%)残留していることが耐衝撃性の点で好ましい。
【0032】また、本発明の積層体に別のフイルムや基
材、樹脂コートして、別の基材と組み合わせた積層体に
してもよい。また本発明の積層体を、熱処理や紫外線、
電子線等で架橋せしめてもよい。
【0033】[製造方法]次に本発明の積層体の製造方
法について述べるが、この方法に限定されるものではな
い。本発明に用いるPPSは、硫化アルカリとパラジク
ロルベンゼンとを極性溶媒中で高温高圧下に反応させて
得られる。特に、硫化ナトリウムとパラジクロルベンゼ
ンをN−メチルピロリドン等のアミド高沸点極性溶媒中
で反応させるのが好ましい。この場合、重合度を調整す
るために、苛性アルカリ、カルボン酸アルカリ金属塩等
のいわゆる重合助剤を添加して、230〜280℃で反
応させるのが最も好ましい。重合系内の圧力および重合
時間は使用する助剤の種類や量及び所望する重合度によ
って適宜決定する。得られる粉状または粒状のポリマ
を、水または/および溶媒で洗浄して、副製塩、重合助
剤、未反応モノマ等を分離する。該ポリマに必要に応じ
て、滑剤等の添加剤を分散配合してPPSの樹脂組成物
を得る。
【0034】本発明の積層体のA層を構成する未延伸P
PSシートは、エクストルーダーに代表される溶融押出
機に該ポリマ組成物を供給し、該ポリマの融点以上(好
ましくは300〜350℃の範囲)の温度に加熱し充分
混練溶融した後、スリット状のダイから連続的に押出
し、該ポリマのガラス転移点以下の温度まで急速冷却す
ることによって結晶化(Tcc)のピーク温度が125
℃以上の実質的に無配向のシートが得られる。ここで示
差走査型熱量計(DSC)で不活性ガス雰囲気中、20
℃/分で20〜180℃まで昇温した時に表れる結晶化
のピーク温度(Tcc)が125℃以上(好ましくは1
30〜160℃)のシートが積層体として熱が加わった
時に結晶化しにくいし、加工性等の点で好ましい。
【0035】次に本発明の積層体を構成するB層のPP
S繊維シートの製造方法について説明する。該繊維シー
トに用いるPPSの重合体の典型的な製造方法は、p−
ジクロルベンゼンと硫化ソーダを単量体として用い、N
−メチル−2−ピロリドン中で必要に応じて架橋剤とし
て1,2,4−トリクロルベンゼンと助剤として酢酸リ
チウムを添加して加圧重合する方法がある。かくして得
られる重合体は重合終了後に増粘のための空気酸化を行
なわないことが必要で、空気酸化すると製糸性および製
品糸条の特性が低下する。
【0036】架橋剤であるトリハロ置換ベンゼンの使用
量は、重合条件や最終製品の目標分子量などによって変
化されるが、通常はジハロベンゼン量に対して0〜0.
5モル%程度が良好である。
【0037】このポリマを紡糸するには、紡糸機により
溶融された該ポリマを多孔構造の口金から定量的に紡糸
し、必要に応じて延伸した該重合体の繊維を得る。
【0038】このようにして得られた繊維から繊維シー
トを得る方法は、乾式法、スパンボンド法が一般的であ
る。乾式法は、得られる繊維を綿状にし、紡績カード、
あるいは空気流によるランダムウエーバーで短繊維の繊
維シートを造る方法で、一般的にはカードから出る繊維
層を交差積層するか、そのまま重ね合わせて綿状の繊維
シートを造る。空気流方式では、短繊維をランドウエー
バーで吹き飛ばし、均一な繊維シートとして補集する。
またスパンボンド法は、紡糸口金から出てくるフィラメ
ントをネット状のコンベアの上に直接ランダムに分散積
層して繊維シートを製造する方法である。
【0039】上記のような方法で得られた繊維シート
は、必要に応じてニードルパンチ、カレンダーロール、
接着剤含浸などの加工を行なう。
【0040】次に未延伸PPSシート(以下、PPS−
NOと略称することがある)とPPS繊維シートを積層
する方法について説明する。積層の構成としては、
(1)PPS−NO(A)/PPS繊維シート(B)の
2層積層体、(2)A/B/A′の3層積層体、(3)
B/A/B′の3層積層体、の態様がある。
【0041】(1)の構成に積層するには、PPS−N
O、PPS繊維シートを重ね合わせて温度180〜27
0℃、圧力1〜20kg/cm2 の条件下で熱融着す
る。その後PPS−NO層の結晶化を防止するため冷却
金属ロールやフレッシュエアー、水等の冷媒を介して、
60秒以内に結晶化温度以下に冷却して製造することが
好ましい。熱融着の方法は、熱板プレス法や加熱ロール
プレス法、B層にPPS−NOを溶融押し出しして積層
するエクストルジョンラミネート法等の周知の方法を用
いることもできる。熱板プレス法の積層時間は1秒〜5
分の範囲で積層後直ちに水等の冷媒で冷却することが接
着性と機械的特性、加工性の点で好ましい。また加熱ロ
ールプレス法の積層速度は冷却速度と加工性の点で1〜
20m/分の範囲が特に好ましい。また積層後水冷ロー
ルやフレッシュエア等で急冷するのが好ましい。エクス
トルジョンラミネート法は、速度1〜50m/分の範囲
が加工性の点で好ましく、ラミネート後水冷ロールやフ
レッシュエアで急冷することが好ましい。さらに上記の
熱融着の方法を組み合わせて積層体を製造してもよい。
【0042】次に(2)の積層構成は、A/B/A′の
順にフイルム、シートを重ね合わせて上記(1)と同様
の方法で熱融着積層する。また、A/Bの2層体を積層
した後該積層体の2層のB層側にA′を挟んで積層して
もよい。
【0043】また、(3)の積層体も上記(1)、
(2)と同様の方法で積層することができる。なお、本
発明の積層体の製造において、PPS−NO、およびP
PS繊維シートにコロナ処理、プラズマ処理等の接着性
を向上させることを目的とした表面処理が施されてもよ
い。本発明の積層体はモータ絶縁材に最適であるが、ト
ランス(オイル、ガス、モールドの各トランス)や他の
樹脂を含浸して用いる絶縁基材等にも使用できる。
【0044】
【実施例】
[測定方法、評価方法]次に、本発明の記述に用いた特
性の評価方法および評価基準について述べる。 (1)成型性 試料を直径20mm、深さ10mmの円筒状ベークライ
ト製型で圧縮成型し、成型可能温度と成型状態を下記の
基準で判断した。また成型温度は積層体を赤外線ヒータ
で予備加熱した温度(180℃)であり、成型時間は積
層体を10秒間加熱した後1秒間で成型した。 ○ : 成型体のコーナー部まで成型され、破れや剥が
れ等の欠陥が全くない △ : 成型体のコーナー部の成型状態が少し甘い。ま
た剥がれや破れが少し発生する × : 成型性がほとんどなく、成型後の戻りや破れ、
剥がれが激しい
【0045】(2)耐熱性−1 試料フイルムを250℃のハンダに1分間浮かべ、下記
の基準で評価した。 ○ : ハンダ中で変形が全くない △ : ハンダ中で多少変形する × : ハンダ中で大きく変形してしまう
【0046】(3)耐熱性−2 積層体の初期および熱風オーブン中180℃で2000
時間エージング後の引張強度をASTM−D−638−
72法に従って測定し、エージング後の強度が初期値の
70%以上あるものを「○」、同30〜70%未満を
「△」、同30%未満を「×」とした。
【0047】(4)引裂き強度 JIS−P8116−1960に準じて測定した。
【0048】(5)耐衝撃性−1 試料を幅20mm、長さ100mmに切り出し、長さ方
向にループ状にして、端部を固定して試料の幅方向の先
端より20mの高さから重さ1kgに分銅を落下させ下
記の基準で評価した。 ○ : 試料が全く損傷を受けない △ : 先端の一部が裂けている × : 先端部が大きくデラミネーションしているか、
大きく裂けている
【0049】(6)耐衝撃性−2 先端を1.4mmφ、アール0.7mmにした金属製の
治具をエアシリンダに取り付け、エアの圧力で該治具が
上下運動する。またその直下に金属板(厚さ10mm)
を置き、該金属板の上に積層体を置きエアの圧力で金属
板上の積層体を押し付ける。この時、積層体に貫通穴が
あく圧力を測定し、下記の基準で評価した。 ○ : 150kg以上の圧力に耐え得る △ : 100kg以上150kg未満の圧力に耐え得
る × : 100kg未満の圧力にしか耐えない
【0050】(7)積層厚み構成の測定 試料の断面を電子顕微鏡で観察し、各層の厚みを測定し
た。
【0051】(8)残留結晶化エネルギー(ΔHt
(A)) 積層体を積層した積み方向に垂直にサンプリング、ある
いは表層を取り除いた後のPPS−NO層をPERKI
N ELMER社製、DSC−2型の示差走査型熱量計
にて不活性ガス雰囲気中、下記条件で20〜180℃ま
で昇温した時に表れる結晶化(Tcc)の発熱ピーク面
積を、計算法(半値幅×高さ、底辺×高さ/2)あるい
は重量法で求め、基準物質であるインジウムのピーク面
積から求めた値、常数Kを算出し、下記式により積層体
の結晶化エネルギーΔHt(A)(単位:cal/g)
を算出する。 測定条件: サンプル重量 : 5mg(積層体) レンジ : 5mcal/sec・m チャートスピード : 40mm/sec 昇温速度 : 20℃/min ΔHt(A)=[K×レンジ×ピーク面積(cm2 )]
/[サンプル重量×チャートスピード(cm/se
c)]
【0052】(9)結晶化エネルギー(ΔHq(A)) 積層体のPPS−NO部分をサンプリングし、不活性ガ
ス雰囲気中DSCにて、20〜340℃まで昇温して溶
融させる。その後、液体窒素等の冷媒で急速に冷却し無
配向のサンプルを得た後、再びDSCを用いてΔHt
(A)を測定した時と同条件で結晶化エネルギーΔHq
(A)を求める。
【0053】(10)結晶化温度(Tcc) 試料をPERKIN−ELEER社製、DSC−2型の
示差走査型熱量計にて、下記条件で20〜180℃まで
昇温した時に表れる結晶化(Tcc)のピークを読みと
った値で表した。 測定条件: サンプル重量 : 5mg レンジ : 5mcal/sec・m チャートスピード : 40mm/sec 昇温速度 : 20℃/min
【0054】(11)絶縁破壊強度 ASTM−D−149に準じて測定し、単位厚み当たり
の電圧(kv/mm)で表した。
【0055】次に本発明を実施例を挙げてより具体的に
かつ詳細に説明する。 実施例1 (1)PPSシート、フイルム、繊維シートの製造 (a)PPSポリマの準備 オートクレーブに硫化ナトリウム32.6kg(250
モル、結晶水40重量%を含む)、水酸化ナトリウム1
00g、安息香酸ナトリウム36.1kg(250モ
ル)、及びN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと
略称する。)79.2kgを仕込み攪拌しながら徐々に
205℃まで昇温し、水6.9kgを含む留出液7.0
lを除去した。残留混合物に1,4−ジクロルベンゼン
37.5kgを加え、265℃で4時間加熱した。反応
生成物を熱湯で8回洗浄し、溶融粘度3100ポイズ、
ガラス転移点91℃、融点285℃の高重合度PPS2
1.1kgを得た。
【0056】(b)未延伸シートの製造 上記(a)で得られた組成物を180℃で2時間、減圧
下で乾燥した後、平均粒径0.1μmのシリカ微粉末を
0.5重量%混合し、310℃の温度でガット上に溶融
押出して、さらに該ガットをチップ状切断した。該チッ
プを180℃の温度で3時間減圧下で乾燥した後、40
mmφのエクストルーダのホッパに投入し、310℃で
溶融されたPPS組成物を長さ350mm、間隙1mm
の直線状リップを有する口金から押出し、表面温度30
℃に保った金属ドラム状にキャストして冷却固化した。
得られたシートは、厚さ100μmの未延伸シート(P
PSシート−1とする。)であった。また、該シートの
Tccは138℃であった。
【0057】(c)PPS繊維シートの製造 融点が277℃のPPSの重合体を320℃で溶融し、
直径0.7mmの細孔が20個設けられた口金から溶融
紡糸し短繊維とする。続いて該短繊維を積層し、針深度
5mm、針密度150本/cm2 になる条件でニードル
パンチ加工した後、温度240℃でカレンダー処理しP
PS繊維シートとした(繊維シート−1とする。)。得
られたPPS繊維シートの見かけ比重は0.7g/cm
3 (厚さ100μm)であった。
【0058】(2)積層体の製造 上記で得られたPPS−NO−1、繊維シート−1を重
ね合わせて、240℃の加熱ロールプレスで熱圧着し
た。プレス圧力は10kg/cmであり、熱圧着の速度
は1m/分であった。得られた積層体の厚さは190μ
mであり、該積層体を積層体−1とする。
【0059】比較例1 東レ(株)製“トレリナ”タイプ3000厚さ100μ
mの二軸配向PPSフイルム(PPS−BO−1とす
る。)を準備した。該PPS−BO−1の片面および繊
維シート−1の両面に0.4TorrのAr雰囲気で、
電圧0.6kv、速度1.0m/分の条件でプラズマ処
理を行ない、PPS−BO−1/繊維シート−1の構成
で実施例1の方法で熱圧着した。得られた積層体の厚さ
は197μmであり、該積層体を積層体−2とする。
【0060】実施例2〜4 実施例1の方法で得た厚み20μmのPPS−NO(P
PS−NO−2)、40μmのPPS−NO(PPS−
NO−3)と100μmのPPS−NO(PPS−NO
−1)と180μmの繊維シート(繊維シート−2)、
繊維シート−1および20μmの繊維シート(繊維シー
ト−3)を用いて、積層厚み構成比の異なるPPS−N
O/繊維シート/PPS−NOの3層積層体を3種類作
成した。20μmのPPS−NOと180μmの繊維シ
ートを用いた積層体を積層体−3、40μmのPPS−
NOと100μmの繊維シートを用いた積層体を積層体
−4、また100μmのPPS−NOと20μmの繊維
シートを用いた積層体を積層体−5とする。
【0061】比較例2 東レ(株)製“トレリナ”タイプ3000厚さ50μm
の二軸配向PPSフイルム(PPS−BO−2とす
る。)を準備し、比較例1の方法でプラズマ処理した。
PPS−BO−2/繊維シート−1/PPS−BO−2
の積層構成で、比較例1の条件で熱融着した(積層体−
6とする。)。
【0062】実施例5〜7 実施例1の方法で得た、厚さ50μm(PPS−NO−
4)、厚さ100μm(PPS−NO−1)および厚さ
200μm(PPS−NO−5)の3種類のPPS−N
Oを得た。また、実施例1の方法で厚さ100μm(繊
維シート−1)、厚さ50μm(繊維シート−4)およ
び厚さ15μm(繊維シート−5)の3種類の繊維シー
トを準備した。さらに実施例1の条件で、積層構成を繊
維シート/PPS−NO/繊維シートの3層構成とした
3種類の積層体を得た。PPS−NO−4と繊維シート
−1の組み合わせの積層体を積層体−7、また、PPS
−NO−1と繊維シート−4の組み合わせの積層体を積
層体−8、さらにPPS−NO−5と繊維シート−5の
組み合わせのものを積層体−9とする。
【0063】比較例3 PPS−BO−1の両側に繊維シート−4を比較例1の
条件で熱融着した。得られた積層体を積層体−10とす
る。
【0064】実施例8、9 実施例1のPPS−NOの製造において、押出温度、ポ
リマの滞留時間、キャスト温度等を変更してTccが1
23℃と127℃のPPS−NO(厚さ40μm)を得
た。該PPS−NOと繊維シート−1を実施例3の方法
で積層し2種類の積層体を得た。Tcc123℃のPP
S−NOを用いた積層体を積層体−11、Tcc127
℃のPPS−NOを用いた積層体を積層体−12とす
る。
【0065】比較例4 実施例3の積層構成で積層の方法を下記の接着剤を介し
て積層した(積層体−13とする。)。 接着剤:ポリウレタン系、“アドコート”76P1(東
洋モートン社製)、主剤/硬化剤比=100/10 上記の接着剤を、PPS−NO−4の片面にコートし繊
維シート−1とを積層した2層体を作製した。次にもう
一方のPPS−NO−4に同様にして接着剤をコート
し、先に得られた2層体の繊維シート側に積層してPP
S−NO/繊維シート/PPS−NOの構成の積層体を
得た。接着剤の塗布厚みは10μm/dry、塗布方法
はグラビアコータ法を用い、乾燥条件は100℃の温度
で2分間であった。さらに得られた積層体の接着剤を6
0℃の温度で72時間硬化せしめた。
【0066】比較例5 繊維シート−2を比較のために評価した。
【0067】比較例6 PPS−NO−5を準備し比較のために評価した。
【0068】比較例7 東レ(株)製“トレリナ”タイプ5000の厚さ175
μm(PPS−BO−3)を準備し、比較のために評価
した。
【0069】[評価]実施例1〜7、比較例1〜7の積
層体の評価結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】実施例1〜7の本発明の積層体は、耐熱
性、耐衝撃性等の機械特性および電気絶縁性に優れ、か
つ成型性が格段に優れた積層体である。実施例1と比較
例1の積層体、実施例2〜4と比較例2の積層体および
実施例5〜7と比較例3の積層体を比較すると、本発明
の積層体は成型性が特に優れていることが判る。また、
実施例2〜4および実施例5〜7の積層体の評価結果か
ら、本発明の積層体のPPS−NOと繊維シートの積層
比(a/b)が0.1〜10の範囲が最適であることが
判る。すなわち該積層比が小さくなると、成型性や電気
絶縁性が低下する傾向にあり、逆に該積層比が大きくな
ると、耐熱性、耐衝撃性が低下する傾向にある。
【0072】また実施例3と実施例8、9を比較する
と、本発明でいう積層後のA層の残留結晶化率が低下し
ていくと積層体の耐衝撃性、引き裂き強度等も低下する
傾向にあることが判る。
【0073】比較例4の接着剤を介して積層した積層体
は、接着剤の耐熱性が積層体全体の耐熱性を低下させ、
特に長期耐熱性に問題がある。また、比較のために評価
した比較例5の繊維シート単体は、電気絶縁性や成型性
に問題が有り、比較例6のPPS−NO単体は、耐熱性
(特に高温短期耐熱性)が劣る。比較例7の二軸配向P
PSフイルム単体は耐衝撃性や成型性に問題があること
が判る。
【0074】
【発明の効果】本発明の積層体によれば、以上の構成に
したため、耐熱性、耐衝撃性等の機械特性および電気絶
縁性に優れ、かつ成型性が格段に優れた積層体となっ
た。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 未延伸ポリフェニレンスルフィドシート
    層(A)およびポリフェニレンスルフィド繊維シート層
    (B)からなる積層体であって、各層が接着剤を介する
    ことなく積層されていることを特徴とする積層体。
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